ミセ*゚ー゚)リ神様inサイダーのようです(゚、゚トソン
(http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1258809222/)
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:13:42.46 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚ー゚)リ神様inサイダーのようです(゚、゚トソン
前回あらすじ
引きこもりが学校行って帰ってきて不貞寝
後編ですが、結局規制が解けずに電話からなので2回に分けようかと。
のんびり投下。
まとめていただいたサイトさん
ブーン系小説グループさん
http://boonnovel.g.hatena.ne.jp/bbs/559?mode=tree
ブーン文丸新聞さん
http://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/cider/cider.htm
- 2 名前: ◆xJGXGruetE :2009/11/21(土) 22:17:39.69 ID:jPTt1Zb7O
-
「おいおい、ホントかよ……? 全部当てやがった……」
「大丈夫、親父達がいなくてもお兄ちゃんが何とかしてやる」
「だからお前は……な?」
遠くで懐かしい声が聞こえる。
今もたまには聞くはずの、でも今とは違う私の方へ向けられた声。
あの日そんな言葉と共に私の手を掴んだ大きな手。
暖かかったその手は、今はただケーキを運んでくれるだけ。
いつからそうなったのかは覚えていない。
そんな昔のはずじゃないのに、すごく前の事のように思える。
それだけ開いてしまった距離と、そして──
− ミセ*゚ー゚)リ神様inサイダーのようです(゚、゚トソン −
〜 後編@ 〜
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:19:09.49 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚−゚)リ「……朝か」
まどろみの中で見た景色は、目覚めと共に霧散した。
ひどく懐かしいような気もしたけど、それが何だったか思い出せない。
でも、思い出しても所詮は夢。
夢は夢でしかないのだ。
現実ではない。
ミセ;゚ー゚)リ「う……何か身体痛いな……」
ソファーの上で丸まっていた身体を伸ばす。
だいぶ暖かくなって来たとはいえ、布団もかけずに寝たのは失敗だったか。
伸びをしながら相変わらず忙しない音を立てる時計を眺める。
時刻は午前……
ミセ;゚ー゚)リ「5時……だと……」
まだ薄暗いことで気付くべきだったが、朝どころの騒ぎじゃない時間だった。
私にとってこの時間に寝る事はあっても起きるような時間じゃない。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:21:23.40 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*-ー-)リ「もっかい寝るか」
そう思って目を閉じるも全く寝られる気がしない。
寝るならちゃんとベッドに潜り込まないと身体も痛いし。
ミセ*゚ぺ)リ「うーむ……」
仕方なくソファーから起き上がる。
ふと、自分の姿を見れば帰宅した時のままだったことに気付く。
制服はよれよれで、お風呂にも入っていなし、何ともひどい有様だ。
ミセ*-へ-)リ「シャワーでも浴びるか……」
そんな事をすれば完全に目が覚めてしまってもう眠れなくはなるだろうけど、それも仕方がない。
私は大きく背伸びをして、バスルームへ向かった。
・・・・
・・・
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:24:13.54 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚ー゚)リ「うーん、まだちょっと寒いくらいだな」
日は差しているが、風が少し冷たい。
春よりは夏が近いけれど、朝はまだこんなものなのだろうか。
いつもなら絶対寝ている時間なのでその辺はよくわからなかった。
ミセ*゚ー゚)リ「どこ行こっかな」
玄関の鍵を掛け、門扉を開ける。
朝食でも食べに行こうかと家を出た。
これといって食べたいものもないので、適当に歩き出す。
一応、大事を取って(?)制服を着てきた。
勿論さっきまで来てたのとは別のやつだが、朝っぱらから警官なんかに話しかけられるのも面倒だ。
ミセ*゚ー゚)リ「ジャージとかでも良かったんだけどね」
スポーツウェアの類ならジョギング中とかに見てくれるだろうけど、この制服も着収めだから
こっちにしてみた。
ヽミセ*゚ぺ)リノ「もう少しかわいいデザインだったら良かったのに……」
それなら制服を着るためだけに学校に通っても良かったかもしれないとバカな事を考えてみる。
・・・・
・・・
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:26:14.77 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ;゚ー゚)リ「……」
道を進み角を曲がり、歩く事約15分ほど。
周りを見回せば住宅街。
どう見ても飲食店の類は見受けられない。
別にこの辺りは不慣れな場所じゃないし、道に迷ったりはしない。
足の向くまま歩いて来たらここに来ただけで、特に他意はなかったはずなのだが。
ミセ;゚ー゚)リ「……かな?」
目の前にある一軒の家。
平屋建ての少し古い家。
小さな庭もあり、いっぱいに干された洗濯物がその家の住人の勤勉さを物語る。
ミセ;゚ー゚)リ「この辺では珍しい苗字だし……」
その門の表札には都村とある。
私の知る限りでは、この苗字を持った人間は1人しか知らない。
確か三丁目の方に住んでるとは言ってたし、奇しくもここは三丁目。
進むに任せた私の足が、ここに向かったのは何とも恐ろしい偶然だ。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:29:32.25 ID:jPTt1Zb7O
-
そう、偶然なわけがない。
無意識というか、気付いていながらそちらに足を向けていたのだ。
目的は……何だろう?
