爪'ー`) 階下からのようでしたが・・ ちょっと見てきます
     王はそのまま仕事を続けておいて下さい

(; ^ω^) 頼むおー


[階下]

爪'ー`) なんだなんだ、何事だい君たち?
テクテク

(; `ー´) ・・あ! だ、大臣!

爪'ー`) なんだいさっきのでっかい音は? 大砲でも飛んできたのかい?

(; ノAヽ) な、なんかよくわかりませんが・・
       突如女の子が壁を破壊して突っ込んできたノーネ・・

爪'ー`) 

爪'ー`) は?

(; `ー´) とりあえずひきずって牢につっこんでおきました
       半ば放心状態だったんですが、治療の必要はないかと・・

爪;'ー`) ・・・・?


[牢屋]

:从i! д从: ハァーッハァーッハァーッハァーッ・・
 ガタガタ  ハアァーッハァーゲホッ・・! ゲ・・ッ! ハァーッハァーッ・・!

お、おま、ちょ、よおhjな、xま、怖、 ば… こっ…
ふざ、z、ふざあけ、ふざけんあ、こ、こわ、わっ、わわああっぁぁあ…
じぇ、えjっと、じぇっと、こそう8たー0…! じぇttぉくぉすたー…!


ガチャリ


爪;'ー`) お、おお・・っ!? 本当に女の子じゃないか
      石壁破壊して突っ込んだのによくも無事で・・ ・・つーか状況がよくわからん 誰だ君
      アレか 飛行石でも持ってるのか ・・いや、浮くだけだったかアレは

:从i! д从: ちが、ほ、ほ、ほうき、と、とb とぶ、l、ぼうとしt、たらっ
 ガタガタ  こんtl、ろーrこんとろr できな、な、なkty。、tkk、mつk、tっこんm、んで・・
       じぇtt、こーsじぇっとこすt−あ・・!

爪;'ー`) 「蜂起起こそうとしたらトロルが突っ込んできてジェットスクリームアタック」・・?
      意味わかんねぇ・・ 頭でもぶつけたのかね?

:从i! д从: ぁぅぁぅぁー・・
 ガタガタ

爪;'ー`) ・・・・・・


[30分後]

从;゚∀从 めっちゃ怖かった

やばい 何あれやばい まじやばい あれやばい
優雅に箒で飛行を楽しむつもりが人間ロケット花火だった
防御壁張ってなかったら絶対死んでた 誇張なしに死んでたやべぇ
あぁ、せっかく買った箒が壊れてしまった…


爪'ー`) お、やっと正気に戻ったかい・・
     ・・まだすっごい涙目だぞ君 本当に何があったんだよ・・

从;゚∀从 別に泣いてねーしぃー! ゴミ入っただけだしー!
       怖くて泣きそうになったわけじゃねぇーしぃー!!

爪'ー`) 割と面倒くさそうな奴だな君・・ とにかく何者なのかを喋りなさい
     返答次第じゃずっとここに居てもらうことになるよ

うおお…! 気付くとあの時の牢じゃないか…
二度と来るまいと思っていたのになんだよもう
踏んだり蹴ったりとはこのことだぜ


从 ゚∀从 あ、あのだな 実はこの国の姫から手紙を預かってきていて・・
      王に渡しにきたんだよ

爪'ー`) !


爪'ー`) では、君がハインリッヒかい? 姫と一緒に暮らしているという・・

从 ゚∀从 そうそう ハインちゃんだよ
      いつでもお仕事承っております あ、これ名刺ね

爪'ー`) ふーむ・・ で、手紙というのは? ちょっと貸してみたまえ

从 ゚∀从 あ、これこれ 

爪'ー`) ・・別に爆弾とか仕込んでいるわけでは無さそうだねぇ
     普通の手紙だね

从;゚∀从 別にテロおこしにきたわけじゃねぇよ・・
       あ、いや、壁については謝るけどさ あれは事故だ 箒が制御不能で・・

爪'ー`) ・・・・・・

爪'ー`) 分かった、じゃあこの手紙は私が王に渡すことにしよう

从 ゚∀从 ん? あ、いや、俺が直接渡すよ とりあえずここから出してくれ

爪'ー`) ・・すまないが、それは無理って話だよハインリッヒ君

从 ゚∀从 

从 ゚∀从 え?


