( ^ω^)はボクサーのようです◆EpvQephXIa3b
[ログ]
( ^ω^)+
ぼくは「ボクサー」だ。
筋肉質な体。高潔で、堂々としてて。
頭もいい。頼れる「ボクサー」だ。
( ^ω^)+
(∪^ω^)ペタン
ξ゚听)ξ「やっぱり、耳は垂れてる方が可愛いわよ、ブーン」
(∪;^ω^)オーン!!
違う! ボクサーになるからには耳は立たなきゃ駄目なの!
もう一回耳引っ張って御主人、もう一回!
ξ;゚听)ξ「何でこんなに必死なのこの子……」
(∪;^ω^)オンオーン! ワンワンオー!!
ぼくはボクサーになりたいんだってば!
何で人間はぼくたちの言葉を理解出来ないの!? 馬鹿なの!? 死ぬの!?
あっやだ死なないで! 死んじゃ嫌だ御主人!!
(´・ω・`)『坊主』
(∪^ω^)『あ、ショボン!』
(´・ω・`)『お前な』
(´・ω・`)『雑種だからボクサーにはなれねえよ』
(∪;^ω^)そ ガーン!!
( ^ω^)はボクサー(犬)のようです(?)
――ぼくは「ブーン」。この家に住んでいる犬だ。
雑種。ふさふさの毛が自慢である。
(∪;^ω^)『うそだ……がんばれば、ボクサーに……』
(´・ω・`)『無理無理』
この子はショボン。ぼく同様、ここに住む犬。
ぼくより先に住んでたから、先輩だ。
ぼくより体も大きいし。うん。かっこいい。
ショボンは何だっけ、ゴールデンレトリバーだっけ。
ちょっと口は悪いけど優しいし力持ちだ。
やっぱりかっこいい。
ξ゚听)ξ「ふたりして何話してんの? よしよし」
(∪*^ω^)オーン (*´・ω・`)クーン
この人間の女の子はツンちゃん。御主人。
こーこーせー、とかいうお仕事? よく分かんないけど何かそんな感じの役職に就いている。
何を隠そう、ぼくをこの家に連れてきたのは御主人である。
3ヶ月前、ぼくを拾ってくれたのだ。
優しいんだぞー。可愛いんだぞー。凄いんだぞー。
< ツンー! ご飯だよー!
ξ゚听)ξ「はーい! ご飯食べてくるね、ブーン、ショボン」
御主人は、庭から家の中に入っていってしまった。
ご飯食べたら、また遊んでくれるかなあ。
あ。虫だ!
最近あったかくなってきたから、虫をよく見かけるようになった。
(∪*^ω^)オーンオーン
(´・ω・`)『おい。おい坊主』
(∪*^ω^)オーンオーン
(´・ω・`)『虫を捕まえようとすんな。おいって』
(^ω^*∪)オン?
(´・ω・`)『お前よ、何でボクサー犬なんかに憧れてんだ』
(∪*^ω^)『だって、かっこいいお!』
(´・ω・`)『……そもそも、どこで知ったんだ、ボクサー犬』
(∪*^ω^)『この間、家の中で遊んでたら……』
(´・ω・`)『家の中。はあ。いいっスね。小さい奴は頻繁に家に入れてもらえて』
(∪;^ω^)『あうあう』
(´・ω・`)『んで?』
(∪*^ω^)『で……御主人と一緒にテレビ観たんだお!』
(´・ω・`)『ああ。それにボクサーが出てたと』
(∪*^ω^)『だお! すごいおショボン、頭いいお!』
(´・ω・`)『大体予想つくわ』
(∪*^ω^)『そしたらそしたら、御主人が「かっこいー」って』
(´・ω・`)『ふうん。だからボクサーになりたいのか』
(∪*^ω^)『おん! 筋肉が凄くて、気品に溢れてて頭良くて……』
(´・ω・`)『お前と真逆だな』
(∪;ω;)『おーん』
(∪;ω;)『でも、がんばれば……』
(´・ω・`)『無理だな』
(∪;ω;)『無理じゃないおー!』
(´・ω・`)『俺の半分もないじゃねえか、お前』
(∪;ω;)『まだ成長中だお! ていうかショボンが大きすぎるんだおふじこふじこ』
(´-ω-`)『ゴールデンレトリバーですから』
(∪;ω;)『ぼくだって、いつかショボンぐらいには……』
(´-ω・`)『そしたら家の中に上げられる回数が減るぞ』
(∪;ω;)『それは嫌だおー』
(´-ω-`)『じゃあどうすんだ』
(∪;ω;)『……小っちゃいままムキムキになるお』
(´-ω-`)『気持ち悪いわ』
(∪`ω´)『どうしろっつーんだおー!!』
(´・ω・`)『そのままでいいじゃねえか、そのままで。
かっこいいの担当は俺。可愛いの担当はお前。フゥー、バランス最高ー』
(∪^ω^)『ぼくだってかっこいいって言われたいお……』
(´・ω・`)『……はあ、好きにしろ』
(∪^ω^)『するおー。見てるおショボン、ぼくはショボンよりかっこよくなるお!
