初夏の、抜けるように青い空は、どこまでも高く澄み渡っていて、
川д川……。
日差しは優しく、小鳥達が喉をふるわせて喜びの歌を歌い交わす。
キョロキョロ川д 三 д川 ……。
微かな冷気とともに爽やかに吹き抜けていく風は、昨夜までの長雨の気配を色濃く残し、
川; д川……ぅぅ……。
……そして、私は、道に迷っていた。
川; д川(お、おかしいなぁ……住所はこの辺りであってるはずなのに……)
さっきから何度も見返している、その広告の隅の小さな地図は、
間違いなくこの付近一帯の案内図のはずなのだが、辺りにはそれらしき看板のようなものも見つからない。
スタスタ(,,゚Д゚)……
川д ;川 ……ぁっ……
……あっ、……ぁのぅ……川; д川
スタスタ(,,゚Д゚)……
川; д川……。
川; д川……ぅぅ……。
人見知りの激しい性格なので、時々通りがかる人に、まともに道を尋ねることも出来ない。
19歳にもなって、地図を頼りに一人で目的地にたどり着くことも出来ないのだ。
雰囲気的に『日差しは優しく』などといってはみたけれども、実際はじりじりと照りつける日光が容赦なく肌を刺し、
夜行性を自称する私には、この暑さはほとんど拷問に近く感じられる。
昨夜一晩かかって選んだそのよそいきのブラウスの、襟元をつまんでパタパタと扇いでみても、
一向に涼しくならないどころかかえって暑さが増すばかりだ。
たたでさえ鬱陶しい伸び放題の前髪が、汗でぴたりとおでこに張り付いて、とても気持ちが悪かった。
川д川(……やっぱり……)
駄目なんだなぁ、と、思った。
どこにも行き場所のないような生徒が集まる、そういう種類の公立高校をこの春卒業して、もう数ヶ月。
進学も就職もままならないまま、ただずるずると、一日一日をやり過ごすだけの日々。
はじめは口喧しく小言を並べていた両親も、近頃はついに諦めたらしく、最近は顔をあわせても、鬱陶しげに溜め息をつかれるだけだ。
川д川(……帰って、お風呂入って、寝よう……)
体力的な面もそうだが、この体たらくをまえにまず、心が萎えた。
子供のころから何をやらせてもどんくさくて、普通の人が当たり前に出来ることが私にはとても難しい。
そんな自分に心底嫌気がさして、アルバイトでも始めてみれば何かが変わるかもしれないと思ったけれど、
結局現実はこの有様で、バイトどころか面接を受けることすら人並みにこなすことが出来ない。
死ぬほどイヤだった高校三年間、教師達から言われ続けた『クズ』という言葉が頭の中で何度も響く。
川д川(……はやく、帰ろう……)
情けなさに涙しそうになりながら、もしかしたら私が迷っているのは道などではなくて、
人生まるごとなのではないかと、ふと、思った。
仕方が無いじゃないか。だって、私はクズだから……。
そんなことを考えながら何気なく視線を上に向けた次の瞬間──
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ヒュー
ξ゚听)ξ
Σ川д ;川 っ!?
──空から、人が、降ってきた。
スタξ゚听)ξ
川; д川ぴゃっ!?
驚いて反射的に飛び退った拍子に、足がもつれてその場に尻餅をついてしまった。
変な声が、出た。
ξ゚听)ξ……。
川; д川……。
目の前に軽やかに降り立ったその女性は、金色のふわりとしたツインテールに、肌が雪のように白い。
薄ピンク色のチュニックに黒のクロップドレングスがよく似合っていて、羨ましくなるほど顔が小さくて、手足がスラリと長かった。
ξ゚听)ξ……。
川; д川……?
情けない格好でぺたりと路上に座り込む私を、相手が、面白くもなさそうに一瞥する。
まじまじと見詰め合ったままの格好で、少しの間、奇妙な沈黙が流れた。
本当にその時は、空から天使が降りてきたみたいだと、思った。
ξ゚听)ξ……パンツ、丸見えだけど。
Σ川; д川あっ!!
尻餅をついたままの姿勢で大胆にM字開脚を披露する私に、天使が、冷めた声音でそう言った。
あわてて両膝を閉じる。
ξ゚听)ξ立てる?
川; д川あっ……はい、すいません……。
差し出されたその細腕にひっぱられて、ようやく立ち上がる。
握り返した天使の手のひらは小さくて、でも、とても暖かかった。
川; д川……。
ξ゚听)ξ……あれ? そのチラシ、
川; д川……えっ?
