( ><)僕と夏の公園のようです  



7月も終わり、もう8月に入ろうという真夏日のことです。
暑い日ざしがじりじりと頭を照りつける中、僕は麦藁帽子を目深にかぶると、大きな声でお母さんに言いました。

( ><)「行ってきまーす、なんです!!」

奥から返ってくるお母さんの返事も待たず、家を飛び出しました。
玄関を出たところには、ワカッテマスくんが涼しげな顔をして立っています。
彼は僕の姿を見ると小さく手を上げました。

( ><)「お待たせなんです!」

( <●><●>)「問題ありません、ビロード、虫捕り網は持ちましたか?」

( ><)「持ったんです!ワカッテマスくんは?」

( <●><●>)「虫かごならばこの通りです」

そう言って、手に持っていたプラスチック製の虫かごを僕の目の前に掲げて見せました。
僕は口元に上がってくる笑みを隠さず、言います。

(*><)「それじゃ…出発!なんです!」

ジィジィと蝉の鳴く声が聞こえる真夏の最中、僕達は公園目指して走り出しました。



















今日の天気は快晴、雲一つないカラっとした天気ですが、歩く先の道路は熱で歪んで見えました。
ああ、本日も暑い一日となりそうなんです。

( <●><●>)「今日の気温は38度らしいですよ」

( ><)「うひゃー、そりゃ暑くもなるんです!ワカッテマスくんも帽子持ってくればよかったのに」

僕は隣を歩く友人にそういいました。
普段はなんのポリシーなのか割と厚着の彼も、今日みたいな暑い日は流石にタンクトップという軽装でしたが
しかしその真っ黒の髪が熱を吸収してるようにしか見えません。
彼はしれっとした顔で言います。

( <●><●>)「帽子を被っていると8割の可能性でハゲますからね、予防対策です」

(;><)「ワカッテマスくんは心配しすぎなんです」

( <●><●>)「黙りなさい、このハゲ」

(;><)「ハゲじゃないんです! ハゲてないんです!」

( <●><●>)「ハハッワロス」

ワカッテマスくんはとても頭のいい人ですけれど、時々辛らつなことを言ってくるので僕は驚いてしまいます。 
というかへこみます。





( <●><●>)「本当はこんな暑い中外なんて出たくなどないのですが」

( ><)「わがまま言わないんですー!子供は風の子なんです!」

( <●><●>)「私の母は風ではありませんよ、むしろ大いなる自然を司る台風というべきか」

(#><)「るっせーんです!」

現在、僕達は夏休みの宿題である自由研究のため、近くの公園まで向かっていました。
僕達は二人で自由研究をしようということになったのです。
その名も、僕らの近くに住む昆虫採集。

ワカッテマスくんは最初自分ひとりでやる予定だったみたいですが
聞いた自由研究の内容が「生きているものはなぜ死ぬのか」というあまりにも重いテーマだったので僕が却下しました。

( ><)「あ、向日葵が咲いているんです!」

暢気に歩いている最中に見つけた向日葵は、太陽に向かってその花を大きく咲かせていました。
日差しにきらきらと光っている花びらが綺麗で、僕はよっぽどその花を持っていってしまいたかったけれど、
他人様の家の花を折るわけにはいかないんです

( <●><●>)「向日葵って種美味しいんですよね」

( ><)「僕あれあんまり好きじゃないんですー」





( <●><●>)「ビールとかによくあいます」

( ><)「聞かなかったことにしますよ」

他愛もない話をしながら、僕達は砂利道を歩きます。
じりじりじりじり、太陽の光を浴びながら
じゃりじゃりじゃりじゃり、道端の石ころを踏みしめて。










公園に着くと、そこには見知った同級生たちがちらほら見えました。
夏休みだから皆遊びに来ているんです。
広場で鬼ごっこをしたり、遊具で遊んでいたりとバラバラですが、楽しそうなんです。

