川 ゚ -゚)クーがアプローチするようです  [ログ


 
弟がネトゲ廃人になってから三ヶ月が経った。
そろそろ大学の方もヤバイ事になっているらしいので
四年生の私は弟を何とか社会復帰させようと試みる事にした。

川 ゚ -゚)「おーっす、ドクオ」

('A`)「狩り始めます。聖玉ドロップしたらよろ」

まずは夏場と言う地の利を利用し、下着姿で堂々と登場。
胸をゆっさゆっさと揺らしながら私はドクオの後ろに立った。

川 ゚ -゚)「また一日中引きこもってゲームか? 全く、そんなんじゃ彼女もできないぞ」

缶ビールをあけて豪快に飲む。知人によると、ここ萌えポイントらしい。




しかしドクオは、まるで私が存在していなかのように振舞う。
私はこれでもミスユニバーサルに選ばれた事がある。外見に自信が無いわけではない。

ここまで清々しくシカトされると、流石にプライド的な側面から怒りの炎が湧いてしまう。

川 ゚ -゚)「そんなに面白いのか? そのゲームは」

('A`)「回復魔法あり」

私はさり気無く、ドクオの肩に胸を乗せる。
巨乳にしか出来ない芸当だ。ツンなんかが見たら嫉妬でぶちぎれそうな状況だがやむなし。

川 ゚ -゚)「当ててるんだぞ、ドクオ」

('A`)「炎魔法お願いします」

顔色一つ変えないとは、何て悟りレベルだ。
実の姉がここまでアプローチしているというのに、ここまで無反応を貫かれるとは思ってもみなかった。

ふむ。
どうやら、これは本気で取り掛かるしかあるまい。


  
川 ゚ -゚)「それにしても、今日は暑いな」

私はベットに腰掛け、ごろりと横たわる。
下着姿の姉がベットに。これで獣にならない男がいたら、そいつは聖人君子の子孫だろう。

('A`)「レアドロップおめです。トレードおkですか?」

川 ゚ -゚)「失礼。どうやら、お前は聖人君子の子孫のようだな」

見向きもしないとは、予想外だった。
まずいな。もしかして、ドクオはすでにネトゲ世界に生きる究極廃人にまで達してしまったと言うのだろうか。

大学のとある友人が言っていたことを思い出す。
究極廃人にとって、こちら側がバーチャル。あちら側がリアルなのだと。

『ゲームなのに何マジになってんの? このNPC』

とある究極廃人は、実の母親に対してそう言ったらしい。
こうなれば最後。もう彼らはリアルへとは戻って来れないのだ。



 
川 ゚ -゚)「おや、ベットの下にエロ本が……。ドクオはこんなもので抜いているのか。
     全く、情けないなー」

私はすかさず次のアプローチに取り掛かる。

姉にエロ本を発見され「やめろよー」「ふ、取り返してみろよーだ」などというやり取りの後に、
何だかんだでベットインしてしまうという王道的アプローチである。

('A`)「杖ドロップキター」

川 ゚ -゚)「ドクオは巨乳が好きなのか? ふふ、こんな本見なくても、お姉ちゃんに言ってくれれば
      たっぷり見せてやったのに」

('A`)「トレードならレートは100万で」

川 ゚ -゚)「冗談? うん、そうだな、冗談だ……気にするな」

('A`)「一旦戻ります」

川 ゚ -゚)「……いいぞ。触っても」

('A`)「合成よろです」



   
川 ゚ -゚)「ん……ま、待て。慌てるな」

川 ゚ -゚)「初めてなんだ。優しく、な?」

川 ゚ -゚)「ば、馬鹿。私は別に、そんな気は……きょ、兄弟なんだぞ?」

('A`)「レート高ぇよカス。クレクレ君氏ね」