爪'ー`) 非常に申し訳ないが、私は元々君とは面識がない
     だから君が本物のハインリッヒかどうかも私には判断出来かねる
     この手紙を王に渡し、本当に姫からのものだった場合は出してあげよう

从;゚∀从 えー・・ いやいや、俺が直接渡したいんだけどな
       メッセンジャーとしての醍醐味はそこにあるんだよ

爪;'ー`) だから身分証明が出来てない君を王に直接会わせることは出来んのだって
     君が偽物だった場合、王が危険な目にあうともかぎらんだろう

爪'ー`) ・・それに、王は御多忙だし、私だって忙しい
     やっと国が立ち直り始めている今、余計なことで時間を取らせるわけにはいかない
     手紙は渡すから、確認が取れ次第そのまま帰ってくれたまえ

从;゚∀从 何っ! 会わずに帰れと言うのか! お小遣いとか貰う気でいたのに!
      100万カラットのダイヤモンドとか貰いたかったのに!

爪;'ー`) ああ、悪いがそのまま帰・・ ひゃ、100万カラット・・!? どんだけ巨大なダイヤだよ・・
     とにかく、このままそこに居てくれ 王の仕事が一段落したぐらいで渡すことにするから
     1,2時間の辛抱だ それじゃあ

从;゚∀从 えええぇぇぇめんどうくせー! こ、このやろ! 俺がどれだけ苦労してここに来t・・
       あ、待ていくなッ! こら! ダイヤ! ダイヤモンドくださァーい!! 10万カラットでいいからー!!


あ、あのすまし顔野郎、手紙だけ持って行きやがった…ッ!
これじゃ俺が命からがら来た意味無いじゃないか、なんだよもう!
忙しいのは分かるが、俺というオアシスに身を浸らせてやるぐらい問題無いじゃないかこんにゃろ!


从 ゚∀从 ・・まぁいいさ 奴め、俺が魔女ということを失念していたな
ガリガリ

早速脱出の準備にとりかかるとしよう
俺をこんな牢に閉じ込めておくなど、カギをかけずにハムスターを巣箱に入れておくのと同意義ッ
ああ、それにしても最初からこれで来るんだった トラウマ作るんじゃなかったよ爺ちゃん…


从 ゚∀从 (とりあえず大臣のとこまで言って手紙を返してもらおう)

そして王様に手紙を渡し、ダイヤを貰って帰還だ
図書館で本を借りてくのも悪くないな 借りるだけだ、うん
そんじゃさらばだ牢よ もう二度と来ることもあるm

从 ゚∀从 

从 ゚∀从 あれ?

从 ゚∀从 

从;゚∀从 ・・あれ?



ん…?


从;゚∀从 ・・え? え? え? なんだ?

从;゚∀从 魔法が・・ 使えない・・?

…なんかデジャヴを感じるぞ
そうだ、そういえば最初に王に会おうとした時も魔法が使えなかった気がする
しかも今回は移動先をかえても全く使える気配がない


つーことは…


从;゚∀从 ・・城全体で魔法使えねぇのかッ!?


しまったああああぁぁぁ抵抗領域かあああぁぁ…っ!
こんな用語は二度と出てこないだろうと思ったらここにきて出てきたあああぁぁ…っ!
しかも効果範囲が広がって復活しているとは…ッ!
つーかこの城、もう魔術師は居なかったんじゃなかったのか!? 誰だよもう!


从;゚∀从 え!? え!? じゃあ俺このまんま!?
      一人でずっとここで待つの!?
      フザけんなすまし顔野郎! おおおおい! 誰かああああああ!!


そう、こうして俺の監禁生活が始まったのであった──
↑はじまんねーよ馬鹿! バアアアアアアカ! みんなバ────カ!!


从;゚∀从 いや、待て待て 取り乱すな俺 何も戦地じゃないぞここは
      確かアイツ「1,2時間の辛抱」とか言ってたな・・ すぐ帰れそうっちゃ帰れそうだ
      ・・しかし釈然とせんな!

割と自由奔放に生きてきた身にとって、拘束されるのは非常に歯痒い
好意でやってきたというのに、死の絶叫と監禁という苦しみを味わうとはたまったもんじゃない
どれもこれも全部あのすまし顔野郎のせいだ 箒の件もあのすまし顔野郎のせいだ


从#゚∀从 くっそー・・ 嫌がらせにガムをそこらじゅうに貼り付けてやる
       ストロベリーガム地獄だ ふふん、ざまあみやがれ


< 一体何をやっているんですかあなたは・・


从 ゚∀从 ん?