ボクサーみたいになるお!』
(´・ω・`)『おい、お前の中では ボクサー>俺 なのか。噛み殺すぞ』
*****
【がんばること、そのいち おっきくなる】
(∪*^ω^)『だお!』
(´・ω・`)『時間かかるだろ』
(∪´ω`)
(´・ω・`)『……飯いっぱい食ったらどうだ』
(∪*^ω^)『それなら得意だお!!』
ξ゚听)ξ「ショボン、ブーン、ご飯ー」
丁度いいところにご飯が!
御主人が、僕の青いお皿とショボンの赤いお皿にご飯を入れてくれた。
かりかりしてるやつ。美味しい!
(∪*^ω^)オンオンカリカリ
(´・ω・`)カリカリ
ξ゚听)ξ「ブーンは食べるの早いわねえ、小さいくせに」
これから大きくなりますから!
(∪*^ω^)ケプッ
あっという間に僕のお皿が空っぽに。
ごちそうさま? いやいや、まだまだこれから。
たくさん食べなきゃ大きくなれませんから!
(∪*^ω^)オンオンオー オカワリオ!
もう一杯、もう一杯!
ξ゚听)ξ「あ、もう駄目よ。太っちゃうでしょ」
(∪´ω`)
(´・ω・`)『まあそうなるだろうな』カリカリ
【がんばること、そのに れいぎただしく、こうけつに】
ξ゚听)ξ「おすわり!」
(∪^ω^)(´・ω・`) ピシッ!
ξ゚ー゚)ξ「えらいえらい。姿勢がとっても綺麗よ。次は、ショボンお手!」
(´・ω・`)∩ サッ
ξ゚ー゚)ξ「よしよし。ブーンお手!」
(∪^ω^)∩ サッ
ξ゚ー゚)ξ「よく出来ましたー」ナデナデ
(∪*^ω^)(*´・ω・`) シッポブンブン
ξ゚ー゚)ξ「はい、ご褒美」
ほねっこ! ほねっこ!
(∪*^ω^)(*´・ω・`) シッポブンブン
ξ゚听)ξ「……待て!」
(∪;^ω^)そ
な、なんだってー。
目の前に置かれるほねっこ。
でも御主人は僕らに掌を見せる。まだ食べちゃ駄目だって。
(∪;^ω^)
(´・ω・`)
ショボンは、ぴしっとおすわりしたまま動かない。
さすがだ。
(∪;^ω^)
うう、ほねっこ。ほねっこがある。
ううう。
(´・ω・`)『……ボクサー』
(∪;^ω^)そ
ボクサー。そう、ぼくはボクサーになるんだ。
きっとボクサーは、ほねっこなんて誘惑には余裕で耐える。
御主人の命令には絶対背かない。
だからぼくも耐えなきゃ。
ほねっこなんて。
ほねっこなんて。
ほねっこ……。
ほねっ……こ……ほね……
ほn
(∪*^ω^)ガリッ! ガリガリ!!
ξ;゚听)ξ「あ! あーあーあー……。相変わらず『待て』は苦手ね、ブーン」
(∪;^ω^)そ
あああああしまったあああああああああ!!