ξ゚听)ξああ、お客様ね。どうぞ。
無表情なまま天使がクルリと振り返って歩き出し、私は呆気にとられてその後姿を見送った。
川; д川……。
ξ゚听)ξ……なにしてんの、こっちだって。
Σ川; д川あっ、えっ!?
ξ゚听)ξ壁殴り代行でしょう? 事務所そこだから、ついてらっしゃい。
川; д川……。
ξ゚听)ξ……ラッシャーイ。
そのままスタスタと、目の前のこじんまりとしたビルのなかに入っていく天使。
Σハッ川; д川!!
我に返った私も、慌てて後を追った。
どうしてかその時は、考えるより先に体が動いたのだ。
真夏のアスファルトにふわりと舞い降りた、金色の髪の、天使。
その不思議な出会いが、私にとって、吉事だったのか凶事だったのか。
今をもってしても、謎のままなのだ。
ξ゚听)ξエクストリーム壁殴り代行始めました
.
ξ゚听)ξちょっと待っててね。今、お茶入れるから。
川д川あ、す、すいません……。
天使に導かれるままたどり着いたその事務所は小さな雑居ビルの二階にあって、
看板も何も出ていないうえに、入り口に山積みの古新聞や店屋物の器などがそのままになっている有様で、
外目にはとてもいかがわしく映る。
私一人であればすぐにでも回れ右して帰っていたところだろうけれど、金色の髪をしたそのクールな天使の案内だと思うと
どうしてか、不思議に安心できた。
キョロキョロ川д 三 д川 ……。
ξ゚听)ξはい、粗茶ですが。
柏; д川!? あ、ありがとうございますっ。
不安七割、物珍しさ三割くらいのミックスブレンドでキョロキョロと部屋の中を見回していると、
いつのまにか手際よく仕度を整えた天使が、氷を浮かべた涼しげな色のお茶をそっと、目の前の飴色のテーブルに置いてくれた。
氷がグラスとぶつかり合い、からんと音を立てて揺れる。
川д川(……おいしい、なぁ……)
薦められるままに口をつけたお茶は冷たくて、火照った体に美味しかった。
ξ゚听)ξさっきはごめんね、脅かしちゃって。飛び降りたほうが、早いのよ。
そう言って天使が人差し指を立てて、背後の壁を指し示した。
その先にはステンレス製の黒いドアが有って、意味はよく分からなかったけれど、曖昧にうなづいておいた。
ξ゚听)ξえーっと、それで貴方、初めてのお客様よね?
川д川あっ、ち、違うんです、私……その、ぁ、アルバイトを……。
ξ゚听)ξん、バイト?
川д川は、はい! スタッフ募集って広告を見て、それで、その……。
ξ゚听)ξあー……今、所長いないんだけど。約束してた?
川; д川えっ、やっ、あのぅ……してない、です……。
ξ゚听)ξえ、飛び込みなの?
川; д川あっ、は、はいっ!
ξ゚听)ξ……普通、電話なり何なりで連絡してから来るよね、常識的に考えて。
川; д川ぁ……ご、ごめんなさぃ……。
呆れたような顔でそう言われて私は、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしかった。
ああ、確かにそうだった。昨日の夜は面接にどの服を着ていこうか一生懸命考えて、緊張して寝られないほどだったけど、
そんなことをする前に、まず電話して、さきに連絡するべきだったんだ。
いつもそうだな、私って。やることなすこと間が抜けていて、それで、それで……
ξ゚听)ξ……ま、いいや。それで、いつから働けるの?
川; д川……ふえっ?
咄嗟に理解が出来なくて、思わず間抜けな声が出てしまった。
ξ゚听)ξふえっ、じゃなくてさ。今日からすぐに働けるの?
川; д川は、はい! あれ、でも、あの、履歴書とか……?
ξ゚听)ξあー……それもそうね。じゃ、履歴書見せて。
川; д川あっ、はい、これです……。
ξ゚听)ξふむふむ、山村貞子ちゃん……19歳、か。はい、採用。
川; д川えっ?
ξ゚听)ξ採用。イエーイ。
川; д川あ、はい……あれ、えっ?
ξ゚听)ξそれじゃ、一息入れたら仕事、行こうか。
川; д川えっ?