ガムの包み紙を大量に開け、粘着地獄への門を開けようとしたまさにその時
地下牢への扉をあける音とともに、聞き覚えのあるあの声が


(;@∀@) こらこら、やめなさい 掃除する人が大変でしょう

从 ゚∀从 

从;゚∀从 えっ


从;゚∀从 お前、神父・・ だよな?
       ・・え? え? なんでいんの? ストーカーか?

(-@∀@) ちゃうわ失礼な! シューちゃん達から君がここに来るって聞いたのさ
       城内に入れなくて困ってるんじゃないかと思って手助けに来たんだけど・・
       まさかとっつかまってるとは思いもよらずだよ

从;゚∀从 お、おぉ そうか お前も魔法使いだったな
      ・・でもアンタ、どうやって城の中に入ったんだ? 魔法使えないはずだぞ
      それに手助けって何を・・

(-@∀@) 魔法なんて使わずとも顔が利くのさ、ぐっへっへっへっへ
       さぁ、ここから出してあげよう 大臣にはもう話をつけてきてあげたから

从;゚∀从 ?

なんか流れが飲みこめん
顔が利くってどういうことだ…?

(-@∀@) ほい、鍵開けたから出られるよ さぁさぁ

从;゚∀从 ・・・・もしや


从;゚∀从 お前、この城の元"占い師"ってやつか?

(-@∀@) ふっふっふ 改めての自己紹介は必要なさそうですNE


魔術師自体が珍しいから、こいつのことも多少気にはなっていたが…
案外世界は狭いもんだな、こんなところで繋がっていたとは思いもよらず
いや、しかし…

从;゚∀从 お前・・ それにしては若すぎやしないか?
       見た目、俺と大して変りない年齢に見えるが

(-@∀@) いやだなぁ、僕らは魔術師ですよ
       年齢を取らない術だって開発しようと思えば出来るのです
       年齢的には既におっさんですぜ

从;゚∀从 はぁー・・ こりゃ驚いたな
       ・・じゃあお前、元々シューのこと知ってたのか?

(-@∀@) はい、あの子は僕のことを知りませんがね
       別に言う必要もないでしょうから黙ってますけども

从 ゚∀从 じゃああの国でシュー達と会ったのは偶然かい?

(-@∀@) えぇ、えぇ、そりゃあもう驚きましたね、姫様がいるとは思いもよらずですよ
       ・・とにかく色々聞きたいことはあるでしょうが、まずは移動しましょうか
       監禁というシチュエーションは個人的にヒットですが、ジメジメしててここ嫌いです

从;゚∀从 お、おお そうだな 平手打ちを喰らわせたい気分だがひとまず移動しt・・
      あ、そうだ手紙ッ! 返してもらわなきゃ!

(-@∀@) あぁ、大臣が持ってっちゃったのかい


从#゚∀从 あのすまし顔野郎め!
      このままじゃメッセンジャーとしての顔が立たん! 俺を幽閉しやがって!

(-@∀@) まぁまぁ落ち着きんしゃい 元はと言えば君があんな無謀なことするからだよ
       つーか城を壊したお金を請求されてもおかしくはないよ・・

从 ゚∀从 むぅ・・ それはそうだが・・ 出来れば直接渡したいよ、手紙

(-@∀@) それは辞めた方がいいでしょう
       君が思っている以上に王は多忙です 今じゃ一分一秒ですら時間が惜しいぐらいだ
       ここはあの大臣に任せて、私達は会わずに帰りましょう 邪魔しちゃいけませんよ

从;゚∀从 えー! 手紙もらった反応とか見たかったのにー!!
      これじゃ苦労してここまで来た意味ないじゃないか! 死ぬかと思ったんだぞー!

(-@∀@) 自業自得でしょうに・・
       なんなら図書館の魔術所でも持って帰りますか?
       私以外に誰も読む人いないでしょうし、返してくれるなら多分いいですよ

从 ゚∀从 ・・え、いいの? 本くれるのか?

(-@∀@) 貸すだけですよ ちゃんと返して下さい

从 ゚∀从 おー! 譲ってくれるのか! ただの変態だと思ってたけどやっぱり良い奴なんだな!

