('A`)ドクオが穴にはまるようです
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俺はドクオ。
何を隠そう、ドクオだ。
どのくらいドクオかって言うと、高校三年生で受験勉強をしないくらいドクオだ。
俺は、今日も元気に学校へ向かっていた。
朝日がすがすがすがしい。
あまりのすがすがすがしさに目を細めていると、声が聞こえた。
「おい、そこの少年」
('A`;)「え!? え!?」
声は聞こえるのに姿が見えない。
「おい、俺が見えないのか?」
('A`;)「す、すみません! 見えないです!」
「しょうがない。ならば、心の目で見ろ」
('A`;)「こ、心の目ですか!?」
「そうだ。心眼だ。ハート・オブ・アイだ」
('A`;)「わ、わかりました」
声に従い、俺は目を閉じ心の目を見開いた。
「どうだ? 俺の姿が見えるだろう?」
('A`)「はい! 見えません!」
「そうか。ならば目を開けろ。そして地面を見るんだ」
('A`;)「あ、アースをですか? わかりました!」
俺は目を開けて、大地の息吹を感じた。
(´・ω・`)_ よう。はじめましてだな
/ / ヽ/
" ̄U ̄ ̄"U
そこには、マンホールにはまった男がいた。
('A`;)「えっと……は、はじめまして!」
(´・ω・`)「ああ。ナイストゥミーチュー」
('A`)(……なんて堪能な英語なんだ)
その男はマンホールにはまっていることなど不思議に思わせないほどの流暢な英語を使った。
思えば、俺はこの時からこの男に惚れていたのかもしれない。
('A`;)「ところであなたは何をなさっているのですか?」
(´・ω・`)「見てわからんか?」
('A`;)「えっと……わかりません」
(´・ω・`)「マンホールにはまっているんだ」
なるほど。確かにこの男はマンホールにはまっている。
どのくらいはまっているかというと、顔から下が見えないほどにドップリはまっている。
これ以上に自分の状況を的確に説明できる人間は、世界広しと言えどもこの男だけだろう。
('A`)「なるほど。確かにあなたはマンホールにはまっていますね」
(´・ω・`)「ああ。君は頭の回転がはやいな。素晴らしい」
(*'A`)「いえ……そんな……」
俺は照れを隠し切れなかった。
マンホールにはまることなど通常ありえない。それを目の前の男は平然とやってのけている。
つまり、この男はただ者ではない。
そして俺はただ者ではない男に褒められたのだ。照れるなって言う方が無理だった。
(*'A`)「えっと……ありがとうございます!」
(´・ω・`)「気にするな。しかるべき事象にしかるべき賛辞の言葉を送る。それが俺の流儀だ」
マンホールから覗いた男の顔に、俺は真の男の生き様を見た。
('A`;)「それで、あなたはなんでマンホールにはまっているのですか?」
(´・ω・`)「聞きたいか?」
('A`;)「えっ!?」
(´・ω・`)「聞きたいのかと聞いている」
男の剣幕に俺はたじろいでしまった。
マンホールから顔だけを出す男の目は、俺に教えていた。
「それを聞けば、お前は引き返せなくなるぞ」と。
恐怖に身を包まれた俺は、知らず知らずのうちに叫んでいた。
('A`;)「シ、シンキングターイム!」
(´・ω・`)「認める!」
俺は少しの猶予を貰い、そして熟考した。
ここで男にマンホールにはまったわけを聞けば、俺の平凡な生活はきっと終わってしまう。
朝一番に学校に行って、女子更衣室に忍び込んで下着を盗み、
授業中におなかが痛いと教室を抜け出しては女子便所の床で奇声を上げながら転げ周り、
学校から帰って、調達した下着を頭に被りアニメを見る、そんな平凡な日常が。
(´・ω・`)「……」
('A`;)「……」
ちらりと盗み見た男の目は、俺に向かってこう言っていた。
「そんな日常捨てちまえ!」
と。
('A`)(……ああ、そうだよな)
俺は空を仰いで、たじろいでいた自分を嘲りながらため息をついた。
平凡な日常は、いつかかならず姿を消す。
そして男なら非日常の世界に足を踏み入れなければならないときが必ず来る。
簡単なことだ。アニメが何度も教えてくれたじゃないか。
('A`)(来るべき日が来たってことか……)
もう、俺に迷いはなかった。
俺はマンホールの頭に土下座をして、叫んだ。
('A`)「俺に……俺にマンホールにはまったわけを教えてください!」
(´・ω・`)「……いい目だ。まるでマグロのようにDHAが豊富な目だ」
(*'A`)「きょ、恐縮です!」
(´・ω・`)「じゃあ、尻の穴かっぽじって良く聞けよ?」
('A`;)「は、はい!」
俺はズボンを脱いで尻の穴をかっぽじった。あえぎ声が漏れた。
(´・ω・`)「俺はこの近辺を歩いていた。すると、ふたの取れたマンホールがあった」
('A`;)(……ふたを開けっ放しにするとは、なんて怠慢な行政だ!)