明確にあったわけではないし、何となくとしか言えない。
どうせ見つからないだろうと、駄目元な部分もあった。
こんな簡単に見つかるとは計算外だったが。
ミセ;゚ー゚)リ「……どうしよう」
他人様の家の門の前でぼーっと突っ立ってるのははなはだ不審者だが、何といってお邪魔するべきか。
それ以前に朝っぱらからお邪魔するのは失礼な気もするし、そもそも私は入りたいのかどうかわからない。
私は何しにここに来たのか。
それがよくわかっていないのだから。
何故委員長の家に足が向かったのか。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:30:36.95 ID:m8ldNaqQO
- 支援だZE☆
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:31:12.77 ID:bF3dbWYNO
- しえん
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:32:26.20 ID:jPTt1Zb7O
-
<「それじゃあ、ゴミ捨ててくるぞー」
ミセ;゚ー゚)リ「うぇ!?」
ノパ听)「お?」
家の中から聞こえてきた大声とともに、玄関のドアが勢いよく開けられる。
不審者然としていた私は、中から飛び出してきた小学生ぐらいの女の子と目が合ってしまった。
ミセ;゚ー゚)リ「うぁ゙……えっと……その……おはようございます」
ノパ听)「おはよーございまーす!」
視線を外し、逃げ出すかとも考えたが、それこそまさに不審者なので何とか自然な挨拶を搾り出してみた。
女の子は元気よく挨拶を返し、しばし私の姿を観察した後、何か思いついたのか玄関のドアを開ける。
ノパ听)「おねーちゃーん、お客さんだぞー」
ミセ;゚ー゚)リ「うぇ!? あの、ちょっと!?」
どうやら制服からそう判断したのだろうが利発な子だと思う。
ただもう少し心の準備をする時間は欲しかったところだが。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:32:48.38 ID:Fi0TBcF0O
- 僥倖だ…支援
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:33:01.01 ID:hTHqKaYMO
- 支援に参りました。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:34:37.22 ID:jPTt1Zb7O
-
(゚、゚トソン「お客? こんな朝から誰が……」
ミセ;゚ー゚)リノ「はろー」
(゚、゚トソン「……」
私の努めて爽やかな挨拶に固まる委員長。
その合間に妹さんらしき女の子は一礼をしてゴミを袋抱えて走っていった。
礼儀正しい娘さんである。
(゚、゚トソン「何しに来たのですか?」
ミセ;゚д゚)リ「冷た!」
ようやく事態を理解したのか、おおよそ予想通りの反応で出迎えてくれる委員長。
私はここに来たわけを説明すべく口を開こうとしたが、よく考えたらここに来た理由が特に思いつかない。
ミセ;゚ー゚)リb「いや、そのあれだよ……えっと……」
(-、-トソン「朝は私も少し忙しいのですが……」
しどろもどろな私に、更に冷たい言葉を下さる委員長。
流石に非常識すぎて怒らせてしまったのかもしれない。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:37:08.33 ID:jPTt1Zb7O
-
ノパ听)「おねーちゃん、お客様に失礼だぞー?」
(゚、゚;トソン「ヒート? いえ、この人はお客様とかではなくですね……」
ゴミ捨てから戻って来た妹さんらしき女の子が委員長をたしなめる。
いつも他人に礼儀を持って接するように言ってるのはお姉ちゃんだと妹さん、ヒートちゃんは言う。
(゚、゚;トソン「そ、それはそうなんですが、この方は特にお客様というわけでは……」
ミセ*゚ー゚)リ「朝ご飯!」
(゚、゚;トソン「はい!?」
ミセ*゚ー゚)リ「ほら、食べたいなら食べに来いって」
(゚、゚;トソン「あ……」
ようやく理由を見つけられた私に、委員長はひどく渋い顔を見せる。
昨日の朝、そう言ったのはおそらく私が朝起きられず、来る事は絶対無いと高をくくってたからなのだろう。
(゚、゚;トソン「あ、あれは言葉の綾と言うか、その……」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:40:03.55 ID:jPTt1Zb7O
-
ノパ听)「おねーちゃんがそう言ったのかー?」
なおも渋る委員長に、ヒートちゃんが問い掛ける。
委員長は苦い顔のままヒートちゃんの方へ首を向けた。
(゚、゚;トソン「確かに言いましたけど、その……」
ノパ听)「それなら約束は守らなきゃ駄目だぞー」
(-、-;トソン「……はい」
ノパ听)「どーぞ、おあがりくださーい」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがと、ヒートちゃん」
私は元気よく出迎えてくれるヒートちゃんに案内され、委員長の家に上がらせてもらう。
委員長は何かぶつぶつ言いながらも、私の後に続く。
口達者な委員長も、妹さんには弱いらしい。
キッチンと言うか台所と言うべき部屋に案内され、席を勧められる。
ヒートちゃんは手を洗ってくると言って台所を出て行った。
委員長はそのまま流し台の方へ向かう。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:43:12.78 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚ー゚)リ「ふぅ……ん?」
席に着き、一息ついたところで誰かの視線を感じた。
委員長はぶつぶつ言いながらも朝ご飯の支度をしているようなのでこちらは見ていない。
とすると、この視線は……
壁|<)
壁|ω^)
ミセ;゚ー゚)リ「お?」
壁|彡 サッ!
壁|彡 サッ!
