('A`)はセクサロイドを愛するようです http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1318767445 戻る
- 1 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:17:25 ID:i364qM.w0
- 薄暗い部屋の中、窓際に置かれたベッドの上で二つの影が蠢いている。
2 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:23:15 ID:i364qM.w0- 男はベッドでひっくり返った蛙のようになっている女の膣に自らのペニスをあてがう。
だらしなく開かれた男の口から荒い息が漏れる。
そして端が吊り上がり、下品な笑いを見せた。
それを合図にし、女の具合を確かめもせず一気にペニスを挿入した。
「うおおっ!すげえお!」
産まれて初めて味わった快楽を得て思わず感嘆の声を上げた。
そして更なる快楽を求めて腰の動きを速める。
男は女に覆いかぶさってぎこちない腰でピストン運動を続けた。
対して女は男の背に手を回すだけで何の反応も見せず、
目を細め少し呼吸を乱し、男に興奮の高まりをアピールしていた。
「ど、う?わた、し、いい?」
雑な動きに言葉を乱されながらそう問いかけた。
「ツンっいいおっ!ツンっ!ツンっ!!」
男はうわ言のように女の名を呼んだ。
満ちる度にどんどん大きくなる満たされない欲求を満たそうとしてただ腰を振る。
3 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:25:34 ID:i364qM.w0-
数分後、腰を叩きつける度に出ていた男の声が一際大きくなった。
そして、
「セクサロイド最高だお!!」
その言葉と共に男は射精した。
.
4 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:27:54 ID:i364qM.w0-
※ ※ ※
('A`)「ただいまーっと」
そう声をかけたが俺の家に俺以外の誰かが住んでいることはない。
20代後半のフリーター、独身・一人暮らし、彼女いない歴=年齢、そして童貞。
それが俺の肩書だからだ。
('A`)「今日っのごっはんっは」
靴を脱ぎ、家の中へ足を踏み入れる。
('A`)「みん〜なだ〜いす〜き」
リビングへの扉の近くにある冷蔵庫を開け、
持っていたスーパーの袋からブツをとりだす。
('∀`)「ビィ〜フシッチュゥ〜♪」
買ってきたシチュー用の肉を冷蔵庫に入れ、ニヤニヤする。
これは今日特売でいつもより安くなっていたのだ。
「ビーフシチューですか」
('∀`)「おおともさ!」
5 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:29:52 ID:i364qM.w0-
('∀`)
ん?
俺は今誰に声をかけられた?
俺は今誰に返事をした?
ゆっくり顔をリビングの方へ、声のした方へと向ける。
日も暮れかけ、射し込むオレンジの陽の光が眩しい。
その光を遮る何者かが、そこにいた。
ζ(゚ー゚*ζ「おじゃましてます」
.
6 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:32:20 ID:i364qM.w0-
いちにちめ「俺とセクサロイド」
.
7 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:35:27 ID:i364qM.w0-
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
('A`)「…………」
ζ(゚ー゚*ζ「…………」
('A`)「……………ζ(゚ー゚*ζ「あの」
声をかけられ体が跳ね上がった。
ζ(゚ー゚*ζ「冷蔵庫、閉めた方がいいんじゃないですか?」
(;'A`)「あ、はぁ、それもそうですね」
言われた通り扉を閉める。
しかし俺は依然金髪で、まるでお人形さんのような彼女をガン見だ。
8 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:37:18 ID:i364qM.w0-
('A`)「あのー……」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
女性は物が散らかった部屋のど真ん中、コタツの近くでちょこんと正座している。
それに俺を見つめて小首を傾げてくるんだから始末に負えない。可愛い。
('A`)「ど、どちらさんで?」
声が上ずってしまった。
その言葉を待ってましたと言わんばかりに脇のコタツの上からクリアファイルを取り、
それをすっと床に置いた。
ζ(゚ー゚*ζ「ここに書いてますので、読んでください」
ζ(^ー^*ζ
そしてニコッ。
可愛らしい笑顔だ。
('∀`)
多分俺は情けない顔をしていた。
9 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:38:42 ID:jo2Y7UNIO - 期待
- 10 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:39:50 ID:i364qM.w0
-
「セクサロイド」。
男性と性行為を行える女性型アンドロイド。
髪の毛や顔、胸や膣内など、女性としての機能は完璧に本物に近い。
さらに人工知能を搭載し、自在に会話、行動、さらに思考まで行える。
それが今、俺の目の前にいる女性の正体らしい。
そこから長々とこれは国の秘密実験であることや、
ロボット三原則に基づく危険性の有無の説明、
法律や機密事項に関する事柄やらなんやらが書かれていたが、
そんなものは俺の頭を上滑りしていくに決まっている。
瞬きを忘れた目が最後のページの文字を読みこむ。
「避妊の心配は皆無、人権の心配も皆無。
さらに女性はあなたを受け入れてくれる。
あなたが行うべき行動はわかっていますね?」
長い文書はそう締めくくられていた。
11 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:44:38 ID:i364qM.w0- セクサロイド?
セックスをするためのアンドロイド?
そんなものは聞いたことがない。
いや、ある。
でもそれはファンタジー。
現実にあり得るはずがない。
……はずなんだけど。
"わかっていますね?"だと?
そもそも何故そんなものが俺の所に?
いや、何故俺の家に入れたんだ?
国は何でもできるということか?
何故俺なんだ?
何故彼女はセクサロイドなんだ?
わけがわからん。
(;'A`)「……これ、なに?」
沈黙を破ったのは俺のバカみたいな質問だった。
12 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:46:51 ID:i364qM.w0-
ζ(゚ー゚*ζ「……」
女性は答えない。
口元に笑みを残したまま、俺を見つめている。
人工的に作られたであろうその瞳に照れて目線を外した。
('A`)「とりあえず、君は人間じゃないの?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。ほら」
そういって袖を捲しあげる。
本来ひじのある場所にはネットで見たことのある、
"ドール"と呼ばれる人形に使用されていた球体間接があった。
('A`)「……動力源は?」
ζ(゚ー゚*ζ「充電式です」
また「ほら」と言ってケーブルとうなじの接続部を見せてくれた。
うなじとコンセントをケーブルで繋ぐことで充電できるらしい。
13 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:49:22 ID:i364qM.w0-
さて、おさらいしよう。
俺は童貞である。
('A`)「つまり……君を好きにしていいってこと?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、その通りです」
もう一度言う。
俺は童貞である。
('A`)「……マジで?」
ζ(゚ー゚*ζ「マジです」
これが最後だ。
俺は童貞である。
.
14 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:55:29 ID:i364qM.w0- この歳まで童貞だったのだ。
それには少なからず理由があり、俺の場合は"ヘタレである"こと。
突然こんな可愛い子で童貞を捨てられるチャンスがきても困ってしまう。
しかし彼女はアンドロイドであるという。
一秒の間に色んな事が頭を駆け巡り、
このまま襲いかかってもいいのかどうか回転を続ける。
襲う。襲わない。襲う。襲わない。襲う。襲わない。
回転を続けると言ってもこの問いの繰り返しである。
('A`)「……あ」
そして俺の頭が弾きだした答えは、"襲わない"。
理由は二つ。
確かにこの子とセックスをすることも可能、かもしれない。
しかし高校生卒業まで二次元の少女をオカズにオナニーをすることをためらったように、
俺は俺の中にある、"人以外とセックスする"という、
越えると帰ってこれないであろう一線を越えることを恐れた。
そしてもう一つ。
.
15 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:57:23 ID:i364qM.w0-
俺の脳が俺に見せた、ある女性の笑顔。
.
16 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 21:59:14 ID:i364qM.w0-
('A`)「……」
彼女は思索に耽っていた俺を不思議な顔をして見つめていた。
('A`)「あのさ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
一つ、瞬きをした。
本当に人間そっくりだ。
('A`)「何でもするんだよね?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、何でも」
('A`)「じゃあさ」
そう言って台所を指さす。
('A`)「ビーフシチュー、作ってもらってもいいかな」
外はもう真っ暗だった。
17 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:01:58 ID:i364qM.w0-
※ ※ ※
彼女は料理が下手だった。
ζ(゚ー゚;ζ「……ごめんなさい」
一口食べてスプーンを置いた俺に申し訳なさそうな顔を向けてくる。
(;'A`)「いや、うん、独創的な味だね……」
歪な形に切られた根菜達を見つめながら言った。
まずい、とはっきり言えたらどれほど楽だろうか。
しかし俺の性格上そう言えるわけがない。
ζ(゚ー゚;ζ「……私、料理下手なんです」
おいおいシチューを不味くできるなんて天才じゃないか?
というかアンドロイドが料理上手にプログラムされてないってどういうことだよ。
(;'A`)「ま、まあアンドロイドにも色々あるよ、気にしないで」
そこまで言って俺は初めて気がついた。
互いの自己紹介をしていない。
18 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:04:33 ID:i364qM.w0-
('A`)「えーっと、俺の名前はドクオ」
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん」
今更だなぁと苦笑いしながら自己紹介を続けた。
('A`)「君は?」
ζ(゚ー゚*ζ「私の名前はデレです」
(*'A`)「デレ、ちゃん」
名前を反芻してみる。
は、恥ずかしい……。
ζ(゚ー゚*ζ「えーと……」
そこで言い淀む。
視線を宙に浮かばせて考えこむ姿も可愛い。
このまま眺めていてもいいのだが、そういうわけにもいくまい。
('A`)「……それ以上プログラミングされてないとか?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、そうみたいです」
19 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:06:28 ID:i364qM.w0-
('A`)「へー……まあ料理の件もあるし、何らかの設定はされてるんだろうね」
ζ(゚ー゚;ζ「ご、ごめんなさい、得手不得手があるみたいです」
また申し訳なさそうな顔をする。
しまった、だから俺はモテないのか。
ζ(゚ー゚*ζ「そのあたりは個性を出すためだとか、なんとか?」
('A`)「じゃあ学習機能とかは?」
ζ(゚ー゚*ζ「実装済みです」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。可愛い。
('A`)「ビーフシチューの作り方とか覚えてる?」
ζ(゚ー゚*ζ「……うふ」
いくらアンドロイドと言えども万能ではないらしい。
20 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:09:46 ID:i364qM.w0-
※ ※ ※
彼女、デレちゃんは防水性らしく、一応風呂好きという設定らしい。
そのあたりはなかなか人間くさい。
可愛い子の後に風呂に入れるのは家主の特権。
可愛い子とはいってもアンドロイドではあるけども。
('A`)「お、ピッタリ……でもないけど一応着れてるから大丈夫だね」
着替えはとりあえず俺のを貸した。
ζ(゚ー゚*ζ「はい、ありがとうございます」
裸Yシャツというのは男のロマンである。
故に俺は今、モウレツに感動している。
余った袖の先からちょこんと出た指が可愛い。
ボタンの開いた胸元がエロい。
流石はセクサロイドと言ったところか。
セクサロイド。
デレちゃんは正確にはアンドロイドではなくセクサロイドなんだよな。
21 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:12:10 ID:i364qM.w0- 今日寝るときどうするんだろうか。
('A`)「…………」
や、やはり、せせせセックスするんだろうか。
というかそもそもこの子は自分の役割を知っているのか?
あの最後の文章、あれは確実に俺にデレちゃんとセックスをしろと言っていた。
でもこの子の振る舞いを見ているとまるで人間だ。
正直、俺は傍から見て気持ち悪い性格だ。
いわゆる"純愛"というやつを信じて止まない。
そんなものは臨機応変に変わるものだと言うことも知っているのにだ。
だが俺の童貞歴の長さが思考回路を鍛え上げ、
それは最早複雑に入り組んだ迷路のようになっている。
理性と理屈が俺の体にセーブをかけている。
ζ(゚ー゚*ζ「?ドクオさん、お風呂どうぞ」
('A`)「あ、ああ」
釈然としないまま風呂場へと向かう。
落ちていた彼女の金色の髪が目に入りドギマギした。
22 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:14:35 ID:i364qM.w0-
※ ※ ※
('A`)「……あのさ」
考え抜いた結果、デレには俺のベッドでスリープモードに入ってもらい、
俺はコタツで寝ることにした。
やはり童貞を拗らせている俺に一線は越えられそうにない。
ζ(゚ー゚*ζ「はい?」
豆電球の明かりが彼女を照らす。可愛い。
('A`)「俺のこと、呼び捨てとかでいいよ」
('A`)「あと別に畏まらなくてもいい、俺もそうするし」
セックスしない結果、この結論に至った。
この先どれくらい一緒に過ごすかは書類には書いてあったが
ぶっちゃけ忘れたのでまた明日にでも見ようと思う。
そして一緒に過ごすならせめて気を遣わずにいたいのだ。
彼女はアンドロイドなのだけど。
23 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:16:42 ID:i364qM.w0-
ζ(゚ー゚*ζ「……はい、わかりまし……わかった、どっくん」
('A`)「そう、それで……どっくん?」
聞き慣れない言葉が出て思わず聞き返す。
ζ(゚ー゚*ζ「うん。呼び捨てはなんか違うかなぁって思って」
('A`)「まあ、好きに呼んでくれていいよ」
俺が言い出したからな。
('A`)「じゃ、おやすみ」
ζ(゚ー゚*ζ「どっくん」
('A`)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「私を呼んでみて?」
24 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:19:01 ID:i364qM.w0-
('A`)「……え?」
え?
ζ(゚ー゚*ζ「だって私が呼んだのに、どっくんだけ呼ばないのは卑怯じゃない?」
(;'A`)「……お、おう」
そりゃそういうことになるか。
……恥ずかしいし緊張する。
俺の童貞力を甘く見ない方がいいぞ。
何度か咳払いして、天井に向かって口を開いた。
(*'A`)「デレ、おやすみ」
「うんっ」
もぞもぞとデレが布団をかぶる音がした。
デレは今、どんなことを考えているんだろう。
25 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:20:41 ID:i364qM.w0- いちにちめ おわり
次回未定!完全に見切り発車である!
でも完結はさせようと思ってるので生温かな長い目で見てくだしあ
26 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:29:07 ID:ob9k1U9sO - 続きが楽しみすぐる
乙
- 27 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:32:48 ID:0Hsjh3mA0
- おつおつ
これからのドクオに期待
- 28 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 22:37:02 ID:s5oaNRsk0
- これは期待
しかし哀しい話になりそうだな
- 29 :名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 23:42:39 ID:r/GQwtkQ0
- おっつ〜!
これからのどっくんにwktk
- 30 :名も無きAAのようです:2011/10/17(月) 18:43:28 ID:CrBGVu9s0
- 乙
面白宗田
- 31 :名も無きAAのようです:2011/10/17(月) 18:43:35 ID:dmchaeGoO
- これはかなり期待
- 32 :名も無きAAのようです:2011/10/18(火) 21:48:57 ID:rk86Ht560
- 続きまだー?(´・ω・`)
- 33 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:38:34 ID:P6dgYKlg0
- 彼女は自身がセクサロイドだと言う。
34 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:39:24 ID:P6dgYKlg0-
「……はぁ」
「はぁ、とはなかなか面白い反応をするね」
「いや、だって、ねぇ?」
平然と事実らしきことを述べてくる女性に彼は困惑していた。
彼の目の前の彼女はアンドロイドとは思えないほど"人間"である。
長い黒髪、座っていてもわかる長身、そしてスレンダーな体。
彼の好みとしてはド直球だった。
しかし球体間接や接続部、その他もろもろのアンドロイド部分を見せつけられ、
さらに所持していた文書により彼女がアンドロイド、
そしてセクサロイドであることを認識させられた。
「ちょちょちょ裸にならないでください!!」
「む?セクサロイドの裸を見て、何故お前が困る?」
「いや、だって」
35 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:40:30 ID:P6dgYKlg0-
「それにこれは証明だ」
「私が私であるという、な」
裸になるな、とは言ったが男の視線は肌蹴られた服から覗く、
その独特の身体に釘づけだった。
セクサロイド。
セックスをするためのアンドロイド。
ゴクリ、と生唾を飲み込む。
男としての本能が否応なく反応する。
彼女は彼の理想をそのまま形にしたような女性なのだから。
「……君はセクサロイドだ」
「ああ」
「だけど僕にはそうは思えない」
「なら、何だ?」
36 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:41:19 ID:P6dgYKlg0- 彼女は妖艶な笑みを浮かべた。
その仕草が、彼をどうしようもなく昂ぶらせた。
「いい機会だから、ゆっくりと考えていくことにする」
彼には彼女をただのセクサロイドとして見れなかった。
しかし人間とも思えなかった。
故に興味を持ったのだ。
「ただこれも経験だと僕は思う」
彼女と同じような無機質に近い瞳を向ける。
「セックスしようか」
男は腹を括った。
"初めて"が人間ではないが、これから自分が何か変わる予感がした。
ただ、今は。
今だけは何も考えず、ただ彼女に溺れようと、そう決めた。
37 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:42:17 ID:Ea5nAA3YO - 乙
どっくんいい子だな
- 38 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:42:25 ID:P6dgYKlg0
-
※ ※ ※
携帯のアラーム音。
( -A-)「……ぬ」
コタツの稼働音。
('A`)「ふあああ……」
やはりコタツで眠るのはなんだか体に良くない。
聞き慣れた音に混じり、微かな寝息が聞こえる。
ベッドの方からだ。
ζ(- -*ζ ...zZZ
あらあら可愛らしい寝顔だこと。
寝顔というか、スリープモード中の顔というか。
寝息も実装されていて無駄に高性能だ。
何故俺がコタツで眠っていたか。
昨日から俺の家にはデレという名のセクサロイドがいるからだ。
39 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:43:33 ID:P6dgYKlg0-
ふつかめ「俺とあの子」
.
