('A`)ドクオが夢を紡ぐようです (http://ex25.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1208527378/)
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:02:58.03 ID:y7TNlX+R0
まとめ様。感謝。

ttp://vipmain.sakura.ne.jp/518-top.html

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:03:37.86 ID:gZCmy2wO0
これまでのあらすじを産業で

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:04:10.59 ID:VQTMLEiF0
何年前のパートスレだよ

4 名前:('A`) ◆jOBMANDKSA :2008/04/18(金) 23:07:39.45 ID:q0TyEVvGO ?2BP(1534)
壁|'A`)っ@ クルクル

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:09:05.67 ID:4cB+c0ud0
ktkr

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:12:05.31 ID:y7TNlX+R0
妙に安っぽい装飾がなされたその部屋は入室するのにおおよそ5万円の現金が必要だった。


(#゚;;-゚)「お願いしますお願いします。どうかもう許して下さいご主人様」

( ・∀・)「えー。どうしようかなー」

(#゚;;-゚)「お腹痛いんですお願いします。もう、出させて下さいお願いしますご主人様」

体中に何かしらの傷跡をつけた全裸の女が床に這い蹲るようにして男に哀願している。
対する男はスーツのネクタイまできっちりと着込んでおり、女を見下ろしていた。

( ・∀・)「だって君、痛いのが仕事じゃん。楽しませてよ」

(#゚;;-゚)「お願いします!もうお腹限界なんです!!」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:12:41.24 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「えー。だって今日俺接待風俗じゃないもん。自腹だもん。楽しみたいじゃん」

(#゚;;-゚)「お願いしますお願いしますご主人様!」

青ざめた顔に脂汗を浮かべた女は時折、四肢を、肛門をぴくぴくと痙攣させながら男を見上げる。
その、みじめな顔が気に食わない、と男は感じた。

( ・∀・)「ここって、ムチ一発3000円だっけ?じゃあ、大切に思い切り叩かないとね」

(#゚;;-゚)「…っぎゃぁ!」

ムチの鋭い音が響いた。女がたまらずに仰け反ると男はさもさも面白いものを見たとばかりに声を出して笑う。

( ・∀・)「っはははは!可愛いところあるねぇ君。不細工だけど!!!!」

(#゚;;-゚)「ぅ…うぅ…お腹…痛いよぅ…」

男は満足したように溜息をつくと、女を靴下を履いた足で軽く蹴った。

( ・∀・)「あともう20分くらいしかないから今日はもういいや。勝手にしていいよ。じゃーねーありがとー」

そうして男は振り向きもせずに退室した。
あとに残った女はゆるゆると立ち上がると慌ててトイレに駆け込もうとしたが、
体が気持ちについて行かないらしく、やはりゆるゆると歩いて行った。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:13:30.85 ID:y7TNlX+R0

(=゚ω゚)ノ「モララーさん!あざーっした!もういいんすか?延長安くしときますよぅ?」

( ・∀・)「うん。いいや。腹減ったし。これから飯食いに行くけどお前も来る?奢るよ?」

(=゚ω゚)ノ「あーすいません今金の管理出来るの俺しかいないから動けないんすよぅ。また今度よろしく頼みますよぅ」

( ・∀・)「ああ、そかそか。いやいやいいんだ。仕事中に誘って悪かったな」

(=゚ω゚)ノ「とんでもないですよぅ。モララーさんに誘われるなんて光栄ですよぅ」

( ・∀・)「よせやい。俺みたいなちんぴらに誘われて光栄もないっしょ」

(=゚ω゚)ノ「そんなことないですよぅ。このへんの若いもんはみんなモララーさんに憧れてますよぅ」

( ・∀・)「っはは。それだけロクでもない人間ばっかりなんだな」

(=゚ω゚)ノ「ロクでもなくないちんぴらなんかいないんですよぅ」

( ・∀・)「違いねぇ。じゃーねーありがとー」

先ほど女に残したものと同じ言葉を吐いてモララーはその店を出た。
まだ春に入ったばかりの風は生ぬるく、そして生臭かった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:14:24.28 ID:4cB+c0ud0
支援

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:15:56.49 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「…つまんねぇなぁ」

誰に言ったわけでもない。
気がついたら首を吊った彼のことを考えていた。
いや、正確には彼の死に顔を。酷い死相だったが、確かに幸福そうに見えた気がしたのだ。

( ・∀・)「いかんな…」

最近、事あるごとに彼の死に顔を思い出していた。
名前も覚えていないような相手。
今までああいった仕事を幾度も繰り返してきたが、
ああまで楽に仕事が進んだのは初めてだったからその所為かもしれない。

( ・∀・)「あー俺も明治な恋がしてぇなー」

最後に交わした会話も妙に印象的だった。
もしかしたら彼は詩人だったのかもしれない。
しかし、あの手紙だけはいただけない。

( ・∀・)「今時2chでも流行んねーよあんなの」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:18:57.44 ID:MMnr0t/bO
寝る支援
まとめで読みます

作者がんかれ

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:19:16.72 ID:4cB+c0ud0
支援

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:19:44.73 ID:y7TNlX+R0

気がついたら歓楽街を抜けていた。

( ・∀・)「あー…何食おうかな。スパゲティ?お、スパゲティいいな…」

('A`)「あ、どうぞ」

( ・∀・)「ども」

( ・∀・)「…………ってしまった!」

気がついたらティッシュを受け取ってしまっていた。
都会に出てからもう随分経つのに、どうしてもこのトラップだけは抜けられないモララーだった。

('A`)「どうぞー。よろしくお願いします。どうぞー」

振り向くと髪がぼさぼさの明らかに社会不適合の匂いのする青年がティッシュを配っている。
可愛い女の子からならともかくあんな泥臭いガキからティッシュを受け取ったと思うと怒りを通り越して情けない気分になった。

( ・∀・)「やるな小僧…」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:20:32.68 ID:y7TNlX+R0

『あべまりーあー♪ぐらっつぃあぷれーなー♪どみぬすてーくむー♪』

( ・∀・)「お。デレじゃん」

モララーはポケットから携帯を取り出し耳に当てる。馴染んだ女の声が聞こえた。

( ・∀・)「うん。モララーですよ。大丈夫大丈夫。仕事中じゃないから。うん?今日?あ、そっか。デレもう飯食いました?あ、本当?良かった。
      じゃあ、今から出られます?そう。スパゲティ食いましょう?スパゲティ?ん?パスタ?ああ、はいはいパスタね。て、そんな笑う事かなぁもう。
      はいはい。じゃあ、待ってるから。早く来て下さいね。うん。それじゃ後で」

