( ^ω^)猛暑のようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:43:44.58 ID:QEu7011E0
- 【プロローグ】
(; ω )「暑いのぉ……暑いのぉ……」
(*^ω^)「あぁいいのぉ……そこがいいのぉ……」
真夏の太陽が容赦なく照りつけている。
その熱にやられたかは定かではないが、妙な事を口走る男が一人。
(; ω )「まず、なによりも緊急避難が必要だお……」
(; ω )「灼熱地獄のバーゲンセールだお……」
ただ行く当てもなく、体を右に左に揺らしながら歩いていた。
頬を伝う汗が地面に落ちては、蒸発するのを繰り返す。
(;^ω^)「おや、あれは公園ではないですか?」
(*^ω^)「……水を浴びるお!」
視線の先には、さほど大きくもない平凡な公園。
遊具も片手で数えられる程の量しかないが、水道に誘われるように彼は足を運ぶ。
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:44:03.29 ID:YF70/BLH0
- __
 ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
-=ニニニニ=-
/⌒ヽ _,,-''"
_ ,(^ω^ ) ,-''"; ;,
/ ,_O_,,-''"'; ', :' ;; ;,'
(.゙ー'''", ;,; ' ; ;; ': ,'
_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' ┼ヽ -|r‐、. レ |
_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' d⌒) ./| _ノ __ノ
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:45:34.97 ID:QEu7011E0
- バシャバシャと快い水の音。
(*^ω^)「あふぅーん、生き返るぅ」
飲むだけでは飽き足らず、頭から水を被る。
太陽が照り返して、キラキラと輝いていた。
( ^ω^)「……ベンチで休むかお」
犬のように、ぷるぷると頭を揺らすと、水は弾ける。
飛び散ったそれが、鮮やかな虹を描き出す。
少し歩くだけで、汗が吹き出るような猛暑。
それに反して、清らかなな風が吹き、爽やかさを感じさせる。
今日も、夏は普段と変わることなく夏だった。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:46:06.87 ID:uLv+Dl520
- 期待支援
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:46:57.44 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「……お?」
木陰に隠れたベンチ。
そこに近づいていくと、一つの影が男の目に飛び込む。
( ^ω^)「先客……かお」
小柄な女の子だった。
セーラー服を着た、可愛らしい少女。
暑さによる気だるさなどは微塵も感じさせずに、本を眺めている。
(*^ω^)(……フラグの香りがするお)
少女に、そんな男の不埒な考えは届かないだろう。
彼女の視線は、決して本から離れなかった。
1つのページを見終えると、ゆっくりと本を捲る。
その動作を飽きる気配も見せずに、何度も何度も繰り返す。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:48:20.74 ID:QEu7011E0
- そんな少女に見とれていた男がハッと我に返る。
同時に、発した言葉が二人の初めての会話となる。
( ^ω^)「隣、良いですかお?」
(*゚ー゚)「……はい、構いませんよ」
見上げる大空、透き通るような透明な青がどこまでも続いていく。
雲の流れとともに、ゆさゆさと木が揺れて、緑葉が舞い落ちる。
ざわめく木々と、蝉が鳴く声のオーケストラが空間を包む。
太陽が、全てを美しく染め上げるように真っ白に輝いている。
少女と、少年の、出会いの瞬間だった。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:48:50.73 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:49:26.44 ID:QEu7011E0
-
( ^ω^)猛暑のようです
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:50:26.52 ID:ihBwuLRxO
- 季節感0だな
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:50:35.01 ID:TPW6xPZz0
- ブンしぃか。珍しい
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:51:12.03 ID:QEu7011E0
- 【第一話:少女の名前】
('A`)「へぇ、それなんてsneg?」
( ^ω^)「昔からあるじゃないかお。タイトル『現実世界』だお」
どこにでもあるような、校舎の屋上。
そこで、二人の男が互いを嘲るように会話していた。
('A`)「なるほど、なるほど。混合しちゃったってやつか?」
( ^ω^)「いやぁ、ドクオさんの妄想癖は相変わらずですお
思わず、黄色い救急車を呼びたくなってしまいますお」
一方は、先生が生徒の話を聞くような口調。
また、一方は大げさな手振りと共に、演説するかのような口調である。
('A`)「ははは、それはこっちの台詞なんじゃないか?」
( ^ω^)「L5になると、他者の言う事が嘘にしか聞こえないらしいお?」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:52:56.82 ID:QEu7011E0
- (#'A`)「てめぇ……!」
(#^ω^)「あぁん……!」
ぽかぽかと叩きあい、幼児のような喧嘩をしているが、二人は今年から高校生になった。
貧相な体つきに、冴えない顔をしているのがドクオ。
暑さには滅法、強いらしく、一年を通して半袖を着る機会はないらしい。
若干、栄養の取りすぎを感じる、がっしりとした体つきをしているのが内藤ホライゾン。
体格的に、近づき難いように思えるが、朗らかな顔つきがそんな印象を。上手く緩和させていた。
( ^ω^)「待て……争いは何も生まないお……」
('A`)「それもそうだな……戦争は愚かだ……」
( ^ω^)(お前はもっと愚かだお)
('A`)(お前はもっと愚かだけどな)
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:55:04.37 ID:QEu7011E0
- ('A`)「大体よぉ、公園で可愛い少女と出会って仲良くなりました。
……そんなことが俺たちのような人間に起きるはずがねぇだろ、常考」
( ^ω^)「お前と僕は違うってことだお」
('A`)「冗談抜きに信じられん。マジだとしても、ツボか勧誘か……」
(#^ω^)(この童貞インポ野郎……!!)