台所の入り口、私が入ってきた方ではなく、ヒートちゃんが出て行った方の所に2つの小さな顔があった。
視線が合うとサッと隠れてしまったが、そのタイミングでは少々遅いと思う。
ノパ听)「2人とも、ちゃんとお客さんに挨拶しないと駄目だぞー?」
(;><)「わ、わっ!?」
(〃^ω^)「お!」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:46:39.58 ID:jPTt1Zb7O
-
ヒートちゃんに押しやられるようにして2つの小さな影が私の方へ歩いてくる。
小学生ぐらいの男の子と、まだ幼稚園ぐらいと思しき男の子。
ミセ*゚ー゚)リ「おはよう」
(;><)「お、おはようございますなんです」
(〃^ω^)「おはよーだお!」
おっかなびっくり挨拶をしたのがお兄ちゃんのビロード君、元気よく挨拶してくれたのが弟のブーン君らしい。
それにヒートちゃんを加えて委員長は4人兄弟らしい。
人見知りするらしいビロード君はちょっとぎこちなかったけど、どうやら概ね歓迎してくれているようだ。
お客さん自体が珍しいのか、随分と注目の的である。
気を使ってか、ヒートちゃんが色々聞いてきてくれたので打ち解けるのは早かった。
本当によく出来た子だ。
それ以外に家族の姿が見られない事や、食事の支度を委員長がやってる事を考えれば、色々聞きたい事もあるのだが、
一応は空気の読める私は、小さな子供の前ではそういった質問は避けることにする。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:49:08.83 ID:jPTt1Zb7O
-
(゚、゚トソン「さあ、出来ましたよ」
ノハ*゚听)(*><)(〃^ω^)「「「おー!」」」
食卓に並べられるおかずの数々。
ほとんど前日の晩ご飯の残りや、簡単なものしかないと言う委員長。
(゚、゚;トソン「来るなら前もって言ってくれればもう少しマシなものを用意出来ましたのに……」
ミセ*゚ー゚)リ「いやいや、十分十分。すげー美味そうじゃん」
小ネギの緑が鮮やかな玉子焼きを始め、素朴ながらも食欲を誘う色つやの良いおかずが並ぶ食卓。
すごく美味しそう。
お世辞じゃなくそう思う。
そんな私の言葉に委員長は少し困ったような引きつったような、最初の日に見たあの顔を浮かべる。
やはりそれは私の想像通り、照れているの顔なのかもしれない。
ミセ*゚∀゚)リノハ*゚听)(*><)(〃^ω^)「「「「「いただきまーす」」」」」(-、-トソン
手を合わせるのもそこそこ、早速さっきから気になってた焼き立ての玉子焼きを一切れつまむ。
玉子焼きは甘いのも醤油味のもいけるが、ネギ入りとくればやはり個人的には醤油ベースだろう。
私はふんわりとやわらかい玉子焼きを口の中に放り込む。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:52:36.13 ID:hTHqKaYMO
- 支援仕る
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:53:04.41 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚∀゚)リ「うめー」
香ばしい醤油の風味が口の中に広がり、卵の甘みと程よく混ざり合って期待通りの美味しさだ。
この玉子焼きだけでご飯2、3杯はいける。
ミセ*゚ー゚)リ「こっちも美味いなー。この黒いの何だっけ?」
(゚、゚トソン「それはひじきですよ。海産の褐藻です」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、これがひじきか。すっごい昔には食べた事あるような」
(゚、゚トソン「一般的なものですから、市販のお弁当などにもよく添えられてると思いますが」
ミセ*゚ぺ)リ「ほとんどカップ麺とかだしなー」
(゚、゚;トソン「あまり感心しない食生活ですね……」
ミセ*゚ー゚)リ「まあ、そんな事よりおかわり」
(゚、゚;トソン「もう食べたのですか?」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:57:26.29 ID:jPTt1Zb7O
-
ノハ*゚听)「私もおかわりー!」
(〃^ω^)「僕もおかわりだお!」
(;><)「モグモグ……モグモグ……ゲホッ……ぼ、僕もおかわりなんです!」
(゚、゚;トソン「3人とも、そんな慌てて食べなくていいんですよ?」
私の食べっぷりに呆れた様な顔を見せた委員長だが、ヒートちゃん達も私に負けずにおかわり連呼したので、
その顔はいつしか笑顔になっていた。
特に、普段は小食のビロード君までおかわりをしてくれたのが嬉しかったらしい。
そういえば委員長の笑顔を見たのはこれが初めてかもしれない。
ミセ*゚ー゚)リ「いやー、こんなに美味いと食が進むね。おかわり」
(゚、゚;トソン「居候、3杯目にはそっと出し、という言葉をご存知ですか?」
ノパ听)「おねーちゃん、ミセリさんはお客さんだぞー?」
(-、-;トソン「……はい、そうでしたね」
すかさずヒートちゃんにたしなめられる委員長。
ご厚意はありがたいが、流石に少しは遠慮すべきかなと思い始めてもいる。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:00:38.98 ID:jPTt1Zb7O
-
しかし、委員長がお弁当箱の中からご飯をよそったのを見て時既に遅かったのを知る。
ミセ;゚ー゚)リ「あー、その、お昼の分まで食べる気は……」
(゚、゚トソン「今更何ですか? 別に構いませんよ。お昼は購買で買えばいいですし」
ミセ;゚ー゚)リ「でも……」
(゚、゚トソン「大したことのない食事ですが、それだけ美味しそうに食べて頂ければ作った甲斐もあったというものです」
そういってこんもりとご飯の盛られた茶碗を私に突き付ける。
言葉通り、少し嬉しそうな表情の委員長だった。
委員長も自宅では結構笑顔を見せてくれるらしい。
ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ、ありがたく」
私は茶碗を恭しく受け取り、新たなおかずを求め食卓の隅々まで目を走らせる。
玉子焼きは既に全滅。
昨日の残りという味のよく染みた煮しめもあらかた食べ尽くした。
ミセ*゚ー゚)リ「お! ハンバーグ見っけ!」
ノパ听)( ><)( ^ω^)「「「!」」」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:01:39.65 ID:PbHXe6pZO
- 支援ー
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:02:15.34 ID:jPTt1Zb7O
