( ^ω^)が空を行くようです (http://ex17.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1167059845/)
1 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:17:25.26 ID:HvTxBnng0
まとめサイト様様
http://boonnovel.g.hatena.ne.jp/
http://hebiya.blog40.fc2.com/



2 名前:猪(もどき):2006/12/26(火) 00:18:38.01 ID:ab18K37/0
wktk

3 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:21:10.29 ID:HvTxBnng0

第二十九話 「Raging River」


灰色の世界にさす一筋の光。
その光が指し示す、この世界で唯一の色を持った島。

上空から見下ろしたそこは、空に浮かぶ島々の半分くらいの大きさ。

島の中心部に聳え立つ高い岩山でその全様は把握できないが、少年の視界の先には、
山や川、池、滝、森、草原、おおよそ自然と思われるものすべてが存在していた。

緑と蒼の生える美しい島。

そんな第一印象を持ったブーン達は、
意気揚々と手ごろな草原へと飛行機械を着陸させた。



4 名前:おせち(12,000円):2006/12/26(火) 00:21:35.93 ID:tJeg2AcVO
まとめが携帯から見れない

5 名前:初夢(またバイトか):2006/12/26(火) 00:22:48.88 ID:HtYn90LQ0
wktk

6 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:23:20.91 ID:HvTxBnng0

ξ゚ー゚)ξ「綺麗な草原ね〜」


着陸した飛行機械の座席から真っ先に飛び降りたツンは、
風に揺れる草原の真ん中に立ち、空を見上げながら大きく背伸びをした。

見上げた灰色の雲には、島の五倍くらいに大きい真ん丸い穴が開いており、
そこから太陽の日が差しているようだった。

見えるのは蒼い空。
太陽の位置からして、今は二〜三時くらいなのかな?

しばらくの間、草原に寝転がって空を眺めていた二人。
『鈍色の島』を出て以来、久しぶりの地面。

安堵感からか、未開の地にもかかわらず安心し切った二人は、
その確かな感触に心を落ち着かせている。

すると、雲海の穴から太陽が姿を消した。
どうやら、日照時間は憶測でおよそ五時間ぐらい。

やがて空は暗くなり、夜の時間が訪れる。

ツンが毒男から手渡されたキットの中にはキャンプ道具なども詰め込まれており、
それらを広げたブーン達は、とりあえず今日は休むことにした。


7 名前:のびたと初詣:2006/12/26(火) 00:24:00.55 ID:F3qBUe900
wktk

8 名前:猪(ミニスカ):2006/12/26(火) 00:24:54.41 ID:FQnaVqgtO
>>4
だから?

9 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:25:48.95 ID:HvTxBnng0

ξ゚听)ξ「島の探検は明日ね」

( ^ω^)「そうだおね」


詰め込まれていたランタンを囲い、
同じく詰め込まれていた缶詰の中身をほおばりながら会話をするブーンとツン。

二人の声のほかにあたりに響くのは、
渡っていく風が鳴らす草木のこすれあう音と、リンリンと耳を優しく包む虫の音だけ。


ξ゚ー゚)ξ「……確かにここは楽園ね。本当に心が休まるわ」


食事を一足先に終えたツンは、
中身が綺麗になくなった缶詰をカランと音を立てて置くと、再び草原に寝転がる。
そんな彼女に習って、ブーンもごろりと隣に寝転がった。

テントを建てるため、周辺の草木は刈ってある。
そこは寝転がればまるで天然のベッドを思わせるかのように心地よい。

見上げれば、丸い雲海の隙間から見えるのは銀色の月と瞬く星々。

毒男が言うような文明的な楽園ではないけれど、ここは十分に楽園だ。

そんなことを考えながらゴロリと頭を横に向けると、
ツンがこちらを向いて笑っていた。


10 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:27:12.93 ID:HvTxBnng0

(;^ω^)「なぁ、ツン?」

ξ゚ー゚)ξ「ふふふ、なぁに?」


満面の笑みを浮かべながら、甘い声を出すツン。

……気味が悪いな。

そんなことを思ったブーンだが、顔には出さずに続けた。


(;^ω^)「どうしてツンは雲海から落ちてきたんだお?」

ξ゚ー゚)ξ「ブーンを助けたかったから♪」


にまーっと満面の笑みを浮かべて即答するツン。

……ツンのこの豹変振りはなんだ?
空から堕ちてきたショックで、本当に頭がおかしくなってしまったのだろうか?

ブーンは恐る恐る尋ねた。


(;^ω^)「ツン……体の調子は大丈夫かお?たとえば幻聴が聞こえるとか……」

ξ゚ー゚)ξ「心配してくれてありがと♪ブーンに会えたからあたしは大丈夫♪」


11 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:28:34.51 ID:HvTxBnng0

ツンの語尾に付く音符マークにブーンは鳥肌を立てた。

ああ、もうだめだ。
ツンはおかしくなってしまった。

いや、自分を安心させておいて、あとからとんでもないことを頼んでくる気かもしれない。
明日あたり、絶対、何か不吉なことが起こる。

この島が沈んだり、空から島が堕ちてきたり……。

考えると頭が痛くなってきたブーンは、のそりと起き上がって言った。


( ´ω`)「ツン……僕はもう寝るお」

ξ;゚听)ξ「ええ〜、もう少しくらい良いじゃない!」

( ´ω`)「……いや、疲れたから寝かせてもらうお」


ブーンはそそくさとテントの中へと入っていく。
そんな少年の後姿を、ツンは不思議そうに見送った。


12 名前:猪(体操着):2006/12/26(火) 00:29:37.01 ID:pyb/HbkX0
こ、これがデレか……

13 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:31:01.99 ID:HvTxBnng0

翌日、ブーンが眼を覚ました頃には上空に日が昇っていた。

太陽の位置から考えて正午前後。
十二時間以上は確実に寝ていたことになる。

疲れていたこともさることながら、
この島の気候が本当に心地よかったことも寝すぎの原因だろう。

テントの中では、ツンがよだれを垂らしながら幸せそうに眠っている。
寝顔はいつものままだなと微笑むと、ブーンはあたりに食べ物が無いか探索を始めた。


生い茂る柔らかな緑を眺めながら草原を歩くブーン。
草原から少し歩いたところに森の入り口があり、そこに熟れた果実がいくつも生っていた。


それをもいで一口かじってみる。
水分をたくさん含んだそれは、舌の上を心地よい甘みと酸味とともに広がっていく。


( ;ω;)「……長岡さん、あなたにもこの果実を食べてもらいたかったお」


思い出に浸りながら両手いっぱいに果実を抱えると、
ブーンは複雑な表情でテントへと戻っていった。


14 名前:猪(赤詐欺):2006/12/26(火) 00:31:16.26 ID:0kZBDVeqO
>>4

ファイルシークに通すとかしてみなよ

15 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:33:33.13 ID:HvTxBnng0

ξ゚ー゚)ξ「おいし〜!こんな果物、初めて食べた!!」

( ^ω^)「おっおっお。おいすーございます」


とろけるような舌触りの果物をすぐに平らげた二人は、
テントを折りたたみ、探検に使えそうな荷物を持つと島の探索へと出かけた。

上空から見た限りでは、丸一日かければ島を横断することくらいは出来そうだった。

出発したのが昼過ぎであることを考えても、
ニ〜三日あれば大体のところは見て回れるであろう。

二人がまず入ったのが、ブーンが果物を取ってきた森。
背の高い広葉樹がツタに巻かれながら生い茂るその森を、二人はのんびりと進む。

時折木々の合間から姿を見せる、色とりどりの小動物や鳥達。
彼らの歌声が、風の伴奏とともに耳にやさしく響いてくる。

なんだかピクニックをしているみたいだ。

ニコニコと談笑をしながら仲良く進む二人。
そこで二人は、森には似使わない異様な物体を見つける。


16 名前:おせち(3,000円):2006/12/26(火) 00:33:48.99 ID:3/LA43OvO
いや、これのまとめは串通しても携帯じゃ見れないはず

17 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:35:46.81 ID:HvTxBnng0

(;^ω^)「……なんだお、これは?」

ξ;゚听)ξ「……わかんない」


森の中をしばらく進むと、
そこにあったのは地面に突き刺さったいくつかの丸い筒のようなもの。
それが植物のツタに巻かれながら数個乱立している。

ブーンの背丈の二倍くらいあるそれは、
先端・・・空に向いた方に小さな羽のようなものが付いており、
素材はブーン達の世界には存在しないが、明らかに人工の金属かなにかで出来ていた。

しばらくその調査に当たっていた二人だが、
持参した工具では解体はおろか、外壁に傷をつけることすら出来ない。

結局その解明を諦めた二人は、更に森の奥へと入っていく。

やがて森の出口が見え、二人の視界に、
岩山と、その谷間をゆったりと流れる大きな川が広がった。

そこに散らばっている物体に、二人は再び驚くことになる。


18 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:38:18.32 ID:HvTxBnng0

(;゚ω゚)「……」

ξ;゚听)ξ「……なんなのよ、これは!!」


二人の目の前に広がっていたのは、無数の人工の機械のようなもの。

ボロボロに傷ついた、砲台の付いた巨大な土色の、車輪の付いた鋼鉄の箱。
森に乱立していたものより更に数の多い、丸い、羽の付いた筒。
岩山には、不自然にえぐれている箇所が数え切れないほどある。

その中に、特に二人の眼を引いたものがあった。

それはどれも完全な状態ではないボロボロなものであったが、
二枚の大きな羽のついた、どう見ても飛行機械の類にしか見えない機械。

自分達の飛行機械とは遥かに違う、流線型の洗練されたフォルム。
操縦席と思われる部分には透明なカバーが付いており、
その中にボロボロの飛行服らしきものを着た、赤茶けた白骨死体が乗っている。

いくつも転がっている巨大な飛行機械の残骸は、
ブーン達の世界には確実に存在しないものであった。


19 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:40:38.54 ID:HvTxBnng0

(;゚ω゚)「……ダメだお。開かないお」


透明なカバーをはずして中を調べようとしたブーンだが、
どう頑張ってもそのカバーはビクともしなかった。

先ほどの丸い筒同様、ブーンの工具では解体はおろか機体に傷一つつけられない。

それは砲台と車輪の付いた四角い箱も同様で、
二人は、異質異様な光景の広がる岩山の中をただひたすらに歩き続けた。

やがて夜が来て、二人は岩山の中腹に手ごろな広場を見つけてそこにテントを張る。

その道程で見てきたものはいずれも同じ、
ボロボロになった無数の機械の残骸や、えぐれた岩山の肌だけ。

先日の食事の時間とは打って変わって重い雰囲気の二人。

何も言わずに食事を終えると、二人は早々に床に付いた。


20 名前:給食のおばさんと初詣:2006/12/26(火) 00:41:51.78 ID:4ocZWsFl0
ファイルシーク使うのと見にくいの覚悟でならどうぞ
http://web-space.jp/sub.php?usrid=kuma22&pg=1



21 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:43:26.37 ID:HvTxBnng0

翌日。

目覚めたときにはまだ雲海の穴に日は昇っていなかった。

先日はじめに入った森で手に入れておいた果実を朝食とすると、
テントをたたみ、二人は無言で岩山を越えにかかった。

点在する機械の残骸に、岩山のえぐれた肌。
どうみても争いの跡にしか見えないそれらを横目に、二人はひたすらに岩山を登った。

やがて日が南中した頃になってようやく頂上に到着した二人。

そこから見下ろした島の反対側の光景に、二人は絶句した。


(;゚ω゚)ξ;゚听)ξ「「……」」


眼下に広がっていたのは、島の端まで埋め尽くす広大な森。

その中心に大きな川が流れており、
そこを境に、両側に二つの要塞のようなものが森の奥に立っている。

赤茶け、植物に侵食されているのが遠目にもわかるほどの巨大な二つの要塞。

いずれもブーン達の住む空では考えられない球形を帯びたそれは、
生い茂る森林の中にその異様な姿を浮かばせていた。


22 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:45:53.24 ID:HvTxBnng0

岩山をくだり、森の中を掻き分けながら進んだ二人。

雲海の穴から太陽は姿を消し、
夜が迫る少し前に、二人は片方の要塞に到着した。

植物のツタに侵食され、
一部の壁からは巨大な広葉樹がその生命力を堂々と誇示している。

辺りにあるのは、
同じく植物に侵食された砲台の付いた箱に、先ほど見た飛行機械。


いずれもボロボロで、完全なものは何一つなかった。


悲しそうにその姿を一瞥し要塞の中に入ろうとした二人だが、
入り口らしき扉はうんともすんとも言わない。

早々にその探索を諦めた二人は、
先日同様、適当な広場にテントを張り、食事をとることにした。


23 名前:猪(禁欲中):2006/12/26(火) 00:48:08.30 ID:ljMTDIvhO
ぐるっぽは?
http://lupo.jp/index.html

24 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:48:43.12 ID:HvTxBnng0

( ´ω`)「……」

ξ゚−゚)ξ「……」


食事を終えた二人は、ランタンの明かりに照らされながら、
ただ黙って、今まで見た光景の意味を考えていた。


しかし、いくら考えをめぐらせようとその答えは一つだけ。


口にしたくも無いその答えを、ブーンはただ黙って飲み込んでいた。

やがて時が経ち、
眠れそうも無いがとりあえずテントで横になろうかと立ち上がったブーン。

そんな彼に向かって、ツンが重い口を開く。


25 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:49:47.35 ID:HvTxBnng0

( ´ω`)「……そうだおね」


彼女の言葉に上げた腰を下ろしたブーン。
ツンはランタンの火を見つめながら、静かに続ける。


ξ゚−゚)ξ「転がっていた他の機械みたいなものも、きっと戦争の道具だよね?」

( ´ω`)「……」


彼女の放つ言葉に少年は何も答えない。

……いや、答えたくなかった。

それでも彼女は話を続ける。


26 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:51:22.45 ID:HvTxBnng0

ξ゚−゚)ξ「どれもこれもあたし達の世界にはないもの。
    ……この要塞みたいなのだってそう。
    ということは、この島に転がっているものはすべて旧世界の機械達……」


……どう見てもそうです。本当にありがとうございました。


ξ゚−゚)ξ「そのどれもこれもが傷ついてボロボロになっている。
    おまけに、えぐれた山肌に、岩山から見えた二つの要塞みたいなもの……」


そこまで言うと、彼女はランタンを見つめていた顔を上げた。
その瞳の中で、彼女を照らすランタンの炎がゆらゆらと揺れている。

しばらく無言で見詰め合った二人。

やがて、堰を切ったかのようにツンが自分の仮説を述べ始めた。


27 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:55:01.65 ID:HvTxBnng0

ξ゚−゚)ξ「……理由なんかわからない。
    だけど、住む土地を失った人々は唯一残されたこの島を巡って争いを始めた。

    誰が勝ったなんかどうでもいい。
    いや、きっと誰も勝たなかったんだよ。

    この島に人影は愚か、その気配さえ無いのが何よりの証拠。
    結局その人たちは、この島を巡って戦って、そしてみんな死んだ……」


呟く彼女の目じりから流れ落ちた水滴が頬に一筋の線を描く。
それでも彼女は続ける。


ξ;−;)ξ「……あはは、人間ってホント馬鹿じゃない?
     みんなで仲良くこの島に住めば良いのにさ、
     生き延びるために戦ってみんな死んだんだよ?
 
