( ^ω^)が空を行くようです (http://ex17.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1166951416/)
- 1 名前:代理です(;><):2006/12/24(日) 18:10:16.34 ID:60sV8vmo0
- まとめサイト様様
http://boonnovel.g.hatena.ne.jp/
http://hebiya.blog40.fc2.com/
- 2 名前:猪(ギター):2006/12/24(日) 18:13:52.50 ID:U0+VP3/z0
- 今だ!2ゲットォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ (´´
∧∧ (´⌒(´
⊂(゚Д゚ )≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
⊆⊂´ ̄ ⊂ソ (´⌒(´⌒;;
 ̄ ̄ ̄ ズザーーーーーッ
- 3 名前:黒豆(万粒):2006/12/24(日) 18:14:51.63 ID:d+sjL/QPO
- wktk
- 4 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:18:57.59 ID:NBVTpMiQ0
- 代理の方ありがとうございます。
ちゃっちゃか投下しますね。
- 5 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:22:15.73 ID:NBVTpMiQ0
-
第二十七話 「Destiny」
嵐の空。
吹き付ける風は厳しく、中にいる者を弄ぶかのように荒れ狂う。
風に舞う雨粒が肌を針のように刺激し、ゴーグル無しではとても眼を開けていられない。
しかし、そんな空を、クーとツンは確固たる足取りで進む。
ξ゚ー゚)ξ「さすがは『蒼風』ですね!嵐にも全然揺られていませんよ!?」
川 ゚ー゚)「私はもう『蒼風』ではない。
ただの『空の郵便屋』にすぎん。
戦いの空の『蒼風』は、エデンの空に堕ちたのだよ」
設置されていた前後座席の通信用のスピーカーから響くクーの声。
その声に、バックミラーから彼女の顔を確認したツン。
雨に濡れたゴーグルでその瞳は見えないが、クーの口の端はわずかに上がっていた。
- 6 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:23:54.20 ID:NBVTpMiQ0
-
川 ゚ -゚)「覚悟はいいか?雲海に入るぞ?」
クーのその言葉に、ツンは視覚に最大限の意識を集めた。
ξ゚听)ξ「いつでもどうぞ!!」
彼女の瞳は、ただ雲海だけを注視する。
届けるべき宛先。
目指すべき光。
それさえあれば、人はどこまでも進んでいける。
川 ゚ -゚)「行くぞ!!」
クーの気合の声とともに、
機体は斜めに傾き、雲海の中へとダイブしていった。
- 7 名前:初夢(アキバでびゅーしてきた):2006/12/24(日) 18:24:30.86 ID:evcOJAAvO
- 作者キタ――ヽ(・∀・)ノ――!!!!
- 8 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:26:26.88 ID:NBVTpMiQ0
-
突如視界を覆ったどす黒く分厚い雲の塊に、ツンは一瞬だけ瞳を閉じた。
情けない自分の行動に歯噛みをしていると、
分厚い雲のクッションで機体がわずかに上昇し、すぐに下降へと転じる。
雲海の中は、先ほど以上に強烈な嵐。
まるで体内に入った異物のすべてを吐き出すかのように吹き荒れる風と雨。
終幕の黙示録。
狂気に歪んだその中で、飛行機械は激しく振動を起こす。
不意に走る稲妻。
直後に、腹の底に響いてくるほどの強烈な雷鳴。
かつてのツンなら、
ここで「人生オワタ――!!」なんて叫びながら眼を閉じていただろう。
だけど、ツンは瞳を閉じない。
たとえ強烈な稲光にこの眼を焼かれようとも、あたしは眼を開け続ける。
硬く胸に刻んだ想いは、どんな鋼鉄の柱よりも強く、彼女の意識を支えていた。
- 9 名前:黒豆(六粒):2006/12/24(日) 18:28:20.54 ID:rYg6Nz+NO
- 人生オワター
留年キマター
- 10 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:28:27.30 ID:NBVTpMiQ0
-
川 ゚ -゚)「ブーンは見えるか、ツン?」
ξ;゚听)ξ「ダメ!影も形も無い!!」
川;゚ -゚)「ならば、もっと下か……」
「チッ」と舌打ちする音がスピーカーから響く。
直後に吹き荒れた風に、機体が大きく流されていく。
川 ゚ -゚)「いい風だ。このまま雲海の底ギリギリまで下降する」
ξ゚听)ξ「了解!!」
まるでビッグウェーブに乗るサーファーのように風の中を渡る飛行機械。
ピンチをチャンスに変え、クーはペロリと唇を舐める。
そして、その感触に彼女は違和感を覚えた。
……雨粒が、しょっぱくない。
- 11 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:29:58.06 ID:NBVTpMiQ0
-
どういうことだ?
ここに吹き荒れているのは酸の雨ではなかったのか?