俺は行政に対して怒りを覚えた。
('A`;)「そ、それで?」
(´・ω・`)「俺はマンホールにはまって抜けなくなった」
耳を疑った。
('A`;)「そ、それはつまり、マンホールのふたが開いていたから入った、と?」
(´・ω・`)「その通りだ。昔からよく言うだろう?
『穴があったら入りたい』ってな。HAHAHA!」
('A`;)(穴があったら入りたいだと!?)
俺は恐怖に打ちひしがれ、恐れおののいた。
まさかこの言葉を実際に行動に移す人間がいるとは思わなかったからだ。
昔、国語の授業で尊敬する荒巻先生は言った。
/ ,' 3「『穴があったら入りたい』
現在これはあまりの恥ずかしさに身を隠してしまいたい思いを表す際に用いられていますが、
実は隠された、もっと深い別の意味があるのです。
穴、つまり膣があったら挿入せずにはいられない。
アイ・キャント・ヘルプ・ドッキング・チツ。
そんな男の欲望、レイプ願望を表す言葉なのです」
('A`;)(危険だ。この男は危険だ)
荒巻先生の言葉を思い出し、俺は目の前の男がレイプ魔だと悟った。
そして俺は彼を助けようとしている、社会に解き放とうとしているのだ。
そんなこと、出来るはずがなかった。
(´・ω・`)「おい、どうしたんだい? 早く俺を助けておくれよ?」
('A`;)「す、すみません! 俺、幼児を思い出しました!」
(´・ω・`)「幼児? それはそんなに大切な幼児なのかい?」
('A`;)「は、はい! これから僕は朝一番でクラスのツン子ちゃん(チン子ではない)
の縦笛を舐めなきゃいけないんです! とっても大事な幼児だから、し、失礼します!」
(´・ω・`)「待て少年! 生き急ぐな!」
男の声を引きちぎるように、俺は学校へと向かった。
その日の下校中、俺は再びあの男と出会ってしまった。
(´・ω・`)「君は必ずここを通るだろうと思っていた」
('A`;)(……避けられない運命か)
俺は観念した。登校中だけでなく下校中にも彼と会ってしまったのだ。
これは神、いわゆるゴッドが俺に『この男を助けろ』と言っているとしか思えなかった。
('A`)「わかりました。助けます」
(´・ω・`)「よしなに」
そして俺は男をマンホールから引っこ抜いた。
(´・ω・`)「助かったよ。俺はこういうものだ」
下水のにおいを体にまとい、男は俺に名刺を差し出した。
('A`)「何々……
『キャバレー・バリーボンズ 〜今夜あなたのバットが薬物違反疑惑〜
ツン子 電話番号 0××‐1919‐072 (イクイクオナニー)』」
(´・ω・`)「ごめん。それはお気に入りのキャバ嬢のだ。本当はこっち」
('A`)「『日本穴があったら入りたい党 党首 ショボン』」
('A`;)「あ、あなたは政治家屋さんなんですか!?」
(´・ω・`)「ああ、俺は日本を変える。それでだ。君を秘書官に任命したい」
('A`;)「僕を……ですか?」
(´・ω・`)「ああ。君の目は実に美しい。まるで東京湾のように。
どうだい? 僕と一緒にありとあらゆる穴に入って希望を見つけ、日本を変えないか!?」
次の日、俺は高校を辞めた。
それから俺とショボンさんの穴にはまる日々が始まった。
('A`;)「こ、ここに入るんですか!?」
(´・ω・`)b「当然だ。とうっ!」
(;´・ω・`)「うああああああああああああああああああああああ!!」
('A`;)「ショボンさん……ショボンさああああああああああああああああああん!!」
ダムの排水用の穴に飲み込まれたショボンさん。
一ヵ月後、そこには元気に走り回るショボンさんの姿が!