     遥かな時間がたっても原形をとどめるほどの機械を作る技術があったのにだよ?

     あたし達だってそう。こんなくだらない島を巡って空で戦って、
     その結果、ジョルジュやギコさんやしぃさん……そして、パパ達は死んだ」


そこまで言うと彼女は立ち上がり、狂ったような笑い声を上げる。


28 名前:猪(禁欲中):2006/12/26(火) 00:57:19.81 ID:ljMTDIvhO
さる回避

29 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:57:37.42 ID:HvTxBnng0

ξ;凵G)ξ「あはははっはっははははwwwwwwwwww!!

     あたし達って馬鹿みたい!

     死ぬ思いをしてここまでたどり着いて見つけたものって何?
     こんな馬鹿げた争いの跡と、人間の愚かさ加減だけよ!?
 
     何なの?
     何だったのよ、あたし達のこれまでの人生??
 
     散々苦労して、人まで殺して、それで手に入れたものがこれなの??
     ずっと追い続けてきた夢の果てにあったものがこれなの??
 
     もうおかしくってたまらないわ!
     笑うしかないじゃない!!
 
     あはははwwwwwあははははっはああははははあwwwwwwwww」


立ち尽くし、眼から涙を流しながら、ひたすらに笑い続けるツン。
そんな彼女の体を、ブーンはギュッと抱きとめた。

ツンはしばらくブーンの腕の中で笑い続けたあと、嗚咽の混じった声を上げ始める。


ξ;凵G)ξ「ねぇ、ブーン……何とか言ってよ。
     あたし達の歩いてきた道は……間違いだったの?
     あたし達が引いた引き金は……何の役に立ったっていうの?」


30 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 00:59:19.75 ID:HvTxBnng0

ξ;凵G)ξ「ねぇ、ブーン……黙っているだけじゃわからないよ。
     お願いだからなにか言ってよ……なんとか言いなさいよブーン!!」


ブーンの腕の中で叫ぶと、ツンは少年の胸をドンドンと叩く。
そんな彼女を、ただひたすらに抱きしめるブーン。


ξ;凵G)ξ「痛い……痛いよ……ブーン……」


抱きしめる少年の腕の力に耐え切れず、その顔を上げたツン。

見上げた彼女の瞳には、
夜空を見上げて涙を流す幼馴染の顔があった。


31 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 01:00:54.10 ID:HvTxBnng0

(  ω )「ツン……帰るお」

ξ;凵G)ξ「え?」


少年は空を見上げたまま、静かに言葉をつむぐ。


(  ω )「今から『VIP』に戻って、この島のことをみんなに知らせるお。
     
     馬鹿げた『エデン』の真実を伝えて、
     みんなで尻尾巻いてこの空域から離脱するお。

     ……こんな思いをするのは、僕たちだけで十分だお。

     そして、二人で故郷の『ツダンニ』へ帰るお」


そう呟くと、少年は涙でボロボロの顔をツンに向け、
彼女の胸に顔をうずめながら大声で泣き始めた。

そんな少年の身体を抱きしめ、同じように泣き声を上げるツン。


誰もいない楽園の夜空には、二人の泣き声だけが響き渡っていた。


32 名前:猪(給食中):2006/12/26(火) 01:01:40.09 ID:wV79tvoO0
寂しいな・・・

33 名前:猪(不倫中):2006/12/26(火) 01:01:50.65 ID:pyb/HbkX0
期待に期待しまくって買ったドラクエZのようなもんだな

34 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 01:02:04.58 ID:HvTxBnng0

翌日の早朝。

日も昇らない暗いうちに眼を覚ました二人は、
ただひたすらに来た道を戻っていた。

行きのようにあたりに点在する人間の愚かさの象徴には目もくれず、
一目散に自分達の飛行機械を目指した。

日が南中しても休むことなく、食事も取らずに道なき道をたどった。

やがてあたりが暗くなり始めた頃になって、
二人はようやく見慣れた銀色の飛行機械のもとへたどり着いた。


35 名前:ウリ坊:2006/12/26(火) 01:03:11.92 ID:ab18K37/0
支援

36 名前:一回休み:2006/12/26(火) 01:03:55.16 ID:Le6EyhVb0
投下中にスマンが
今回のタイトルはB'zの曲?

支援〜。

37 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 01:03:58.69 ID:HvTxBnng0

暗くなった空。
ランタンの明かりを頼りに飛行機械の調子を見る二人。


ξ;゚听)ξ「ブーン……燃料は大丈夫なの?」

( ´ω`)「メインタンクの容量はほぼゼロ。
      残っているのはリザーブタンクの燃料と、
      ツンの持ってきたキットに入ってた
      純度の高いわずかな燃料とランタンのオイルだけだお」

ξ;゚听)ξ「……『VIP』にまでたどり着けるの?」

( ´ω`)「……わからないお。だけど……」


そう呟くと、少年は今まで歩いてきた方向を見つめた。


( ´ω`)「この島には……これ以上いたくないお」


ブーンは悲しそうに呟くと作業を止め、黙ってテントの中へと戻っていく。
そんな幼馴染の背中を見つめながら、ツンもその後に続いた。


38 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 01:05:38.60 ID:HvTxBnng0

さらにその翌日。

おそらく眠れなかったのであろう二人は、
適当に入手した果実を口にするとすぐに飛行機械の座席へと飛び乗った。

日はまだ昇っていない。

ブーンは暗がりの座席でメーターその他をチェックすると、後部座席のツンに言う。


(  ω )「必要以外の工具、テント、その他必要の無いものは全部置いていくお。
     出来るだけ機体を軽くして、飛行距離を稼ぎたいんだお」

ξ゚−゚)ξ「わかったわ」


ブーンの言葉に従って、いらないものを草原へと投げ捨てるツン。

そんな彼女に「ちょっと待って」と告げると、少年はレンチを片手に座席を降り、
飛行機械の機首まで歩み寄ると、そこにしゃがみこみ何か作業を始める。


39 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 01:07:24.17 ID:HvTxBnng0

ξ;゚听)ξ「ブーン……何をやっているの?」

(  ω )「……機銃を外しているんだお」


少年は機銃を取り外すと、
続いて弾奏やその他の機銃関連のものをすべて外し始めた。

雲海の穴に広がる空が青を帯びだすころになってその作業を終えると、
手にした機銃を草原の真ん中に突き刺す。


ξ;゚听)ξ「……いいの、ブーン?それはパパ達がつけてくれた機銃でしょ??」


まるで墓標のようにそびえたつ機銃。
それを眺める少年の背中に、疑問の声をかけるツン。

いつのまにか大きくなったその背中が、彼女に向かって語りかけてくる。


(  ω )「僕はもう……父ちゃんを超えたんだお。
     これからはこの機銃に頼らないで、
     自分の足で……自分の翼で、この空を行くお」


40 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 01:09:04.02 ID:HvTxBnng0

機銃に向かってそう呟くと、
少年は飛行機械の座席に乗った。

エンジンをかけると、いつものように機体が宙に浮く。

心なしか、いつもより軽い機体。

銀色の空の舟は、軽やかに空へと舞った。


( ;ω;)「さよならだお……父ちゃん」


見下ろした『エデン』に向かってポツリと呟いたブーン。


即座に前を向くと、
少年は雲海の穴の上に広がる蒼空、
自分達の世界の空へと、その羽を広げた。


第二十九話 おしまい


41 名前:VIP皇帝:2006/12/26(火) 01:10:18.86 ID:4ocZWsFl0
乙ー

42 名前:猪(給食中):2006/12/26(火) 01:10:23.16 ID:wV79tvoO0
乙!




43 名前:ウリ坊:2006/12/26(火) 01:11:27.77 ID:ab18K37/0


機銃外しちゃったのか…

44 名前:猪(不倫中):2006/12/26(火) 01:11:52.71 ID:pyb/HbkX0
乙んく♂

45 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 01:13:35.99 ID:HvTxBnng0
>>36
その通りです。わかってくれる方がいてうれしいです。

明日、エピローグまでを投下させていただきます。
スレは落としてください。
では、今日も支援ありがとうございました。失礼します


46 名前:おせち(5,000円):2006/12/26(火) 01:13:50.35 ID:3/LA43OvO


しかし戻ってまた一波乱ありそうだな

47 名前:おせち(150j):2006/12/26(火) 01:22:05.97 ID:LiT1KPYtO
乙!

48 名前:おせち(12,000円):2006/12/26(火) 01:47:07.74 ID:wPfC2qPBO
乙!とうとう空も終ってしまうのか( ;ω;)

49 名前:おみくじ(既知):2006/12/26(火) 02:33:11.03 ID:G1gw7fHbO
おいすーございますktkr

50 名前:猪(休職中):2006/12/26(火) 03:34:25.24 ID:ab18K37/0


51 名前:初夢(アキバでびゅーしてきた):2006/12/26(火) 09:38:59.94 ID:3qyOVL3Y0


52 名前:初夢(こんなにもてていいの?):2006/12/26(火) 11:58:57.72 ID:tZAt/itBO
この作者が書く小説は、いっつも終わりが近づくと、終わって欲しく無いから悲しくなるや……
最終話複雑な気持ちもありながらwktkして待ってます

53 名前:初夢(アキバでびゅーしてきた):2006/12/26(火) 11:59:03.84 ID:+Zi648ZI0
あえて保守

54 名前:おせつ:2006/12/26(火) 12:22:01.82 ID:4IY5tqsuO


55 名前:おせち(3,000円):2006/12/26(火) 14:08:55.79 ID:Xooo5TqpO


56 名前:初夢(声優とデート):2006/12/26(火) 15:32:04.74 ID:znct6dGGO


57 名前:初夢(声優とデート):2006/12/26(火) 15:39:01.79 ID:znct6dGGO
保守

58 名前:猪(禁煙中):2006/12/26(火) 16:15:36.95 ID:5a60naiW0 ?2BP(111)
まとめ更新しました
http://boonnovel.g.hatena.ne.jp/bbs/21?mode=tree

59 名前:初夢(ホスト修行中):2006/12/26(火) 16:26:36.05 ID:+Zi648ZI0
>>58
いつも乙彼です!!

60 名前:猪(カビ):2006/12/26(火) 16:38:50.11 ID:S0tQePsR0
乙。ドラクエ6の空の宝箱みたいだな。欲望かどっかの町の。

61 名前:おみくじ(やぶれた):2006/12/26(火) 17:29:54.22 ID:QuuvVlFUO


62 名前:初夢(犯人だった):2006/12/26(火) 17:45:04.87 ID:znct6dGGO


63 名前:黒豆(千粒):2006/12/26(火) 18:30:59.16 ID:tJeg2AcVO


64 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 19:14:19.84 ID:j/UWx1q00
>>58
ありがとうございます。
これまで本当にお世話になりました。

保守していただきありがとうございます。
おかげさまで、すべての書きためが完了しました。

投下量が多いため、今夜の九時から投下を開始させていただきます。
お暇でしたら、お突き合いをお願いします。


65 名前:初夢(競馬あたった):2006/12/26(火) 19:14:58.06 ID:+Zi648ZI0
>>64
wktkwktk

66 名前:角焼もち:2006/12/26(火) 19:17:59.17 ID:6jyYqyKqO
>>4 つtp://fileseek.net/proxy.html

67 名前:凧(ぱしり):2006/12/26(火) 20:05:15.81 ID:S05JtQpg0
嬉し悲しい最終話がついに・・・

68 名前:彼女と初詣:2006/12/26(火) 20:48:58.23 ID:4ocZWsFl0


69 名前:角焼もち:2006/12/26(火) 21:02:46.35 ID:tJeg2AcVO


70 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:05:19.48 ID:j/UWx1q00
すいません。投下します

71 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:07:30.29 ID:j/UWx1q00

第三十話  「それでも来た道」


旧世界と新世界。
二つの世界を分かつ、雲海の穴。

その壁面は白く垂直で、そして、雲海の深さを如実に表すほど長かった。
まさに、世界の壁、世界の果てと呼ぶにふさわしい雲海。

その深淵を、銀色の空の舟はひたすらに駆け上がった。

やがて雲海の穴を抜け、二人は自分達の世界へとたどり着く。

しかしそれでもなお、ブーンは上昇を止めない。
ひたすらに……まるで狂ったかのように空を駆け上る。


72 名前:猪(近眼):2006/12/26(火) 21:08:37.48 ID:wV79tvoO0
ktkr

73 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:08:39.63 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「ブーン!もう雲海は出たんだよ!!」


前部座席に座る幼馴染の様子に不審さを感じ、声を掛けるツン。

ブーンはその声など聞こえていないかのようにさらに上昇。
やがて限界高度まで達すると、機体を水平に戻し、そこから雲海の穴を覗き込んだ。


( ´ω`)「……小さいお。本当に……小さい穴だお」


見下ろした雲海には、針の穴ほどの『エデン』へと続く道。
この広い空で、こんな小さな穴を見つけるなんて至難の業だ。


そして、その先にあったものは……


少年はにらみつけるように旧世界の入り口を見つめると、
そのまま飛行機械を空へと進めた。


74 名前:丸煮もち:2006/12/26(火) 21:09:48.26 ID:LiT1KPYtO
wktk

75 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:10:33.16 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「ブーン……あれ……」

(;゚ω゚)「……こんなところまで来ていたのかお」


たどり着けるかわからないはずだった戦艦『VIP』。

燃料切れの不安とともに『エデン』を出発した二人は、
わずか二時間程度の飛行の末にその姿を確認した。

しかし、二人に安堵と拍子抜けのため息は無い。

代わりに二人は、目の前に広がる光景に眼を見開く。


ξ;゚听)ξ「……メンヘラの後発部隊」


見開いた瞳の視線の先。

『VIP』のはるか後方には、
まるで飴に群がるアリの群れのごとく付きまとう空中戦艦の群れ。


76 名前:猪(近眼):2006/12/26(火) 21:12:14.80 ID:wV79tvoO0
なんてこったい

77 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:12:22.46 ID:j/UWx1q00

十……いや、二十はいるであろうその艦隊を率いるようにして先頭に浮かぶのは、
先日撤退したはずのラウンジ艦隊旗艦『ジュウシマツ』。

まだ距離は大分あるが、それでも戦闘は避けられないだろう。

先日の空戦でラウンジ艦隊を打ち破った『VIP』。
もはや『無敵艦隊』と称しても異論は無いであろうそんな『VIP』でも、
これだけの物量差を跳ね返す戦力があるはずは無い。