40 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:44:19 ID:P6dgYKlg0- 適当に菓子パンをかじり、ちゃちゃっと身支度を済ませる。
('A`)「じゃ、俺夕方ぐらいまでバイトに行ってくるから」
ζ(- -*ζ「ふぁい……」
寝ぼけ眼をこすり、コタツ虫となって曖昧に返事をするデレ。可愛い。
アンドロイドでも眠いのか。
随分人間に近いように作られているらしい。
('A`)「あ、買い物とか何かあったら自由に行っていいから」
そういってコタツの上に合鍵と少々のお金を置く。
ζ(- -*ζ「へぇい」
('A`)「まあ汚い部屋だけど好きに過ごしてくれ」
男の一人暮らしらしく、部屋はごちゃごちゃだ。
まあ俺からすれば実に合理的に物が配置された部屋なのだけど。
ζ(- -*ζ「……んむぅ」
彼女は夢を見るのだろうか、なんてことをふと思った。
41 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:45:41 ID:P6dgYKlg0-
※ ※ ※
前のバイト先で休憩室に置かれていた私物が盗まれたらしい。
たまたま盗まれた人と同じシフトに入っていた俺が真っ先に疑われた。
もちろん俺は盗んでなんかいなかったが、
あまりにも疑われ、無駄に居心地が悪くなり、そして辞めた。
今は自宅から割と近いコンビニでバイトしている。
本当は溜めた金でニート生活を満喫したかったが、
どうにも無職でいることが恐ろしくなって働くことを止められなかった。
やはり俺はヘタレなのだ。
俺はなんだか知らんが怒られやすい、絡まれやすい雰囲気というか、
他人から格下に見られやすいらしい。
小さなミスでもよく怒鳴られ、何か不始末があればとりあえず俺のせい。
例の数週間前に辞めたバイトでも残念ながらその特性を発揮したのだ。
もちろんこのバイトでも。
(#゚Д゚)「おい!この肉まんちっこいぞどういうことだゴルァ!!!」
('A`)「お取り換えします」
こんな風に。
42 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:46:32 ID:P6dgYKlg0- だがしかし悪いことばかりではない。
例えば、
(*゚ー゚)「ドクオさんお疲れさまでーす!」
(*'A`)「お疲れ様でーす」
この子だ。
彼女の名前はしぃ。
大学生で年齢的には歳下だが、ここでは俺の先輩だ。
そして数少ない俺の話し相手でもある。
あの時、彼女という偶像が俺のデレへの性欲を雲散霧消させた。
(*゚ー゚)「?どうしました?」
('A`)「あ、いや、何でもないです」
思わずその可愛らしい顔に見とれてしまった。
相変わらずショートヘアの似合う童顔だ。
43 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:47:28 ID:P6dgYKlg0-
(*゚ー゚)「バイト道は長く険しいんです!」
ビッ!と指を突きつけられる。
しぃちゃんの方が身長が低いため、
威圧感というより生意気な子どもを相手にしているみたいだ。
(*゚ー゚)「ぼーっとしてるようじゃ極められませんよ!」
('A`)「……極めたらどうなるんです?」
(;゚ー゚)「え?……て、テンチョーになれます、多分!」
視線を宙に泳がせながらそう答えた。
どうやら極めた先は真っ暗だったようだ。
('A`)「店長か、それもいいですね」
(*゚ー゚)「ですよね!だからテンチョーになりましょう……」
(;゚ー゚)「あれ?何の話でしたっけ?」
あはは、と笑う。
つられて俺も笑う。
44 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:49:10 ID:P6dgYKlg0- こんな俺にも優しくしてくれて、
こんな俺に普通の人にするみたいに接してくれて、
こんな俺に笑みを零させてくれて、
こんな俺にも笑みを向けてくれる。
しぃちゃんの前では俺の特性も効果を発揮しないらしい。
そしてそんなこの子を、俺は好きになってしまった。
"童貞はすぐ相手も自分を好きなんじゃないかと勘違いする"
そんな言葉は百も承知である。
しぃちゃんが俺を好きなはずはない。
そんなことも百も承知。
だから俺からの静かな、一方通行の恋である。
('A`)「じゃ、俺先に上がります、お疲れさまです」
(*゚ー゚)「あ、お疲れ様ですー!」
少し立ち止まった。
しかしデレの顔が頭を過り、シフトを確認してそのまま帰路につく。
45 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:50:14 ID:P6dgYKlg0-
※ ※ ※
('A`)「あれ?」
時は夕暮れ。
女性用小物店の前でぴょんこぴょんこ背伸びをしている女性がいた。
金髪に夕陽が淡く反射し、なんとも綺麗な色合いになっている。
昨日、家で俺を待ってた時の服を着ているから紛れもなくデレだ。
そっと背後に近付き、ぽんと肩を叩いてみる。
('A`)「どうしたの?」
ζ(゚ー゚;ζ「わひゃあ!」
ζ(゚ー゚;ζ「も、もー!どっくん!おどかさないでよ!!」
ぷんすか怒っている。可愛い。
両脇に持ったスーパーの袋から考えてどうやら食糧を買って帰る途中らしい。
……学習機能実装済みだ。
多分毎日異様な味の飯を食わされることにはならないだろう。
46 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:51:34 ID:Ea5nAA3YO - まさか投下来てたとは……ごめんぬ支援
- 47 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:52:05 ID:P6dgYKlg0
-
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとね、こういうの可愛いなぁ、と思って」
そう言って店の中に並べられている髪飾りを指さした。
('A`)「へー。というか中入ればいいのに」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ううん、別にいいの、本当に見てただけだからさ!」
否定の意を示してぶんぶんぶんと手を振るデレ。
ここまでされるとじゃあ買おうか、なんてイケメンな行動を取りづらいのが俺である。
('A`)「じゃあ帰るか?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
('A`)「ところで夕飯何にするつもりなの」
ζ(゚ー゚*ζ「てんぷら」
('A`)「……俺がやるわ」
火事を未然に防ぐために。
48 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:53:23 ID:RYVpBfmsO - ここにいるうちの何人がズボンを下ろしているのだろうか
支援
- 49 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:53:33 ID:P6dgYKlg0
-
※ ※ ※
('A`)「お、おおおおお……!!」
なんだこの部屋は!
本当に俺の部屋かと疑うほど綺麗になっている!
ζ(゚ー゚*ζ「あまりにゴミが多かったから掃除したんだ」
うふ、とデレが笑う。可愛い。
('A`)「すげえな、掃除は完璧じゃん」
ζ(゚ー゚*ζ「……その言い方、何か引っかかるね」
ジトっと俺を見てくる。
('A`)「さぁ?」
ζ(゚ー゚#ζ「料理は練習すればいいんだもん!!」
むきーっと歯を剥いて怒られた。
50 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:54:38 ID:P6dgYKlg0- ふと本棚を見る。
(;'A`)「あ、あれ?」
な、ない。
男の必需品、剥き出しで並べられていたエロ本エロ漫画エロ同人が。
ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの?」
ζ(゚- ゚*ζ「ああ、そこにあったやつ?」
(;'A`)「そうだよ!ど、どこに……?」
ぴっとデレが指をさした先にはビニールテープで縛られたブツ達が。
( ゚A゚)「OH!!!」
ζ(゚- ゚*ζ「……」
こ、この、嫉妬機能搭載かチクショウ!!!
51 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:56:48 ID:P6dgYKlg0-
※ ※ ※
指導しながら夕飯を作り終え、おいしく頂いた。
ほとんど俺の手柄のような気もするが、まあいい。
学習の末の成長を楽しみにしておこう。
改めてデレに付属していた文書を読む。
('A`)「ふーむ……」
がちゃんがちゃんと台所からデレが食器を洗っている音が聞こえる。
割れないか少し心配になった。
……今の彼女はセクサロイドというかメイドロボのような。
いやまあそれは俺の意向でもあるんだけども。
ばたりと仰向けに寝っ転がり、頭の中で文書を整理する。
まず、この状況を作りだしたのは誰か。
答え、国。
.
52 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:58:35 ID:P6dgYKlg0- 何の目的があるかは書かれていないが、とにかくセクサロイドと過ごせと言う。
他人に見つかったら彼女とでも言っておけという頼もしい助言もあった。
ちなみに、世話費は俺持ち。
食費は要らないから生活費が圧迫されないから構わないけど。
秘密の実験故に、実験対象者に理由を知られては意味はないらしい。
"秘密"。
通りでネットにも何も書かれていないわけだ。
検索して出てくるセクサロイドはどいつもこいつも
デレのような人間のようなそれではなく、一目見ただけで作り物と分かる。
この実験の噂すらどこにも書かれていない。
しかしいくら秘密でも、一般人が体験している秘密なんて
すぐにネットに流れそうなものなのに。
口の軽い二次元好きの長岡なんかはすぐに流しそうだ。
53 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 21:59:15 ID:P6dgYKlg0- そして対象者。
これも詳しいことは秘密らしいが、
25歳以上30歳未満のある条件の男性が選ばれていると書かれてる。
ピンときた。
童貞か。
だからセクサロイドを送りつけてきたんだ。
と、ここまで考えて目的が分からないことに気がついた。
セクサロイドとセックスするのを推奨するような文があったが、
セックスして何になると言うのだろうか。
少子高齢化が進みに進みまくったのが今のご時世だし。
それにどうやって俺が童貞だと知る機会がある。
……いや、そりゃあ内藤とかとの会話を聞いてたらすぐ分かるけども。
しかしそこまで国の手が及ぶとは思えない。
個人情報保護法とかプライバシーがうんたらだ。
というか童貞が国にばれるってめちゃくちゃ恥ずかしい気分になるな。
('A`)「……んー、わっかんねぇなぁ」
54 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 22:00:32 ID:P6dgYKlg0- ふと気になった。
デレは自身をどれだけ知っているんだろうか?
('A`)「なあ、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「ん?なあにドックン」
皿を洗いながらのんびり答えた。
('A`)「お前は自分の役目を知っているのか?」
ζ(゚- ゚*ζ「私はあなたの好きな"私"であり、あなたの全てを受け入れる存在」
ζ(゚ー゚*ζ「……だって」
一瞬、デレのアンドロイドとしての側面が見えた。
やはり今の"デレ"は俺に好かれるための、
俺をセックスへと導くための仮初の人格なのだろうか。
正直言って、少しこいつが恐くなった。
55 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 22:02:03 ID:P6dgYKlg0-
ζ(゚ー゚*ζ「?どうしたのどっくん」
話を振っておいて固まった俺を見てデレが心配そうな顔をする。可愛い。
いや、そんなことを考えても仕方がない。
俺は昨日セックスしないと決めた。
愛なきセックスなど言語道断。
デレはセクサロイドであり、人格はニセモノ、故にセックスに愛はない。
ただ、デレが俺と過ごしている間は、例えニセモノの人間だとしても
俺も彼女も楽しく過ごしてほしいとは思う。
('A`)「いや、ちょっと気になってな」
('A`)「自分をメイドロボと勘違いしてないか」
ζ(゚ー゚*ζ「メイド服が着てたら勘違いしてたかもね」
メイド服姿のデレを想像した。可愛い。
56 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 22:04:38 ID:P6dgYKlg0-
※ ※ ※
スリープモード兼充電に入ったデレの寝顔を眺める。
出会ったときから頭の中に引っ掛かっていた。
どこかの誰かに似ている、と。
そして今日、その違和感が姿を現した。
(*゚ー゚)
ζ(゚ー゚*ζ
似ている。
顔だけではない、体格、性格もだ。
デレはまるでしぃちゃんを模倣したかのようなセクサロイドだ。
('A`)「……おかしなこともあるもんだ」
そう呟いてからもそもそとコタツに入った。
57 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 22:06:02 ID:P6dgYKlg0- ふつかめ おわり
正直短編レベルの長さっぽいので書き溜めした方が良かったかなぁとか
今更だけどセックスとか勃起とか書きまくってるけど大丈夫かなぁとか思いましたが
多分大丈夫ですねってことで次回投下は未定です
読んでくださった皆様ありがとうございます!
パンツは履いて!
>>46
むしろ乙ありがとうございます!
58 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 22:11:02 ID:Ea5nAA3YO - 今度こそ乙!
このデレいいわー嫉妬されたい
- 59 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 22:40:34 ID:qQfZVdn20
- 乙
パンツを履け……?
そいつぁできねえ相談だな
- 60 :名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 23:01:38 ID:RYVpBfmsO
- 乙
一話一話はもう少し長くてもいいと思うよ
しぃの
>ビッ!と指を突きつけられる。
>しぃちゃんの方が身長が低いため、
>威圧感というより生意気な子どもを相手にしているみたいだ。
ここ見て抜いた俺に適う奴がいるわけない
- 61 :名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 00:06:40 ID:AvYk9uxU0
- 乙
良作だなー期待
- 62 :名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 01:18:52 ID:B9KWDciE0
- 長くても短くても、完結さえしてくれればどうだっていいよ
1レスずつの投下であっても構わん
乙乙
女の子の書き方が上手いからズボン履けないわ
- 63 :青空ホライゾン ◆x/rxoIq2T6:2011/10/22(土) 19:17:03 ID:.grfliMI0
- http://mo-neru.net/portable/boon/01008/index.html
おもしろかったので、まとめてしましました。
ご意見ご要望がありましたら、お気軽にお申し付けください。
- 64 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:11:36 ID:h2AIdiv.0
- 妙な格好の女が部屋に居る。
65 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:12:51 ID:h2AIdiv.0-
「誰だお前」
男の声は低く、誰が聴いても彼が不信感を抱いているとわかる。
それも当然である。
誰もいないはずの自分の部屋に見知らぬ女性が座っているのだから。
その姿は女児向けアニメ、「マジカル☆ラブラリーデ」の主人公、愛(ラブ)そっくりだった。
ピンク色でフリフリの、しかし子どもが馴染みやすいよう洗練されたデザインで、
あちこちに星マークが散りばめられたコスチューム。
彼女はいわゆるコスプレをしているのだ。
そして彼はそのアニメの大ファンだ。
「昨日も今もこれからも!私は世界を愛するにゃん☆」
これは決め台詞である。
「おい!」
眉間にしわを寄せ、男は汚物を見る目で愛(仮名)を睨む。
66 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:14:33 ID:h2AIdiv.0-
「だから誰だお前は?」
「誰って、愛にゃん☆」
画面の中の愛そっくりの声を出す目の前の三次元女性に対して嫌悪感を露わにした。
「やめろ!」
「何をだにゃん?☆」
男はギリ、と奥歯を強く噛んだ。
それに伴い顔も歪む。
握った拳は怒りでぶるぶると震えている。
もはや嫌悪感は殺意にまで変貌していた。
「だから!!」
怒り全てをその声に託した。
67 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:18:56 ID:h2AIdiv.0- 始まりは中学生。
仲間内の一人から女の子たちがただ会話しているだけの漫画を読ませられた。
始めこそ無感情だったが次第に少女達に心惹かれ、
全て読み終わり、気がつくと書店で新刊を買っていた。
そこから彼は二次元に傾倒した。
二次元の少女達は穢れがないことに気がついたのだ。
例えおっさんが創りだした存在であろうと、何者かの陰謀に踊らされていようが
何も関係なかった。
彼は二次元の全ての彼女達を愛していたのだ。
現実の女性をゴミか虫を見る目で見るようになるまでそう時間はかからなかった。
それを自覚しても外れた道へ戻る気はさらさらなかった。
彼が「マジカル☆ラブラリーデ」と出会ったのは今年の4月である。
道徳的内容でありながら道徳臭くない、
そして絶対的な悪を置きながら単なる勧善懲悪に終わらない、大人も楽しめるストーリー。
実績ある制作会社、安定した作画、実力のある声優。
彼はこのアニメを心底愛するようになった。
68 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:19:51 ID:h2AIdiv.0-
―――彼は二次元しか愛せない、偏愛者。
それ故に、彼が感動を覚えた「マジカル☆ラブラリーデ」に登場する少女達も"愛した"。
何も躊躇いはなかった。
むしろそのような目で見ないことは彼にとって、彼女らに対する冒涜だった。
これが彼の愛なのだ。
「お前は!ただの!ゴミクズで!!」
ツバが飛ぶのも気にせず彼は目の前の女性に怒鳴る。
「ここでその格好をしているのが間違いだ!!!」
指を突きつけ、詰め寄る。
「今すぐ、ここから、出ていけ!!!!」
そうして彼は女性を追いだした。
彼女の正体がセクサロイドだと知ったのは、
部屋に置かれた付属文書を読む、数時間後のことだった。
69 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:21:44 ID:h2AIdiv.0-
※ ※ ※
('A`)「じゃ、行ってくるわ」
今日は世間的には休日。
だから最近なかなか会えなかった友達と会う約束をしている。
二日連続で夕方頃までデレを一人で家に残してしまうが、
ζ(゚ー゚*ζ「はーい」
ベッドに寝そべって脚をパタパタさせながら、
本棚にあったドラゴンボール完全版を読むその姿を見ると
別に大丈夫かなという気分にさせてくれる。
きっと彼女なりの気遣い方なのだろう。きっと。
('A`)「……どこまで読んだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ナッパがベジータにやられたところー」
( 'A`)+「悟空はベジータに勝てないよ」
ζ(゚ー゚#ζ「もーっ!なんでそういうこと言っちゃうかなぁ!!」
脚をばたばたさせ、ぷうっと頬を膨らませて睨んでくる。可愛い。
70 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:23:06 ID:h2AIdiv.0-
みっかめ「俺と友達」
.
