( ^ω^) ブーンがシリアルキラーになったようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20:29:21.03 ID:55WtWgG70
もしこのスレ立ってたら書く

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20:31:35.18 ID:8v05QhNX0
はやくしる

3 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:32:26.07 ID:55WtWgG70
ブーンがシリアルキラー(連続殺人鬼)になったようです。

プロローグ 「無垢世界」


「人の世の旅路の半ば、ふと気がつくと、 俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた。」

     ―――酒鬼薔薇聖斗「懲役十三年」最後の一節より。



「綺麗ね。」

ツンが、僕の握る血まみれのナイフを見てそう呟いた。
ナイフはまだらに透明度の高い、澄んだ赤い血がかかっていて、刃の銀色とも相まって確かに綺麗だった。
月明かりに照らされて鈍く光るナイフの刀身にも、なんとなく風情があるように見えた。

「綺麗ね。」

ツンがもう一度、今度ははっきりと言った。
僕は静かに頷いた。
僕の目の前には死体が転がっている。
ツンが路地裏まで連れてきて、僕が殺した男だ。
くだらないことを期待して、ツンに促されるままに路地裏に入ってきた男の心臓を、寝かせたナイフで一突き。
軽いもんだった。

4 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:34:13.45 ID:55WtWgG70
「私ね、動脈の血って好きよ。だって澄んでいて、薄くて綺麗なんだもの。」

ツンが僕の隣に座って言葉を紡ぐ。
男を連れてきたツンの、死体を見下ろす目には何の感情も篭ってはいない。
僕は彼女の言葉を聞きながらも黙々と作業をこなす。
死体をバラバラにして、物にしていく作業を。
筋肉の筋に合わせて綺麗に肉を削いでいく。
途中、動脈から溢れた血や黄色い油が溢れてくるが、ビニール手袋をしているので気にならない。
血液を送り出す心臓が止まっているため、血管を切っても血が飛び散るなんてことは無いが、やはり溢れてくる人の血を見ていると気分が悪くなる。
血自体はそれほど気持ちの悪いものではないけれど、血と油が混じると、ナイフを肉から放すたびにそれが糸を引いて、気持ち悪い。
そんな事を考えながらも、僕の手は止まる事無く、丁寧に死体を解体していく。
あっと言う間に死体から両手が綺麗に無くなった。

5 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:35:40.29 ID:55WtWgG70
「でも静脈の血は嫌い。色が濃くて、黒ずんでて気持ち悪い。」

彼女は僕によって少しずつ無くなっていく死体の肉を眺めながら言葉を続けた。
僕のナイフを握る腕も手馴れたもので、ナイフが血と油に塗れて切れ味が鈍ってくると、素早く死体の服で刀身を拭う。
刃から血が完全に拭われると、再び僕は作業に戻るべく、死体の腹を十字に割いた。
腹の筋肉を裂くには、かなりの力が必要なため、ナイフを両手で握る。
切り開いた瞬間、むわっとあたりに広がる血臭。
鉄のような、錆びのような臭いも駿河、魚のように生臭い臭いも混じっているような気もする。

「内藤の死体を解体する時の手つきって、すごい好き。まるで機械みたいに、淡々とさばいていくもの。」

僕は彼女に褒められて、少し頬を赤く染める。
それを隠すかのように死体を解体する作業に没頭する。
僕の心情を見抜いたかのように、ツンが小さく笑った。
そして僕はさらに頬を染めるのだった。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20:36:43.81 ID:8v05QhNX0
何気に微糖になってる……
レベルアップすると糖分うp?

7 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:37:40.94 ID:55WtWgG70
何を隠そう、僕が殺した死体をバラバラにするのは、僕のその手つきに見入る彼女の目が、誕生日のプレゼントを待つ子供のように純粋な光を宿しているからだ。
正直この作業は面倒だが、彼女が喜んでくれるなら僕はいくらでも死体をバラバラにする。
僕が頬を染めている間にも、まるでそこだけ僕の意識から独立した器官であるかのように、僕の手は作業を続ける。
開いた腹からこぼれ出てくる腸を綺麗に掻き出すと、僕はさらに死体の首を切り、足もバラバラに解体する。
はらわたが無くなって、腹の中に奇妙なスペースを残す男の姿は、どこか滑稽で僕等の笑いを誘った。
僕とツンの口から自然な笑いが漏れる。
すると、横合いからツンの腕が伸びてきて、男の切り取った頭を腹の中にできた空洞に入れた。

「赤ちゃんみたいね。」

そう言うと、彼女は悪戯っぽい笑顔を見せた。
赤い唇の奥から、雪のように白い歯が除く。
成るほど、確かにこの死体の姿は、胎児を子宮に宿した母親の姿にも見えなくはない。
僕は彼女のそんな悪戯めいた行動に苦笑しつつもナイフについた血を死体の服で拭い、フェルトでできたケースにしまった。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20:38:35.77 ID:maD0fIPgO
ktkr!!!!!!

9 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:38:46.70 ID:55WtWgG70

「もう、いいの?」
「あんまり時間をかけると見つかるかもしれないお。」
「それもそうね。次行きましょ、次。」
「一回に一人までだお。あんまり目立つのはよくないお。」
「あら、殺したのは内藤で、私はまだ一人も殺してないわよ?」
「・・・・・・・・・。」
「ここのところ、内藤ばっかりでずるいわ。」

「わかったお。」

ツンのお願いを無下にはできない。
結局、反対して見せても最後に折れるのは僕の方だ。
僕等はどちらとも無く死体を背にして歩き出した。

「寒く・・・なってきたわね・・・。」

ツンが呟いた。
僕とツンの手は自然に繋がれていた。
彼女の、白く色素の薄い手はひんやりとして冷たかったが、僕にはそれが何よりも暖かく感じた。


10 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:39:24.94 ID:55WtWgG70
「ねえ、あれがいいわ。」

暫く深夜の大通りを歩くと、彼女は僕の顔を見ながら路地裏の奥を指差した。
ツンの指の先には、地べたに座り込む一人の男が居た。
路地裏の奥深く、詰まれたダンボールが遮蔽物になっていて、遮蔽物からはみ出す形になっている男の顔と足先しか見えない。
男の虚ろな視線と、断続的に痙攣している足から察するに、ヤク中かヤバい病気の持ち主かのどちらかだろう。

「じゃあ、今度は僕は見てるだけだから、ツンの好きにするといいお。」

僕がそう言うと、こちらを向いていた彼女はにっこりと笑った。
花の咲いたような、可憐な笑みだった。
握った彼女の手から、低いけれど確かな温もりを感じた。
つられて僕も笑った。
幸せだった。







11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20:41:59.44 ID:VICAMsh4O
先生ktkr!

12 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:51:43.15 ID:55WtWgG70
1、生々流転

私はこの世で最も悲しみを知っている者です。

     ―――アンドレイ・チカチーロ
        三人を殺害、墓場から掘り出した死体を死姦した殺人犯。
        上の台詞は公判中の「前は被害者の遺族たちの悲しみを考えた事が無いのか?」という問いに対して。
 

「ただいまだお。」

高校の授業を終えた僕は家の玄関を開けた。
返事はない。
母親はとっくに離婚して、新しい男を作って出て行ったし、
父親は父親で仕事一筋の人間なので、仕事場からこんなに早く帰ってくるはずがない。
広々とした家の中に、僕の声がむなしく響いた。


13 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:54:54.78 ID:55WtWgG70

「・・・・・・・・・・・・。」

僕は静かにリビングへ行くと、テーブルの上に学校の帰りに買って来たコンビニのお握りや弁当を置いた。
その中からお握りを一つ取り出すと、テーブルから少し離れたソファーに、どっと座り込み、リモコンでテレビの電源をつける。
テレビでは三つの小学校に爆弾を仕掛け、27人もの児童が死亡、78人が重傷を負ったというニュースの続報が流れていた。
それによると、容疑者として捕まったのはまだ10歳の女の子で、動機は不明。爆弾の作り方はインターネットで調べて、材料も通信販売で手に入れたのだと言う。
さらに、警察に捕まった女の子が、嬉しそうに自分の作った爆弾の威力を自慢しているところの写真が、とある週刊誌に掲載され、「加害者の人権を守りたい会」と「子供の権利その他諸々保護協会」とかいう市民団体がその週刊誌の編集部を訴えるらしい。
そのニュースが終ると、次のニュースが流れた。
変な市民団体が「添加物反対」とかなんとか、プラカードを掲げながら署名活動をしている。
それにコンビニで買ったばかりと思わしき袋を提げた若者がサインをして、テレビのインタビューに答えていた。
「いや、正直添加物の入ってるものなんて恐くて食べられないっスよ、実際。」
残念、今君が持っているコンビニのおにぎりや弁当の中にも添加物は含まれてるんだよ。
世の中何かがおかしくなってるな。
お握りを食べながら僕はそう思った。

14 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 20:59:06.35 ID:55WtWgG70

コンビニ弁当を食べ終わると、僕は二階の自分の部屋へ向かった。
高校受験を終えて、高校に入ったばかりだと言うのに面倒な宿題などやる気は起きなかったが、先生に怒られるのも嫌なので真面目に宿題に取り組んだ。
宿題が終わって一息つくと、僕は机の引き出しから一本のメスを取り出した。
父親の仕事場から勝手にくすねたものだった。
メスが一本足りない事に気づいた父親は、「医療ミスかもしれない」等と、患者の体内にメスを忘れてしまった可能性に思い至ったらしいが、しばらく思案して、彼はその日は珍しくメスを体内に置き忘れるような大掛かりな手術が無かった事を思い出した。
彼はそれっきり、「どこかで失くしたのだろう」と言って、無くなったメスから興味を失くした。
一瞬でも父親を不安がらせてしまった事に罪悪感を感じたが、メスを返す気にはなれなかった。
僕自身も何故かはわからない。
手先が器用だった僕は、自分で皮製の鞘を作った。
僕はメスを眺め終わると、その鞘に入れて、ごく自然な動作で学校の鞄の中にしまった。
自分でもそれが学校の鞄の中に入れられた事など、全く気づかなかった。
その後、とりあえず特にやる事も無いので、机の上のPCの電源を入れ、PC本体に繋がれたヘッドホンを頭につける。
そしてIEを起動。
だが、やたらと重く、ホームページがなかなか表示されない。


15 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:00:03.41 ID:55WtWgG70
「・・・・・・?」

訝しく思い、URLを見てみると、そこには見たことも無いURLが表示されている。
おかしい、僕のIEのホームページはヤフーに設定してあるはずだ。
ウイルス?スパイウェア?ホームページのURLが書き換えられてる?
瞬間的に僕の脳内を様々な思考が駆け巡る。
IEのツール、インターネットオプションからホームページの設定を変える。
そこにはやはり見慣れないURL。僕は眉をひそめながらも、ヤフーのURLを打ち込む。
「OK」をクリックして、設定を確定させると、IEの上の方にある、家のマークをクリック。ホームを更新しようとする。
が、その瞬間、突如メディアプレイヤーで動画が再生された。拡張子はmpg。
どうやら、書き換えられたホームのURLから無理矢理再生させられたらしい。
ウイルスやブラクラページではなかった事に安堵しつつも、なんだか気持ちが悪いのでメディアプレイヤーを閉じようとする。
しかし、僕がメディアプレイヤーを閉じる前に、その動画は再生された。


16 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:01:11.60 ID:55WtWgG70

「なんだ・・・これ・・・。」

かろうじて、言葉が出た。
メディアプレイヤーで再生されたのは、どこかの廃ビルの中のような場所の映像だった。
昼間に撮影されたらしく、恐怖系のものでも無い、かと言って、グロでもなさそうだ。
何の変哲も無い、ただ屋内を撮っただけの動画。
PCに繋がれたヘッドホンからは何かの電子音のような、奇妙な音が流れ始めた。
しかし僕の手は動かない。手だけではない。僕の目も、PCのモニターを、再生された動画を食い入るように見つめている。
どうやらこの廃ビルは、元は病院だったらしく、あちこちに機材が転がっている。
その動画の中に、一瞬、まったく関係ない絵が混じったような気がした。
本当に一瞬だったため、何の絵かはよくわからない。
そんなことを考えていると、再び動画の中に別の画像が混じった。