その一員である自分達が一番わかっている。


ξ;゚听)ξ「ブーン……」

(;゚ω゚)「わかっているお。とにかく今は、
    ショボンさん達に『エデン』の真実を伝えることが先だお!!」


少年はゴーグルをかけ直すと、アクセルを一気に踏み込む。
空の舟は、そのまま一直線に『VIP』上部甲板へと向かった。


78 名前:凧(未完成):2006/12/26(火) 21:12:57.33 ID:+Zi648ZI0
作者キテターwwwwww
wktkwktk

79 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:13:55.36 ID:j/UWx1q00

('∀`)「ブーンちゃん!生きていたのね!!」

(;゚ω゚)「ぶおおおおおおおおおおおおおお!!」


甲板に着陸するや否や、ブーンはオカマの強烈な抱擁を受けた。

あまりの力強さに背骨が折れそうになり、
頬を擦り付けてくるオカマの顔の気持ち悪さに失神しそうになる。

そんな二人の様子を横目に、上部甲板へと飛び降りたツン。

見上げた空はいつもどおりの蒼で、
周囲を見渡せば、そこには『VIP』乗組員のほぼ全員が揃っていた。


川 ゚ -゚)「生きていたのか、ツン」


見慣れた集団の中から、隙間を縫うようにしてツンの前へとやってきた蒼風。
彼女の姿を見て、ツンは顔を伏せた。


80 名前:おみくじ(ひく金ねー):2006/12/26(火) 21:17:48.92 ID:4ocZWsFl0
支援

81 名前:猪(近眼):2006/12/26(火) 21:17:50.85 ID:wV79tvoO0
_      ._   _   _
\\/\// _l  l_.l  l  / ̄l
  \/\/ _l (^ω^) l  l/  /
   l^ω^l/ / ̄l  l ̄l(^ω^)<´
   l    <、  l  l  l  l\ \
   l__l\_l  l__l  l_l  \ \
   

82 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:18:19.34 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「クーさん……あの時は……ごめんなさい」

川 ゚ー゚)「その件についてはあとでゆっくり説教する。
     とにかく今は……よく帰ってきたな」


そう言ってニッコリ笑うと、クーは右手をツンの前に差し出す。
その手を弱弱しく握り返すと、ツンは周囲を見渡しながら言った。



ξ゚听)ξ「みんな……聞いてください。あたし達は、『エデン』に行ってきました」




83 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:18:32.09 ID:j/UWx1q00

         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!   
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・   

  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ____<うるさい奴らじゃのぅ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l ,− ,−\ / ̄ ̄ ̄ ̄\
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /, |・  |・ | ヽ_____ヽ
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /  `−●-' \ヽ , ─ 、 , ─ | <エデンに
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  / ──  | ──ヽ|・   |・   |  行ってどう思った?
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /..  ── | ── .|`─ 'っ - ´|
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、 |    ── | ── |.____) /
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \.____|__) / ___/
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ      /l \/\| \
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i━(t)━━l |      | |

         ↑荒巻スカトロチノフ       ↑乗組員A      ↑乗組員B      ↑竹原  ↑国分


84 名前:お年玉(少々):2006/12/26(火) 21:19:40.58 ID:8cKlJ40I0
ちょwwwwwwwwwww

85 名前:凧(未完成):2006/12/26(火) 21:19:57.59 ID:+Zi648ZI0
→二人wwwwwwwwwwww

86 名前:角焼もち:2006/12/26(火) 21:20:05.00 ID:tJeg2AcVO
最終回か

87 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:20:13.28 ID:j/UWx1q00

/ ,' 3「それはまことか!?」


見事な反応を見せた乗組員達の足元を、
起用に転がりながらツンの前に出てきた荒巻。


( ゚д゚ )「興味深い話だな」

(´・ω・`)「どれ、kwsk聞こうじゃないか」


すばらしいリアクション芸人達の先頭に立つショボンとミルナも、
ツンの前へと歩み寄る。

そこへグッタリと首を垂れるブーンを抱きしめたオカマと、
そんなブーンの頭を指でつんつん突付いているモナーも加わる。

『VIP』の主要なメンバーが自分の目の前に現れたことを確認すると、
ツンは静かに『エデン』の全容を語り始めた。


88 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:23:30.52 ID:j/UWx1q00

ξ゚听)ξ「雲海の下で合流したあたし達は、
    そのまま一路、『エデン』を目指しました」

( ゚д゚ )「待て、どうやって『エデン』の方角がわかったんだ?」


いきなり質問を浴びせかけるミルナ。
その言葉にツンはクーの方を向いた。


ξ゚ー゚)ξ「クーさんとモナーさんに鍛えられた方向感覚と……気合です」

川 ゚ー゚)「……そうか」

( ´∀`)「たいしたもんだモナー」


我が子の成長をいとおしげに眺める親のような表情のクーとモナー。


89 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:25:42.34 ID:j/UWx1q00

ξ゚−゚)ξ「それからどれくらい飛んだかは定かではありません。

    ただ、『VIP』から発進したのが朝で、
    『エデン』へと到着したのが昼過ぎでしたから、
    おそらく六〜七時間だったと思います。

    あたし達は灰色の世界を、
    上空……雲海の隙間から射る一筋の光を見ました。

    その光の差すほうへ飛ぶと、光の下に広がっていた島がありました。
    ……それが『エデン』でした」 


そのときの感動を思い出してか、無表情だったツンの顔に笑みが宿る。
しかし、すぐに表情を引き締めると、彼女は続けた。


ξ゚−゚)ξ「確かに『エデン』は……楽園と呼べるものでした。
    
    雲海に開いた穴から降り注ぐ太陽の光。
    灰色の雲海に映える、終わりを見たことも無いほどの蒼空。

    歌う鳥達。自由気ままに生きる小動物達。
    渡っていく風たちは柔らかで、流れる水は日の光を浴びてキラキラと透き通っていました。

    生い茂る草木。とろけるようにおいしい果実。

    それらのすべては美しい原色で、
    『エデン』は灰色の世界の中で唯一『色』を持った島でした」

90 名前:おせち(200円):2006/12/26(火) 21:26:27.60 ID:UD1HzlLRO
紫煙

91 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:26:59.07 ID:j/UWx1q00

/ ,' 3「まさに神話に描かれた『エデン』そのものじゃのぅ」


淡々と美しい楽園の様子を語るツンに投げかけられる、荒巻の声。
人生の大半をかけて探し続けた楽園の真実に、彼は眼をうっとりさせながら聞き入っている。

しかし、そんな彼の期待を裏切るかのようにツンは自分の絶望を語り始める。


ξ゚−゚)ξ「はじめは、あたしもそう思いました。
    
    だけど……違ったんです。
    『エデン』は楽園なんかじゃありませんでした。
 
    島の奥に広がっていたのは……旧世界の人々の醜い争いの跡。
    遥かなときを経ても原形をとどめる兵器たちに、あたし達は唖然としました。

    こんな兵器を作る技術があったのに、なぜその人達は争いという道をとったのだろう?
    みんなで仲良くその島に住むか、雲海の上……新たな世界に逃げればよかったのに……」


そこまで言うと、ツンは唇を噛みながら顔をうつむける。
しばらくの間、甲板に人の声は響かなかった。


92 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:28:40.72 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「楽園であるがゆえに、欲望の塊であった人々の争いの火種となったんだろうね」


沈黙を破ったのは艦長ショボン。
相変わらずの無表情で、ツンの話の間、彼は喜びも悲しみも現さなかった。


( ´ω`)「その通りですお」


オカマの胸に抱かれて死んでいたはずのブーン。

彼は、「まだだ。まだ終わらんよ!」と言いたげな顔でオカマの腕から這い出ると、
似合わない引き締まった表情でオカマの前に立って、続ける。


( ´ω`)「僕やツンの父ちゃん、長岡さん、ギコさんにしぃさん達が死んで、
     生き残った僕達が命をかけて……生きてきた日々のほとんどをかけてたどり着いた先。
     そこに広がっていたのは、美しい島に隠された人間の醜さだけだったんですお」


ブーンの瞳の中に輝くのは、確固たる意思の光。
少年は真っ直ぐに、『VIP』最高権力者ショボンの顔を見つめた。


( ´ω`)「あんな島に……命をかける価値なんて無かったんですお。
     ショボンさん、引き返しましょうお!
     大きく迂回すれば、あのメンヘラの大部隊からも逃げ切れるはずですお!」

93 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:30:22.92 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「……なるほどね」


こちらを射る少年の眼差しを受け止め、ショボンはこめかみを指で揉む。
何かを考えているような仕草。
彼は大きくため息を一つつくと、ブーンの顔を真っ直ぐに見返して、言った。


(´・ω・`)「君たちの意見は非常に尊重すべきものだね。
     君たちの表情、語り口、そして瞳の輝き。おおよそ嘘をついているようには見えない」


ショボンの肯定の言葉。
への字に垂れ下がった彼の眉が、発した言葉に優しさを添付する。
その表情に、ブーンの顔に浮かぶは喜び。


( ^ω^)「そうですお!だから、早くこの空域から離脱しましょうお!!」


身を乗り出して力説する少年。
しかし、ショボンの次の言葉は彼の期待を打ちのめす。


(´・ω・`)「だけどね、それでも僕達はこの空を行くよ」


相変わらずの無表情。
しかし、瞳だけは先ほどのブーン同様、ゆるぎない意思の光が宿っていた。

94 名前:おみくじ(ひく金ねー):2006/12/26(火) 21:30:23.43 ID:4ocZWsFl0
支援

95 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:32:59.18 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「君達の忠告を無視して、それでも僕が『エデン』に行く理由は二つ。
     一つは、君達の語る『エデン』の真実はあくまで君達の主観によるものに過ぎないということ」

( ^ω^)「……」

(´・ω・`)「同じ光景でも、見る者によってそこから読み取るものは様々だ。

     たとえば、雨上がりの夕焼けの空を思い浮かべてごらん?
 
     それを見て、『ああ、今日もつらかったけど、明日もまた頑張ろう』と思う者もいれば、
     ただ一瞥して、何も感じることも無く黙って我が家へと帰っていく者もいる。

     どちらが正しいのか、幸せなのかということは、語る価値も無いことだ」


淡々とたとえ話を繰り広げるショボン。
彼に賛同したのか、傍らに立つ副官のミルナが彼の言葉を引き継ぐ。


( ゚д゚ )「お前達は『エデン』を見て、絶望を……人間の愚かさ感じ取ったのだろう?
    しかしな、お前達の話を聞いて、俺はこう感じたよ。
    『人々が争いを繰り広げるほどに価値のある島』だとな」


スーツのポケットに両手を入れたまま、ミルナはブーンとツンの意見を一刀両断した。
さすがにそれには頭にきたのか、ブーンは彼に怒声を浴びせかける。


96 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:34:53.75 ID:j/UWx1q00

( ゚ω゚)「それなら、あんた達は人の死が……長岡さん達の死が、
    『エデン』の価値を高めるための飾りに過ぎなかったとでも言うのかお!?」

( ゚д゚ )「ふざけるな!誰もそんなこと言っていないだろう!!」

( ゚ω゚)「言っているも同然だお!

    結局ミルナさんは、自分が価値のあるものを手に入れられれば、
    人の死なんてどうでもいいと思っているんだお!

    ショボンさんだってそうだお!
    長岡さんのお葬式の時だって、二人はいつもの無表情で淡々としていたお!!」


吐き捨てた少年の視界が歪んだ。
直後に後頭部から襲ってくる衝撃。

顔を上げると、息を荒くしたミルナが恐ろしい剣幕でこちらを見下ろしていた。

頬が厚い。
口内に広がるのは鉄の味。

自分が殴られたことを知覚した少年は、
それでも倒れた甲板の床からミルナの顔をにらみつける。


97 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:36:13.77 ID:j/UWx1q00

('A`;)「副艦長、やめなさい!」

( ゚д゚ )「離せ!こいつは……俺の想いも知らんで!!」


駆け寄ってきた巨大なオカマに羽交い絞めにされ、
身長156cmのミルナは身動き一つ取れない。

ツンはブーンのもとへと駆け寄ると、幼馴染に肩を貸して抱き起こそうとする。
そこにショボンの姿が現れ、見上げる少年へと手を差し伸べる。

その手を取ることなく立ち上がったブーン。

そんな彼を「やれやれ」と言う表情で一瞥すると、
ショボンはミルナとブーン、そしてツンの間に立つ。


(´・ω・`)「活発な議論は結構だ。でも、喧嘩はしてはいけないよね」


にらみ合う両者を交互に見ると、そのままショボンは話を続ける。


98 名前:おみくじ(ひく金ねー):2006/12/26(火) 21:39:22.27 ID:4ocZWsFl0
支援

99 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:39:28.46 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「さて、先ほどの続きだ。
     僕がそれでも『エデン』を目指す二つ目の理由。
 
     それはね、単純なものさ。
     そして、もっとも大切な理由。

     『僕は実際にエデンを見ていない』

     これだけで、僕は君達の言葉を否定してまで
     『エデン』へと向かう理由としては十分だと考える」

( ゚ω゚)「……僕達の言葉を、信用していないんですかお?」


殴られた頬をそのままに、ショボンを真っ直ぐに見詰めるブーン。
彼の眼差しは、すべてのごまかしをいっさい許しはしない断罪の意思を宿していた。

そんな彼の眼差しに臆することなく、更に続けるショボン。


(´・ω・`)「そんなことはない。
     長年、君達とともに過ごしてきた僕だ。

     君達の言葉が真実で、
     僕達のことを真剣に考えたからこそ発せられた言葉だということは
     僕は十分に理解しているつもりだ。だがね……」


いったん言葉をとめると、ショボンは自分達を取り囲む『家族』の姿を見渡した。

100 名前:黒豆(十粒):2006/12/26(火) 21:39:40.85 ID:yOyBW98oO
156cmwww

101 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:41:12.93 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「……命をかけ、
     大切なものを失ってまで追ってきた人生の目標を、
     実際に目の当たりにしないまま

     『価値は無いのでイってはダメです』

     と言われてもね、諦める気には到底なれないんだよ。
     たとえそれが本当に、目指すべき価値が無いものであってもね」


ショボンはそのままブーンの目の前まで歩を進めると、彼の肩をポンと叩いた。


(´・ω・`)「君が仮に僕達の立場だったらどうする?
     君は、『エデン』を目指すことを諦められるかい?」




102 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:43:09.25 ID:j/UWx1q00

至近距離から、ジッと問いかけるショボンの瞳。

その瞳の中に、少年はどこまでも広がる『空』を見た。

かつて少年だったすべての者が宿していたであろう、瞳の世界。
夢を一途に追う者の瞳に宿る、宝石の輝きにも似た美しい光。
吸い込まれそうな、そのままそこへ堕ちてしまいそうな程の深い蒼穹。

世界の醜さを知るたびに、その世界は狭まっていき、やがてその輝きは失われる。

その時、人は大人になるのであろうか?