ふう。
私の女としての存在価値を疑うほどに、無視されてしまった。

なあに。ここまではほんの小手調べだ。

川 ゚ -゚)「あー、それにしても暑すぎるな。ブラもとってしまおうか」

('A`)「鎧誰か持ってる?」

川 ゚ -゚)「兄弟なんだし、別にいいだろう? 何だ? 意識しているのか?」



 
川 ゚ -゚)「あっ……」

↑何だかんだでブラを取るつもりはなかったのに取れちゃったっていう状況。

川 ゚ -゚)「み、見るなッ!」

('A`)「誰だよ拡声器つかってんの」

川 ゚ -゚)「誰にも見せた事無かったのに、うう……」

川 ゚ -゚)「う、うるさいっ! 何が綺麗だったよ、だ! この変態、出て行け!」

('A`)「あんだよ、また厨ギルドの連中か」

強気お姉ちゃんの恥じる姿がそそるらしいが、
どうやらドクオはあまりそっち方面は好みじゃないらしい。




川;゚ -゚)「お、おい。な、何だ、その膨らんだ、その、所は」

('A`)「今度PKやりますか。ええ、あるあるwww」

川 ゚ -゚)「そうか。私の胸を見て興奮したのか。ふふ」

私はドクオの両肩に生乳を乗せる。
これはもうたまらんだろう……常識的に考えて。

川 ゚ -゚)「私の胸を見たんだ。責任、とってもらうぞ」

('A`)「あー、あいつはATK上げれば楽勝ですよ」

川 ゚ -゚)「ドクオ、おっぱいだよー」

('A`)「戦士系でパーティー組めばいけますから。俺の副垢使いますか?」

川 ゚ -゚)「ぼよんぼよーん」



 
私はドクオから離れ、上着から携帯を取り出す。

川 ゚ -゚)「あ、もしもしツンか?」

ξ゚听)ξ「もしもし? どうしたのよ、こんな時間に」

川 ゚ -゚)「私って美人だよな?」

ξ;゚听)ξ「ハァ!? いきなり何?」

川 ゚ -゚)「十人いたら何人の男が私に振り向くと思う?」

ξ;゚听)ξ「さ、さぁ……。何かムカつくけど十人とも振り向くんじゃない?」

川 ゚ -゚)「当然だ」

私は失いかけた自信を再認識し、再びアプローチを試みる事にした。



 
私はメイド服に着替え、ドクオの部屋に舞い戻った。

川 ゚ -゚)「き、昨日の礼だ。今夜限り、お、お前専属のメイドになってやるぞ。
     勘違いするな。借りは返すのが私の流儀だ。け、決して好きでやってるわけではないからな!」

この日の為に買ったメイド服(3万8000円)の威力は、恐らく絶大だろう。
私自身ですら、鏡にうつるメイド服を着た自分自身にくらりときてしまったのだ。

('A`)「ロマさん、久々っす。あ、レベル上がったんすよ俺」

川 ゚ -゚)「本棚を整理するぞ、ご主人様。よいしょっと、ってわ、わわっ!」

ご奉仕+ドジッ子フラグ+純白パンチラ。
三連コンボだ。さあ、こちら側へ戻って来い我が弟よ。

('A`)「ロマさん社会人なんすかー。へー。ギルド強化したいんで仕事やめてください」

川 ゚ -゚)「こ、こらぁ! 覗くなスケベっ! ひゃうっ、ね、ねこじゃらしはやめろっ」



 
('A`)「この世界に命かけられないならギルド辞めてください。俺ら真剣にやってるんで」

川 ゚ -゚)「すまない……。本棚、汚してしまった……はう、こうなったら、お詫びに夜のご奉仕だけでもやらせてくれ!」

私はひざまずいて、口を開ける。
さあ、こんな美人の姉の口にアレをアレする機会なんて今しか無いぞ!
遠慮せずに本能のままこちらへ帰還するんだ、ドクオォォォ!