「・・・・・・・・・・・・?」

それ以降も、動画の中には関係の無い絵や画像が混じり始めた。
最初は、フィルムのコマの中で一コマだけ貼りかえられたかのように一瞬しか映らなかったそれらは、動画が進むにつれて長い時間、頻繁に映るようになっていった。

17 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:01:39.32 ID:55WtWgG70
瑞々しいスイカの画像。そして次にはそのスイカがバラバラに割られている画像。かと思ったら次には誰かの耳の画像。そして幾何学的な印象のある、人のような奇妙な絵。
ヘッドホンから流れる電子音にも奇妙なものが混じり始めた。
何かをこするようなノイズ音だったり、某RPGゲームのレベルが上がったときに流れる効果音、踏み切りの音、壁を叩くような音。
他にも色々な音や画像が流れていたが、判別できないものが大多数だった。
終盤にもなると、動画に割り込んでくる画像が映る方が、廃ビルの中の映像よりも多くなっていった。
画像は、既に絵だとか画像だとか呼べるようなものではなくなっていた。
ただ、白い紙の上に絵の具を垂らしただけ、というような、輪郭もハッキリしていない原色系の色が幾つも並んだ物ばかりになっていた。
それが何枚も、何枚も目まぐるしく表示されていくのだ。
その途中に映る廃ビルの映像が、今ではノイズのように思える。
ヘッドホンからは十秒ほど前から耳鳴りのような音が流れてきている。
音は少しずつ大きくなる。
うるさい。
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさ――――


18 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:04:46.47 ID:55WtWgG70
気がついたらそこに立っていた。
どこかの立体駐車場の中、目の前には怯えきった男が一人。
多分十代後半くらい。大の大人だというのに顔を鼻水と涙と涎に汗、ともかく考え付く限りの体液を出して表情全体で恐怖を訴えかけている。
きめぇ。
汚かったのでその顔をナイフで袈裟切りに切りつける。浅い。
だが、その深く無い傷に男は短くギャッ、と叫ぶと両手で顔を押さえて転げまわる。
いや、男に両手で抑える事はできなかった。男の右腕には、手首から先が存在していない。
手首の断面を反射的に自分の顔に落ち着けた男は、手首の断面から伝わる激痛に、さらに顔を歪める。
そして、顔の筋肉を歪めれば歪めるほど、顔からの出血は酷くなる。
顔を抑えて地を転がる男の顔に何かが当たる。
先ほど切り取られた右手だ。
骨がなかなか切れなかったので、手首を一周するように肉を切手から、骨に切り込みを入れて無理やり折った。
少しずつ腕が無くなっていくのがどんな感覚なのか、聞いてみたのだが男は呻くばかりで何も答えなかった。
右手が完全に男から離れたとき、再び男に聞いてみたのだが、男は失神していた。
仕方が無いので無理やり蹴り起こして今に至るというわけだ。
最初は元気よく呻いていた男も、だんだんと動かなくなってくる。
退屈だ。

19 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:05:12.10 ID:55WtWgG70
もういい、殺してしまおう。
再び僕が男の前でナイフを振り上げるが、男は命乞いをする事は無い。
すでに命乞いなら右手を切り落とす前にしつこく叫び続け、効果が無いことを悟ったからだ。
変わりに男の口元が小さく動き続けている。
祈りでもしているのかと思い、注意深く聞いてみた。
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる絶対いつか殺してやる、覚えとけ覚えとけ殺してやる。
男はそう呟き続けていた。
痛みで頭がおかしくなっているのだろうか。
ここで僕に殺されるこの男が、どうやって僕を殺すというのか。
可哀想に、心が壊れてしまったらしい。
僕はそのまま男の後ろ首を掴むと、後頭部に逆手に構えたナイフを振り下ろした。
ナイフの先は男の延髄を破壊。
男の口が動かなくなった。
絶命した。




20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21:07:14.31 ID:tWmlYDM50
コーンフロストなどを食べ尽くすスレかと思った

21 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:08:34.68 ID:55WtWgG70

「 ――――――・・・・・・・・・・・・・・・ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
目が覚めた。
冬だというのに体中にびっしりと汗をかいていた。
どうやらPCをやっている途中で眠ってしまったらしい。
不思議な事に、昨日の夜にPCで何をやっていたかよく覚えていない。
まるで靄がかかったかのように、そこだけ記憶が曖昧になっていた。
だが、夢の事だけはしっかりと覚えている。
僕の全身を嫌な汗が伝う。
やけに生々しい夢だった。今でもこの手に肉を裂く感触が残っているようだ。
しかし、何故か夢の中に出てきた男の顔だけは不明瞭で、よく思い出せなかった。
気分が悪いのを無理やり押さえつけるように、PC用のデスクにもたれ掛かっている体を勢いよく起こして部屋を出る。
一階のリビングの窓から外を眺める。快晴だった。時刻は七時。
トーストを焼いて、目玉焼きとインスタントの味噌汁を作り、ゆっくり咀嚼していく。
夢の事を思い出して吐きそうになるが、胃が内容物を吐き出すよりも早く、トーストを咀嚼、嚥下して喉の奥へと押し込んでいく。
胃に朝食を詰めるとリビングから出て、再び玄関の前を横切る。
すると、丁度父が父の勤める総合病院へと出勤するところだった。
それなりに大きな病院の院長である父の朝は、結構早い。
今日は珍しく父にしては遅い出勤。

22 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:31:22.23 ID:55WtWgG70
目が合うと、父が口を開いた。

「顔色が悪いな。」

はじめ、僕はそれが誰の声なのか分からなかった。
ただ単純に、僕が父の声を一ヶ月近く聞いていなかったからだ。
昔はよく会話もした。
だが数日あまり会話を交わさない日があり、それ以来あまり顔をあわせないこともあり、どうも話しかけにくくなってしまった。
父も僕に話しかけるのが久しぶりだと言う事に思い至ったのか、何とも言えない微妙な表情を作った。

「疲れが溜まってるのか?陸上はやめたんじゃないのか?」
「部活はもう何もやって無いお。ちょっと色々あって疲れてるだけだお。」
「そうか。」

父は暫く何かを考えた後、再び口を開いた。

「大学のことも考えると、さすがに部活動をしていないというのはまずいな。勉強に支障が出ない範囲で、適当な部活動をやっておきなさい。」

23 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:31:50.03 ID:55WtWgG70
「わかったお。」

僕が返事を返すと、父は「それじゃあ、行ってくる。」とだけ短く言って、玄関から出ていった。
僕はそれからしばらくして、学校へ行く準備を整えてから家を出た。
そのときの僕は、まさかそれが僕の見る最後の父の姿になるとは思いもよらなかった。

「いってきます」

父に続いて、僕も家を出る。
行って来ます、と言ってみても返事は無い。
母親が居ない今となっては当然なのだが、習慣化した行為は早々簡単にはやめられない。
僕は家から出ると、玄関のドアを閉めて鍵をかける。
父は夜遅くまで帰ってくることは無い。
従って、帰ってきて真っ先に鍵を開けるのは僕になる。
僕より先に誰かが帰ってきていて、鍵は開いていて、家に入ると「おかえり」という言葉がかけられる。
そんなことはもう僕の身には起こりえないのだ。
カチリ、とカギを閉める音が響く。
このカギを帰ってきたときには開けなければ行けない。
カギを開ける音を聞くのは、とても憂鬱だ。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21:35:19.49 ID:jxERauqc0
( ^ω^)「バリバリ」

(゚σ゚)「ひぃーシリアルを生で食ってやがる」

( ^ω^)「ボリボリボリ」

(’Д’)「まるでポテトチップスでも貪るかのように」

( ^ω^)「バリボリバr」


(;^ω^)「ゲフッゴフン!!」

(’Д’)「むせてるわー」

(゚σ゚)「水どうぞ」

(^ω^;)「ボリボリどうもすいませんゴリゴリ」


(;^ω^)「ゲフッゴフンゴフヘン!!」

(゚σ゚)「もうやめなよ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21:35:21.23 ID:BcvgbV8n0
とりがおなじ どうやらほんもののようだ
こんなかきかただったっけ

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21:37:04.94 ID:8v05QhNX0
それは蟲師の時だけじゃね?

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21:42:27.05 ID:BcvgbV8n0
なるほど、ふーん
こんな書き方なんだ

28 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:42:24.36 ID:55WtWgG70

「やあ、内藤。」

学校の自転車置き場で、ダイヤル式の自転車のチェーンをタイヤに通している僕に、クラスメートのショボが声をかけてきた。

「ショボ、おいすー^^」

僕も当たり障りのない挨拶を返す。

「昨日の『稲沢探検隊・VIPの奥地に50年引きこもり続ける幻のニートを探せ!』見たかい?」
「見たお。ショボに薦められるまで見てなかったけどマジおもすれー。」

昨日のテレビ番組が僕等の間で話題に上る。
探検隊の稲沢隊長がその『幻のニート』だった、とかいう変なオチの番組だった。
何かを探し出す事。
人生において目標があるのはいい事だ。



私立VIP神山高校。
僕の通う高校の名前だ。

29 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:43:01.29 ID:55WtWgG70
父親の病院を継ぐために、僕は将来、医学部に入らなければならない。
僕には特に夢もないし、父親の強い期待もあって、必死で勉強してこの高校に入った。
偏差値の随分高いエリート高、というイメージがあったが、この高校で出会った友達は、僕の地元の中学校に居た連中と対して変わらなかった。
僕はショボと話しながらも廊下を歩き、1-Cと書かれた教室に入る。

「よ、内藤じゃん。」
「おいすー^^」

教室に入ると、中のいい友達の何人かが、僕の机の周りに集まってきた。
僕等は大抵、朝のホームルームが始まるまで、誰か一人の机の周りに集まって談笑する。

「なあ内藤、昨日見た?」
「見たおwwww」
「稲沢隊長マジワロスwwwww」
「は?稲沢?何それ?」
「稲沢探検隊。見てないのかお?」
「何おまえ等、ショボも内藤もそんなの見てんの?Nステだよ、Nステ。」
「は?昨日のNステ、レンジ出てんじゃん。マジ最悪だし。」
「あ?荒巻、てめーふざけんな。レンジ馬鹿にしたらマジゆるさねーぞ。」
「うはwwwレンジファンかおwwwww」
「レンジファン、(´・ω・`)ぶちころすぞ。」
「何?お前等、アンチ?レンジの事パクリとかいってる人種?マジ死ねよだし。」
「人種てwwwwwwwww」
「ギコ、レンジ信者かよwwwwwきめえwwwww」


30 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:43:24.78 ID:55WtWgG70

話題は昨日の野球の試合の事だったり、テレビ番組の事だったり、漫画の事だったり、一貫性は無い。


「内藤、そういえばこの前、清水に会ったが、お前に会えなくて寂しがってたよ。」
「そういえば、高校に入ってからあんまり会う機会が無かったお。」

ショボが唐突に言ったその言葉に、僕は思い出したように返事を返した。
清水と言うのは僕の中学の後輩で、去年から付き合いだした子だ。
僕と同じ陸上部だったので、帰る時間が重なって、よく談笑したり、寄り道でファーストフードを食べたりしている内に、自然と親しくなっていき、気がついたら付き合うようになっていた。
今でも携帯で話したり、メールのやりとりをしているのだが、僕が高校に入って自然と会う機会が少なくなり、なんとなく疎遠になっていた。

「・・・邪魔。教室の真ん中で馬鹿笑いしてないで。」

考え事の途中で、周りに適当に相槌を打って笑っていた僕に、冷たい声がかかった。
声のかかった方向へと顔を向けると、そこに僕へとキツイ視線を向ける少女が居た。
同じ中学から進学してきた、ツンだ。
気が強く、クラスの女子のリーダーみたいな存在になってる。
彼女の鋭い視線に戸惑った僕は、あわてて自分と周囲を見渡す。
見れば、彼女の机へと向かう道を、僕の体が塞いでいた。
僕の椅子にはショボが座っている。自然、僕は立つ事になった。