ブーンはホモなわけではない。
だけど、一人の人間として、ショボンの瞳を美しいと感じた。


そして、思った。


今の自分の瞳の中にも、『空』は広がっているのだろうか、と……。


103 名前:かき初め(虚脱感):2006/12/26(火) 21:44:20.87 ID:oKJfinfEO
(´・∀・`)ユウジョウエンシュツダヨネー

104 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:45:00.92 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「そういうことさ。わかってくれたかな?」


うつむく少年に投げかけられるショボンの言葉。
直後に彼は垂れ下がった少年の右腕を手に取ると、その手のひらを硬く握りしめた。


(´・ω・`)「おめでとう」

(;^ω^)「……はい?」


予想だにしないショボンの言葉。


(´・ω・`)「一人の夢追い人として、僕は君たち二人を尊敬する。
     
     本当におめでとう。

     結果がどうあれ、君達はその夢をかなえたんだ。
     堂々と胸を張りたまえ。君達に、そんな表情は似合わない」


突如投げかけられた賛辞の言葉に、ツンとブーンはキョトンとした顔を上げる。
視界に広がるのは、はじめてみるショボンの満面の笑み。

更にその直後、二人を囲う『VIP』の乗組員達から浴びせられる祝福の拍手。


105 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:46:31.53 ID:j/UWx1q00

('∀`)「ぶほほほほwwww
   やっぱりあんた達二人はあたしの見込んだ通りだったわ!」

/ ,' 3「ほっほっほ。たいした小僧どもじゃよ、お前達は」

( ´∀`)「僕はお前達の教習をつけられて幸せだモナー!一生の自慢だモナー!!」


次々と浴びせかけられる賛辞の言葉。
それをただ呆然と聞いている二人の前に、ミルナとクーが歩いてくる。

ミルナはブーンの、クーはツンの手を取ると、その手のひらを硬く握り締めた。


( ゚д゚ )「さっきは殴ってすまなかった。
    しかし、俺の気持ちは艦長と同じだ。俺はお前を尊敬しているよ」

(*^ω^)「ミルナさん……」

( ゚д゚ )「まさか、あの寝ぼすけがここまでの男になるとはな。考えもしなかったよw」


ニヒルな笑みを浮かべると、ミルナはブーンの手のひらを更に強く握り締めた。
そして、少年もその手のひらを、笑って握り返した。


106 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:48:21.14 ID:j/UWx1q00

一方その隣では、クーがツンに語りかけている。


川 ゚ -゚)「想い人のために嵐の空へと飛び出した君を、私は心底尊敬する」

ξ;゚听)ξ「いや、そんな……あたしはただの馬鹿ですよ」

川 ゚ -゚)「ああ、君は馬鹿だ」

ξ#゚听)ξ「……」

川 ゚ー゚)「だが、それがいい。そんな馬鹿だからこそ、私は君を尊敬する
    私も、君の馬鹿さ、正直さを見習わんといかんな」


そう言うと、クーはツンの耳元へと口を寄せる。


川*゚ -゚)「『エデン』から帰ったら、
     私はモナーに『郵便屋を一緒にしないか』と誘ってみるつもりだ」


ほんの少し顔を赤らめたクー。
そんな彼女にツンが満面の笑みを返答として返すと、クーもつられてクスクスと笑う。

二人の姿は、まるで仲のよい姉妹が二人だけの秘密を確認しあっているかのようだ。


107 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:49:37.97 ID:j/UWx1q00

しばらく和気藹々としていた『VIP』の上部甲板。
そこに、ショボン艦長の威厳のある声が響いた。


(´・ω・`)「ブーン、ツン。君達に僕からの最後の命令を伝える」


周囲のいっさいの音を押しつぶして響いたショボンの声。

威厳のあるその声と表情に、
ブーンとツンの二人は表情を引き締め、直立不動の体勢をとる。



(´・ω・`)「君たち二人は早急に自機でこの空域を離脱。
     なんとしても生きて故郷『ツダンニ』へと帰りたまえ」




108 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:51:08.63 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「……」

(;゚ω゚)「……ショボンさん、何を……言っているんだお?」


発せられたショボンの言葉に唖然とするブーンとツン。
艦長の命令を、少年の目の前に立つミルナが補足する。


( ゚д゚ )「ありったけの増槽、燃料、食料に水、機体の調整、そして離脱の支援。
    すべては我々が責任を持って行う。それでもたどり着けるとは限らんがな。
    お前達はひたすらに『ツダンニ』を目指すことだけを考えろ」

ξ;゚听)ξ「ちょ……ちょっと待ってよ!」


ミルナの言葉に、ツンは悲鳴にも似た叫びを上げる。



109 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:51:46.11 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「あ、あんた達を置いて
     自分達だけこの空域から離脱できるわけ無いじゃない!!」

(;゚ω゚)「そうだお!大体、あれだけの量のメンヘラ艦隊を目の前にして
     無事に『エデン』にも『ツダンニ』にも着けるはず無いですお!!それに……」


一瞬口どもり、深呼吸。

そして、少年は思いのたけを叫んだ。



( ゚ω゚)「僕は『VIP』の……『家族』の一員だお!
    『家族』はいつでも同じ行動をとるべきですお!」




110 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:53:29.16 ID:j/UWx1q00

少年の叫びは空に響く。
そしてそれは、うつくしい蒼を帯びて『VIP』の全員へと伝わっていく。

その言葉を受け『家族』に浮かぶ表情は笑み。
彼らの瞳は、優しく少年と少女を包む。


(´・ω・`)「ブーン君。僕は幸せ者だ。
     だけど、君は一つ勘違いをしている」


柔和な、菩薩のようなアルカイックスマイルで語りかけてくるショボン。


(´・ω・`)「君は『エデン』へとたどり着いた。
      その時点で、君は『家族』から自立したんだよ。
      君たち二人は紛れも無い僕達の子供だ。

      だがしかーし!!

      自立した子供は『家族』から巣立ち、
      新たな自分の『家族』を築かなければならない」


ショボンはブーンの肩に両手を置くと、彼の瞳に語りかけるように続けた。


111 名前:猪(乱視):2006/12/26(火) 21:53:44.99 ID:Hrts4uAf0
ハイドwwwwwwwwwwwwww

112 名前:おみくじ(ひく金ねー):2006/12/26(火) 21:55:21.65 ID:4ocZWsFl0
私怨

113 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:56:07.30 ID:j/UWx1q00


(´・ω・`)「 や ら な い か 」


(*^ω^)「 う ほ っ 、 い い 男 」



以上、NGシーンでした。


114 名前:丸煮もち:2006/12/26(火) 21:57:05.14 ID:B89LPTV5O
作者wwwwwww

115 名前:丸煮もち:2006/12/26(火) 21:57:10.72 ID:LiT1KPYtO
アッー!

116 名前:角焼もち:2006/12/26(火) 21:57:47.56 ID:tJeg2AcVO
うわびびった

117 名前:猪(おもらし君):2006/12/26(火) 21:58:20.16 ID:FQnaVqgtO
空気嫁

118 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 21:58:47.22 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「人一人に守れるものなんてたかが知れている。
     
     『家族を守るためだったら何だってする』
 
     そんな偉そうな事を言った僕だが、
     僕が守れたものなどほとんど無い。
 
     ジョルジュ、その幼馴染、ネコ耳、
     そして、君たちは知らないであろう『VIP』黎明期に死んでいったたくさんの家族達。
 
     僕が守れたものなんてね、本当にわずかなものなんだよ」


その瞳に一瞬かげりが見えた。

それでも輝きを失わないその瞳は、
これまでどれほどの悲しみを乗り越えてきたのだろうか?


119 名前:猪(近眼):2006/12/26(火) 21:58:52.67 ID:wV79tvoO0
コラーwwwwwwwwwwwww

120 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:00:02.75 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「ブーン君。君の本当に大切なものは何だい?
      それが僕達『VIP』だというなら、僕達は喜んで君たちと『エデン』へと向かおう。
 
      ……しかし、君の本当に大切なものはそうではないだろう?」


そう言うと、ショボンは視線をブーンの隣に立つツンに移した。
すぐに少年へと戻ったその瞳は、ジッと答えを待っている。


(´・ω・`)「大切なものの名を口に出さなくてもいい。
     ただ、君がこれから取りたい行動、それだけを言ってくれればいい。
 
     さあ、これから君が行く空の先には、いったい何が待っているんだい?」



121 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 22:00:14.29 ID:ujbmKj1T0
最近ソレが足りなかったんだよwww

122 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:02:02.07 ID:j/UWx1q00

少年は顔を上げ、周囲を見渡した。

足手まといだった自分を、ここまで育て上げてくれた『家族』達。
彼らは、暖かなまなざしで自分達を見つめている。

かけがえのない、強い絆。
失いたくは無い、大切な仲間達。

もしも自分に力があれば、喜んで自分は再び絶望の楽園へと向かうだろう。

だけど、自分に彼らを守る力などない。
自分に出来ることは、父の残した飛行機械で空を行くこと。

そして、その座席に乗せられるのはたった一人。

少年は空を見上げた。
いつも自分の傍らにあり、やさしく包んでくれていた蒼。


もしも空を人に当てはめるのならば、それはいったい誰なのか?


答えは決まっている。
あの暗闇の中で、自分の兄がそれを教えてくれた。

兄が指さした先にいたのは……紛れも無いブーンにとっての『空』だ。


123 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:03:55.30 ID:j/UWx1q00

(´・ω・`)「メンヘラの艦隊が動き出したようだね。

      ……さあ、答えを聞こうか。

      君の行く、空の彼方にあるものは?」


投げかけられるショボンの言葉。
少年は、真っ直ぐな瞳でそれに答えた


( ^ω^)「……僕達の故郷……『ツダンニ』ですお!!」


ショボンはブーンの言葉に笑みを返した。
その時、彼はたしかに見た。


少年の瞳の中に宿る輝き。


それはいつまでも曇ることの無い、空の色だ。



第三十話 おしまい


124 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:05:34.17 ID:j/UWx1q00
すみません。ちょっとシャワー浴びてきます

125 名前:凧(赤):2006/12/26(火) 22:05:36.08 ID:+Zi648ZI0
乙!!
続いて投下かな?

126 名前:お年玉(Wii):2006/12/26(火) 22:07:13.01 ID:8cKlJ40I0
乙!

かなりwktk

127 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 22:09:21.14 ID:ujbmKj1T0
乙!
艦長、漢だねぇ。

128 名前:おせち(3,000円):2006/12/26(火) 22:10:36.99 ID:UD1HzlLRO
やっぱグランディアは最高だよな
作者もそう思うだろ?

129 名前:焼き豆腐:2006/12/26(火) 22:13:32.44 ID:Ir9Lndmo0
サブタイの曲を聴きながら読むと泣けてくる・・・

130 名前:黒豆(千粒):2006/12/26(火) 22:18:25.43 ID:3/LA43OvO

続きwktk

131 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:27:33.06 ID:j/UWx1q00
>>128
はい、グランディア以上のRPGを私は尻ません

>>129
そう言っていただけると本当にうれしいです

最終話が一番長くなってしまいました。
自分のまとめる能力のなさに愕然としながら
最終話とEP一気に投下させてもらいます。

132 名前:年賀状(配ってます):2006/12/26(火) 22:28:06.36 ID:h8qtRAeC0
確か前156cmバンドの曲のタイトルがあったはず・・・

自由への招待だったか?

133 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:30:30.63 ID:j/UWx1q00

最終話 「この世の果てまで」


少年の言葉を聞き届けた『VIP』の乗組員達は、
意気揚々と彼らの持ち場へと駆け出していく。

彼らの後方に浮かぶ無数の戦艦の艦影。
『エデン』への最後の戦いに向け、総員の志気は最高潮にまで高まっていた。

ショボンにミルナ、そして荒巻はブリッジへ、
クーとモナーは彼らの飛行機械の置いてある下部甲板の格納庫へ、
それぞれ駆け出していった。

上部甲板に残ったのはその他の飛行機械のパイロット達と整備班、
ブーンとツン、そして、二人の飛行機械の整備を担当する毒男。

オカマは整備班にテキパキと指示を出すと、
格納庫の奥からたくさんの増槽を持ってこさせた。


134 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:32:52.37 ID:j/UWx1q00

('A`)「あんた達の機体に限界まで増槽を取り付けるわよ。
   それと駆動系を少しいじらせてもらうわ。

   これで燃費と燃料の積載量は格段に上がるけど、
   スピードに旋回性能、その他空戦において重視される能力は格段に落ちるわ」


二人の機体を目にも留まらぬ速さでいじくり回すオカマ。
そんな彼に手を貸し、ブーンとツンは増槽の取り付け作業にかかる。

船底のカバーを取り外し、駆動系をいじるオカマ。

早々に増槽の取り付け作業を終えた二人はオカマの手伝いをしようとするが、
「ここはあんた達が手伝うと邪魔よ」と一蹴されてしまう。


('A`)「それより、出来るだけ休息を取っておきなさい。
   これからあんた達は何日も空を飛び続けなければならないのよ。

   それと、座席部分にもありったけの燃料を積んでおきなさい。
   はっきり言って、無事に『ツダンニ』までたどり着ける可能性は低いんだからね」


その言葉を受け、燃料積載用のポリタンクを取りに格納庫へと走る二人。

中身を満タンにしたそれを座席に積み込むと、
ブーンはひたすらに作業を続けるオカマに向かって話しかける。


135 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:34:32.24 ID:j/UWx1q00

( ´ω`)「毒男さん……」

('A`)「……なによ?」


こちらを見ようともしないで、オカマは作業を続けながら答える。


( ´ω`)「僕達は……本当にこれでいいんですかお?
     お世話になった『VIP』に何も恩返しできないで、
     このまま故郷へと逃げ帰っていいんですかお?」


汚れたツナギの袖で汗を拭った毒男。
彼はブーンにグリスを渡すように言うと、それを受け取ってから話を続ける。


('A`)「……馬鹿言っちゃいけないわ。
   ここから『ツダンニ』へ帰るのも、メンヘラと戦って『エデン』へ降りるのも、
   どちらも厳しい試練であることに変わりは無いのよ。
   あんた達は、自分に与えられた命令に全力を尽くせばいいのよ」