脳裏をよぎった疑問に一瞬とらわれた彼女だが、
間髪いれずに襲来した風の魔物にすぐに意識を移し、その波に乗る続けるクー。
そして、ひたすらに下降を続けた彼女の眼下に、わずかな雲間が姿を現す。
ついに、雲海の底へとたどり着いたのだ。
しかし、突如に機体の内側から響く鈍い音。
川;゚ -゚)「くそっ。限界か?」
悲鳴を上げる機体の振動を知覚した彼女は
直後にメーターのすぐ側に設置したタイマーに視線を移す。
タイムリミットまであと五分。
帰りの時間を考えると、残された時間は最高であと二分。
- 12 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:31:40.73 ID:NBVTpMiQ0
-
川;゚ -゚)「ツン!ブーンはどこだ!?」
ξ;゚听)ξ「ダメ!見つからないよ!!」
涙声の混じった必死な悲鳴が、スピーカーからクーの耳へと届く。
眼下に広がるわずかな雲間。
考えられるのはもうここだけ。
必死に眼球を動かすクー。
しかし、雲間から見える地上には、灰色の水溜りのようなものがあるだけ。
そこに響く、アラーム音。
……絶望へのタイムリミットは訪れた。
- 13 名前:黒豆(万粒):2006/12/24(日) 18:33:12.69 ID:d+sjL/QPO
- 支援
- 14 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:33:51.39 ID:NBVTpMiQ0
-
機体に鳴り響くアラーム音。
それはスピーカーを通して後部座席のツンにも届いていたはずだが、
彼女はそれにまったく気が付かなかった。
彼女の眼は、捉えていた。
眼下に広がる雲海の底。
その雲間を駆けていく、銀色の空の舟を。
見下ろして伸ばしたツンの指先をすり抜けて、それは雲海の下に小さく消えた。
ξ;゚听)ξ「ブ――――ン!!」
彼女の叫びは、近距離から轟いてきた雷鳴にかき消されて、
ブーンに届くことは無かった。
- 15 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:35:09.69 ID:NBVTpMiQ0
-
川 - )「……すまない、ツン。タイムリミットだ」
スピーカーから響いてくる口惜しそうな声とともに、機体は急激に上昇を始める。
猛スピードで雲海の上へ出ようとするその圧力に、ツンの身体は座席へと押し付けられた。
ツンは必死の抗議をしてみるが、回線は切られているようで、その声はクーには届かない。
クーの時も、ジョルジュの時も、しぃの時も、
自分は後部座席でその光景を見つめるか、命令に従ってただ為すがままになるだけだった。
……また自分は、誰も助けられなかった。
……結局自分には、何も出来ないのか。
悔しさに唇を噛んでいると、そこから流れ落ちる赤い液体。
その味が、彼女の心を奮い立たせた。
- 16 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:36:26.55 ID:NBVTpMiQ0
-
あたしは生きている。
そして彼もまた、生きている。
ほんの少しだけ足を踏み出せば、彼はあたしの手の届く場所にいる。
それならば、あたしはこの足を踏み出そう。
誰にも流されること無く、自分の意思で、この空に向かって一歩を踏み出そう。
彼女は静かにシートベルトを外した。
片手には毒男に渡された『エデン』用のキット。
もう片方には、自分の意思を知らせる発光信号機。
あたしの思いよ、彼に届け。
あたしは、眼下に広がるこの絶望の空を行く。
わずかに見えた、希望の灯を探して。
失われた世界を渡る、幼馴染の背中を目指して。
そして、彼女は飛んだ。
- 17 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:38:12.98 ID:NBVTpMiQ0
-
ξ;゚听)ξ「 I CAN FLY !! 」
- 18 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:39:28.26 ID:NBVTpMiQ0
-
(^ξ゚听)^)
) /
(_ノ_ノ
窪塚 洋介
[ I CAN FLY 1979〜2006 ]
(神奈川県)
- 19 名前:ナルト:2006/12/24(日) 18:39:52.79 ID:BUb+jwSm0
- 支援
- 20 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:41:36.98 ID:NBVTpMiQ0
-
川;゚ -゚)「ツ――――ン!!」
雲海の中を猛スピードで落下して行くツン。
見上げたその瞳には、こちらに向けて手を伸ばすクーの姿が映っていた。
……ごめんなさい。
一言そう呟いて、彼女は視線を眼下に移す。
迫り来るどす黒い雷雲の塊は、やわらかいクッションを彼女に連想させた。
しかしそれは、彼女の身体を受け止めることはなく、
信じられないスピードで、ただ上空へと過ぎ去っていくだけ。
やがて、その雲が視界から消えた。
代わりに映るのは、灰色の波打つ広大な水溜り。
目の前に広がるその光景に自分が雲海を抜けたことを知覚すると、
その水溜りに向かって、じわじわと落下していく見慣れた飛行機械の姿を彼女は捉える。
- 21 名前:初夢(空も飛べるはず):2006/12/24(日) 18:41:39.12 ID:ePs2ICKjO
- wktkが止まらない
- 22 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:42:35.77 ID:NBVTpMiQ0
-
ξ;゚听)ξ「ブーン!操縦桿を引きなさい!!」
届くはずも無いその声を、堕ちていく飛行機械に向かって投げかけると、
ツンは片手に握った発光信号機のトリガーをでたらめに引いたり離したりする。
ξ;゚听)ξ「ブ―――ン!あたしはここよ――――――――!!」
明滅する光。
想いが詰まった光線は、どこまでも続く失われた世界を照らしてゆく。
彼女の放ったその光は、灰色の世界に長らくさすことの無かった、生命の灯火だ。
第二十七話 おしまい
- 23 名前:黒豆(万粒):2006/12/24(日) 18:43:34.62 ID:d+sjL/QPO
- 窪塚かよwwwwwww
- 24 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/24(日) 18:44:51.74 ID:NBVTpMiQ0
- 短くてすいません。ただ、次はこの三倍の量があってしまいます。
これからバイトなんで、続きはバイトが終わる0時台に投下させてもらいます。
クリスマスなんでスレの流れが早いでしょうから、保守は結構です。
一時失礼します。
- 25 名前:黒豆(万粒):2006/12/24(日) 18:45:14.01 ID:d+sjL/QPO
- 乙!
- 26 名前:ナルト:2006/12/24(日) 18:45:42.20 ID:BUb+jwSm0
- 乙っさ
- 27 名前:書初め(虫よけスプレー):2006/12/24(日) 18:50:17.18 ID:6CaKX9EG0
- 乙なんだぜ
バイトガンガレ
- 28 名前:猪(ちび):2006/12/24(日) 18:59:43.96 ID:QKC46nH60
- このアナルが!
乙!
- 29 名前:書初め(一人身脱却):2006/12/24(日) 19:21:33.86 ID:6CaKX9EG0
- おらっしゃあぁぁ!!!