('A`)「俺はインポじゃねぇし、大体お前だって童貞だろうが」
( ^ω^)「心を読むなお」
('A`)「口に出てた」
( ^ω^)「実はわざとなんだおー!」
(;'A`)「…………」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:55:26.12 ID:uLv+Dl520
- 支援w
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:56:55.88 ID:QEu7011E0
- ドクオがその発言に対し、文句を付けてようとしたところで鐘の音が二人の耳に届く。
昼休みも、もうじき終わりだという予鈴のチャイムである。
( ^ω^)「じゃあ、僕はそろそろ行くお。
『友達』にノートを借りてるんだお」
('A`)「……それくらいの嫌味じゃ、心も痛まねぇよ」
( ^ω^)「ドクオはどうするんだお?」
('A`)b「もう少ししたら、ここを出て便所で携帯いじくるさ」
( ^ω^)b「流石!」
ドクオには、ブーン以外に友達がいない。
指を立てている動作にも、ほんのりと哀愁が漂っていた。
- 16 名前:>>15ちょい修正:2008/02/17(日) 20:58:29.32 ID:QEu7011E0
- ドクオがその発言に対し、文句を付けてようとしたところで鐘の音が二人の耳に届く。
昼休みも、もうじき終わりだという予鈴のチャイムである。
( ^ω^)「じゃあ、僕はそろそろ行くお。
『友達』にノートを借りてるんだお」
('A`)「……それくらいの嫌味じゃ、心も痛まねぇよ」
( ^ω^)「ドクオはどうするんだお?」
('A`)b「もう少ししたら、ここを出て便所で携帯いじくるさ」
( ^ω^)b「流石!」
ドクオには、内藤以外に友達がいない。
指を立てている動作にも、ほんのりと哀愁が漂っていた。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:58:56.15 ID:QEu7011E0
- ドクオの人生は平凡であり、異端でもあった。
小学校の頃は、至って普通であり友達もいた。
内藤と共に休み時間は駆け回っていた。
中学生の頃は、地元の遺産とも呼べる物のおかげでなんとか乗り切れた。
ただ、放課後の誘いは全て断っていた。
ドクオはそんな自分に対し、なんの疑問も抱かなかった。
・・・それがいけなかった。
高校に入って、誰とも話せなかった。
見知らぬ人に囲まれ、自分というものを確立出来なかった。
結果、教室では一人、浮いた存在になってしまった。
昼休みに、内藤と話すのだけが、まともに人と関わりあえる機会になっていた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:58:58.46 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:00:53.96 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「まぁ、これだけは言っておくお」
半分まで開かれたドアの、取っ手を持ちながら、内藤が振り返る。
そして、彼が口を開いたのは、ドクオが疑問を持つよりも早かった。
( ^ω^)「誰が何と言おうと、僕はお前の友達だお……じゃ」
閉じたドアに、ドクオは何も言い返す事は出来なかった。
ただ、ぼんやりと空を眺めて
('A`)「本当に、お前は卑怯だ……」
少しだけ潤んだ瞳を拭う事しか出来なかった。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:01:45.52 ID:uLv+Dl520
- 内藤いいやつだな・・・
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:03:08.29 ID:QEu7011E0
- ・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
( ・∀・) 「ねぇブーン。そろそろノートを返してくれないかな……」
教室で内藤が次の授業の支度をしていると、そんな言葉を投げかけられた。
少年、モララーは真っ黒な学ランという、何とも男らしい格好である。
しかし、中性的な顔立ちのためか、まるで男装をした女性のようにも見えてしまっていた。
( ^ω^)「すまん、もうちょいで終わるから勘弁してくれお」
(;・∀・) 「ええ、僕も次の授業の為に軽く見ておきたいんだよ……」
( ^ω^)「何言ってるんだお、僕が課題を提出できなかったら、悲しいお?」
( ・∀・) 「悲しいのかな?」
( ^ω^)「悲しいお!」
( ・∀・) 「えと……うん、そうだね。頑張って!」
( ^ω^)b「任せるお」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:05:33.25 ID:QEu7011E0
- モララーは、定期テストで他の追随を許さず、1位を独占していた。
だが、彼は『賢い』が『馬鹿』であった。
( ^ω^)(馬鹿と天才紙一重だお)
( ・∀・)「でも授業始まる前には返してほしいな……」
( ^ω^)「写し終わったら、生徒リレーで返すお」
(;・∀・)「今返す気はないの!?」
( ^ω^)「終わらないから、しょうがないお」
( ・∀・)「……そうか、しょうがないか!」
( ^ω^)「流石、モララーは賢いお!」
(*・∀・)「照れるなぁ」
( ^ω^)(脳内のネジが一個外れてるとしか思えないお)
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:07:36.32 ID:QEu7011E0
- 突然に、内藤が椅子から崩れ落ちた。
内藤が頭を抱えて何事かと思考を巡らしている時。
追い討ちの踵落しが、綺麗に後頭部に突き刺さった。
その擬音は、到底、日常生活では聞けないような残酷めいたものだった。
('、`*川「たーっく、またアンタはそうやってモララーを苛めて……」
( ・∀・)「いや、別に苛められてた訳では……」
ペニサスと呼ばれた女性は、モララーを鋭く睨む。
情けない事に、モララーそれに対して、短い悲鳴をあげた。
('、`*川「モララー!アンタもアンタよ!