('A`)「ロマうぜー。ああいう半端が一番困るっすよねwww」

川 ゚ -゚)「ちゅぱ……ちゅぱ……」

('A`)「再び狩りいきまーす」

川 ゚ -゚)「ん、ああん! あんあん! あいん!」

('A`)「僧侶は防御固めで。はい、あ、ありです」

川 ゚ -゚)「あいいいん! ぱおぉぉぉん! どっぴゅうううんだぞぉぉ!」



 
落ち着け。考え方を変えるんだ。
メイド服代3万8000円は、ドブに捨ててしまったと思えばいい。

私は再びツンにテルした。

川 ゚ -゚)「もしもし、貧乳か?」

ξ゚听)ξ「切ってもいいかなぁ? 私、今日ブーンとデートなんですけど」

川 ゚ -゚)「ああ、ブーンなら一昨日、私にしつこく付き合ってくれとつきまとっていたぞ」

ξ゚听)ξ「あのピザ、誠の生まれ変わりかよ。明日殺す。で? 何のよう巨乳さん?」

川 ゚ -゚)「弟の件なんだが、中々手ごわくてな」



  
私はツンに教わったABCを試したがどれもダメだった、と伝えた。

川 ゚ -゚)「私には魅力が無いのだろうか……うう」

ξ゚听)ξ「そんな事ないって」

川 ゚ -゚)「あたり前だこのペチャパイ。お前に同情されるほど落ちぶれちゃいないさ」

ξ゚听)ξ「何であんたと親友やってるのか分からなくなってきたわ。
     それは置いといて、話戻すけど弟君はまるでクーに興味なしなのね?」

川 ゚ -゚)「……」

ξ゚听)ξ「はいはい。プライドが高いから無言の肯定ですね、わかります。
     つーか、実の姉が誘惑してもどーしよーもないんじゃない?」

川 ゚ -゚)「ううむ、それは盲点だった。血の繋がりがあると異性として意識しないというアレか」



 
ξ゚听)ξ「当たり前でしょ? エロゲじゃないんだから。つーかエロゲだと血の繋がりないから」

川 ゚ -゚)「流石オタク。気持ち悪い事をよく知っていらっしゃる」

ξ゚听)ξ「それ以上、無駄に噛み付いてきたら夜道で刺すわ。
     オタク知識はあれよ、ブーンが無理やり教え込むから……こほん、とにかく」

ツンは一息おいて、言った。

ξ゚听)ξ「全くの赤の他人に、誘惑を頼んでみればいいんじゃない?
     いくらあんたが綺麗で巨乳でも、無理なもんは無理なのよ」

川 ゚ -゚)「くっ……私はミスユニバーサルに連続で選ばれた女だぞぉぉぉ!
     その偉大なる私がっ! 弟ごときを誘惑できぬ訳が、なぁぁぁい!」

ξ゚听)ξ「死亡フラグよ、それ。とにかく諦めて別の人に」

川 ゚ -゚)「よし、ツン。今からこっちに来い」

ξ゚听)ξ「へ?」




 
こんな事もあろうかと、ツンのいやらしい写真をとっておいて良かった。
女同士だからといって油断するのは、人生舐めすぎと言う事をよく知っておいて頂きたい。

ξ゚听)ξ「あんた腐ってる……絶対地獄に落ちるわよ」

川 ゚ -゚)「安心しろ。弟を救ってくれたらネガは焼くから。絶対オークションにかけたりしないから」

ξ゚听)ξ「一体、何人の女があんたに消されたのか凄く気になるわ、うん」

川 ゚ -゚)「大丈夫。15人くらいだ」

ξ゚听)ξ「高校時代、あんたに妬む奴が次々に転校していった謎が今解決しました」

まぁ、そんな平和的交渉の末に、ツンもドクオを救うのに協力してくれる事になった。
今まで、私は貧乳などカスだと思っていたが、もしかしたらドクオは小さい方が好きなのかもしれない。
非常に納得がいかないが、家族の為だ。ここはプライドは捨てる事にする。