( ・∀・)「…何がパスタだよ。スパゲティじゃねーかスパゲティ!ッくそ」

モララーは悪態を吐きながら女を待つために駅に向かおうと踵を返す。
彼は綺麗な肌の女を抱けることに、期待ではなく何故か安堵を感じていた。
今日、ぼろぼろの商売女を見たからかもしれなかった。

('A`)「よろしくお願いしますー。」

( ・∀・)「ども」

(#・∀・)「………っ畜生!!」

女と合流したのは一時間後だった。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:20:38.97 ID:4cB+c0ud0
しえn

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:21:10.99 ID:y7TNlX+R0

ζ(゚ー゚*ζ「お待たせです〜。すいません準備少なからず急いだんですけど、マスカラだけは妥協出来なくて…」

( ・∀・)「うん。僕、君の馬鹿だけどそーゆー正直なところ好きですよ」

デレはえへへと可愛らしく照れた。

( ・∀・)「褒めてないから」

ζ(゚ー゚*ζ「知ってます。でも、好きって言ってくれたの久々だから」

( ・∀・)「うん。女の子は好きですよ。僕は」

ζ(゚ー゚*ζ「私のことは?」

( ・∀・)「脳味噌足りないところとか大好きです。さぁ、パスタ食いに行きましょうパスタ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい!」

その後、デレの勧めで入ったパスタ屋は量が酷く少なくハーブの香りがきつくて正直あまり口には合わなかったが、
デレは美味しそうに味わっていたので良しとした。

( ・∀・)「あー。鉄板に乗ったパスタが食べたいね」

ζ(゚ー゚*ζ「鉄板?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:22:19.75 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「うん。俺の地元ではパスタは鉄板に乗ってたよ」

ζ(゚ー゚*ζ「何ですかそれ?変なのー」

( ・∀・)「いやいやマジで。だからこっちに来て皿に乗っかったスパゲティが不思議でならなくてね。いや、パスタか」

ζ(゚ー゚*ζ「あはは。何それ食べてみたいですー。今度連れてって下さいよ。モララーさんの田舎」

( ・∀・)「んー。遠いよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「どれくらいですか?」

( ・∀・)「直線距離で900キロくらいかな」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと…私高校のころ家から学校まで2キロあって、だから大丈夫です」

( ・∀・)「そうだね。確かに毎日2キロで往復4キロ。それを三年間だから900キロは軽く超えるだろうけど、そう言う次元じゃないってわかるかな?」

ζ(゚ー゚*ζ「むぅ…」

( ・∀・)「まあ、なんもないところだから来る必要もないよ。僕も行く気ないしね」

ζ(゚ー゚*ζ「鉄板に乗ったパスタがあるじゃないですか」

( ・∀・)「フライパンで茹でたパスタ焼けばいいよ。ミートソースで」

ζ(゚ー゚*ζ「あっ!!なるほど!!」

( ・∀・)「それで納得しちゃう君が好きですよ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:22:57.29 ID:y7TNlX+R0

その後デザートのアイスクリームも平らげ、
デレはとてもいい笑顔でレジの前で言い放った。

ζ(゚ー゚*ζ「ご馳走様でしたー」

( ・∀・)「はいはい。お粗末さまでした。と」

( ・∀・)(なんで俺いっつも奢ってるんだろう…別にいいけど)

ζ(゚ー゚*ζ「えっと、それじゃあ、そろそろ失礼させて頂きますね」

店の外に出ると彼女はそんな事を言った。
どうやら妥協出来なかったマスカラはパスタを食べるためだけの装備だったらしい。

( ・∀・)「こんな時間だし、送って行きますよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「いえ。大丈夫です。ごめんなさい。ご馳走様でした」

( ・∀・)「ああ、そう。それじゃあね。気をつけて」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。モララーさんも気をつけてー。楽しかったですよー」

デレはそうしてミニスカートをひらひらと躍らせながら去っていった。

( ・∀・)「女の子の日…かね…。帰るか」

郷愁に駆られたわけでもないのに、
無性に鉄板に乗ったスパゲティが食べたくなった。
あれは大盛りでも、今日食べたパスタよりは安いのだ。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:23:20.78 ID:4cB+c0ud0
しえn

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:24:50.06 ID:y7TNlX+R0

('A`)「どうぞよろしくお願いしますー」

( ・∀・)「ども」

(#・∀・)「……ってまた!!!」

( ・∀・)「…いいや…。彼は悪くない…帰ろう」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:25:21.20 ID:y7TNlX+R0



その日の寝酒は酷く不味く感じた。

そして、
不思議な夢を見た。

('A`)「こんばんは。知らん人」

( ・∀・)「はい?………あ゛」

('A`)「あ゛?」

(#・∀・)「お前はティッシュ配り名人!!!」

(;'A`)「は?」

(#・∀・)「三回も俺に渡すな!俺はこれでもなぁ!組、じゃないや会社の方ではそれなりの地位があって泣く子も黙るモララー様なんだよぉ!
      っつーかあのティッシュよく見たらうちの系列会社の宣伝じゃねーか言ってみれば俺お前の上司よ上司?」

('A`)「いや、違いますよ?」

( ・∀・)「は?」

('A`)「あんた、女の子じゃないですか?」

(*゚ー゚)「え?」


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:25:50.45 ID:y7TNlX+R0

('A`)「ほら、鏡」

青年に手鏡を渡される。確かにそこには可愛らしい女の子が映っていた。

(*゚ー゚)「あれ…?」

('A`)「ようこそ夢の世界へ。容姿やら年齢やらが変わるのはわりとよく見てきたけど性別が変わるのは俺も初めて見ました。
   あと、俺のこと覚えてた人も初めてですよ。ビビッたわぁ」

(*゚ー゚)「なんだこれ?夢?ああ、そうか夢かぁ。夢なら仕方ないなぁ」

('A`)「よく聞いて下さい。あっちの方に真っ直ぐ行くとピンク色のドアがあります。そのドアの中にあなたを待ってる人がいます」

(*゚ー゚)「それは、私の運命の相手なの?」

('A`)「運命の相手?まぁ、運命っちゃ運命ですね。こうなる可能性がとてつもなく低い事は否めません。そう言う意味じゃ運命とも言えるかと」

(*゚ー゚)「そう。それじゃあねありがとう」

('A`)「いってらっしゃい」

ティッシュ配り名人の示した方向に歩くと、確かに何もない空間にピンク色のドアだけが設置されていた。

(*゚ー゚)「何このどこでもドア。私の運命の相手はドラえもん?のび太君は勘弁だなぁ」

(*゚ー゚)「お邪魔しまーす」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:26:46.76 ID:y7TNlX+R0