31 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:43:48.98 ID:55WtWgG70


「ヘラヘラ笑ってないで、早くどいて。」
「この顔は生まれつきだお。」

僕は彼女に少しばかりの反抗心を篭めて言い返すが、途端に睨まれて口をつぐむ。
大人しく彼女の机への道から退くと、彼女がさっさと通り過ぎていってしまった。

「相変わらず、仲が悪いね。」

ショボが呆れたように言った。

「向こうが突っかかって来るんだお。っていうかなんでおまい、人の椅子に座ってるんだお。」
「そこに椅子があるからさ。」

ショボは軽く肩をすくめてみせる。
僕がツンの机に視線を向けると、ツンも僕の方を見ていた。
ツンの視線が、睨むように厳しい物へと変わる。
僕の臓腑の底の方に冷たいものが走った。
僕はツンが苦手だった。
特に、じぃっと、刺すような視線で睨まれると、居心地が悪くて仕方が無かった。

32 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:44:21.23 ID:55WtWgG70
そもそも、ツンにはじめてあった時の一番最初の会話、というかツンの対応がよろしくなかった。
中学二年生の一学期が始まって二ヶ月ほど経った頃、ツンは親の都合で僕の通っていた中学に転校してきた。
その頃、僕は受験に有利になるだろうという打算から、クラス委員をやっていた。
他に誰も立候補者が居らず、明るく、クラスでも目立っていた僕は、すんなりとクラス委員になれた。
もちろん、転校してきたばかりの彼女に僕は声をかけた。

「分からない事があったら、遠慮なく聞いてくれるといいお」

だが、帰ってきたのは全くの無言だった。
ツンは僕をじぃっと睨みながら、口を閉じていた。
それから僕が何を話しかけても無視された。
僕は唖然としていたが、ツンの方はそ知らぬ顔だった。

別にそれでどうしたと言うわけでもない。
最初のうちは、ツンのその行動で少し空気が悪くなったが、時が経つにつれツンはクラスになじんでいったし、
僕も、面と向かって「ヘラヘラ笑わないで」等といわれることもあったが、話しかければ多少のリアクションは返してもらえるようになった。

33 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:44:46.76 ID:55WtWgG70
当然、僕はツンに対して苦手意識を抱いたし、ツンの方も僕を嫌っているように見えた。

「おーい。席つけ、ガキども。」

担任の赤城先生が入ってきた。
女の人には珍しい長身で、まるで男のような言葉遣いの先生だ。
女子達の間では人気があるらしい。

「ホームルームはじめるぞー、日直、早く礼しろー。」

僕の椅子の周りに集まっていたクラスメート達があわてて自分たちの席に戻っていく。

「日直ー?今日の日直誰だー?早く朝礼の掛け声しろよ。」

先生の声に苛立ちがこもり始める。
先生は、見かけから分かるとおり、怒ると怖い。
怒らせてはならない。それが僕等の間での共通認識だった。
まったく、今日の日直は誰なのだろうか。
先生の八つ当たりが他の人間にまで飛び火したらどうしてくれるのか。
迷惑な奴だ。
だが、そこで周囲の視線が僕に集まっていることに気づく。
僕は思わず黒板を見た。
黒板の「日直」と書かれた欄には書かれた名前は「内藤ホライゾン」。
僕だった。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21:45:45.91 ID:QziYWylv0
http://tinyurl.com/9z5ov

35 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:45:47.68 ID:55WtWgG70
先生が僕に怒鳴り始めた。
今日も僕の日常は平和だった。


それが、どこで歯車が狂ってしまったのだろうか。

「・・・・・・・・・・・・。」

僕は一瞬、自分が何をしたのか分からなかった。
目の前には、首にできた傷から血を流す少女。
そして僕の手に握られているのはメス。直線刀だ。
一体何がおきたのか分からない。
僕はこれまでの自分の行動を頭の中で必死に整理する。
僕の手に握られているのは、机の引き出しの中にしまっていたナイフだ。
何故これを今僕が持っているのかはわからない。
そして、目の前で首から血を流しているのは一切年下で、去年から付き合ってた清水小夜だ。
「先輩って、何時も笑ってて可愛いですよね。」
そう言って僕に笑いかけてくれた。
笑うと頬に笑窪ができて、とても可愛いと思っていた。とても自然に笑う、大好きな子だった。
僕が高校に進学して、自然と会う機会が少なくなったのだけれど、今日偶然にも高校からの帰り道で出会ったのだった。

36 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:46:11.57 ID:55WtWgG70
それから僕は彼女と一緒に喫茶店に入って・・・
それから・・・
それから僕は彼女を送っていこうとして、その途中に何か冗談を言ったような気がする。
それで、首をのけぞらせて可笑しそうに笑う彼女の、白く、綺麗な首筋を見て僕は反射的に―――

―――彼女の首をかき切った。

切られた勢いで彼女は倒れこむと、二、三度彼女は口を、金魚のようにパクパクと動かした。
口の開閉に合わせて、喉の傷も動いた。
そこから空気が漏れてしまって、上手く呼吸できないのだろう。
血も勢いよく出ている。
かすかに回転しながら倒れた彼女の首から出た血は、運良く僕にはかからなかった。
混乱した頭の中で、自分に返り血が突かなかった事を単純に喜んだ。
彼女も混乱しているのだろう、青い顔をしながら、僕に事情の説明を求めるような表情を向けた。
僕は恐くなって一も二も無くその場から駆け出した。
彼女の青い顔だけが頭の中に浮かんでいた。



37 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:46:33.12 ID:55WtWgG70

家に帰った僕は自室で呆然としていた。
何もかもが夢だったのではないかとさえ思った。
未だに自分が起こした行動が理解できていなかった。
彼女のあの白い喉を見た瞬間、自然な、自然すぎる動作で僕の手は動いていた。
彼女の首を掻き切る事が、それをすることがとても自然で当たり前の事だと思った。
そこに理由を求めても答えは出ない。
全くの無意識でとった行動なのだから。
本当に夢だったのではないだろうか。
ここではないどこか異世界での全くの他人事のようにさえ思えた。
しかし、皮の鞘から出された、血のこびりついたメスがあれは夢ではなかったのだと告げる。
メスの刀身に付着した彼女の血は、既に固まっている。

――あの出血量だ。彼女はもう助からない。
―――警察が来るかもしれない。どうしよう・・・。
――――僕は殺人犯になってしまった。面倒だ・・・。
―――――もう彼女の笑う顔が見れないな・・・・・・。

頭の中を色々な考えが高速で駆け巡る。
わけも分からないまま、手足の先が震えた。

「・・・・・・・・・・・・。」

だが、警察や未来への恐怖はあっても、不思議と彼女を殺した事への後悔はなかった。
そして、未だに僕は彼女を殺すのが、とても自然な事だったと思っていた。
僕はそのまま眠りについた。
現実からの逃避だった。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21:51:15.36 ID:3rRYORRz0
オモシロスwwww
続きwktk

39 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 21:54:54.14 ID:55WtWgG70

あの帰り道、夕日が傾いている中で、彼女が笑っていた。
僕の腕は丁度振り切られた姿勢で止まっていた。
彼女の首には傷が入っていて、顔は青白いまま。
なのに何故か傷口だけは妙に生々しくて、傷口から赤色の肉と、ピンクがかった綺麗な骨が見えた。
僕はなんだか可笑しくなって笑った。
彼女も笑った。
「ははは」
どちらとも無く笑った。
笑った表紙に、切れ込みの入っていた彼女の首がぼとりと落ちた。
それを見て僕も首だけの彼女もいっそう笑い声を大きくした。
なんだかよく分からないけれど妙に楽しかった。
この時間が永遠に続けばいいな、と思った。
「続くよ」
首の無い彼女が言った。
「これからも続ければいいと思うよ」
首だけの彼女が言った。
その顔には、僕が”いいな”と思っていたあの笑顔。
僕は嬉しくなった。
握った僕の手には何時の間にかメスが握られていた。
血は、ついていない。
早く染めなきゃ。
そう思った。



40 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:00:20.78 ID:55WtWgG70

そこで目が覚めた。
夢の内容を思い出して吐き気を感じる。
吐き気に逆らわずにトイレに駆け込んでげぇげぇと胃の中のものを吐き出す。
気持ち悪い。
なんて夢を見るのだろうか、僕は。
夢から昨日の出来事を思い出した僕は、さらに吐き気が酷くなってげぇげぇと吐いた。
口からだけでなく、鼻からも胃液が出てくる。
しばらくして落ち着くと、胃液と胃の内容物にまみれたトイレを流した。
幸い、父はもう出勤しているようで、家にいる気配はない。

「・・・うう・・・・・・ゔう・・・。」

僕はそのままトイレの床に手を着いて涙を流した。
その時にきっと、罪悪感も後悔も人としてのモラルも背徳感も、全て流しつくしてしまったのだろう。

41 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:00:55.28 ID:55WtWgG70


ホームルームが終わって一限目。
僕の嫌いな現国。
早く彼女がどうなったのかを確かめたい僕ははやる気持ちを抑えるのに必死だった。
そして、表面上なんでもないかのように振舞うのにも。
頬杖を突いて、外の景色を眺めている振りをして、頭の中で色々な事を考えた。
これからどうするのか。
警察が事情を聞きに繰るのではないか。
どうやって彼女がどうなったのかを調べるのか。
しかし眠い。
昨日はずっと夢を見ていた。
浅い眠りだったのだろう。
いっそのこと、このまま寝てしまおうか。
だが、何を考えても、夢の中で見た彼女の笑顔が浮かび、思考が止まる。
あの夢の中で、メスには血は付着していなかった。
染め直さなければならない。
染め直さなければ―――


「内藤。授業聞いてるか?」

赤城先生に怒られた。

42 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:01:28.43 ID:55WtWgG70
「すいませんお、先生。」
「内藤、授業つまんないか。」
「はい。」
「先生、正直なやつは好きだ。」
「そうですかお。成績、よろしくお願いしますお。」
「でも先生、先生の授業を聞かない奴は嫌いだ。」

丸めた教科書でぺしり、と頭を叩かれた。
痛かった。
しかし、ゆとり世代でもあるまいに、僕は頭をはたかれたぐらいで「体罰だ」等と騒ぎ立てたりはしない。
いかにも神妙そうに反省している態度をとっておく。
顔をうつむける僕に、さらに赤城先生の声がかかった。

「反省してうつむいてるフリをして寝ようとするんじゃない。」

見抜かれた。
先生の、丸めた教科書を握った手が再び振り下ろされた。
先ほどのよりもさらに痛かった。

43 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:06:36.45 ID:55WtWgG70
昼休みになった。
僕の学校は私立で、学食があるが、弁当を家から持参してくる生徒の方が多い。

「内藤、学食行かないか?。」
「今金無いからパスだお。」
「ああ、学食で思い出した。なんか最近俺のプレステ2、ゲーム読み込まないんだけど。」
「学食でどこからプレステ連想したんだしwwww」
「何?内藤なんかあったん?」
「デスクリムゾンやりたくてハードごと買ったんだお。」
「なあ、お前等いっぺんレンジ聞いてみ、『花』だけはガチだから。」
「デス様wwwwwwww」
「古いしwwwwwしかも糞ゲーだしwwwww」
「なあ、聞いてみろって!!」
「うわ、何おまえCDプレイヤー持ってきてんの?ww昨日のネタまだ引きずってんのかよwww」
「しかもCDwwwwMDかデジタルオーディオプレイヤー買ったらどうだい?www」
「ネタじゃねーよ!!!ガチだってば!!!!!」
「なあ、だから最近俺のプレステ2、ゲーム読み込まないんだけど?無視すんなよ、マジ死ねし。」
「しらねーよ。しつけーし。お前の初期生産の古い奴だろ、買い換えろよ。」

44 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:07:36.49 ID:55WtWgG70
「悪いけど、ちょっと用事があるから行ってくるお」