ガラッ

ξ゚听)ξ「こんにちはー」

('A`)「高速化早く! 攻撃避けられねえって!」

('A`)「あああん! マジ使えねぇ! マジ使えねー忍者ぁぁぁ!」

ξ゚听)ξ「お邪魔しましたー」

バタン

ξ゚听)ξ「ごめん無理」

川 ゚ -゚)「大丈夫だって。基本的に無害だと思うから」

ξ゚听)ξ「いや、あれは存在自体がもう有害だと思うんだ。
     なんていうか、逆キリスト的な存在と言うか」


 
人の弟に何て事を言うんだろうか、この女は。
しかしながら、それに関しては反論の仕様が無いのでここは一歩引いて
大人の対応をする事にした。

川 ゚ -゚)「ツン。人生を棒に振りたくなかったら、私の弟を救ってくれ、頼む!」

ξ゚听)ξ「もうなんかメチャクチャだよ。それ、頼んでないよね、脅しだよね?」

私の素晴らしい説得により、ツンは再び(しぶしぶ)部屋へと入る。

ξ゚听)ξ「こんにちは……」

('A`)「はぁはぁ、シィさん。俺と、結婚してくれ。え、いいの?」

川 ゚ -゚)「ドクオ。こちら大学の友人のツンだ」

ξ゚听)ξ「う、うわー。かっこいい弟さんデスねー」



 
私はツンの背中に、写真を押し付ける。

川 ゚ -゚)「私は大変な物を盗んで生きました。それはツンの人生です」

ξ゚听)ξ「ちょっとドクオ君! あなた、大学にも行かないでゲームしてるんだって?
     いい加減にしなさいよ! わ、私、しんぱ……ごほん! みんな心配してるのよ!?」

ツンはまさかの委員長タイプで攻め始めた。
が、眼鏡無し+高校生にしてはちょっと老け(ry 無理があるんじゃないだろうか?

('A`)「ロマ抜けてからいいメンバーいないっすね。どうします?」

川 ゚ -゚)「おいおい、どうしたどうした」

ξ゚听)ξ「く、これは想像以上にツワモノね」

ツンは上着を脱ぎ、シャツ一枚になって本気モードになった。
さて、お手並み拝見と行こうか。



ツンは器用にブラを外し、ノーブラ+シャツという涼しげな格好になり
ドクオの背後から気配を消しつつ接近する。

ξ゚听)ξ「ねえ、それどんなゲームなの?」

川;゚ -゚)「あ、アレは夏の小学生とかによくあるシャツの隙間から胸が見えちゃってる攻撃!
     ブラをつけていない小学校高学年〜中学一年くらいの時期にしかお目にかかれないマニアックかつ興奮できる芸当じゃないか!
     ツンの奴……ちょっと見ないうちに成長したな」

ドクオはロリコンだとすれば、ツンの容姿はまさにドンピシャ。
なるほど、私のアプローチが効かなかった理由も頷ける……!

('A`)「え? 俺の職業っすか? そうだな……あえて言うなら、名も無き戦士、かな」

ξ゚听)ξ「きゃっ! も、もう。どこ見てるのよ、えっち!」

('A`)「は? ニートとかふざけんなし。お前アホだろ? 戦士だっつってんだろ」

ξ゚听)ξ「えへへ、でもお兄ちゃんなら……いいよ」




 
川;゚ -゚)「胸チラが効かなかったからすぐさま妹攻撃に切り替えるとは……」

サークルで行った合コン必勝法百戦修行〜女を磨く試練〜は無駄ではなかったということか。
結局、修行に時間をかけすぎて肝心の合コンがおじゃんになるという何ともむなしいイベントだったが、
ここでそのテクニックが役に立つとは、流石だな。

ξ゚听)ξ「お兄ちゃん、私のここ……触ってほしいの」

('A`)「ロマさんちわっすwwwあれ?まだレベル30っすかwwww遅ぇっすねwww」

ξ゚听)ξ「ひゃんっ! な、なんかしびれたのぉ」

('A`)「は? 説教っすか?wwwwリアル社会人乙www負け組っすねwww」

ξ゚听)ξ「ゴクウさ、オラの胸触ってほしいだぁ……」

川 ゚ -゚)「もういい、もういいんだ……! ツン、お前は良く頑張った。感動した」




 
ξ#゚听)ξ「おおい、胸がしびれて感じてるってんだろーがっ! おい!
     イ○ポか? あんた不能なんですかエーェ!? 女から迫るとかエロゲってレベルじゃねーぞ!
     そもそもアンタみたいな酸素の無駄遣い男が存在している事自体罪! そう、罪なのよ!
     あんたのせいで何人の報われない人が生まれてると思ってるの! あああ! もうシカト!? シカトデスカー!?
     お、女のプライドってもんがね、もうね、火山の噴火よひーひひひ! 火! ファイヤー! わかる!?」