∩∧ ∧
ヽ( ゚Д゚) 保守
\⊂\
O-、 )〜
∪
- 30 名前:巫女と初詣:2006/12/24(日) 19:54:17.71 ID:ozfz1IX70
- ほ
- 31 名前:角焼もち:2006/12/24(日) 20:05:13.88 ID:vLZhiD9KO
- あえて保守
- 32 名前:猪(ベース):2006/12/24(日) 20:43:14.72 ID:5SzbHvtzO
- 作者頑張れ保守
- 33 名前:猪(近眼):2006/12/24(日) 21:00:06.34 ID:1cpJyE9k0
- wltkっていうレベルじゃねーぞ保守
- 34 名前:年賀状(あたり):2006/12/24(日) 21:02:39.11 ID:d08eRs080
- 乙
なんかツンが飛んだ時に頭の中で「セシリーーーッ!!!!」ってなった
- 35 名前:初夢(アフリカのシマウマだった):2006/12/24(日) 21:09:00.79 ID:evcOJAAvO
- 受験勉強なんてどうでもよくなる
それほどのクオリティーがここにある
クリスマス死ね
- 36 名前:VIP皇帝:2006/12/24(日) 21:30:10.56 ID:BFF7L7IJ0
- 全力でほ保守
- 37 名前:書初め(外に出たい):2006/12/24(日) 22:05:20.78 ID:6CaKX9EG0
- ホス
- 38 名前:書初め(外に出たい):2006/12/24(日) 22:30:10.67 ID:6CaKX9EG0
- _、_
ヽ( ,_ノ`)ノ 残念 私のおいなりさんだ。保守
へノ /
ω ノ
>
- 39 名前:書初め(外に出たい):2006/12/24(日) 22:46:29.71 ID:6CaKX9EG0
-
_ ∩
⊂/ ノ ) 残念 それは私のイナバウアーだ。捕手
へノ /ノノノ
ω ノ
>
- 40 名前:書初め(大願成就):2006/12/24(日) 23:03:20.86 ID:6CaKX9EG0
- | <⌒/ヽ-、___ ホッシュ
| /<_/____/
↓
- 41 名前:猪(緑):2006/12/24(日) 23:03:35.24 ID:pnujaTGe0
- http://pr2.cgiboy.com/S/3246638
- 42 名前:おせち(200円):2006/12/24(日) 23:05:23.85 ID:cvZZjSeTO
- >>34
シーブック乙
- 43 名前:VIP皇帝:2006/12/24(日) 23:17:49.11 ID:6CaKX9EG0
- │ _、_
│ ヽ( ,_ノ`)ノ 残念 それは・・・・・
│ へノ /
└→ ω ノ
>
│ 。 _
│ ヽ( ∀゚ ; )ノ 私ののおおおおおおおおお!
│ へノ.:。 /
└ ゚。*・゚∵. ――――― →.
席外すから保守任せた
>
- 44 名前:弁天(べんてん):2006/12/24(日) 23:19:09.33 ID:D0pokCPA0
- やああああああああってやるぜええええええ
- 45 名前:弁天(べんてん):2006/12/24(日) 23:30:01.11 ID:D0pokCPA0
- もうだめだ・・
- 46 名前:おせち(3,000円):2006/12/24(日) 23:38:25.86 ID:t298YYL4O
- >>45
はぇぇよwwwww
- 47 名前:猪(マヨラー):2006/12/24(日) 23:57:28.33 ID:1Hb4s/BCO
- ダンクウホウフォーメーションダヤルヨシノブ!!!
- 48 名前:ミツバ:2006/12/25(月) 00:02:05.16 ID:QYJ+XQ3c0
- 再びやああああってやるぜええええ
- 49 名前:ミツバ:2006/12/25(月) 00:13:50.90 ID:QYJ+XQ3c0
- もうだめだ・・・
- 50 名前:あいつと初詣:2006/12/25(月) 00:17:11.73 ID:u/UVUXdj0
- ゴミを出す準備もしたし、発泡酒でも飲みながら保守る
- 51 名前:お年玉(がっぽり):2006/12/25(月) 00:19:59.84 ID:asqbox36O
- セクロスしながらwktk
- 52 名前:猪(子持ち):2006/12/25(月) 00:20:53.93 ID:4A0cqtiH0
- >>51
このSEX box36O 野郎めが
- 53 名前:あいつと初詣:2006/12/25(月) 00:22:34.97 ID:u/UVUXdj0
- >>51
チンコもげろ
- 54 名前:お年玉(がっぽり):2006/12/25(月) 00:22:59.13 ID:asqbox36O
- なんか良いIDジャマイカ
IDテストすれいってきます^^
- 55 名前:猪(青詐欺):2006/12/25(月) 00:26:09.76 ID:SuLsBtvHO
- 地味に凄いな
- 56 名前:黒豆(六粒):2006/12/25(月) 00:31:07.91 ID:xdZ5mBHn0
- こんばんわございます!
事実上はまだ12月24日ですよー!
o
o_ /)
/<<
12月24日の午後9時から翌25日の午前3時までの6時間は
1年間で最もセックスをする人の多い「性の6時間」です。
貴方の知り合いや友人ももれなくセックスをしています。
普段はあどけない顔して世間話してるあの娘もセックスをしています。
貴方が片想いしているあの綺麗な女性もセックスをしています。
貴方にもし年頃の娘さんや姉・妹がいて、いま家にいないのでしたら間違いなくセックスしてます。
貴方と別れたあの娘も貴方がその娘にやってきたことを別の男にやられています。
貴方の将来の恋人や結婚する相手は、いま違う男のいちもつでヒィヒィ言っています。
すべてを諦めましょう。そして、ともに戦いましょう。
- 57 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:36:13.43 ID:xdZ5mBHn0
- 保守ありがとうございます。
おかげさまで今日はコンドームがよく売れました。
自棄酒のみながら投下させていただきます
- 58 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:38:04.34 ID:xdZ5mBHn0
-
第二十八話 「生きがい」
眼を開けると、そこは真っ暗な闇。
どこまでも続くその闇の中に、少年は浮かんでいた。
( ´ω`)「……僕は……死んだのかお?」
雲海に堕ちた最後の記憶。
それを思い出した彼は、諦めたようにため息を一つついて、眼を閉じた。
ただふわふわと、宙を漂うような感覚。
幼い頃、父に連れて行ってもらった大きな池で溺れた時と似た感覚だった。
あの時は、頭上から差し出された父の大きな手が、自分を現世に引き戻してくれた。
もしかしたら、その手が再び自分を救ってくれるかもしれない。
そう思って眼を開けてみても、視界には漆黒の闇以外に何も存在しなかった。
- 59 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:39:42.51 ID:xdZ5mBHn0
-
再び眼を閉じようとした少年。
しかし、閉じようと開こうと、視界に広がるのは暗黒の世界。
それならば、このまま闇を見続けよう。
もしかしたら、何かが見えるかもしれない。
そう思った少年のまなこに、ぼんやりと一人の男の背中が浮かんできた。
もう、遥か昔。
幼い頃に最後に見た父の背中。
その背中は、そんな父の背中に酷似していた。
(;゚ω゚)「父ちゃん!!」
あの時も自分は、幼いツンに羽交い絞めにされながら同じ言葉を叫んだ。
手を伸ばしても、それはあの時のように遠ざかっていくだけ。
- 60 名前:猪(休職中):2006/12/25(月) 00:40:42.33 ID:u9vmxjJK0
- >>57
バイトはコンビニか?
- 61 名前:お年玉(がっぽり):2006/12/25(月) 00:42:40.95 ID:asqbox36O
- 作者キタ――
たった今銀様とのセクロスが終わったところさ
- 62 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:42:51.52 ID:xdZ5mBHn0
-
「ブーン……すまない」
( ゚ω゚)「謝るならくらいなら行くなお!