ドアを開くと、そこは今日5万円を払って入室したあの部屋だった。

(*゚ー゚)「え…?」

从 ゚∀从「よーうこそお嬢さん。お客を待たせるなんて随分じゃないかな?え?」

燃えるような真っ赤な長髪に、すらりと伸びた体躯。中性的な顔とハスキーボイス。
一見して性別の分からない人間がそこには居た。

(*゚ー゚)「あなた、誰ですか…?」

从 ゚∀从「誰?誰だとう?お前のご主人様に決まってるだろうこの売女がっ!!!」

(*゚−゚)「きゃぁっ!!!」

どこから取り出したのか一本の長いムチが振るわれる。それはモララーの頬を掠めて床にぴしりと跳ねた。
腰が抜けて思わず床に座り込むと、床の冷たさが直に感じられた。

(*゚−゚)「え?え?私、なんで裸?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:26:48.70 ID:d5ZwgELO0
支援

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:27:31.53 ID:y7TNlX+R0

从 ゚∀从「馬鹿が!メス犬が服なんか着られるわけねーだろ!!ハイン様だよハ・イ・ン・様!ほら、口に出して言ってみろよ」

(*゚−゚)「は、ハイン様…」

从 ゚∀从「っはは。そうだよく出来たよ、よく出来た。ご褒美だ」

(*゚−゚)「ん、んんんんんんんんっ!!!」

次の瞬間。
モララーは猿轡を噛まされ、その体には縄をかけられていた。

从 ゚∀从「おぉ。やっと可愛くなってきたじゃねーか」

(*゚−゚)「んっ!んっ!んっ!んんんんんっ!!」

从 ゚∀从「でもなぁ!!ちょっとうるせーんだよ!!!」

ハインによって腹を強かに蹴られる。恐怖で身が竦んだが縛られているせいで身じろぎすら不自由にならない。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:28:49.34 ID:y7TNlX+R0

(* − )「ん……んん…」

理不尽な状況に思わず涙が浮かんできた。
先に感じたのは恐怖。だが次に感じたのは己の無力に対する明確な怒りだった。
何も出来ない。何も出来ない。そんな言葉が頭から離れず、蹴られた腹の痛みがじわりじわりと怒りを広げる。

从 ゚∀从「泣くなよ。可愛いなぁ」

ハインがしゃがみ込んで自分の顔に手を伸ばしてくるのが分かる。
殴られるかと思い、目をきつく閉じたが予想に反して優しく頬を撫でられた。
その感触にぞっとする。

(* − )「んんんんんんーーー!!!」

从 ゚∀从「嫌がるなよ」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:29:25.07 ID:4cB+c0ud0
支援

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:29:26.69 ID:y7TNlX+R0


胸。腰。腹。背。尻。そして女の秘部。
ハインは撫でるように手を這わす。

从 ゚∀从「濡れてるぞ」

ぬちゃ、と言う音が、確かにモララーに聞こえた。


次の瞬間。
そこは青い空の中だった。


(*゚ー゚)「え…?」

その時、モララーは天使を見た。

从 ゚∀从「死ねよお前」

太陽を背に屹然とモララーを見下ろすその姿。
赤毛の彼女(あるいは彼かもしれない)には真っ白な美しい羽が生えていた。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:30:02.88 ID:y7TNlX+R0

(*゚ー゚)「ひ…」

落下。

(* − )「ひぃぁあああああああああああああ!!!!!」

落下。落下。落下。
だがまだ地面にはつかない。

飛んで、いるようだ。

从 ゚∀从「助けてやろうか?」

いつの間に近づいて来たのか、
嬉しげにモララーを覗き込んでくるハイン。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:30:07.66 ID:4cB+c0ud0
支援

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:30:43.37 ID:y7TNlX+R0

(* ー )「あなたが落としたの?」

从 ゚∀从「ああ、気持ちいいだろう?」

(* ー )「どうして落としたの?」

从 ゚∀从「お前らみんな、死ねばいいからに決まってるじゃねーかっ!!!」

(* ー )「そう」

从 ゚∀从「だがなぁ!!もし跪いて股開いてケツの穴広げていじめてくださいご主人様ってみじめったらしく言えたら助けてやってもいいぜ?簡単だろう?そのくらい」

(* ー )「そうね」

从 ゚∀从「さぁ、跪け!!!」

ハインのその優美な羽が踊るように羽ばたいている。


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:31:23.21 ID:y7TNlX+R0

(*゚ー゚)「あなたは綺麗ね」

从 ゚∀从「はぁ!?」


次の瞬間。
そこは夜の教室だった。


从 ゚∀从「ほら、何してんだよ跪け」

薄暗い教室でセーラー服のハインが教卓に座ってこちらを見ている。

(*゚ー゚)「いや。跪いてあげない」

从 ゚∀从「はぁ!?お前自分の立場わかってんのかよ!!」

(*゚ー゚)「わかってわ。ご主人様」

从 ゚∀从「あぁあああ!!ざけんな!!!」

ハインが吼える。呼応するように教室の空気が震えるのがわかった。

(*゚ー゚)「可哀想に。泣いているのね」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:31:36.54 ID:4cB+c0ud0
しえn

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:32:02.21 ID:y7TNlX+R0

今度はモララーがハインに手を伸ばすとハインが目に見えて怯えるのがわかった。

从 ゚∀从「…やめろぉおお!!」


次の瞬間。
そこは再び空だった。
だが今度は太陽のいない、
月明かりがいやにまぶしい夜だった。

月を背にしたハインの羽は銀色に光っている。
その美しい羽とは対照的に、ハインはどこか困ったような顔をしていた。

从 ゚∀从「跪けって言っただろうが」

(*゚ー゚)「ごめんなさい」

从 ゚∀从「謝れっつってんじゃねーんだよ!!!」

(*゚ー゚)「大丈夫よ」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:32:36.94 ID:4cB+c0ud0
しえn

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:32:44.63 ID:R7Kn2/+C0
しぇn

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:33:39.47 ID:y7TNlX+R0


もう、落下には慣れていた。
重力の優しい抱擁だと思えば良い。



(*゚ー゚)「あなたのために、死んであげるわ」




次の瞬間。
モララーは自分の部屋で飛び起きた。

( ・∀・)「なんつー夢だよ…おい」

(#・∀・)「あのティッシュ配り名人が…」

( ・∀・)「いや、青年は悪くない…悪くない…うん」

( ・∀・)「仕事に行こう…ってまだこんな時間かよ!どうりで暗いはずだよ!畜生!!」

時計を見るとまだ夜も明けやらぬ時刻だった。

( ・∀・)「俺は老人か!早起きの権化か!!ティッシュ配り名人の呪いか!?あぁ!?」

( ・∀・)「…オナニーでもするか」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:34:07.07 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「…ってするかよ!こちとら朝勃ちもしてねぇんだよ!」