-
これも昨日の残りだと聞いていたハンバーグが1つだけ残っている。
デミグラスソースのハンバーグに箸を伸ばすと、6つの目がハンバーグに集うのがわかった。
ミセ*゚ー゚)リ「ん? ……ひょっとして食べたかった」
( ><)(〃^ω^)「「うノパ听)「ミセリさんはお客様だから遠慮するなー」
表情を輝かせ、肯定の返事をしようとしていた2人をヒートちゃんが遮る。
ビロード君もブーン君もそんなヒートちゃんに合わせて私にハンバーグを食べるように勧めてきた。
目はしっかりハンバーグに固定されたまま。
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとね。でも、子供が遠慮しすぎちゃいけないなー」
あなたも子供でしょうにという委員著の呟きは無視し、ハンバーグをお箸で5つに切り分ける。
少々大きさが不均等になったけど、それをそれぞれのお皿に取り分けてあげる。
(〃^ω^)「おー!」
( ><)「ありがとなんです!」
ノハ*゚听)「ありがとー」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:04:06.22 ID:jPTt1Zb7O
-
(゚、゚トソン「私は別に……」
1人微妙な表情を見せた委員長だが、ヒートちゃん達が喜んでるのを見て私に礼を言ってくる。
そもそも勝手にお邪魔して人のご飯食べてる私が礼を言われるのもどうかと思うが、喜んでもらえて幸いだ。
ミセ*゚ー゚)リノハ*゚听)(*><)(〃^ω^)「「「「「ごちそうさまでした」」」」」(-、-トソン
こうして賑やかな食事は幕を閉じ、後には綺麗に平らげられて空っぽのお皿が並ぶ食卓だけになった。
ヒートちゃん達3人は、自分の使った分の食器を流し台に運ぶ。
それを委員長が洗い、3人はそれぞれ学校へ行く支度をしに部屋に戻ったようだ。
ミセ*゚ー゚)リ「偉いね、あの子達」
(゚、゚トソン「普通の事ですよ。……しかしまあ、素直な良い子達に育ってくれたとは思います」
例の引きつったような照れ顔は弟妹達が褒められて嬉しいからなのか。
これまででわかったのは、どうも委員長は親馬鹿らしい事だ。
親ではないのだろうけど。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:06:19.43 ID:jPTt1Zb7O
-
ノパ听)「それじゃあ、いってくるぞー!」
学校に行く準備を済ませたらしいヒートちゃん達が戻って来たのでそこで一旦話を切った。
委員長は3人の身嗜みを確認し、大きく頷く。
(゚、゚トソン「車に気を付けるのですよ。ヒート、2人をお願いしますね」
ノパ听)ノ「わかってるぞー。それじゃあ、いってきまーす! ミセリさん、またねー」
( ><)ノ( ^ω^)ノ「「いってきまーす」」
ミセ*゚ー゚)リノ「いってらっしゃーい&またねー」
(゚、゚トソン「いってらっしゃい」
委員長と一緒に門のところまで出て、3人が仲良く並んで登校するのを見送った。
3人の姿が見えなくなるまでずっと見送っていた委員長は、やはり少し親馬鹿なのではないかと思う。
(゚、゚トソン「さて、お茶でも淹れますか」
ミセ*゚ー゚)リ「ん? そんなのんびりしてていいの?」
再び委員長の家の台所に戻り、食卓に着く。
そう言いつつも出されたお茶は素直に受け取っているのだが。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:09:46.43 ID:jPTt1Zb7O
-
(゚、゚トソン「今日はあなたの家に寄らなくてもよさそうですしね」
制服姿の私を指差し、時間の余裕はあると言う委員長。
そう言えばそうだが、わたしは別に学校に行くつもりはなかったのだが。
(゚、゚トソン「……」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
そして訪れる沈黙。
お茶をすする音と冷蔵庫のモーターの音が台所に響く。
お互い聞きたいことは色々あると思うのだが、聞いていいのか迷っているのかもしれない。
少なくとも、私は委員長の家の事で聞きたいことがあるし、委員長も私が何故早起きしてまで来たのか聞きたいだろう。
(゚、゚トソン「うちは両親が共に忙しいのですよ」
そんな空気を察してか委員長が自分から話し出す。
恐らく私が聞きたがってると思われる事を。
(゚、゚トソン「父親は単身赴任ですし、母親は時間が不規則な仕事ですので」
もっぱら家の仕事、弟妹達の面倒を見るのは委員長の役割らしい。
昨日の用事もそういった理由のようだ。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:10:42.16 ID:hTHqKaYMO
- 支援さ
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:11:35.92 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ;゚ー゚)リ「何か朝っぱらから起こしに来てもらったりして悪かったね」
その位なら時間の余裕はあったから気にするなと言う委員長。
気を使ってくれているのだろうが、流石に負担だった事は言わなくとも察せられる。
ミセ*゚ー゚)リ「しかし、大変だね。毎日3食用意して、あの子達の面倒を見て……」
(゚、゚トソン「いえ、面倒とかそういうのではありませんよ。家族ですしね」
親馬鹿委員長は臆面もなくそう言ってのける。
本当にあの子達が、家族が大好きなのだろう。
ミセ*゚ー゚)リ「でもさ、やっぱり両親がちゃんと帰ってきて、お母さんの料理とか食べられる方がさ?」
委員長の気持ちはわかったが、多少なりとも子供らしく親に甘える事もあっても良さそうなものだ。
しかし委員長は、母親は料理が下手だと一蹴する。
ミセ;゚д゚)リ「そういう話じゃなくてさ……」
(゚、゚トソン「わかってますよ。あなたの前でこういう話をしていいのかわかりませんが……」
私の前で両親について語るのは気が引けると委員長は言うが、今更そんな事は気にしてない。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:14:33.69 ID:jPTt1Zb7O
-
(゚、゚トソン「そうですか……」
委員長は自分が両親に対して思っている事を話してくれた。
もっと暇のある仕事に転職して、家族といる時間を大切にして欲しいと思うのが本音だが、それは両親が
選んだ道だし、その稼ぎで養ってもらっている自分が言うべき話ではないと。
何とも委員長らしい真面目な意見だが、もう少し子供らしくあってもいいんじゃないかとは思う。