そのうちの一人が、僕達に気づいたらしく声をかけてきました。

( ・∀・)「おーい、お前らも来たのか?今皆で氷鬼やってたんだけど一緒にやんね?」

モララーくんです。
モララーくんは僕と同じクラスの子で、いつも明るく、みんなの中心にいるようないい人なんです。





僕はちょっとだけ一緒に遊びたかったけれど、ワカッテマスくんと自由研究が
あるということを思い出したので、首を横に振りました。

( ><)「ごめんなさいなんです!今日は夏休みの宿題をやりにきたんです!」

( ・∀・)「宿題?」

( <●><●>)「自由研究という名の虫殺しです」

(;・∀・)「怖!」

(;><)「昆虫採集です!」

( ・∀・)「あーああ、なるほどね、俺もモナーとギコでこの町の地図作ろうぜって話してるんだぜ!」

( ><)「それは楽しそうなんです!僕達は身近にいる虫さんを調べるんです!」

( ・∀・)「へぇ、まあお互い頑張ろうぜ」

( ><)「はいなんです!」

手をひらひらとふりながら、モララーくんは再び子供達の輪の中に入っていきました。
その後姿を見送りながら、僕はワカッテマスくんに言います。

( ><)「几帳面なモララーくんのことだから、きっとすごく細かい地図が出来るに違いないんです!」





( <●><●>)「そうですね、魔界の様子が詳しく描かれることでしょう」

(;><)「僕達の街は魔界都市じゃねぇえー!」

( <●><●>)「まあ、私達だって負けてませんよ、虫の虐殺」

(;><)「ワカッテマスくんはどうしてそう言い方が怖いんですか!やめてほしいんです!」

( <●><●>)「失礼」

解っているのかいないのか、彼はいつもどおり涼しい顔をして公園の奥にある森の方へと進んでいきました。

(;><)「あ、待ってくださいなんです!勝手に行かないで下さい!」

僕も慌てて追いかけていきますが、彼は歩く歩調が早いせいか、なかなか追いつけません。
ようやく追いついた頃には、すっかり僕の息は絶え絶えとしていました。

視界一面が木々で埋まっている中、ワカッテマス君の腰にタックルをかまして動きを止めようとしましたが、
まるで忍者のようにすいすいかわしてしまうので捕まえることも出来ないんです。
悔しいんです。
だんだんムカついてきます。





( <●><●>)「運動不足ですねビロード、そんなことではオリンピックに出れませんよ」

(;><)「僕はそんな壮大な夢を持った記憶ないんです!」

( <●><●>)「男が一度口にした夢をそんな簡単に諦めてよいと思っているのですか」

(;><)「だから僕はそんな夢もったことねーって言ってんだろ!」

イラっときたので近くにあった木の棒を投げつけ、構わず先に進むことにしました。
きっと構っていたらいつの間にか陽が暮れると思ったからなんです。

この森には近くに小さな川があって、その辺りに虫が沢山いるってこの間ギコくんに聞きました。
かわせみとかいう鳥もいるみたいです。

虫捕り網をブンブン振り回しながら、僕は、僕達は川の方へと歩いていきました。
もちろん、途中虫を探すことも忘れないんです!










(*><)「予想外に蝉が2匹も取れたんです!嬉しいんです!」

しばらく歩いて川の近くにまでつくと、虫かごには蝶々やらカマキリやら蝉が入っていました。
僕がホクホクとした気持ちでそれを眺めていると、ワカッテマスくんが横目でぼそりと呟きます。

( <●><●>)「そうして蝉は1週間という短い命をこの虫かごの中で終えるのですね…」

( ><)「…………」

( <●><●>)「土の中に5年間もいたというのに、可哀相に。しかしこれも研究のためです」

( ><)「…………」

( <●><●>)「蝉も運が悪かったと思って…おや、逃がすのですかビロード」

( ><)「今更ながら僕は自分の間違いに気づいたんです」

( <●><●>)「虫殺しの大化の改新?」

( ><)「それは年号の覚え方です。そうじゃなくて、ワカッテマスくんと組んだことがすでに僕の間違いでした」

(*<●><●>)「照れますね」

( ><)「褒めてないんです」





何故か頬を赤く染めているワカッテマスくんを無視して、僕は川の方へと足を進めます。
川といっても本当に小さい小川のようなもので、ゲンゴロウとか蛙がいたらいいなあ程度だったんです。