僕はそう言って集団から抜け出し、屋上へと行く。
この学校の屋上は、過去に飛び降り自殺した生徒が居たらしく、立ち入り禁止になっている。
僕は屋上前のドアにつけられたチェーンと鍵を外す。
鍵は三桁のダイヤル式のものなので、簡単に外せる。
前に、1000通りある、O〜9までの数字三列を、ショボが一つ一つ試していた。
おそらく暇だったのだろう。
番号は427(死にな)。
多分、この番号を設定した時に、設定した奴は嫌な事でもあってイライラしていたんだろう。
まるで、そいつの心の中にたまった鬱憤が伝わってくるような番号だった。

屋上に入ると、僕はなんともなしに校庭を眺めながら携帯を手に取る。
少し躊躇いつつも、勇気を出して彼女の携帯に電話をかける。
なかなか出ない。
あとワンコール待っても出なければ、今日はもう電話するのはやめよう。
そう思ったとき、丁度相手が電話に出た。

「どなたでしょうか?申し訳ありませんが、娘は昨日・・・」

彼女の母親だった。
涙声だった。
それを聞いて、なんだか僕まで泣きたい気持ちになった。


45 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:07:56.46 ID:55WtWgG70
僕は素直に彼女の母親に、彼女との関係を告げた。
すると、相手は納得がいったように息をついて言った。

「貴方が内藤さんでしたか。娘が何時も楽しそうに貴方のことを話していました。」

彼女の家庭では家族同士の対話がしっかりと成立しているらしい。
今時、めずらしく円満な家庭だ。
心の奥底で、なにかがもぞもぞと動いた。
それは嫉妬だった。
僕の持っていないものを持つ者への、ただの無いものねだりだった。

それから、彼女の母親はしばらく僕に彼女の事を語って聞かせた。
正直、どうでもいいことや知っている事ばかりだったが、何故だか僕は電話を切る気に離れなかった。
彼女の母親の涙声が僕を引き止めたのかもしれない。

「すみませんでしたお。」

電話の最後に、僕が小さく言った。

46 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:08:19.44 ID:55WtWgG70
相手の怪訝そうな気配が携帯ごしに伝わってくる。
だが僕はそれを無視して、相手が何か言う前に携帯の電源を切った。
申し訳ない気持ちで一杯だった。
よくテレビで出てくる加害者のコメント
「今は反省している。遺族の方々には申し訳ない気持ちで一杯だ。」
というのが、理解できた気がした。








第一話・完

47 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:14:19.14 ID:55WtWgG70
殆ど勢いで書いた。今は反省している。

ブーンがシリアルキラーになったようです 概要

・しばらくはダラダラと日常描写が続く。つまらない。
・不定期更新。
・グロは控えるよう頑張る。
・神戸の少年Aの作文の一節を勝手に引用してるけど、権利の侵害とかはよくわからないので無視。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:16:40.19 ID:BcvgbV8n0
やんややんや

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:19:04.46 ID:3rRYORRz0
>>47
これからのツンとの絡みやら殺人鬼になる過程が愉しみですばい

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:21:28.01 ID:wb35G2Az0
続きが早く見たいですねぇ

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:24:44.43 ID:RTL3baFy0
>>47
あんたとダルシムだけはガチ

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:27:09.70 ID:e2yFDma20
wktka

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:30:50.64 ID:SA4m5JSk0
>>47
グロでも構わない俺ガイル

54 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:39:38.60 ID:55WtWgG70
2、跼天蹟地

第二話「跼天蹟地」

人間?うん、それは俺にとってはなんでもなかった。ただの白紙だった。

     ―――”360人殺し”ヘンリー・リー・ルーカス
        逮捕後、彼を質問した心理学者に向かって。



今日も彼女を殺す夢を見た。
僕は毎晩、彼女を殺す夢を見続けている。
しかし、目が覚めると、僕の心はとても穏やかだった。
決してその夢は悪夢などでは無いからだ。
夢を見るようになってから、僕は疲れがなかなか抜けず、顔色も悪くなっていった。
夢が原因ではない。
夢は恐くない。
あの夢を見ても、なおも何も罪悪感を感じず、恐怖を感じない自分自身が恐かった。
あれからというもの、僕は衝動的に動こうとする自分の体を抑えるのに必死だった。
授業中、前の席のクラスメートのうなじをみていると唐突に切り裂きたくなる。
人気の無い場所で誰かと二人きりになると、どうやってそいつを殺すかを考えている自分が居る。
そして一瞬後には僕はそんな自分に恐怖するのだった。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:40:01.93 ID:TvkkayPDP
よし早速まとめ依頼行ってくるwwwwww

56 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:40:34.35 ID:55WtWgG70

彼女を殺してから四日目、警察が来た。
くたびれた、いかにも安物ですといった感じのコートを来た、柔和そうな顔立ちの男だ。
懐から手帳を見せて、「VIP署の者です」と素っ気無く言うと、僕に質問をし始めた。
僕は相手のそんな態度に、刑事者ドラマみたいだな、と思いつつも、冷静に言葉を返していく。
彼女が殺された日に僕が彼女とあっていたことは素直に告げた。
その時に入った喫茶店も、時間帯も。
ただ、喫茶店を出た後は彼女とは別れたと、嘘をついた。
これでいい。
嘘の中に真実を混ぜれば混ぜるほど、嘘の真実味は増していく。
僕に質問しに来た警察も「一応、事情だけは聞いておくか」程度にしか僕を疑っていないのを、態

度からありありと見て取れた。
おそらく、はっきりと僕の顔に浮かんでいる哀しみのせいだろう。
それはただ、彼女を殺してしまっても罪悪感を感じない、おかしくなってしまった自分への哀しみ

だったのだが、警察は気づかない。
周囲からは僕は「恋人を失って絶望のふちにいる男」と映るらしい。
帰り際に、僕を励ますような言葉までかけて言った。
本当に刑事ドラマみたいだった。



57 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:41:09.78 ID:55WtWgG70

学校でも、周囲の対応は似たようなものだった。
クラスメート達は僕に対して気遣うような態度を見せた。
ツンを除いては。

「内藤、ため息ばっかりついてるの見ると、本当にウザいんだけど。」
「・・・・・・・・・ごめんだお。」
「辛気臭いのよ。教室中の空気が重くなるわ。」

流石にこのツンの物言いには、周囲のクラスメート達もぎょっとして、止めに入る。

「内藤、あんまし気にすんなよ。」

仲のいい数人が僕を励ましてくれた。
僕は彼等に感謝した。他人の心遣いが、良心が嬉しかった。
しかし、そんな時にも僕の手は、ポケットに入れられたメスに伸びようとしていた。
それに気づいて、死にたくなった。

その日の下校中、僕は自転車に乗りながらも苦悩していた。
一体何故僕はこんな人間になってしまったのか。

58 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:41:37.09 ID:55WtWgG70
人を殺したというのに、何の後悔も罪悪感も感じていない人間になってしまったのか。
どこで歯車が狂ってしまったのだろう・・・。
考える。
だが、答えは出ない。
自転車を漕ぐ足に力が入る。
中学までは僕は陸上部に入っていた。
県大会でも準優勝までいっていたが、高校に入ってからはぴったりとやめた。
理由は単純。父親が「何時まえでも陸上なんてやってないで、勉強に集中したらどうだ。」と言っ

たからだ。
鶴の一声、僕は陸上をやめた。
しかし、足は走りたがっている。
そのせいか、自転車を漕ぐ足にはさらに力が入る。

――何か、集中して打ち込める物が出来れば・・・。

唐突にそう思った。
僕の体が勝手に人を殺そうと動くのは、また走りたい、体を動かしたい、という無意識下の欲求

から来るのではないだろうか。
無意識のうちに、日常生活のイライラを、フラストレーションを発散したかったのではないか。

―――また陸上をはじめれば・・・。

そう思うと、希望がわいてきた。

59 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:42:07.94 ID:55WtWgG70

――――もう人を殺すことなんて、絶対に考えない。

そう決心した。
既に人を殺した事への罪悪感は、相変わらず感じてはいなかったが、僕は自分の思いついた名

案に酔っていて気づかなかった。
そして気づいたときには―――




―――人を刺していた。

(;^ω^)「なんだよこの展開。」

嘆いてみても現実は変わらない。
自転車で、前に居たオッサンを追い抜くとき、唐突に僕は周囲に人がいないことに気がついた。
気づいたときには刺した後だった。
手が自然に動いていた。
自転車の加速も加わり、メスは面白いほど簡単にオッサンの背中に刺さった。
メスを無理矢理引き抜くと、オッサンはその場に倒れこんだ。
僕は顔を蒼くしながら自転車で駆け抜けた。
幸い、誰にも顔は見られなかったはずだ。
心臓が高く鳴り続けた。
恐怖や罪悪感に、ではない。
興奮に、だ。


60 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:44:22.26 ID:55WtWgG70
数分後には家に着いた。
僕の家は二階建ての5LDK。
「大きな家がいい」という、今は居ない母の要望で建てられた家だ。
父は夜中に帰ってきて朝早くでかけていくので、殆どの家に居る時間を、僕は一人で過ごす。
父と母が離婚するまでは、この家は広くても、冷たくは無かった。
何時でも帰ってくれば底に母が居た。
その”何時でも”が無くなって、初めてこの家の広さに気づいた。
僕は黙って鍵穴に鍵を差し込む。
カチャリ、という音。家の中に僕を待つものは居ない。
そんなことは百も承知だというのに、僕はどうしてもカギを差し込む度に期待せずにはいられない


僕よりも前に、誰か居てカギを開けていてくれるのではないか、明るい電気と共に誰かが迎えて

くれるのではないか。
しかし、僕の期待を裏切るように、鍵からはカチャリ、という音が響く。
もちろん家の中に電気などついているわけがない。
何時からだろう。誰も居ない家を開けるのが、鍵を開けるときの音が苦痛になったのは。
よく思い出せなかった。

61 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:45:15.14 ID:55WtWgG70

「ただいまだお。」

やはり、返事は無い。
父は今日も遅くなるようだ。
僕の父はとある大学の総合病院の外科部長だった。
幼い頃、仕事を終えた父を病院まで迎えに行ったとき、父に執刀されたという患者の家族が、父

に泣きながら礼をしているのを見て、子供ながらに父の偉大さというのを実感した。
自慢の父であったし、僕も将来はそうなりたいと思える目標だった。
父は仕事一筋の人間で、そのために母とは離婚した。
母が家から出て行って、その原因が父にあることは分かっていたが、それでも父は僕にとって、

誇るべき人だった。
そんな父だからこそ、僕も父の期待に答え、将来は医者になるつもりで勉強をする事ができた。
大好きだった陸上だって、父が言ったからこそ止めたのだ。

「・・・・・・・・・・・・。」

自室のベッドに座ろうとして、何かが僕の太腿にチクリと刺さった。
慌てて立ち上がると、帰り道にオッサンを刺した時のメスが、パーカーのポケットに入ったままだ

った。

62 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:45:39.89 ID:55WtWgG70

確認してみれば、メスの先端が刺さったのだろう、僕の右の太腿に小さな血の玉がぷっくりと浮

かんでいた。
僕はティッシュでその血を拭うと、軽く消毒した。
その後、パーカーを脱いで、ベッドに寝転ぶ。
壁を見れば、本棚には医学書がずらりと並んでいる。
オッサンの背中を刺したときの感触を思い出すように、拳を握った。
睡魔は唐突にやってきた。


僕のメスを握る手が翻った。
今日は刺殺。
メスが彼女の右目を刺し貫き、先端が脳まで到達する。
メスを墓標のように右の眼科に指した彼女は、ゆっくりと仰向けに倒れると、しばらくビクビクと動

くも、やがて絶命する。
彼女が死ぬまではお互いに一言も発しない。
それが僕等の間の暗黙のルール。

「わざわざ顔を狙わないでよ、先輩。」

彼女が唐突に起き上がって言った。
僕の夢は何時も彼女を殺して始まる。

63 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:46:21.79 ID:55WtWgG70
「君は・・・もう死んでるお・・・。」

僕は呟く。

「うん、先輩が殺しましたから。」
「・・・・・・・・・・・・。」

僕は押し黙る。

「また、殺したんですね。」

彼女が言った。
あのオッサンの事だろう。

「まだ、死んだって決まったわけじゃないお。」
「嘘。先輩は死んだって思ってる。」
「なんでそんな事君に―――」
「―――わかる。だって私もこの夢も先輩の頭が作ったものだから。」
「・・・・・・・・・・・・。」