あれから僕とツンがどれだけ苦労したと思っているんだお!!」
あの時と違って、ブーンは父の背中に罵声を浴びせかけた。
しかし、返ってきた答えは、あの時とまったく同じ父の言葉。
「お前を残していくことは、本当に悪いと思っている。
だけど、俺は『エデン』を見つけた。
そこへ飛ばなければ、俺は干からびた魚のようになってしまう。
そんな俺の姿を、お前には見せたくないんだ」
幼い自分には、父の言葉の意味が全くわからなかった。
ただ、父との別れが悲しくて、ツンの今と変わらない平らかな胸に抱かれて泣いていただけ。
でも、今なら父の想いがわかる気がした。
『トップページ』を駆け抜けた先で出会った『VIP』の姿をずっと見てきたからだ。
そんな父の背中は消え、代わりに浮かんできたのは『VIP』のみんなの姿。
- 63 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:45:05.04 ID:xdZ5mBHn0
-
( ゚д゚ )「スロウライダー、お前はここでくたばるのか?
お前はその程度の男だったのか?」
('A`)「ぶほほほほほ……あたしの見込み違いだったようね」
( ´∀`)「がっかりだモナー。僕は失望したモナー」
/ ,' 3「所詮は小僧。ここで朽ち果てるのがお似合いだわい」
川 ゚ -゚)「残念だ。君にはもっと期待していたのだがね」
(´・ω・`)「僕は『家族』を守るためだったらなんだってする。
しかし、君には守るべき価値は無いようだね」
現れた皆は、口々にブーンを罵ると、闇の中へとその姿を消していく。
そんな彼らの姿を、ブーンは黙って見送った。
飛び出した嵐の空から完全な不注意で雲海へと堕ちた自分に、
彼らの罵声を否定する権利などあるはずが無い。
だからもう、そっとしておいてくれ。
この闇の中で、心地よい浮遊感に包まれながら、静かに眠らせてくれ。
そう呟いて、眼を閉じようとしたとき、
突然浮かんできた人物の姿に、少年の眼は再び見開かれた。
- 64 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:47:54.26 ID:xdZ5mBHn0
-
( ,,゚Д゚)「少年よ、PMAだ!飛行機械乗りは黙って前を見続けなければならん!
どんなに厳しい空でも、お前は前を向いて飛び続けるんだゴルァ!!」
死んだと聞かされたはずのギコ。
彼の姿は、今までに現れたほかの誰よりも確かな質感を持ってそこに存在していた。
(*゚ー゚)「あなたは強い。だから、私たちの分まで空を行って」
ギコの傍らに寄り添うようにして現れたしぃ。
自分の目の前で死んだ彼女は、そんなことなど忘れたかのようにニコリと微笑む。
( ´ω`)「そんな……無理ですお。
父ちゃんは行っちゃったし、『VIP』のみんなも僕を見放したんですお。
僕にはもう……何も残っていないんですお」
少年は曇った瞳でそう答えた。
すると二人は黙って微笑んで、少年の後ろを指差す。
ブーンは振り返った。
そこには、いつもと変わらない笑顔で立っている彼がいた。
- 65 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:50:17.86 ID:xdZ5mBHn0
- _
( ゚∀゚)「お前、人間に乳首が二つ付いている理由がわかるか?」
振り返った先にいたのはジョルジュ長岡。
少年の目の前で爆散した彼は、眼帯の無い綺麗な顔でそこに立っていた。
_
( ゚∀゚)「赤ん坊に乳を吸われるとな、乳首が荒れてたまらなく痛くなるんだよ」
そんな彼の言葉に、ブーンはいつのことだったか、
整備班の休憩室で無理やり聞かされたジョルジュのオッパイ談義のことを思い出した。
(;^ω^)「……なんでそんなこと、知っているんですかお?」
_
( ゚∀゚)「うひゃひゃひゃひゃwwwwwたまひよに書いてあった!!」
確か、あの時もまったく同じやり取りをしたなぁ。
その時のことを思い出してか、少年の顔に笑みが戻る。
- 66 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:52:07.10 ID:xdZ5mBHn0
- _
( ゚∀゚)「ずっと片方の乳首だけを吸われていたら、痛くて我慢できない。
そのときのために、もう片方の乳首が存在するのさ!!」
(;^ω^)「おー……そういうもんなんですかお?」
_
( ゚∀゚)「そうさ!右乳首が痛くなったら左乳首、左乳首が痛くなったら右乳首!!
そうやって、乳首はお互いを支えあっているのだ!!」
そう断定して、ジョルジュは大声で笑う。
そんな彼につられて、ブーンもゲラゲラと笑い声を上げる。
( ^ω^)「めちゃくちゃな例えですおwwwwwwwwww」
_
( ゚∀゚)「そうでもないさ!これ以上にすばらしい例えは他に存在しない!!
いいか?お前が右乳首だとしたら、左乳首を助けてやらなきゃいけない!
その左乳首が、いずれお前を必ず助けてくれるんだからな!!」
- 67 名前:おせち(30,000円):2006/12/25(月) 00:52:27.25 ID:s+fFBu4MO
- 支援
- 68 名前:猪(子持ち):2006/12/25(月) 00:53:20.71 ID:4A0cqtiH0
- 走馬トォーーーッ!!