そこまで言うと、作業を終えたらしいオカマは船底部のカバーを取り付け、
オイルにまみれた姿で二人の前へと歩み寄る。


136 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:35:53.59 ID:j/UWx1q00

('∀`)「元気でやるのよ?必ず生きてツダンニへとたどり着きなさい!」


直後に「ぶほほほほwwwwww」と大笑いをして、
オカマはオイルがこびりついた両手を二人の頭上にポンとのせる。

二人の鼻に、香水とオイルが混じった毒男特有の香りが漂う。
その嗅ぎなれた香りに、二人の涙腺は緩んでいく。


( ;ω;)「……毒男さん……」

ξ;凵G)ξ「……そんなこと言わないでよ……まるでもう会えないみたいじゃない!」


自分の発した言葉に刺激されたのか、ツンはわんわんと大声で泣き始める。
そんな彼女を、オカマは太い腕で抱きしめた。


('∀`)「ばかねぇ……あたしが死ぬわけ無いじゃない?
   オカマは不死身なのよ!ぶほほほほwwwwwwwwwwwww」


それでもツンは泣き止まず、オカマの胸に顔をうずめてしゃくり声を上げ続ける。
上下に震えるツンの肩に手をやり、彼女の体を優しく支えるオカマ。

そんな彼に向けて、神妙な顔をしたブーンはこれまで聞けなかったことをたずね始める。


137 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:37:39.00 ID:j/UWx1q00

( ;ω;)「毒男さん、飛び立つ前に聞かせてくれお。
     どうして毒男さんは……『VIP』に入ったんだお?」


オカマはツンの背中をさすりながら、微笑を浮かべてブーンを見る。


('A`)「……オカマはね、肩身が狭いのよ。
   様々な偏見に差別、しまいには親兄弟にまで勘当されてね。
 
   それからあたしはずっと……一人で生きてきたの。

   この美しい肉体美と整備の技術、そして、不屈の精神だけを頼りにね」


遠く空を眺めながら、オカマは懐かしそうに言葉を連ねる。


('A`)「……あの頃のあたしは……荒れていたわね。
   連日飲み屋を渡り歩いて、喧嘩三昧の日々。
   そんなある日、あたしは一人の男にぶちのめされたの。
   それが、ショボン艦長よ」



138 名前:おせち(30,000ウォン):2006/12/26(火) 22:37:39.55 ID:lGPugL2sO
追い付いた

139 名前:黒豆(千粒):2006/12/26(火) 22:38:30.57 ID:3/LA43OvO
前の作品の推奨BGMがよくタイトルになるな
よっぽど気に入ってるんだろうか

140 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:39:48.66 ID:j/UWx1q00

視線を空からショボンの定位置であるブリッジに向けるオカマ。


('∀`)「あの人はベコベコに顔のへこんだ醜い顔のあたしに向かって
   手を差し伸べて言ったわ。
 
   『僕の家族にならないかい?』ってね。

   ……うれしかった。
   ……本当に、うれしかったわ。

   それからの日々は、本当に夢のように過ぎ去って行った。
   
   そして今、ジョルジュとその幼馴染、
   副艦長に荒巻のお爺さま、クーにモナー、あんた達二人。

   ずっと昔に失った家族という名の絆がね、あたしの手の中には確かにあるのよ」


オカマはブリッジに向けて一礼すると、ツンをブーンのもとへと促す。
泣きじゃくる彼女の身体をしっかりと受け止め、少年はオカマの姿を見据えて言った。



141 名前:書初め(子孫繁栄):2006/12/26(火) 22:40:14.14 ID:lGPugL2sO
支援

142 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:40:31.45 ID:j/UWx1q00





( ;ω;)「毒男さん、これまで本当に……
      お 世 話 に な り ま し た お ! ! 」






143 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:41:26.99 ID:j/UWx1q00

('∀`)「何言っているのよwそれはこっちのセリフよ」


深々と自分に向かって頭を下げるブーン。

すっかり大きくなった彼の姿をいとおしげに眺めると、
オカマは少年の目の前まで歩み寄り、言った。


('A`)「ねぇ、ブーンちゃん。あたしからお願いがあるの」

(;^ω^)「……な、なんですかお」

ξ;−;)ξ「……キスまでなら……許す……」


途端に緊張した表情を浮かべる少年と、泣きながらとんでもない事を言い出す少女。
そんな二人に豪快な笑い声を上げると、オカマははにかんだ表情で続ける。


144 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:43:31.37 ID:j/UWx1q00

(*'∀`)「ブーンちゃんに渡したジョルジュの眼帯
    ……あたしにくれないかな?
    アイツが近くにいないと、どうも整備の腕が鈍るのよw」

( ^ω^)「……お」


少年は飛行服の胸ポケットから眼帯を取り出すと、
手のひらにのせて、しばらくの間それをジッと見つめる。


長岡さん、あの時僕を救ってくれた時みたいに、
毒男さんを……『VIP』のみんなを、守ってくださいだお。


愛すべき兄貴分の遺品にありったけの願いを込めて、
少年はそれをオカマに手渡した。


145 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:45:30.66 ID:j/UWx1q00

('∀`)「ごめんなさいね、無理言っちゃって」

( ^ω^)「……いいんですお。僕よりも毒男さんに持っていてもらった方が、
     長岡さんも幸せなはずだお。それと……これを」


そう言うと、ブーンはポケットの中から一枚の細長いレシートのような紙を取り出す。
それを手に取ったオカマの目が見開かれる


('A`;)「ブーンちゃん……これって……」

( ^ω^)「僕達にはもう必要のないものですお。
     これが僕達から出来る、『VIP』へのせめてもの恩返しですお」

('∀`)「……ありがとう」


少年の言葉に笑みを返し、オカマは眼帯と紙をツナギのポケットの中に入れた。

そして、銀色の飛行機械を静かに指さす。
その意味を即座に理解し、二人は自分達の愛機の座席へと飛び乗った。

メーターをチェックし、エンジンを起動させる。
心地よい振動が身体を包み込み、二人の身体はふわりと宙に浮いた。


146 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:46:50.74 ID:j/UWx1q00

('A`)「取り付けた増槽と大量の燃料で、機体の重量は通常の倍はあるわ!
 
   空戦は厳禁!
   ギアは速度にあわせて常に最適な状態にしておきなさい!!

   もっとも重視すべきはスピードじゃなくて燃費よ!!
   小娘、わかっているわね!?泣いている場合じゃないのよ!!」


いつもと変わらないオカマのゲキが飛ぶ。

その言葉の一言一句を噛み締めるブーン。
ツンは眼にためた涙を拭うと、いつもと変わらない憎まれ口を叩く。


ξ#゚听)ξ「わかっているわよオカマ野朗!
     機体の構造は、あんたに散々叩き込まれてんだからね!!」


147 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:47:46.33 ID:j/UWx1q00

('∀`)「よろしい!!」


ゴーグルを下ろし、前を向いた二人。
発進合図のフラッグを片手に彼らの機体の側に立つと、最後にオカマは大声で言った。


('∀`)「いつの日か必ず、この広い空で会えるときが来るわ!!
    そのときまで、あんた達は笑顔で空を飛びまわっていなさいよ!!」

ξ゚ー゚)ξ「あんたもね!もっとも、あんたは死んでも死なないでしょうけど!!」

('∀`)「ぶほほほwwwwwww
    わかっているじゃなーい!?あたしは不死身なーのよーう!!」


豪快な笑い声を上げながら二人の進行方向へと走るオカマ。
そして、大きく振られるフラッグ。


148 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:48:29.32 ID:j/UWx1q00

('∀`)「さあ、どこまでも続くこの空を行きなさい!!」

( ^ω^)「……ブーン、行きますお!!」


いつもと変わらないセリフとともに発進した飛行機械。
それは徐々に加速していき、小さな銀色の点となる。


二人の第二の我が家である『VIP』。


そこから巣立っていく二匹の小鳥は、
銀色の羽を広げ、振り返ることなく広い世界へと飛び出していった。


149 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:49:50.44 ID:j/UWx1q00

機体が重い。
スピードがまったく出ない。
加速は鈍く、機体の反応は亀のように遅い。

自分の身体が思い通りに動かない。

これまで、少年はこんな状態に陥ったことは無かった。
『トップページ』の空も、ギコとの空戦も、旧世界の道のりも、
自分の羽は、どんなときでも軽やかに動いてきた。

怖い。

今までに経験してきたどんな恐怖よりも身体を震わせる不自由。
それでも、少年は前を向き続ける。

その視線の先にあるのは、メンヘラの大艦隊。
ラウンジ艦隊旗艦『ジュウシマツ』が率いるその群れは、
ブーン達の行く空を塞ぐ鉛色の巨大な壁。

貴重な燃料を消費してしまうが、ここは大きく迂回すべきか?

生き延びるため。
与えられた最後の任務遂行のための、最善の選択肢を模索するブーン。

そんな彼に向かって、
鉛色の巣の中から飛び出してきた無数の機械の鳥達が、機銃という名の牙を向けた。


150 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:51:47.48 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「もう迂回するには遅すぎるわ!
     このまま飛行機械の群れを突っ切るわよ!!」


周囲の状況を把握し、最善の選択肢をパイロットに提供するナビ。

頼もしいパートナーの声に震える身体を叱咤されたブーンは、
アクセルを踏み込み、一直線に群れの中へと飛び込んでいく。


ξ;゚听)ξ「三時から二機!十一時から四機!!
     まもなく三時の機体の射程内に入るわ!!」

( ゚ω゚)b ビシィ!! 「把握!」


状況判断をナビに任せ、パイロットは操縦に専念する。
機銃の無い二人の機体に、応戦という選択肢は存在しない。

……ただ全身全霊をかけて、逃げ切るのみ!!


151 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:53:48.16 ID:j/UWx1q00

遅い。

自分の機体も、敵の機体も信じられないくらいに遅い。

ギコさん……
『黄豹』に比べれば、今迫り来る鳥達は文字通り『烏合の衆』に過ぎない。
不自由な自分の機体は、ちょうどいいハンデだ。

ただひたすらに迫り来る鳥達の隙間を縫っていくブーン。

しかし、多勢に無勢。

メンヘラ艦隊の側を通り過ぎようとした彼らに向けて、
更に多くの鳥達がその牙を向け始める。


ξ;゚听)ξ「二時に三機!八時に一機!十時に二機!後方から五機!!
     ああもうダメ!!敵の数が多すぎるのよ!!」


まるで巣をつついた外敵に襲い掛かる蜂の群れのごとく、
二人にまとわりつくメンヘラの飛行機械達。

貪欲な鳥達の群れに、ツンは悲鳴の声を上げた。

ブーンは唇を噛み、八時の方向から放たれる火線を避ける。
それを見計らったかのように後方近距離につけた一機の敵機が、殺戮の深淵を二人に向けた。


152 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:54:49.75 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「ブーン、避けて!!」

(;゚ω゚)「動けお!この鈍ガメ!!」


愛機を罵りながらロールを繰り出そうとするブーン。
しかし、機体の反応はあまりにも鈍い。

間に合わない。

バックミラーに敵機の機銃が映った。
その深淵が、はっきりと見える。


ダメだ、避けられない。


それでも瞳を閉じないブーン。
ここまできたら、最後の最後まで前を向き続けてやる。

そして、機銃は機体を貫通した。


153 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:56:38.89 ID:j/UWx1q00

バックミラーから姿を消した敵機。

すぐさまロールに入ろうとした機体を建て直し、水平に戻したブーン。

彼は後ろを振り向かない。
ただ真っ直ぐに前を見詰めたまま、後部座席のツンに尋ねる。


(;゚ω゚)「ツン、何が起こったんだお!!」

ξ゚ー゚)ξ「モナーさんが来てくれたわ!!」


後方の赤い飛行機械を注視するツン。
その機体に、彼女は違和感を覚えた。

『レッドバロン』の駆る空の舟は複座式。

いつもの単座式の機体ではなく、その後部座席に誰かが乗っている。


154 名前:VIP皇帝:2006/12/26(火) 22:58:23.23 ID:tZAt/itBO
ワッスルワッスル

155 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:58:28.28 ID:j/UWx1q00

ξ;゚听)ξ「クーさん!?」


赤い男爵の後部座席から送られてくる発光信号。
その主の名を、ツンは叫んだ。


( ゚ω゚)「ツン!発光信号の解読を!!」

ξ;゚听)ξ「りょ、了解!!
     ……『ここは任せろ。振り向くな。前を向け』だって!!」

( ゚ω゚)b ズビシィ!! 「把握!!」


その言葉に、少年はすべての神経を前方のみに集中させた。

最後に後方を振り返ったツン。

彼女の視線の先で、
『レッドバロン』と『蒼風』はこちらに向けて親指を立てていた。

その姿は、赤い複座式の飛行機械へと進路を向けた敵機の群れにさえぎられ、
すぐに見えなくなった。


156 名前:おせち(5,000円):2006/12/26(火) 22:58:37.99 ID:zeoG74OeO
わくつぃか

157 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 22:59:49.77 ID:j/UWx1q00