何もいえなく成る僕を見て、彼女は笑っていた。
そこで夢が終わった。



64 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:49:58.24 ID:55WtWgG70
次の日、新聞を見た。
昨日、僕の起こした事件が新聞の端に少しだけ載っていた。
今、この街では死体からかならず心臓を持ち去るという連続殺人や、集団リンチ殺人、バラバラ

殺人等のもっと残酷な事件が起こっているので当然だ。
記事によると、刺された47歳の男は重症だが、生きているらしい。
それを読んで、僕の口から自然に舌打ちが響いた。
僕はそのことに愕然とする。
あの時刺した相手が死んでいなかった。
これは喜ぶべき事のはずだった。
だが、僕はちっとも嬉しくなんか無かった。
殺し損ねた事に対する悔いのようなものばかりが、胸の中で暴れまわっていた。
僕は壊れてしまったんだな・・・、
漠然とそう思った。


翌日、僕は廊下に立たされた。
両手には水の入ったバケツ。

(;^ω^)「何時の時代の悪ガキだよ、僕は。」


65 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:50:31.36 ID:55WtWgG70

理由は単純明快。
僕が宿題を忘れたからだ。
まさか、「こっちは人ひとり刺してんだ!!宿題やる心理的余裕なんてねーよ!!」なんて言える

はずも無く、
僕は大人しく廊下に立たされていた。
十分ほどすると、腕が痺れてきたので、ゆっくりとバケツを床に置いた。
授業の終わりに、床にバケツの底の形についた水の跡を発見されて、僕はさらに説教を受けた。

昼休みになった。
僕は屋上に向かう階段を上っていた。
そして屋上の扉に取り付けられた鍵を開ける。4,2,7。憂鬱な番号を打ち込む。
普段は学校に来る途中にあるコンビニで弁当を買うのだが、今日は買い忘れた。
腹は空くが、今から学食に行って馬鹿みたいに長い列に並ぶ気は起きない。
僕はさっさと屋上へと入って、フェンス越しに校庭を眺める。
校庭にはまばらながら人影があった。
高い場所からそれを見下ろしても、僕は「人がゴミのようだ」等と言う感想とは無縁だ。
やはり高いところから見下ろしても人は人だった。

66 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:51:06.02 ID:55WtWgG70
その中の一人一人に僕が悩んでいるような人生があり、同じ密度の時間をすごして来たのだろ

う。
それを僕は殺してしまった。
罪の意識は無い。そしてそれが僕が恐ろしいと思っている事だった。
僕は人を殺す事に罪の意識を感じていない。
つまり、これからも人を殺す事にためらいが無いということ。
罪を感じないからこそ躊躇いも無く、
躊躇いが無いからこそ思考する事も無く、
思考を放棄したからこそ殺人を止める理由は見つからない。
そうなってしまう前に、理由を見つけられなくなる前に、
いや、「人を殺さない事に理由が要る」等と思ってしまっている今だからこそ、
僕はなんとかして自分を止めなければいけなかった。
警察に行くべきか、それとも今ここで、屋上から飛び降りるか。
だが、屋上のフェンスは過去に飛び降りたという生徒のせいで随分高くなっている。
名門学校で生徒が自殺したという事で、当時は結構あちこちのテレビや雑誌で紹介されていた。
あれだけ世間を騒がせてもまだ飽き足らず、こうして今僕の邪魔までするとは、ここから飛び降り

やがった自殺志願の臆病野郎はよっぽど他人に迷惑をかけるのが好きらしい。
その時、屋上のドアが開いた。

67 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:51:49.87 ID:55WtWgG70
僕は思わず屋上の入り口に目を向けて、そこで入ってきたツンと目を合わせた。

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

嫌な沈黙が流れた。

「最悪。」

やがて、ツンが口を開いた。
ツンは普段はクラスの女子たちの中心になって教室で弁当を食べているのだが、たまに一人で

昼休みにどこかへ行ってしまう時がある。
おそらく、今日がその時なのだろう。

「屋上が珍しく開いてたから入ってみたら、あんたが居るなんて。」

ツンが相変わらずのキツイ口調で言った。
僕は答えない。
やがて視線を校庭の下へと移す。

「何無視してんのよ!自殺でもする気?なら早くしてよね。私はあんたの顔なんて一秒だって見

ていたく無いんだから。」

ツンが声を荒げた。
だが僕は静かに校庭を眺め続けるだけだ。
ツンの相手をしているだけの心の余裕は無い。
僕の屋上のフェンスを掴む手に力が入る。

68 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:52:26.92 ID:55WtWgG70

「ちょっと!!内藤!!!あんたもしかして本気なの!!?」

僕のただならぬ表情に気づいて、ツンが先ほどとは別の方向へ声を荒立てた。
僕にずかずかと近づいてくると、僕を屋上のフェンスから引き剥がした。
僕は特に抵抗するでもなく、大人しくツンの力に従う。

「彼女が死んだくらいでウジウジして!!ホントあんた見てるとイライラするわ!!!」
「違うお。」
「え?」
「死んだんじゃないお。僕が殺したんだお。」

いつの間にか、僕はこれまであったことを彼女に話し始めていた。
彼女を殺した事。
罪悪感を感じないこと。
そんな自分が怖い事。
自転車で追い越す時にオッサンの背中を刺した事。
心の中にためていた事は、堰を切ったかのように僕の口から自然と溢れてきた。
それは、誰かに話すことで自分を断罪して欲しかったのかもしれないし、
慰めて欲しかったのかもしれない。
ただ、自分の中にためていた事を外に漏らしてみたかっただけなのかもしれない。
全てを話し終えて、僕はツンを見上げた。
普段のツンの僕に対する態度を考えれば、彼女が僕を罵倒するか、気味悪がるのは確実だった



69 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:53:45.03 ID:55WtWgG70
だが、顔を上げた僕を待っていたのは、僕の想像していたものとは全く違った。
僕の前に広がっていたもの、それはツンの笑顔だった。

―――なんだよ。

僕の前にツンの満面の、だがどこか静かで湖の表面を思わせるような穏やかさを内包した笑顔

が広がる。
それは普段のツンからはとても想像できない様な、とても優しげで、全てを包み込んで許容する

かのうような、そんな微笑みだった。

―――なんだよその顔は。
――――気味悪がれよ!罵れよ!!!
―――――「この人殺し」って!!!罵れよ!!!

「そんな事で思いつめてたの?」

ツンはまるで家族に語りかけるかのように、親しげにそう言った。
僕の頭まで、彼女を殺した事を「そんな事」だと思い始める。

70 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:54:14.66 ID:55WtWgG70

―――やめろよ。
――――僕は人殺しだ。どうしようもない犯罪者だ。

「本当に馬鹿ね、人殺しなんて・・・」

そこで、チャイムが昼休みの終わりを告げた。
どうやら僕が彼女に懺悔もどきの逃避をしているうちに、随分時間がたってしまったらしい。
ツンが台詞の途中で言葉を止めると、「午後の授業に行かなきゃ」と行って屋上から出て行こうと

する。

―――だから、だから・・・

最後に、屋上のドアノブに手をかけたツンが振り向いた。
その顔には、先ほどと同じ微笑。
ニコリ、という擬音が聞こえてきそうなほど、見事な微笑だった。
僕に対して、親しげに。本当に、親しげに。

71 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/18(土) 22:54:43.21 ID:55WtWgG70

――――だから、そんな風に笑いかけないでくれ・・・・・

やがて、ツンは屋上から出て行った。
僕一人だけが屋上に取り残された。
びゅう、と風が吹いた。
寒かった。酷く、寒かった。
そしてそれは、おそらく風のせいだけではなかったのだろう。
僕は静かに身震いをした。








第二話・完

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:58:11.44 ID:ihYW8aF30
あまりに良過ぎて言葉も出ない

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 22:59:29.57 ID:UjMAIPF/O
おいおいキテるぜ

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:01:35.48 ID:e2yFDma20
オモシロスwwww

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:21:14.00 ID:FU7zsOat0
いいね

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:26:14.00 ID:3rRYORRz0
面白すぎて射精しそうだ

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:30:41.29 ID:SWB05wjy0
これは15禁だな

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:30:52.61 ID:1tjCYNMS0
(゜д゜)

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:36:47.96 ID:YQGTAvAc0
これが面白すぎるとか言ってる輩は何なの?
脳漿腐ってんの?






とまでは言わないがもっと小説乃至はラノベを読めよと言いたくなる。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:37:45.72 ID:SWB05wjy0
これ面白すぎる

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:38:29.97 ID:BcvgbV8n0
>>79
まあまあ。作家志望ってわけじゃないんですから

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:41:45.53 ID:KMXkXTCp0
>>79
ラノベ君乙wwwwwwwwwwwwwww

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:44:33.95 ID:3rRYORRz0
ごめん、「小説乃至」って何ですか?

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:44:35.94 ID:S82AuJQc0
>>79
ラノベは比較的低年齢層がターゲットだから導入がわかりやすいんじゃないか?
ラノベじゃなくて普通の小説も読もうぜ。








と、ラノベを読んだことのない俺がいってみる。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:45:37.97 ID:SA4m5JSk0
>>83
ヒント:乃至=ないし

あとは国語辞典ひくんだ!

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:46:39.91 ID:8v05QhNX0
>>83
小説またはライトノベルってことじゃね?

ごめん、適当に言ってみた

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:48:48.87 ID:BcvgbV8n0
>>84
なんかお前が別次元にいるような気がする

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:49:23.86 ID:S82AuJQc0
ひいてみた


ないし 1 【▼乃至】
(接続)


(1)数量・位置などの限界・範囲を述べて、その間を省略する意を表す。…から…まで。
「五日―七日の道のり」「北―北西の風」


(2)または。もしくは。
「本人―代理人の署名」




89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:49:45.23 ID:SA4m5JSk0
>>88
おkおk

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:52:24.73 ID:YQGTAvAc0
>>81
いや別に俺も無糖好きなんだけどね

>>82
ラノベ君(笑)

>>84
まぁ俺もラノベは戯言とキノくらいしか読んだことないんだ。

無糖のこの書き方が読みやすいのはわかるが内容的にもっと充実
したものを読んで若いおまいらはもっとボキャブラリーを増やしたらどうだ
ということです。

>>88
ひとつ賢くなったね^^

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:53:17.35 ID:BcvgbV8n0
読みやすいか?

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:53:50.12 ID:3rRYORRz0
「ないし」を漢字で書くと「乃至」なのね
ちょっと賢くなった。ありがとう

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:56:15.10 ID:SjR6WHj2O
>>90
面白いものは面白い。面白くないものは面白くないでいいだろ。わざわざ批判しなくても…もう昔のVIPとは違うんだし

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:56:37.10 ID:8v05QhNX0
お前ら喧嘩すんな

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:57:16.21 ID:e2yFDma20
喧嘩してないで黙って続きをまて

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:58:41.78 ID:SWB05wjy0
>>90
こなああああああゆきいいいいいい

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:58:42.56 ID:SjR6WHj2O
すまんこ

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 23:58:55.40 ID:S82AuJQc0
ねぇ

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:00:01.17 ID:XeC0nQdL0
内藤ホライズンってずっとあの「おっぱい!おっぱい!」の人のことだと思ってた・・・

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:00:31.39 ID:D9QpTZJ/0
>>99
それ西川

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:01:52.22 ID:DytGryGA0
>>93
>>面白いものは面白い。面白くないものは面白くない〜
その通りだと思う。
だけど俺が>>79で本当に言いたかったのは「盲目的無糖信者UZEEEEEE」なんだよね。
いや、まぁ最早どうでもいいんだけどさ。
>>100
あるあ……ねーよwwwww

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:02:33.60 ID:PvZntx5v0
>>100
長岡だろw

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:02:36.84 ID:n4xDHnNn0
>>101
大筋でおまいに同意

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:03:51.03 ID:D9QpTZJ/0
>>101-102
>>99をあと百回見ろ

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:05:21.04 ID:rzEyYPv60
盛ってる犬に水掛けるヤツも大概だとは思うがな

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:05:51.07 ID:DytGryGA0
>>101
なんか抽象的で自分でもわかりにくい物言いになったが
理解してくれる人がいて嬉しいです><
>>104
ちょwwwwわかった上で言ってるってばwwww

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:06:38.78 ID:jT8UdMbM0
>>106
(;・∀・)

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:11:00.26 ID:O4Og91P10
そうして俺達が議論を重ねている間、無糖氏は既に次スレを立てているのであった





嘘ですよ? 今のところ

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:14:46.23 ID:XeC0nQdL0
うん、内藤ホライズンとジョルジュ長岡がごっちゃになってたんだ。
名前似てね?