71 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:24:52 ID:h2AIdiv.0-
※ ※ ※
('A`)「ういっす」
( ^ω^)「おっおっ」
既に喫茶店の席に座っていた小太りの男、内藤ホライゾンに声をかける。
( ^ω^)「最近スカイプにインしてないけど、どうしたんだお?」
('A`)「あー、ちょっと忙しくてな」
(*^ω^)「エロゲかお?俺にも貸せお」
内藤がぐへへと下品な顔をする。
('A`)「ちげーよ」
コーラを注文し、俺も席に着く。
72 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:26:01 ID:h2AIdiv.0- 内藤は持ち前の飄々とした態度で会社でもそれなりにうまくやっているらしい。
世渡りはうまいやつだからなんとなく合点がいく。
しかし俺の友人だと言うことは、つまり非リア充・童貞である。
( ^ω^)「ま、俺は最近エロゲやる余裕も必要もないお」
(;'A`)「え?な、なんだって?」
素っ頓狂な声を上げて聞き返す。
あの雑種内藤がエロゲをやる必要がないだと?
( ^ω^)「ああ別に彼女が出来たとかそういうんじゃないお」
微笑みデブが否定した。
('A`)「ふーん……まあいいや、で、あいつらは?」
( ^ω^)「もうちっとで来るはずだお」
ずず、と内藤がカップに口をつけてコーヒーを飲む。
そして皿に置かれたサンドイッチを掴んだ。
73 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:28:01 ID:h2AIdiv.0- まだあいつらが来ていないのに、内藤はガツガツとサンドイッチを口に運ぶ。
レタスと卵を挟んだものと、ツナとトマトを挟んだごく一般的なサンドイッチだ。
朝に菓子パンしか食ってない腹が鳴る。
( ^ω^)「やらんお」
('A`)「いらねーよ」
俺は飯はあまり食わない。
食うスピードが遅く、それに伴ってあまり食わなくなってしまった。
後天的に小食になったのだ。
最もそれで特に苦労したことがないから正そうとも思わないんだけども。
( ^ω^)「新しいバイトはどうだお?」
('A`)「労働厨になってこき使われる毎日っすわ」
そこまで言ってふっとしぃちゃんの顔が浮かんだ。
('∀`)「良いこともあるけどな」
たっぷりと含みを持たせた笑みを内藤に見せつける。
74 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:29:42 ID:h2AIdiv.0-
( ^ω^)「良いこと、か」
そう呟くとまたガツガツとサンドイッチを食い始めた。
しかしまあ、うまそうに食う男である。
常に笑顔なのも関係しているかもしれない。
(´・ω・`)「やあ」
_
( ゚∀゚)「よお!」
( ^ω^)「もいす」
(;'A`)「うわきたねぇ、食ったまま喋るな」
しょぼくれた顔の面食い童貞、ショボンと
眉の印象的な二次元オタ童貞、ジョルジュ長岡。
ショボンは俺と同じくフリーター、ジョルジュはサラリーマン。
彼らと出会ったのは高校の時やネット上、それに同じバイト先。
元々考えや境遇の似ているせいか妙にウマが合って今日に至るわけだ。
75 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:31:07 ID:h2AIdiv.0-
('A`)「で、だ」
空になったコーラのコップに入っていた氷をストローでつつく。
('A`)「今日は何の用だ、内藤?」
昨日、内藤から話したいことがあるという旨のメールが来た。
ここ1、2ヶ月ほど予定が合わず、こいつらと集まる機会がなかったため
デレには悪いがこっちを優先させてもらったのだ。
( ^ω^)「実はな」
そこまで言ってぐいっと体をテーブルの中央に寄せる。
腹がテーブルに食い込んで見るに耐えない。
内藤が内緒話をしたいのだと分かり、俺達も身を寄せる。
_,
( ^ω^)「俺の家にセクサロイドっつーもんが来たんだお」
同時に三人が声を上げ、同様の反応を示した。
後に、全員が同じ境遇になっていたからだと知った。
76 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:34:10 ID:h2AIdiv.0-
(;^ω^)「え、お前らもなのかお!?」
(;´・ω・)「ああ、でもこれは秘密なんじゃ……」
('A`)「まああれだ、秘密は守るためにあるんじゃない」
_
( ゚∀゚)「共有するためにあるってやつだな!」
うんうんとジョルジュと内藤が頷く。
( ^ω^)「俺んとこに来たのはツンって名前のセクサロイドなんだけど」
早速内藤が秘密を共有し始める。
(*^ω^)「それがもーうすっげえ可愛くてお!」
目じりが垂れ下がり、大仏みたいになった。
(*^ω^)「しかもヤってみたら超気持ちいいんだお!!」
('A`)「え」
77 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:35:03 ID:h2AIdiv.0- 思わず声が出た。
いやまあ、セクサロイドなんだけど、え?
(;'A`)「なに、内藤、セックスしたの?セクサロイドと?」
( ^ω^)「ん?説明書見たお?あからさまにヤれって書いてあったお?」
(;'A`)「そりゃそうだけど……」
( ^ω^)「セクサロイド相手とはいえこれで俺も童貞卒業だおね!」
浮かれている内藤が俺には信じられなかった。
てっきりこいつも俺と同じタイプかと思っていたが違っていた。
そこに愛はなくともセックスは出来るらしい。
(´・ω・`)「僕も良い経験だと思ってね」
(;'A`)「お、お前もか!?」
(´・ω・`)「クーって言うんだけどさ、外見が僕の好みドストライクだったんだよね」
照れくさそうにぽりぽりと頭をかいている。
78 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:36:19 ID:h2AIdiv.0-
(´・ω・`)「性格も、まあロボットなんだけど、好きな感じだったし……」
( ^ω^)「おっ!ショボンもかお!」
言い方からするにブーンも同様だったらしい。
つまり二人は好みのセクサロイドが現れ、即断でセックスしたという。
(;'A`)「お、お前ら、童貞のくせにそんな……」
_
( ゚∀゚)「その通りだな。いくらセクサロイドとはいえ三次元とヤるなんて……」
('A`)「いやお前はなんか色んな意味で次元が違うだろ」
二次元スキーめ。
(´・ω・`)「まあ相手は機械だ、感情もクソもない」
それに、とショボンが続ける。
(´・ω・`)「相手もそれを望んでる風だったからね」
そうだおそれだお!と内藤が相槌を打つ。
79 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:37:14 ID:XSHXG5FU0 - まあ普通の人はそうするんだろーな、snegな展開だし
- 80 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:38:07 ID:h2AIdiv.0
- 途端に、自分の純愛観が揺らいだ。
友人と意見を違えることは、こうも思考の地盤を緩めるものなのか。
同じものを追い求めていたはずのこいつらは、俺を置いて別の方向へと進んでいった。
童貞を拗らせ、俺は先に進めないでいるのか?立ち止まっているのか?
果たして俺は正しいのか?
そもそも何が正しいのだ?
どうなれば正しいのだ?
_
( ゚∀゚)「聞いてくれよー、家に帰ったら愛ちゃんのコスプレしたセクサロイドがいてさー」
(´・ω・`)「ぶふふっ」
( ^ω^)「なんだおそれwwwwww流石ジョルジュのセクサロイドwwwwww」
_
( ゚∀゚)「もう腹が立って追い出しちゃったよー、あれ以来会ってないしー」
笑い合う三人。
笑い合えない俺。
81 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:41:36 ID:h2AIdiv.0-
(;'A`)「だ、だってよ!あんな怪しいこと書いてあって、セックスするか!?普通!」
笑い声をかき消すように声を荒げる。
( ^ω^)「まあ怪しいっちゃあ怪しいけど、せっかくだしねぇ」
(´・ω・`)「さしずめ僕達二人は素人童貞ってトコだね」
_
( ゚∀゚)「俺に至っては素人ですらない」
笑う。
(;'A`)「笑うな!」
_
(;゚∀゚)「ど、どうしたんだよドクオ、そんなにマジになっちゃって」
( ^ω^)「そうだお?何そんなに突っかかって来るお?」
(;'A`)「あいつは人間じゃないけど、ただの空気嫁でもないんだぞ!?」
(;'A`)「それなのに都合のいいように設定されてて、セックスするよう書いてあるってだけで」
(;'A`)「それだけでセックスしちまうのか、お前らは!?」
82 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:43:06 ID:h2AIdiv.0-
返ってきたのは、苦笑。
人間でない、人権もない、法律も何もかも適用されない。
それなのに何故相手のことを思う必要があるのか?
国はセックスをさせる意図で俺達の元へ送り込んだ。
セクサロイドはセックスを望んでいる。
だからヤった。それだけじゃないか。
返ってきたのは、正論。
俺はガキだ。
ガキがそのまま大人になった。
性愛は神聖なもので、俺なんかには関係なくて、触れてはいけなくて。
それ故に意固地になって、正論を受け入れられない。
同じ考えだと思っていたこいつらに裏切られたような虚しさ。
(´・ω・`)「まあ何だ、あと4日後くらいに検診とやらがあるらしいね?」
何も言えなくなった俺にショボンが話しかける。
83 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:44:20 ID:h2AIdiv.0-
(´・ω・`)「一応これは国の実験らしいし、このままセックスしなかったら」
(´・ω・`)「何らかの通達はされるだろうさ」
_
( ゚∀゚)「こいつらはバッチリヤったみたいだけど、ヤらなかったらどうなるか」
_
( ゚∀゚)「ちょっと気になるからお前はお前でいいさー」
_
( ゚∀゚)「俺は追い出しちゃったし」
こいつらは俺の性格をよく知っている。
性の話をしていると知らず知らずのうちに人の奥底を覗き覗かれなのだ。
('A`)「そう、だよな……」
( ^ω^)「ドクオのヘタレを加速させるセクサロイドがどんなもんか」
( ^ω^)「ちょっと気になるから近いうちに家に遊びに行くかお」
(´・ω・`)「……色々吹っ切れた内藤が強姦とかしそうだな」
( ^ω^)「しねーお」
84 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:47:01 ID:h2AIdiv.0-
※ ※ ※
夕方。
斜陽を背に受け俺は歩く。
結局そのままあいつらは馬鹿な話をしていたが、俺はいまいち話に乗れなかった。
考えはまとまらないままで、俺はデレとどうすればいいのかわからなくなっていたからだ。
内藤は言った。
あからさまにヤれって書いてあったじゃないかと。
ショボンは言った。
相手もセックスを望んでる風だったからと。
ジョルジュは言った。
お前はお前でいいと。
('A`)「……わっかんねーや」
こんがらがった思考を自分の影へ溶け込ませる。
85 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:48:58 ID:h2AIdiv.0-
ふと気がつけば、バイト先のコンビニの近くまで来ていた。
思考停止していた頭が動きだす。
腕時計を確認する。
今は昨日確認した通り、しぃちゃんがバイトから帰宅する時間帯。
よかった、すっかり忘れていたけど間に合ったみたいだ。
彼女がバイトから家に帰る、その僅かな間に何かがあってはいけない。
しぃちゃんを見守ることしかできないけど、それだけは確実にできる。
だからそれをするのだ。
俺のささやかな"日課"が始まる。
.
86 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:52:26 ID:h2AIdiv.0- 俺なんかをしぃちゃんが好くはずはない。
しかし俺はしぃちゃんが好きだ。
だからこそ俺はしぃちゃんを守らなければならない。
もはや使命すら感じている。
これが俺のやるべきことなのだと。
裏口からしぃちゃんが出て来た。
今日はマフラーを首に巻いていて、口元が隠れている。
いつものショートヘアが小さな背丈に見合った歩行速度で歩くたびに跳ねる。
その様子を俺は物陰から見つめている。
ああ、しぃちゃんは可愛いなぁ。
彼女は好奇心旺盛だ。
いつもふらふらと色んな店を覗いては歩き、覗いては歩きを繰り返している。
たまに何か買い食いしていて、寒さが本格的になってきた最近では
コンビニの肉まんを持って帰宅するときもある。
こんなことを分析できるほど、俺はこの行為を短期間で繰り返している。
87 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:54:25 ID:h2AIdiv.0- 風にふわりと流れる黒髪、歩くたびに揺れる明るい色のマフラー。
タイツに包まれ健康的に伸びる脚、寒さに赤くなる頬、耳。
袖の先から見える小さく細い指先。
時折寒さのためか、ぎゅっと握る動作をする手のひら。
信号待ちの時の所在なさ気な首の動き。
友達らしき女の子と出会った時の無邪気な反応。
驚いた時に振るわせる肩。
漏れる白い吐息。
リズミカルに地面の模様を踏んでいく姿。
その全てが愛らしい。
道を歩くしぃちゃんの後姿を一定の距離で追い、見守る。
俺はそれだけで十分だった。
例え恋仲になれなくとも、例え話せなくとも。
まさか僅か数週間でこんなにも人を好きになるとは思いもしなかった。
デレもセクサロイドも何もかも忘れて、ただ"日課"に没頭していた。
88 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:56:27 ID:h2AIdiv.0-
俺はただ、しぃちゃんを見守っているだけでいい。
.
89 :名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 23:58:29 ID:h2AIdiv.0-
※ ※ ※
ζ(゚ー゚*ζ「お帰りなさい、どっくん」
('A`)「ただいま」
家に帰るとデレが台所で野菜を炒めていた。
学習機能とやらの応用力も馬鹿に出来ないらしい。
ζ(゚ー゚*ζ「お友達とのランチは楽しかった?」
('A`)「ああ。みんな相変わらずだった」
ζ(^ー^*ζ「ご飯食べながら、お話聞かせてね!」
屈託のない笑顔を俺に向ける。
本当にしぃちゃんみたいだ。
('A`)「あ、デレ、玉ねぎ焦げてる」
ζ(゚ー゚;ζ「あ、わひゃあ!」
こういうところも似ている。
90 :名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 00:00:48 ID:CL36fSnM0- みっかめ おわり
当然の如く次回未定です
やっぱり1話1話を長くするのは難しいね!
読んでくださった皆様ありがとうございました!
>>63
わお!ありがとうございます、お世話になります!
ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/sexaroid/sexaroid.htm
文丸さんにもまとめて頂いたようで、ありがとうございます!
91 :名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 00:20:59 ID:VYyGX3V20 - ストーカーかドクオ・・・
これは鬱フラグ
- 92 :名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 01:28:43 ID:I1ElCy6c0
- 乙ー!ドクオ、正直気持ち悪いぞ!
- 93 :名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 06:28:06 ID:d4Bx2MwAO
- なにこれおもしろい
乙
- 94 :名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 11:05:49 ID:wbHusQoMO
- 乙
思考が乙女だよドクオ…
- 95 :名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 14:45:13 ID:NDTBb/FQ0
- 乙
- 96 :名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 15:06:29 ID:EbUuibVw0
- 自覚のないストーカーとか性質悪すぎわろた
おつ
- 97 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:05:09 ID:3d27Sdsg0
- 「では次のニュースです」
98 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:07:18 ID:3d27Sdsg0-
「厚生労働局が国の合計特殊出生率が0.63になったことを発表しました」
「近年の出生率の低下は我が国の大きな問題であり」
「人口の減少を長い間危惧されてきています」
「この背景には不景気や子どもを産み、育てる環境の不備」
「また、いわゆる"草食系"の概念が男女ともに広がることによる」
「若者の"結婚離れ"があるとされます」
「この事態に厚労局長は『対策を立てているため発表を待ってほしい』とコメント」
「記者会見では具体的な案は提示されませんでした」
「では次のニュースです」
「美布県で毎年恒例"ふんどし祭り"が昨日、盛大に行われました」
99 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:10:49 ID:3d27Sdsg0-
※ ※ ※
('A`)「ふむ」
朝のニュースの後の天気予報を眺める。
すっきりとした秋晴れだけど乾燥には注意、
夕方から明日にかけて崩れやすい天気になる、らしい。
ζ(´ー`*ζ「天気がいいとなんだか嬉しいねぇ」
ニコニコしながらもぞもぞコタツに入ってくる。
数日パジャマ代わりにしているYシャツのシワが目立っている。
いくら部屋着、ましてやアンドロイドの服とは言え、
やはり寒い朝でのその姿は倫理的な何かを俺に訴えかけてくる。
……いや、Yシャツ着るように言ったのは俺なんだけど。
今日のバイトは昼ごろから夕方まで。
だからそれまでは暇だ。
このままだらだらと過ごしてみてもいい。
が。
('A`)「デレ」
100 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:11:39 ID:Zban/wYc0 - ___
/ ⌒\
/ (● )\
/ :::::⌒(__人)
| |r┬|
\ `-/ Л_
.r " ⌒ ̄ ̄ ̄ ̄ :∃
./ γ 美 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄^
/ / |. 布 |
∠ / .|___.__|
ノ⌒ ̄ ̄' ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄⌒ヽ
/ トー―ヽ__ 人__ ノー―、 |
/ / |__| .| |_
と__) (___つ
- 101 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:12:47 ID:3d27Sdsg0
-
ζ(´ー`*ζ「はぁい?」
暖かさを感じているような、ぽあっとしたような顔で返事をする。可愛い。
('A`)「昼過ぎまでは暇だし、それまでなんか買い物にでも行こうか」
ζ(゚ー゚*ζ「え!」
勢いよく見開かれた目には不思議と生気が満ちている。
ζ(゚ー゚*ζ「いいの!?」
デレが身を乗り出し、俺に顔を近づける。
きらきらした瞳の中には少しひいている俺がいる。
恐らくデレが犬だったら千切れんばかりに尻尾を振っているのだろう。
(;'A`)「あ、ああ。服も同じのばっかりじゃ飽きるだろ?」
ζ(゚ー゚*ζ「〜〜〜〜〜っっ!!急いで洗い物するね!!」
俊敏な動きで慌ててデレが台所へと向かった。
ここまで喜んでくれると俺も提案したかいがあるというものだ。
102 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:14:11 ID:3d27Sdsg0-
よっかめ「俺と現実」
.