川 ゚ -゚)「もちつけ。もう、この問題は私達だけじゃ解決できない……。
     認めようじゃないか……敗北を」

ξ;凵G)ξ「うあああああっ! すっげぇ悔しいんすけどーwwwwあばばばばwwww」

ツンは泣き出してしまった。
よほど自信があったのだろう。たかが一回のアプローチの失敗で、心が折れてしまった。

川 ゚ -゚)「泣くんだ。失敗から立ち上がれば、必ず強くなっている。
     そうやって女は美しくなっていくのだ」

ξ;凵G)ξ「う、う……ちくしょう、ちっくしょー!!!」




私達の想像していた以上に、ドクオは毒されていた。ドクオだけに。
もはや一個人では解決は不可能と判断し、私達は所属しているサークル『スイーツ笑』に助けを求めた。


(*゚ー゚)「ドクオ君の問題は、想像以上に深刻なようね」

コードネーム、しぃ。

かつて五百人以上の円光親父の逮捕に協力したという伝説を持つ、永遠の13歳。
その愛くるしさは、もはや性欲の対象を越えて娘として見られ大事にされるほどの能力を持つ。

彼の父親だと名乗る人物は、今なお後を絶たず世界中にパパを持つスイーツ二強の一人である。

从 ゚∀从「まさか、あのクーが頭下げるとはな。こりゃ手ごたえがありそうだぜ」

コードネーム:ハインリッヒ。

乱暴さと孤独さとその狭間に見せる寂しさで、神奈川の暴走族の頭百三十人を虜にし
かの『神奈川暴走族戦争』を巻き起こした張本人である。本人曰く「うるせーから内部から壊した」とのこと。
子供好き、実はたくましい、でも一人じゃ寂しいの、など様々なスキルを持つスイーツ二強の一人。




lw´‐ _‐ノv「米はうまいが、ドクオはあずき色だと思われる」

コードネーム:シュー

エロゲからいらっしゃったんですか? と言わんばかりの奇怪な性格をしている。
だが、まとわりついてくる内に愛着がわいてしまうという、まるで犬のようなスキルを持つ変則型接近タイプ。
対象となった男性は、ああこいつを分かるのは俺だけだ、という錯覚を起こしてしまい、次第に彼女に依存してしまう。

そして、気まぐれだから突然去る。彼女を追って旅に出た男性は星の数ほどいると言われている。


以上、スイーツ笑の幹部に、私達はドクオ救出の依頼を頼み込んだ。

川 ゚ -゚)「こちら、依頼料でございます」

ξ゚听)ξ「あんた、そんな大金どこに隠し持ってたのよ……」

川 ゚ -゚)「ま、女の子ってのはそれだけで商品になりえ……ごほんごほん」



 
(*゚ー゚)「じゃあ、いきましょうか。天国に連れて行ってあ・げ・る」

――――コスプレ、大人の玩具、拘束するアレその他。

从 ゚∀从「ま、あたしらに任しときな。大船に乗ったつもりで待ってなよ」

――――今、日本屈指と言われる女神達が、とある男を救う為に。

lw´‐ _‐ノv「うまうま」


       電子の世界に住んでいると言われる、奇人ドクオを討伐するべく

            最強のチームとなって、彼を誘惑するッ……!


                 さあ、戦争を始めよう。



  
(*゚ー゚)「おとーさん、好き。もふもふさせてー。うわ、もじゃもじゃー」

                从 ゚∀从「ダメだ。アタシに付き合っても……あんたは幸せにはなれないよ」

lw´‐ _‐ノv「お前の米を飲み干したい」

                 ξ゚听)ξ「あ、あんたのそれ、抜いてあげてもいいけど?」

川 ゚ -゚)「久々に、姉ちゃんと風呂はいるか?」

            もふもふ
                  ぼいーん
 ポロリ キャー
               そーれわっしょいわっしょい
どすこい!そぉいどすこーい!!   クー、それちゃう。それ力士や。
        ショボンを呼んで来たわ!ホモ用に!
                   いいのかい?僕はノンケでも食っちまう男なんだぜ。
          米と共に酒になればいいのに。