- 69 名前:おせち(8,000円):2006/12/25(月) 00:56:26.69 ID:6xnbyapaO
- 窪 塚 が 来 る ぞ
- 70 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:56:40.77 ID:xdZ5mBHn0
-
ジョルジュのその言葉に、ブーンの表情は一変した。
とても……とても悲しそうな表情。
( ´ω`)「だけど、僕にはその左乳首なんていないんですお。
『VIP』のみんなには見放され、ギコさんにしぃさん、
そして、長岡さんも死んでしまったんだお……」
力なく呟いて、少年はジョルジュの顔を見た。
ジョルジュは首をかしげると、再び大声で笑う。
_
( ゚∀゚)「何言っていんだ?お前の後ろにいつもいるじゃないか!!」
- 71 名前:あいつと初詣:2006/12/25(月) 00:57:41.33 ID:u/UVUXdj0
- 支援
- 72 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 00:59:22.99 ID:xdZ5mBHn0
-
ジョルジュの言葉に、ブーンは「バッ!」と振り返った。
視線の先にギコとしぃ、二人の姿は無く、
その代わりに、飛行服に身を包んだツンが不機嫌な表情で立っていた。
(;゚ω゚)「ツン……いつからそこにいたんだお?」
ξ#゚听)ξ「何言ってんのよ!小さい頃からずっとあんたの後ろにいたじゃない!!」
肩を怒らせ、機嫌の悪い表情でのしのしとこちらに歩いてくるツン。
まずい。
この顔は、殴るときの顔だ。
そう考えて、頭を抱えて眼を閉じたブーン。
脳の奥底まで響くいつもの衝撃は、いつまでたっても襲ってこない。
不審に思って、少年は頭を抱えたまま上目遣いで前方を見た。
そこに、ツンの姿は存在しなかった。
- 73 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:01:14.70 ID:xdZ5mBHn0
-
(;゚ω゚)「ツン!どこに行っちゃったんだお!?」
急に不安になってあたりを見渡すブーン。
周囲からはツンの姿はおろか、ギコやしぃ、ジョルジュの姿さえも消えている。
(;゚ω゚)「ツン!僕を一人にしないでくれお!!」
暗い闇の中を、叫び声を上げながら漂うブーン。
いつまでたっても闇は闇。
どこまでもどこまでも虚空をさまよって、
とうとう力尽きた少年はひざを抱えてうずくまる。
( ;ω;)「本当に……一人になっちゃったお……」
呟やいた声は、もう、誰にも届かない。
ひたすらに続く闇の中を、どこまでも伝わっていくだけ。
- 74 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:04:01.91 ID:xdZ5mBHn0
-
僕は一人だ。
祈るべき乳首も、祈る言葉もとうにない。
「闇に覆われた真実、見果てぬ対岸の夢こそが人間の進歩の道標であり、
その道を手探りで進んでいく中で得たものこそ、なによりも重い自分を造るのである」
先日、荒巻が言った言葉が頭をよぎる。
僕には、夢がある。
闇に覆われた真実……『エデン』を見つけたい。
だけど、僕は一人では何も出来ない。
いつだって、僕の後ろにはツンがいた。
僕が生き延びてきた空には、傍らにいつもツンがいた。
だけど、彼女の姿はもう消えてしまった。
それならば、僕にとって荒巻の言葉は何の意味を持たない。
どこへ行けば、どこまで行けば、
あなたの言葉の意味がわかる?意味が見つけられる?
ひざを抱えて呟いても、もはや誰も答えてはくれない。
手放したもの、失ったものは、二度と自分のもとには戻ってこない。
- 75 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:05:21.21 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ゚ー゚)ξ「それなら、また二人で見つければいいじゃない」
背中から響いてきた声に、少年はうつむけた顔を上げた。
首だけ振り向くと、そこには再び現れた自分の左乳首の姿。
ξ゚ー゚)ξ「いつまでたってもあんたは子供ね。
いじけていたって、なんにもはじまらないのよ?」
微笑みながらそう語りかけると、左乳首は少年の背後から彼の両腕に手をやる。
そして、ひざを抱えていたブーンの両手を、彼の股の間で組ませた。
- 76 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:06:39.53 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ゚听)ξ「このままじゃ堕ちるわよ?さっさと操縦桿を引く!!」
(;゚ω゚)「操縦桿なんてここにはないお!!」
ξ#゚听)ξ「何言ってんのよこの馬鹿ちん!!さっさと引きなさい!!」
暗い闇の中でじたばたと暴れまわる二人。
ξ#>凵)ξ「ああもう!じれったいわね!!
オンドリャ――――――――――!!」
剛毅な雄叫びとともに、左乳首はブーンの組んだ両手を後ろに引っ張る。
少年の両手は、猛烈な勢いで彼のティンカーベルを殴打した。
- 77 名前:おせち(30,000ウォン):2006/12/25(月) 01:07:17.10 ID:s+fFBu4MO
- 支援
- 78 名前:黒豆(六粒):2006/12/25(月) 01:07:37.24 ID:RDFUIBN80
- 支援
- 79 名前:おせち(30,000円):2006/12/25(月) 01:08:13.98 ID:MvVsXvsDO
- 乳首てw
- 80 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:08:35.82 ID:xdZ5mBHn0
-
( ゚ω゚)「うんがこ―――――ん!!」
股間に走る激痛に悲鳴を上げながら眼を開いたブーン。
少年の視界の先に、もう暗闇は存在しなかった。
代わりに広がるのは、上空から重くのしかかる灰色の雲。
周囲に響くのは、下方から響くザザンザザンという低い音と、
渡っていく風音、そして、自分と機体を激しく打つ雨音だけ。
自分の置かれた状況はまったく理解できないが、
とりあえず激痛の走る股間のチェックをするブーン。
大丈夫。ぶら下がる二つの暗黒タマタマはちゃんと付いている。
安堵のため息をついて、再びブーンはあたりを見渡した。
※うんがこん……昔の長崎の方言で、「なんだこのやろう」の意。常用外
- 81 名前:猪(ばくち打ち):2006/12/25(月) 01:09:01.47 ID:4yyAIvs/O
-
バン バン
/⌒ヽ
∩^ω^) フリーズ
ミつ_/ ̄ ̄/したお
バン\/__/
バンバンバンバンバンバン
/⌒ヽバンバンバン
∩#^ω^)動けお
ミつ_/ ̄ ̄/
バン\/__/
ドゴォォォォン!!
; ' ;
\,, (⌒)
(;; (´:)
/⌒ヽ(;;(´⌒)
(;^ω^)((´;:,)
⊂ ⊂_/ ̄ ̄/
\/__/
- 82 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:11:28.09 ID:xdZ5mBHn0
-
真下には、まるで雲海のごとくどこまでも広がっている巨大な灰色の池。
ブーンはかなり落下していたようで、上昇する機体の真下には、
池が立てるザザンザザンという大きな音が間近に聞こえてくる。
続いて自分の進路を確認。
ブーンは灰色の空に向かって上昇しており、空を覆う雲海がじわじわと近づいていた。
なぜ、雲海が上空に?