ξ゚听)ξ仕事。
一言そういって、お茶に口をつける天使。
呆気にとられる私の目の前で、グラスの氷がまた、からんと音を立てた。
川; д川……。
ξ゚听)ξ……。
そして数分後、私は、よく分からないままに天使の運転する車の助手席に座っていた。
どこにいくのか、なにをするのかさえ、まったく理解していない。
ただ、真新しい領収書の束を渡されただけだった。
ξ゚听)ξ……ところでさ、何カップ?
川; д川……えっ?
ξ゚听)ξいや、おっぱい。何カップかなって思って。
川; д川……Fです、けど……。
ξ゚听)ξ……F、か。
川; д川……。
ξ゚听)ξ……やっぱ大豆? イソフラボンってやつ?
川; д川えっ、わっ、わかりません……。
ξ゚听)ξふうむ……。
川; д川……。
何かすごく、気まずい。
ξ゚听)ξついたわねー。
川д川あ、ここが……。
車に揺られること十数分、たどり着いたのは、こじんまりとしてお洒落なアパートハウスだった。
ξ゚听)ξなんかさ、あれだよね。
川д川 ?
ξ゚听)ξデリヘルみたいだよね、女二人で個人宅訪問って。
川; д川えっ!?
相変わらずの無表情で、さらっと凄まじいことを口にする天使。
あれっ……てん、し……?
ξ--)ξさって、ふぅー……。
川; д川 ?
ニコリξ^ー^)ξ
川゚д゚川
一呼吸おいて次の瞬間、それまでまったくの無愛想だった天使がいきなり、
グラビアアイドルも真っ青のダイナマイトな笑顔になった。
その一瞬の表情の変化に、度肝を抜かれて思わず、マジマジと見つめてしまう。
ξ^ー^)ξ業務用笑顔。
驚きのあまりに言葉が出ない私に、天使がそう言った。
同性の私ですらドキリとしてしまうようなパーフェクトスマイルで、
気のせいか、声までオクターブ高くなり、明るく弾んでいるように聞こえる。
ξ^ー^)ξさっ、いくわよ。
川; д川ぁっ、はっ、はぃ。
ξ^ー^)ξピンポーン♪
<…ドナタカ?
ξ^ー^)ξ毎度ありがとうございます。壁殴り代行サービスでーす。
<ム、イマアケルデゴザルヨ…
川д川(……ござる?)
ドアの向こう側でドタドタと人の足音がして、そして
ガタリ
( ´;゚;ё;゚;)ドゥフフフwwいつもかたじけないでござるなツン氏! ドゥフフフwww
ξ^ー^)ξ……コンニチワ。
川;゚д川……。
お侍様が、出てきた。
( ´;゚;ё;゚;)さささっ! どうぞ中へ入ってくだされ、ドゥフフフww
ξ^ー^)ξ……失礼しまーす。
川; д川うっ……。
2LDKのそのアパートの部屋に一歩足を踏み入れるなり思わず、呻き声がもれてしまった。
まず、結構な大きさのショーケースにずらりと並ぶフィギュアの数々。
そのほとんどが、体操服や水着で着飾った、いわゆる美少女ものだ。
本棚にはずらりと並ぶコミック本。
読んだことのあるタイトルがひとつも見当たらない、というか出版社すら分からない。
川; д川……。
天井には、幼い女の子が媚微笑む、アニメ調のポスター。
たくし上げたワンピースの裾とワカメちゃんばりの見せパン、ほのかに香る犯罪臭。
そして極めつけは、部屋の隅にうずたかく詰まれたゲームらしきパッケージの数々だ。
背表紙に踊る放送禁止用語、十八禁マーク、あられもない姿の女の子たちのイラスト……。
( ´;゚;ё;゚;)こちら、新しい代行師の方でござるな?
柏; д川あっ、はい、え、えっと、
あまりのアブノーマルっぷりな部屋の様子に呆気にとられていると、お侍様がにこやかに笑いながら話しかけてきた。
ξ^ー^)ξアルバイトの子なんです。ほら、貞子ちゃん、ご挨拶して。
川; д川はっ、やっ、山村貞子ですぅ……。
( ´;゚;ё;゚;)おお、おお! 山村氏でござるか! 拙者、佐倉キモキオでござるドゥフフフwwwww
川; д川よっ、よろしくおねがいますぅ……。
ξ^ー^)ξそれで、本日はどうしましょう?
( ´;゚;ё;゚;)おお! さようでござった! まったく、聞いて欲しいでござるよ、ツン氏!