川 ゚ー゚)「やれやれ、あいつらは無事に抜けられそうだな」

( ´∀`)「それはよかったモナー」


ブーン達の後方につけた敵機を落とし、発光信号を送った二人。
彼らの言葉を受け取った銀色の飛行機械は、蒼の彼方へと消えていく。

赤の機体はそのまま空戦へと突入。
後方からやってきた味方の飛行機械とともに、『レッドバロン』は空を駆ける。

モナーにとって不慣れなはずの複座式の飛行機械は、
そんなことを微塵も感じさせないかのように美しく宙を舞う。


それは、これまでに見せたことが無いほどに素晴らしい空のダンス。


『蒼風』の眼と、『レッドバロン』の技術。
現役最強と言って差し支えない二人の操る機械の鳥は、次々と敵機を落としていく。


158 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:01:07.63 ID:j/UWx1q00

川 ゚ -゚)「位置取りがマズイ。
     いったん空域を離脱し、体勢を立て直せ」

(;´∀`)「了解だモナー!!」


後方から響く冷静な声に、男爵は上昇を開始した。
追ってくる敵機は無く、『赤』はひたすらに空を駆け上る。

上昇する視界に広がる空は、蒼一色。

かつての自分の色を見つめ、クーは静かに微笑んだ。


(;´∀`)「……なあ、クー。ちょっといいかモナー?」


天へと駆け上がりながら、クーに声をかけるモナー。


159 名前:おせち(8,000円):2006/12/26(火) 23:01:47.33 ID:zeoG74OeO
わくてか

160 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:02:00.32 ID:j/UWx1q00

川 ゚ -゚)「黙れ。戦闘中だぞ」

(;´∀`)「……わかったモナー」


クーの冷徹な一言に気落ちした声を返す男爵。
そんな彼の後姿を見つめてクスリと笑うと、クーは優しく語りかけた。


川 ゚ー゚)「ふふふwしょうがない奴だな。言ってみろ」


クーの言葉のあと、少し間をおいて、モナーはおずおずと言った。


(;´∀`)「『エデン』から帰ったら……
     一緒に、『空の郵便屋』をやらないかモナー?」


161 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:02:56.84 ID:j/UWx1q00

川 ゚ー゚)「……ぷっ!
     あっはっはっはっはwwwwwww」

(;´∀`)「な、なんで笑うんだモナー!!」

川 ゚ー゚)「いやいやwすまなかったww」


後ろから響くクーの笑い声に、再び肩をダラリと下げるモナー。
そんな彼の後姿に微笑みかけながら、クーは小さな声で呟いた。


川 ゚ー゚)「……まさか、お前も同じことを考えていたとはな」

(;´∀`)「え?なんて言ったんだモナー??」


不思議そうな声を上げる男爵。
「気にするな」と一声かけて、クーは言った。


162 名前:おせち(8,000円):2006/12/26(火) 23:03:02.27 ID:zeoG74OeO
わくてか
もーなー

163 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:04:25.75 ID:j/UWx1q00

川 ゚ー゚)「郵便屋の教習は私がしっかりつけてやる。
     そのためにも、この空戦になんとしても勝利するぞ!」

( ´∀`)「ホントかモナー!?
      み な ぎ っ て き た モ ナ ー ! ! 」


狂喜の雄叫びを上げ、赤い男爵は機首を下方に向けた。
そして、そのまま一直線に敵の群れの中へと突入していく。


体内に流れる熱い血、炎のように燃え上がる情熱の『赤』。
すべての命を潤し癒す、気高く美しい水と空の『蒼』。


誇り高き『二つ名』を冠する二人のパイロット。


彼らが駆る赤い空の舟は、眼下に広がる、最後の戦場の空を行く。


164 名前:おせち(150j):2006/12/26(火) 23:04:47.79 ID:lGPugL2sO
スレから離れられんだれか助けて

165 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:06:18.87 ID:j/UWx1q00

( ゚д゚ )「スロウライダー達は無事にメンヘラ艦隊の包囲網を突破したようだ」


ブリッジの窓から双眼鏡を片手に戦場の空を眺めていたミルナ。

銀色の飛行機械の姿を見届けた彼は、
艦長席に座るショボンの方へと顔を向ける。


(´・ω・`)「それはよかった」


そう言葉を返し、ショボンは眼を細めて眼前に広がる空を眺めた。

肉眼では確認できない距離まで飛び去っていった『VIP』の子供達。

二人が消えた方角をしばらく見据えると、
安堵のため息をついて、背もたれへと身体を預ける。


166 名前:おせち(8,000円):2006/12/26(火) 23:06:27.98 ID:zeoG74OeO
>>164
おまえもか

167 名前:お年玉(落としちゃった!!):2006/12/26(火) 23:06:56.20 ID:8cKlJ40I0
wakuteka

支援

168 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:08:10.39 ID:j/UWx1q00

( ゚д゚ )「ふんwさすがのお前も緊張していたようだな」

(´・ω・`)「まあね。しかし、さすがはブーン君たちだ。
     もちろん、二人を援護した『レッドバロン』と『蒼風』も素晴らしいがね」


誇らしげにふんぞり返るショボン。
そんな彼に向かい、副官は現実的なことを聞く。


( ゚д゚ )「あいつらは無事に『ツダンニ』へとたどり着けるだろうか?」

(´・ω・`)「無理だろうね」


即答で返すショボン。
それでも偉そうに胸を張り、続ける。


(´・ω・`)「だけど、どこかの島にはたどり着けるはずさ。
      そこから『ツダンニ』へと帰れるか否かは彼らしだい。
      まあ、僕の息子達だから全然心配はしていないがね」


ショボンは副官の顔を見てニヤリと笑う。
ミルナは「そうだな」と言って笑みを返すと、再び戦場の空を眺めた。


169 名前:猪(浴衣姿):2006/12/26(火) 23:08:09.00 ID:Hrts4uAf0
>>164
おや、俺がいる

170 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:09:54.37 ID:j/UWx1q00

( ゚д゚ )「物量差は絶望的だな。
    『VIP』ごと、メンヘラ艦隊へ突っ込むか?」


再び双眼鏡を眼に当て、繰り広げられる空戦の戦況を分析するミルナ。

空を埋めつくのは、ほとんどがメンヘラの空中戦艦と飛行機械。
その隙間を縫うようにして、わずかな『VIP』の鳥たちが駆け回っている。

煙をふいて堕ちていくのは、ほとんどがメンヘラ所属の機械の鳥。

しかし、しばらくすると、
こちらに向かって煙を吹きながら戻ってくる『VIP』の飛行機械の姿が目立ち始める。

見下ろした上部甲板では、まさに戦場のように整備班が右往左往を繰り返していた。


171 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 23:10:24.95 ID:3/LA43OvO
worktaker

172 名前:おせち(150j):2006/12/26(火) 23:10:31.01 ID:lGPugL2sO
このスレ何人ぐらい人がいる?

173 名前:凧(一人身):2006/12/26(火) 23:10:58.44 ID:+Zi648ZI0


174 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:11:17.48 ID:j/UWx1q00

( ゚д゚ )「……俺達の夢もここまでか」


寂しそうに呟いて、ミルナは双眼鏡を下ろした。
しかし、その表情に後悔の色は無い。

そんな彼に向けて、ショボンの呆れたような声がかけられる。


(´・ω・`)「やれやれ、君は相変わらずのマイナス思考だね」

( ゚д゚ )「艦長がプラス思考すぎるからな。
    副艦長は常に最悪の状況を想定して行動せざるを得んのさ」


そう言って顔を見合わせた二人はゲラゲラと笑い声を上げる。
ひとしきり笑った後、ショボンは懐かしそうにミルナへ一声かけた。


(´・ω・`)「『VIP』を結成してもう二十年か……早いもんだね」

( ゚д゚ )「ああ……そうだな」


それきり、二人は言葉を発しない。
常に同じ道を歩んできた二人に、言葉など必要なかった。


175 名前:年賀状(お年玉つきでよろ):2006/12/26(火) 23:11:27.79 ID:h8qtRAeC0


176 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:13:14.06 ID:j/UWx1q00

しばらくの沈黙の後、
ショボンは立ち上がり、窓の側へと歩を進める。

そこから見えるのは、上部甲板を走り回る彼の『家族』の姿。


(´・ω・`)「これだけ多くの愛すべき家族を持てた。
     『エデン』という夢は叶わないかもしれないが、僕の人生に悔いは無い」

( ゚д゚ )「ふん。お前らしくない言葉だな」

(´・ω・`)「たまには弱音を吐いてもいいだろう?
     今の僕は、子離れしたばかりの親の心境なんだから」


ショボンのその言葉に、再び二人は笑い合う。


(´・ω・`)「たくさんの家族を養い育て、
     僕はその種子を空へ無事に放つことが出来た。
     ……家族の長として、これ以上の幸せはないよ」


177 名前:お年玉(落としちゃった!!):2006/12/26(火) 23:13:34.34 ID:8cKlJ40I0


178 名前:猪(浴衣姿):2006/12/26(火) 23:13:52.95 ID:Hrts4uAf0


179 名前:角煮もち:2006/12/26(火) 23:14:39.24 ID:cUx2MsGp0


180 名前:猪(ミニスカ):2006/12/26(火) 23:14:43.03 ID:wV79tvoO0
ノシ

181 名前:おせち(150j):2006/12/26(火) 23:14:47.11 ID:lGPugL2sO
結構いるな

182 名前:角煮もち:2006/12/26(火) 23:15:10.93 ID:SVHqKmaMO
紫炎

183 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:15:11.79 ID:j/UWx1q00

/ ,' 3「じゃがのぅ、子を自立させた親は、
   次は自分の幸せを考えねばならんのじゃ」

('∀`)「ぶほほほwwwwwwwwそうよ、艦長!!」


いつの間にか姿を消していた荒巻は、
巨大なオカマを引き連れて、ブリッジの扉の前に転がっていた。

オカマは荒巻を蹴っ飛ばしてショボンとミルナのもとに駆け寄ると、
一枚の紙を手渡す。

それを見た二人の目が、見る見るうちに見開かれていく。


( ゚д゚ )「おい、毒男……これはいったい」

('∀`)「ブーンちゃん達が残した、『エデン』への飛行記録よ。
   副艦長、あんたなら、この数字の羅列を見ただけで
   『エデン』の位置がわかるんじゃない?」


オカマの言葉を無視し、食い入るようにその飛行記録を解析するミルナ。
彼の顔に笑みが宿ったことを確認すると、ショボンは館内放送用のマイクの前に立つ。

咳払いを一つして、彼はスイッチを押した。


184 名前:ナルト:2006/12/26(火) 23:15:27.23 ID:zRgFDtYf0


185 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 23:15:43.81 ID:ZCUH+yxmO


186 名前:年賀状(裏も表も印刷のみ):2006/12/26(火) 23:15:44.24 ID:Le6EyhVb0
>>172
最終話くらい黙ってwktkしようぜ

187 名前:味噌出汁:2006/12/26(火) 23:16:37.86 ID:LiT1KPYtO
黙っとこうぜ

188 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:17:05.84 ID:j/UWx1q00


(´・ω・`)『やあ、みんな。艦長だよ。
     空戦、頑張ってくれているようだね?

     突然だが、展開中の飛行機械をすべてこちらに戻してくれ。
     我々はこのまま、一路、「エデン」へと向かう。

     飛行機械部隊はいつでも「VIP」に戻れるよう近距離に展開。
     対空砲火部隊は、飛行機械部隊を援護して、メンヘラの飛行機械をぶち殺せ。

     以上、健闘を祈る』



189 名前:おせち(150j):2006/12/26(火) 23:17:14.81 ID:lGPugL2sO
>>186
了解

190 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 23:17:58.05 ID:3/LA43OvO


191 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:19:54.62 ID:j/UWx1q00

スイッチを切って一息ついたショボン。

振り返ると、ブリッジ内に設置された机にかじりついて、
ミルナがブーン達の飛行記録の解析に夢中になっている。

公約は果たせそうだ。
これで『VIP』は、真の家族になれる。

……兄さん、僕は、夢をかなえられそうだよ。

いとおしげにミルナの背中を眺めるショボン。
そんな彼の足元に転がってきた荒巻。

彼は床の上に寝転がり、ショボンの顔を見上げて言う。


/ ,' 3「お前さんの子供達は、とんでもない置き土産を残していったのぅ」

(´・ω・`)「……本当ですね」


荒巻の言葉に笑みを浮かべたショボン。
彼は顔を上げ、目の前に広がる世界を見た。

無数の鉛色の点で埋め尽くされた空。


その背景に映るのは、どこまでも美しい、蒼穹の色だ。


192 名前:猪(禁欲中):2006/12/26(火) 23:21:18.03 ID:WEc4HKQy0
作者って空好きだよね。

クーがダンスや世界の全てでも蒼穹って言葉出てたし

193 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:21:33.57 ID:j/UWx1q00

どれくらい、空を飛んでいたのだろうか?
いつのまにか、周囲はたそがれに染まっていた。

見渡す世界にあるのは、三百六十度、オレンジ色の空とわずかな雲ばかり。
響くのは、二人を乗せた舟の鳴らす飛行音と、渡っていく風音だけ。

少年は、中身のなくなった増槽を空に切り落とす。
それはガチャンと乾いた音を立て、雲海の底へと沈んでいった。

増槽の重みが減り、わずかに軽くなった機体はかすかに上昇する。

ふわりと身体が宙に浮く感覚。

それがなんだか心地よくて、ブーンは少しだけ笑った。



194 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:23:27.48 ID:j/UWx1q00

今この瞬間、世界にあるのは、
響くエンジンの鼓動と、この身を包むたそがれの空だけ。

ゆらゆら……ゆらゆら……
ドクンドクン……ドクンドクン……

頭の中に響く唯一の音に、ブーンは遠い昔、彼方にある記憶を想起した。

それは、この世に生を受ける前の記憶。
母の胎内で命の水を漂い、身を縮めていたときの記憶。

飛行機械のエンジンの鼓動は、母の心臓の鼓動。
ゆらゆらこの身を揺らす空は、希望と絶望の待つ外の世界。
自分の身体を固定するこの座席は、母の子宮。

空は世界。
飛行機械の座席は母の胎内。

多くのものを失った自分でも、座席の上はこんなにも心地よい。

彼は眼を閉じ、しばしの間、虚空を漂い続ける。

そして、想う。

どこまでも……どこまでも……
このままこの世の果てまで行けたら、どんなに幸せだろうか、と。


195 名前:書初め(今年こそ素人デビュー):2006/12/26(火) 23:23:50.74 ID:zeoG74OeO
わくてぃぃぃぃぃぃか

196 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:25:16.54 ID:j/UWx1q00

ξ゚−゚)ξ「……進路がズレてる。機首を十度右へ」

( ^ω^)「……了解」


突然の声に眼を見開いたブーン。

久しぶりに聞いた幼馴染の声。
そして、久しぶりに発した自分の声。

戦いの空を抜けて以来、二人はまったくと言っていいほど会話を交わさなかった。
ツンが進路を修正する時に、このようなやり取りが交わされるだけ。

無理もなかった。

空を進み、『VIP』の姿が後方の空の彼方に消えたとき、二人を襲ってきたのは虚無感。
胸にぽっかりあいた穴は、埋められることなく二人の心に存在し続けた。

見えなくなって、改めて気づいた。


……自分達はもう、あそこへは戻れない。


197 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:27:13.08 ID:j/UWx1q00

毒男は言った。

「いつの日か必ず、この広い空で会えるときが来る」

それが心優しい彼の口から出た気休めの言葉だということくらい、
二人にはよくわかっていた。

あれだけの大部隊を、
たった一隻の無敵艦隊くらいで打ち破れるほどに、世界は優しくない。

残してきた飛行記録。
あれさえあれば、『VIP』は『エデン』へとたどり着けるだろう。

……それがどうした?
それからどうするのだ?
あの大艦隊の塞ぐ空から、生きて戻ることが『VIP』に出来るのか?

自分が残したものは、単なる気休めに過ぎない。

絶望の楽園『エデン』。

『VIP』はそれを見て肩を落とし、
後方から迫ってくるメンヘラの大部隊に絶望の上塗りをさせられるのだ。

結局自分は、『VIP』のみんなのために何も出来なかった。

自分に彼らを守る力なんて、これっぽっちも存在しなかった。


198 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:28:30.69 ID:j/UWx1q00

これから、自分達はどこへ行くのだろう?