( ・∀・)「くそぅ…二度寝するか」

( −∀−)「………」

( −∀−)「寝れねぇ…」

( ・∀・)「あー…。詩でも書くか」

( ・∀・)「書くわけねーだろ」

( ・∀・)「テレビでも見よう」

六畳一間の狭い部屋で枕元からリモコンを探し出しテレビをつける。
丁度写ったのはモララーには始めて見るアニメだった。
真っ赤な髪の女が怪物と戦いながら何やら喚いている。

从 ゚∀从『私こそが絶対!!私こそが正義!!!例え世界が滅びても私が負ける事などありえん!!!』

( ・∀・)「…ん?」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:34:16.00 ID:4cB+c0ud0
支援

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:34:46.40 ID:y7TNlX+R0

从 ゚∀从『ハイン様だ覚えておけ愚民ども!!醜い貴様らに美の化身たる美しさの私が敗れるわけなかろう!醜い事はすなわち悪だ!!』

( ・∀・)「んんんん?」

( ・∀・)「あのティッシュ配り名人…もしかして…」

( ・∀・)「…オタクか?オタクの呪いか?」

( ・∀・)「…調べてみるか」

今度は枕元から充電していた携帯を取り出す。
数秒思案した後、モララーは電話をかけ始めた。

( ・∀・)「はいはーいモララーです。朝早くすまんね。あのさ。ちょっと調べて欲しい事あるんだけど。
      あのさ。ティッシュ配りってうちどこに委託してたっけ?うん。そうそう金融部門の。
      すぐ洗える?いや、別にしめたい奴がいるわけじゃなくって。
      俺の個人的な頼み。いやいや女じゃないってそこまで飢えとらんようん。
      電話番号すぐわかる?あ、わかる?まじで?ありがとー。
      はいはい。じゃーメールで送ってねー。さんきゅー。ごめんねー」

そして3時間後。
モララーはいつか首を吊った彼と同じアパートの前に来ていた。

( ・∀・)「また、ここかよ…」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:35:42.14 ID:y7TNlX+R0

だが今回の目的は首を吊った彼の部屋ではない。
モララーは迷いのない足取りで二階の端の部屋の前に行くとインターホンを押した。

返事がない。

( ・∀・)「にゃろう…」

そして連打。
待つことおおよそ2分。やっと目的の人物がチェーンのかかったドア越しに顔を出す。

('A`)「新聞ならいりません…。俺、象形文字アレルギーなんで字が読めないんです…」

( ・∀・)「そこをどうにかして頂けませんかね。
      今なら洗剤2箱からブラック企業の内定までお付け致しますよ。
      契約は一ヶ月からでも大丈夫ですし」

('A`)「いやマジすいません。俺も象形文字アレルギー現在絶賛治療中な…んで?」

はたとモララーの顔を見てドクオの表情が凍った。
おおよそ、その間2秒。
そして彼は、
扉を閉めた。

('A`)「う、うわぁあああああああ!!!」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:36:46.71 ID:4cB+c0ud0
しえn

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:37:49.50 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「あれ?ドクオさん?ドクオさん?どうしたんですか?
      そんなこと言わずに是非とも新聞お願い出来ませんかね?
      わたくしごとで恐縮なのですがわたくしにもノルマと言うものが御座いまして、
      例え一ヶ月契約でも取れたものなら脳内はそれはもう狂喜乱舞の無礼講。
      個人的には飯一回くらいなら奢ってやっても構わないとすら思うところなのですよ?
      あれですか?ドクオさんもスパゲティをパスタとかぬかしちゃう輩ですか?
      お若いですもんねぇ。全くもう、羨ましい限りですよ。
      あはははははは!何閉めてんだこの野郎。
      ドアぶち破られたくなかったらとっとと出て来いやぁこのヲタク!!!」


どこぉ!とモララーの蹴りが安アパートの扉に一閃。
ドクオの奇妙に裏返ったひぃ、と言う声がドア越しに響く。
続いて、二発目、三発目と来て、その爆発音に似た音が四回目を数える前に、
再びチェーン越しにドクオがそろそろと顔を出した。

( ・∀・)「ええ。そんなわけで御座いまして、是非ともここは契約をして頂きたいな、と切に願うのですよ」

('A`)「お、お願いします。どどど、ドア蹴らないで下さい…。ただでさえ建て付け悪いんで…」

( ・∀・)「ああ、これは失礼。よろしければお邪魔させて頂いてもよろしいでしょうか?
      ええ。契約に納得の出来ないところがあれば万が一ですから。
      わたくしこれでもサービス業。お客様の満足で成り立つ商売。
      双方納得の行くまで語らせて頂きますとも!」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:37:56.06 ID:4cB+c0ud0
しえn

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:38:20.17 ID:y7TNlX+R0

('A`)「で、でで、でもうち、今散らかってて…」

( ・∀・)「ああ、構いませんよ。例え無駄打ちした精子をその身に孕んだティッシュが散乱していようとも。
      そこはサービス業。お客様のプライバシーに踏み込むことは一切致しません。
      お客様は何も気にせずわたくしと語り合って頂ければ良いのです」

('A`)「か、勘弁して下さい。ほんと新聞いらないんで、帰って下さい…」

( ・∀・)「ええ。そんなわけにも行かないんです。
      こちとら仕事でもないのにわざわざこんな辛気臭いアパートに来てやったんですよ。
      それが、そうすごすごと帰るかっつーの。馬鹿が!
      あ、申し送れましたわたくしモララーと申します。」

('A`)「あ、あわわわわ」

( ・∀・)「お邪魔しまーす」

モララーは鞄の中からペンチを取り出したかと思うと迷いのない動作でチェーンをぶち切った。

('A`)「ちょっ!何するんですか!!」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:38:55.51 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「気遣いはご無用です。あはは。大丈夫ですよ靴は脱いであげますから。
      あ、なんだ汚いけど壊滅的って程じゃないですね。安心致しました。
      あれ?何ですかこれ?フィギア?いわゆるフィギアってやつですか?
      やっぱりヲタクなんですね。ヲタクの変態なんですね。あははははは。
      それで魔方陣はどこにあるんですか?ろうそくは?生贄は?」

ずかずかと入り込みあちこちを物色するモララーに
ドクオは対応しあぐねてあたふたとついて回ることしか出来ないようだった。

('A`)「な、何のことですか?何なんですか急に。あ、あれですよ?いい加減にしないと警察呼びますよ?」

( ・∀・)「どうぞ」

('A`)「は?」

( ・∀・)「その代わり垂れ込む場合はそれ相応の覚悟がおありですよね?」

('A`)「か、覚悟…?」

( ・∀・)「あ?警察に垂れ込んだ以上、容赦なしにわたくしどもが全力で潰しにかかってもいいか?って聞いてるんですよ」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:39:26.24 ID:y7TNlX+R0