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:17:51.51 ID:D9QpTZJ/0
>>109
もういい。抱きしめてやる

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:22:26.18 ID:xpMXdQCz0
続きマダー?

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:31:21.90 ID:YH+C+tvNO
続きは魔少年スレから帰ってきてからかな

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:41:39.19 ID:d6wSSis60
まとめてみた。
ttp://hiding.blog52.fc2.com/

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:44:39.12 ID:zm9k90ORP
あ、まとめはブログか・・・・
なら金輪際見ることはないな

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 00:47:45.01 ID:d6wSSis60
>>114
スマヌ

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 01:11:10.71 ID:jT8UdMbM0
保守

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 01:38:55.89 ID:zHBDYxuh0
浮上

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 02:05:52.57 ID:xB+42iNE0
あげー

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 02:54:30.05 ID:SnB8/rXOO


120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 02:54:38.68 ID:K15xQ7kkO


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 02:55:52.26 ID:SnB8/rXOO
ちょwwwwwww

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 03:07:21.80 ID:K15xQ7kkO
結婚しようぜ

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 03:10:08.80 ID:n4xDHnNn0
yopparaigahoshu


124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 03:28:27.86 ID:K15xQ7kkO


125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 03:49:58.15 ID:BjT+w5/o0


126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 03:50:00.20 ID:fM4FseGDO
保守

マジ疲れた

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 03:52:03.21 ID:DT2FgaIx0
snoop dogg のシリアルキラー

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 04:26:58.28 ID:JUS1CXoV0
保守

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 05:22:18.84 ID:k5kkteuz0
保守

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 05:51:03.33 ID:ihXwynNeO
あぶ

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 06:25:36.62 ID:ToGO9xfn0
hs

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 07:43:14.72 ID:ApXOY1CvO
ほしゅ

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 08:15:23.74 ID:8Y8oIvGe0
保守

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 09:10:39.52 ID:TqZRX9rU0
今北無糖先生じゃんwwwwwwwwww

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 09:25:30.98 ID:ihXwynNeO
まぁどうせラストで「今まで気づいてなかっただろうけどぉれ本当は無糖なんだ!」とか言うんだろうな保守

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 09:29:51.56 ID:M/ls3D6ZO


137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 10:12:01.90 ID:YH+C+tvNO
しゅ

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 10:40:29.25 ID:Mu2/ij9DO
いまからよむからほし

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 11:11:25.96 ID:K15xQ7kkO


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 11:51:02.96 ID:5xvZSzVdO


141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 12:56:51.28 ID:qBKllE8X0
hosyu

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 13:00:40.09 ID:xpMXdQCz0
(´・ω・`)ぬるぽ保守

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 13:02:01.71 ID:n4xDHnNn0
(`・ω・´)ガッ保守

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 13:51:41.40 ID:cLSGk7njO
浮上

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 13:54:07.32 ID:vmkZp1ntO
きめぇ

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 14:28:06.35 ID:3FOZ6yiaO
今回はびぃたんですかwwwwwww

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 14:49:41.14 ID:GJ22x6QxO


148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 15:36:29.84 ID:Mu2/ij9DO
やべ

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 16:01:11.25 ID:jT8UdMbM0
保守

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 16:28:16.67 ID:XiLbgvCb0


151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 16:55:34.25 ID:jT8UdMbM0


152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 16:59:44.41 ID:v2MESKT5O
ほしゅ

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 17:21:52.42 ID:XiLbgvCb0
保守

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 17:42:07.13 ID:jT8UdMbM0
ほしゅ

155 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 17:56:40.27 ID:iqfrw/rq0
ちょっと今日は夜来れそうに無いから今の内に書いたやつ書き込む。

156 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 17:58:14.80 ID:iqfrw/rq0
3、胡蝶之夢

もう喰っちまったよ。

     ―――アンドレイ・チカチーロ
        子供ばかり、56人も殺した連続殺人犯。
        上の台詞は、公判中に被害者の母親の「息子を返せ」という叫びに対して。


それから、その日の学校ではこれといって特筆すべき事が起きたわけではない。
教室に戻ると、ツンは何時もの顔に戻っていたし、屋上で僕が喋った事を誰かに言ったわけでも無いようだった。
午後の授業は何事も無く終わった。

放課後、僕は学校の部活動を覗いて回った。
何か打ち込めることを見つければ、あのわけのわからない衝動も無くなるだろうと思っていたのだが、
そう考えた次の瞬間に人を刺してしまった事を考えると、そういう問題でも無いようだ。
どうやら、事は「ストレスの発散」だとか「打ち込めることを見つけて誤魔化す」とか、そういう段階はすでに超えているらしい。

157 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 17:58:49.11 ID:iqfrw/rq0
面倒だが、父の言うとおり、どこの部活動にも所属していないというのは、体裁があまりよろしくない。
内申にも響くかもしれない。面倒だ。
だから僕はできるだけ運動部を避け、文科系の幽霊部員でも許されそうな、できるだけまともな活動の指定無い部活を探した。
まだ一年の僕等が部活動の見学をするのは珍しい事ではなかったので、大抵の部活は快く見学させてくれた。
途中でそれぞれの部活に所属している知り合いから話を聞きながら、僕は条件を満たした部活を探した。
丁度いい部活はすぐに見つかった。
部室棟の最上階である三階、その一番隅の教室にひっそりと存在する部活。
扉の前には「文芸部」の張り紙。
この学校には文学系の部活が二つある。
文学部と文芸部だ。
前者は創作活動を主にしているが、後者はただ読書するだけ。
創作活動どころか書評なども書かない、ただ本を読むだけの部活。
自然、真面目な部員は少なく、部員の殆どが幽霊部員だという。
僕は軽く扉をノックすると、部屋の中に入る。
部室の奥には夕日が映る窓と少し古いデスクトップパソコン。そしてそれ以外、扉と窓以外の部屋の壁を並べられた本棚が隠している。
四方を本棚に囲まれた八畳程の部室の中心には大きな机と、それを囲むように椅子が八つ。
しかし、八つの椅子の中で塞がれているのは一つだけ。
その一つに座った少女―――1年の間では見たことが無いから先輩だろう―――が読んでいた本から顔を上げて僕を見た。

158 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 17:59:15.80 ID:iqfrw/rq0
腰まで伸びた長い髪と、透き通るように白い肌の彼女がやけに落ち着いた声で話しかけてきた。

「ん・・・、新しく入った一年の子?」

彼女は僕の方を見ると、そう問うてきた。

「違いますお。入部希望なんですが・・・」
「ああ、入部希望ね。すまないね。入部してから未だに一回も着てない子も居るから、まだ一年生の顔は覚えていなかったんだ。」
「はあ・・・。」
「はい、これ、入部届け。とりあえず、うちの顧問は水沢先生だから、君の担任と彼にサインを貰って提出するように。」
「あ、ありがとうございますお。」

僕は入部届けを受け取る。
本来は職員室においてあるものだが、この次期は部活を決めあぐねていた一年生が遅れて入部する、ということもあるので、大抵の部活がその場で新入生に入部届けを渡せるように、部長のサインの入ったものをあらかじめ数枚持っている。
僕はその場で自分の名前を書き込む。


159 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 17:59:38.87 ID:iqfrw/rq0

「内藤ホライゾン?変わった名前だね。」
「よく言われますお。」
「気を悪くしたかな?だとしたらすまないね。私は部長の佐伯美鈴。これからよろしく。」
「いえ、こちらこそよろしくですお。」

軽く挨拶してくる佐伯部長に、僕は会釈を返す。

「どうする?今日から部活に参加することもできるけど?」

と言っても本を読む事ぐらいしかする事が無いけどね、と言って部長は笑った。
大人びた雰囲気をもっているのに、どこか子供っぽい笑い方。

「じゃあ、少し読んでいきますお。」

僕は周囲の本棚を見回した。
洋書や日本文学、その中でも推理小説や子供向けの童話、学術書に翻訳されていない英語の洋書等、脈絡無く本が並べられていた。
百冊や二百冊ではきかない数の本がびっしりと本棚を埋め尽くしている。
その中で明らかに異質な本棚を見つけた。
僕の視線がその本棚でとまる。


160 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:00:04.94 ID:iqfrw/rq0

「ああ、それかい。それは私の愛読書達をあつめた棚だよ。読みたければ好きにしなよ。」

大抵その棚を見た人は君みたいな反応を返すね、と部長は言った。
その本には「完全自殺マニュアル」やら「徹底自殺者」だの「人を殺す百の方法」だの、やけに暗いタイトルの本が並べられている。
別の本棚から本を選んでも良かったが、「どの本を選ぶのかな?」とでも言いたげな、気体に満ちたまなざしを向けてくる部長を見ると、とてもじゃないが別の本棚の前へ移動する事などできなかった。

「じゃあこれを・・・。」

僕は仕方なく、本棚のなかから一番無難そうな本、「人間の臓器」というタイトルの分厚い本を取り出す。
医学書っぽいので手にり、適当なページを開いてみたのだが・・・・・・・・・。

「内藤君、君、お目が高いね。それは人間の臓器の事ならあちこちの国での”相場”から素手での臓器の傷つけ方まで―――」

それを聞いて僕はなんだか目の前が少し暗くなったような気がした。
”相場”とは何の事だろうか。少し聞きたいような気もしたが、だいたい想像がついたのでやめた。
軽く本に目を落とす。適当に開いたページには「三年殺しは実在するのか!!?」という大きな文字と共に、「臓器や骨を損傷させ、即座にではなく、三年後に殺す事は可能なのか」などという論議が延々と続けられていた。

161 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:00:44.82 ID:iqfrw/rq0
手にとってしまった手前、本棚に戻す事もできず、嬉しそうに僕の読書する様を眺める部長の視線をうけつつもゆっくりと読んでいった。
案の定、部活終了時刻を告げる鐘の音と共に、部長に感想を聞かされた。
なんと言ったかはよく覚えていない。
先輩があの大人っぽい雰囲気に似合わない、子供のような笑顔を絶やさなかったところを見ると、僕はちゃんと返事をする事ができたようだ。


その日の夜。
僕は夜のあの道を歩いていた。
彼女の首をかき切ったあの道。
毎晩夢で見るあの道。

「・・・・・・・・・・・・。」

彼女の夢を見るようになって二週間が過ぎた。
僕はもう夢の中で14回彼女を殺している。
夢の中でのことは全て鮮明に覚えている。
だが、僕がどうしても思い出せない夢があった。
彼女を殺す前の日に見た、男を殺す妙な夢だ。
夢の中で男を殺したのは覚えている。
だが、その男の容姿が、霧がかかったようにぼんやりとしていて思い出せない。
何故だか僕にはそのことがやけに気にかかった。


162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 18:05:14.46 ID:ihXwynNeO
キタッ( ゚д゚)

163 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:05:27.48 ID:iqfrw/rq0
それにしても、あの夢のせいかだんだんと現実と夢の区別がつかなくなってきた。
僕は彼女しか殺して無いはずだ。
オッサンのときもやばかったとは言え、殺しては居ない。
なのに、僕の頭はもう15人殺したと認識している。
彼女と、夢の中で殺した14人の彼女。
あの夢は僕の殺人への忌避感や常識を麻痺させるために僕自身の欲求が見せたものなのだろうか。
だとしたら、ヤバイ。
夢のせいで、僕は毎晩ふらふらと歩き回っている。
そのうち、夢の中での事を実際にやりかねない。