('A`)「そうっすね。ええ。そろそろ追加パッチがきますねー」



  
一時間後。
そこには、乙女の屍がごろりごろりと無残にも転がっていた。

川 ゚ -゚)「何てことだ……我々は、無力だ……」

(*゚ー゚)「わ、私の、攻撃が無力化された? こんなの、初めて、よ」

从 ゚∀从「見えない。あたし、もう見えないぃぃぃ!」

lw´‐ _‐ノv「国へ帰ります」

ξ゚∀゚)ξ「あははははははははははははははははは。
     胸よ、世界は胸で出来ているの!貿易でも胸は世界一の輸出量なの!」

壊れていく仲間達を見て、私の心にもついに諦めと言う言葉が浮かんできた。

川 - )「……あぁ」

無理だったんだ。
私は、ドクオを救う事が出来なかったんだ。


  
ネトゲの魔力は、私達全員の力をもっても打ち破る事が出来なかった。
そう。ドクオはもうあちら側の人間になてしまったのだ。

川 ゚ -゚)「何故だ、何故……ドクオがっ! 私の弟が何をしたッ!」

ξ゚听)ξ「クー……」

川 ゚ -゚)「私は無力だ……! 弟の一人も救えなかった……!」

涙が、零れ落ちた。もう枯れ果てたと思っていた涙が、頬を伝って落ちていく。
思えば、私はドクオに酷い仕打ちばかりをしてきた。

―回想―

川 ゚ -゚)「ようブサイク。私の弟だってほざいたら評判落ちるからやめてね」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「半径二メートル以内に近づいたら通報する」

回想終わり




ξ゚听)ξ「そんな……諦めたらそこで試合終了よ、クー」

川 ゚ -゚)「でも、もう打つ手が……」

(*゚ー゚)「諦めちゃダメ!」

泣き崩れる私に、しぃが手を差し伸べた。

(*゚ー゚)「ドクオ君を救えるのは、あなたしかいないのよ!? お姉さんなんでしょ!?」

川 ゚ -゚)「しぃ……」

从 ゚∀从「そうだよ。負けっぱなしで引き下がるのは、女じゃねえ。それはただのスイーツだ」

ハインも、血だらけになった髪をはらい、起き上がる。

lw´‐ _‐ノv「自然の力はまだ死んでいない」

シューは、パンツに下駄というマニアックな姿になりながらも、その瞳は闘志に溢れていた。



 
川 ゚ -゚)「皆、どうしてそこまで……。まさか、友情とか言わないだろうな?
     ふふ、よしてくれ。私は部費をホストにつぎ込んで脱退した女……スイーツから追い出されて当然だったんだ」

(*゚ー゚)「友情? 違うわね」

しぃが、口を開く。
瞬間、メンバー全員の声が、一つとなってアパートの部屋に響き渡った。

(*゚ー゚)从 ゚∀从lw´‐ _‐ノvξ゚听)ξ
 「「私こそが、一番美しい女性だと証明する為にっ!!!」」


川 ゚ -゚)「なっ……」

愕然とした。
こいつらは、金や私利私欲の為に協力しているわけではない。

女としてのプライド。それを確立する為に。
オンリーワンでなく、ナンバーワンになる為に、ドクオを落とそうとしているのだ。




川 ゚ -゚)「ふふ……そうか。そうだったな」

ここにいる女は、馬鹿な男に騙されるわけでもなく。
幸せな家庭を築きたいという平凡な夢を持っているわけでもなく。

ただ、己を磨く為に、生きている。
そういう女達なのだ。

川 ゚ -゚)「よし、もう一度やろう! 私達の中で誰が一番か証明する為に!
     そして、ドクオを救いもう一度人生をやり直させる為に!」

「「応!!」」

川#゚ -゚)「落として性を打ち立てろ!!!」


       再び、女達の魂に火がついた。



ドガシャアアアン!!!