故郷へとたどり着けないことくらいわかっている。

燃料が圧倒的に足りない。
食料だって水だって、切り詰めても数日持つかどうかだ。

運がよければ、どこかの無人島に着陸できるかもしれない。
そこで、ツンと二人で誰かの助けを待つのか?


……それも悪くない。


ここにきて、はじめてクスリと笑ったブーン。

その直後、後部座席に座るツンの、弱弱しい声が聞こえてきた。


199 名前:おせち(8,000円):2006/12/26(火) 23:28:30.49 ID:zeoG74OeO
わくてぃか

200 名前:猪(音速):2006/12/26(火) 23:29:31.77 ID:ljMTDIvhO
番長生きててくれ

201 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:30:04.69 ID:j/UWx1q00

ξ゚−゚)ξ「……ねぇ、ブーン?」

( ^ω^)「お?」


かすかな、力ない声。
耳を澄まさなければ、彼女の声は、飛行音にまぎれてかき消されてしまう。


ξ゚−゚)ξ「……あたし達には、何が残ったのかな?」

( ^ω^)「……」


本当に弱弱しい声。
風に流れて行くその声は、触れれば壊れそうなくらいに脆く儚い。


ξ;−;)ξ「人を殺して……夢を失って……
     お世話になった恩人達を残して……自分達だけおめおめと逃げ帰って……

     あたし達がこの空で手に入れたものなんて、これっぽっちもない。
     それなのに、あたし達の手のひらからは、零れ落ちていくものばかり……」


202 名前:振り出しに戻る:2006/12/26(火) 23:31:02.82 ID:HKqzHXIK0
とりあえずブーンが自己中の偽善者だってことは分かった

203 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:31:38.42 ID:j/UWx1q00

そう言ったきり、彼女はもう何も口にしなかった。

バックミラーに映るのは、
泣き顔を両手で覆い、うつむいている幼馴染の姿だけ。

ブーンは何も答えなかった。

答えられなかったのではない。
答えなかったのだ。

今の自分が何を言っても、それは気休めにすらならない。
彼女の心を更に深くえぐり、その傷跡に塩を塗りこむだけだろう。


だけど、彼にはわかっていた。


自分の手のひらには、確かなものがまだ残っている。
自分はそれを、一生手放す気など、無い。



204 名前:年賀状(お年玉つきでよろ):2006/12/26(火) 23:31:49.62 ID:h8qtRAeC0
単に青いバカなだけだろ



205 名前:おせち(8,000円):2006/12/26(火) 23:33:08.87 ID:zeoG74OeO
わくてぃか

206 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:33:39.23 ID:j/UWx1q00

やがて、夜の帳があたりに降りた。

雲ひとつ無い空には、満月と星の輝き。
彼らが照らす世界は、暗い藍色を帯びてどこまでも広がっている。


( ^ω^)「ツン……寝ているおね?」


後部座席の幼馴染に向かって呟いたブーン。
バックミラーには、泣き疲れて眼をつむっている幼馴染。

本当は寝られたら困るんだけど、ほんの少しだけ寝せてあげよう。
今はその方が、都合がいい。

優しい笑みを浮かべて、彼は呟いた。


207 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:34:48.37 ID:j/UWx1q00

( ^ω^)「ツンは、僕達の手のひらには何も残っていないって言ったけど、
      ……そんなことないんだお」


ゴーグルを外し、遮るものなど何も無い空を見上げたブーン。


( ^ω^)「僕達には、こんなに綺麗な空と、
     そこを渡っていける飛行機械が残っているんだお」


ゆっくりと後方を振り返ったブーン。
そこには、すやすやと幸せそうに寝息を立てる幼馴染の姿。

彼女をいとおしげな眼差しで見つめると、再び夜空を見上げ、彼は言った。


208 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:36:39.67 ID:j/UWx1q00

( ^ω^)「そして……ツン。
     ……僕の手のひらには、君が残っているんだお」


そして、ブーンは操縦桿を引いた。
飛行機械はゆっくりと上方に弧を描き、華麗な宙返りをして見せた。

描いた軌道は満月に重なり、銀色の機体をきらびやかに色取る。


世界は広く、こんなにも美しい。


どこまでも広がる夜空に向けて、青年は始まりの言葉を呟いた。



最終話 おしまい


209 名前:角煮もち:2006/12/26(火) 23:37:11.34 ID:cUx2MsGp0
乙!

210 名前:猪(汗かき):2006/12/26(火) 23:37:21.10 ID:xI9UniTR0
激しく乙

211 名前:凧(100連):2006/12/26(火) 23:37:22.30 ID:QR7YSSDR0


すっきりしたようなしないような・・・

212 名前:凧(一人身):2006/12/26(火) 23:37:27.43 ID:+Zi648ZI0
おつつーww

213 名前:凧(ひとりぼっち):2006/12/26(火) 23:37:32.74 ID:UV1nNS330
作者乙

214 名前:丸煮もち:2006/12/26(火) 23:38:21.95 ID:umFZEZJ5O
乙!

215 名前:丸焼もち:2006/12/26(火) 23:38:26.80 ID:EYt5d6icO
終わり?

216 名前:丸焼もち:2006/12/26(火) 23:38:28.55 ID:tJeg2AcVO

若干悲しい終わり方だったな・・・

217 名前:味噌出汁:2006/12/26(火) 23:39:05.60 ID:LiT1KPYtO
まだだ!エピローグがあるっ!wktk

218 名前:お年玉(落としちゃった!!):2006/12/26(火) 23:39:07.33 ID:8cKlJ40I0
乙!

次回作にも期待するお

219 名前:猪(ミニスカ):2006/12/26(火) 23:39:14.75 ID:wV79tvoO0
乙!

エピローグに機体

220 名前:おせち(150j):2006/12/26(火) 23:39:37.02 ID:lGPugL2sO
おつ

221 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:39:50.72 ID:j/UWx1q00
エピローグはジャスラックに喧嘩売っているので
まとめサイト様は載せなくて結構です。はい

222 名前:猪(浴衣姿):2006/12/26(火) 23:39:56.59 ID:Hrts4uAf0
乙華麗

223 名前:おみくじ(太吉):2006/12/26(火) 23:40:02.49 ID:4ocZWsFl0
おつ

224 名前:味噌出汁:2006/12/26(火) 23:40:40.58 ID:B89LPTV5O
この流れなら言える







空は…好きですか?

225 名前::2006/12/26(火) 23:40:45.82 ID:Ir9Lndmo0
>>221
ちょwww

226 名前:VIP皇帝:2006/12/26(火) 23:40:51.36 ID:UV1nNS330
エピローグwktk

227 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:41:02.52 ID:j/UWx1q00

エピローグ 「Over the sky」


きらびやかに装飾された空中戦艦。
戦いの空に浮かぶその上部甲板で、世界を見渡す一人の男?がいた。

J・住職。

先日まで世界最強の名をほしいままにしていたラウンジ艦隊を率いる、
戦艦『ジュウシマツ』の艦長。

彼の眼前に広がるのは、
多くの人々が命をかける、空の舞踏会。

華麗に舞う赤い飛行機械を中心に、
彼らが放つ命の輝きが、蒼い空を、更に美しく色取っていく。


228 名前:長ネギ:2006/12/26(火) 23:41:25.68 ID:VpYLWx9X0
結構出てるもんな、歌詞を元にしただろうって文章が

229 名前:丸焼もち:2006/12/26(火) 23:41:48.94 ID:tJeg2AcVO
スレ限定か
生で見てて良かった

230 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:42:46.93 ID:j/UWx1q00

この空を、アイツ達にも飛ばせてやりたかった。

数年前、捕まえた海賊船に乗っていた二人。
これまでに見たことが無いほどの強い光を瞳に宿した二人を、
住職は自分の権限を利用し、『ジュウシマツ』へと招待した。

はじめはまったく言うことを聞かなかった二人。
そんな彼らも、実力に出来るだけ見合う地位をあたると、態度は一変した。

きっと彼らも、誰かに認められたかったのだろう。

それからというもの、彼らは、の実力を存分に発揮した。

撃墜数メンヘラ軍第一位。
すぐにエースと呼ばれるようになった二人は、空を自由に駆け抜けた。

いつでも、どんな時でも二人は一緒だった。
あまりの仲睦まじさに、呆れたこともある。

……そして、その絆が、住職にはちょっぴりうらやましかった。


231 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:44:46.89 ID:j/UWx1q00

しかし、住職には守れなかった。

着陸した座席の上で息絶えたギコ。
復讐の火を瞳に宿し、無断で飛び立ったしぃ。

結局、彼女が帰ってくることは無かった。

そして今も、この空では、多くの部下の命が散っている。

自分には、何も守れない。
無力さに歯噛みし、住職は再び戦場の空を見つめた。

散っていく多くは、メンヘラ所属の飛行機械。
彼らを空へと葬る機体を率いるのは、現在、無敵艦隊の冠を称する戦艦『VIP』。

しかし、その戦力差は絶望的。
どう考えてもこちらの有利は揺るがない。


それなのに、どうして『VIP』の姿はこうも美しいのか?


232 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 23:44:53.46 ID:3/LA43OvO
私怨

233 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:45:48.17 ID:j/UWx1q00

住職は感嘆の声を漏らす。

きっと、『VIP』の艦長は素晴らしい人物に違いない。
こんな絶望的な空戦でも、『VIP』の飛行機械達が輝いているのが何よりの証拠だ。

敵ながら、これほどまでに尊敬できる人物に出会ったのは初めてだ。
出来ることなら、一緒に酒でも酌み交わしたい。

そんな馬鹿なことを考えていた彼のもとに、一枚の紙が漂ってきた。

『VIP』の方角からひらひらと風に舞ってきた紙。
それを手に取った住職。

そこには、一編の詩が綴られていた。


234 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:47:25.11 ID:j/UWx1q00
 
 
                 夜の時間が迫りくる。
              あなたはこんな近く……でも遠い。

               何に憧れて、誰を思うのか?
          命賭ける姿、透き通る美しさに言葉をのんだ。

          あなたが空を行くのなら、私は翼になりたい。
  どんなに強い風にもけして折れないしなやかな羽、いつかきっと持つから……


                 同じ夢見て育ったね。
              白い花咲く町で……でも、今は……

               雲間を駆けて行く銀色の空の舟。
         見上げて伸ばした指先をすり抜け、小さく消えた。

        果てない空の彼方へ、すべてはどこに続くのだろう?
                  求める安らぎの場所。
            天使が降りる道は、私の腕へきっと続くよ。


           あなたが空を行くのなら、私は翼になりたい。
  どんなに強い風にもけして折れないしなやかな羽、いつかきっと持つから……



235 名前:長ネギ:2006/12/26(火) 23:48:48.76 ID:VpYLWx9X0
JASRACのものですが

236 名前:猪(ミニスカ):2006/12/26(火) 23:49:25.75 ID:wV79tvoO0
>>235
帰れ

237 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:49:25.84 ID:j/UWx1q00

誰が綴ったのかはわからない。
そんなことはどうでもいいことだ。

ただ住職は、その詩の美しさに息を呑んだ。
一人の男を想う、女性の歌。

その想いを受け止めた住職は、それを、空に放り投げた。


住職「トエエエエエエエエエエイ!!」


彼のはなった雄叫びとともに、
想いの詰まったその紙は、果てしなく広がる空を行く。



238 名前:凧(100連):2006/12/26(火) 23:50:31.59 ID:QR7YSSDR0
住職をこんなにかっこよく感じたのは初めてだ

239 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:50:45.62 ID:j/UWx1q00

やがて、空域には誰もいなくなった。

そこにあるのは、

世界を照らす太陽、
真っ白な雲海、
どこまでも続く蒼穹の空。

そして、綴られた想いを乗せた一枚の紙。


それはいつまでも空を漂い続け、やがて、空の彼方へとその姿を消した。



エピローグ おしまい


240 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:51:36.38 ID:j/UWx1q00
   ___
  (;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
   \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\                  \    バイバイだお〜♪
    \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\                  \_  __________/
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      \ /\;;;;;;;;;;;\
        \;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;\                       ┌\
         \;;;;;;;\;;;;;;;;;;;\       ミ              \;;;\        /;;;;;;;;;;/
           \;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;\    ミ                  \;;;;\    /;;;;;;;;;;;;;;;/
             \;;;;;\;;;;;;;;;;;;;\ ミ__ __           _ \;;;;\_/;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
              \/ ̄ ̄  ミ \;;;;;;;;;;;\ (^ω^)ノシ ξ(゚ー゚ξ  \;::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
               //  ̄\ミ   |;;;;;;;;;;;;\□□□□□□□/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
     ミ ミ ミ ミ ミ ミ ミ(     〉   |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;VIP STAR;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; / ̄ \;;;;\
              \\ _/    /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::;;;;/      \;;;;\
                \_ ミ___/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::;;;;;;;;;;;/        \;;;\
                  ̄ ミ   \;;;;\;;;;;;;;;;;\ ̄ ̄                   \;;;\                   
                     ミ    \;;;;\;;;;;;;;;;;\                      -┘                  
                      ミ     \;;;\;;;;;;;;;;;\                   
                       ミ     \;;;\;;;;;;;;;;;\
                              \/;;;;;;;;;;;;;;;\
                               \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
                                \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
                                  \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
                                   \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
                                     \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)

                         ( ^ω^)が空を行くようです
                    
                            〜  おしまい  〜


241 名前:書初め(樹木希林):2006/12/26(火) 23:51:45.26 ID:lGPugL2sO
おつ

242 名前:猪(ダイエット中):2006/12/26(火) 23:52:38.19 ID:FQnaVqgtO
おつ

243 名前:猪(浴衣姿):2006/12/26(火) 23:53:08.56 ID:Hrts4uAf0
>>240
ちょwwwwwwおまwwwwwww


244 名前:凧(ひとりぼっち):2006/12/26(火) 23:53:10.13 ID:UV1nNS330
おつーん
もうちょっと幸せな後日談が欲しかったぜ

245 名前:おせち(150j):2006/12/26(火) 23:53:30.39 ID:lGPugL2sO
さて俺は消えるわノシ

246 名前:凧(バンカー):2006/12/26(火) 23:53:32.41 ID:S05JtQpg0
ちょwwww零戦wwwwwwww

乙でした!

247 名前:おせち(5,000円):2006/12/26(火) 23:53:42.96 ID:UD1HzlLRO
乙……

248 名前:味噌出汁:2006/12/26(火) 23:54:24.25 ID:LiT1KPYtO
激しく乙!
こんなにwktkしながら見たブーン小説は久しぶりだ。
もう一回 乙!