そうやって、男の癖にうじうじしてるから、こんな風に……!!」
(;・∀・)「そ、そんな事言われても」
('、`*川「言い訳を言わない!ほら、内藤!アンタも謝り……」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:08:05.55 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:09:45.10 ID:QEu7011E0
- ('、`*川「あ」
( ・∀・)「あ」
内藤は泡を吹いていた。
後頭部の鈍痛。
課題を出せなかった事の後悔。
これで7度目となる、ペニサスへの完全敗北。
それらが重なり、内藤は目を覚ますと共に、悲痛な叫びをあげた。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:11:15.87 ID:uLv+Dl520
- アチャー
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:11:43.65 ID:QEu7011E0
- ・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
放課後になると同時に、内藤は駆け出した。
額に溜まった汗が、玉になって零れ落ちても気にはしなかった。
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン!!
両手を大げさに広げて走る姿に、人々は後ろ指を指した。
小さな子供は、彼の異様な姿を見て泣いた。
外国から日本に来た人は、クレイジーと言いながら写真を撮った。
それでも、内藤は何一つ意識の中には入れなかった。
凄まじい集中力の前に、立ちはだかるもの等、何も無かった。
( ^ω^)(コンビニに寄ってかないといけなかったお!)
走るのを止める時にかけた急ブレーキは、地面に焼き跡をつけた。
太陽の暑さを超えるほど、彼の魂は燃えたぎっていたのだ。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:14:11.89 ID:QEu7011E0
- (*^ω^)「ひんやりとして気持ちいいおー」
アイスの冷凍庫に顔を突っ込みながら内藤はそう呟いた。
コンビニの店員は、それを見て強盗用の警戒ボタンを押そうか悩んだ。
( ^ω^)「今日はどれがいいかおー?」
( ^ω^)「おっと、これなんか良い感じだお」
既に、冷凍庫からは尻から下だけがはみ出している状態。
滴る汗が、ガリガリ君に落ちて、塩味という新たなジャンルを創ろうとしていた。
( ^ω^)「バニラと……僕の好きなチョコと……」
( ^ω^)「こんなもんでいいお!」
両手一杯に持ったアイスが冷気を放つ。
その冷たさは、内藤の熱気によって瞬く間に消滅していった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:15:20.88 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「買いますお!」
店員「あっ、はひ!」
店員は噛んだ。
内藤は、少し萌えた。
店員「えーと、一点、いって、一点、一点、いって……」
時折、『ん』が言えなくなるらしい。
内藤は、少し悶えた。
店員「合計で、780円になりましゅ!」
豪快に言い間違えると共に、店員は赤面した。
内藤は、脳汁が垂れ流される快感を覚えた。
( ^ω^)「どうもですお!」
店員「またお越しくだしゃいましぇ!」
最後までまともに喋る事は出来ない店員だったが、どこか誇らしげだった。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:15:58.49 ID:uLv+Dl520
- 支援w
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:17:08.62 ID:QEu7011E0
- ○⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン!!
右手に袋を持ったまま、再び走り出す内藤。
そんな彼を『電信柱の陰から』半身をはみ出して見つめる人影。
川 ゚ -゚)(お笑い芸人ではないがな……)
マイナーな事を考える女性だった。
しかし、容姿は端麗であり、存在自体が華という雰囲気を纏っていた。
○⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン!!