【がんばること、そのさん からだをきたえる】
ξ゚听)ξ「散歩行くよー」
(∪*^ω^)ワンワンオー
(*´・ω・`)ワフン
*****
最近、ぼくとショボンは一緒に散歩に連れていかれるようになった。
前は別々だったんだけど。多分、ぼくを散歩に慣らすためだったのかな。
御主人と2人きりなのもいいけど、ショボンが一緒だともっと楽しい。
(∪*^ω^)ワンワンオー
(´・ω・`)『先に行きすぎ』
(∪;^ω^)オン!
至らぬところをショボンがフォローしてくれるから、ありがたい。
公園に着いた。広い場所。
御主人がリードを外してくれる。
ξ゚听)ξ「今は誰もいないからね、好きなだけ走っておいで」
来た! 来たぞ! ぼくはこのときを待っていた!
(∪*^ω^)『体を鍛えるチャンスだお!』
(´・ω・`)『はいはい。あんまり遠くに行くなよ』
全力で駆け回る。
いっぱい走って、いっぱい運動すれば、きっとぼくもボクサーのように!
ボクサーのように!
(∪;´ω`)ブヘァ
(´・ω・`)『バテるの早いなおい』
(∪;´ω`)『き、きっと数をこなせば……きっと……』
(´・ω・`)『どうだか』
ショボンはひとっ走りすると、ベンチに座っている御主人のもとに戻っていった。
ぼくも、よろよろ、後をついていく。
ξ゚听)ξ「気持ち良かった?」
(´・ω・`) ワフン!
(∪;^ω^)ワンオ
再びリードを繋がれる。
そのリードを右手にまとめて、御主人は、ぼうっと視線を遠くに投げた。
綺麗な花びらが落ちてくる。
桜って言うらしい。
桜はぼくの鼻にくっつくと、風でゆらゆら揺れた。
むずむずする。
(∪>ω<)クシュンッ
「――あ、つ、ツンさん」
ξ゚听)ξ「?」
(∪^ω^)(´・ω・`)『?』
突然、隣から声をかけられた。
見れば、御主人と同じ背格好の、人間の女の子が立っていた。
川д川「だよ、ね。つ、ツンさん、だ」
……女の子? うん、多分女の子。
髪の毛で顔の半分が隠れてるからよく分かんないけど。
女の子の筈。おっぱい大きいし。
あれ? でも御主人はおっぱいないけど女の子だ。あれ? 分かんない。不思議!
ξ゚听)ξ「……貞子さん」
川д川「わ、わんちゃんの、さ、ささ、散歩?」
ξ゚听)ξ「ええ」
川д川「そそ、そっか。……か、わいいね」
ξ゚听)ξ「もう帰るけどね」
川д川「あう、あ、そ、そうなん、だ。……ご、ごめんね。ばい、ばい」
ξ゚听)ξ「ばいばい」
御主人が立ち上がる。
いつもはもっと長くひなたぼっこするのに。
歩きながら振り返ると、さだこ、と呼ばれていた女の子は小さく手を振っていた。
御主人は気付いてないみたい。御主人も手を振ってあげればいいのになあ。
*****
(´・ω・`)『あれが貞子か』
(∪^ω^)『お?』
お家に帰って、庭にぼくとショボンの2人きりになると、
ショボンがそんなことを呟いた。
(´・ω・`)『御主人のクラスメートだ』
(∪^ω^)『くらすめーと?』
(´・ω・`)『……学校で、同じ教室で授業を受けてる仲間のこと』
(∪^ω^)『?』
(´-ω-`)『……同じ小屋で勉強してる仲間』
(∪^ω^)『おっ!』
なるほどなるほど。
(∪^ω^)『じゃあ、御主人のお友達かお?』
(´・ω・`)『そういうわけじゃあない』
(∪^ω^)『おー……?』
(´・ω・`)『人間は集団になると、いじめってやつが起こりやすくなる。俺らも一緒だがな』
(∪´ω`)『……お……』
(´・ω・`)『俺は詳しくは知らないが――あの貞子もいじめられていた。らしい。
去年の話だがな。今は知らん』
(∪´ω`)『そうなのかお……可哀相だお……』
(´・ω・`)『ええっと、あのときは、まだお前がいなかった頃か。
去年の秋、御主人が泣きながら学校から帰ってきた』
(∪;^ω^)『おっ?』
御主人も泣くことがあるのか。
しかし話が見えない。さだこと何の関係があるんだろう?