103 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:16:27 ID:3d27Sdsg0-
※ ※ ※
天気予報通り、外は最近の定番服だと暑いくらいの気候だった。
だからデレの持っている(着ている)唯一の服が街並みに合っている。
むしろ全身黒一色の服を着た俺がそぐわない気がする程だ。
平日の昼間らしく人は少ないが、カップルらしき男女が身を寄せ合って歩いている。
熱いねぇ。
('A`)「さてさて。どうしようか」
ζ(゚ー゚*ζ「うーんと、先に私のお洋服買っちゃうとかさばっちゃうから―――」
('A`)「だからと言って買い物済ませてからだとじっくり服見れないんじゃね?」
ζ(゚- ゚*ζ「むっ!それもそうだね!」
腕を組み、むぅと唇を尖らせている。可愛い。
ζ(゚ー゚*ζ「じゃ、服見に行こう!ふく!」
俺を急かすような声が前から飛んでくる。
104 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:20:06 ID:3d27Sdsg0- 先を行き、しかし後ろ向きで俺と話しながら歩く様はまるで子どものようだ。
('A`)「そんなに服、欲しかったのか?」
ならもっと早く買いに行けば良かったな、と苦笑いした。
やはり女の子が代わり映えのしない服を着るのは飽きてしまうのだろう。
アンドロイドではあるけども。
だがデレはまた子どものようにニヒッと笑い、違うよと答えた。
ζ(^ー^*ζ「どっくんと歩きたかったの!」
そう言って俺に近寄り、ぐいっと腕を引っ張る。
突然の出来事に何も出来ず、歩調が無理矢理合わせられ、
デレが俺を先導する形になった。
(;'A`)「う、うぃ」
アンドロイドではあるけども。
俺は女の子と歩いているんだ。
腕に当たる柔らかい感触にドギマギしながらそんなことを思った。
105 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:22:19 ID:3d27Sdsg0-
('A`)「まあ当然ながらこんな店に入るのは初めてなわけですが」
衣料品店の近くで立ち止まり、腕を組んで仁王立ちする。
勝手なイメージだが、俺なんかが入ったら後ろ指を指されそうだ。
ζ(゚ー゚*ζ「んー、私も情報がインプットされてないみたい」
デレが軽く頭を叩いている。
頭の中を探るのに随分原始的なことをなさる。
ふと気になった。
('A`)「じゃあ何の情報ならインプットされてるんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「んぅ?」
デレが目をパチクリする。
('A`)「いやほら、女の子っぽい情報が入ってないなら何が入ってんのかなと」
106 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:24:39 ID:3d27Sdsg0- そこまで言って訊かなければ良かったと後悔した。
彼女はセクサロイドとして俺の元へ送り込まれたのだ。
決して生活を補助してくれるアンドロイドなどではない。
そのためインプットされている情報なんて、性のものばかりに決まっているではないか。
ζ(゚- ゚*ζ「性に関する情報、対象の人間を悦ばせる反応、及び少しの生活情報」
ζ(゚- ゚*ζ「アイデンティティとして個性、学習機能なども加味されている」
わかってはいた。
しかし確固たる現実を突きつけられるのは堪える。
デレの口からそんなことを聞きたくはなかったという、
俺の中の処女信仰のようなモノが音を立てて崩れていった気がした。
俺はデレをセクサロイドとして見たくはない。
だが彼女は確かにセクサロイドなのだ。
('A`)「……そうか」
それだけ答えて、小首を傾げながら顔を覗きこんでくるデレの手を引き、店へ入る。
107 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:26:58 ID:3d27Sdsg0- 店内は異世界だった。
誇らしげなメーカーのロゴは見たことがないものばかり。
置かれた服の価値が全く分からない。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、これかわいい」
('A`)「……」
('A`)チラッ
( A ) ゚ ゚ ポーン
しかも高い。
俺のバイト代がぽーんと飛んでいく。
ζ(゚ー゚;ζ「ほ、他のにしようか……」
(;゚A`)「い、いや、出せる、出せるぞ!」
妙なところで俺の中の"男"が存在を誇示する。
女に気を遣わせるなんざ男のすることじゃないと。
108 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:29:43 ID:3d27Sdsg0-
ζ(゚ー゚*ζ「どう?」
試着を終えたデレがくるりと一回転する。
そんなに長くいるわけじゃないかもしれないし、と持ってきた服は、
白く、ダボついたセーターと肌を隠す黒地の服、
赤地に細い白や茶色のチェックが入ったミニスカート。
そして黒タイツ。
実にシンプルかつ金色のふわっとした髪と合っていて可愛い。
ζ(゚ー゚*ζ「寒さは感じないし、私の中にある感性とやらに従ってみたよー」
(*'A`)「う、うむ、いいんじゃないだろうか」
どこからどう見ても普通の女の子だ。
しかし。
('A`)「……膝の関節見えてね?」
ζ(゚ー゚;ζ「あ、本当だ」
うっすら独特の部位が見える。
……他人にデレがアンドロイドだとバレたらどうなるんだろうか。
処罰されるってことはないだろうが、良い予感はしない。
109 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:31:48 ID:3d27Sdsg0-
ζ(゚、゚*ζ「ぬーん、結構気に入ってたんだけどなぁ」
子どものように口を尖らせ、改めて服を見ている。
黒タイツは確かに可愛いさ三割増しだ。
しかし球体間接が透けてしまうなら仕方がない。
('A`)「スカート長いやつにするとか?」
ζ(゚ー゚*ζ「それだ!」
頭の上に電球でも現れそうな勢いで背筋が伸びた。
ζ(゚ー゚*ζ「んじゃ、探してくるね!」
デレは元が可愛いから何でも似合う気がする。
これは親馬鹿ならぬ保護者馬鹿とでも言うのだろうか。
元の服に着替え、また服の海へデレが消えていく。
選んできた服を見るに、一人で探させても問題ないセンスはあるらしい。
感性も個性なんだろう。
110 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:35:00 ID:3d27Sdsg0-
ζ(゚ー゚*ζ「じゃーん、どうだ!」
少し経ってから試着した姿を俺に見せる。
今度はさっきのようなミニスカートではなく、
最初に着ていた服のようなロングスカートだ。
あれは白い色だったが、これはこげ茶っぽい色。
ζ(゚ー゚*ζ「ミニスカートも履いてみたかったけどしょうがないねー」
白いブラウスの上にはスカートに合わせたような、
暖かそうな深い赤色のカーディガンを羽織っている。
(*'A`)「う、うむ、いいんじゃないだろうか」
ζ(゚、゚*ζ「もー、さっきもそう言ってたじゃん。本当にそう思ってるのー?」
(*'A`)「ご、ごめん、本当に似合ってると思う」
ζ(゚ー゚*ζ「そ、そう?ふふ、ありがと!」
互いに照れ合うというわけのわからない状態になった。
111 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:37:56 ID:3d27Sdsg0- 店員の事務的な声を背に受け、店を後にする。
ふ、ふふ、失った金は勉強料だ、そういうことにしておこう。
ζ(゚ー゚*ζ「パジャマまで買ってもらっちゃって……」
ζ(^ー^*ζ「ありがとうね、どっくん!」
まるで太陽のような笑顔のデレ。
眩しい、眩しすぎる。
(*'A`)「いいってことよ」
照れくさくて直視できず、思わず目を逸らす。
紙袋を持ってきゃいきゃい動くデレが可愛すぎるのもある。反則だ。
(*'A`)「ふ、袋持つよ」
イケメンなら恐らくこうするという俺の妄想力を最大限活かした行動である。
ζ(゚ー゚*ζ「んーん、いいの」
だがデレは断った。
112 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:40:36 ID:3d27Sdsg0- 少しへこんだが、続けてデレが言った。
ζ(゚ー゚*ζ「だってね、せっかくどっくんが私に買ってくれたんだもの」
ζ(゚ー゚*ζ「重くてもね、嬉しいの」
ζ(^ー^*ζ「嬉しさは一人占めなの!」
そうしてデレは言葉通り嬉しそうに両手で紙袋を持ち、微笑んでくる。
そう言われてしまったら俺からは何もすることができない。
だからただ、そうかとだけ答えた。
余計にデレの顔を見れなくなり、赤くなった顔は明後日の方向へ。
歩く足だって覚束ないが、その歩調にデレは合わせてくれる。
時々、恐らく耳まで赤くなっているであろう俺の顔を覗き見ようとして
ちょろちょろと正面に出てくるが、俺は断固として顔を合せなかった。
「ふふっ、かわいい」
少し悪戯っぽい、そんな声が聞こえた。
113 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:45:19 ID:3d27Sdsg0-
※ ※ ※
夕方。
バイトが終わって見上げた空は天気予報の通り曇り空で、
辺りは静かに暗くなっている。
折りたたみ傘を持ってきて良かったと心底思う。
デレと出かけた午前中の晴れ模様が嘘のようだ。
今日はしぃちゃんは俺の少し後に帰る。
当然と言えば当然だ。
俺がそうなるようにシフトを入れているんだから。
バイトをしているのは体裁を保つため。
正直俺一人が生きていく蓄えは既にある。
一時期趣味がバイトだった時期があったからだ。
さらにしぃちゃんは大学生だが、俺はフリーター。
どこにシフトを入れても大丈夫なのだ。
故に、"日課"を行うのに十分すぎるほど条件が揃っている。
114 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:48:27 ID:3d27Sdsg0- 裏口からしぃちゃんが現れた。
いつもの時間より少し遅れている。
手に何も食べ物を持っていないからトイレにでも行っていたのだろうか。
今日の服は灰色のダッフルコートに赤いマフラー、
太股に申し訳程度に伸びたミニスカートに黒いタイツ。
デレが着ていてもおかしくない服だ。
やはりこの二人は似ている。
帰宅ラッシュに入り、人の多い通りを歩く。
俺はしぃちゃんを見失わないよう、そして勘付かれないよう慎重に後ろを歩く。
耳に入る雑踏の声を全てスルーして目の前に集中する。
心なしかしぃちゃんの今日の歩行スピードが速い。
何かあるのだろうか?
それともただ単に寒いから早く帰りたいとか、そういう理由だろうか?
人混みを離れて小道へと入っていく。
ここからはさらに注意しなければならない。
こういう道にこそ変質者というのは現れるもの。
いつ何時しぃちゃんが連れ去られるか分からない。
俺が守らなければ―――
115 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:49:11 ID:3auGIZEw0 - いやな予感…
- 116 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:50:38 ID:3d27Sdsg0
- と、辺りが暗くなった頃に気がついた。
しぃちゃんがいつもの帰り道を通っていない。
どこに行く気なのだろうか?
もしかすると、友達の家?恋人?彼氏?
最後の二つは当たってほしくない選択肢だ。
いいや、どんな結末になろうとも俺は受け入れる。
"日課"を始めた時にそう誓ったじゃないか。
俺の代わりにしぃちゃんを守れる男が現れたなら、
役目をそいつに引き渡すと。
いかん、少し視界が歪む。
馬鹿だなぁ俺は。
まだそうと決まったわけじゃないのに早合点しちまってる。
前方を行くしぃちゃんが暗い道を行く。
足取りは軽い。
俺の知っているしぃちゃんが、
俺が知らない、しぃちゃんだけが知っている場所に行ってしまうようで、
少し寂しい思いがした。
117 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:54:54 ID:3d27Sdsg0-
更に歩みを進めようとしたその時。
ぽん、と肩を叩かれた。
.
118 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:58:54 ID:3d27Sdsg0-
瞬間、体が熱くなる。
ドクンと心臓が一つ、大きく動いた。
誰かに接触されるのは"日課"を始めて以来、初めてのことだった。
故にこういう時、どういう反応をすればいいかわからなかった。
从 ゚∀从「おい、あんた、何やってんだ?」
低い女の声。
答えようにも動けない。
頭が混乱している。
(;'A`)「え、あ、はい、何って、……」
そこで言葉を失う。
俺は、何をやっている?
.
119 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:00:58 ID:3d27Sdsg0- 心を落ち着かせて振り返る。
俺より背の高い、長身の女が俺を見下ろしている。
その後ろには数人の女がいる。
見たことのある顔だ。
しぃちゃんの友達。
何故彼女らがここにいる?
そして何故俺に接触してきた?
从 ゚∀从「もっかい訊くけど、『何をやっている?』」
顔は笑っている。
目が笑っていない。
(;'A`)「え、何、と言われても、家に、帰ろうとしただけ、で」
大嘘だ。
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん、家にねぇ?」
背の低い、言ってしまえばケバい女が侮蔑を含んだ眼差しを俺に向ける。
120 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:03:17 ID:3d27Sdsg0- 非常に居心地が悪い。
俺は何も悪いことをしていないのに、
まるで俺が何か悪いことをしたかのような雰囲気。
そう、俺は何も―――
('、`*川「あんたさ、随分動揺してるけど、自分が何してるか自覚してるわよね?」
長髪の女が問いかける。
(;'A`)「何、と言われても、俺はただ」
(゚、゚トソン「シラ切るつもりですね、この人」
涼しげな顔で女が言う。
その言葉を合図とするかのように長身の女が俺の胸倉を掴み、壁に押し付けてくる。
(;'A`)「えぇ!?ちょ、何するん、」
从 ゚∀从「てめぇ、自分がしてること棚に置いて」
从#゚∀从「……『何するんですか』、だとぉ……!?」
121 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:05:33 ID:3d27Sdsg0- 目に見えて女が怒りを露わにした。
押しつける力が強くなり、ますます身動きができなくなる。
しかしそれ抜きにしてももがくことを許さないプレッシャーがある。
从#゚∀从「あたしが言ってやるよ、変態野郎!!」
耳元で叫ばれ、耳がおかしくなりそうだ。
いや耳だけじゃない。
何か、大事なものがおかしくなってしまいそうな、そんな嫌な感覚。
从#゚∀从「あのな、お前がやってることはなぁ!!」
('、`*川「"ストーカー"って言うんだよ、おにーさん」
从#゚∀从「ストー……あぁ!?」
(゚、゚トソン「ハインちゃんどうどう」
ミセ*゚ー゚)リ「こんなキモい奴殴ってムショ行ってもしょうがないっしょ」
(゚、゚;トソン「ムショって……随分慣れた言い方ですね」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?別にあたしは入ったことないよ?」
122 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:08:36 ID:3d27Sdsg0- 女達の会話が頭に入らない。
頭に血が回ってない?
違う、思考回路全てにさっきの言葉が突き刺さって思考停止させている。
ストーカー?
ストーカー。
ストーカー?
ストーカー。
ストーカー。
俺がか。
俺がストーカー?
なんで?なんで俺がストーカー?