そんな存在にすら、内藤は気付かなかった。
全く隠れきれていない女性は、気付いてもらいたいという意志を秘めていたのだ。
それにも関わらず、彼は微塵も気にかけなかった。
川 ゚ -゚)(それでいい……君はマイペースが素晴らしい……)
もっとも、女性の思考はどこか可笑しいようで、むしろ喜んでいた。
そんな彼と彼女が関係を持つのは、まだ先の話である。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:18:25.76 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:19:21.51 ID:QEu7011E0
- コンビニから、ほんの3分ばかり走った先が内藤の目的地だった。
そこは簡素な公園。
滅多に人の訪れない、静寂に満ちた空間。
( ^ω^)「着いたおー!」
それにも関わらず、内藤は当たり前のように声を発した。
公園の丁度、中央に位置するベンチ。
木々によって出来た影が、涼しさを作り出している。
そんな場所から、返答と思わしき言葉が返ってくる。
(*゚ー゚)「おみやげ!」
少女は、本を閉じると開口一番にそう言った。
同時に、太陽にも負けない輝きの笑顔を見せた。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:21:23.22 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「いやいや、せめて挨拶ぐらいはしろお」
(*゚ー゚)「バニラのカップアイスがいいな!」
会話にはならなかった。
内藤はいつも通りだと、特に気にはしなかった。
( ^ω^)「まぁいいお・・・・・よっこらセックス」
古びたベンチは彼が座ると軋んだ。
ぎぃと鳴る鈍い音からは、この公園がいかに廃れているのかを現していた。
(*゚ー゚)「えーと、ガリガリ君にガリガリ君に・・・ガリガリ君!」
( ^ω^)「美味しいお!」
(*゚ー゚)「いっぱいあるから期待してたのに、最悪だね!」
( ^ω^)「笑顔で言うなお」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:23:27.47 ID:QEu7011E0
- (*゚ー゚)「バニラキャンディーから食べますかねぇ〜♪」
ピリピリと袋を剥く。
キャンディーの表面に溶けた氷が、水滴となって垂れていた。
( ^ω^)「美味しいかお?」
(*゚ー゚)「もちろん!やっぱ、バニラだよね」
( ^ω^)「バニラキャンディーって、なんかエロくないかお?」
(*゚○゚)「ほんなかんひぃ?」
( ^ω^)「やるなお」
じゅぽじゅぽという音が、絶え間なく続く。
少女は、その食べ方を止める気はないようである。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:25:30.96 ID:QEu7011E0
- (*゚ー゚)「あれ?ハーゲンダッツないんだ」
( ^ω^)「奢らせといて、それかお」
(*゚ー゚)「嘘だよー、今度買って来てくれれば文句は言わないよー」
( ^ω^)「爽で我慢してくれお」
こんな目にあいながらも、内藤はここに来るのを止めないなと思った。
少女の楽しそうな笑顔を見ていて、気分が良かったから。
あの日、この夏初めての猛暑日となった日。
初めて出会ったその日から、内藤はここで少女と会話するのが楽しみになっていた。
( ^ω^)「ガリガリ君うめぇ」
(;゚ー゚)「10本も食べるんだ」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:27:06.12 ID:byQLbvm9O
- 支援
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:27:23.77 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「今日は本を読まないのかお?」
(*゚ー゚)「ブーン君がいる間は読まないよ」
( ^ω^)「僕と話すほうが面白いからかお?」
(*゚ー゚)「そうかもね」
軽く受け流されてしまい、内藤は赤面した。
少女もまた、同じ思いであった。
読書しかやることが無かったが、ようやくそれ以外の楽しみが出来た。
人の訪れない、疎外感すら感じる場所で友達ができた。
他者には理解できない、幸福だった。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:28:52.07 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「今日も、暑いお」
(*゚ー゚)「アイスが美味しくなるから、別に良いよ」
内藤はアイスを頬張った。
そして、それもそうだなと笑った。
袋の中に残ったアイスが溶け始める。
影で隠れていても、この熱気に包まれていては意味が無い。
今日も、猛暑日だ。
( ^ω^)「しぃちゃん、アイス溶けてるお」
(*゚ー゚)「あうー、もったいない!」
少女の名前は、しぃと言った。
【第一話 おしまい】
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:30:02.34 ID:QEu7011E0
- まったりといきませう。
落ちない程度に休憩したら、2話目投下します。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:30:20.18 ID:H7+FEJaYO
- 乙
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:32:34.56 ID:TPW6xPZz0
- 乙
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:34:00.55 ID:qT0B46xe0
- 乙
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:41:32.02 ID:QEu7011E0
- 休憩どころじゃなくなる俺のへっぽこクオリティ・・・・・。
さぁ2話目いこう。まったりと〜だらだらと〜。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:43:17.99 ID:QEu7011E0
- 【第2話:友達と親友】
('A`)「という訳で、友達を作ろうかな・・・なんて」
( ^ω^)「ほうほう、んで何でトイレなんだお」
('A`)「いやさぁ、ありのままの自分を曝け出せるっていうか・・・・・」
( ^ω^)(生まれたままの姿、の間違いかお?)
2時間目の中休みに呼び出された内藤は、妙な相談事を持ちかけられた。
何でも、来たる文化祭の為に友達を作ろうと言うのである。
( ^ω^)「で、どうするんだお?」
('A`)「ちょっと見ててくれ、今から実践する」
内藤は行動力はあるのかと見直した。
・・・・・・のだが。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:43:58.70 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:44:37.03 ID:QEu7011E0
- ('A`)「こんにちはー」
生徒A「え、あ、はい、こんにちは」
('A`)「立派なものつけてますねー。馬並ってやつですか?」
生徒A「平均的だと思うんですけど・・・・・」
('A`)「俺のなんてポークビッツみたいで・・・・ほら、見てくださいよ」
生徒A「あはは・・・・・」
('∀`)「あなたの近くにいれば、成長できるかな、なんて」
満面の笑みを見せた。
生徒A「が、頑張ってくださいね!」
生徒は手も洗わずに逃げていった。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:47:22.07 ID:QEu7011E0
- ('A`)「・・・・・・ダメだったか」
(; ゚ω゚)「あたりまえだおおおおおおおおおお!!」
ドクオは根本的に間違っていた。
これでは唯の変態である。
('A`)「何がいけないんだ?」
(;^ω^)「初対面でいきなり、チンコの話するやつがどこにいるんだお!」
('A`)「何のためのトイレだよ!」
(;^ω^)「逆ギレすんじゃないお!