(゚、゚トソン「そうですね。そう思いますが……」
ミセ*゚ー゚)リ「が?」
(゚ー゚トソン「こうやってあの3人の成長を見守るのもとても楽しいのですよ」
そう言ってにっこり微笑む委員長はとてもかわいらしかった。
普段からそうやって笑えばもうちょっと付き合いやすいのにね。
そういうところは不器用なのだと思う。
しかし、本心からそう思える委員長が羨ましかったのは確かだ。
家はそんなに大きくないし、両親は共働き。
お世辞にも裕福とはいえない暮らしではあろうが、委員長はとても幸せそうに笑う。
家族と一緒に。
私には到底かなわない今を委員長は持ち合わせている。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:15:34.14 ID:nNUiWeov0
- いいよー
いいよー
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:17:01.73 ID:jPTt1Zb7O
-
(゚、゚トソン「すみません、少し配慮がありませんでしたね」
笑顔を見せながらも内心少し凹んでいた私の様子に気付いたのか、委員長がすまなさそうに言う。
私は片手を振り、気にしないで欲しいと笑って見せた。
ミセ*゚ー゚)リ「もう慣れたし、私は私で悠々自適な暮らしを送ってるからね」
いつものウソではない言い回しで私はその場を繕う。
委員長は一瞬何か言いたげな表情をして見せたが、何も言わずに立ち上がった。
(゚、゚トソン「そろそろ行きましょうか」
ミセ*゚ー゚)リ「ん? 学校? まだ早くない?」
ここから学校までなら今から出たら少し早すぎる時間に着いてしまう。
そう主張するが、委員長は1つ見落としていたからと私の傍らを指差す。
(゚、゚トソン「手ぶらで学校に行くつもりですか?」
ミセ;゚ー゚)リ「いやー、別になくてもよくね?」
当然のごとく私の申し出は却下され、今日もあの思い鞄を持つ羽目になるようだ。
・・・・
・・・
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:19:47.86 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ;゚д゚)リ「重い〜、暑い〜」
(゚、゚トソン「もう3日目ですし、いい加減慣れたのでは?」
確かに初日よりは慣れた気はするが、それでもか弱い女子高生が持つにはいささか重過ぎる鞄だと思う。
今日は体育もあるらしいので、体操服の分鞄は軽いが、体操服は体操服で別の袋で持って来ているので重量は大差ない。
昨日、一昨日と同じ様に、私たちは2人並んで学校に向かう。
今日は学校に行く気はなかったと言い出せぬままだ。
言い出せなかったのか言いたくなかったのかはわからないが。
(゚、゚トソン「やはり運動不足だと思いますよ?」
委員長は当たり障りのない話だけで、今朝の事や私が今後どうするのかと言ったような話はしてこない。
昨日の帰りに言った様に、考える時間をくれているのかもしれない。
ミセ*-へ-)リ「運動は得意な方なんだけどね」
球技とか短距離とか、そういうのは今やっても問題なくこなせる自身はあるけど、体力は落ちてるだろうな。
マラソンとかは絶対にやりたくない。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:22:22.54 ID:jPTt1Zb7O
-
委員長も運動は苦手ではないらしい。
委員長然とした外見からは想像出来ないが、あの重い鞄を軽々と持ってるところから見ても腕力はある方だろう。
家事もテキパキこなすし、そういった意味では鈍くさくもない。
ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうだ。お昼は私がおごるからね、屋上で待ってて」
(゚、゚トソン「いえ、結構ですよ」
ミセ*゚ぺ)リ「えー、なんでさー?」
委員長もお弁当分まで食べ尽くしたのだ。
お昼をおごるぐらいしても罰は当たらないと思うのだが、委員長はきっぱりと断ってくる。
招待したのは自分だからと。
ミセ*゚ー゚)リ「だとしても食べ過ぎたしさ。美味しかったしそのくらいはさせてよ」
遠慮せずとも私の懐は暖かいのだ。
そう少しおどけた調子で言ってみたが、委員長は逆に表情を曇らせた。
(゚、゚トソン「そのお金はあなたのためにお亡くなりになったご両親が残してくださったものなのでしょう?」
委員長はいつだって真面目に私の事を考えて話してくれる。
ちょっと固すぎ、真面目すぎだけど、それでも相手の事を考えての事だというのはよくわかる。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:25:04.53 ID:hTHqKaYMO
- 全力で支援いたす
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:25:22.01 ID:jPTt1Zb7O
-
でも、私は……
ミセ*゚ー゚)リ「……違うよ」
(゚、゚;トソン「え?」
立ち止まり、声のトーンを落として答える。
それを聞いた委員長も足を止め、私の顔をまじまじと見詰める。
ミセ*゚ー゚)リ「両親が残してくれたのは借金が少し」
(゚、゚;トソン「え……では……」
ミセ*゚ー゚)リ「それを返したのは私、稼いだのもね。厳密には、実際に働いたのはお兄ちゃんなんだけど」
(゚、゚;トソン「それはどういう……」
ミセ*゚ー゚)リ「聞きたい?」
頷く委員長。
視線は私の目に固定されたままだ。
ミセ*゚ー゚)リb「だったら昼休み、屋上でね」
委員長はもう1度、深く頷いた。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:28:12.56 ID:jPTt1Zb7O
- ・・・・
・・・
ミセ*゚ー゚)リ「お待たせー」
(゚、゚トソン「ご苦労様です」
昨日と同じく青空が広がる真昼の屋上。
少し風があるお陰で、汗ばむほどではない。
午前中の退屈な授業が終わるとすぐ、私は購買へ向かいパンを買って来た。
委員長は一足早く屋上で私を待っていた。
ペニサス達にはあらかじめ2人だけにしてくれるように言ってある。
詳しくは話していないので、変な誤解だけはしないで欲しいものだ。
ミセ*゚ー゚)リ「えーっと……どこにしようか……あ、委員長、こっち!」
構内から屋上に出る階段の屋根ともで言うべき部分。
その上に登り、腰を下ろす。
ヽミセ*>ー<)リノ「うーん、やっぱり高いところは気持ちがいいねー」
(゚、゚トソン「やはり高いところが好きなんですね」
ミセ;゚ー゚)リ「やはりって?」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:31:39.31 ID:jPTt1Zb7O