('A`)「ちょ、だから、え…?」

混乱してぱくぱくと口を開けるドクオ。

( ・∀・)「あははははは。冗談です冗談。借金もない素人にそんな理不尽なことするわけないじゃないですか。
      わたくしども、結構好き勝手やってると思われておりますが、まぁ、実際は好き勝手やってるんですよ。
      でも、好き勝手やるにも一応ルールと言うものがありまして、
      ルールを守らないと好き勝手やる土壌も失われてしまいますからね。
      ええ、ですからそんな緊張せずに。どうぞおかけになって下さい。
      今日は本当にわたくしの個人的な用事で伺っただけですから。」

自らも勝手に小さなちゃぶ台の脇に腰掛けながらドクオにも席を進めるモララー。
ドクオも場に流されてモララーと向かい合うように腰をかける。

( ・∀・)「さて。やっと落ち着きましたね」

('A`)「あ、あの、何の用ですか?何でうちの場所…」

( ・∀・)「このへんで新聞のご契約をされていない家庭は全て把握しておりますので」

('A`)「えっと、それ嘘ですよね?新聞の勧誘じゃないですよね?」

( ・∀・)「当たり前じゃないですか」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:41:25.70 ID:4cB+c0ud0
支援

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:45:26.89 ID:y7TNlX+R0

('A`)「そもそも、あなた誰ですか?何の目的があってこんな…」

( ・∀・)「奇遇ですね。わたくしも同じ事を聞きに参りました」

('A`)「え?」

( ・∀・)「どうしてわたくしを見て逃げたんですか?新聞の勧誘がそんなに怖かったんですかね?」
   
('A`)「あ、あぅ…?」

( ・∀・)「ええ。何せ夢ですからね。わたくしも新聞の勧誘員のままならすごすごと引き下がろうかと思ってたんですよ。
      それで何してんだ俺ぁとか思って自己嫌悪を楽しみながらぐだぐだ昼真っから酒でも煽って憂さを晴らそうかとね。
      でも、ドクオさん。
      あんたは明らかにわたくしを見て動揺されました。
      もちろん、馬鹿馬鹿しいとは思ってはいるんです。
      だけど自慢じゃないですがね。
      わたくしこの手の直感、
      外したことがないのですよ」

('A`)「な………」

( ・∀・)「伺いますよ」

モララーの口元から張り付いていた笑みが消える。彼は真っ直ぐにドクオを見据え、言った。

( ・∀・)「あんた、何もんだ?」


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:46:25.64 ID:y7TNlX+R0

('A`)「………」

その言葉を聞いた途端、ドクオもまた先ほどまでの浮き足立った様子が嘘のように、意思のある瞳でモララーを見返す。

( ・∀・)「おい」

( ・∀・)「答えろよ」

('A`)「…わかり…ません」

( ・∀・)「わからないってどういう事ですか。あんたが俺に何かして変な夢を見せたんでしょう?」

('A`)「いや、わからないのは、俺が何者かって事です。もちろん出生も名前も人生もわかります」

そして、一旦言葉が出るとドクオは堰が切れたように語りだした。

('A`)「俺も、最初は夢だとは思ったんです。でも知らないはずの場所を俺は夢の中でわかっていたりして…。
    それで次は頭がおかしくなったのかと思ったんです。その頃は病院にも行ってクスリを貰ったりしました。
    だけどそれでも夢は終わらなくて」

( ・∀・)「…それで?」

('A`)「一番、おかしいことは、俺は、その夢を全て把握しているって事です」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:47:53.10 ID:4cB+c0ud0
しえn

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:48:16.71 ID:y7TNlX+R0

ドクオは自分の言った事に耐え切れなくなったのかたまらず俯いた。よく見ると膝に置かれた手が小刻みに震えている。

('A`)「一旦、夢の中に入ったら、俺は、夢の登場人物が何を望んでいるか、どんな空間を作るべきなのか、全部わかってるんです」

( ・∀・)「…あー…?」

('A`)「俺が夢を見せるには唯一にして絶対の条件があります。それは二人以上が同じ夢を見ることを望むこと」

ドクオの手が自分の膝をぎゅうと握った。そしてどこか泣きそうな顔でモララーをじっと見つめている。
言葉を待っているのだろう。

( ・∀・)「にわかには信じ難いな…」

('A`)「あ、あぁああああ…」

('A`)「ぅ…、す、すみません。俺も、こんな事を人に言うの初めてで…
    一人で考えてる分には、じ、自分の妄想で済むけど…
    あー…何言ってんだろう俺…。ごめんなさい。ごめんなさい。
    ぜ、全部嘘です。俺はただの妄想ヲタク男なんです。
    ツインテールの幼女が大好物なだけのフリーターですすいません…」

( ・∀・)「いやいやいや。ちょっと落ち着けよ青年」

('A`)「ああああ!ほんと調子乗ってすいませんでした!!
    チェーンは自分で直すんで、お願いなんで帰って下さい!
    うわあああそんな目で見ないで下さい!!あげますから!!
    ハイン様のフィギアもヤフオクで落とした同人誌も全部あげますから!!」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:48:26.65 ID:4cB+c0ud0
しえn

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:49:24.17 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「それだ!!」

('A`)「うわああごめんなさいやっぱり同人誌は勘弁してください!!!
    ハイン様のフィギアも大事なんですツインテールじゃないけど名作なんです!」

( ・∀・)「いらねーよ馬鹿が!そのハイン様だよ!一体何者だよあの女!」

('A`)「へ?は、ハイン様は今期注目株の新アニメ『経済ヴィーナスハイン様』の主役ですよ?
    ただ惜しむらくが局の都合で時間帯がとんでもない事になっちゃって視聴率が取れないのが問題で…
    えっと、詳しく知りたいなら俺、DVDにして全部まとめてあるので貸しましょうか?
    あ、もちろんCMはカットしてあるし、パソコンで落とした時のように外国語の字幕が入ってることも…」

( ・∀・)「ちげーよいらねーよ夢に出てきたあのハイン様は誰だっつってんだよ!!」

('A`)「だ、だからあれは俺の妄想なんです!!
    ハイン様にSMプレイさせてみたかったんです羽も生やしてみたかっただけなんです!
    俺が変態なだけです突っ込まないで下さいごめんなさいごめんなさいー!」

(#・∀・)「ああああ!テメーしっかり夢の内容シンクロしてんじゃねーか逃げ口上かましてんじゃねーよ!!」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:49:56.53 ID:y7TNlX+R0