そもそも、トイレで友達作りってのが無理あるんだお!」
('A`)「わからん・・・俺たちぐらいの人間なら、下ネタ大好きなんじゃないのか・・・」
真剣に悩んでいるので、始末に終えない。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:49:19.18 ID:uLv+Dl520
- どっくんバカスwwwwwwww
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:49:40.92 ID:QEu7011E0
- ('A`)「こういうのはどうだ?
個室で『入ってますか』と聞かれて、『どうぞ』と答えるとか」
( ^ω^)「僕だったら、逃げるお」
('A`)「鍵をかけずに、個室に篭ってるとか」
( ^ω^)「ドアを開けた瞬間、気まずい事間違いなしだお」
('A`)「トイレしてる人を、後ろから脅かすとか」
( ^ω^)「他人を怒らせる方法かお?」
('∀`)「大便中に乗り込むとか!」
( ^ω^)「すっげぇ、職員室行き間違いなしだお!」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:52:35.98 ID:QEu7011E0
- ('A`)「トイレが無理なら・・・俺に友達は出来ない」
(;^ω^)「何でそこまでトイレに固執するんだお」
こんなのでも、ドクオは本気で考えて編み出した案なのである。
内藤はそれを理解し、溜め息をついてから言葉を紡いだ。
( ^ω^)「じゃあ、僕が明日までに考えてくるから・・・・・・」
('∀`)「本当!それ本当!?」
( ^ω^)「マジだお、だからドクオもちゃんと友達作るんだお?」
('∀`)「わかった!俺、めっさ頑張るよ!」
内藤はドクオの嬉しそうな笑顔を見ながら思う。
『ああ、めんどくさい事を引き受けてしまった』と。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:54:52.58 ID:QEu7011E0
- ・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
( ^ω^)「という訳なんだお」
(;゚ー゚)「その人、本当に友達作る気あるの?」
結局、考えるのがめんどくさくなった内藤はしぃに相談した。
『自分一人で考えるよりは良いだろうと』自分を無理矢理に納得させたのだ。
(*゚ー゚)「ブーン君の友達を紹介するってのはダメなの?」
( ^ω^)「僕の友達を、あのバカに近づけたくないお」
(*゚ー゚)「・・・もしかして、あんまりやる気ないの?」
( ^ω^)「今更、ドクオが何かやったところで・・・的な感情だお」
(*゚ー゚)(・・・・・・やる気ないじゃん)
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:55:17.50 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:56:34.17 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「友達って、どうやって作るんだお?」
内藤は本当にそれを疑問に思っていた。
友達なんてものは、いつの間にかに自然に出来るものだと思っていたから。
(*゚ー゚)「・・・・・それが、答えなんじゃないかな?」
( ^ω^)「お?」
(*゚ー゚)「友達って、作るものじゃないんだよ。
きっと、自然に友達になってるものなんだよ」
( ^ω^)「・・・よくわからんお」
しぃの笑顔と対照的に、内藤は顔をしかめた。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:56:53.82 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:57:39.97 ID:QEu7011E0
- (*゚ー゚)「そうだなぁ・・・ブーン君は、友達と友達になった瞬間を覚えてる?」
( ^ω^)「友達になった瞬間・・・?」
内藤は考えても、答えなど思いつきはしなかった。
いつの間にかに遊んだり、話したり、傍にいた。
いつの間にかに、友達と呼び始めていた。
そこに、明確な区切りなど無かったのだ。
( ^ω^)「うんにゃ、全然覚えてないお」
(*゚ー゚)「それはそうだよ、だってそんな瞬間は無いんだから」
( ^ω^)「・・・・・無い、のかお?」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:58:50.54 ID:WETFQYm5O
- 支援
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:58:52.28 ID:QEu7011E0
- (*゚ー゚)「きっかけはあるかも知れないよ、初めて話しかけた時とかね。
でもさ、その初めては友達になろうと思っての事じゃないと思うんだ」
( ^ω^)「きっかけは友達になる為じゃない?」
(*゚ー゚)「うん、例えば隣の席になった人に話しかけた時とかね。
そういう時って、あくまで挨拶とかの為なんじゃないかな?
・・・・・まぁ、初めっからそういう気がある人もいるかも知れないけど」
内藤は初めてドクオと話した時を考える。
ドッチボールで顔面に当てた時だったと思い出し、頬が緩んだ。
( ^ω^)「確かに、きっかけは偶然かもしれないお」
(*゚ー゚)「うん、だからさ、あんまり友達になろうとか考えない方が良いんじゃないかな?」
( ^ω^)「友達になろうと考えない・・・・・・」
妙な答えだった。
友達を作るためには、友達になろうと考えないというのだから。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:59:57.19 ID:uLv+Dl520
- ふむふむ
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:00:07.80 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)(お?)
( ^ω^)「それじゃ、結局、ドクオに友達は出来ないじゃないかお?」
(*゚ー゚)「友達になるって、前面に出さなければ良いんじゃない?」
( ^ω^)「というと?」
(*゚ー゚)「普通にさ、話せばいいんじゃないかな?