(-@∀@) うん、人の話はちゃんと聞こうね


[図書館]

从 ゚∀从 ──うーん いつ見ても凄い本の数だな、こりゃ

そんなこんなで、昔クーと一緒に忍び入った図書館に
いや、まさか本をくれるだなんてね、棚からぼた餅ですよ
シューにブーンの反応を伝えてやれないのは残念だけど、まぁいっか


(-@∀@) ついでに領域の中心ですんで
       ここからなら、魔法使って一気に帰れますよ

从 ゚∀从 おー、なるほど そりゃ楽ちんだな!
      そういや、またこの領域作ったのはお前か?

(-@∀@) うん、ちょっと前に依頼があってね
       今度は頑張って城全体に行きわたらせましたよ
       これならシューちゃんがどこにいたって、悪い魔術師に拉致されるなんてことはありません

从 ゚∀从 あー・・ そっか、魔法に対しては無防備な状態でいたもんな
パラパラ

(-@∀@) 元々シューちゃんも上階に部屋がありましたからねぇ
       まぁ今さらそんなそんな心配せずともいいですけど

从 ゚∀从 まーね ・・あ、この本面白そう 貰おっと

(-@∀@) だからあげねーっつーの


从 ゚∀从 そうそう、ところで占い師なんだって?
      やっぱり予言とか、そういうことやって政治とかやってたの?

(-@∀@) いやいや、正式には単なる「宮廷魔術師」です
       占いは単なる趣味でちょこちょこやってただけでしてね
       基本的に、魔法が必要そうな場合に何かしら活動するんですよ

(-@∀@) ・・代々、この城は魔法使いを置いているんです
       そしてその魔術師が自身の子供を教育し、子供が役職を継いでいくわけですね
       私は小さい頃から父のもと、ここで魔法の勉強をつみました

从 ゚∀从 ほう、インテリだな! 道理で高度な魔法使えるわけだ
      ここに侵入したときは大分苦労したぞ、あの魔法解除するの

(-@∀@) (解除出来ないようにしてたんだけどなぁ・・・・)


基本的に魔術師の家系は、親が子に魔法を教える場合が多い
その程度もピンからキリまであるわけだが、宮廷魔術師の家系ともなると最高レベルの教育を施されているだろう
俺の爺ちゃんはそんなに高度な魔法教えてくれなかったからなぁ
ああ、羨ましい

从 ゚∀从 いいなー、ガムあげるからなんか俺にも教えてくれよー

(-@∀@) パンティくれるなら教えてあげる

从 ゚∀从 歯を食いしばれ


从 ゚∀从 そういや聞きたかったんだけどさ、どうしてお前はここ辞めたんだ?
      普通そう簡単に辞めれるもんじゃないだろう

(;"#)∀@) ・・別にやめた訳じゃありませんよ
"        ちょっと研究に専念したいなって思いまして、無理をいって長い休暇を貰ったわけです
       んでもってあの国の使われなくなった教会を借りて住んでるんです

从 ゚∀从 ・・? なんだ、そんな単純な理由か  おっ、これも面白そうだな

(-@∀@) 姫の厄祓いが終わったら復帰しようかと思っています
       そろそろ私の預金も底をついてきたことだし、城には人出が足りませんから

从 ゚∀从 ほう そりゃいいこった 魔法使い一人いりゃ大分違うだろうからね

(-@∀@) 正直、ここから離れたことには多少罪悪感は持ってるんですよ
       私が力になっていれば、ブーンにも余裕が出来たかもしれませんし・・

从 ゚∀从 ・・・・・・

从 ゚∀从 (ん?)

なんかよく分からんが、どうも違和感を感じるな
神父の言動にちょっとひっかかる部分があるというか、なんというか…
何かしら辻褄が合わないことがあるような気もするが、思いすごしか?


从 ゚∀从 

从 ゚∀从 ・・お前、俺の国でシューに会ったのは本当に偶然だよな?

(-@∀@) ん? そうですけど何か?
       別に故意に会う必要もないでしょうに

从 ゚∀从 そーだよねー・・ いや、すまんすまん 何でもねえや

(-@∀@) はっはっは、まあゆっくりしていってくださいな
       どれ、私も久々になんか読もっかなー

从 ゚∀从 ・・・・・・

从;゚∀从 (んー・・?)

