( ^ω^)猛暑のようです
- 1 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:09:22.11 ID:e0bSd0/j0
- なんという更新頻度の遅さ。
初期の1週間8話更新が嘘のよう。
2週間も間を空けるとは・・・・・・しかもこの長さで、死にたい。
ようやく投下しますです。
【まとめ】
素晴らしい絵は必見でつ。花束さん。
http://bouquet.u-abel.net/index.html
怖いけど米欄呼んじゃう、悔しいっ!ビクビク。蛇屋さん。
http://hebiya.blog40.fc2.com/blog-entry-6506.html#more
今日もマターリいきませう
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:10:03.42 ID:qQKYNdmh0
- セックスよりも大切なものが底にはあるんです
fin
- 3 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:10:23.41 ID:e0bSd0/j0
- 【第12話:馬鹿と天才、紙一重】
( ^ω^)「ペニサスの元気が無い?」
( ・∀・)「そうなんだよー。
なんか、覇気がないっていうかさ・・・・・・」
昼食時の他愛ない話題の中の一つだった。
それにも関わらず、モララーは真剣そのものだった。
( ^ω^)「いつも通りに見えるお?」
( ・∀・)「僕のお弁当をつまみ食いしなかったんだよ!
自前のお弁当以外に、購買で買ったりもしてなかったし・・・・・・」
( ^ω^)「世間では、それを正常に戻ったと言うんだお」
( ・∀・)「きっと、何かあったに違いないんだよ・・・・・・」
腕を組み、ぶつぶつと唱え始めた。
内藤の言葉など、まる耳に入ってはいない。
( ^ω^)(自分から話題をふったくせに・・・・・・)
- 4 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:11:29.13 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)「そういえば、何で屋上行かないの?」
( ^ω^)「・・・・・・行く必要が無くなったんだお」
( ・∀・)「どういうこと?」
( ^ω^)「別に何でもないお。
ただ、何ていうか・・・・・イラッときたというか・・・・・・」
先ほど、内藤が屋上へと階段を上っている最中の事だった。
携帯の振動に気付き、開いたところドクオからの一通のメール。
添付された画像には、ミルナとドクオとジョルジュが仲良く食事をとっている風景。
本文には『ドクオ☆一人でもやれば出来る子(≧▼≦)』
携帯を閉じると、内藤は迷わず、もと来た道を引き返した。
( ^ω^)(あっ、なんかまた殺意の波動が・・・・・・)
( ・∀・)「どうしたの?」
( ^ω^)「いや、何でもないお」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:11:49.38 ID:tRwijRYNO
- ktkr
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:13:10.92 ID:7CzPJ4u90
- 支援
- 7 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:13:15.84 ID:e0bSd0/j0
- ( ^ω^)「そんなことより、ペニサスのことだお!
モララーが言うからには、きっと何かあったんだお!」
ポケットに入った携帯の電源を切り、一時的に記憶を消し去る。
取り繕うように、内藤は捲くし立てて話した。
( ・∀・)「うん、多分なんかあるんだよなぁ・・・・・・。
心配だな・・・・・何があったのかな・・・・・・」
( ^ω^)「ふーん、そんなに心配なんてモララーはペニサスの事が好きなのかお?」
( ・∀・)「・・・・・・え?」
( ^ω^)「・・・・・・え?」
(;・∀・)「・・・・・・ええっ!!そそそそ、そんな事ある訳ないじゃないか!!
僕が、そんな、ペニサスちゃんの事を・・・・・すすす、好きだなんんて!!
ありえない、ありえない!!
ブーンがフェルマーの最終定理を証明するより無いことだって!!
馬鹿な事言っちゃいけないよー!!変な事言うんじゃないよ!!
冗談にしてもつまらないよ、100点満点で0点だよ!!