『次の時間、何の授業だったっけ?』とか、普通に」
( ^ω^)「そういうのって、友達だから聞くものじゃないかお?」
(*゚ー゚)「何も心配はいらん、私に全て任せておけ」
( ^ω^)「随分と、偉そうじゃないかお」
(*゚ー゚)「なーに、かえって免疫力がつく」
ドンと胸を叩きながら、しぃはそう言った。
内藤はそれを見て、言い様のない不安に駆られた。
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:01:13.01 ID:QEu7011E0
- (*゚ー゚)「それにさ、ブーン君だって私と友達になった瞬間の事なんて覚えてないでしょ?」
( ^ω^)「え」
内藤は困惑した。
確かに、友達になった瞬間は覚えてなかった。
だが。
初めてあった日の項垂れるような暑さと、透き通るような空の青。
アイスを奢ってあげた時の、眩しすぎるほどの笑顔と、夕焼けの赤。
二人で過ごしている時の、穏やかな時間と、どこまでも続く入道雲の白。
そんな小さな記憶の欠片。
普通なら忘れてしまう筈の、細かな仕草や風景。
どれも鮮明に覚えていた。
彼女と過ごした日々は、鮮やかに彩られた記憶になっていた。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:01:31.64 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:02:56.89 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「うん、何にも覚えてないお」
(*゚ー゚)「あ、それなんかひどいなぁ」
内藤は適当な嘘をついた。
それでも、赤くなってしまった頬を隠せはしないだろう。
暑さのせいだと言って、誤魔化そうと彼は思った。
相変わらず人気の無い、公園。
二人の笑い声と蝉の鳴き声だけは、賑やかに聞こえた。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:04:25.31 ID:VvR7lJORO
- 支援
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:04:38.43 ID:QEu7011E0
- ・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
( ^ω^)「で、どうだったんだお?」
しぃのアドバイスをそのままドクオに伝えた次の日。
いつも通り、屋上で二人でご飯を食べている時に内藤はドクオに尋ねた。
作戦は至ってシンプル。
授業が終わると共に『今の授業だるかったな』と周りの人間に話しかける。
あとは、ドクオ次第と内藤は言った。
('A`)「ああ・・・アレな・・・あれ・・・」
( ^ω^)「元気ないじゃないかお」
ドクオは見るからに、覇気の無い顔をしていた。
いつも通りと言えばそうなのだが、差し引いても元気が無い。
(;^ω^)(・・・・・失敗したのかお?)
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:05:40.57 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「ドクオ・・・落ち込む事は無い・・・」
('A`)「ブーン・・・・・・」
( ^ω^)「友達なんてものは、一人いれば充分なんだお・・・・・」
('A`)「・・・・・・?」
( ;ω;)「たとえ、お前が嫌われ者でも、ぶた野郎と言われても・・・・・」
(;'A`)「え?」
( ;ω;)「ぼっ、僕だけは友達だっ、だおっ!」
(;'A`)「ちょ、ちょっと落ち着けよ!」
友のために流す涙。
なんと、美しいことだろうか。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:07:20.63 ID:QEu7011E0
- ( ;ω;)「なんなら、これから飲みに行くかお?」
('A`)「ちょっと待ってくれ、作戦は成功したぞ?」
( ;ω;)「・・・・・・・・・・・・」
( ^ω^)「は?」
二人の間に風が吹いた。
どこか涼しさ、いや寒さを伴った風だった。
('A`)「いやー、携帯のアドレスが3つに増えたぜ!
お前とカーチャンと、その人と!」
( ^ω^)「え、じゃあ何で元気なかったんだお?」
('A`)「久しぶりにお前以外の人間と親しく話したらさ、疲れた」
成功したのは喜ばしい事だろう。
しかし、内藤はなぜか苛立ちを感じた。
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:08:14.57 ID:4yaonWOt0
- wktk支援
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:08:52.02 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「そうかお、そうかお、それは喜ばしいことだお」
('A`)「おう、これで休み時間に寝たふりしなくてもいいかもなー」
それは些細な嫉妬であった。
自分しか頼る事の出来なかった者が、離れていくような感覚。
子離れ出来ない親のようなものであろうか。
内藤自身は、そんな自分の思いに気付く事は無かった。
( ^ω^)「トイレで時間潰さなくてすむじゃないかお」
('A`)「3階トイレの守護神と言われた俺がなぁ・・・・寂しいもんだ」
正確に言うならば、3階トイレ、奥から2番目の守護神である。
この場所が最も壁に落書きが多い事は言うまでもないだろう。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:09:12.33 ID:uLv+Dl520
- 守護神wwwwwwwwww
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:10:07.89 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「屋上で僕とご飯に来る必要もないお」
そんな嫉妬心からか、内藤はそんな言葉を吐いた。
自分で、何を言っているんだろうかと疑問を持ちながら。
('A`)「へ、なんで?」
( ^ω^)「クラスの友達と食べれば良いじゃないかお?」
('A`)「俺はお前と食べたいのに?」
対して、ドクオは当たり前のように、そう言った。
邪念など無い、純粋な言葉。
会話に妙な間などは無かった事から、本心である事が嫌でもわかる。
それだからこそ、内藤は妙な喜びを感じた。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:11:38.11 ID:QEu7011E0
- (*^ω^)「ぼ、僕はお前が食べたいって言うなら付き合わないこともないお!」
そんな自分の感情をひた隠すように言った為か、変な口調になった内藤。
ツンデレのような口調は、彼が扱うものではないと誰もが思うだろう。
('A`)「なんか、きもいな」
ドクオもまた、同じように。