でも、そこで見つけたのはゲンゴロウでもタニシでも蛙でもありませんでした。

( <●><●>)「どうしました?ビロード」

( ><)「あ…あの子…」

ようやく近付いてきたワカッテマスくんに向かって、僕は指差しました。
指された方向にワカッテマスくんも目を傾けると、そこには一人の女の子です。
蹲って泣いています。
どうしましょう、なんだかとっても声をかけづらいんです…

( <●><●>)「…あれは…!」

(;><)「!し、知り合いなんですか!?」

水色の半そでにカーキのショートパンツを穿き、しゃがみ込んでいる少女を見て
ワカッテマスくんは何かひらめいたようでした。
僕は迷わず彼に問いかけます。
もしかしたら近所の子なのかもしれません。

ワカッテマスくんは顔を少しだけ青くしながら、言いました。

(;<●><●>)「夏の一通り少ない森…一人で泣いている子…となると
       あの子は誘拐され殺された幽霊と見てほぼ間違いないでしょう!」

( ><)「聞いた僕がバカでした!」





間違いないでしょうじゃねーんです!
ていうか思考回路怖!ワカッテマスくん怖!

そんなことを思っていたら、僕らの声に少女が振り向きました。
当たり前の話です、こんな大声で話していたら誰でも気づくんです。

(*うω‘ *) 「だれ…ぽ?」

ピンク色のショートカットに麦わら帽子を被ったその子は、とても可愛い女の子でした。
僕達より1個か2個年下という感じです。

(*><)「あ、あの僕らは…」

( <●><●>)+「江戸川コナン…通りすがりの探偵さ…」

(#><)「ちょっと黙って!」

(*;‘ω‘ *) 「ぽ…」

(;><)「あ、あの!君のことじゃなくて!」

僕はワカッテマスくんのほっぺを伸ばしつつ、怯えたその女の子に怖くないことをアピールするように言いました。

( ><)(ほら、ワカッテマスくんもあんまり変なこと言って怖がらせないでください!)





< <●><●>>(君は時々本当に失礼な男ですね。ほっぺ痛いですよ。
        しかしまぁ私も男ですし、そんな非道なことはしません)

そうひそひそ声で呟いて、ワカッテマスくんは女の子の方へと近付いていきました。
何をするのかと思えば、紳士的に手を伸ばし、ゆっくり言います。

( <∧><∧>)「怖がらなくていいんですよ。私達は選ばれし仲間なのですから」

笑顔気持ち悪――――――――!
ていうか何ですかその電波な内容!

(*;ω; *)「ぽっ…ぽぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

(;><)「泣かせたーーー!」

笑顔で人を泣かせる人って初めて見たんです!