そのことに自分が雲海の下、失われた世界に堕ちたことを認識したブーンは、
ここにきて一番のため息をついた。
- 83 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:12:23.87 ID:xdZ5mBHn0
-
(;^ω^)「……あの雲海を超えて、『VIP』に戻れるのかお?」
可能性は否定できない。
雲海の上から落下して無事なのであれば、
逆に雲海の下から上昇できる可能性は確かにある。
しかし、上昇の際には引力というハンデが付きまとう。
落下するときには助けとなるそれが、上昇に転じた途端に足かせとなる。
惑星に生きるものすべてに宿命づけられた定め。
神が造りたもうた引力は、人の力だけで空を飛ぶことを許さない。
人は、生まれながらにして不自由だ。
- 84 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:14:10.88 ID:xdZ5mBHn0
-
( ´ω`)「……」
僕は一人だ。
この灰色の、失われた世界に、僕の味方なんていない。
だけど、乗りなれたこの銀色の飛行機械の座席で死ねるなら、
ジョルジュのようには笑えないけど……幸せなのかもしれない。
寂しそうな瞳で座席の中を見るブーン。
ふと、その瞳に映ったあるものが違和感を少年の頭に突きつける。
操縦桿。
あの暗闇の中で僕の両手を組ませたツンは、僕に操縦桿を握らせたのではないのか?
……そして、僕に操縦桿を引かせた。
だから僕は今、水面に激突することなくこうやって空を飛んでいる。
ということは……
彼女は……この灰色の世界の中にいる?
- 85 名前:給食のおばさんと初詣:2006/12/25(月) 01:15:07.27 ID:u/UVUXdj0
- しえん
- 86 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:15:38.13 ID:xdZ5mBHn0
-
脳裏を駆け巡る思いに少年はうつむけた顔を上げる。
前方、左右、どこにも彼女の姿はない。
では後方は?
そう思って振り向こうとしたとき、バックミラーにかすかな光の明滅が映る。
(;゚ω゚)「ツン!!」
首がねじ切れそうな勢いで後方を振り返ったブーン。
彼の瞳は捉えた。
雲海から落下しながら、こちらに発光信号を送る自分の左乳首の姿を。
(;゚ω゚)「ツ――――ン!!」
右乳首は進路を反転する。
落下するかけがえのない人、自分を助けてくれた乳首。
ツン。
幼い頃から自分の傍らにいた左乳首に向かって、右乳首はアクセルを踏み込んだ。
- 87 名前:初夢(猿の夢):2006/12/25(月) 01:16:49.29 ID:RU1K6cUSO
- 支援
- 88 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:17:36.92 ID:xdZ5mBHn0
-
落下するツンの真下へと進路を取るブーン。
しかし、彼女の落下速度は思った以上に速い。
水面に落下するまでに助けられるのか?
いや、無理だ。
そう判断したブーンは、落下する彼女自身へと進路を向けた。
先日のモナーのように、降下しながら機体と彼女の落下速度を同調させ、
クッションのようにして受け止めるのは不可能。
それならば、落下する彼女の手を掴み、
落下エネルギーを消費するまで引きずりまわしてから座席の上に上げよう。
多少荒っぽいが、それが一番可能性が高い。
堕ちゆくツンへと一直線に迫るブーン。
高度はかなり下がっている。
そんな彼女の側面へと進路をとり、操縦桿を片手に身を乗り出してツンへと手を伸ばすブーン。
(;゚ω゚)「ツ―――――ン!捕まるお――――――!!」
- 89 名前:猪(休職中):2006/12/25(月) 01:17:49.41 ID:ix8aYhPT0
- なんで比喩が乳首なんだwwwwwwwwwwwwwwww
- 90 名前:猪(カビ):2006/12/25(月) 01:18:45.81 ID:4A0cqtiH0
- 昔あんまり痒くてぼりぼり乳首掻いてたら、乳首取れかけたんだよねえ
いやーあん時は痛かったなぁ
- 91 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:19:40.73 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ;゚听)ξ「ブ――――――――ン!!」
少年の伸ばした手を、少女は片手で固く握り締めた。
その手に握っていた発光信号機が水面へと落下していく。
途端に機体は彼女の重みと勢いで九十度近く傾き、ブーンの身体も空に放り出されそうになる。
シートベルトが身体に食い込む。
腕が千切れそうに痛む。
それでも少年は片手に握り締めた操縦桿を操り、傾いた勢いを利用して背面飛行に入る。
そのまま進路を斜め下にとり、一気に水面へと下降していく。
\ξ(^O^) ξ/「あばばばばばばば――――!!
ブーン!死ぬうううううううるぽおおおおおお!!」
- 92 名前:猪(休職中):2006/12/25(月) 01:20:48.96 ID:ix8aYhPT0
- Λ_Λ \\
( ・∀・) | | ガッ
と ) | |
Y /ノ 人
/ ) < >_Λ∩
_/し' //. V`Д´)/
(_フ彡 /
- 93 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:21:53.66 ID:xdZ5mBHn0
-
\(^ω^) /「ががガッガッががが!!」
震える機体上でさかさまになりながら叫ぶ二人。
水面はもう間近。
ブーンは、操縦桿を押した。
機体は斜めから水面すれすれで平行に戻る。
そのまま百八十度ロールして、飛行機械は背面から通常飛行に戻った。
その勢いを利用して、ツンを自分の座席に引き寄せるブーン。
彼女は前部座席によじ登ると、ブーンの顔を見つめていった。
ξ#゚听)ξ「死ぬかと思ったじゃない!もっと安全に助けろ、この馬鹿ちん!!」
( ゚ω゚)「モンテスキュ―――――――!!」
ツンの強烈な拳骨が、ブーンの脳天に落下した。
久しぶりの衝撃に、泣き笑いの表情を浮かべるブーン。
座席に座る少年の両足、操縦桿を握る両手をまたいでこちらを見つめるツン。
少年の間近まで迫ってきたツンの顔は、怒ったままの表情で口を開く。
- 94 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:23:13.85 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ゚−゚)ξ「……お届け物は確かに配達しました」
(;^ω^)「はい?」
ブーンの眼を見つめながらすっとんきょうなことを口走るツン。
ξ゚−゚)ξ「お届け物はあたし。宛先はあんたです」
(;^ω^)「はぁ……。ツン、覚せい剤でも打ったのかお?」
意味不明なことを口走るツン。
ああ、落下の恐怖でアホになっちゃったんだな。かわいそうに……
気の毒な表情で見つめるブーン。
ξ゚−゚)ξ「受取書にサインをお願いします」
(;^ω^)「ツン……いい医者を探してあげ……」
- 95 名前:給食のおばさんと初詣:2006/12/25(月) 01:23:39.21 ID:u/UVUXdj0
- wktk
- 96 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:24:22.78 ID:xdZ5mBHn0
-
……るお。
そう呟こうとした少年の口に、やわらかい、暖かな何かが一瞬だけ触れた。
視界に広がるのはツンの顔だけ。
すぐに距離をとった彼女の顔は、真っ赤に染まっている。
これは……
ξ////)ξ「……サインは確かに受け取りました」
(*゚ω゚)「……ブッ―――――――――――――――――――!!」
鼻から盛大に血を噴出すと、少年は座席にもたれかかって気絶した。
ξ#゚听)ξ「ちょっと!起きなさいこの馬鹿ちん!!