(;A;)「う、ち、違…。う、ぅ、ぅううううう…」

( ・∀・)「泣いてんじゃねーよ青年!きもいんだよ男の泣き顔なんざ見たくねーよ」

(;A;)「だ、だってハイン様が…!ハイン様のフィギア…予約…大変で…うぅ」

(#・∀・)「だからいらねーって言ってるじゃねーかよー!!!」


それから1時間ほど。
ハイン様のフィギアを左手に、そしてカッターを右手に持つモララーと、
ちゃぶ台の上に正座をして泣きながらモララーの手元を見守るドクオがいた。


(;A;)「う…もう勘弁して下さい…。もう、それ以上削られたらいくら俺でも修正きかなくなる…なります…」

( ・∀・)「あー?じゃあ、確認するぞ?お前は本当にあのハインて女が誰かわからないんだな?」

(;A;)「わ、わからないと言うか知らないです…。
     夢を見せるのには、同じ夢を望むどちらか一人と俺がリアルで接触していれば大丈夫らしいので…
     本当の顔はわかるけど、それがどこの誰なのかさっぱりです…」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:50:27.87 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「可愛いか?」

(;A;)「え?」

( ・∀・)「女だったんだろ?どちらかと言うか可愛かったか?その女」

(;A;)「え、えっと…」

( ・∀・)「おら。とっとと答えないと今度はその女の触覚削るぞ」

(;A;)「いやぁあああああアホ毛は!!アホ毛だけは許して下さいぃいい!!
    えっとどちらかと言うと可愛くはなかったです!!むしろ不細工な方でした!!」

( ・∀・)「ふぅん…なるほどな」

(;A;)「う…いいですか。もう削るの勘弁してくれますか…」

( ・∀・)「それで、その夢は本当に無意識の願望なんだな?」

(;A;)「それ…は間違いないです」

( ・∀・)「つまり俺があんな姿でハイン様とやらに嬲られたのも俺の無意識の願望なわけだな?」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:50:58.17 ID:y7TNlX+R0

('A`)「そ、そうなります…けど、願望がストレートに形になって現れるわけじゃないから…
    俺が感じたのは、二人とも、変態性欲的な欲求ってよりは、もっと、こう、ストレス…みたいな
    憂さ晴らしと言うか…。お互いを求めてるってよりは、なんか波長があっちゃった感じじゃないかなって…」

( ・∀・)「…あぁ?」

('A`)「ひぃいいいいごめんなさいアホ毛は勘弁して下さいアホ毛は!!」

( ・∀・)「っち。それで?その夢を終わらすにはどーすりゃいいんだ?」

('A`)「お、終わらすって言うと…」

( ・∀・)「その夢を見ないようにする方法だよ!!!」

('A`)「あ…えっと…満足…する?」

( ・∀・)「ああ゛!?」

(;A;)「ご、ごめんなさい!
     ほんとにどちらか死ぬくらいしか、意図的に夢を終わらす方法を知らないんです!ほんとです!
     でも今まで最長で2ヶ月くらいしか夢は続かなかったから大丈夫だと思います…。
     多分、それくらいで満足するんだと…」

( ・∀・)「へぇ。つまり最長で二ヶ月、俺はあの夢を見続けなきゃいけないわけだ…」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:53:05.09 ID:4cB+c0ud0
しえn

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:53:36.69 ID:y7TNlX+R0

(;A;)「お、俺だって見せたくて夢見せてるわけじゃ…」

( ・∀・)「ふぅん。ありがとーもういいよー。お邪魔して悪かったね。ほら、これで新しいチェーン買ってね」

モララーは立ち上がるとフィギアとカッターを無造作に捨てた。
そして胸ポケットから財布から万札を出してちゃぶ台に置くと、
ドクオを一瞥してその狭いアパートの部屋から出て行った。
玄関を閉める音が聞こえた後、ドクオは震える手でハイン様を保護し、
それからしばらく万札を眺めていたが、
結局拾い上げて、壊れ物を扱うように財布に仕舞った。



( ・∀・)「あー…。なーんか、ファンタジーだねぇ」

ζ(゚ー゚*ζ「え?どうしたんですか?」

( ・∀・)「んーん。なんでもないですよ。
      相変わらずデレは可愛いなって話です。
      さて、今日は何食べましょうね」

同日おおよそ10時間後。
モララーは再びデレと街を歩いていた。

ζ(゚ー゚*ζ「可愛いですか?えへへ。やったぁ。
      えっと、デレは今日はご飯ものがいいかなぁ」


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:54:03.10 ID:y7TNlX+R0

( ・∀・)「…可愛いついでに牛丼とか食べます?」

ζ(゚ー゚*ζ「え?」

( ・∀・)「冗談ですよ。お寿司でも食べに行きましょうか」

ζ(゚ー゚*ζ「うわぁいお寿司楽しみですー」

( ・∀・)「はいはい。僕も楽しみですよお寿司。一緒にエンガワ食べましょうね」

ζ(゚ー゚*ζ「デレはサーモンと中トロがいいですよー」

( ・∀・)「僕はエンガワとハマチが食べたいですね。ああ、年は取るもんじゃないなぁ」

ζ(゚ー゚*ζ「ん?年とるとエンガワとハマチが食べたくなるんですか?」

( ・∀・)「ええ。年取ると赤いもんばっか好んでるわけにはいかなくなるんですよ」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、デレ、イカも食べますよー」

( ・∀・)「いいですねぇ。あの噛み切れないしつこさとか大好きですよ。僕」

ζ(゚ー゚*ζ「なんですかそれ。ふふ。変なのー」

( ・∀・)「大人はみんな変なのですよ。ええ。大人になったらわかります」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:54:30.92 ID:y7TNlX+R0

ζ(゚ー゚*ζ「デレはもう二十歳ですよぅ。あ、そうだ。今日は夜までお付き合い出来ますよー。
      えへへ。デレ、泊まってみたいホテルがあるんです」

( ・∀・)「あー…。ごめんね。僕は今日ちょっと駄目なんですよ。
      ご飯食べたら送ってあげますから真っ直ぐ帰りなさい?」

ζ(゚ー゚*ζ「え?え?モララーさんお仕事ですか?私とご飯食べてて大丈夫ですか?」

( ・∀・)「ああ、いやいや大丈夫ですよ。ただ、ちょっと、ね?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと?」

( ・∀・)「ちょっと、男の子の日なんですよ」

ζ(゚ー゚*ζ「え?え?今日って五月五日でしたっけ!?」

( ・∀・)「ええ。君のそーゆー阿呆なところ僕大好きですよ」



夢の中には風が吹いていた。

('A`)「こ、こんばんは」

雲を足場にしたドクオがモララーに恐る恐る声をかける。
今日もそこは高い高い空の上だった。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:55:03.35 ID:y7TNlX+R0