< <●><●>)「感動の涙ですね、わかりまいたたたたた、やめなさいビロード」

(#><)つ「ちょ、お前もう本当…黙れ!」

ホッペをつねりながら、僕は女の子の傍へと屈みこみました。
顔を覗き込むようにして、頭を撫でます。
怖い思いをさせてしまったんです。

(*;ω; *)「ぽ…?」

( ><)「怖がらせてごめんなさいなんです、でも僕達ここの近所に住んでるから…君迷子かなんかですか?」





(*‘ω‘ *) 「……うん」

( ><)「お父さんとお母さんは?」

(*‘ω‘ *) 「買い物に行くって言ってたぽ…」

( <●><●>)「何ですって!ビロード、わかりましたよ!この娘は幽霊ではなく迷子です!」

( ><)「名前は?」

(*‘ω‘ *) 「ぽっぽ…」

(;<●><●>)「スルーを習得しましたか…」

僕は立ち上がって、ぽっぽちゃんの手を掴むと立ち上がらせました。
ズボンについた葉っぱを払って笑いかけます。

(*‘ω‘ *) 「ぽ?」

( ><)「大丈夫なんです!僕がちゃんとぽっぽちゃんを
      お父さんとお母さんのところまで連れてってあげるんです!」

( <●><●>)「さり気に私をハブきましたね。というかビロード、私は君に言いたいことがあるのですが」

( ><)「行きましょう!」

(*‘ω‘ *) 「……ぽ!」





( <●><●>)「ハブられたということはわかってます」

腕を掴んで、森の外へと走り出しました。
ワカッテマスくんが言いたいことは僕にだってわかってるんです。
きっと昆虫採集が途中のことなんだろうけど、迷子の子を放っておいて昆虫採集するほど僕は神経図太くありません。

今はこの娘の親を見つけることを最終目標にするんです!

後ろから冷たい視線を送ってくるワカッテマスくんを振り向かないようにして、
僕たちは公園へと向かいました。








公園につくと、相変わらず皆遊んでいましたが、さっきよりも人数が減っているように思えました。
きっと皆お昼ごはんを食べに家に帰ったんでしょう。
森に入っているときよりも太陽が直に当たり、頭がのぼせてきそうです。

(*‘ω‘ *) 「ここでお母さん達とはぐれたぽっぽ…」

するとぽっぽちゃんは僕の手を握り返しながら泣くのを我慢するように言い
だしました。
きっと一人で公園の奥に入り込んでしまって、迷子になったに違いありません。
僕は安心させるように自分の胸へ手を当て言いました。





( ><)「だいじょーぶなんです!僕が絶対ぽっぽちゃんとお母さん達をあわせてあげるんです!」

(*‘ω‘ *) 「ほんと…?」

(*><)「はいなんです!」

( <●><●>)「微力ながら私も協力しますよ」

(*‘ω‘ *) 「ありがとうっぽ…ええと…」

( ><)「僕はビロード、そっちが…」

( <●><●>)「アシュフォードです」

(;><)「なんで名前を偽るんですか!ワカッテマスくん!」

微妙にかっこいい名前に改変している友達の頭を叩きつつ、僕達は情報を集めるために公園の中へと走り出しました。

風はなく、カラリと晴れた良い天気です。
森を探索している途中、取った木の棒を振り回しながら、友達のブーンくんみたいに腕を広げて走ります!


⊂( ><)⊃「ぶーんなんです!」

⊂(*‘ω‘ *)⊃ 「…………ぶーんぽっぽ!」

後ろでワカッテマスくんもやってましたが、見なかったことにしました。
運良く鬼ごっこをしていたモララーくんたちを見つけて、僕達はまずそっちへと行くことにしたんです。





( ・∀・)「ターッチ!次モナー鬼なー」

(;´∀`)「負けたモナ、暑いモナ。帰ってパピコ食べるモナ」

( ・∀・)「なんでお前はそうすぐ諦めんだよ!がんばれよ!」

( ><)「モララーくん!」

( ・∀・)

(・∀・ )「ん?ビロードじゃん、宿題はどうしたの、その子誰?」

モララーくんは僕の後ろで未だに手を広げて楽しそうにしているぽっぽちゃんを見て、不思議そうに首傾げました。
モナーくんはすでに氷鬼には飽きたみたいで、ベンチの方で休んでるんです。

( ><)「迷子なんです、この子の親捜してるんです。この公園ではぐれたらしいんです」

( ・∀・)「へぇ、お前名前は?」

(*‘ω‘ *) 「ぽっぽ…」

( ・∀・)「ぽっぽか、家何処かわかる?」

((*‘ω‘ *) )フルフル

( ・∀・)「どっからきたの?」

(*‘ω‘ *) 「わかんないぽ…」





ちんぽっぽちゃんの答えに、モララーくんはしばらく黙り込んだあと、思いついたようにこういいました。

( ・∀・)「情報が少なすぎるし、ここではぐれたっつうんなら、ここで待ってればくるかもよ」

( ´∀`)「急がば回れモナ」

( ・∀・)「そんな意味じゃねえよ」

( <●><●>)「まぁある意味懸命な判断ですけどね、日が暮れても見つからなかったら警察にいけばいいし」

珍しくまともな意見を言うワカッテマスくんに理不尽な怒りを覚えつつも、僕は
なんとなしに脱力しました。

(;><)「な、なんでそう楽観的なんですかみんな…」

かっこよくお父さんとお母さんに会わせるとか行っちゃったのに恥ずかしいんです。
べ、別に、ぽっぽちゃんの前でかっこよく見せようとしたわけじゃなくて…!