(´・ω・`)b「あの時は本当に死ぬかと思いました。だけど俺はこれからも穴にはまり続けます。
だって、そこには穴があるんだからね。HAHAHA!」
クレイジー野郎ショボンは、今日も穴にはまり続ける。
('A`)b「さすがはショボンさん。しかし、今度は少し趣向を変えてみませんか?」
(´・ω・`)「ほう、どういうことだい?」
('A`)「穴とは現実に存在する穴だけだとは限りません。たとえば法の穴とか……」
(´・ω・`)b「なるほど! レッツやってみよう!」
それから俺たちは法律を勉強し、法の穴をかいくぐる仕事に勤しんだ。
(#´・ω・`)「おらおら! 借金返せやこの豚野郎!」
('A`)ノ「グレーゾーン金利だ! グレーゾーン金利だ!」
(;^ω^)「ぶひいいいいい! もう少しだけ待ってくださいお!」
(´・ω・`)「ああ? バカ言ってんじゃねえ! ドクオ、金目のものを洗いざらい回収しろ!」
('A`)ノ「グレーゾーン金利だ! グレーゾーン金利だ!」
(;^ω^)「ぶひいいいいい! PS3だけは勘弁してくださいお!」
(´・ω・`)「うるさい! ドクオ! この豚を養豚場に連れて行け!
肉にすれば一万円くらいにはなるだろう!」
('A`)ノ「グレーゾーン金利だ! グレーゾーン金利だ!」
(;^ω^)「ぶひいいいいい! せめて三万円くらいで売ってくださいお!」
しかし法の穴をかいくぐっても、得られたのは莫大な資産だけだった。
俺たちはベンツに乗ってブランド物のスーツに身を包み、高島屋のトイレへと向かった。
(´・ω・`)「やっぱり地道が一番だな。次はこの穴を攻める」
('A`;)「しかしこれ……トイレですよ? それも洋式の」
(#´・ω・`)「この先に何があるか君は気にならないのか!?」
('A`;)「す、すみません! 気になります!」
トイレの穴の先には下水道しかないだろうと思っていたが、
どうやらショボンさんはその先に別の可能性を見ているようだ。
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/ ` i
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ヽ 丿 チャポーン
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/ (´・ω・`) / |"「さあ、俺を流せ! 大で!」
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ヽ、ニニニ/ /
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〈 _ _ , /
`ー--‐''"
('A`;)「わかりました!」
便器にスタンバイしたショボンさん。
俺はレバーを小の方に引いた。
(;´・ω・`)「うああああああああああああああああああああああ!!」
('A`;)「ショボンさん……ショボンさああああああああああああああああああん!!」
ショボンさんは渦に飲み込まれて消えた。
その日以来、ショボンさんは俺の前から姿を消した。
拠るべき人を失った俺は悲しみに打ちひしがれ、絶望のどん底に貶められ、
おでんを買おうと近所のコンビニへと向かった。
そこで、俺は彼とであった。
('A`;)「あ、あなたはまさか!? アナン事務総長!?」
( ^ω^)「……気づかれたか。何を隠そう、私が『世界穴にはまる会』会長のアナンだ」
('A`)「アナンさん、ショボンさんは……」
( ^ω^)「ああ、我々は非常に惜しい人物を失った。彼には遣り残した任務があったのに……」
('A`)「僕はショボンさんの一番弟子です! ショボンさんの尻拭いは僕がします。穴だけに!」
( ^ω^)「そうか、ならやってもらおう!」
( ^ω^)「地球に迫り来るブラックホールを除去する任務を!!」
('A`;)「ブ、ブラックホール!!」
( ^ω^)「今地球に迫っているブラックホールには何かが詰まっていて流れない。
君には、ブラックホールの異物を除去してもらいたい!」
('A`)「あれ? 流れないんなら地球も飲み込まれないし、別にいいんじゃないですか?」
(#^ω^)「バカやろう! このままブラックホールが流れなかったら
それが邪魔でお月見が出来ないだろうが! もうすぐ十五夜だぞ!」