何かの間違いだ、だって俺はただ、しぃちゃんを守ろうと―――
意識が現実に戻った時、俺は女達に囲まれていた。
123 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:12:04 ID:3d27Sdsg0-
从#゚∀从「随分不思議そうな顔してんじゃねーか」
視界が回転し、受け身を取り損なって体が地面に叩きつけられる。
ぶつけた所からじわじわと痛み始めるが、そんなことは問題じゃない。
何とか上半身を起こし、彼女達を見上げる。
(メ;'A`)「お、俺が!?ストーカー!?どういうことです!?」
从#゚∀从「あん?前々からしぃから相談されてたんだよ」
(゚、゚トソン「『最近バイト帰りに誰かに後つけられてて怖い』、と」
('、`*川「そ。で、今日ようやくあんたがそのストーカーなんだってわかったわけ」
ミセ*゚ー゚)リ「げんこー犯だ、キャハッ」
まるで立ちくらみのように目の中で光がじんわりと広がり、
頭の中が圧迫されていくような感覚がした。
俺は思い上がって、とんでもないことをしでかしていたらしい。
124 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:14:49 ID:3d27Sdsg0- 長身の女と真面目そうな女の間から、なかなか焦点の合わない目でしぃちゃんの姿を覗く。
両手を胸の前に置き、今にも泣きそうな顔で俺を見ている。
弁明しようと口を開きかけたが、濡れた瞳が怯えと驚きを訴えかけているのに気付き、
何も言うことが出来ずにそのまま閉口した。
身近にこんな人がいたなんて
ドクオさんがそんなことをするなんて
今にもしぃちゃんはそう言い出しそうだ。
むしろ言って欲しかった。
これより酷い言葉で罵倒してほしかった。
その方が今みたいに何も言われず、ただ無言でいるよりは気が楽になる。
しぃちゃんと俺の距離は、そのまま心の距離に反映されているかのようだ。
ミセ*゚ー゚)リ「で、こいつ誰なの、しぃ?」
ケバい女に声をかけられたしぃちゃんが震えた声で俺の素性を告げる。
バイト仲間だ、と。
125 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:17:35 ID:3d27Sdsg0-
从;゚∀从「マジで?はー、あんたも変な奴に惚れられたねー」
('、`*川「私のバイト先紹介しようか?」
(゚、゚トソン「と、そんなことよりもです。この人どうしますか?」
ミセ*゚ー゚)リ「地面這いつくばってるのがお似合いってカンジだねー」
(゚、゚;トソン「コラ」
(*. - )「あの、ドク、……この人は、根は悪い人じゃないの」
(*.ー )「だから、いいの。これから何もしないって、約束してくれるなら……」
女達が同時に疑問の声を上げた。
しぃちゃんは目を伏せているが、言葉の節々には優しさがにじみ出ている。
誰に対しても、こんな俺に対しても、こんな時でも彼女は優しい。
そんなしぃちゃんに最悪の形で気を遣わせてしまっている。
何をやっているんだ、俺は。
126 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:20:49 ID:3d27Sdsg0-
結局彼女達は俺を見逃した。
次はないぞ、と言い残して。
俺を罰するためなのか、それとも気を遣ったのか、雨が降った。
だが涙は流れなかった。
俺に涙を流す権利などないと理解していたからだ。
だから小雨を受けながらただ思っていた。
天気予報は正確だなぁ、と。
.
127 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:25:04 ID:3d27Sdsg0-
※ ※ ※
(メ A )「……」
ふらりと部屋へ入る。
何かの料理の匂いがする。
しかし俺の脳はそれが何か識別しようとしない。
頭の中は後悔と反省と謝罪の言葉で埋め尽くされており、
それが涙という形を借りて外へ漏れ出そうとしている。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、おかえりー!今日はねぇ、って」
ζ(゚ー゚;ζ「濡れてる!?どうし」
(メ A )「ごめん、今日ちょっと無理、寝るわ、ごめん」
え、と息を呑むデレの横をすり抜けてコタツの布団を被る。
心配そうに声をかけてくるデレの優しさが辛い。
今の俺にはあらゆる優しさが針のように突き刺さってくるのがわかる。
そして何より、デレとしぃちゃんの姿が重なり、心が酷く痛んだ。
128 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:28:18 ID:3d27Sdsg0- よっかめ おわり
もっとドクオいじめたかったけどまた別の機会にでも
カービィに書き溜めの時間が圧迫されてました、来週は俺屍ですね!
集めた二次元画像がデレの服決めに役立つとは思わなかったです
いつも通り次回未定です、みなさん乙でした!
>>100
こんなAAあるのかwwwwww
129 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:29:53 ID:4RCq0wXc0 - 乙
- 130 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:36:01 ID:2V0hsfaI0
- おつおつ!!
- 131 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 01:48:43 ID:oQ1kTbH.0
- ドクオおおおおおおおおおお!!!!
因果応報だぞおおおおお!!!!
乙乙
- 132 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 09:13:43 ID:uLxinZYM0
- どっくんハートブレイクっ!
乙
- 133 :名も無きAAのようです:2011/11/06(日) 23:54:52 ID:ZE/52cag0
- セクサロイドが男を見つめる。
134 :名も無きAAのようです:2011/11/06(日) 23:57:03 ID:ZE/52cag0- 男が物言わなくなってから二度目の陽が昇り始め、
閉じたカーテンの向こうは微かに明るくなっている。
しかし依然として部屋の中は薄暗い。
男は今は静かに眠っている。
女の、人工筋肉とはいえ柔らかいその太股に頭を乗せられている。
呼吸は微かで、このまま消えてしまいたいという願望が現れているかのようだ。
女は目を瞑り、子どもをあやす様な緩慢な動作で彼の頭を撫で始める。
彼女は彼に何が起こったのか、彼が何をしたのかを知らない。
何故ここまで憔悴し、自分を責めているのかを知らない。
何も知らない人間からの優しさは棘にしか成りえないということも知らず、
彼が覚醒していた時にただ純粋な棘を刺し続けた。
もちろん悪意はない。
そして彼自身もその棘を甘んじて受け入れていた。
他人からの罰を望んでいた彼にとってその棘は、まさに最適の棘だった。
当の本人からの棘ではなく、似た別人の棘で満足していたのだ。
彼はどこかで二人を重ねて、そして代用しようとしていた。
135 :名も無きAAのようです:2011/11/06(日) 23:58:35 ID:ZE/52cag0-
※ ※ ※
( 'A`)】「あ、はい、ドクオです……」
( 'A`)】「すみません、……今日限りでバイト辞めさせていただきます」
( 'A`)】「すみません、すみません、……すみません、失礼します」
こうして電話口ではあるが、バイトを辞めた。
もちろん直に話しに行こうとも、これからあのコンビニを利用しようとも思わない。
少しの間とはいえお世話になったバイト先に対して
なんと適当な辞め方だろうかと苦笑いする。
俺は逃げたのだ。
しぃちゃんと合わす顔がない。
想いを伝えられないからせめて見守ろうとした存在は、
しぃちゃんにとって"ストーカー"としか認識されなかったからだ。
当然だ。
136 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:01:02 ID:eJh5Zkzs0- 鏡で自分の顔を見る。
想像以上に酷い顔だ。
ここまで泣いたのは大学で二浪が確定した時以来だろうか。
結局半端なところに入学するくらいなら、と大学進学は諦めてフリーターになった。
あの時の判断が正しかったのかどうかは分からない。
でも心のどこかで後悔している。
俺はいつも後悔しているなぁ。
コンロに乗せられた鍋の蓋を開ける。
中のブツは色合いからしてビーフシチューだろうか。
デレが初めて来た、何年も前のような数日前のことを思い出す。
あの時の料理の腕は酷かった。
野菜は不ぞろい、肉は固い、何故か調味料を入れまくり。
ビーフシチューをここまで不味くできるとは、なんて驚いたっけ。
137 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:03:53 ID:eJh5Zkzs0- 一昨日はこれを作って待っていてくれたのか。
そういえば嬉しそうな顔をしていた。
きっと成功したんだろう。
おいしくできたんだろう。
だろう、だろう。
それは推測の域を出ない。
その現場に俺は居合わせてやることができなかったから。
最低な行為で最低な結末を迎え、碌に相手にせず自分の殻に閉じこもったから。
流し果てたと思っていた涙がまた出そうになる。
今回の後悔はいつもより重い。
俺が言える権利などないが、重い。
蓋を閉じ、またコタツへと向かう。
腹は減ったが食欲はない。
ζ(゚ー゚*ζ「ただいまー」
玄関ドアが開き、デレが帰ってきた。
138 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:06:35 ID:eJh5Zkzs0-
ζ(゚ー゚*ζ「おいっすー、元気でた?」
('A`)「ああ……まあまあ」
ζ(゚ー゚*ζ「そっかそっか、良かった」
('A`)「……?それは何?」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、これ?じゃーん、プッチンプリンぶどう味ー」
ζ(゚ー゚*ζ「どっくんがお風呂上がりに食べるプリン切れてたから」
ζ(゚ー゚*ζ「補充しようと思って」
('A`)「……ありがとう」
ζ(゚ー゚*ζ「どういたしまして」
絞りだした二度目のお礼は声にならなかった。
139 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:08:08 ID:eJh5Zkzs0-
むいかめ「俺と葛藤」
.
140 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:10:28 ID:eJh5Zkzs0- デレがいそいそとお昼の用意をしてくれる。
不思議なことで、自然と食欲が湧いてきた。
時計を見ていなかったからわからなかったが、もう昼もいいとこだ。
それもわからないくらい俺はコタツに沈んでいた。
台所でビーフシチューを温めるデレを見る。
鼻歌混じりに鍋をかき混ぜるその姿はまるで新婚の妻みたいだ。
漂ってくる良い匂いに幸せを感じるが、
その度に打ち寄せる波のような後悔が幸せを掻き消す。
眠ってすっきりした頭で様々なことを、
俺の脳のキャパシティを超えた速度で処理する。
その結果、一つ区切りをつけようと思った。
ζ(゚ー゚*ζ「はぁいおまたせ」
湯気のたった器とご飯のよそられた茶碗をお盆に載せて
てこてこと歩いてくる。
141 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:13:02 ID:eJh5Zkzs0- シチューを掬い、口に運ぶ。
デレは俺の一挙一動を固唾を飲んで見守っている。
その目があまりにも真剣なものだから、思わず笑ってしまいそうになる。
ζ(゚ー゚*ζ「……どう?」
俺の動きが止まったのを見てそう尋ねてきた。
('A`)「すごいうまい」
数日前のシチューより遥かにうまい。
今の安物の鍋で作れる最大限なんじゃないだろうか。
ζ(´ー`;ζ「良かったぁ」
はふぅと息を吐き、脱力した。
短い言葉だったけど俺の本心を理解してくれたらしい。
ζ(゚ー゚*ζ「私ね、どっくんがバイト行ったり寝てる間に勉強してたんだよ」
142 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:15:45 ID:eJh5Zkzs0-
ζ(゚ー゚*ζ「近くの図書館に行ったり、本屋で立ち読みしたり」
('A`)「そんなことしてたのか」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。まあ暇だったし、どうせならリベンジをとね!」
まるでお手本のようなどや顔だ。
('∀`)「はは、リベンジ成功だ、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ!」
上機嫌にコロコロと笑った。
じゃがいもやにんじんもきちんと食べやすいサイズに切られていて、肉も柔らかい。
俺が作ったものより確実にうまい。
デレさまさまだ。
143 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:18:23 ID:eJh5Zkzs0-
ζ(゚- ゚*ζ「―――私が頑張ったことも、言わなきゃどっくんは分からないの」
ふと真面目な顔で、テーブルに目を落してデレが呟く。
突然のことで何のことか俺には分からなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「だから一昨日何があったのか、言えるようになったら教えてね」
そう言って少し寂しそうに微笑んだ。
少しの間の後、ごめんと言おうとした俺をデレが手で制止した。
ζ(゚ー゚*ζ「とりあえずご飯お食べ!一昨日の夜から何も食べてないでしょ!」
('A`)「……そうだな、有難くいただくでござる」
ζ(゚ー゚*ζ「うむ、苦しゅうない」
じっくり、噛みしめるようにシチューを食べる。
本当においしい。
144 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:21:38 ID:eJh5Zkzs0-
※ ※ ※
俺がしぃちゃんにつけた心の傷は大きなものだろう。
しかし俺と彼女が出会うことはもうないはずだ。
だから一つ区切りをつけるために、
出来る限り誠心誠意の謝罪をこめたメールをしぃちゃんに送った。
文末には「返事はし辛いだろうからいりません」と書いた。
これも一種の"逃げ"なのは承知の上で、だ。
それでもしぃちゃんからは返事が来た。
「最後に言った通り、これ以上何もしないなら私はもう気にしません」
「これからは女の子の後をつけるようなことはしないようにしてくださいね(笑)」
「では、お元気で」
俺はしぃちゃんに甘えて、文面通りに受け取ろうと思う。
彼女の優しさを頼りにするなんて、情けないとは思うけども。
145 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:23:31 ID:eJh5Zkzs0- 開き直った俺の頭は素直なプラス思考になった。
彼女には沢山の友達がいる。
ストーカーについて相談され、自分達でなんとかしてしまう友達が。
ひょっとすると彼氏もいるのかもしれない。
気になる人がいるのかもしれない。
対して今の俺にはデレがいる。
他にも頼りないけど、内藤やショボン、ジョルジュもいる。
……あいつらにこのことを話すと爆笑されそうだ。
そう、互いに救ってくれる誰かがいる。
だからいつまでも過去を過剰に引き摺ってはいけないのではないか。
俺が出来得る、彼女に対しての贖罪は、
これ以上しぃちゃんに迷惑をかけないこと。
都合が良すぎると笑われるかもしれない。
でも限りなくプラス思考の俺が出したのはそんな結論だ。
146 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:28:07 ID:eJh5Zkzs0- そしてデレの事へと思考が移る。
デレがいなかったら俺はどん底に落ちていたに違いない。
あの三馬鹿だけでは救われない自信がある。
しぃちゃんにメールも送れずぐるぐると思考の迷路に陥って、
最悪自殺していたかもしれない。
しぃちゃんと同種の優しさを持ったデレがいたからこそ、
まだ足元の地盤は頼りないが、こうやって立ち直れたんだ。
その優しさは一時期俺を傷つけたけれども、
今ではそれで良かったと思う。
デレが俺の中で特別な存在になっているのは確かだ。
しぃちゃんの存在が希薄になった今、それが浮き彫りになっている。
デレの気丈さ、明るさ、優しさが俺を助けている。
だが俺の脆弱な心がデレに依存しようとする度に、
デレの本来の役割が頭を過り、俺を鈍らせる。
147 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:30:50 ID:eJh5Zkzs0-
※ ※ ※
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「?なぁに?」
('A`)「いや、綺麗な髪だなぁと思って」
ζ(゚ー゚;ζ「うーん……褒めてくれるのは嬉しいけど」
ζ(゚ー゚;ζ「これ人工だからなぁ」
('A`)「まさか技術がここまで進歩してるとは思わなかった」
('A`)「国も何考えてるんだか」
ζ(゚ー゚*ζ「さぁ……?」
ζ(゚ー゚*ζ「全然情報入ってないからわからないんだよね」
148 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:32:54 ID:eJh5Zkzs0-
('A`)「お前を俺の所に送って来て何をしたいんだろうな」
ζ(゚ー゚*ζ「何をしたいかはわからないけど、何をさせたいかはわかるんじゃない?」
('A`)「…………あ」
ζ(゚ー゚*ζ「えっちー」
(;'A`)「むぐ」
ζ(゚ー゚*ζ「でも私がセクサロイドなんだって、もう忘れちゃってたよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そういう風に造られてるのに、ね」
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「私が、」
ζ(゚- ゚*ζ「私が人間だったら―――」
ζ(^ー^*ζ「なんてねっ」
149 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:35:04 ID:eJh5Zkzs0-
※ ※ ※
――― セクサロイド。
俺とデレの間にはどうしようもない壁がある。
.
150 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:38:04 ID:eJh5Zkzs0- 俺がいくらデレに惹かれようと、それまでだ。
そこから先の、社会的に認められるような関係にはなれるはずがない。
いや、そもそもこれは実験なのだ。
何が目的なのか、何をどうしたら終わりなのか分からない。
もとより二人に"遠い未来"なんてものはない。
ならせめてデレに本来の役目を果たさせるか。
セクサロイドとして国に託された役目を。
だがそれでいいのか。
俺はヘタレでビビリで、どうしようもない純愛思考の男だ。
デレとは今まで実にプラトニックに、丁寧に関係を積み重ねてきたつもりだ。
いくらセクサロイドとはいえ、俺に接するデレはいつも"人間"だった。
それを突然段階をすっとばすとどうなるのだろうか。
俺はただ、"セクサロイドとしてのデレ"を求めることになる。
151 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:41:39 ID:eJh5Zkzs0- 好きな相手とセックスするのは健康的だ。
童貞の俺でもそんなことぐらい理解している。
しかし今の俺は自業自得とはいえ傷心状態で、
おまけにデレは恋した人に似ていると来たものだ。
デレと暮らして数日、デレは一度も役目を果たそうとしなかった。
あくまで俺のペースに合わせてきてくれた。
彼女は"役目を果たすべき相手としての俺"ではなく、
妄りに意思を捻じ曲げずに"ドクオ"として俺を見てくれた。
しかし今の俺では"デレ"に惹かれているのか、
"しぃちゃんの代わりとしてのデレ"に惹かれているのか、
それとも"セクサロイドのデレ"に惹かれているのか、判断できなかった。
ヘタレここに極まる。
故に、俺は―――
.