…? なんだこの自分でもよくわからん感じは…
どうも歯車がかみ合わないというか、妙にスッキリしない
こいつが宮廷魔術師として城に居たということまではいいが、何か…


(-@∀@) ヌッヘッホー

从;゚∀从 ・・・・?


(-@∀@) ? どうしました? あんまり凝視されると照れちゃいますよ

从;゚∀从 いや、なーんだろうなー・・
      俺でもよくわからんのだが、どうも変な気持がするというか・・
      妙な"ズレ"を感じてしょうがないんだよね

(-@∀@) ・・・・あぁ、恋か

从#゚∀从 違うわ!

(-@∀@) いや、ムキにならなでよろしい 私ほどのIKEMENになると致し方ないことさ・・
       子供の名前は何にしましょう? 二人の名前をとって「ハインリッピー」とかどうです?

从#゚∀从 違うっつってんだろうが! そういうんじゃねぇっつーの!
       架空の子供とか考えんなキモい!

(-@∀@) まぁ何でもいいや
       そういえばそろそろ帰らなくても大丈夫? お昼時だけど

从 ゚∀从 ・・あっ、そういやそうだな 割と時間食っちゃったからなぁ
      シューの水も準備しなきゃいけな

从 ゚∀从 いs・・ ・・・・・・

从 ゚∀从 


…あ、れ?


从 ゚∀从 

从;゚∀从 ・・・・!?
 バッ

(-@∀@) ?

もしやと思い、急いで魔術書がおかれた本棚を振り返る
一通り置かれている本の題字を見終わったら、また隣の本棚の大事を素早く確認
それが終わったらまた次、次、次を調べてみる


从;゚∀从 ・・! ・・・・・・

一言で魔術書って言ったって様々な本がある
歴史、功労者、呪い、呪いの解除、魔法陣、杖、理論、原理、
古い本、新しい本、為になる本、ならない本
珍しい魔術書とはいっても、この図書館には一通りのジャンルが揃っている

しかも代々魔術師が役職としてある城だ
一度も見たこともないような本が保存されている

でも、おかしい
あれが、ない


从;゚∀从 (・・・・!? なんでだ・・?)


俺の感じたズレが、姿を見せ始めた
すぐに見えそうだったのに、見えなかったものが
この数カ月の間、完全に見落としていたものが

从;゚∀从 ・・・・・・


何故、見落としていたんだろう
そうだ、普通に考えれば最初なおかしなことだった

クーから貰った手紙…
「姫の厄を祓ってほしい」と書かれていた手紙が頭に浮かんだ
長期的になりそうならば俺の家で過ごさせてほしい、とも書かれていた手紙

その一文に浮かれていたのか?
一緒に過ごせることに浮かれて…
だからこんな大きなことを見逃していたのか?


(-@∀@) ・・・・? さっきからどうしたんだいハインちゃん
       探してる本があるなら手伝いまっせー

从;゚∀从 

从;゚∀从 なぁ


从;゚∀从 厄に関する本は、どこだ?




(-@∀@) ・・!

从;゚∀从 珍しい魔術書がこんなに揃っているのに、種類も豊富なのに・・
      魔術師がいうところの「神」について触れた書籍が全くないのは・・ どうしてだ?

(-@∀@) 

(-@∀@) ・・そりゃ、すっごく珍しいことですからねぇ 本自体がとても珍しいんじゃないでしょうか?

从 ゚∀从 ・・! 俺の国の図書館にはそういう本が何冊もあったのにか?
      「厄」をもった人間のことについて何ページも書かれている本だって普通にあったぞ!

从;゚∀从 なのに・・ なのにどうしてこの図書館にはないんだ? 何で"それだけ"が抜け落ちているんだ・・?

(-@∀@) ・・! ・・・・・・

从;゚∀从 そもそも、魔法をしっかり学んだやつなら・・
      "厄を弱める方法"なんざ当然知ってるはずだよな・・?
      たとえ知らなくったって、少し調べ回れば子供だって簡単に知れるようなことだ
      別に俺だけが知ってるような特別なことじゃない

从 ゚∀从 ・・それなのに、宮廷魔術師であるお前が何でそれをしらねぇんだ?
      たかだか20年ちょっとしか生きてない俺が知ってるのに、なんでお前は知らない?

(-@∀@) ・・・・・・

从 ゚∀从 

从 ゚∀从 お前・・ どうしてシューを放っておいた? どうして12年間、何もしてないんだ?