(#ФωФ)「うるせえぞコラァァァァ!!!!」

と、ギリギリのパロディをやったその時だった。
隣の部屋のおっさん(名称不明)が、あまりのうるささに飛び込んできたのだ。

(#ФωФ)「今、何時だと思ってんだコラ!!俺は明日も会社なんだよ!!」

川 ゚ -゚)「あぁん? こっちはそれどころじゃないんじゃ!」

(*゚ー゚)「そうじゃそうじゃ! 独身リーマンはひっこんどれ!」

(#ФωФ)「ピーピーうるさい言うとろうがああああ!」




('A`)「……!」

瞬間、ドクオが初めてこちらの方へ振り返った。
ここにきて遂に、彼がこちら側の世界へと関心をしめしたのだ。

川 ゚ -゚)「ドクオ!? ついに私の魅力に気付いたのか!?」
(*゚ー゚)「いや、私でしょ? ドクオ君、そうでしょ!?」
ξ゚听)ξ「私よ、私の胸チラね!?」
从 ゚∀从「あたし、もう薬やめる・・・!」
lw´‐ _‐ノv「ええい、下駄か? 下駄がきいたのか?」



('A`)「その喋り方……ロマさん、なのか?」

( ФωФ)「なっ……そのPC画面に映るキャラ、君はドクオ……!?」



  
川 ゚ -゚)「え?」

状況が分からず、混乱している私達を他所に、二人は何故か親しげな笑みを浮かべあっている。

('A`)「あの、あのさ……この間は、その、ごめん。酷いこといって……。
    俺、本当はあんな事言うつもりじゃなかったんだ」

( ФωФ)「ああ、わかってるさ。俺だって、ずっとドクオの事が気がかりだった」

('A`)「あんたさ、あの時、俺に言ってくれたよな? リアルとゲームは違うって。
    ……正直、結構堪えたんだぜ、あれ。俺を叱る奴なんて、今までいなかったからさ。
    カーチャンも、トーチャンも、みんなブサイクな俺を哀れんで、腫れ物を扱うような扱いで」

('A`)「初めてだったんだ。俺を本気でPKしてくれた奴は」



 
川 ゚ -゚)「PKって何だ……?」
ξ゚听)ξ「プレイヤーキラーの事じゃないかな……ほら、プレイヤーがプレイヤーを殺すあれ」
(*゚ー゚)「そんなことはどうだっていいのよ……この空気、嫌な感じだわ……」
从;゚∀从「まさか、まさかとは思うけどよ」
lw´‐ _‐ノv「作者は……落ちを狙っている……!」

私達が困惑する中、もはや地の文もてきとーになりつつあるこの状況。
嫌な風が、頬を撫でる。

そして。

( ФωФ)「俺も、ドクオの真剣さに触れてから、ずっと悩んでいたんだ。
      くだらねぇ現実を生きて、楽しいのかって。ずっと考えて、苦悩していた
      俺はあんたが羨ましかったんだ」

('A`)「はは、可笑しいな。俺は、ちゃんとゲームをゲームと割り切っているあんたが羨ましかった。
    俺もこのままじゃダメだって、うすうす気付いていたんだ」



 
川 ゚ -゚)「待て、待つんだ。まだ夜は長いぞ」
(*゚ー゚)「そうよ。これは前半でしょ?後半は明日でしょ?ねえ」
从;゚∀从「これで終わったら世界中のあたしのファンが泣くって、まだ濡れ場が」
ξ゚听)ξ「ハッピーエンドはもう見飽きたでしょ?はい、そろそろ場面かわって!はい!はい!」
lw´‐ _‐ノv「実は……皆も、私達に興味なし……?パイナップル」

おい、ここは私が説教して終わる落ちでどうだ?
つーか、この話の主人公はこの私、クー様じゃないのか!?

( ФωФ)「どうだ? 試しに、お互い違った生き方を選択してみると言うのは」

('A`)「え……?」

( ФωФ)「俺は、今度はそっちで生きる。バーチャルの世界がリアルで、リアルの世界がバーチャルだ。
      仕事もやめて、ネトゲだけに打ち込んで見せるよ。あんたのように」