152 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:46:08 ID:eJh5Zkzs0-
※ ※ ※
ζ(゚ー゚*ζ「どっくん」
('A`)「んあ?」
ζ(゚ー゚*ζ「シェンロンが3つ願い事が叶えられるようになったって」
ζ(゚ー゚*ζ「すごいご都合主義だよね」
('A`)「それを言いなさんな」
('A`)「大体シェンロンの存在自体ご都合主義だろ」
ζ(゚ー゚*ζ「まあそうなんだけどさ」
ζ(゚ー゚*ζ「3つにできるんかい!って思うよねー」
('A`)「まあな」
153 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:48:42 ID:eJh5Zkzs0-
ζ(゚ー゚*ζ「ね」
('A`)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「もし、願い事が1つだけ叶うなら」
ζ(゚ー゚*ζ「どうする?」
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
('A`)「…………秘密」
ζ(゚、゚*ζ「えー」
ζ(゚、゚*ζ「教えないと私の願い事使って白状させちゃうよ」
(;'A`)「な、なんという無駄使い」
ζ(゚、゚*ζ
(;'A`)「…………」
154 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:51:02 ID:eJh5Zkzs0-
('A`)+「世界平和」
ζ(゚ー゚;ζ「うっそだー!」
('A`)「うむ、嘘である」
ζ(゚、゚*ζ「憎たらしいことを言うじゃないの」
(;'A`)「いでで、つねるなつねるな」
('A`)「デレはどうなんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
ζ(゚ー゚*ζ「料理がうまくなりますように」
('A`)「あながち嘘じゃなさそうだ」
ζ(゚ー゚#ζ「ムキーッ!」
155 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:54:01 ID:eJh5Zkzs0-
※ ※ ※
故に俺は現状維持の道を選ぶ。
俺がデレに望むこと。
それはせめてこの家に居る間は楽しんでほしいということ。
だから焦ることはない。
セックスをするという役目はあるのだろうが、
でもデレはこんな俺にペースを合わせてくれている。
その気持ちに甘えさせてもらおう。
多分俺はデレが好きなんだ。
でも、怖い。
人でない物とセックスして一線を越えるというその事実が。
女との一線を越えたことのない俺が易々と越えられるはずがない。
デレを心から愛せるようになるまでその行為は先送りにすることにした。
156 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:56:53 ID:eJh5Zkzs0-
俺の願い。
"デレが人間になりますように"
エゴ丸出しのこの願いは、ついに外に出ることはなかった。
.
157 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 00:58:37 ID:eJh5Zkzs0- いつかめ とばして むいかめ おわり
やばい、ちょっと迷走してきたかもしれんね
次回投下日は未定です
皆さん乙でした!
158 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 01:20:34 ID:OXsYOseg0 - 来てたー!
乙!!
- 159 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 01:57:58 ID:NuHLU5F.0
- その願い事は切ないな…乙
- 160 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 11:08:39 ID:DSG6x8dY0
- 前のドクオは怖かったけど今回は切ないねぇ…乙です
- 161 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 19:30:52 ID:VOMJGK.oO
- ζ(´ー`*ζ
- 162 :名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 19:32:38 ID:OYHHEZ7AO
- いつかどこかでまたしぃと再会するフラグマダー?
- 163 :名も無きAAのようです:2011/11/09(水) 19:31:54 ID:ZPefGbVkO
- 乙
優しいというか女々しいというか
- 164 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:17:36 ID:WCNnDh2U0
- スーツを着た女は大きく伸びをした。
165 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:21:36 ID:WCNnDh2U0-
「お疲れ様です」
眼鏡をかけた真面目そうな風貌の男が女に声をかけた。
「うん、お疲れ」
キーボードを打つ手を止めず、目もよこさず返事をする。
最近の女性らしく、しっかりメイクをしたその顔からは少々の疲れが窺える。
男は少し溜息をついて神経質気味に眼鏡の位置を調節する。
「明日、D-19エリアの定期検査の日ですよ」
「わーってるわよんなこと」
女が口をとがらせてイライラしながら少し激しくタイピングする。
また溜息を、今度は深くつき、また眼鏡の調節をして問いかける。
「今度は前みたいなこと、しないでくださいね?」
166 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:22:49 ID:WCNnDh2U0-
「そーいえばさ、セクサロイド、新型できたらしいのよ」
「ええ、らしいですね」
マウスを操作し、該当するメールを開く。
画面に表示された5世代α型セクサロイドの情報を見つけ、
指でなぞって男に読ませた。
「へぇ、より人間らしく、ねぇ」
「そうよー。アサピーもハマんないようにしなさいね」
ハマりませんと男が即座に答えた。
「だから今の4世代系は役目を終えたら回収・廃棄らしいのよ」
「廃棄、ですか」
「欲しい?」
要りませんと男が即座に答えた。
167 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:23:50 ID:WCNnDh2U0-
「わーってるわ、よ!」
タンっと乱暴にエンターキーを押した。
「ほーらこれで始末書完成」
年甲斐もなく得意げな笑みを浮かべる女を見て、また男は溜息をついた。
「キュートさんのせいで僕まで始末書書かないといけないんですから」
「あら、あんたと運命共同体?嫌だわー」
「僕だって嫌ですよ、仕事上パートナーになってんですから、ちゃんとやってください」
男が苦々しく口元を歪ませる。
「だーってさー、あーいう奴見てたらイッライラしてくんのよねー」
眼鏡に手をかけながら軽口を諫めようと口を開きかけた男に言葉を被せる。
168 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:24:47 ID:WCNnDh2U0- ミスった!>>166と>>167逆です!申し訳ない
169 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:27:15 ID:WCNnDh2U0-
「第一僕、彼女いるんですから」
「知ってる」
男が女を睨みつける。
彼にとってこの弄び方は禁止らしい。
「あんた本当にこの手のジョーク駄目ねー」
「キュートさんは軽すぎるんですよ」
また眼鏡の位置を調節する。
女は男がその動作をした後は必ずお小言を言うことを理解していた。
「国家に仕える人間なんだから、もっと発言には気をつけて―――」
「はーーーーーい」
そう適当に返事をする女を見て、男はまた溜息をついた。
170 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:30:09 ID:WCNnDh2U0-
※ ※ ※
ζ(- -*ζ「おはゅ……」
('A`)「どんな発音だよ」
謎の言葉を呟きながらデレがスリープモードから戻る。
テレビからは朝のニュースが始まった音が聞こえてくる。
時間にはルーズではないらしい。
ζ(- -*ζ「ねむねむ」
ζ(- -*ζ「むー……」
もぞもぞとコタツへ沈んでいく。
そう言えば俺が買ったパジャマを着ている。
……普段は照れくさくて言えないが、寝ぼけてる今なら言える。
('A`)「……パジャマ可愛いな」
ぼそり。
171 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:31:31 ID:WCNnDh2U0-
Σζ(゚ー゚*ζ
言い終わると同時にガバっと起き上がってきた。
コタツの机が跳ねる。
ζ(゚ー゚*ζ「今!」
(;'A`)「ふ、ふぇ?」
どこの萌えキャラだ俺は。
ζ(゚ー゚*ζ「今なんて言った!!」
思い切り顔を近づけてきた。
パジャマの首元が緩み、中が見えそうになり顔を背ける。
(;'A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「ワンモア!」
172 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:33:23 ID:WCNnDh2U0- 顔が近い。
荒い鼻息が頬にかかる。
というか息も実装か。
ひょっとすると空気清浄機の代わりも……。
ζ(゚ー゚*ζ「…………」
無言の圧力である。
(;'A`)「……パジャマかわいいね」
数秒の空白の後、ついに俺が折れた。
恥ずかしいやらなんやらで顔が赤くなるのがわかる。
言葉を待ち構えてる相手にこんなにストレートに言ったんだ、当然だ。
ζ(´ー`*ζ「ぬっふふふふ……」
ゴキゲンな含み笑いを残してまたコタツに沈んでいった。
そして顔を真っ赤にした俺は、ただその場に硬直するしかなかった。
173 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:34:18 ID:WCNnDh2U0-
なのかめ「俺と理想」
.
174 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:36:17 ID:WCNnDh2U0-
※ ※ ※
まだ俺は外に出るのが怖い。
しぃちゃんと出会ってしまったら、俺はどんな顔をすればいい?
いくらしぃちゃん相手とはいえこればっかりは反応を予想できない。
酷く気まずい雰囲気が流れるのは確かだろう。
それに俺はストーカーをしていた男だ。
そのことは周知じゃないだろうけど、罪の意識からか
部屋に居る時ですら常に誰かに後ろ指をさされている気分になる。
外に出たら俺はどうなってしまうのだろうか。
でも、そうも言ってられない。
俺は何をするべきか。
デレに楽しく過ごしてもらうために行動するしかないのだ。
なけなしの"男"を振り絞り、行動するしかないのだ。
175 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:38:30 ID:WCNnDh2U0-
('A`)「デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「なに、どっくん?」
('A`)「デートしよう」
ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ「……え」
.
176 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:40:11 ID:WCNnDh2U0- デレとは話したいことがある。
こういう形式をとってみるのも良いかもしれない、なんて考えたわけだ。
朝に一度恥ずかしい思いをした。
だからこんなセリフぐらいなんてことはない。
事前練習をさせてくれたデレにお礼を言いたいくらいだ。
でも
肝心のデレが、
何故
顔を真っ赤にしている?
('A`)「お、」
(;'A`)「俺まで恥ずかしくなるだろうがあああああああああ!!!」
.
177 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:42:29 ID:WCNnDh2U0-
※ ※ ※
先の雨以来外に出なかったからわからなかったが、もはや冬の様相だ。
冬はこれより寒くなるっていうんだから四季は侮れない。
まあ元々俺が寒さに弱いというのも関係しているかもしれないが。
服に覆われていない顔を刺す冷気が微かに痛い。
少しでも軽減しようと、他人の目から自分を守るよう首を縮めて
マフラーに隠れるが、やはり寒いもんは寒い。
でも他人の視線は少し気にならなずに内心落ち着く。
ζ(゚ー゚*ζ
デレはいつもと変わらず悠々と歩いている。
こんな時ばかりはアンドロイドであることが羨ましい。
ζ(゚ー゚*ζ「ねね、どこ行くの?」
明るい表情でデレが話しかけてくる。
子どもみたいだなぁ。
178 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:43:58 ID:WCNnDh2U0- こういう時、どこに行くのが正解なのだろうか?
先にデートコースを考えずにデートに行こう、なんて
駄目男丸出しの先走った行動を少し後悔した。
しかしデレはアンドロイド、女性的な思考を持ってはいるが、
普通の女性の願望がそのまま通じるとは思えない。
いや、普通の女性とのお付き合いがないから全ては推測なんだけど……。
ええい、丸投げだ。
('A`)「デレはどこに行きたい?」
ζ(゚ー゚*ζ「私?そうだねー…………」
デレが視線を宙に泳がせて考える。
今日はデートという名目もあり、あの日買ってあげた服を着ている。
やはりよく似合っていて可愛い。
こうして見ると本当にただの女の子だ。
179 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:48:52 ID:WCNnDh2U0-
ζ(゚ー゚*ζ「行きたい所多すぎて、どこでもいいや!って気分かな!」
('A`)「そうなの?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。だからどっくんとその辺ブラブラしてるだけでもいいかなーって」
('A`)「あらまあ安上がりなこと」
えへへと笑う。
俺とその辺をブラブラしても何も楽しいことはないだろうに。
ζ(゚ー゚*ζ「部屋の中はもう飽きちゃった、だからもっと外の世界を広げたいかなぁ」
言ってからデレがハッとした顔になった。
恐らく俺に対して遠回しながら不満を言ってしまった、とでも考えたか。
俺がバイトやらなんやらで留守番ばっかりさせていたから、
必然的にデレはあまり外に出られなかった。
そのことに関しては俺に全て非があると言うのに、
デレは一言も不満を漏らさなかった。
180 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:51:33 ID:WCNnDh2U0-
ζ(゚ー゚;ζ「あああ、いや、どっくんが悪いわけじゃないんだよ!」
ぶんぶん手を振って否定の意を示してくる。
その必死さがなんだか可愛くて、思わず笑ってしまった。
ζ(゚ー゚#ζ「も、もー!何さ何さ!人が気を遣ったのに!」
('∀`)「あっはっは、ごめんごめん、そうだな、その辺歩こうか」
ζ(゚ー゚#ζ「ふーんだ!」
プリプリ怒って大げさな歩き方で先に行ってしまった。
確かに、せっかく俺を気遣ってくれたのに、
それを笑い飛ばしたのは失礼だったな、と反省した。
足早に去っていくデレの後を追う。
……人の背中を追うのが上手になったなぁ、なんて思ってしまい、
かさぶたになった心の傷が少し自己主張した。
181 :名も無きAAのようです:2011/11/11(金) 23:56:09 ID:WCNnDh2U0- いくつか角を曲がって通りを抜ける。
そして人の密度の薄い川の近くの土手を行く。
デレはこの辺りの地理に明るいのだろうか。
変わらずドシドシ歩いていくデレの後を黙ってついて行っていたが、
唐突にデレがぴたりと歩くのを止め、振り返った。
ζ(゚ー゚*ζ「嘘でしたー!怒ってないよー!」
色を失いつつある世界で、唯一色を持った、満面の笑み。
ドッキリ大成功!と書かれたプラカードでも出しそうな勢いだ。
多分俺が心配して、悲愴な顔で後を追っていると思っていたのだろう。
でも、俺が簡単に追いつけるように歩く速度を落としていたことや、
角を曲がる時にデレがイイコトを思いついたようにニヤニヤしていたことを、
俺は知っていた。
だから。
.
182 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:00:33 ID:YZXWqM5M0-
ζ(゚- ゚*ζ「えっ?」
袖からちょこんと覗くデレの手を握る。
('A`)「気遣ってくれてありがとう、デレ」
('∀`)「行こう」
柔らかいが、熱は伝わってこない。
その代わりに何かが伝わってくるような、そんな手。
ζ(^ー^*ζ「――― うん!」
手を繋ぎながら歩く。
デレには俺のことを知ってほしかった。
予定は前倒しだけど、歩きながら話すことはたくさんあるんだ。
.
183 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:04:03 ID:YZXWqM5M0-
※ ※ ※
幼稚園、小学校、中学校、高校生、大学浪人、フリーター。
母さんと二人で人生が始まったこととか、
幼稚園の時に保母さんに恋をしたこととか、
小学生の時はクラスの中心的存在だったこととか、
中学生の時はテニス部に入って勉強も頑張ってみたこととか、
母さんの事情で実家に帰ったこととか、
高校生の時はそのせいで友達がうまくつくれず塞ぎこみがちになったこととか、
勉強にも力が入らず浪人したこととか、
母さんが亡くなって家を飛び出したこととか、
結局諦めてフリーターになったこととか。
こうしてまとめると墜落人生のように思えるが、
俺の歩んできた経歴は実に、面白いぐらいに普通だ。
当事者が言うんだから間違いない。
そんな普通の話をデレは楽しそうに、時に悲しい顔をして聞いてくれた。
普通ということは楽があれば苦もあったということだから。
184 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:07:22 ID:YZXWqM5M0- 陽が落ちそうな頃、俺達は公園のベンチに落ち着いた。
寒空の下でも子ども達は風の子のように元気に遊んでいたが、
母親に言いつけられた時間が近くなったのか、風のように去っていった。
そして公園は静寂を取り戻した。
('A`)「……そんで、ちょっと前まで働いてたバイト先で、ある女の子と出会った」
話はついに最近まで近づいた。
('A`)「あー……ここから先は言い辛い」
ζ(゚ー゚*ζ「なら無理しなくても」
いや、とデレの言葉を遮る。
('A`)「デレには聞いてほしいんだ、俺が」
そう言うときゅっと口を結んだ。
('A`)「俺はその子が大好きで、そんでストーカーになった」
185 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:10:36 ID:YZXWqM5M0-
('A`)「無意識に後をつけまわしてた」
('A`)「好きだと言えないならせめて見守ろう」
('A`)「……なんて思ってたんだぜ、俺」
('A`)「本当、馬鹿みたいだ」
('A`)「その子にとっては気味の悪いただの変質者でしかないのに」
('A`)「……その子とその友達に思い知らされて、初めて気づかされたんだ」
('A`)「俺のやってることはストーカーなんだって」
('A`)「そっからはデレの知ってるあの時の俺だ」
ζ(゚ー゚*ζ「…………どっくんは優しいけど臆病で、ヘタレ」
('A`)「なんとでも言ってくれ」
186 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:14:22 ID:YZXWqM5M0- 俺はもう後悔したくなかった。
デレが知りたがった"俺"を話さなかったら、きっと俺はまた後悔していた。
俺のためにもデレのためにも、
彼女がどんな反応を示そうとこれだけは話しておきたかった。
そしてデレとの関係にも後悔したくなかった。
だから洗いざらい話したのだ。
ζ(゚ー゚*ζ「でもね、私に話してくれてありがとう」
柔らかな笑みを浮かべてそう続けた。
ζ(゚ー゚*ζ「どっくんは、頑張ってきたんだよ、今まで」
('A`)「……俺が?」
ζ(゚ー゚*ζ「そう!ずっと、ずぅ〜〜〜っと!」
顔は真剣だ。
俺を茶化す時の子どもっぽさは消えている。
187 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:18:07 ID:YZXWqM5M0-
ζ(゚ー゚*ζ「お願い!」
突然デレが大きな声を出して驚く。
ζ(゚ー゚*ζ「もし、一つだけ願い事が叶うなら」
俺が話してる間中、ずっと握ってくれていた手を今度は両手でぎゅうと包んだ。
ζ(゚ー゚*ζ「どっくんが幸せになりますように」
子ども達が秋の気配を連れ去った、澄んだ空気の公園に、
デレの声が一際綺麗に響いた。
鼻の奥がつんとした。
でも嫌な感覚ではなかった。
('A`)「……デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「どう、叶うかな?」
優しい笑顔のこの女の子は、アンドロイドのこの子は、俺のために願ってくれた。
188 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:22:33 ID:YZXWqM5M0-
( ;A;)「――― ああ、叶ったよ」
自然と俺達の顔の距離が近くなる。
無機質だけど、意志を秘めた瞳。
人工だけど、綺麗な肌。
偽物だけど、輝く金色の髪。
作りものだけど、柔らかな唇。
セクサロイドだけど、本物のデレ。
その時、俺は確かに幸せだった。
.