('A`;)「す、すみません!」
( ^ω^)「……やってくれるか?」
(*'A`)「……はい!」
そして俺はNASAへ飛んだ。
宇宙服に身を包んだ俺の携帯に電話がかかってきた。
('A`)]「アイム・バウアー」
( ^ω^)]『バウアー! 地球を頼む! お月見を頼む!』
('A`)b「ノープラモデル!」
そして俺は宇宙(そら)へ飛んだ。
('A`)が穴にはまるようです 第三部〜めぐりあい宇宙〜
宇宙船地球号はブラックホールへと向かう。
すでにブラックホールは月と地球の間に迫っていた。
( ^ω^)『バウアー、聞こえるか』
('A`)b「アイム・ファイン・サンキュー」
( ^ω^)『エンジュー? もうすぐブラックホールに接近する。さあ、逝け』
そして俺は宇宙(コスモ)へ飛び出した。
そこで俺は信じられない光景を見た。
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ぬーん
(;A;)「ショボンさん!! ショボンさんじゃないですか!?」
あの日、あの時、あのマンホール。
ショボンさんは出会った頃と同じように穴にはまっていた。
しかし今度の穴はマンホールではなく、ブラックホールだった。
(;A;)「ショボンさん、いつからそこに?」
(´・ω・`)「トイレに流されて以来ずっとだ。永い、あまりにも永い日々だった」
(;A;)「ショボンさん、実は……」
(´・ω・`)「ああ、わかってる。俺にはすべてわかってるさ」
そしてショボンさんは言ってくれた。
(´;ω;`)「さあ、俺をブラックホールに流せ! お月見のために! 日本の習慣を守れ!」
(;A;)「僕は……僕は……僕はああああああああああああああああああああ!!」
僕はブラックホールのレバーを小の方に引いた。
(;´・ω・`)「うああああああああああああああああああああああ!!」
(;A;)「ショボンさん……ショボンさああああああああああああああああああん!!」
こうして地球は救われた。一人の男の犠牲を伴って。
そして地球に帰還する直前、ショボンさんの声が聞こえた。
(´・ω・`)「嗚呼、穴が見える」
だけどそれは、俺の幻聴に過ぎなかったのだろう。
だって、ショボンさんはもう穴の一部になったのだから。
後日、アナン事務総長から全世界に向けて発表があった。
( ^ω^)「一人の勇敢な男が世界とお月見を救いました。
……そして彼は穴になりました」
しかし誰もその意味を理解することは出来ないだろう。
あのやくみつるでさえ「穴になったってどういうことだよ」とぼやいていたのだから。
その後俺は結婚し、子どももでき、人並みの幸せを手に入れた。
しかし、心の中にあいた穴はどうしても埋まらない。
それは自分が幸せだと思い込もうとすればするほど、俺に訴えかけてくる。
「ショボンさんに会いたい」と。
妻には言えない。俺には彼女以上の想い人がいることを。
その人にしか俺の心の穴は埋められない。
埋められないんだ。
家を出て、軽く散歩した。
立ち止まり、晴れ渡る青空を仰いで、俺は呟いた。
('A`)「ショボンさん、あなたは今、どの穴にはまっているんですか?」
「この穴さ」
俺は驚いてアースを見た。
(´・ω・`)_ 「よう、また会ったな」
/ / ヽ/
" ̄U ̄ ̄"U
アースには、あの日、あの時、あのマンホールにはまっているショボンさんがいた。
俺はにじんでいく視界の中、かすれた声で聞いた。
(;A;)「ショボンさん……いつからそこに?」
(´・ω・`)「あの日君にブラックホールに流されて以来、ずっとさ。
ずっとずっと、君に引っこ抜いてもらう日を待ち望んでいた」
(*'A`)「……わかりました。あの時のように、また引っこ抜かせてもらいます」
(´・ω・`)「認める!」
そして、俺はショボンさんの手を握った。
その瞬間、俺は心の穴が満たされるのを感じた。
思えばあの日、あの時、あのマンホールで出会った俺たち。
探し続けていたものはあの日からずっと、すぐ側にあったんだ。
すべての終わりは、始まりの中にあったのだ。
たとえば君が幸せに疑問を感じているのなら、そっとアースに目をやってほしい。
心の穴を満たしてくれる人物は、きっと、穴にはまっているから。
〜続かない〜
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