-
私は持っていた紙袋の中からパンを取り出し、委員長に渡す。
好き嫌いはないという事だったので、私の趣味で適当に選んで来た。
(゚、゚;トソン「多すぎませんか?」
ミセ*゚ー゚)リ「このくらいは入るでしょ? はい、飲み物もね」
紙パックのお茶といちご牛乳を差し出すと、委員長は少しためらった後、お茶を選んだ。
大方、飲み物まで受け取っていいのか迷いでもしたのだろうが、毒を食らわば皿までと割り切って欲しいところだ。
毒じゃないけども。
ミセ*゚ー゚)リ「さて、食べよう」
(-、-トソン「いただきます」
例によって礼儀正しくきちんと手を合わせる委員長。
私もそれに倣い、パチンと手を合わせる。
今日も美味しいご飯を食べられる事に感謝。
ミセ*゚ー゚)リ「やっぱサンドイッチはハムチーズが最高」
(゚、゚トソン「私は卵ですね」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:34:30.07 ID:jPTt1Zb7O
-
食べ始めてしばらくは、割とどうでもいいような食べ物の話ばかりだった。
こちらが話し出すのを待ってくれているのか、委員長からは話を振って来ない。
話すつもりで呼んだのだから、今更勿体つける意味もないので頃合を見て本題を切り出した。
ミセ*゚ー゚)リ「私のお父さんは、会社の社長さんだった」
だから、元々はお金持ちだったと私は委員長に説明する。
しかしある時、事業の失敗やら社内紛争やら、当時はよくわからなかったからあまり覚えていないのだが、とにかく
色々まずい事が重なって経営が傾き、会社は他人の手に渡ったらしい。
ミセ*゚ー゚)リ「んで、残ったのは借金と、あのお家」
当然借金を返せないとあの家は差し押さえられるわけだから、事実上は借金しか残ってなかったわけだ。
でも、それは間違いだ。
ミセ*-ー-)リ「借金だけじゃなく、家族も残ってたのにね。何であんな短絡的なことを考えたんだか……」
(゚、゚トソン「……」
私の言葉に委員長が息を飲んだのがわかった。
私が言おうとしている事に気付いたのならやはり勘が良いと言わざるを得ない。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:37:15.72 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚ー゚)リ「……未遂だったけどね」
小説やドラマの中なんかではよくある話。
自分に多額の生命保険をかけて、というやつだ。
自殺でも保険が下りるのかよくわからないけど、とにかくそういうことらしかった。
(゚、゚トソン「未遂……?」
ミセ*゚ー゚)リ「そ、失敗」
(゚、゚トソン「では、そのご両親は……」
ミセ*-ー-)リ「交通事故」
よりによって覚悟を決めたその日に2人を乗せた車は事故にあった。
どうして自殺云々の話がわかったかは、車に積んであった練炭やらガムテープから警察の人がそう判断したらしい。
ひょっとしたら私達も含めて心中の線も有り得たかもしれないとの話だったけど、本当の所はわからない。
もしそうだったのなら、私は運が良かったと言うべきなのかもしれない。
でも、あのお母さんが私達をも巻き込むような選択をするとは思えなかった。
しどろもどろになりながら、神様の話をするお母さんの顔を思い浮かべると。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:40:14.47 ID:jPTt1Zb7O
-
あの日も本当はお父さんを止めようとしていたのかもしれない。
私はそう思う。
そう思いたいだけなのかもしれないが。
ミセ*゚ー゚)リ「それでまあ、無事保険金も下り、それを借金に当てたわけだけどちょーっと足りなかったのよね」
私は自嘲気味に言う。
初めて他人に向かって話す事だけど、不思議と感情は平坦なままだった。
ちゃんと割り切れているらしい。
あの時に泣くだけ泣いたのだ。
ミセ*゚ー゚)リ「残された手段は、あの家を売るくらいだったんだけど……」
お兄ちゃんからその話を聞かされた時はまた泣いたと思う。
大切な家族を亡くし、その想い出の詰まった家まで失う。
まだ子供だった私には到底耐えられなかった。
まあ、今でも子供なんだけど。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:43:10.51 ID:jPTt1Zb7O
-
(゚、゚トソン「しかし、今でもあの家に住んでますよね?」
そんな茶々を入れることもなく、真面目な顔で委員長は聞いてくる。
私は手元の袋を漁り、パンを1つ取り出す。
ミセ*゚ー゚)リ「うん、借金返したからね」
(゚、゚トソン「どうやってですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「それは……」
私はパンの包みを開け、中からパンを取り出して齧り付く。
チーズフランスは私の好きなパンの1つだ。
委員長もそれに倣ったわけでもないだろうが、同じくパンの包みを開けて食べ始める。
ミセ*゚〜゚)リ「私が──ムグ──様に──モグ──」
(゚、゚;トソン「話すのは飲み込んでしまってからでいいですから」
ミセ*゚〜゚)リ「ゴクン──失礼。私が神様にお願いしたから、かな?」
(゚、゚トソン「かみさま……?」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:43:24.92 ID:6KYDvMnaO
- 支援
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:45:06.60 ID:MVe7/+k9O
- 支援
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:46:24.26 ID:jPTt1Zb7O
-
きょとんとした顔で問い返す委員長。
流石に唐突過ぎたか、それが何を指しているのか全くわからないらしい。
ミセ*゚ー゚)リ「そ、神様だよ。私のね」
私はストローを加え、いちご牛乳を口に含む。
甘すぎるぐらい甘ったるい、人工的ないちごの味が口の中に広がる。
委員長はしばし顎に手を当て、何かを考えている風だったが、やがて何かに気付いたのかおずおずと口を開く。
(゚、゚トソン「それはあの、サイダーの……?」
ミセ*゚ー゚)リb「正解」
左手の人差し指を立て、委員長の方に軽く振る。
委員長は尚も難しい表情を浮かべているが、それも当然だろう。
答えたようで、本質的には答えていない。
むしろ、委員長の中で謎が増えたのかもしれない。
それとも、既に私がおかしくなったとでも判断してしまっているだろうか?