189 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:26:01 ID:YZXWqM5M0-
※ ※ ※
('A`)「ただいまっと」
ζ(゚ー゚*ζ「おかえりっ」
家の鍵を開けた俺より先にデレが入って言葉を返す。
そして俺の言葉を待つように耳に手を当てる。
しょうがない、付き合ってやるか。
('A`)「おかえり」
ζ(゚ー゚*ζ「ただいまっ」
そんな小さなやり取りだけで今は満足だ。
今日はまるで理想を現実に反映したかのような一日だった。
一日夢でも見ていたんじゃないかと疑ってしまうほどに。
190 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:30:10 ID:YZXWqM5M0- 今日は大きな一歩を踏み出した。
流れというか、雰囲気というのは人の手助けをしてくれるらしい。
今思い出したら赤面してしまうような、普段の俺からは考えられない行動だった。
だがしかし。
過去に二次元をオカズにオナニーをするという一線を越えた俺だが、
未だオナホを使ってオナニーをするという一線を越えられていない。
そのこともあってか、デレとはまだ一線を越えられそうにない。
これは俺の気持ちの問題だ。
でもいずれは彼女と"セクサロイド"として、ではなく
"デレ"としてセックスをする日が来るかもしれない。
ヘタレでもその辺を考えてしまうのは下半身で物を考える、男の性だ。
でもいずれ、だ。
ゆっくりでいいんだ。
ゆっくり、デレへの気持ちを"恋"から"愛"に変えていこうと、そう思った。
191 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:32:12 ID:YZXWqM5M0- なのかめ おわり さいしゅうびへ つづく
次回木曜か金曜あたりに投下できたらいいなぁと思いまっす
できなかったらごめんなさい!
皆さま乙でした!
192 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 00:34:44 ID:YZXWqM5M0- あ、上げ忘れ
193 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 01:12:41 ID:cAIMu99s0 - 乙
デレかわいいなぁ
- 194 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 01:23:48 ID:R6MxOqRE0
- やはり廃棄になるのかー(´・ω・`)
時間が無いな…乙
- 195 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 01:38:41 ID:kYEm2PJoO
- 乙です。最終日へ続くだと…?ドクオもデレも幸せになって欲しい…
- 196 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 02:00:26 ID:fzsTOBII0
- デレかわいい
ふたりとも幸せになって欲しい
- 197 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 09:36:20 ID:hvL1iAyAO
- 乙
最終日……どうなるか
- 198 :名も無きAAのようです:2011/11/12(土) 21:04:50 ID:U.kt.afA0
- 期待
- 199 :名も無きAAのようです:2011/11/14(月) 20:36:55 ID:zTwI2xgk0
- もしかして( ^ω^)の涙のようですの人?
- 200 :名も無きAAのようです:2011/11/14(月) 21:57:03 ID:yiCLniz60
- >>199
いえ、申し訳ありませんが違います
- 201 :名も無きAAのようです:2011/11/15(火) 05:19:11 ID:v0eT0IJMO
- >>200
そうか、残念。いや、残念なのか?
よくわからないけど過去作あったら教えてください。
是非読んでみたい!
- 202 :名も無きAAのようです:2011/11/15(火) 20:32:15 ID:FMlyPo3w0
- >>201
完結してからのお楽しみ?ということでひとつ・・・
- 203 :名も無きAAのようです:2011/11/16(水) 13:14:29 ID:ATZBOP56O
- >>202
∧_∧
( ・∀・) ワクワク
( ∪ ∪
と__)__) 旦~
- 204 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 22:45:34 ID:2YMn0uF20
- 昨日はごめんなさい、まさか私用が入るとは思いませんでした
205 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 22:48:15 ID:2YMn0uF20- 薄暗い部屋の中、炬燵の横に置かれたベッドの上で一つの影が蠢いている。
206 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 22:52:12 ID:2YMn0uF20-
※ ※ ※
『定期検査とかいうの、別にどうということはなかったお』
『ツンのメモリーかなんかをチェックして実験成功』
『なーんか拍子抜けだおねー』
『あれからクーの、セクサロイドのこと、ネットに書いてみたんだよ』
『そしたらものの数分でレスが削除されてたんだ』
『通りでセクサロイドの情報が出回らないわけだよ』
『定期検査なんてなかったぜー』
『多分俺があいつ閉めだしたこと知ってたんだろうなー』
『国の情報網は怖いぜったく』
.
207 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 22:54:36 ID:2YMn0uF20-
※ ※ ※
コタツの上の求人広告を眺める。
俺はとりあえずまたバイトを始めることにした。
もちろん前のコンビニではないが、
バイトをしていることが俺の日常だと気がついた。
そしてその日常にデレが溶け込んだ時、
その時が俺とデレの一区切りだと考えたのだ。
('A`)「しかしまあ、どうしたもんかのう」
ひょっとするとバイトより就職しちゃったりした方がいいとか、そういう感じだろうか。
しかし今の就職氷河期の時代、
大学を出ていない俺が容易く就職できるとも思えない。
ζ(゚ー゚*ζ「お夕飯、何がいいかな?」
('A`)「ん?…………んー?」
残念ながら何が食いたいかと突然訊かれてもパッと答えられない。
208 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 22:59:23 ID:2YMn0uF20-
ζ(゚ー゚*ζ「じゃがいもニンジン玉ねぎ、あと冷凍の豚肉牛肉があるんだけど」
('A`)「ふむ、じゃあ肉じゃがで」
ζ(゚ー゚*ζ「おっ!嫁入り必須料理ナンバーワンが来たね!」
デレがむふんとどや顔をする。
('A`)「ほほうその顔、学習済みというわけだな」
ζ(゚ー゚*ζ「立ち読みの力を舐めない方がいいよ!」
デレは読んできた本の内容を全て記憶したのだろう。
これもデジタル万引きと言うのだろうか、いやまさかな。
('A`)「でもまあ昼飯食ったばかりだから一休みすると良い」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあお言葉に甘えて」
いそいそコタツへ入ってきて極楽気分な表情を浮かべる。
その様が妙に可笑しくてニヤニヤしてしまった。
209 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:03:22 ID:2YMn0uF20-
('A`)「前から気になってたんだけど、あったかい?」
我ながら空気の読めない発言だと思う。
しかしデレはそのままごく自然に答える。
ζ(´ー`*ζ「やっぱりあったかくはないけど」
ζ(´ー`*ζ「なんか、あったかい感じがするんだよねぇ」
気分の問題だろうか。
ζ(゚ー゚*ζ「おりゃっ」
デレがコタツの中に手を突っ込み、俺はふくらはぎをぎゅっと握られた。
やばい、と思った時にはもう遅く、足の裏にむず痒い感覚が。
('∀`)「ぶはっ!や、やめwwwwwww」
ピンポン、とチャイムが鳴った。
.
210 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:05:01 ID:2YMn0uF20-
さいしゅうび「俺とデレ」
.
211 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:08:07 ID:2YMn0uF20-
ζ(゚ー゚*ζ「あら」
('∀`)「?誰だ」
訪問者の少ないこの家のドアチャイムが珍しく仕事をした。
新聞勧誘だろうか、それとも宗教勧誘だろうか。
どっちにしろかるーくあしらってやる。
('A`)「はい、どちら様ですか」
受話器越しに対応する。
『厚生労働局の者です、セクサロイドの定期検査を行いたいのですが』
ああ、そういえば一週間後に検査があるとか書いてあったっけ。
もう一週間とは、早いものだ。
('A`)「はい、ちょっと待ってください」
と、何故かドアの鍵が開く音がした。
212 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:11:16 ID:2YMn0uF20-
o川*゚ー゚)o「お邪魔しまーす」
(-@∀@)「あ、こら、先輩、勝手に入っちゃ駄目ですって!」
o川*゚ー゚)o「なんでさ、別にいいんじゃないの?開錠OKもらったんだし」
(-@∀@)「そういう問題じゃなくてですねぇ……」
(;'A`)「あの」
目の前で漫才のようなやり取りをするスーツ姿の男女。
これが厚労局の人間か。
随分軽い。
(-@∀@)「ああ申し訳ありませんドクオさん、私たち、厚生労働局の」
o川*゚ー゚)o「キュートでっす」
(-@∀@)「……アサピーです、よろしくお願いします」
凸凹コンビか。
213 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:14:12 ID:2YMn0uF20- 二人が俺に続いて中に入ってくる。
一気にこの部屋の人口密度が上がった。
ζ(゚ー゚*ζ「初めまして」
o川*゚ー゚)o「一週間ぶりよ、まあ覚えてなくても仕方ないね」
ζ(゚ー゚*ζ「え、はい?」
(-@∀@)「ではまず色々説明していきますね」
眼鏡をかけた男、アサピーさんが鞄から書類を取りだす。
(-@∀@)「まず、一週間前に貴方の家にこの4世代β型セクサロイド」
(-@∀@)「固体名識別名"デレ"を設置したのは我々です、説明不足で申し訳ないです」
(;'A`)「え、あ、はぁ」
小難しい単語を並べられても困る。
214 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:19:37 ID:2YMn0uF20-
(-@∀@)「この実験は始まって間もないため、少々不手際がございまして」
(-@∀@)「今後改善していくことを約束いたします故、ご了承ください」
('A`)「はぁ」
(-@∀@)「えー、今回の定期検査では"デレ"に搭載された小型記憶デバイスの確認」
(-@∀@)「まあ"デレ"の経験したことを見させてもらいます」
(;'A`)「うぃ?」
流石にそこははぁとは言えなかった。
記憶を確認?
俺の恥ずかしい告白とか何もかもが見られてしまうのか。
(;'A`)「……ちょっと恥ずかしいんですけど」
o川*゚ー゚)o「大丈夫よ、みーんな同じようなことしてるから」
215 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:21:38 ID:2YMn0uF20- 同じようなこと?
セックスか?
しかし俺とデレはまだそんなことをしたことはないから、
まあそのあたりは大丈夫なんだけど。
o川*゚ー゚)o「んじゃま、ちょっと失礼」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、はい」
アサピーさんが鞄からノートパソコンを取り出し、
キュートさんがそれとデレのうなじの差し込み口とをコードで繋ぐ。
(-@∀@)「まあ経験したことと言っても箇条書きに」
(-@∀@)「それもシンプルに書かれてるだけですから」
(-@∀@)「プライバシーはきちんと守られてますよ」
('A`)「はぁ」
この人は真面目そうだし、言ってることは本当なんだろう。
216 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:25:25 ID:2YMn0uF20-
(-@∀@)「…………」
o川*゚ー゚)o「…………」
二人してパソコンを凝視している。
一体どんなことが書かれているんだろうか。
実験ねぇ。
デレの情報をとっているということはデレの実験なのだろう。
でもその実験の目的すらわからなかったんだから、
彼らの満足いく結果が得られたのかどうか。
料理方面の学習はかなり進んだみたいだけど。
少し経った後、彼らは声を揃えて言った。
「駄目だね、こりゃ」
「駄目ですね、これは」
意味が分からなかった。
217 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:28:33 ID:2YMn0uF20-
('A`)「はぁ、駄目でしたか」
o川*゚ -゚)o「ねえあなた、どうしてこの子とセックスしなかったの?」
(;'A`)「え゙」
予想外のことを尋ねられ、変なところから声が出た。
o川*゚ -゚)o「文書にそれらしく書いてあったでしょ?」
薄い怒りの色を秘めた瞳が俺を見つめる。
正義が悪に抱くような健全な怒りではなく、ただ人が他人を嫌う時の健全でない怒り。
(;'A`)「え……っと、あの、その、まあ俺は、童貞でして」
o川*゚ -゚)o「んなことは知ってるわよ」
言い放った冷たい言葉が地味なダメージを与えてくる。
なんで知ってるんだ。
218 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:31:27 ID:2YMn0uF20-
(-@∀@)「キュートさん、まずは説明です」
そう言ってアサピーさんが彼女を制し、
今回の実験について今更ながらではあるが説明を始めた。
曰く、周知の通り出生率の低下が問題になっている。
原因の一つとして、男性の性に関する自信の不足や女性への関心の低下がある。
それを解決するため国は童貞の男にセックスを経験させることを提案した。
そして人に近い、精巧なセクサロイドが造られた。
人工知能を搭載することで風俗よりも高い満足を得られるようにしたとか。
国は国民のスカイプやメッセ、それにツイッターやらなんやらのネット情報を
全て掌握していたらしい。
そしてまずは25歳以上30歳未満で現在彼女のいない男性を対象とした。
対象を絞るためにそこまでやるかと驚いた。
が、この実験は出生率を上げるという目的の一つの方法に過ぎない。
色んな理由で子どもを作れない人々への
対策をするための実験計画が、水面下で進んでいるようだ。
それらの対象者を決めるためにも大がかりな"盗聴大作戦"をしているとのこと。
219 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:34:44 ID:2YMn0uF20- つまりこの実験は、人に近いセクサロイドとセックスすることで、
自信を持ち、女性と健全な交際を始めるとっかかりを作るのが目的だった。
セックスしたか否か。
それが今の実験が成功したか、失敗したかの判断基準。
これからその可能性があるとはいえ、彼らは結果だけを求めていた、
だから俺は失敗。
o川*゚ -゚)o「で、なんでセックスしなかったの?」
この人は何故かはわからないが、もはや憎悪に近い感情を俺に持っている。
目でアサピーさんに助けを求めてみても呆れたように首を振るだけだった。
俺とキュートさんのどっちに呆れているのかは知らないが。
(;'A`)「ええと、あの、俺の信念みたいなものです」
そんなに大それたものじゃないけれど。
220 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:41:36 ID:2YMn0uF20-
('A`)「健全な恋愛を経てじゃないと、と言いますか……」
o川*゚ -゚)o「この子と真っ当な恋愛をしよう、と」
未だコードで繋がれ、力なく俯いているデレを指さす。
繋がれている間はスリープモードになるらしく、
今のデレを見ると酷く違和感がある。
俺にとってデレはもはやただのアンドロイドではなかったのだから。
o川*゚ -゚)o「話はそれからだ、と」
('A`)「ええ」
そう短く返事をすると、突然キュートさんがデレとPCを繋ぐコードを引っこ抜き、
後ろ髪を掻き上げ、デレのうなじを露わにさせる。
あまりにも突然のことで、俺やデレはおろか、アサピーさんまで驚いていた。
ζ(゚ー゚;ζ「ん、え、ええ!?」
o川*゚ -゚)o「この子はセクサロイドだよ?機械だよ?人間じゃないんだよぉ?」
(-@∀@)「ちょっ、キュートさん!!」
221 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:43:50 ID:2YMn0uF20- 慌ててアサピーさんが立ちあがりキュートさんを抑えようとするが、
ワンテンポ遅かった。
既にキュートさんはデレを離し、床に座っていた俺の胸倉を掴んでいたのだ。
間近にキュートさんの顔が迫る。
昨日のようなロマンチックな気分には到底ならない。
o川*゚ -゚)o「機械と、本気で恋ができると思ってンの」
(-@∀@)「キュートさん!!落ち着いてください!!」
デレは視界の隅でぺしゃりと座り込み、
状況が把握できていないのか呆然と成り行きを見ている。
俺も何が何だか分からない。
(;'A`)「き、機械、て、でも、デレは、ちゃんと人間らしい、感情、が」
ぐいぐいと押しこまれて首が締まり、息も絶え絶えに返答した。
そしてキュートさんは俺を荒々しく解放し、仁王立ちになる。
俺たちの位置関係はこの短い時間で作られた力関係を現わしているかのようだ。
222 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:50:20 ID:2YMn0uF20-
o川*゚ -゚)o「教えてあげようかァ?」
(-@∀@)「ちょ、待ってください!」
o川*゚ -゚)o「"デレ"にプログラムされている思考回路、」
(-@∀@)「確かにそれを告げることは大事ですが」
o川*゚ -゚)o「それらは全部ねぇ、」
(-@∀@)「今のあなたが言っても―――」
アサピーさんはキュートさんを前から抑え、俺と距離をとらせる。
しかし制止をものともせず、俺に指を突きつけて彼女は言った。
o川*゚ー゚)o「ホンモノじゃないのよぉ?」
.