ξ^ー^)ξハイ。
そういう風にして、お侍様の、大演説が始まった。
( ´;゚;ё;゚;)拙者、昨日、かねてから予約してあったリライト2を、
あっ、リライト2というのはあのKeyの神作リライトの続編で、竜騎士07神の、
ξ^ー^)ξ予約が、どうしたんですか?
( ´;゚;ё;゚;)あ、すまんでござるなドゥフフwwwww拙者すぐ話が横道にそれる性質でしてからにドゥフフwww
ξ^ー^)ξハイ。
( ´;゚;ё;゚;)それで、予約したソフトを受け取りに虎の穴に行ったんでござるがな、
それはもう、お分かりでござろうが期待に夢が広がリングうはーwwwwwwwwという具合でドゥフフフwwwコポオwww
ξ^ー^)ξハイ、それで?
( ´;゚;ё;゚;)ところが、聞いて欲しいでござるよツン氏!! その虎の穴のレジの店員がもう信じられないDQNでござってな!!
嫌な予感はしてたでござるよ! 日本男児の癖にピアスなんぞ穿けおってからにっ!! ブフォッ!! けしからん!
ξ^ー^)ξそうですね、それで?
( ´;゚;ё;゚;)それで、拙者が品物を受け取って帰ろうとしたところでな、彼奴めがひとこと満面の笑みでこう言ったんでござるよ!!
ξ^ー^)ξなんて、言われたんですか?
( ´;゚;ё;゚;)『どのルートでも、主人公がアナルに爆竹つめられて爆死エンドですよ』
ξ^ー^)ξ……へー。
( ´;゚;ё;゚;)信じられんでござるよ!!ネタバレでござるよ!!店員がネタバレしたでござるよ!!ありえないでござる!!
拙者これ楽しみにしてたでござるのに! 仕事で中々都合つかずに、今週末の楽しみにとって置いたのに!
台無しでござるよ!!!
ξ^ー^)ξ……へー。
( ´;゚;ё;゚;)シンジラレナーイ!!
ξ^ー^)ξイラッ
( ´;゚;ё;゚;)お分かりでござろう!? ツン氏ならお分かりでござろう! でも拙者我慢したでござるよ!
思わずシャイニング拙者フィンガーを叩き込むところでござったが、我慢して店長をよんだでござるよ!
ξ^ー^)ξハイ。
( ´;゚;ё;゚;)それで言ったでござる! 拙者言ってやったでござる!
怒鳴り散らしてやりたいところであったが、拙者武士でござるからな! あくまで紳士的に言ったでござる!
『その方の店のものに今まさにネタバレされたでござるが、これ如何に?』
ξ^ー^)ξハイ。
( ´;゚;ё;゚;)そうしたら店長言ったでござるよ! 嫌な予感はしてたでござるよ!
大和撫子が髪なんぞ染めておるから嫌な予感はしてたでござるよ! あっ、ツン氏は別でござるよ?
ツン氏はマジ天使でござるからなドゥフフフwwwツン氏マジ天使wwwwコポオwwww
拙者、女子は黒髪のストレートが好みでござるが、ツン氏は別でござるからなドゥフフフwww
ξ^ー^)ξはあ、それで、なんて、言われたんですか?
( ´;゚;ё;゚;)『いいじゃないですか、減るもんじゃなし』
ξ^ー^)ξ……へー。
( ´;゚;ё;゚;)シンジラレナーイ!! パートツー!(パートツー!)
ξ^ー^)ξイラッ
( ´;゚;ё;゚;)減るっちゅうねん!! メチャメチャ減るっちゅうねん!!
DQN店員のおかげで拙者のトキメキが百二十割減でござるのに! san値大減少で拙者超発狂でござるのに!!!
ξ^ー^)ξそうですか。
( ´;゚;ё;゚;)ゴゥトゥウッヘエエエエッル!!(白目
ξ^ー^)ξイラッ
( ´;゚;ё;゚;)もう拙者悔しくて悔しくて!! 昨日一晩寝られないほどでござったよ!!
あ、まあ、徹夜でCG回収に勤しんでいたことも原因の一端ではござるがwwwドゥフフフwwwwwww
ξ^ー^)ξ……。
( ´;゚;ё;゚;)それにしてもまったく、けしからんでござるなぁ! けしからんでござるよ! ツン氏もそう思うでござろう!?