そんなことを考えていると、突然横合いから手が伸びてきて、僕を路地裏へと引きずり込んだ。
夜のこの道は人通りが少なく、僕が路地裏に倒れこむところを見ている人間は居ない。
おそらくこの手の持ち主もそれを計算して、僕を引っ張ったのだろう。
しばらく路地裏の奥へと引きずられて、何事かと顔を上げたところで殴られた。
右の頬を殴られたと思ったら、背中にも衝撃。つま先が僕の背中にめり込んでいた。
だが僕は抵抗しない。
これが夢なのか現実なのか、区別がつかなくなっていた。
この痛みすらも夢の中の事のように思える。


164 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:06:01.15 ID:iqfrw/rq0
「なにコイツ、全然テーコーしねえジャン。」
「なんかヤバいビョーキなンじゃね?」
「病気だろうとなンだろうとかまわねェよ。」
「なー、もう帰ろォぜ。『ホーリーランド』始まっちゃうって。」

薬でもやってるのだろうか、聞こえてくる声の抑揚はおかしい。
肩を蹴り上げられて、僕が仰向けになると、僕の視界に四つの人影が入った。
全員が体のどこかに白い色の衣服やキャップ、バンダナを纏っている。
カラーギャング気取りか。アホか。何年前の人間だお前等は。
彼らの中には鉄パイプやらナイフやらを持っているのも居たが、特に恐怖はわかなかった。
僕が最初に感じたのは「ああ、チーマーって地方以外にもまだ現存してたんだ」という事だけだった。
時代の流れに迎合しない、絶滅危惧種な彼らに乾杯。

「なあ、もォいいだろ?今日二人目ジャン。」
「ア?全然足りねーよ。コイツもぶっ殺してやる。」
「お前、パチスロで五万負けたからってカリカリすンなよ。」
「つーかお前バカじゃん?なンで五万もスっちゃうの?」
「オレ等もォ帰るぜ。」
「勝手に帰ってろ。オレぁ一人でもコイツ殺すぜ。」
「はいはい。」


そう言って四人のうち三人が路地裏から出て行った。

165 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:06:22.43 ID:iqfrw/rq0
とりあえず、彼らの会話からピンと来た事がある。
コイツ等はきっと、最近ここら辺で騒がれてる、集団暴行グループだろう。
鈍器や刃物で対象を痛めつけてから金目の物を奪う、「集団リンチ強盗」とかなんとか呼ばれて騒がれてる連中だ。
被害者はわかってるだけで15人。そのうち死者が3人。
その時、僕の顔を影が覆った。
残った一人が手にした鉄パイプを高く掲げて、倒れている僕に近づいてきたのだ。

「恨むンならこンな時間にここをウロついてた自分自身を恨めよ。」

ああ、これは夢だ。
だって、今時カラーギャングなんて都民に居るわけ無いし。
そうだ、夢だったんだ。
夢なら―――

―――何したって構わないはずだ。








166 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:10:21.63 ID:iqfrw/rq0

やってしまった。
僕の腕は、想像していた通りに動いた。
彼女を殺したときと同様に。
気づいた時には、僕の手には血に塗れたメスが握られ、足元には首元を押さえた男が倒れている。
首の動脈から噴水のように噴き出る血をなんとか止めようと、手で押さえていたのだろう。
結局、数分間転げまわって失血死した。
陸揚げされた魚や、鉄板の上で踊る海老みたいで面白くて、ひとしきり笑ったのをかすかに覚えている。
ランナーズハイならぬ、マーダーズハイとでも言ったところか。興奮していて自分が何をしたのかあまり覚えていない。
そのマーダーズハイの余韻だけが残り、体全体が火照っているような、奇妙な感覚があった。
今ならなんだってできる。今自分は世界の中心にいるのではないか。
そんな錯覚さえあった。
しかし、そんな心地よい錯覚はあっけなく崩されてしまった。


167 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:11:12.14 ID:iqfrw/rq0
「なあ、あんた。そいつ喰わねえんならオレにくれねえか?」

肩越しに声をかけられて初めて我に帰った。
少し甲高い感じのする、しかしやたらと暗い印象のみを与える声だった。
まるで、周囲の暗闇をそのまま声にしたかのような・・・。

「・・・・・・・・・・・・ッ!」

僕は慌てて振り返る。

「なあって。聞いてんだろ?そいつの喰わねえんなら、オレにくれよ。」

振り返った先に居たのは、やたらと昏い瞳をした、やや猫背気味の少年だった。
いや、少年などではない。ガキにこの男のような、まるで此の世の絶望の全てを詰め込んだかのような瞳はできない。
やや小柄なのと童顔が相まって中学生くらいに見えるが、おそらく年の頃は僕よりも年上、18か19と言ったところだろう。
男は少々痩せている感のある体躯の両腕、肘から先を血で朱に染めている。
そして、左手には鉈を握っている。2,3サイズは大きいブカブカのフードつきトレーナーと動きやすそうなチノパンを穿いているが、鉈も服も血まみれだ。

168 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:13:03.29 ID:iqfrw/rq0
男の顔の上で、地の底まで続く穴が開いたかのように昏い、闇で塗りつぶしたような色の瞳が圧倒的な存在感を放っている。
まるでその黒い瞳孔から闇が溢れ出しているのかと思えるほどの威圧感が僕を襲う。
それに抗うように男の瞳を睨むと、その視線と男の視線が交錯した。
僕の体が金縛りにあったように動かなくなる。
―――こいつは、”異質”だ。
そう思った瞬間、僕は咄嗟に視線を男の目からそらした。
心中で、先ほど感じていた錯覚の矮小さ、愚かさに恥じ入る。
目の前の男はあまりにも”はずれ”すぎていた。あらゆる物から。

「おい、聞こえてるか?」
「・・・・・・・・・・・・。」

男がゆっくりとした動作で近づいてくる。
その右手に何か赤い物を握っているのに気づき、それを注視する。
それは見知った形状の物体だった。
見知ったと言っても、実際に見たことは無い。
本に載っている図解で見たことのあるだけだった。
僕の部屋にある、医学書で。
僕の目が大きく見開かれて、それを凝視した。
男の右手に握られた、心臓を。


169 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:13:54.78 ID:iqfrw/rq0

「―――――ッ!!!」

もはや先ほどのマーダーズハイなど吹き飛んでいた。
全身に嫌な汗が流れる。
頭のどこかで、冷静な部分がこの男に関する情報を整理していた。
心臓狩り。殺した相手の死体から心臓だけを持ち去るという、連続異常殺人鬼。
意図も目的も不明。目下警察が躍起になって捜索しているシリアルキラー。
現時点での被害者は21名。いや、目の前で手の中に握られている心臓の持ち主も含めれば22名。

「オレはドクオってんだ、よろしくな。」

ドクオと名乗った男は、固まった僕に構わずに、どんどんと近づいてくる。
―――ヤバイ、こいつはヤバイ。
ドクオの行動からは敵意など見られないが、僕にはドクオの視線が、嗅覚が、その"食指"が、どこに向いているのか痛いほどわかった。
僕の傍らに倒れている男と、僕の左胸。
「よろしくな」などとは言ったが、目の前のドクオという男は僕とよろしくするつもりなど毛頭無い。
僕の直感が告げる。脳内危険信号はあっという間に限界地を突破。
―――ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ・・・・・・・・・。

170 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:14:28.38 ID:iqfrw/rq0
やがて、無造作に近づいてくる男の足が、メスを持った僕の間合いに入った。

「うわあああああああああああああああああああああぁぁぁあぁあぁぁぁッ!!!!!!!!」

瞬間、金縛りが解けたように僕は反転して、その場から逃げ出した。
なりふり構わずにでたらめに走る。
男が追ってくる気配は無い。
どうやら、僕の残してきた死体の方を、僕よりも優先したらしい。
その事に多少の安堵を感じつつも、僕の足は止まらない。
恐怖に目を見開いて必死に駆ける僕に、すれ違った人々が訝しげな視線を向けるが、そんなものに構っている余裕は無い。
僕は感じていた。
ドクオと名乗った男に殺される恐怖を、ではない。
もちろん恐怖も感じている。呼吸がうまくできなくて苦しいし、先ほどから上下の歯が震えてうまくかみ合わず、カチカチと音を立てている。
だが、それ以上に僕はひとつの予感を感じていたのだ。
そう、僕はどうしようもないほどにその予感を感じていた。
これ以上あの男と接していると、僕も”はずれ”てしまう。
その確信があった。






171 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:22:42.78 ID:iqfrw/rq0

家に帰るなり、僕はドタドタと音を立てて階段を上がり、自室へと向かった。
部屋に入るなり、そのまま本棚にもたれる様に座り込み、自らの膝を抱きかかえる。
両膝を一周するようにまわされた僕の両手は未だに震えていた。
部屋の中に、僕の上下の歯がぶつかり合う音だけが響く。
カチカチカチカチ。
玄関には父の靴があったから、父はもう帰ってきているのだろう。
家に向かって走っている時、父の部屋の電気が消えていた事は確認してある。
おそらく、もう眠っている。
助かった。
まず僕が考えたのはそれだった。
部屋に入ってから気づいたが、僕の体には返り血がついている。
あの四人組のうちの一人の首を切ったときについた血だ。
父親が起きていてこの姿を見られたら大騒ぎになっていたところだ。
何人かに返り血を被ったまま走っている姿を見られてしまったが、あの暗闇の中だ。
僕だとはわかるまい。
カチカチカチカチ。
上下の歯がぶつかり合う。
震えが止まらない。

172 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:23:03.41 ID:iqfrw/rq0
自分の歯がぶつかり合う音さえ僕の恐怖心を煽っていく。
ゆっくりと自分が別のものになっていく感覚。
自分自身が自分の全く知らない、未知の存在に変わっていく感覚。
なんでこんな事になったのか。
なんで、なんで、なんで、なんで――――

「動画・・・。」

その時、僕は確かに今の自分の源(ルーツ)にたどり着いた。
恐怖に追い詰められた極限状態の中で、僕は奇跡的にそれにたどり着いた。
思い至ると同時に、デスクの上のPCにかじり付くように近づくと、電源を入れる。
ウインドウズが立ち上がると同時にIEのアイコンをクリック。IEを開く。
やはりホームはヤフー。あのわけの分からないURLには繋がらない。
僕は履歴を漁るが、一週間以上前の履歴は消すように設定してあるため、見つからない。
クッキーも漁ってみるが、同じだった。

「糞・・・・・・ッ!!!!」


173 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:23:34.68 ID:iqfrw/rq0

苛立ちを感じつつも、検索エンジン、Googleを開く。
そしてキーボードに素早くタイプ。「ウイルス ホーム 書き換え」で検索する。
Googleの検索で表示されたウェブサイトを、順番に開いていく。
その中で「2ちゃんねる」というページを発見。
躊躇する事無くそのページを開く。

「これだお・・・。」

我知らず、僕の声が震える。
そのページには、「2ちゃんねる」と呼ばれるウイルスの詳細が記載されていた。
ワーム機能を持つウイルスで、メールを介して感染。
ファイルの破損等の実害は無く、ただウェブブラウザのホームページのURLを書き換えるだけ。
ウインドウズ、マッキントッシュ等のOS、ウェブブラウザの種類に関係なく感染。
一度書き換えたらそれ以降は何をするでもなく潜伏。どこかに情報を送り続けるだけのスパイウェアと化す。
書き換えられた後のURLはブラクラだったり、ウイルスのDLページだったりと一定ではない。
2004年末から日本で流行し、未だに世界的に流行し続けている。
初期には、書き換えられた後のURLは一定で、何らかの動画ファイルを再生するだけらしい。
その動画を見たら一週間後に死ぬ、等の色々な噂が流れたが、真偽の程は定かではない。
命名者、名前の由来等は不明だが、「チャンネルを切り替えるようにホームのURLが変わるから」という説が有力。