( ^ω^)「お前ほどじゃないお!」
('A`)「待て待て、今日だけは喧嘩する気はないんだよ」
( ^ω^)「お?」
('A`)「友達作れそうだしさ・・・手伝ってくれたお前に感謝しようと思ってさ」
( ^ω^)「お金でもくれるのかお?」
(;'A`)「・・・・・・お前、汚れてるな」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:11:55.84 ID:Co98snaV0
- 背景描写や心情描写の文の魅せ方が上手くて見入ってしまうなあw
支援支援。
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:12:37.04 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:13:24.87 ID:VvR7lJORO
- 支援
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:13:29.09 ID:QEu7011E0
- ('A`)「あーそうじゃなくてだな、あーあー!」
ドクオは頭を掻きながら喚く。
しばらくの間、妙な空気が流れた後、ドクオが口を開く。
('A`)「その・・・なんていうか、ありがとよ『親友』
親友。
彼は最も親しい友に贈る言葉としてそう言った。
例え、友達が何人出来たとしても、それだけは変わらない、と。
(;^ω^)「ガ、ガチホモ?」
('A`)「・・・恥ずかしかったのにさ、だから言いたくなかったんだ」
内藤は嬉しかった。
しかし、またしても、その感情を素直に表に出しはしなかった。
いつものいがみ合う関係が自分達にとっての最善だと考えていたから。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:14:57.23 ID:QEu7011E0
- ( ^ω^)「何で男二人でこんな空気にならなきゃなんないんだお!」
('A`)「全くだよ、気持ち悪い!」
( ^ω^)「帰るお!」
('A`)「俺も帰る!」
( ^ω^)「トイレにかお!?」
('A`)「教室でもうちょい頑張るんだよ!」
( ^ω^)「良い傾向じゃないかお!」
('A`)「ありがとよ!」
変なテンションの会話だった。
恥ずかしさと嬉しさと、色々な感情が交わった結果だった。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:15:31.88 ID:uLv+Dl520
- いい関係だ・・・
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:16:27.61 ID:QEu7011E0
- 屋上の扉を開いて階段へ。
二人で共に教室へ向かうのは初めてのことだった。
( ^ω^)「んで、どうするんだお?」
('A`)「・・・例の人に話しかけようかなと思ってる」
( ^ω^)「周りに人がいたら?」
('A`)「それでも・・・頑張る」
(*^ω^)「おっお、頑張るんだお!」
ドクオは自分を変えようと決心する。
内藤はそれを心の底から応援する。
確かな友情がそこにはあったはず・・・だった。
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:18:01.48 ID:QEu7011E0
- そんな会話をしながらだったからかもしれない。
これからの出来事に想いを馳せていたからかもしれない。
自分の未来に対し、浮かれていたからかもしれない。
それの答えはつかないだろう。
本人でさえ、理由はつけられないに違いない。
『ドクオは階段から、足を滑らして転げ落ちた』
ドクオの視界はゆっくりと動く。
1秒が無限に広がっていく感覚。
落ちるだけなら良かったと考えた。
その先にあるものを見たから、そんな状態に陥った。
彼の脳の中には、それへの恐怖だけが渦巻いていた。
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:18:50.87 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:19:15.70 ID:WETFQYm5O
- ( ゚д゚ )
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:19:19.28 ID:QEu7011E0
- そんな状態も長くは続かない。
荒々しい音と共に、ドクオは階段を転がり落ちていく。
一度、二度と回転しながらだ。
痛々しいのが目に見えて分かる。
内藤がそんな彼を助けようと足を踏み出す。
そんな時に、ようやく今の事態が予想以上に悪いものだと気付いた。
ドクオは怪我をしていなかった。
それが、まずかった。
「痛ぇじゃねぇか・・・・・なぁ?」
ドクオの下敷きになった男が立ち上がる。
屈強な体、一目で震え上がってしまうような獰猛な瞳。
二人は彼の事を知っていた。
決して近づくなと噂されていたから。
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:19:33.51 ID:VP/JJh7d0
- 支援支援
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:21:04.38 ID:QEu7011E0
- (#゚∀゚)「痛ぇじゃねぇか、てめぇ!!」
ドクオの胸倉を掴みながら、吼える。
男の名はジョルジュ。
一言で言うなら、不良と呼ばれる存在であった。
(;'A`)「す、すいません・・・・」
(#゚∀゚)「ああ?それで済むとでも思ってるのかよ!?」
ジョルジュが右腕を振るうと、ドクオは成す術もなく吹っ飛ばされた。
走る激痛と、空を浮く感覚はあまりに唐突だった。
自身が何をされたのかを理解するのにも、時間がかかる程だった。
口内に、血の味が広がる。
獣が迫ってくる。
ドクオは涙を流しながら、絶叫した。
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:21:44.25 ID:uLv+Dl520
- どっくんにげてええええええええ
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:22:48.29 ID:QEu7011E0
- しかし、そんな叫びに応えるものはいない。
野次馬に一目だけ見て、関わりたくないと離れていく。
自分の保身が何よりも重要だと判断したのだ。
そして、同様に内藤も動けなかった。
( ω )「あ、ああ・・・・・」
誰にも届かない嗚咽を漏らし、苦悩する。
自分が何をすべきかはとうに理解していた。
『友を助けなくてはならない』
『あの場所へ飛び込まないと』
『今ならまだ被害も少ない』
様々な思いが、膨らんでは消えていく。
足は震えるだけで、まともな機能をしなかった。
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:24:15.95 ID:QEu7011E0
- 『さっきまでは楽しかったじゃないか』