(*゚ー゚)「今日ぶりね」

('A`)「あそこ…です」

ドクオが示した方向に視線もやらずにモララーは目を瞑る。

(*゚ー゚)「知ってるわ。それじゃあ、さよなら」

そしてモララーは、
落ちた。

夢の中の幾度目かの落下。
重力の優しい抱擁。
風の愛撫を身に感じて、
モララーは地上を目指す。

从 ゚∀从「うぉおおおおい何してんだよこのメス犬がぁ!!」

モララーはハインの羽ばたきの音を聞いた。


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:55:17.02 ID:4cB+c0ud0
しえんしえn

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:55:46.66 ID:y7TNlX+R0

(* ー )「私には見えているわ」

从 ゚∀从「あぁああ!?」

(* ー )「あなたは綺麗ね」

从 ゚∀从「うるせぇ!!!」

(* ー )「大丈夫。ほら、行きましょう?」


次の瞬間。
そこは壁一面の大きな水槽の前だった。
だがしかし水槽には一匹の魚も泳いでいない。


从 ゚∀从「跪けメス犬!お前らをみんなかしずかせるのが夢だったんだよ!!」

(*゚ー゚)「そうね。ここは楽しい夢ね。
     ねぇ、どうしてこの水槽、魚が泳いでいないんだと思う?」

从 ゚∀从「あぁ!?んなこと知らねーよ糞が!!」


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:55:56.16 ID:4cB+c0ud0
しえn

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:56:35.76 ID:y7TNlX+R0

(*゚ー゚)「この水がね。綺麗過ぎるからよ?」

モララーがそう言った途端。
水槽のガラスが、なくなった。
風のように流れ込んでくる水に、
ハインもモララーも、あっという間に飲み込まれる。

(*゚ー゚)「ほら、綺麗でしょう?あなたの姿がよく見えるわ」

水の中でたゆたいながらモララーは言った。

(*゚ー゚)「この水は綺麗だから、あなたの姿を隠してくれないの
     綺麗であることに必死で、何一つ守れないのよ」

从#゚∀从「ああぁああああ何なんだよさっきからお前は!!」

口から大量のうたかたを吐き出しながらハインが吼える。

(*゚ー゚)「何って?」

くすくすと口元に手を添えてモララーが笑った。

(*゚ー゚)「決まってるでしょう。変態よ?」

从#゚∀从「うぉおおおお!!!」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:56:53.85 ID:4cB+c0ud0
しえn

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:56:59.67 ID:y7TNlX+R0


たゆたうモララーに真っ直ぐ突っ込んでくるハイン。
モララーはその体当たりをかわすことなく受け入れた。
そして先ほどまで足場となっていた床に水の中で叩きつけられる。
ごぼごぼと、泡を吐き出しながらハインがわめく。

从#゚∀从「そうだてめーは変態だこの淫乱が!!
     だったら変態は変態らしく跪いて殴られてやがれ!!
     ご主人様に媚びろメス犬!!」

(* ー )「ああ、可哀想に。怖いのね」

床に背中を預けたまま自分の真上に位置するハインを見つめるモララー。

(* ー )「ねぇ、教えてくれないかしら?」

(*゚ー゚)「あなたは、汚れる事で何を守ろうとしたの?」



次の瞬間。
そこは夕暮れの公園だった。
モララーはブランコに腰掛けて小さくゆらゆらと揺れながら
砂場にぺったりと座り込んでぼんやりと空を見上げているハインを見つめていた。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:57:28.25 ID:4cB+c0ud0
支援

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:57:37.19 ID:y7TNlX+R0

(*゚ー゚)「私ね。本当は男の子なのよ?」

ハインは聞いていない。ただ、ゆっくりと流れる雲を見つめている。

(*゚ー゚)「そう。色々考えたんだけど。
     私、あなたのためにね、
     してあげたかったんだと思うの」

从 ゚∀从「………」

ハインは聞いていない。

(*゚ー゚)「私ね。誰かのために何かをしたかったの。
     そう。私を慕ってくれる子がいてね。
     いつも、豪華なご飯を食べて、綺麗なホテルに泊まって。
     お金を全部払ってあげるの。
     それだけなら良かったんだけどね。
     んーん。きっとそれだけにしておくべきだったのだけれど。
     その子とね。セックスを、してしまって。
     ああ、可哀想に。イくふりまでしてくれるのよ?
     ねぇ、酷い話だと思わない?」
     
ハインは聞いていない。
モララーはブランコを降りて、
一歩二歩とハインに近づく。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:58:27.12 ID:y7TNlX+R0

(*゚ー゚)「大丈夫よ。あなたは今男の子ね。
     私は女の子よ」

ついにハインの目の前まで来たモララーは、
自身もハインと同じように目の前にぺたりと座った。

(*゚ー゚)「殴ってもいいのよ?
     私のことが憎いでしょう?」
     
ハインは、空から視線を離し、
やっとモララーと目を合わせた。

从 ゚∀从「…死ねよ。死んじまえ」

(*゚ー゚)「そうね」


次の瞬間。
そこは何処かのビルの屋上だった。
モララーはフェンスを乗り越えてヘリに立っている。
そしてフェンスの内側のハインと向かい合っていた。


(*゚ー゚)「あなたのために、死んであげるわ」


そして彼女は空に踊る。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:58:47.11 ID:4cB+c0ud0
しえn

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:59:10.50 ID:y7TNlX+R0


次の瞬間。
そこはラブホテルのベッドの上だった。

(*゚ー゚)「どうして?どうして?」

ベッドに仰向けになっているモララーは尋ねる。
ハインはモララーの上に馬乗りになるようにまたがっていた。

(*゚ー゚)「死んであげるって言ったじゃない?」

从 ゚∀从「………」

(*゚ー゚)「ねぇ、わかる?
     私が死なないと、あなたが満足できないのでしょう?
     あなたのために女の子になってあげたわ!
     あなたのために殴られてあげるわ!
     あなたのために死んであげるのに!!」

从 ゚∀从「や、めろぉおおおおお!!!」

(*゚ー゚)「どうして?どうして逃げるの?」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:59:32.97 ID:4cB+c0ud0
支援

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/18(金) 23:59:59.35 ID:y7TNlX+R0

从 ゚∀从「う…う…違う…違うんだ!」

(*゚ー゚)「そう」

モララーが、笑った。

( ・∀・)「俺も実はね。そんなに死にたかったわけじゃねーんですよ」

(#゚;;-゚)「あ…」

( ・∀・)「それじゃあ、おやすみなさい。お嬢さん。不細工っつってごめんね」

(#゚;;-゚)「う…」

( ・∀・)「あなたは不細工じゃないですよ。
      俺のあの姿は、仕事を始める前の昔のあなたですね」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:01:51.91 ID:sw1zm2Id0
支援