(´-ω-`)『御主人は、家に入るより先に、俺のところに走ってきた。
そして、俺を抱きしめたんだ』
*****
ξ;;)ξ「うっうううっ、わああああん!」
(;´・ω・`)『うわっ、何だ、どうした御主人』
ξ;;)ξ「何で……わ、私、私、悪いことしてないのに……私……」
(;´・ω・`)『?』
ξ;;)ξ「さ、貞子ちゃんだって悪くないのに! いじめる方が悪いのに!
何で、注意しただけで、私まで、む、無視されなきゃ、いけな……っ……ひぐ……」
(;´・ω・`) ペロペロ
ξ;;)ξ「ショボン……ショボン、わ、私もいじめられちゃうのかなあ……。
恐いよ、学校行きたくないよ……」
(;´・ω・`)『大丈夫だ、大丈夫だぞ御主人』ペロペロ
ξ;;)ξ「ううう……」
*****
(´-ω-`)『御主人は俺達や家族には素直だし優しいが、
他人にはきつい態度をとりがちだ。
そのせいか、友達といったものが少ない』
(´-ω-`)『――これは推測でしかないが。
多分、いじめられていた貞子を御主人が助けた。根は優しい人だからな。
それにより、いじめっ子に目をつけられたんだろう』
(∪;^ω^)『ご、御主人いじめられてるのかお!?』
(´・ω・`)『いや、数日ほど無視はされていたみたいだが、今は特に問題なさそうだ』
(∪^ω^)『そうかお……』
(´・ω・`)『しかしあの調子だと……貞子とは仲良くやっていけてないか』
(∪;^ω^)『おー……』
御主人も大変なんだなあ。
それにしても人間って変。
いいことしたのに、悪いことしか起きなかったなんて。
(´-ω-`)『……せめて貞子が御主人の友達になってくれりゃあな』
(∪^ω^)ムゥ
さだこは、御主人と仲良くしたそうだった。
御主人は恐いのかもしれない。さだこに関わったせいで無視されちゃったから。
きっと、御主人ががんばれば、仲良くなれると思うんだけど。
(´・ω・`)『お前はボクサーになることに集中しろ。
俺らには、人間の複雑な関係なんてどうしようもねえさ』
(∪^ω^)『……ボクサー』
ぼくはボクサーになりたい。
でも、違うよ、多分ショボンは勘違いしてる。
ただ見た目がかっこいいからとか、そんな理由でボクサーになりたいんじゃない。
筋肉質な体。高潔で、堂々としてて。
頭もいい。頼れる「ボクサー」。
テレビで見たボクサーは、彼の御主人様にとっても信頼されていた。
病気を持った御主人様を、たくさんたくさん助けていた。
そんな彼を見て、ぼくの御主人は「かっこいい」って言ったんだ。
ぼくは、御主人が困ってるときに助けてあげられるボクサーになりたいんだよ。
(∪^ω^)『ショボン』
(´・ω・`)『あん?』
(∪^ω^)『手伝ってほしいことがあるお!』
*****
今日も、公園へお散歩。
御主人は人がいないのを確認して、ぼくとショボンのリードを外す。
適当にひとっ走り。
それから御主人のもとに戻って、ひなたぼっこ。
……今日は来てくれるかな。来なかったらまた明日。それでも来なかったら、また明日――
(∪^ω^)『!』
――来た!