いや――――――――!堕ちる――――――――――――!!」
二人を乗せた飛行機械は、水面へと落下した。
- 97 名前:猪(休職中):2006/12/25(月) 01:25:47.52 ID:ix8aYhPT0
- 落ちたああああああああああーっ!!!!!
- 98 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:26:45.68 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ#゚听)ξ「馬鹿じゃないの!?死ぬところだったわよ!!」
(;^ω^)「だって……ツンがあんなことするからだお……」
ξ////)ξ「う、うるさい!死ね!!」
(;゚ω゚)「ハイル・ヒットラ――――!!」
何とか無事に着水した水の上。
上下に波打つ水面に揺られながら、座席の上でブーンは二度目の拳骨をくらった。
脳天を揺さぶる激痛に頭を抱える少年。
この世は理不尽だ。
そんなことを考えている少年を尻目に、暴力乳首は後部座席でなにやら作業を始める。
- 99 名前:おせち(30,000ウォン):2006/12/25(月) 01:26:57.07 ID:s+fFBu4MO
- 鼻血てww少年漫画かww
- 100 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:28:16.29 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ;゚听)ξ「……おかしいわね」
手にした紙のようなものを空にかざし、なにやら怪訝な表情を浮かべるツン。
(;^ω^)「……どうしたんだお?」
ξ;゚听)ξ「雨が……酸じゃない……」
彼女の呟きに荒巻の言葉を思い出すブーン。
雲海の下には酸の雨が降り注いでいる。
そうであれば、遅かれ早かれ機体は不調をきたし空から堕ち、飛行なんて不可能。
( ゚ω゚)「カロ……これは青酸ぺリ!……じゃないお」
江戸川ブーンは、口元に付いた雨粒をペロリと舐めた。
少年の舌に、すっぱさは感じられない。
ξ;゚听)ξ「この世界は……浄化され始めているの?」
呟いた彼女の疑問に答えるものなど誰もいなかった。
- 101 名前:猪(ノーパソ):2006/12/25(月) 01:30:03.36 ID:7cx2O5FK0
- 作者欲求不満だろwwwwwwww
- 102 名前:シイタケ:2006/12/25(月) 01:30:06.28 ID:QYJ+XQ3c0
- カロwwwwwww
- 103 名前:あしたこそ初詣:2006/12/25(月) 01:30:18.29 ID:ZLU855avO
- 乳首から離れろwwwwwwwwww
- 104 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:31:21.12 ID:xdZ5mBHn0
-
( ^ω^)「それより、これからどうするお?」
座席のメーターやらなんやらを弄り回しながら呟くブーン。
大丈夫。まだ機体は生きている。
燃料だって十分にある。
これならば……
ξ゚ー゚)ξ「決まってるでしょ?」
振り向けば、そこにあるのは不敵な笑みを浮かべるツンの顔。
どうやら、彼女も同じことを考えているようだ。
ξ゚听)ξ「『エデン』よ!ここまで来たなら『エデン』を目指すっきゃないわ!!」
腰に手を当て、水平線の彼方を指差す左乳首。
そんな彼女に投げかけられる、右乳首の疑問。
( ^ω^)「……『エデン』ってどっちにあるのかお?」
水平線を指差したまま、左乳首の身体は固まった。
- 105 名前:猪(ノーパソ):2006/12/25(月) 01:31:45.24 ID:7cx2O5FK0
- バナン「コーローwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
- 106 名前:猪(カビ):2006/12/25(月) 01:32:08.09 ID:4A0cqtiH0
- つまり乳首が固くなったと……そういうことだな
- 107 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:33:47.94 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ;゚听)ξ「『VIP』の進行方向はあーで……あたしとクーさんが進んだ方向がこーで……
落ちるあたしに向かってきたブーンの進行方向がどーで……
それからぐるぐる回って水面に落ちた方角がこうだから………」
水平線の彼方を指差したまま、なにやらブツブツと呟くツン。
本当に頭がおかしくなっちゃったのかお?
そんな不安に駆られていたブーンだが、
しばらくして「わかった!!」と声を上げた彼女は、先ほどと正反対の方向を指差した。
ξ゚ー゚)ξ「こっちよ!少なくとも反対側じゃないわ!!」
( ´ω`)「ホントかお〜〜?」
ξ゚∀゚)ξ「おほほほほほwwwwwあたしが何年ナビをやってきたと思っているのよ?