从 ゚∀从 ・・そうだ、はじめっからおかしなことに気付くべきだった
      よく考えりゃ、一国の姫が災厄をふりまくというのに国が何もしないわけがない
      魔術師なんかが居なくとも、総力をあげれば厄を抑える方法ぐらいすぐに見つかるはずだ

从 ゚∀从 それにあの王の性格だ、全力でそのことについては調べ上げるのが自然だろうよ
      それなのに結局何も分からないまま国を疲弊させていった ・・おかしいだろ、なぁ?
      普通だったらありえねぇ

(-@∀@) ・・そうだね

从 ゚∀从 その普通じゃありえないことが起きてるってことは・・

从 ゚∀从 王の近くに居る奴が"作為的に隠してた"ってことになるだろうが
      ここの図書館にそういった本が無いのも、全部捨てたんじゃねぇのか?
      王がここで個人的に調べても何もわからないように・・

从 ゚∀从 何でそんなことをする必要があったのかは見当もつかないが・・

(-@∀@) ・・・・・・

从 ゚∀从 ・・・・・・


从 ゚∀从 てめぇ、一体なに企んでやがる




どういうことかは分からない
何故シューを放っておく必要があったのか、考えても俺には分からない
分からないが… 何かしらの目的があるのは間違いない

从 ゚∀从 おい、答えろ

(-@∀@) ・・・・・・

(-@∀@) ねぇ、ハインちゃん

从 ゚∀从 あ?

(-@∀@) 

(-@∀@) 「幸せ」っつーのは、何なんだろうねぇ

从 ゚∀从 

从;゚∀从 は?

(-@∀@) ・・長年生きてきたけど、私には全く掴めない問題だ
       何が幸福で、何が不幸なのか? 何がそれを決めるのか?
       我々が幸福を手に入れるには何が必要なのか、どうすれば不幸じゃなくいられるのか?

(-@∀@) 全く・・ 全く分からない 私にはそれが分からない
       簡単そうで、物凄く難解なんだ

从;゚∀从 ・・? おい! 話そらしてんじゃねぇぞ! 何言ってんだてめぇ?


..:::;;;;;@∀@) 私はいつだって誰かの幸福を願っているんです
        でも結局、私の行動は数多くの人間を不幸にするだけなんだ
        ・・実に滑稽だ、はははは、まさにピエロだ 私にぴったりじゃないか


从#゚∀从 !! ちょっ待て! 逃げんじゃねぇ! どこ行く気だッ!!

...::::;;;;∀@) なに、ただ教会へ帰るだけですよ
       さぁ、もうお昼ごはんだ 君も帰ったらどうだい? それじゃあ、また会おうね

从#゚∀从 待っ・・ てめぇ、だから何が言いたいんだよッ!?

....::::::;;;;;;;) ・・・・・・

从;゚∀从 ・・ッ!!

从;゚∀从 (・・何だ? あいつ、つまり何が言いたかったんだ・・?)

从;゚∀从 (幸福? 不幸・・?)

从;゚∀从 ・・・・・・

从#゚∀从 ええい、分からんわッ! 何企んでんだあの野郎!?
      ビン底変態野郎め!

从#゚∀从 ・・・・・・

从;゚∀从 (しかし・・・・ マジで何が目的なんだアイツ? かなり異常だぞ・・)


結局やつの真意は分からなかった
どうせ教会に押し掛けたって何も語りそうにねぇし…
あぁ、くそ何なんだよアイツ

しかしいくら考えても俺には理解できない
シューの厄を祓うことに、何か問題でもあるのか?
それとも、奴自身が何か大きな野心でも抱えているのか?
やつは何のために今までシューを放っておいたんだ?


国を疲弊させてまで
親に子殺しを決意させてまで
一人の少女の人生に影を落としてまで


それほどまでに、何か大きな陰謀でも持っているのか?
厄を祓って、不幸を取り除いて、円満解決
そんな単純な問題じゃねぇのか…?



从;゚∀从 ・・・・・・

...:::;;;;;∀从 くそっ・・ スッキリしねぇな・・!


[ハイン邸]

...:::;;;゚∀从 ・・ただいま

lw´‐ _‐ノv お! 帰ってきたか!