『これからドクオは変わっていくんじゃないか』
『僕が助けないでどうするんだ』
恐怖を打ち消すように、そんな言葉を連ねていく。
階段の上と、下という僅かな距離だというのに。
内藤にとっては、それが果てしなく遠い道のりのように感じた。
内藤が葛藤している間も、ドクオへの仕打ちは悪化している。
馬乗りになった状態のジョルジュが、彼を力の加減も無しに殴るのだ。
右に左に、間隔が空くことも無く、拳が振るわれていく。
そうして、傷だらけになっていく体。
薄れていく意識の狭間で彼は思う。
『俺は幸せにはなれない人間なんだ』
と。
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:26:06.83 ID:QEu7011E0
- 内藤はそんなドクオの思いなど知る由も無い。
目の前で起こる惨劇に心は脅えていた。
被害者が他ならない親友であろうとも。
友情を誓い合ったばかりの友であろうとも。
( ω )「この恐怖を打ち消すだけの理由にはならないんだお」
救うなどという選択肢は、だんだんと薄れていった。
もう、何も考えたくなかったのだ。
足はゆっくりと動き出す。
階段を、元来た道を、ゆっくりと歩みだす。
ジョルジュの狂ったような叫びと。
骨と骨とがぶつかり合う、濁った音だけは耳に入っていく。
しかし、心のざわめきは消えていく。
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:27:03.27 ID:uLv+Dl520
- 支援
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:27:50.31 ID:QEu7011E0
- 再び屋上の扉を開くと、風が通り抜ける。
そこにいつもあった筈の親友の姿は無い。
太陽の光だけは、今までと変わることなく、彼を照らしていた。
【第二話:おしまい】
- 92 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/02/17(日) 22:30:05.39 ID:QEu7011E0
- という訳で、今日の分の投下お終いでつ。
まったりとした、何も考えずにかけるやつが書きたかった。
また逃亡したくないしね・・・・・書きやすいのを一番に考えた。
次回用の酉も出しとくよー!
ところで、ID:uLv+Dl520はいるかい?
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:30:21.52 ID:uLv+Dl520
- 内藤最低だな・・・
と言いたい所だが、
実際自分がそのシチュに遭遇しても助けられないんだろうな
乙。
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:30:42.15 ID:uLv+Dl520
- >>92
いるよー
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:30:52.68 ID:WETFQYm5O
- 乙
- 96 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/02/17(日) 22:31:14.32 ID:QEu7011E0
- >>94
おけおけ、公園の名前を考えておくれ!
適当でいいんです><
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:31:45.97 ID:4yaonWOt0
- 乙
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:32:28.89 ID:qT0B46xe0
- 乙
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:35:08.27 ID:uLv+Dl520
- >>96
じゃあVIP→美府
ってことで「美府公園」で
ありきたりですまそw
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:35:16.33 ID:QEu7011E0
- 100
- 101 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/02/17(日) 22:36:39.93 ID:QEu7011E0
- >>99
トン!
綺麗な名前でちょっと安心したよー。
まぁ・・・・・・出来るだけ早い投下が出来るように頑張ってきます。
- 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:38:43.65 ID:uLv+Dl520
- 改めて乙。
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:48:40.09 ID:dkTytUQGO
- ひぐらしの新作・・?
乙
- 104 名前: ◆xmNFXyaAwA :2008/02/17(日) 22:57:25.09 ID:MtwxeVTg0
- 花束です
まとめてもよろしいでしょうか?
- 105 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/02/17(日) 22:59:49.89 ID:QEu7011E0
- >>104
日頃、お世話になっとります。
もちろん、お世話になってしまいたいと思います。
まぁ、2桁チョコには憤りを感じ・・・・ゲフンゲフン
- 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:17:34.48 ID:dkTytUQGO
- 読み終わってな保
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:22:35.99 ID:TPW6xPZz0
- 追いつい…ひぐらしwwwww
なんでID:uLv+Dl520 ?
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:22:46.26 ID:TPW6xPZz0
- 乙
- 109 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/02/17(日) 23:25:52.92 ID:QEu7011E0
- >>107
そうさ俺さ!最近、短編ばっかりだったからねー。
本当は厨ニバトル書きたいんだけど、文章力が足りなさすぎてねぇ。
>>4から支援してくれてたから・・・なんか嬉しくて。
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:26:41.29 ID:TPW6xPZz0
- 把握したw
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:29:46.05 ID:VbwWhXu6O
- 乙!
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