暑さで頭がおかしくなっちゃったんじゃないの??あははははは!!」
教室中に響き渡るモララーの笑い声。
にも関わらず、他の者は誰一人として笑みを溢さなかった。
- 8 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:14:05.75 ID:e0bSd0/j0
- ( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・」
( ・∀・)「あはは!!あはは・・・・・・」
( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・」
(;・∀・)「・・・・・・・・・・・・」
( ^ω^)「暑さで頭がおかしくなったのは、お前の方だお」
(;・∀・)「はい・・・・・すいません」
モララーの不健康な肌は、あっという間に赤く染め上がる。
頬についているご飯粒が、場違いに白を強調していた。
( ^ω^)「そうかお・・・・・冗談のつもりだったのにねぇ・・・・・。
まさか、モララーがあの暴力女を好きだなんて・・・・」
(;・∀・)「言わないでよ?言わないでよ?」
( ^ω^)「どうしようかなー?」
にたにたと笑顔を浮かべる者と、俯くばかりの者。
傍から見れば、いじめの風景に見えないことも無い。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:15:09.57 ID:DsPSmqJpO
- 待ってた支援
- 10 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:15:17.74 ID:e0bSd0/j0
- ( ^ω^)「僕としては止めた方が良いと思うお。
あんな暴力しか脳の無いような、がさつな女」
( ・∀・)「えと・・・・・そういう所が好きって言ったら?」
( ^ω^)「・・・・・・へ?」
( ・∀・)「僕は女の子っぽいってよく言われるから・・・・・・。
ペニサスちゃんは男の子っぽいってよく言われるじゃない?
だから、釣り合いがとれるっていうか・・・・・・」
恥ずかしげに語るモララーを内藤は直視出来なかった。
言葉に出来ない、甘酸っぱさを感じてしまったのだ。
( ・∀・)「ペニサスちゃんはカッコイイよね。
運動も出来るし、大勢の前でも自分を曝け出せるし」
( ^ω^)「モララーの勉強だって、尊敬出来るものだお?」
( ・∀・)「・・・・・男の子なら、スポーツマンに憧れるものだよ」
その気持ちは分からないものではなかった。
内藤もその昔、カバディの選手になりたいと夢見た事があったからだ。
- 11 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:15:49.83 ID:e0bSd0/j0
- ( ^ω^)「でも、男がカッコイイ女に憧れるってのは良いのかお?」
( ・∀・)「うん、今時の男は軟弱だから」
( ^ω^)「自分で言うなお」
その後も、モララーのペニサス語りは続く。
戦隊物に憧れる小さな子供を彷彿とさせる興奮具合だった。
内藤は聞き流していたのは言うまでも無い。
(*・∀・)「それでね、それでね!」
( ^ω^)「・・・・・・そろそろストップして欲しいお。
というか、そんなに好きならデートの一つでも誘ったら良いお」
(#・∀・)「そんな事、出来る訳ないじゃない!」
( ^ω^)「いや、ここは怒る場面じゃないお」
- 12 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:16:28.41 ID:e0bSd0/j0
- ( ^ω^)「なんなら、僕がとりもってあげるから・・・・・・」
( ・∀・)「いやぁ、でも・・・・恥ずかしいし・・・・・。
僕なんかと二人っきりじゃ、つまんないだろうし・・・・・・」
( ^ω^)(自分が迷ってる時は大して気に留めなかったけど、あれだお。
うじうじしてる男って、本当に情けなく見えるものだお)
また一つ、内藤は大人の階段を上る。
そんな時、教室の扉がガラリと開く。
現れた人物に、内藤は良いタイミングだと心の中で笑った。
('、`*川「おいーっす!
昼練なんて無くなれと、切に願うペニサス様のおかえりだよー!」
ペニサスは相変わらず、女らしさの欠片も見せていない。
大股で歩き、手に持った500mlの飲料を一気に飲み干した。
( ^ω^)(カッコイイというか、野蛮人だお)
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:17:23.86 ID:7CzPJ4u90
- 支援
- 14 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:17:24.67 ID:e0bSd0/j0
- ('、`*川「内藤、今なんか失礼なこと考えたでしょ?」
(;^ω^)「な、何の事だお!」
('、`*川「分かる、私には分かるぞ!!