('A`)「じゃあ、俺はあんたの生き方ってやつをやってみる。うん、たまにはいいかもしれないな……こっちも、さ」



 
( ФωФ)「好きに生きてみるのも、いいんじゃないか?」

('A`)「あんたもな」

ロマネスクとドクオの視線が交わる。
そこにあるのは、男の友情。真っ直ぐに生きられない、不器用な二人の男の狂想曲。

( ФωФ)「今度また会う時は、君が私をPKしてみろ」

('A`)「その時はまた、互いの価値観が入れ替わるかもな」

そう、人生は何が起こるか分からない。
どんなにどうしようもない依存も、小さなきっかけがあれば、抜け出せるかもしれない。

しかし、依存になるきっかけもまた、小さいもので構わないのだ。



 
エピローグ


――その後の事を、少しだけ語っておこう。

ドクオは今、大学六年生として立派に大学生をやっている。
母親に頭を下げて、なんとか中退は免れたようだ。

川 ゚ -゚)「なあなあ、ドクオ。さっきから私の台詞が」

('A`)「それじゃ、行ってくるよ。クー姉ぇ」

姉との距離も、少しずつだが埋まってきているようだ。
かつて彼を苦しめていた劣等感は、今はもう見る影も無い。

川 ゚ -゚)「おい、私の一人称はどこいった」



  
ロマネスクがどうなったかは、ドクオは知らない。
彼は彼なりに考え抜いて、自分の道を選択した。

('A`)「自分の人生は、自分で切り開く、か」

他人がとやかく言うのは、お門違いだという名言だ。
ドクオは今、ようやくその意味を理解しつつあった。

('A`)「俺の未来は、俺自身で決めてやるさ」

なあ、ロマネスク。

今、あんたはどんな世界にいるんだい?

どっちの世界がいいかなんて、人それぞれだと言う事をあんたは教えてくれた。




('A`)「あ、ヒートちゃーん!!」

どちらにせよ、俺はこの選んだ世界で、全力で生きてみようと思う。
ネトゲの世界でも、全力を出したんだ。

リアルでも、バーチャルでも、本質は変わらない。


――そこで一所懸命生きる事が、何よりも

                   大切な事なんだ――

ドクオは、手を振りながら、坂道を駆け上がっていった!


fi川 ゚ -゚)「ちょっと待て!せめてあと一レスくれ!」





89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 00:12:46.29 ID:YuOQfDYv0
純愛スレかと思ったのに、なにこの展開www

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 00:12:54.27 ID:D0b6D1iiO
ひでぇ話だwwww


223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 01:26:08.51 ID:wXuAQqe2O
涙腺が崩壊した

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 00:23:04.05 ID:a/v0RAEw0
つーか ネットの回線切れよ

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/21(木) 00:26:33.50 ID:Xju2eUO30
>>108
俺の彼女RO廃人だったんだが回線切ったら手首切りやがった

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 00:27:44.33 ID:jJURnla/O
>>115
ネトゲ廃人おそろしいな……


229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 01:28:56.62 ID:D1OQ2WcW0
クー……

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 01:29:25.66 ID:sHztMcVlO
( ;∀;)イイハナシダナー

川#゚ -゚)「……で、どう落ちをつけるって」

ξ゚听)ξ「さあ。とりあえず、私達は部屋で待機って言われたんだけど……」

どたどたどた!

川 ゚ -゚)「何このてきとーな擬音。いい加減にしろよ」

(*゚ー゚)「クー、ツン。いい儲け話があるんだけど、乗らない?」

川 ゚ -゚)「はいはい。残りレスも少ないから話だけでも手短に聞こう」


(*゚ー゚)「ロマネスクって廃人さんをね、こっちの世界に戻すのにアプローチして欲しいんだって!
     この間の戦争の続き、やってみない?」

クーは、ただひたすらに思った。

――――この最後のレスは蛇足ですね、わかりますと。


川 ゚ -゚)クーがアプローチするようです



fin



243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 01:36:20.01 ID:83v5T6Jm0
乙wwwwww
こいつ等懲りないなwwww

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 01:36:54.19 ID:jaKmip2oO
乙wwwwww

面白かったよwwwwww

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 01:38:14.70 ID:9KJS00B/0
くそwwww天才だwwwww乙wwwwwwwwwww

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/21(木) 01:38:54.72 ID:XqeE56N/0
乙wwwwwww最後1レスホント無意味だろwwwwwwwwwwww


247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/21(木) 01:37:20.56 ID:Xju2eUO30
おつwwwwwwwwwww
よいこの皆は廃人になっちゃいけないぞ

戻る [コメントへ