249 名前:おせち(8,000円):2006/12/26(火) 23:54:35.23 ID:zeoG74OeO
つ旦


250 名前:丸焼もち:2006/12/26(火) 23:54:42.01 ID:tJeg2AcVO


251 名前:凧(一人身):2006/12/26(火) 23:54:50.87 ID:+Zi648ZI0
乙・・・・・
この読み終わったあとの空しくなる感じは何なんだろう・・・・

252 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 23:54:51.87 ID:ZCUH+yxmO
正直世界のドクオ視点みたいなエピローグを期待してた
だが乙

253 名前:猪(ミニスカ):2006/12/26(火) 23:55:22.32 ID:wV79tvoO0
面白かった。
なにか儚い感じが残ったよ

254 名前:長ネギ:2006/12/26(火) 23:55:59.31 ID:VpYLWx9X0
乙だ

255 名前:布袋(ほてい):2006/12/26(火) 23:55:59.36 ID:bLto37Xv0
楽しかったよ! 乙!

256 名前::2006/12/26(火) 23:56:26.38 ID:Ir9Lndmo0
蝶乙!

257 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 23:57:00.62 ID:3/LA43OvO
乙!

258 名前:お年玉(落としちゃった!!):2006/12/26(火) 23:57:08.34 ID:8cKlJ40I0
乙乙!

次はカオス小説が読みたいお

259 名前:歯科助手と初詣:2006/12/26(火) 23:57:25.31 ID:Oi6zkrhT0
面白かった! 乙!

ベルデセルバ戦記を思い出すのはおれだけか

260 名前:おせち(30,000円):2006/12/26(火) 23:58:23.50 ID:+l2eTiYQO
乙かれ
キュンとしたぜwwwwwwW

261 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/26(火) 23:58:58.21 ID:j/UWx1q00
あとがき 

以上で「( ^ω^)が空を行くようです」はおしまいです。

投下を開始して一ヶ月、書き始めて一ヶ月半が経ち、
ようやく完結させることが出来ました。
まずはじめに、この話を読んでくださった読者の皆様にお礼の言葉を送らせていただきます。

本当にありがとうございました。

意志の弱い私一人の力では、到底この話を完結させることは出来ませんでした。
文章に詰まり、投げ出そうかと思ったときに、この話の投下を始めました。
そこに書き込まれる皆様の言葉にどれだけ励まされたか、言葉では表せません。

あえて言葉で表現するなら「ちんちんかもかも」。
重ね重ねお礼を申し上げます。


262 名前:凧(ひとりぼっち):2006/12/26(火) 23:59:24.86 ID:qpA7feiV0
面白かった!
これ見て空に対しての見解が変わった
乙!

263 名前:女医さんと初詣:2006/12/26(火) 23:59:26.51 ID:PkQC3OrE0
kak ';ken=wd+'START

パソコ (__)ン蛾   \!!!ノートン先生. !/     /  ヽ___
なおり(__)ました! \!!!沈静化!!/     /
    (´д`*)          \!!!!!!/     /⌒ ___   ⌒
  _| ̄ ̄||_)        \∧∧∧∧/      |  |   |
/旦|――||// /| カタカタ.  < 直 パ >      |  |    |     *
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| . |      < り ソ >        | ├―‐┤
|_____|三|/      < ま コ >       ヽ
────────────< し ン >─────────────
_---―――――---_    < た .蛾 >  シュウウウウウ・・・・・∬∬
 <   _,ノ , 、ヽ、_ ノ   ;;;< !!!    >直っちゃったよぉ ___
 ( ○)`ヽ) ( ´(y○')   ;;;|/∨∨∨∨\      ∧_∧   ||\
  ⌒ /    ヽ⌒    /パソコン蛾直り\  ( *´∀`)  ||  | ̄
やった |~ ̄ ̄~.| ああ/ました! ディスプレ\┌(  つ/ ̄|| /
ああ| |||! i: |||! !| |あ ./イ蛾直りました!!!!\ヽ ,|二二二」|


264 名前:黒豆(万粒):2006/12/26(火) 23:59:39.53 ID:3/LA43OvO
結局トップページはなんでエデンの情報を独り占めしてるくせに辿り着け無かったんだろう

265 名前:年賀状(裏も表も印刷のみ):2006/12/26(火) 23:59:42.19 ID:Le6EyhVb0
乙乙!!

楽しませてもらいました。

266 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 00:00:22.67 ID:DGPmr8k10

次にまとめサイト様。
私なんぞの作品をまとめてくださり本当にありがとうございました。

ブーン小説グループ様は本作で二回目ですね。
私の作品の一節をトップに載せてくれていて、
「ああん……恥ずかしい……でも……ビクンビクン……感じちゃう!!」

さらには私の戯言なんかをサイト運営に取り入れてくれたりと、
もうご迷惑をかけっぱなしでした。でも精子はかけてないので許してください。



267 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 00:01:01.50 ID:DGPmr8k10

面白蛇屋様には初めてまとめていただきました。

気分転換にいつものお気に入りサイトを回っていると、
そこに見慣れた名前があってびっくりとりすしました。

深夜に投下を終えて、コメント何か付いていないかなふひひと蛇屋さまを覗くと、
もうすでに最新の投下分がまとめられているという仕事の速さ。

感謝感激飴おいしいです。本当にありがとうございました。
中の人、ちゃんと寝てくださいね。

あと、蛇屋さまでコメントを下さった方々、本当にありがとうございます。

コメントを読んだあとパソコンの電源を落とすと、
そのブラウザにニヤニヤと笑うキモオタがいるんです。
いつもびっくりしていました。

本当に、皆さんのおかげで書き上げられたも同然です。


268 名前:看護士と初詣:2006/12/27(水) 00:01:05.96 ID:HmQRSdT70
お疲れさまですた

269 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 00:01:41.59 ID:DGPmr8k10

最後に、私の従兄弟である「( ^ω^)ブーンと犬→('A`)」の作者。
こいつにはすべての原稿のチェックをしていただきました。

今作の一番のアドバイザーであり、一番の敵でもありました。
彼の辛らつな批評の言葉に「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」by糸井重里

おかげで、文章力のつたない私でも納得のいくものを書き上げることが出来ました。
ありがとう。長崎に帰ったらうまい棒おごるよ。

それでは、以上の方々にもう一度、ありがとうございました、といわせてください。

あり(ry


270 名前:猪(黒板係り):2006/12/27(水) 00:04:27.69 ID:1ee+8sgRO
従兄弟だったんか!

271 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 00:07:17.99 ID:DGPmr8k10
>>139
はい、よっぽど気に入っているんです。

>>192-224
空好きです。でも、蒼井そらは好きじゃないです。
ちなみに蒼穹という言葉は浅田次郎の「蒼穹の昴」の丸パクリです。

>>202
人はみんな自己中ですよ。
不快になったのならすみません。

>>204
そうですね。返す言葉もございません

>>235
ひいいいいいいいいいいいいいいいい

272 名前:おせち(150j):2006/12/27(水) 00:07:43.30 ID:gGMTXOVsO
モナーとクーがどうなったか知りたかったな

なにはともあれ乙

273 名前:おせち(5,000円):2006/12/27(水) 00:08:25.43 ID:ot0fgC23O
乙カレーさまです。
本当に楽しかったです。
こちらこそ

…あれ?誰か来たな

274 名前:おせち(15,000円):2006/12/27(水) 00:09:12.41 ID:hEbNLxrZO
蒼井そらですが・・・

275 名前:猪(病気がち):2006/12/27(水) 00:10:37.77 ID:KD8Bl4zhO
乙です
次回作もたのしみにしてまつ

276 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 00:11:18.49 ID:DGPmr8k10
>>258
総合の短編として用意した夜王子の加筆修正+最終話を投下したいのですが
まあ、許されないことだろうなぁ、と思っております。

>>264
エデンが目指すべき価値のないものと知っていたからです。
それを知らないメンヘラとVIPがエデンを目指したわけです。

それでは、いったん失礼します。

277 名前:ナルト:2006/12/27(水) 00:12:49.56 ID:st/7pLl40
乙!

278 名前:初夢(ろうそく熱い):2006/12/27(水) 00:17:11.74 ID:8DUnJA3c0
>>276
もーまんたい

279 名前:姫初め:2006/12/27(水) 00:29:34.81 ID:h2lQqOlYO
乙乙
世界の全てとはまた違ったふいんき(ryの終わり方で、しんみりしていて、それがまた良かった。

>>272それは聞いたら駄目でしょ

280 名前:VIP皇帝:2006/12/27(水) 00:34:53.13 ID:0I+i6NflO
>>240のVIP STARって
〜世界の全てを見てみたいようです
のアレだよね?

281 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 01:40:47.79 ID:DGPmr8k10
人がいなくなったのを見計らってチラシの裏を

>>278
それはうれしい限りです。

>>279
そう言っていただけて最高にうれしいです。
今回は、登場人物達の未来を読者様方に決めて欲しかったんです。
ですので、曖昧な終わらせ方にしました。

>>280
その通りでございます。



282 名前:おせち(30,000円):2006/12/27(水) 01:40:58.38 ID:vsVulZ3QO


283 名前:初夢(二日酔い):2006/12/27(水) 01:42:42.72 ID:pqy/MjPs0
>>281
改めて乙でした!!!
次回作と夜王子も楽しみにしてますwwwwwww

まとめサイトの人も乙!!!!!!

284 名前:猪(緑):2006/12/27(水) 01:42:55.99 ID:HcGH0dxi0
空の広さや大きさが想像しやすい描写だったのが印象的かな。


あと、この作品のテーマは( ^ω^)とξ゚听)ξの成長、みたいな?

285 名前:おせち(30,000円):2006/12/27(水) 01:45:08.68 ID:vsVulZ3QO
>>280
次回作はどんなのを考えてますか?

286 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 01:54:23.99 ID:DGPmr8k10
>>284
そう言っていただけるととてもうれしいです。
最高の褒め言葉です。
まさにご指摘どおり、ブーンとツンの性徴をテーマにしました。
伝わって本当によかった…


287 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 01:56:17.05 ID:DGPmr8k10

<ここから真のチラシの裏>

さて、つい先日「ブーンが帰ってくるようです」にて
運命に喧嘩の作者様が復活なさいました。

かと思えば、植物の作者様が一時ブーン小説を離れると昨日おっしゃいました。

思えば今年の六月も終わりにデビューして以来、
この二人をずっと小説を投下してきた戦友と勝手に思っちゃったりしています。

それを見て、私も少し今後を考えてみました。
この半年間、ひたすらに小説を書きまくっていたおかげで
好きだった小説を読む量も減り、視野がかなり狭まってきたなと感じています。

ですので、夜王子の投下を終え次第、
私もしばらくブーン小説を離れようかと考えています。

と言っても私のことですからすぐに撤回するかもしれませんが……
最低でも一ヶ月以上(全然しばらくじゃないや…)は離れて、
運命に喧嘩の作者様みたいに武者修行とネタ集めをしようかと思います。

ですので>>285さんの質問には答えられません。
一応漠然とした構想みたいなものはありますが。
多分書くとしたらアフロみたいなAAを使ったものを書くかと……


288 名前:おせち(30,000円):2006/12/27(水) 01:59:08.85 ID:hEbNLxrZO
一番好きな作者だったのに・・・
戻って来るなら早めにね(´・ω・`)

289 名前:初夢(蛇の夢):2006/12/27(水) 02:02:49.07 ID:h2lQqOlYO
ゆっくり休んでください
俺も一番好きな作者でした
いつまでもいつまでも待ってます

290 名前:味噌出汁:2006/12/27(水) 02:03:02.38 ID:dV8tscDG0
さみしくなるけど、運命に喧嘩の作者みたいに
パワーアップして戻ってくるなら万々歳だw

291 名前:初夢(筋肉痛):2006/12/27(水) 02:03:51.40 ID:pqy/MjPs0
>>287
仕事とかも忙しそうなんでゆっくりしといてくださいなwwww
復帰wktkして待ってますwwwwwww


292 名前:おせち(8,000円):2006/12/27(水) 02:10:10.26 ID:5YJA7MYXO
処女作?の全てをみるようですは正直つまんなかったけど、これ読んでびっくりしました。同じ人が書いたとは思えないほどです

293 名前:おせつ:2006/12/27(水) 02:14:09.13 ID:k2AbYhSfO
ラ・ヨダソウ・スティアーナ
またあんたの小説に会えるのを楽しみにしてるよ

294 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/27(水) 02:20:02.46 ID:DGPmr8k10
>>288>>289
ガクガクアッー!
そんなに褒めたって、ラブホ代は折半だからね。

>>290
運命に喧嘩の作者様にはびっくりしました。
今なら去年の菊花賞でディープに抜かされたアドマイヤジャパンの気持ちがわかる。
私はチンコのです。

>>291
はい。夜王子が終わったら禁煙にチャレンジしてみます。

>>292
ああん、もっと罵って!

>>293
はい、年内にものすごく下劣な小説を投下して休ませていただきます。

295 名前:おせち(30,000円):2006/12/27(水) 02:42:25.76 ID:0I+i6NflO
オレも一番好きな作者さんですた。
戻って来るまでひたすらwktkするとしますか……

296 名前:初詣で痴漢:2006/12/27(水) 03:20:28.25 ID:RREBH58Q0
いつまでも読み続けたかったけど。
終わりがあるから続きがあるんだものね。
くやしぃ。ビクビクッ

297 名前:おせち(150j):2006/12/27(水) 03:57:23.51 ID:PlgO+W39O
お願いだから帰ってきてくれよ。帰ってきたら結婚してくれ(´・ω・`)

298 名前:猪(大人):2006/12/27(水) 06:29:02.75 ID:ZxHUthSvO
本当に乙!夜王子とやら楽しみにしています!

299 名前:猪(大人):2006/12/27(水) 07:48:50.40 ID:AoLneuakO
また会おう

300 名前:猪(貧乏):2006/12/27(水) 10:25:25.40 ID:ljUNz+A80


301 名前:初夢(アフリカのシマウマだった):2006/12/27(水) 12:27:05.95 ID:I1XHslLLO
待ってるからね

302 名前:猪(発情中):2006/12/27(水) 13:36:29.30 ID:ljUNz+A80


303 名前:美容師と初詣:2006/12/27(水) 13:57:26.77 ID:Xudmc+tYO
>>286
性徴wwwww
( ^ω^)   n
⌒`γ´⌒`ヽ( E)
( .人 .人 γ ノ
ミ(こノこノ `ー´
)にノこ(

ξ;;)ξ胸が…大きくならない…

304 名前:黒豆(千粒):2006/12/27(水) 15:59:19.76 ID:C+2hx0IoO
夜王子も書いてたのか……!!


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