ξ^ー^)ξ……ハイ。
( ´;゚;ё;゚;)ドゥフフフwwwwwツン氏なら分かってくれると、拙者信じていたでござるよwww
やはりツン氏マジ天使wwwwwwwwwwwwツン氏マジ天使wwwwwフォヌカポオwwwwwww
ξ^ー^)ξ……。
川; д川……。
陸揚げされた蟹のように、唇の端にぶくぶくと泡を浮かべながら、お侍様が一息にそうまくし立てた。
とりあえず、なにやら怒っているというのはなんとなく理解できたのだが、
同じ日本語をしゃべっているのかと疑問に思うほど、出てくる単語の一つ一つがまるで分からない。
( ´;゚;ё;゚;)まあ、そういうわけで、一晩たってもどうにも腹の虫が据えかねるゆえ、本日わざわざご足労頂いたわけでござるよ!
ξ^ー^)ξ……ハイ。
たいして聞き役に回っていた天使は、笑顔のまま、ときどき会話に相槌を打っていた。
気のせいか、たまにこめかみがピクピクしていたような気もする。
ξ^ー^)ξ……ふぅ。
天使が、一度ため息をついて、そして言った。
ξ^ー^)ξ……悪いんだけど貞子ちゃん、やっぱり外で待っててもらえる?
川; д川えっ?
ξ^ー^)ξごめんね、一回見といてもらったほうが良いと思ったんだけど、やっぱ無理だわ。
ちょっと一旦席はずしてもらえるかしら?
川; д川あっ、はい。でも……。
ξ^ー^)ξああ、すぐ済むから、ごめんね。
そのまま背中を押されるようにして、部屋の外に連れ出されてしまった。
ξ^ー^)ξ終わったら、呼ぶからね。
川; д川あっ……ハイ……。
目の前で音をたてて閉じられたドアを見つめながら、混乱した頭の中では、
なにかミスをしてしまったのだろうかと考えていた。
そういえば確かにどこか怒っているようにも見えたし、もしかしたらお侍様がしゃべっている間、
なにかやるべきことがあったのかもしれない。
しまった、せっかく……
そんなことを考えていたら、
/ ̄/ /''7''7 / ̄ ̄ ̄//''7''7 / ̄/ /'''7 / ̄'/
/ ゙ー-;ー'ー'  ̄ ̄/ / ー'ー' ___/ ̄/  ̄ / ./ /' 7'7./''7 / ./.
/ /ー--'゙ __/ / /___  ̄/ ____.ノ ./ _'__,'ノ / /_/
/_/ /__________ / /_ノ,___/ ̄ /______./ /____,./ /____./
Σ川д ;川 っ!?
ものすごい大音量とともに、アパートが、揺れた。
川; д 川 なっ、なに!?
バシュウウウン((((((ξ゚听)ξ))))))) ハイ、終了〜。
うろたえる私の目の前で、さっとドアを開けて、天使が部屋から出てきた。
川; д川(……あれっ?)
目の錯覚か、一瞬だけ、体が膨らんで見えたような……。
( ´;゚;ё;゚;)ドゥフフwwwwwwさすがツン氏でござるなwwwww巧みの技でござるwwwwコポオwwwwwww
ξ^ー^)ξいえー、それじゃ、貞子ちゃん、領収書お願いね。
川; д川あっ! はい!
その言葉にわれに返って、渡されていた領収書の束に、教えられたとおりに記入して、お侍様に手渡す。
( ´;゚;ё;゚;)ドゥフフwwwwwwwwwwまたよろしく頼むでござるよwwwwwwwww
ξ^ー^)ξありがとうございましたー、またよろしくおねがいしまーす。
川; д川ペコリ
こうして、流されるようにして、私の記念すべき初仕事は、無事に終わった。
( ´;゚;ё;゚;)ドゥフフwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ξ^ー^)ξ……。
川; д川……。
無事に終わった。
ξ゚听)ξふぃ〜つかれた〜。
川д川あ、お疲れ様でした……。
ξ゚听)ξどこに住んでるの、送ってくわよ?
川д川あっ、すいません……××です。
ξ゚听)ξそっか、分かった。
帰りの車中で私は、身をたたむようにして、助手席に座っていた。
結局何の役にも立てなかったし、ただついていっただけというのが悲しくて、恥ずかしかった。
川д川……すいませんでした。
ξ゚听)ξ? なにが?
川д川その、何もしなくて……。
私がそういうと、天使は少し微笑んでいった。
ξ゚听)ξああ、そういうこと。気にしなくていいわよ。そういうものだから、これって。
川д川で、でも……。
ξ゚听)ξそれよりさ、明日十時だけど大丈夫? 事務所に。
川д川えっ?
ξ゚听)ξんや、明日からさ、十時には来ててほしいんだよね、事務所に。どう?