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:48:14.33 ID:MVe7/+k9O
- 支援
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:49:35.69 ID:jPTt1Zb7O
-
私がおかしいかおかしくないかの判断は委員長に任せて、私は私の話を続ける。
単なる事実の羅列。
どの様にして今に至ったかを。
ミセ*゚ー゚)リ「お兄ちゃんと私は、ちょっと歳が離れてるんだ」
唐突に先程までとは違う話を切り出す。
何の脈絡もないように見えるが、これも一連の流れの説明には必要な事なのだ。
委員長はその辺を理解してくれているのか、何も言わずに私の話に耳を傾けてくれる。
私がまだ小学生だったあの頃、お兄ちゃんはもう大学生だった。
兄妹仲は良いとか悪いとか以前に、お兄ちゃんは大学へ通う為に一人暮らしをしていたので、そんなに話す事もなかった。
突然の両親の死にいったん自宅へ戻りはしたお兄ちゃんだが、事後処理には随分頭を悩ませた事だろう。
成人していたとは言ってもまだ学生だ。
私の知らぬ苦労を背負わされていたと思う。
すごく疲れた顔をしながらも、心配するなと頭を撫でてくれたあの手の大きさは覚えている。
とても大きく、暖かい手だった。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:50:22.41 ID:nNUiWeov0
- 支援
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:51:24.42 ID:R7TtTcbuO
- 支援
あなたが書くブーンはやはりかわいい
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:51:34.17 ID:MVe7/+k9O
- 支援
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:51:55.27 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚ー゚)リ「社交的で頭も良かったお兄ちゃんだけど、ちょっと変わった趣味があったんだ」
(゚、゚トソン「趣味ですか? それは……聞いてもよろしいので?」
ミセ;゚ー゚)リ「変わったといっても、人に話せないような変なという意味ではないからね?」
神妙な顔で聞き返して来る委員長に、私は若干の訂正を入れる。
ミセ*゚ー゚)リ「株取引、いわゆるデイトレードってやつ?」
経済学部だったお兄ちゃんは、学校の先輩に勧められそういったものも勉強していたらしい。
あんまりそういうの仕組みとか知らないから詳しくはわからないけど、お兄ちゃんはその当時から将来そういう仕事に
就きたいとは考えていたようだ。
(゚、゚トソン「なるほど、つまりそれでお兄様ががんばって借金を返されたと」
さすがに察しがいい委員長。
まあ、ここまで話せばそういう結論に達するのは当然かもしれない。
しかし……
(゚、゚トソン「それとあなたがどう関係してくるのですか?」
あなたと、その神様がと委員長は言う。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:54:05.49 ID:jPTt1Zb7O
-
流石にその件と一介の高校生、当時は小学生の私を結びつけるのは難しいのか、それとも答えの推測は出来ているけど
認め難いのかはわからないが、委員長は私をじっと見詰め、答えを待っている。
私はストローをくわえ、残りのいちご牛乳を飲み干し、喉を潤した。
話す事はもうあと少しだけだ。
ミセ*゚ー゚)リ「神様がね、流れを教えてくれるの」
(゚、゚トソン「ながれ?」
流れと空中に文字を書いて見せ、言葉を続ける。
ミセ*-ー-)リ「空気の流れ、空の流れ、場の流れ、色んなものの流れが見えるんだ」
コップの中のサイダー越しに、神様の中を通して。
私の目に映る流れ。
ミセ*゚ー゚)リ「そんな役立つ様なものでもなかったんだけどね」
いつからだろう。
お母さん達が亡くなって、悲しくて、泣きながら飲んだサイダーに、言葉では説明出来ない何かが見えた。
それが空気の流れだと気付いたのはだいぶ後だったけど、突然今日は雨が降るんだとかいうのは何となくわかってしまった。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:56:21.98 ID:MVe7/+k9O
- 支援
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:57:18.37 ID:jPTt1Zb7O
-
ミセ*゚ー゚)リ「そんなのわかったって、何もならないしね」
(゚、゚トソン「洗濯物は助かりましたよ」
ミセ*-ー-)リ「それは良かった」
委員長の言葉に、私は軽く笑ってみせる。
気を使ってくれているのだろうけど、その辺は私がよくわかっているのだから気にしないで欲しいものだ。
ミセ*゚ー゚)リ「で、まあ、そんな時に見ちゃったんだよね、あるものの流れを」
サイダー越しに広がるブルーバックの画面。
見ようとして見たわけじゃない。
たまたま、隣で作業をしていたお兄ちゃんの手元を見るとはなく見ていたのだ。
そして浮かぶ聞いたこともない名前。
お兄ちゃんは私の口から漏れた言葉を耳聡く聞き、興味があるのかと、笑っていた。
ミセ*゚ー゚)リ「でも次の日、お兄ちゃんが顔色を変えて私に詰め寄ってきたっけな」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 23:58:18.50 ID:MVe7/+k9O
- 支援
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:00:07.69 ID:aBcqPB2LO
-
お兄ちゃんは私が挙げた名前を覚えていたらしい。
小学生の口から挙がるには珍しい名前だったからかもしれない。
私の事を気に掛けてくれてたからかもしれない。
そして次の日見た結果に驚き、私に聞いてきた。
どういう基準であの名前を挙げたのかと。
ミセ*゚ー゚)リ「お兄ちゃんの言ってる意味がよくわからなかった私は、そのまま話したんだ」
お母さんの事、神様のこと、天気の事、そして昨日の事。
お兄ちゃんは何かを考える様な顔で私の顔をじっと見詰め、やがてこう言った。
ミセ*゚ー゚)リ「もう1度やってみてくれないか、と」
そこから先はもう話さなくてもわかるだろう。
私には流れが見えたのだから。