(,,゚Д゚) なんだ、結構遅かったな さっと帰ってこれそうなものを・・

川 ゚ -゚) もうご飯食べ始めちゃってますよ 寄り道でもしてたんですか?

从 ゚∀从 ん・・ いや、まぁ色々とな

lw´‐ _‐ノv で、どうだった? 父さん見てきたか!?

从;゚∀从 ・・あー、すまんすまん なんかお前の父さん大変そうでなぁ
       会うの止められちゃったから直接渡せてねぇんだよ
       でも確実に渡せたから安心しとけ         ・・多分

lw´‐ _‐ノv えぇ・・ ものすっげぇ不安なんだけど大丈夫か・・

川 ゚ -゚) 全く、これだからハインは・・

(,,゚Д゚) 本当にもう・・ 最初っからポストに突っ込んでおけばもっと確実だったのに・・

从#゚∀从 お、お前等・・ 俺がどんだけ苦労したと・・

从 ゚∀从 ・・・・・・

lw´‐ _‐ノv ん?


アイツとの会話で、忘れそうになっていたことを鮮明に思い出す
…いや、忘れていたんじゃない 俺は心の底で気付いてたんだろうな、もう十分だって
だけど俺自身が弱いから、気付かないフリをしていたんだろう
告げてしまえば寂しくなるから ずっとこのままを願い続けるから

でも、それは駄目なんだ
自分の幸せを願うんじゃなく、こいつの幸せを願わなきゃダメなんだ
俺には、大きな役目があったんだ


从 ゚∀从 

从 ゚∀从 なぁ、シュー

lw´‐ _‐ノv ん? どうしたそんな真面目な顔して 似合わんぞ

从 ゚∀从 ・・来週、そうだな 来週あたりにしようか

lw´‐ _‐ノv 何が?


从 ゚∀从 お前がもしよければ・・ 来週、厄を祓おう


もう終わらせなきゃならないんだ、無駄に続いてきたこの十数年間の不幸を
アイツが何を考え、企んでいるのかは分からないが…
こいつの幸せのためには、こんな厄は必要ないはずなんだ
シューは… こいつはいい加減、幸せを掴まなきゃ駄目なんだ──


[城内]

( ^ω^) ・・・・・・

爪'ー`) 失礼します 公共事業の件についてですg
     ・・おや、まだ読んでらしたのですか?

( ^ω^) お・・? おお、すまんすまん
      ちょっとじっくりと読みこんでしまったおー

爪'ー`) 娘の手紙を読むのもいいですけど、仕事もちゃんとして下さらないと駄目ですよ
     ていうかもう既にそれ読んだでしょう

(; ^ω^) うー そうはいっても読み足りないというか・・ でも元気は出たお

爪'ー`) 元気出してくれるんなら嬉しいことですがね・・ ところで何が書かれているんです?

( ^ω^) そりゃ教えられんお! 親子の間だけでの秘密ごとだお!
       お前なんかにゃ死んでも教えんおー! ばーかばーか! すまし顔!

爪'ー`) いい加減怒んぞこのやろう

(; ^ω^) す、すんませんッ


爪'ー`) ・・で、公共事業についてですけども・・・・

( ^ω^) 

( ^ω^) (シュー、僕は別にハゲてないお ちょっと薄くなったけど、まだフサフサあるお)

( ^ω^) (ご飯だってちゃんと食べてるし、体重も増えたお 忙しくても体調管理はしっかりしてるお)

( ^ω^) ・・・・・・

( ^ω^) (僕が馬鹿なせいで・・ 部下に犠牲を出したり、お前の心を傷つけたりしちゃったけど・・
       もう一度、僕がお前を愛することを許してくれるのなら・・)


( ^ω^) (今度こそ、今度こそはただの純粋な「父親」として・・ ずっと、ずっと・・!)





[教会]

..::;;;;@∀@) 

(-@∀@) ・・・・・・

(-@∀@) はは、は は、は  は

(-@∀@) ・・酷いじゃないか、ロマネスクさん
       私ばかりが悪者じゃないか・・・・

(-@∀@) 

(-@∀@) きっと、これがラストチャンスだハインちゃん

(-@∀@) このチャンスを逃せば・・
       沸いた疑問を放っておいたら・・

(-@∀@) 

(-@∀@) はは、は   は、は・・ は・・・・

(-@∀@) は・・



-続った-

19話−2へ] 戻る [20話−1へ