川д川「……ツン、さんだ。……こ、こんにちは」
ξ゚听)ξ「……こんにちは」
また会ったね、ってさだこが言う。
御主人は頷いて、立ち上がった。
川д川「か、かえ、帰る、の?」
ξ゚听)ξ「うん」
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「?」
(´・ω・`) シーン
ξ゚听)ξ「ショボン? 帰るよ」
(´・ω・`) シーン
御主人がリードを引っ張っても、ショボンは動かない。
伏せの体勢のまま、ブランコを眺めている。
ξ゚听)ξ「ショボンってば」
(´-ω-`) ワフン
――僕みたいに小さいと、引きずられたり抱っこされたりするだろう。
けれどショボンはゴールデンレトリバー。大きいし重たい。
こうやって御主人を足止めするのにぴったりだ。
ξ゚听)ξ「ショボン!」
(;´-ω-`) ……ワフ
ちょっと辛そうだけど。
(∪;^ω^)『ショボン、大丈夫かお』
(;´・ω・`)『ああ……御主人のためとはいえ、命令をシカトし続けるのは心苦しいな』
あと3回ぐらい命令されたら歩き出す、とショボンが言う。
それじゃあ駄目だ。
今度はぼくががんばる番。
(∪*^ω^)ワンワンオ!!
川;д川「わっ」
ξ;゚听)ξ「あ、こら!」
さだこに飛び掛かる。
さだこはとっても痩せてるみたいで、簡単に尻餅をついた。
(∪*^ω^)ワンワンオー
川;д川「きゃう」
さだこの手をぺろぺろ舐めると、くすぐったそうに笑った。
川*д川「あ、あはは、……かわいい……」
ξ;゚听)ξ「やめなさい、ブーン! ……ごめんなさい、この子、人懐っこくて」
川*д川「あはは、う、ううん、か、かわい、くて、いいと思、思う、よ」
(∪*^ω^)ペロペロオン
川*д川「ふふ……――ん?」
(∪*^ω^)ペロ……
(∪^ω^)
あれ? 何か変な味――
(∪;゚ω゚)オン!?
川;д川「あ……」
うわああああああ!?
さだこの手から血が出てる!?
川;д川「あ、ありゃりゃ」
ξ;゚听)ξ「血……! 大丈夫!?」
川;д川「う、うん、ただの擦り傷……。ここ、転んだときに、多分」
ξ#゚听)ξ「ブーン!」
(∪;ω;)オーン、オーン
ごめんなさい! ごめんなさい!
ぼくは、御主人とさだこが会話するきっかけを作れればって!
怪我させるつもりはなかったんです! 本当です!
(;´・ω・`)『あーあ……失敗か?』
ξ;゚听)ξ「もう……! 貞子さん、こっち来て」
川д川「は、はは、はい?」
御主人はぼくとショボンのリードをベンチの足に結んで、
貞子の怪我してない方の手を引っ張った。
2人が水飲み場に歩いていく。
(´・ω・`)『……どうなるかね』
(∪;ω;)オーン
さだこの傷を洗ってるみたい。
少しすると、こっちに戻ってきた。
ξ゚听)ξ「座って」
川д川「う、うう、うん」
ベンチに並んで腰掛ける。
御主人はハンカチで傷の周りを拭くと、小さな鞄から箱みたいなのを取り出した。
(∪^ω^)『あれ何だお?』
(´・ω・`)『絆創膏。怪我したときに貼るもんだ』
ばんそーこーとやらを、さだこの傷に貼った。多分。
ぼくからはよく見えない。
ξ゚听)ξ「ごめんなさい……」
川д川「う、ううん、きき、気にしてない。あ、ありが、とう」
川д川「……あ、ありがとう、本当に……」
ξ゚听)ξ「絆創膏貼っただけだし、そもそもうちの犬のせい――」
川д川「そ、それ、じゃなな、くて」
川д川「きょ、去年……の……」
ξ゚听)ξ「……」
川д川「わ、わわ、私、こんな、だから。……ど、どもって、うま、く、話せな、から」
川д川「それ、それに、あのとき、き、あ、頭パニックだ、たから」
川д川「お礼、い、言い損ねちゃっ、た……」