お兄ちゃんはどんどん取引を成功させ、お金を稼いでいった。
やがて敏腕学生とレーダーとして有名になり、大学を卒業後もその活躍は続く。
ミセ*-ー-)リ「その結果、晴れて借金は完済。それどころか一躍大金持ちになりましたとさ」
(゚、゚トソン「……」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:01:11.41 ID:aBcqPB2LO
-
ミセ*゚ー゚)リ「これで私の話はおしまい」
私は両手を広げ、肩をすくめて見せる。
なんとも荒唐無稽なお話に聞こえるけれど、これが私の身に起こった事実の全てだ。
初めて他人に話す事だし、多少話が整理されてないのは勘弁して欲しい所だ。
ミセ*゚ー゚)リ「何か聞きたいことある?」
(゚、゚トソン「それは今も?」
ミセ*゚ー゚)リ「株? たまにね。そんなに働かなくてもよくなったからね」
お兄ちゃんは今、自分で取引をするのではなく、コンサルタント的な仕事をしているらしい。
実績もあるし、流行ってるみたいだがよく知らない。
自分で稼げるのに何でそんな回りくどい事をしているのか疑問だったけど、多分他人にちやほやされたいんだと思う。
人に尊敬され、感謝される事に優越感を抱いてる節がある。
まあ、私には関係のないことだ。
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:01:24.17 ID:qabbdgqSO
- しえんー
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:03:19.93 ID:fyEacA0qO
- 支援
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:03:26.80 ID:aBcqPB2LO
-
(゚、゚トソン「そうですか」
ミセ*゚ー゚)リ「軽蔑した?」
(゚、゚トソン「何をですか?」
私の質問に眉1つ動かさず答える委員長。
私は視線をそらし、呟くように言う。
ミセ*゚、゚)リ「だって、ズルしてお金儲けしてるんだよ?」
(゚、゚トソン「ズル……ですか……。それはどうなのでしょうね」
ミセ*゚、゚)リ「え?」
自分は神様等という曖昧な存在は信じていないので不快に思われるかもしれませんが、という前置きを述べ、
委員長は言葉を続ける。
(゚、゚トソン「あなたが言う神様の教えは、多分科学的には立証できないでしょうね」
ミセ*゚−゚)リ「うん、そうだろね」
(゚、゚トソン「ともすれば勘違い、錯覚、悪ければ狂ったとしか思われないでしょうね」
ミセ*゚−゚)リ「……」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:05:14.61 ID:aBcqPB2LO
-
私は無言で頷く。
委員長は、変わらぬ調子で言葉を続ける。
(゚、゚トソン「であれば、それがズルだという立証も出来ないわけですよ」
証拠もなく。根拠もない。
私以外が試しても、それが見えることはなかった。
お兄ちゃんも自分でやってみたらしいが何も見えなかったという。
(゚、゚トソン「とするとそれはやっぱりズルではない」
ミセ*゚−゚)リ「じゃあ、何かな?」
(゚、゚トソン「あなたが最初、私に言ったように勘というのが一番正しいのではないでしょうかね?」
ミセ;゚ー゚)リ「勘……?」
委員長の言い分はわかるし、私も色々考えはしたが、散々私が神様だとか何とか言ってるのを勘の一言で片付けられると
複雑ではある。
その概念は理解出来ると委員長は言うが、実在するとは到底思えないとのことだ。
(゚、゚トソン「だから別に問題はないでしょう。法に触れているわけでもなく」
ミセ;゚ー゚)リ「でも……」
(゚、゚トソン「でも、それでもあなたがズルだと思うのなら」
ミセ*゚−゚)リ「……」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:09:06.53 ID:aBcqPB2LO
-
(-、-トソン「それはあなたがそう思うから、あなたがそれを嫌がっているからではないのですか?」
ミセ*゚−゚)リ「……嫌がって」
ジジジと言う低い音と振動がし、少しの間をおいて安物のスピーカーから予鈴が聞こえて来た。
昼休みはもうおしまい。
話もここでおしまいだ。
ミセ*゚−゚)リ「私は……」
私は立ち上がれない。
委員長も立ち上がらない。
教室に向かわなければ、もうすぐ授業が始まってしまう。
引きこもりの私が授業に出ないのは構わないけど、委員長が授業に出ないのは良くないんじゃないかと思う。
(゚、゚トソン
でも、委員長は立ち上がらない。
ミセ*゚−゚)リ
どうして委員長は立ち上がらないのか、私にはわからなかった。
〜 後編@ 終わり 〜
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:13:12.11 ID:R5D0PZi30
- `・+。*・ (´・ω・`)
。*゚ 。☆―⊂、 つ
。*゚ : ヽ ⊃
`+。**゚**゚ ∪~
- 64 名前: ◆xJGXGruetE :2009/11/22(日) 00:19:04.70 ID:aBcqPB2LO
-
ここでひとまず終了です。
電話だとこれ以上長いと面倒なので、続きはまた明日、多分。
書き終わってはいるので、何事も無ければ投下できるかと。
支援等ありがとうございました。
スレはまた立て直すので気にしないでください。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:19:27.60 ID:tWjD73WxO
- 乙でした!続き待ってます
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:20:16.22 ID:fyEacA0qO
- 乙です。毎回楽しませていただいてます
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:24:56.42 ID:jD4mpqzFO
- 乙!
次も待ってるよー
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:46:08.13 ID:oRVYu/LP0
- otu
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/22(日) 00:51:53.35 ID:UN1kBjX/O
- 乙です
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