方向感覚だけには自信があるんだから!!」
腰に手を当て、無い胸を張ってふんぞり返るツン。
そんな彼女の姿にくすりと笑みを返すと、ブーンはエンジンを始動させた。
- 108 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:34:53.53 ID:xdZ5mBHn0
-
( ^ω^)「それじゃあ、『エデン』に行っちゃってもいいかお!?」
ξ゚ー゚)ξ「いいとも――――――!!」
銀色の機械の鳥は二人を乗せて離水。
一路、ツンの指さす方角へと進路を取った。
- 109 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:37:11.22 ID:xdZ5mBHn0
-
それからどれくらいの間、空を飛んでいたのだろうか。
もはや時間の感覚は、とうの昔に消えうせていた。
流れる風景は一向に灰色の空と水面だけで、
もはや自分がどちらに向かって飛んでいるかさえもブーンにはわからなかった。
そんな少年に向けて、
ツンは根拠の無い自信に裏付けられた声で方角を修正していく。
少年の目に映る世界は、灰一色。
ツンの顔も、空も、水面も、すべてが灰一色。
少年は静かに眼を閉じる。
心臓の鼓動が聞こえてくる。
夢が今、自分の目の前にある。
初めて空を飛んだあの日、
太陽に手を伸ばしても届かなかったあの日から
流れ、流れ、流れ、少年はここまでたどり着いた。
- 110 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:39:11.81 ID:xdZ5mBHn0
-
父の背中を追い、遥かなる空を渡りたどり着いたこの場所。
少年は今、夢へ続く最後の空を行く。
少年は眼を開ける。
世界に色が戻る。
バックミラーに映るのは幼馴染。
初めて空を飛んだあの日から、ずっとこのミラーには彼女が映っていた。
その顔には、昔とは比べ物にならないほどに頼もしい表情。
彼女もまた、この空でたくましく成長したのだ。
少年はゴーグルをはずし、目の前に広がる光景を注視した。
水平線の遥か彼方。
灰色の世界の上空からさす、本当に細い、一筋の光。
まるで、空の糸。
その下に、本当に小さな極小の点が姿を現す。
眼を凝らせば、それは眼に柔らかな緑色。
- 111 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:41:10.67 ID:xdZ5mBHn0
-
ξ;゚听)ξ「ブーン……」
( ^ω^)「……わかっているお」
間違いない。
あれは、『エデン』だ。
灰色の世界、終わった世界に残された最後の楽園。
空の夢追い人たちが血眼になっても見つけられなかった場所。
その道程で、たくさんの命が空に消えた。
二人の父、ジョルジュとその幼馴染、ギコ、しぃ、
そして、名前も顔も知らない勇敢な空の住人達。
彼らの命の遠吠えが、灰色の空から鳴り響く雷鳴に重なって聞こえてくる。
僕達は行く。
たくさんの人達が開拓した道をたどって、この空を行く。
銀色の飛行機械はスピードを上げた。
その姿はまるで光に吸い寄せられる虫のごとく、一直線に光のさす方へと消えていった。
第二十八話 おしまい
- 112 名前:黒豆(六粒):2006/12/25(月) 01:41:20.13 ID:RDFUIBN80
- 支援するんだぜ
- 113 名前:猪(ノーパソ):2006/12/25(月) 01:42:06.49 ID:7cx2O5FK0
- ツン最高だねーかぁっこいいねー天才ナビだよねー
- 114 名前:おせち(30,000ウォン):2006/12/25(月) 01:43:36.85 ID:s+fFBu4MO
- 乙!wktkが止まらない
- 115 名前:給食のおばさんと初詣:2006/12/25(月) 01:44:28.67 ID:u/UVUXdj0
- 乙ー、ブーンの父の台詞にちょっとニヤニヤしちゃったぜ
- 116 名前:猪(カビ):2006/12/25(月) 01:46:22.02 ID:4A0cqtiH0
- 乙かな
- 117 名前:VIP皇帝:2006/12/25(月) 01:50:30.42 ID:DottEAOpO
- ブーンの父のセリフと世界のドクオのセリフが
いやなんでもない
- 118 名前:猪(赤詐欺):2006/12/25(月) 01:51:17.97 ID:THOrkZAoO
- ブーンのとーちゃん=世界のすべてのドクオのとーちゃん?
- 119 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 01:53:19.33 ID:xdZ5mBHn0
- >>115.117.118
わかってくれてうれしかです。
ちょっと狙って使ってみました。
保守ありがとうございました。おかげで手間が省けました。
今日は私のような一人身の亡者達がスレを立てるでしょうから、
このスレは落としていただいて結構です。
残すところあと三話+エピローグだけとなりました。
ここまで書けたのも、支援してくださる皆さんのおかげです。
本当に感謝感謝、多々謝謝です。
本来寂しくてたまらないクリスマスでも、今年はなんだかとてもいい気持ちです。
では皆さん、ゆっくりと嫉妬にまみれたクリトリスをお過ごしください。
- 120 名前:おせち(3,000円):2006/12/25(月) 01:54:03.31 ID:qGESEYmeO
- 乙
次くらいでラストかな
- 121 名前:おせち(3,000円):2006/12/25(月) 01:57:15.79 ID:DottEAOpO
- >>119読んでる最中にブーンを殴り したくなったなたのは俺だけ
>>96とか>>96とか>>96とか
- 122 名前:おせち(3,000円):2006/12/25(月) 02:43:00.07 ID:tVbUAdMiO
- 鳥肌立ったぽ
- 123 名前:おせち(150j):2006/12/25(月) 02:52:07.27 ID:s+fFBu4MO
- あのセリフどこかで見たことあると思ったら、ドクオのセリフか…
- 124 名前:猪(泣き上戸):2006/12/25(月) 03:06:27.97 ID:P/y7WqKt0
- ほれ
http://up.spawn.jp/file/up59893.htm
- 125 名前:猪(青):2006/12/25(月) 04:25:45.69 ID:PG+ET9QA0
- 今やっとつながった
作者乙!
- 126 名前:猪(緑):2006/12/25(月) 06:03:42.81 ID:2U57CDRl0
- ほ
- 127 名前:猪(黒板係り):2006/12/25(月) 06:34:41.49 ID:5HnyPRIFO
- 作者乙!!!!
- 128 名前:猪(カレー味):2006/12/25(月) 10:14:17.51 ID:GDW3BLgN0 ?2BP(111)
- まとめ更新しました
http://boonnovel.g.hatena.ne.jp/bbs/21?mode=tree
- 129 名前:書初め(注意一生):2006/12/25(月) 10:19:52.47 ID:SQ3rf7800
- 世界のすべてってまとめどこにある?
よかったら貼ってくれ
- 130 名前:猪(カレー味):2006/12/25(月) 10:26:31.19 ID:GDW3BLgN0 ?2BP(111)
- >>129
つhttp://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%80%80%E3%83%96%E3%83%BC%E3%83%B3&lr=
- 131 名前:書初め(注意一生):2006/12/25(月) 10:30:24.60 ID:SQ3rf7800
- d!!
ヤフーででなかったからググることをしなかったぜ
- 132 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 10:31:32.24 ID:xdZ5mBHn0
- >>128
毎度毎度すみません。
>>129
見ないほうがいいです。目が焼けます
- 133 名前:猪(ボーカル):2006/12/25(月) 12:34:37.90 ID:Qfn82xKAO
- 2時間も放置プレイ……
- 134 名前:歯科助手と初詣:2006/12/25(月) 13:18:43.38 ID:0cA1Vjqx0
- ほ
- 135 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/25(月) 13:32:44.17 ID:fziorCCs0
- >>133
すみません。放置していたわけではないんです。
これから添削その他の作業があり、更に寝ていないので睡眠をとります。
ですので投下は夜の十時以降になりそうですので、スレは落としてください。
連絡が遅れて申し訳ないです
- 136 名前:初夢(熱湯風呂):2006/12/25(月) 14:32:49.77 ID:KLUPHhCN0
- あえて保守
- 137 名前:初夢(声優とデート):2006/12/25(月) 16:28:49.12 ID:KLUPHhCN0
- ほ
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