lw´‐ _‐ノv畳の上に座っているだけのようです 七畳目「イメージする人」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「座ってぼんやりしてるのも」
lw´‐ _‐ノv「乙なものなのかな……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「せめてお茶でもあったら」
lw´‐ _‐ノv「もうすこし、まったり過ごせるんだけど……」
('A`)「ん……」
lw´‐ _‐ノv「むむっ……」
(;'A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「ずずずず……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「エアお茶をすすってたんだけど、分かった?」
('A`)「あ、何となくフィーリングで、はい」
lw´‐ _‐ノv「おおー、良かったー」
lw´‐ _‐ノv「ちなみに静岡の緑茶をイメージしてたんだけど」
(;'A`)「……」
(;'A`)「いえ、そこまではちょっと……」
lw´‐ _‐ノv「うーん、しかたないか」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……ええっと」
(;'A`)「じゃあ僕も、エア珈琲か何か飲もうかな、ハハハ」
lw´‐ _‐ノv「……」
(;'A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(;'A`)「あ、あの、冗談です……」
lw´‐ _‐ノv「コポコポコポ……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「淹れたてです、どうぞ」
('A`)「あっ、珈琲淹れてくれたんですか、どうも」
lw´‐ _‐ノv「いえいえー」
('A`)「うーん、どれどれ」
('A`)「……うっ、うまい!」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「えっ」
(;'A`)「いや、何もないですけど、はい……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「そうだ、お疲れなのかも」
(;'A`)「いえ、ジョークですよ、大丈夫です」
lw´‐ _‐ノv「きっと、そう、悩みとかあるんじゃないかな?」
(;'A`)「……」
('A`)「悩みはありますけど、さっきのは冗談ですからね」
lw´‐ _‐ノv「まあまあ、私も冗談だよー」
('A`)「どれがそうなのか分かりませんよ」
lw´‐ _‐ノv「えっ? エアお茶のくだりとか?」
(;'A`)「ほぼ丸ごとじゃないですか」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「人生って、そういうことなのかもしれないね」
(;'A`)「いや、どういうことですか……」
lw´‐ _‐ノv「そうそう、悩み悩み」
lw´‐ _‐ノv「良かったら聞かせてよー」
('A`)「人の悩みなんて、聞いててもつまらないですよ」
lw´‐ _‐ノv「えっ、そうかなー?」
('A`)「だと思いますよ」
lw´‐ _‐ノv「まあ、こう見えてプロになりつつあるから任せてよ」
('A`)「悩みのですか?」
lw´‐ _‐ノv「そう、お悩みのプロフェッショナル」
(;'A`)「……」
('A`)「いまいち気乗りしないんですが、……そこまで言うなら」
lw´‐ _‐ノv「おめでとー、これでもう明日は明るいはず」
(;'A`)「はぁ……」
lw´‐ _‐ノv「一体どういうお悩みなの?」
('A`)「どうでもいいことが気になる時ってあるじゃないですか」
lw´‐ _‐ノv「風に揺れる葉っぱの枚数とか?」
(;'A`)「暇を持て余してるわけじゃないですよ……」
lw´‐ _‐ノv「私は気になったことあるよ」
(;'A`)「そうですか……」
lw´‐ _‐ノv「うんうん」
('A`)「……それで、あの、一度考えると、いつまでも頭に残っちゃうんですよ」
lw´‐ _‐ノv「例えばどういうこと?」
('A`)「色々ありますよ。口の中の舌の位置が気になったり」
lw´‐ _‐ノv「舌?」
('A`)「はい。寝てるうちに舌が絡まったりしないか、とか」
lw;´‐ _‐ノv「人の舌はそんなに長くないよ? 妖怪かよ……」
('A`)「あとは、人類で初めて髪を切ろうとした人って」
('A`)「怖くなかったんでしょうか……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「うん」
lw´‐ _‐ノv「素敵な趣味だと思うよ」
(;'A`)「誰がたしなむんですか、その趣味」
lw´‐ _‐ノv「別に悪いことじゃないと思うけどなあ」
('A`)「ふとした瞬間に、頭の中にそのイメージが浮かぶんですよ」
lw´‐ _‐ノv「イメージ?」
('A`)「はい。部屋の中で、俺が黙々と髪を切ってるんです」
lw´‐ _‐ノv「うん?」
('A`)「絵になるような俳優さんとかならまだしも、俺ですよ」
('A`)「見栄えするわけでもないし、流石に嫌になりますよ」
lw´‐ _‐ノv「ちょっと面白そう」
('A`)「いやいや……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「ところで昔の人、爪はどうしていたんだろうね」
(;'A`)「止めて下さい、気になっちゃうじゃないですか」
lw´‐ _‐ノv「あ、ごめんごめん」
(;'A`)「ああっ!」
lw´‐ _‐ノv「えっ?」
('A`)「爪を切る映像が脳裏にっ!」
lw;´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(;'A`)「頭の中で俺が、黙々と足の爪切ってます……」
('A`)「どうしたらいいですか」
lw´‐ _‐ノv「えっと」
lw;´‐ _‐ノv「心の病はちょっと……」
('A`)「気のせいか、爪切りのパチンって音も……」
lw´‐ _‐ノv「ちょっと体験してみたい」
('A`)「はあ……」
('A`)「こんな自分にほとほと嫌気が差しますよ」
lw´‐ _‐ノv「自分が嫌いなの?」
('A`)「ええ、つくづく」
lw´‐ _‐ノv「それはもったいない」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「まあ、しかたないですよね……」
lw´‐ _‐ノv「でも、自分自身だもの」
lw´‐ _‐ノv「自分で変えようと思った瞬間から変わっていくよ」
('A`)「……」
('A`)「具体的にはどうすれば?」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw;´‐ _‐ノv「その辺はちょっと……」
(;'A`)「えぇ……」
lw´‐ _‐ノv「でも、嫌だって思ってるより建設的じゃない?」
('A`)「……それはそうですけど」
lw´‐ _‐ノv「よし、じゃあやってみよう」
('A`)「はい?」
lw´‐ _‐ノv「目をつむって、心のなかで」
lw´‐ _‐ノv「一分ごとに私は良くなってきてる、って思ってみて」
(;'A`)「分毎って、三日後には聖人になってますよ」
lw´‐ _‐ノv「まあまあ、ものは試しだよー」
('A`)「……分かりました」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「あの、イメージしましたけど、特に何も……」
lw´‐ _‐ノv「一分待たないとだめだよ」
(;'A`)「その辺シビアなんですね……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「よし一分経ったー、時計ないけど」
('A`)「なんだか眠気が……」
lw´‐ _‐ノv「おー、おそらく変化の兆しでしょう」
('A`)「えっ?」
lw´‐ _‐ノv「ほら、熊とか冬は冬眠するって言うし……」
(;'A`)「いやいや、意味が……」
lw´‐ _‐ノv「目が覚めたら、きっと少しは変わってるよー」
('A`)「というか、ここは」
('A`)「どこ……」
('A`:.::*:・'
('A:*:・'
*:・'
lw´‐ _‐ノv「解決したのか分かんないけど」
lw´‐ _‐ノv「一件落着かな……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「それで……」
lw´‐ _‐ノv「それで私自身は」
lw´‐ _‐ノv「いつになったらこの部屋を出られるんだろう……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「はあ……」
終わり
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