しかしぽっぽちゃんは納得したみたいで、モララーくんの言葉にこくこくと頷いていました。

( ・∀・)「じゃー皆で次は色鬼やろーぜ!ビロードもやるよな?」

( ><)「あ、うんなんです!」

( <●><●>)「こんなことなら虹色の服を着てくればよかったです」

変質的な発言をするワカッテマスくんと、暑さにばてているモナーくん、
わくわくしているぽっぽちゃんに僕らは、結局皆と遊ぶことになりました。
蝉の声と強い日差しの中、僕達は暑さを忘れるかのように遊びまわりました。





鬼ごっこだけじゃありません、ドロケイに缶蹴り、だるまさんが転んだ
遊具で遊んだりともう当初の目的だった自由研究のことなんてすっかり頭から抜け落ちてました。

(*‘ω‘ *) 「っぽ!ぽっぽ!」

(*><)

それでも僕は楽しかったんです。

ぽっぽちゃんが楽しそうにブランコを漕いでいます。
その笑顔が可愛くてしばらくぼんやりしていると、後ろからモララーくんがニヤニヤとわらっていることに気がつきました。

( ・∀・)「ビロードお前…」

(*><)「え、な、なんですか…!」

( <●>( ・∀・)「あの子が好「色気づいてんじゃねえよ」

(;><)「ひどい!」

( ・∀・)「誤解だ!!なんだよワカッテマス!」

後ろに隠れているワカッテマスくんを引っ張りながら、モララーくんがいいました。

( <●><●>)「いえ、別に大した理由ではないんですが…」

( ><)「なんですか…?」





( <●><●>)「なんとなくムカつきまして」

( ><)「理不尽にもほどがあるんです」

本当に大した理由じゃないワカッテマスくんにため息をつきながら、僕はぽっぽちゃんの所に戻りました。
後ろでワカッテマスくんがモララーくんに何かささやいているようでしたが、それは僕には聞こえませんでした。

後からモララーくんが見てくる残念そうな視線にも気づくことはありませんでした。



そうして遊んでいるうちに、すっかり日は暮れ。
公園の時計からは帰りを告げるかのような音楽が流れ出しました。
夕焼け小焼けの赤とんぼ、です。

ぽっぽちゃんのお母さんたちはまだ現れません。
公園に沢山いた友達もすでに皆帰ってしまいました。
モララーくんとモナーくんは迎えにくるまでいてくれると言ってくれたけど、それはモララーくんのお母さんが心配するんです。

僕とワカッテマスくん、それとぽっぽちゃんは3人でベンチの上に座っていました。

(*‘ω‘ *) 「ぽ…」

( ><)「ぽっぽちゃん…」

あんなに楽しそうだったぽっぽちゃんも、日が暮れるにつれて段々と元気がなくなってきました。
どうしよう、やっぱり早く警察の方に行った方がよかったんでしょうか?
ワカッテマスくんの方を見ると、いつもどおり何を考えているかわかりませんでした。





すると……


「ぽっぽ!!!」



遠くから、見慣れないお姉さんが走ってきます。
僕達もそっちの方へと視線を移しました。

(*‘ω‘ *) 「!!」

そして、その声と同時に、ぽっぽちゃんも俯いていた顔をあげました。

川 ゚ -゚)「こんなとこにいたのか!探したんだぞ!」

そのお姉さんは、一直線に走ってきて、ぽっぽちゃんを抱きしめると、泣きそうな声で怒鳴りました。

川 ゚ -゚)「あれだけあの椅子を動くなといっただろう!心配したんだからな!」

(*‘ω‘ *) 「ごめんなさいっぽ…お姉ちゃん…」

涙を拭きながら、ぽっぽちゃんも言います。
どうやらこの人はお母さんではなくお姉ちゃんだったようなんです。
ともかく、迎えが来てくれて僕は胸を撫で下ろしました。





ワカッテマスくんもちょっと安心したのかニヤニヤ笑っていました。
もうちょっと微笑ましい笑顔を向けて欲しいものなんです。
そんな僕達に気づいたのか、お姉さんが僕に聞いてきました。