川д川「……わ、私のこ、こと、か庇って、くれて……ああ、ありがとう、ご、ざいました」
ξ゚听)ξ「……」
川д川「……でも、私のせ、せいで……無視されてたの、ごご、めんなさい……」
ξ゚听)ξ「別に、気にしてないよ」
川д川「や、やっぱ、ツンさん、優しい、ね……」
ξ゚听)ξ「そんなことない」
川д川「ある、よ、今だって、ば、ばんそこ……ほ、ほら、優しいよ」
川д川「つ、ツンさん、が学校じゃ、近寄り、が、がたい、けど……」
川д川「こん、な、風に、本当は、す、すごく、優しい……」
ξ*∩∩)ξ「……」
川д川「あ、てれ、照れてる……?」
ξ*∩∩)ξ「て、照れてないし!」
川*д川「ふふ……は、あはは」
ξ*∩∩)ξ「笑うなあ!」
川*ー川「あははは……」
川ー川「……ず、ずっと……ありがと、って、い、言いたかったの……。
やっと、いえ、言えた」
ξ*゚ -゚)ξ「……」
川д川「がっこ、でも、こんな風に、し、した、ら、み、みんな、もっと、
ツンさ、さんと、仲良く、し、してくれるとお、思うよ」
ξ*∩∩)ξ「無理恥ずかしい。今更キャラ変えとか無理」
川д川「だ、だだ、大丈夫、ゆ、ゆっくりでも……が、頑張ってみよ……。
わ、私もてつ、手伝う、し」
川;д川「あう、わ、私なんかが、て、手伝うのは、い、嫌かな……」
ξ*∩-゚)ξ「……」
ξ*゚ -゚)ξ「……よろしく、お願いします……」
川*ー川「……う、ん!」
(∪^ω^)『おー……』
(´-ω・`)『上手くいったんじゃねえの』
(∪*^ω^)『本当かお!』
(´-ω-`)『おうよ』
(∪*^ω^)『やった! やったおー!!』
ξ;゚听)ξ「……何で急にはしゃぎだしたの、ブーン」
川*ー川「か、かわいいね、2匹共……」
【がんばること、そのよん ごしゅじんをたすける】
クリア!
御主人とさだこが仲良くなってから、しばらく経った。
(∪‐ω^)『……おー……?』
川д川「あ、ぶ、ブーン君、ショボン、君、おはよ」
(∪*^ω^)『おっ! さだこ!』
(´・ω・`)『はよう』
最近、さだこが毎朝家に来る。
ちょっとお寝坊さんな御主人を迎えに来てるらしい。
ξ--)ξ「んー、おはよう……」
川;д川「ま、まだ、眠そうだ、だね」
ξぅ听)ξ「昨日ちょっと夜更かしして」
川д川「い、いつもでしょ……ふふっ」
ξ゚听)ξ「あー、今日の体育も体力テストだっけ……」
川д川「う、うん。じ、持久走、と50メートル走」
ξ゚听)ξ「今日こそクーに勝ってやる……」
川д川「シャトルランと、は、反復横跳びは負けてたもん、ね」
ξ#゚听)ξ「うっさーい! くっそ、あいつ胸に余計なもんぶら下げてるくせに!
ハインもだ畜生!」
御主人は友達が増えたみたい。
毎日楽しそうだ。
ξ*゚听)ξ「――あ、ブーン、ショボン、いってきまーす」
(∪*^ω^)『いってらっしゃいおー』
(´・ω・`)『いってらー』
(∪*^ω^)『ねえねえショボンショボン』
(´・ω・`)『あん?』
(∪*^ω^)『ぼく、ボクサーに近付いたんじゃないかお?』
ふふん、と誇らしげにおすわりしてみる。
結構大きくなってきたんじゃないかなあ。
筋肉もついてきたかも。
頭も良くなったと思う。気品も身についた筈!
(´・ω・`)『見た目は全然変化無いな』
(∪´ω`)
なんだってー。
(´・ω・`)『けどよ』
(∪^ω^)『おん?』
ぼくの頭に、ショボンが顎を乗っけた。
こんにゃろう大きいからって馬鹿にしやがってー。
(´・ω・`)『テレビのボクサーにゃ負けねえぐらい、
てめえの心はでかくて逞しいや』
(∪*^ω^)『――おっ!』
(∪^ω^)はボクサーのようです
おわり!
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