223 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:52:23 ID:2YMn0uF20-
(;'A`)「……何が言いたい」
わかってる、わかってる、そんなことはわかってる。
o川*゚ー゚)o「いい?"デレ"はセクサロイド」
(;'A`)「……わかってる」
本当にわかってるのか、と俺の頭の冷静な部分が自問する。
そんな俺の自問を見透かしたかのようにキュートさんが嘲笑した。
今、この女は、俺を心の底から馬鹿にしている。
流石の俺も怒りが込み上げてきた。
o川*゚ー゚)o「あなたの言った人間らしい感情?」
o川*゚ー゚)o「それってもしかしてあなたを好きになるってことかしらぁ?」
(;'A`)「ッッッ!!!そうだ、でもそれだけじゃない!」
俺を好きなのかどうか、はっきりとデレの口から聞いたわけではない。
だから肯定することは俺の願望でもある。
224 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:56:09 ID:2YMn0uF20-
(;'A`)「漫画のネタバレした俺を怒った!」
(;'A`)「エロ本に嫉妬した!」
(;'A`)「服を欲しがった!」
(;'A`)「ビーフシチューをうまく作れるように頑張っていた!」
(;'A`)「俺が褒めたら満足そうに照れた!」
(;'A`)「俺に願い事を―――!」
(;'A`)「俺に怒った!俺と喜んだ!俺を慰めてくれた!!!」
(;'A`)「感情があるんだよ、デレには!!!」
俺の脳裏にはデレとの思い出が蘇っていた。
一週間と言う短い期間ではあったが、記憶が刻まれるには十分すぎる期間だった。
225 :名も無きAAのようです:2011/11/18(金) 23:59:40 ID:2YMn0uF20-
荒い俺の息づかいだけが部屋に響く。
そしてそれを塗りつぶす様なクスクスという笑い声。
o川*゚ー゚)o「あは、それ、全部プログラム通り動いただけなのよ?」
すうっと頭が冷えるとともに、思い出が消えていく。
俺は目の前のクソ女の話を信じたくはなかった。
だが言葉はするすると頭の中に入り、あたかもクソ女の語ることが
元々俺の考えていたことに合致するかのような錯覚に陥る。
いや、違う、錯覚では、ない。
錆びた首を回してデレを見る。
デレは何も言わず、顔をどうすればいいかわからない風に歪ませ、
ただ俺たちのやり取りを見守っている。
アサピーさんの表情からは何も読みとれなかった。
しかしクソ女の暴走を止める気はもうなさそうだ。
226 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:02:41 ID:C.lJOhWI0-
o川*゚ー゚)o「ネットに曝け出されたあなたの情報を分析して」
o川*゚ー゚)o「あなたが好むような女性像をインプットした疑似人格」
o川*゚ー゚)o「それが"デレ"よ」
ζ(゚ー゚;ζ「――― わ、私は、自分で考えて、行動を」
o川*゚ -゚)o「セクサロイド風情がそんな芸当できるわけがないでしょう」
ζ(゚ー゚;ζ「ッ……!」
o川*゚ -゚)o「…………ふん」
o川*゚ー゚)o「残念ねぇ、あなたが愛している"デレ"は人間じゃないの」
o川*゚ー゚)o「人間的な思考回路を持ったセクサロイド」
o川*゚ー゚)o「その思考回路は勿論あなたに都合がよくなるよう組んだもの」
227 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:05:37 ID:C.lJOhWI0-
o川*゚ー゚)o「私はあなたをセクサロイドにすら手を出せない」
o川*゚ー゚)o「さらに自分に好意的な人しか愛せない、」
o川*゚ー゚)o「気持ち悪いほど奥手のヘタレ野郎と判断したわ」
o川*゚ー゚)o「国の未来に必要のないレベルの、ね」
o川*゚ー゚)o「アサピー、あなたもそう判断したのよね?」
(-@∀@)「…………」
o川*゚ー゚)o「だから実験は失敗」
o川*゚ー゚)o「あなた、救いようがないわ」
o川*゚ー゚)o「楽しかった?嬉しかった?喜んだ?幸せだったぁ??」
o川*゚ー゚)o「『俺を愛してくれる人がいた』、って」
.
228 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:07:51 ID:C.lJOhWI0-
(; A )「やめ、ろ」
o川*゚ー゚)o「あれあれ?なんて顔してるの、ドクオサン?」
o川*゚ー゚)o「もしかしてこんなことも理解してなかったの?」
o川*゚ー゚)o「それとも理解できなかった、したくなかったの??」
(; A )「りかい、していた」
.
229 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:09:23 ID:C.lJOhWI0-
o川*゚ー゚)o「嘘、嘘嘘、そんなの嘘よ」
o川*゚ー゚)o「あなたはそんな当然のことを忘れちゃうくらいハマっちゃってたのよ」
(; A )「……………………」
o川*゚ー゚)o「ねぇ、一つ訊いていぃ?」
(; A )
.
230 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:11:45 ID:C.lJOhWI0-
o川*゚ー゚)o「セクサロイドと愛し合うことができるって、本気で思ってたぁ?」
.
231 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:14:42 ID:C.lJOhWI0-
どすん、と心がどこかに堕ちた。
何も聞こえないのは女の猛攻が終わったのか、俺の耳が聞こえなくなったか。
アサピーさんは沈痛な表情で俺とデレを眺めている。
彼も、味方ではない。
ぼんやりぼやけたデレもまた動かない。
彼女は今、何を考え、何を思っているのか。
俺には何もわからない。
女が大きく息をつき、くしゃくしゃと頭を掻いた。
o川*゚ー゚)o「……行きましょう、アサピー」
o川*゚ー゚)o「上からの指示通り、"デレ"の重要なとこだけ回収するわよ」
o川*゚ー゚)o「本体の脱け殻は――― 私が買いとるわ」
(-@∀@)「え、でも」
o川*゚ー゚)o「どうせ廃棄なのよ?別にいいでしょ」
232 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:15:40 ID:rTewf2Aw0 - ドクオ…俺が許す。殴っていいぞ
- 233 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:19:25 ID:C.lJOhWI0
-
ζ(゚- ゚*ζ「――― あ」
デレが小さく声を出した。
ぼやけた意識が薄らクリアになる。
(. A )「……デレ、俺は、お前が、……好きだ」
これだけは伝えなければならないと思った。
これだけは訊かなければならないと思った。
( 'A )「お前は、どうだ」
離れたデレをまっすぐに視る。
しかし焦点が合っていないのか、何人ものデレが見えた。
アサピーさんが口を真一文字に結んでデレの頭に手をかける。
恐らくあそこにデレが"デレ"として重要な部分、
記憶デバイスや人工知能等があるのだろう。
デレが口を開いたが、声にはならなかった。
もう一度口を動かし、声にならなかった言葉を声にした。
.
234 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:23:56 ID:C.lJOhWI0-
ζ(゚- ゚*ζ「私は、」
ζ(゚ー゚*ζ「どっくんを、」
ζ(゚ー゚*ζ「愛してる―――」
ζ( ー *ζ「―――――― よ」
.
235 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:25:11 ID:rTewf2Aw0 - (´;ω;`)
- 236 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:28:00 ID:C.lJOhWI0
-
o川*゚ー゚)o「茶番は終わり」
(-@∀@)「……あなたが終わらせたんでしょう」
o川*゚ー゚)o「これにて被験者ドクオに対する実験を終了します」
o川*゚ー゚)o「ご協力ありがとうございました」
(-@∀@)「……ご協力、ありがとうございました」
o川*゚ー゚)o「……私が買いとったそのセクサロイドだけ置いていってあげる」
o川*゚ー゚)o「もっとも、それはもうラブドールと何ら変わりはないけど」
o川*゚ー゚)o「好きに使うと良いわ」
o川*゚ー゚)o「……行くわよ、アサピー」
(-@∀@)「……失礼します」
237 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:28:04 ID:fBjp3gqMO - 機械の自我、か
- 238 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:30:45 ID:C.lJOhWI0
-
※ ※ ※
「……また、始末書ですね」
「……」
「どうしてあなたはそう暴走するんですか」
眼鏡の位置を直しながら男が言う。
昼間、放心状態になってしまった男の哀れな姿が脳裏にこびり付いているのだ。
「自分の理想の反応をするセクサロイドに夢中になりすぎてしまった」
「そんな人に現実を教えることは大切です」
「しかしそれにもやりかたや順序ってものがあるでしょう」
「最後のあれはささやかな優しさのつもりですか、あなたは何をしたかったのですか」
女は答えない。
239 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:33:47 ID:C.lJOhWI0- 彼女は家族が好きだった。
オタクと呼ばれる人種が嫌いだった。
彼女なりに国の行く末を案じてはいた。
欲求の希薄な男が嫌いだった。
子どもが好きだった。
はっきりと物を言うタイプだった。
現実を見ない人間が嫌いだった。
彼女の不妊の原因は夫にあった。
それら全ての要素が複雑に絡みあい、そして捻じれ、撚れ、拗れていった。
積もりに積もった様々な事象が吐き出された結果がこれである。
男は女がこの仕事に向いていないと感じていた。
今日で疑惑が一気に確信へと変わったのだ。
それ故に女の返答には期待していなかった。
ただやり場のない苛立ちを、
何度も見てきたあの類の現場にいて何も出来なかった自分への苛立ちを、
少しでも元凶のパートナーにぶつけたかっただけだ。
果たしてこの実験が実を結ぶのか、男にはわからなかった。
240 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:36:59 ID:C.lJOhWI0-
※ ※ ※
『まあもうクーと会うこともないけどね』
『実験成功だからっていきなり取り上げはキツいおねー』
『童貞支援目的のセクサロイドだったって言ってたなー?』
『お前らどうなんだ、ヤってみて自信ついたのか?』
『さー、どうだろうお』
『少し思うね』
『僕を受け入れてくれる人を探してみるのもいいかもしれないって』
『まあセックスはいいもんだおね』
『そうだ、愛あるセックスはもっと気持ちいいかもしれんお!』
『はは、お前そればっかだなー』
『……ドクオ?聞いてるのか?黙りこんでるけど、君はどうなったんだい?』
.
241 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:40:08 ID:C.lJOhWI0-
※ ※ ※
薄暗い部屋の中、炬燵の横に置かれたベッドの上で一つの影が蠢いている。
「……デレ」
男はベッドに寝かせた女性、いやセクサロイドに声をかける。
当然返事は返ってこない。
傍で、ゆっくりと彼女が着ていた、彼が買ってやった服を脱がせる。
そして服に顔をうずめた。
新品の服の匂いしかしないはずのその中に女の僅かな匂いを感じて、
彼はあの日のことを思い出していた。
公園。
手。
願い。
涙。
唇。
――― キス。
.
242 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:44:28 ID:C.lJOhWI0- 思い出されるあのキスに淫靡な要素は一切含まれていないなかった。
それ故にあの夢のようなひと時に浸かることは、
これから始めようとしていることの前戯にすらならないことを理解していた。
しかし彼はこの瞬間、彼女と過ごしたあの幸せな理想から離れたくなかった。
球体間接剥き出しの裸体を見下ろす。
セクサロイドとはいえ見た目も何もかも精巧に作られた美しい体。
その柔肌に爪を立て、彼女が濡れた声を出す様を思い描く。
曝け出された彼のペニスは徐々に勃起した、してしまった。
それにローションを垂らし、自身の準備を終える。
「デレ」
もう一度名を呼び、その華奢な身体に覆いかぶさる。
セクサロイドの股間部分の割れ目にもローションを塗りたくり、
既に準備ができているペニスを沿わせる。
そしてそのまま一気に挿入した。
243 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:49:48 ID:C.lJOhWI0-
「う、」
ペニスは膣に呑みこまれ、今まで体験したことのない快感が体中を駆け抜けていった。
「わ」
しかし彼はその快感を享受することなく、涙を流した。
「は、はは、」
それと同時に笑っていた。
「ははははは、はははははははははははは!!!」
涙も笑いも止まらず、彼はぎこちない動作で腰を振り続けた。
彼の零した涙がセクサロイドの目元に落ち、つうっと頬を滑り落ちた。
「デレっ、デレ!デレっ!!」
名を呼ぶ。
何度も何度も、何かを払拭し、何かを確かめるように。
244 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:53:18 ID:C.lJOhWI0- 彼は、ドクオはある問いから逃げ続けていた。
『何故デレは俺を慕ってくれているのか?』
幾度となく様々な問いかけを自分にしてきたドクオは、
ほとんど無意識的にこの問いを避けていた。
少し考えると辿りついて欲しくない答えに辿りつくからだ。
『俺を好くよう、プログラムされているから』
一度だけそう考えたことがある。
しかしこの結論を受け止めることは、
彼から自身の手でデレの"温もり"を奪うと直感した。
故にこの問いと答えの存在をなかったことにした。
だがしかし、キュートに真正面から突きつけられた。
『デレはお前を真に愛してなどいない』
そしてデレからの最後の返答。
彼が最も望んだ返答だが、実際には彼をさらに混乱させた言葉。
もうドクオは逃げられなかった。
.
245 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 00:57:38 ID:C.lJOhWI0- ドクオのデレに対する気持ちは最後のやり取りを経ても揺らいだままだった。
『俺は"デレ"に恋し、愛そうとしたのか?
それとも俺を慕うようプログラムされ、いつでもセックス出来る
"デレというセクサロイド"に恋し、愛そうとしたのか?』
彼が愛そうとしたのは誰なのか。
前者の最高の答えではなく、後者の最低の答えに導かれたら。
もし自分が"デレ"を愛そうとしていなかったと気づいたら。
正しくはそうでなかったとしても、一度でもその答えに辿りついてしまったら。
外殻は強固なれどその内側は脆い、彼が守ってきた自分の世界。
ドクオは世界が壊れることを酷く恐れた。
それが臆病、ヘタレに起因している。
一線をなかなか越えようとしなかったのもそのためだ。
しかしそれは一つの問いに対する、
たった一つの"なかったことにした答え"で破られようとしている。
246 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 01:00:17 ID:C.lJOhWI0- 少し前まで彼の中でデレは確かに一人の女性だったが、
その彼女の人格を失った、機械の体だけが残された。
問いに、"なかったことにした答え"以外の答えを導いてくれる可能性のある物は、
目の前にある人間そっくりに作られた"セクサロイド"しかなかった。
このままではゆっくりと崩壊する道しかなかった。
それ故に彼は朦朧とした頭で一線を越えようとした。
受動的に世界を壊されるより、能動的に壊すことを望んだ。
その間にも最悪の答えと最高の答えがせめぎ合い、
仕舞にはデレがいなくなったという事実が頭に残った。
それ故に哀しみ、笑うことしかできなかったのだ。
もうそれしかできなかったのだ。
さて、では。
.
247 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 01:04:55 ID:C.lJOhWI0-
「デレぇ、一緒だから、な」
"セクサロイド"を抱いた今の彼は。
「ずっと、」
一線を越え、己の世界を破壊した彼は。
「……ずっと、ずっと、ずっとずっと…………」
どういった答えを見つけたのだろうか?
.
248 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 01:09:03 ID:C.lJOhWI0-
「デレ」
「愛してるよ」
('A`)はセクサロイドを愛するようです 完
.
249 : ◆4I3Xd9Qzr.:2011/11/19(土) 01:12:49 ID:C.lJOhWI0-
おわり
前作終了時に次はのんびりしたいって書いたんですけど、
待っててくれてる人がいると思うと思ったよりのんびりできなかったです
でもむちゃくちゃな内容に反して書いてる俺はすごく楽しかったです
読んでみてどうだったでしょうか
では、読んでくださった皆様、まとめさま、ありがとうございました!!
ちなみに俺は童貞です
250 : ◆4I3Xd9Qzr.:2011/11/19(土) 01:18:06 ID:C.lJOhWI0- ( ^ω^)達の運命はサイレンに狂わされたようです
ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/siren/siren.htm
( ^ω^)が怪獣症候群になったようです
( ^ω^)は怪獣症候群だったようです
ttp://nanabatu.web.fc2.com/boon/boon_Monster_Syndrome.html
最近書いたこれらも、興味があれば読んで頂けると嬉しいです
251 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 01:34:42 ID:9KM0RHtQ0 - うおお
あんた書いた奴全部読んでた
乙乙
- 252 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 01:35:07 ID:4s1PbFBE0
- あああぁぁぁ!!!!!!!!!
やるせない…乙です
- 253 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 01:38:50 ID:.ZsMl6I.0
- ついさっき最初から読んできた
こういうの大好きなんだよぉもぉ(´;ω;`)
乙乙乙乙乙です
- 254 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 01:55:45 ID:rTewf2Aw0
- もぉーだからハッピーエンドが見えないって言ったじゃないですかー(´;ω;`)
完結乙…
- 255 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 08:47:17 ID:ifodc01UO
- 確かに世の中自分に自信がなく言動で損している人が沢山いるからこの様な自信付けの方法もいいのかもしれないとおもた。
自分のアイデンティティに自信を持ち言動を取ればいくら容姿悪くても何でも出来るもんね。
何はともかく面白かったですおつですす。
- 256 :名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 08:50:08 ID:VIFVGr/60
- 涙が出るとはおもわんかった
乙です
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