川 ゚ -゚)「君たちは?」

(*‘ω‘ *) 「一緒にいてくれたお兄さんだっぽ…」

川 ゚ -゚)「そうか、ありがとう、うちは両親が忙しくてな。大半は私が面倒を見ているんだが…
     この近所の子かな?ありがとう。ぽっぽもお礼をいいなさい」

お姉さんは頭を下げると、ぽっぽちゃんに言いました。

(*‘ω‘ *) 「ありがとっぽ!ビロード!」

(*><)「いや、そんな…!迎えがきてくれてよかったんです!」

ぎゅっと手を握られて僕が照れているとワカッテマスくんは残念な生き物を見る目でこちらを
見てきます。
なんとなくムカついていると、突然クーさんが信じられない一言を言い放ちました。

川 ゚ -゚)「いや、ありがとう。 弟 が本当に世話になった。私達は最近越してきてな。この子も夏休み明けには
     君たちと同じ学校に通う予定だから、仲良くしてやって欲しい」


( ><)






今、何か。
とんでもない言葉が飛び出した気がするんです。

( ><)「……弟?」

( <●><●>)「ビロードが気づいてなかったのはワカッテマス」

ぽん、と肩を叩きながら、ワカッテマスくんが僕の背後で言いました。
頭がこんがらがってきそうですが、どうやら口ぶりから察するにワカッテマスくんは
気づいていたようでした。
なんで?いつから?ていうかどうして?
しかし言われてみればぽっぽちゃんは自分を女の子だと言ったことはないし、服装も
どちらかといえば男の子のそれです。

(*‘ω‘ *) 「僕、嬉しかったっぽ!ありがとビロードお兄ちゃん!」

今更ですが、気づかなかった自分にくらり、と眩暈がおきそうな中、僕はかろうじて言いました。

( ><)「……気にしないで、なんです」

ゆっくりと手を振りながら、ぽっぽちゃんはお姉さんに連れられて帰っていきました。
後にはワカッテマスくんと僕だけが残されます。

( ><)「………男…」

( <●><●>)「まぁ、人生うまくいかないということです、この年にして良い体験をしましたね、ビロード」

にやにや笑う友達をちょっと殴りたい衝動に駆られましたが、そこはぐっと我慢なんです。
ふと、気がつけば虫かごをベンチの上に置いたままにしてました。





結局夏休みの自由研究全然すすんでないんです。
僕はのろのろとベンチの上にある虫かごを手に取りました。すると

( ><)「………あ」

虫かごをあけると、蝶々がカマキリに切られて死んでいました。
なんだか非常に物悲しい気持ちになり、僕はそのままカマキリを自然へと返し、蝶々はお墓を作って埋めました。

( <●><●>)「自然の世界も弱肉強食、勘違いしてたら食われますよ」

ワカッテマスくんは相変わらず分けわかんないことを言ってますが、もうどうでも良い気持ちでした。
赤い空の下、少し生ぬるい風に当たりながら、僕はぼんやりとそこに立って、少しだけ泣いたんです。

ばいばい、僕の初恋











夏休みが開けると、みんなの作った工作や、自由研究が壁や廊下に展示されます。
僕とワカッテマスくんのテーマはもちろんこれです。




「生きているものはなぜ死ぬのか」




先生から大顰蹙を買うのは、もうちょっと先の話。


( <●><●>)「やけになったのはわかってます」

( ><)「うるっせーんです」

この夏、僕はほんのちょっとだけ大人になった(気がします)


おわり


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