川д川あっ、その……。
このままアルバイトに雇ってもらえるとはおもわなかったので、驚いてしまった。
しかしすぐに、気を使ってもらっているんだと思ってしまって、ますます惨めな気持ちになる。
何の役にも立たない私のような人間を、わざわざ雇うメリットがないからだ。
そんなことを考えて、私が無言でいると、天使が、優しい声音で言った。
ξ゚听)ξ……あのね、そんなに気にしなくていいんだよ、本当に。
川д川……。
ξ゚听)ξ居場所なんて、自分で作らなきゃ。思ってるより、そんなに大変なことじゃないんだよ、それって。
そういって、また少し、微笑んだように見えた。歌うように響く、天使の言葉。
しかしそこまで言われても、私はまだ決心がつかなかった。
ここでうなずいても結局この人に甘えるだけで、何も代わらないのではないだろうか。
そんな考えが頭をよぎって、何もいえなくなってしまう。
ξ゚听)ξそれじゃあ、明日もまた来てくれるかなっ?
川д川えっ……
ξ*^ー^)ξ……ねっ?
川д川っ!!
答えに詰まる私に天使が一瞬だけ見せた、吸い込まれるような、大輪の笑み。
それは、心のそこから楽しそうで、背中に羽の生えたような、見てるこちらがうれしくなってしまうような、そういう種類の素敵な笑顔。
そのときだけはどうしてか、この人についていけば、なにかが始まるかもしれないと、思わされてしまったのだ。
だから、私は。
川д川……はいっ!
ξ*^ー^)ξ……よしっ!
勇気を出して、大きな声で答えると、天使が再び、ひまわりみたいな笑顔で応じてくれた。
どうして引っ込み思案で、流されてばかりの後ろ向きな私が、あそこでちゃんと、うなづけたのだろうか。
今をもってしても、謎のままである。
こうして、私の壁殴り代行はじめました。
ξ゚听)ξあ、お疲れ様です、帰ってたんですか。
(´・ω・`)あらぁん、おつかれさまぁん♪ キモキオさん、どうだったかしらぁん?
ξ゚听)ξまぁ、相変わらずって感じでした。
あ、それで何かバイトの希望の子が来たんですけど、勝手に採用しちゃったんですけど良かったですか?
(´・ω・`)あらぁん! かまわないわよぅ! ツンちゃんが見込んだ子なら。間違いないでしょうし……。
それで、どんな子だったのかしらぁん?
ξ゚听)ξ……なんか、昔の私に似てましたね。
(´・ω・`)あらぁん……。
ξ゚听)ξまあでも、私よりは素直そうでしたけど。
(´・ω・`)うふふ、それは楽しみねぇん。でも、ツンちゃんだって、いい子よぉん?
ξ゚听)ξべっ、別に私の話はどうでも……。
(´・ω・`)うふふ。あっ、そうそう。新しいデザインのチラシ、刷り上ったのだけどぅ。
ξ゚听)ξあ、前言ってたやつですか。
(´・ω・`)そうそう、それで、やっぱり女の子の写真使った方が、女性のお客様も安心できるじゃない?
勝手にツンちゃんの写真使っちゃったのだけれど……。
ξ゚听)ξえっ、写真なんていつ……どんなやつですか?
(´・ω・`)これなんだけどぅ……良かったかしらぁん?
ξ゚听)ξどれどれ……。
★壁殴り代行始めました★
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200〜 24時間営業 年中無休!
壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています
筋肉に自身のあるそこのアナタ! 一緒にお仕事してみませんか?
壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
※女性STUFFも活躍中!!※
∧_∧
⊂ξ#゚听)ξ 駄目に決まってんだろ!!
/ ノ∪
し―-J |l| |
人ペシッ!!
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 ̄ ̄
(´・ω・`)うふふふ! 会心の出来よねぇん、これ!
ξ#゚听)ξそういう問題じゃねーんだよ! いつ撮ったんだこんなもんッ!!
(´・ω・`)うふふふふふ!!
ξ#゚听)ξとにかく、やめてくださいよこんなの!! 恥ずかしくって町歩けないじゃないですか!!
(´・ω・`)ときすでにおすしよぉん♪ もう、配っちゃったぁん♪
ξ#゚听)ξっ!!? んなああああああああああっ!!
(´・ω・`)うふふふふふふふふ!!
領 収 書
佐倉キモキオ 様
¥ 3,500 −
但し ゆるふわ・菩薩拳
上記金額正に領収致しました
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