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:04:00.88 ID:3Cf6k1Og0


次の瞬間。
そこは薄暗い教室だった。


(*゚−゚)「ねぇ、私、醜い?」

( ・∀・)「いいえ。綺麗ですよ」

(*゚ー゚)「嘘よ。だって私は汚れているもの」

( ・∀・)「あなたが何かのために、
      汚れることを選んだのだとしたならば
      それは尊い事ですよ」

(*゚ー゚)「ありがとう。あなたなんて死んじゃえばいいのに」

( ・∀・)「ええ。すいません。俺もそう思います」


そして、
夢は終わった。


( ・∀・)「あー…」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:04:17.31 ID:sw1zm2Id0
支援

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:04:37.75 ID:3Cf6k1Og0

( ・∀・)「喉が渇いた…酒…」

モララーは狭く埃っぽい自分の部屋でむくりと起き上がり、
首を左右にコキコキと鳴らすと、顔を洗いに立ち上がった。

夜は、既に明けていた。





( ・∀・)「おーじゃーまーしーまーすー!!」

('A`)「あ…え…はい…?」

それから幾日か経って、
モララーは再びドクオのアパートを訪ねていた。

( ・∀・)「喜んで下さいドクオさん。
      今日はなんとこのわたくしが飯を奢って差し上げましょう!
      ほら、そうと分かればとっとと準備をされて下さい!
      しました?しましたね?じゃー行きますよー!」


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:04:46.66 ID:sw1zm2Id0
支援

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:05:21.36 ID:3Cf6k1Og0

('A`)「え?あの、俺、準備出来てな…」

( ・∀・)「はーい行きますよーあはははははは!!」

('A`)「あぅぁぅあぅあぅ…」



('A`)「あの…いいんですか…?これ、奢り」

( ・∀・)「ん?お嫌いでしたか?焼肉」

('A`)「いえ。俺焼肉なんて久しぶりで…」

( ・∀・)「そうですか。でしたらじゃんじゃん食われると良いでしょう!
      ほら、どんどん頼んで下さいねー。
      わたくしも張り切ってカルビとか頼ませて頂きますね」


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:05:45.46 ID:3Cf6k1Og0

('A`)「え、えっと、やめてくれませんか…そのしゃべり方…」

( ・∀・)「はい?わたくしとしては失礼があってはいけないと
      極めて真面目に根絶丁寧に話しているつもりなのですが」

('A`)「怖いんで…」

( ・∀・)「…正直でよろしい」

('A`)「あの、そ、それで…何の用ですか?
    夢は、もう見てないはずですよね?」

( ・∀・)「ええ。もうすっかり快眠ですよ」

('A`)「それなら、もう俺のことは放って置いて頂けませんか?
    焼肉は…嬉しいんですけど…その…関係、ないんで…」

( ・∀・)「随分消極的だなぁ青年。
      俺とお近づきになっとけば結構メリットありますよ?」

('A`)「いや、そーゆーのはいいんで…。
    あ、ホルモン頼んでもいいですか?」


83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:06:09.99 ID:3Cf6k1Og0

( ・∀・)「どーぞどーぞ」

('A`)「すいません。あと、サガリとタンもいいですか?」

( ・∀・)「どーぞどーぞ」

(*'A`)「ありがとうございます…」

( ・∀・)「若い子はみんな素直で良いですね」



( ・∀・)「さて。食べながら聞いて下さいね」

('A`)「むぐむぐ…ふぁい…」

( ・∀・)「俺、どーしてもティッシュを受け取っちゃうんですよ」

('A`)「もぐもぐ…はい?」

( ・∀・)「ティッシュですよティッシュ。
      あんた俺に三回も渡したでしょう?」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:06:27.59 ID:sw1zm2Id0
しえn

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:06:46.01 ID:3Cf6k1Og0

('A`)「まぐまぐ…ああ…」

( ・∀・)「あれは何ですか?
      渡す方にスーパーテクニックがあるんですか?
      なんで俺いっつもいっつも受け取っちゃうんですか?」

('A`)「はぐはぐ…えっと…」

( ・∀・)「聞く時は食ってていいけど
      喋る時ぐらい食うのやめなさい青年」

('A`)「ん…はい。えっと、俺、ティッシュ配り、
    長いことやってるけどそんな上手くないんですよ。
    でも、長いことやってるからなんとなく
    人を見るだけでその人が受け取ってくれるのか
    あるいは受け取ってくれないかわかるようになりました。
    んで、モララーさんは、すげぇ、受け取ってくれそうなオーラ出してますよ」


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:07:35.47 ID:3Cf6k1Og0


( ・∀・)「は?」

('A`)「ひ、ひぃ!そんな目で見ないで下さいよ。
    えっと、でもそうなんです。
    何でも受け入れてくれそうってか、
    ああそう。心に余裕があるって言うか
    とにかくそんな感じなんです」
    
( ・∀・)「んー…。俺、心狭いけどね…」

('A`)「いや、だってモララーさん夢の中では…」

( ・∀・)「ああ゛?」

('A`)「ひぃっ!ご、ごめんなさい何でもないです!」

( ・∀・)「あー…なるほどねぇ…なぁ青年」

('A`)「な、何ですか…」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:07:56.67 ID:3Cf6k1Og0

( ・∀・)「明治な恋がしてみたいもんだねぇ」

('A`)「は?」

( ・∀・)「ま、俺にはあれが似合ってんのだろうねぇ。
      ねぇ、酒頼んでいい?青年も飲める?
      飲めるなら付き合うよな?な?」

('A`)「あ、い、頂きます…」

( ・∀・)「よし。それが大人の付き合いってもんだぞ青年。
      おーいすいません生2つジョッキでお願いしますー」


88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:08:13.90 ID:3Cf6k1Og0
('A`)ドクオが夢を紡ぐようです 第二話 了

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:09:05.51 ID:sw1zm2Id0
しえn

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:09:26.44 ID:JT6VGhpY0
乙!

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:09:30.19 ID:jm7Sn33w0


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:09:49.38 ID:3Cf6k1Og0
以上です。
読んでくれた方。支援してくれた方。
ありがとうございました。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:09:52.39 ID:sw1zm2Id0
って、終わりか乙!

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:10:51.85 ID:zXYZ23+40
乙乙ー

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:11:29.64 ID:tzNKd+gR0


96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/19(土) 00:38:27.08 ID:gzI3VbF40
今日初めて見たけど面白かった


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