174 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:24:05.70 ID:iqfrw/rq0

「・・・・・・・・・・・・。」

ゆっくりとウェブサイトに記載された情報を読んでいくが、僕の知りたい情報は詳しくは書かれていない。
その書き換えられた後のURLで再生される動画とやらについて詳しく知りたいというのに・・・。
僕は再びGoogleのトップページへ移動し、検索ワードを「2ちゃんねる 動画」に変更。再び検索。
すると、ウェブ上のあらゆる噂について話合っている掲示板を発見。
それを開く。
「【トロイたん】ウイルス擬人化スレ【テラモエスww】」「結局最強のウイルスはマクロ感染型なんだろ?」「僕のインターネットが壊れました><」
等、様々なタイトルのスレッドが並んでいる。
キーボードの「Ctrl」と「F」キーを押して、「2ちゃんねる」を検索。
すると「2ちゃんねる総合 Part27」というスレッドを発見する。
落ち着いてそれをクリックし、スレッドを開く。
対処法、駆除法に関する書き込みが殆どだが、中には「それに感染して再生された動画を見た友達が一週間後に死にました」というような眉唾物の書き込みまである。
その中で「オレはこのウイルスのぉヵゲで、人生変ゎったネ(ぁ」という書き込みを発見する。
僕の息が荒くなる。
流行る心を抑えてキーボードをタイプし、書き込み。
「このウイルスに感染して、変な動画を見せられたのですが、どうしたらいいのでしょう?」
自分の質問が掲示板に書き込まれたのを確認すると、他の人が僕に向けて書き込みをするのを大人しく待つ。
五分程待ってブラウザを更新すると、僕の書き込みに対してレスがついたのを確認。
「ここでも読んどけ^^;」という発言と共に、URLが書き込まれている。
僕は急いでそのURLをクリックして―――

175 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:26:56.66 ID:iqfrw/rq0
「な・・・・・・ッ!!!!」

―――開かれたブラウザ一杯に頭の爆ぜ割れた男の顔写真。
さらに、次々とウェブブラウザが開かれて、同じページが表示されていく。
ブラクラだ。
気が動転した僕は思わずPCの電源スイッチを抑え、強制終了。
電源が落ちて、モニターの電源ランプだけが点滅する。

「やられたお・・・。」

その思いと共に、僕の中にふつふつと湧き上がってくるものがあった。
怒りだ。

「・・・・・・人が真剣に質問してるのに、なんてヤツだお。」

再びPCの電源を入れ、IEを起動。
履歴から先ほどの掲示板を開く。
>>344さん、人が真剣に質問してるのになんでそういう嫌がらせするんですか。変な画像がいっぱい出てきたんですが。」
と書き込む。

176 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:27:31.82 ID:iqfrw/rq0
二分ほど待って更新すると、さっそくレスがついている。
>>346 マジであんなURL開いたの^^;URLの最後の拡張子が.exになってるのに気づかなかったの?^^;真性?^^;」

(#^ω^)「・・・・・・・・・・・・こいつ・・・・・・。」

最初は焚き火程度だった僕の怒りの炎は、一気に大火災へと発展。
怒りの衝動のままに再び書き込みをする。
「人が一生懸命頼んでいるんだから、教えてくれてもいいじゃないですか。それにブラクラのURLを貼っておいて、悪びれた様子も無くそんな書き込みをするなんて、信じられません。」
すると、今度は一分ほどでレスが帰ってくる。
「あのね、何でも人に聞けば答えが返ってくると思わないで^^;少しは過去ログ読んだり、自分で探す努力をしろよ^^;初心者は半年間ROMってろ^^;」

(#゚ω゚)「・・・・・・・・・ッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」

僕の頭の中で何かが切れる音が響いた。


177 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:28:23.77 ID:iqfrw/rq0

「ふざけんな。20以上もある前スレなんていちいち読んでられるわけねーだろ!!!何様のつもりだ!!!!」
「やれやれ^^;それ、人に物頼む態度じゃないんじゃないかな^^;礼儀も知らんのか、このゆとりが^^;」
「僕がゆとり教育世代だとしても、あなたがブラクラを貼ったという悪事が許されるわけでは無いでしょう!!話を逸らさないでください!!」
「ゆとりなの?^^;だから馬鹿とガキにはネット環境を与えるなとあれほど(ry^^;どうせウイルスガードにも入って無いんでしょ^^;だからあんなブラクラに引っかかるんだよ^^;」
「ウイルスガード?あと俺はゆとりじゃねーけどな。」
「ブラクラを未然に防いだり、個人情報漏れを防ぐ事ができるシステムだよ^^;名前欄に『Fusiana』って入れて書きめば登録できる^^;常識じゃん^^;それくらい知っとけよ、ゆとり^^;」

(;^ω^)「ウイルスガード?なんだかよくわからないけど入っておいた方が良さげだお。」

とりあえず、これ以上ブラクラを見せられたりしたらたまらない。
まずは相手と同じ土俵に立たねば、と思い、僕は名前欄にFusianaと打ち込み、書き込みをする。
これで登録ができたはずだ。

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 18:28:33.91 ID:Wu5Es9UE0
こないだ虫師書いた人だな
期待w

179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 18:30:36.02 ID:jT8UdMbM0
騙されてるwwww

180 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:32:03.99 ID:iqfrw/rq0
しかし・・・・・・、
「うわ^^;今時Fusianaに引っかかるやつなんてまだ居たんだ^^;しかもお前都民じゃん^^;」

(;^ω^)「な・・・ッ!!住所がバレてるお!!!!」

ただ、リモートホストからプロバイダー、接続元の大まかな地域を調べられて、都民だと言う事を特定されただけなのだが、初心者の僕にそんなことが分かるはずも無い。
「もしかして同じ○○高校の方ですか?」
「お前、頭沸いてんのか^^;Fusiana=自分のIPを晒す、偽防止のためのシステム^^;ブラクラだけじゃなくてこんなのに引っかかるなんて・・・・・・^^;つーか○○高校って・・・^^;」

(;^ω^)「騙されたお・・・・・・。」

その事を理解した瞬間、さらに僕の中の怒りの炎は勢いを増して言った。
既に僕の理性は全焼。それでもなお燃え続けている。

(#`ω´)「この野郎・・・・・・。」

僕はまるでキーボードが仇であるかのように、大きな力を込めて文章をタイプしていく。

181 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:33:06.06 ID:iqfrw/rq0
「ふざけんな!!!どうせPCばっかりやってるオタクなんだろ!!!そんなの知ってるのはオタクだけだ!!!自慢になんねーよ!!!!」
「やれやれ^^;自分の知らない知識を持ってる人間は全員オタク扱いかい^^;学校の先生もオタク、専門技師もオタク、周りの大人もみんなオタク^^;おや、君以外の人間はみんなオタクになってしまうね^^;」
「ふっざけるんな!!!!!お前、どうしようもなく性根の腐ったヤツだな!!!いいから早く俺の質問に答えろよ!!!あの動画見たらどうなるんだよ!!!!それに答えて汚名挽回してみろオタク!!!」
「『ふっざけるんな』←落ち着け^^; あと、汚名は返上するものであって挽回するものではない^^;汚名挽回してどうすんの^^;さすがゆとり^^;」

(#゚ω゚)「コイツ・・・・・なんてヤツだお・・・・・ッ!!!!!!!!!!!」

だんだんと当初の目的から外れてきたが、モニターの向こうでほくそえんでいるであろうコイツだけは許せなかった。
怒りに任せてさらに書き込みを続ける。
どういうわけか、僕が書き込みを始めてから、他の書き込みが増えてきた。

182 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:34:09.13 ID:iqfrw/rq0

「香ばしい厨が居ると聞いてやってきました」
「VIPから来ますた。VIPから来ますた。VIPから来ますた。VIPから来ますた。ザッザッザッザッ」
「これはいいゆとりですね。」
「テライタスwwwwwwwww」
「汚名挽回ワロスwwwwwww」
「VIPから汚名挽回しに来ました。」
「汚名挽回に来ますた。汚名挽回に来ますた。汚名挽回に来ますた。汚名挽回に来ますた。ザッザッザッザッ」

最初は妙な顔文字を使うヤツ一人を相手にしていたはずが、いつの間にか僕にレスをしてくる相手の数は十人以上になっていた。
僕が一人にレスを返してるうちに、その十倍、二十倍ものレスがついてくる。

「お前等みたいなオタクはすべからく馬鹿ばっか(笑 そうやって初心者に嫌がらせして悦に浸ってて、マジキモイんだけど(バクショ オタク知識が大きいくらいで何偉そうな事言ってんの?あと俺はゆとりじゃねー。」


183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 18:34:41.71 ID:ihXwynNeO
そういや^^;乱発するヤツって何処にいったんかな?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

184 名前:微糖栄助 ◆HOKURODlk6 :2006/02/19(日) 18:34:44.38 ID:iqfrw/rq0

「『知識が大きい』って表現は初めて聞いたなwww」
「どうでもいいけど『すべからく』ってのは『すべて』って意味じゃねえぞwww」
「『お前等みたいなオタクはすべからく馬鹿ばっか』←??????『おまえらみたいなオタクは馬鹿ばかりで当然であるべきだ』って事?????」
「流石ゆとりwwwwwwwwwwwwwwww」
「何?コイツ○○高生なんだろ?名門校でもバカって居るんだな。」
「所詮ゆとり。高校生なわけねーじゃん。よくて厨房。」
「どうした?だんだんとレスが遅くなってるぞ?www」
「誰か王子呼んで来い。革命王子とこのゆとりとの対決が見てみたい。」
「お前等落ち着け^^;どうせ釣り・・・、なわけねーか^^;コイツ、マジでゆとりだわ^^;」

あっという間にスレが1000まで埋まり、次のスレッドが立てられる。
次のスレッドを開くと、そこにはあの不快な顔文字を使う、諸悪の根源ともいえるヤツの書き込みがあった。

「どうした?^^;もうゆとりはお寝んねの時間か?^^;」

(#^ω^)「・・・・・・・・・・・・。」

―――いいだろう。そこまで言うのならとことん付き合ってやろうじゃないか。

僕は時間が過ぎるのも忘れ、PCのモニターを睨み、指を動かし続けた。
四面楚歌の、僕の孤独な戦いが始まった。




第三話・完

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 18:37:26.95 ID:jT8UdMbM0
なんか、( ^ω^)ブーンは2ch初心者なようですみたいだなwwww

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 18:47:56.08 ID:vVnU/jUTO
話ずれすぎwwwww

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 18:58:55.16 ID:XiLbgvCb0
保守

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 19:01:22.98 ID:3FOZ6yiaO
びぃたん乙!
王子好きだなwwwwwwwww


こないだの蟲師寝てて読めなかった・・・

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 19:01:26.36 ID:fIF2S7X30
これ面白いなー

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 19:05:01.95 ID:ihXwynNeO
無糖作品は例外無くおもしろい。
その為信者も多い。俺とか><

見かける度に後ろの処女貰って下さい><と言ってるのは秘密だ

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 19:29:45.11 ID:jlhUG0it0
ブーンバロスwwwwwwwwww

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 19:52:42.22 ID:jT8UdMbM0
保守

193 名前:魔少年D.T ◆aTTIDOUTeI :2006/02/19(日) 19:54:11.48 ID:cz9NjLZ40
女性の細い首を絞めたいです(;´Д`)ハァハァ

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 20:02:13.73 ID:jT8UdMbM0
魔少年も大変でつね

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 20:14:05.02 ID:O4Og91P10
>>193
次の患者さん、どうぞ

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 20:27:47.58 ID:XiLbgvCb0
>>195
IDがオシオ

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 20:36:29.26 ID:PBr4s2sb0
これはオモシロスwwww

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 20:56:37.64 ID:M/ls3D6ZO
ほしゅるお

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 21:02:40.29 ID:ueFhEIKA0
ホッシュ

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 21:13:12.04 ID:3FOZ6yiaO
ましょ君おいすー^^

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 21:14:46.87 ID:jlhUG0it0
良作age

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 21:20:26.43 ID:J08igYYmO
シリアルキラーをリアルヒッキーと読み間違えてた。

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 21:38:12.83 ID:xpMXdQCz0
保守

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 21:53:27.15 ID:WfIFZJZE0
浮上

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/19(日) 22:05:58.62 ID:/uc7Rt3BO
ほす


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