貴様が私の事を野蛮人だとか考えていることが!!」
(;^ω^)「な、何故そのことを!!」
('、`*川「声に出てるんだよ、豚野郎おおおおおおおお!!」
教室中を駆け回る鬼ごっこにも関わらず、生徒達の反応は冷静なものであった。
それどころか、机を端に寄せ邪魔にならないようにするわ、応援をするわ。
この光景が日常茶飯事だという事が、容易に理解出来た。
( ・∀・)(いつもは素直に楽しめるんだけどなぁ。
一回、自分の気持ちに素直になると・・・・・・)
『ちょっと、嫉妬しちゃうかな』
そんな考えは、内藤に失礼だとモララーは頭を大きく振って、振り切った。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:17:44.89 ID:vBNBFxA60
- 支援
- 16 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:17:49.86 ID:e0bSd0/j0
- ('、`*川「地獄の閻魔に出会う覚悟はオーケー?」
(;^ω^)「死ぬ事だけは確定ってのは勘弁してもらいたいお・・・・・・」
教室の隅っこに追い詰められた内藤に逃げ場は無かった。
周囲からは止めを願う生徒達の、熱烈な視線が注がれている。
( ^ω^)(考えろ、この場を脱出する方法・・・・・・)
( ^ω^) ピコーン!
( ^ω^)「モララーが大事な話があるって言ってたお!
休み時間が終わる前に、話を聞いてあげた方が良いんじゃないかお?」
('、`*川「モララーが・・・・・・?」
ペニサスが振り向いた一瞬の隙を突いて、内藤は逃げ出した。
脱兎の如し速度には、流石のペニサスも追いつけない。
舌打ちの音が、そこかしこから聞こえた。
- 17 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:18:18.22 ID:e0bSd0/j0
- (;・∀・)「えっ、ちょ、何言って・・・・・・!!」
( ^ω^)b「じゃあ、僕はやっぱりドクオの所に行くから!
さっきの打ち合わせ通りに上手くやるんだお!」
立てられた指は、逆さの方が現状に適しているのではないか。
モララーがそんな考えを浮かべるている内に、内藤の姿は消えてしまった。
('、`*川「馬鹿だよな・・・・・どうせ、休み時間が終わればここに戻るのに」
( ・∀・)「あはは・・・・・そうだね」
('、`*川「で、話って何よ?」
(;・∀・)「・・・・・・・・あっ・・・・・と・・・・・・」
( ・∀・)(ここで勇気を振り絞らないでどうする、モララー!
男だろ!軟弱キャシャリン何て呼ばれても男なんだろ!!
今ここでやらないんだったら、いつやるんだよ!!
行動を先延ばしにするんじゃない、明日って今だろ!
たった、一言、簡単なその言葉を言ってしまえば全部終わるじゃないか!
この手に掴め、幸福という名の二文字の花。
見事、咲かせてご覧になりませう!)
その思考にかかる時間、僅か0.001秒。
人智を逸した集中力は、追い詰められた兎が発するものである。
- 18 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:19:39.16 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)「ペニサスちゃん!」
('、`*川「何よ?」
( ・∀・)b「今日デート行こうぜ!」
モララーがウインクをすると、爛々とした瞳に浮かぶ無数の星達。
輝きが膨れ上がり、今にも流星となってペニサスに降り注ぎそうな。
そこに、普段の内気な少年の姿は無かった。
いや、指を天を刺すかのように突き立てる彼を同一人物と思うのが至難というもの。
静止した時が、何よりもそれを表していた。
('、`*川「えーっと・・・・・・何だって?」
( ・∀・)「おいおい、冗談はよしてくれってばぁ!
シャイボーイな僕の精一杯の勇気を台無しにしちゃうつもりかい?
ヘイヘイ、彼女、お茶いこうぜぃ!」
モララーは腰を振り、妖艶な雰囲気を醸し出しながら踊りだす。
パチパチと手を叩き、周りのものを誘うかのように軽快なリズムを刻む。
これも、彼なりに考えた、警戒心を失くす術なのである。
そして、どこかの誰かを彷彿とさせるてんぱり様だった。
- 19 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:19:50.00 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)(のってきた、今の僕なら空だって飛べる!!)
そんなダンスもクライマックスを迎え、彼は机の上に意気揚々と飛び上がる。
かと思えば、そこから飛び降り、ペニサスの目前にまで迫るのだ。
( ・∀・)「今日は僕と一緒にオールナイトフィーバーだぜぃ!!」
膝をつき、両手を大きくペニサスに掲げた。
それは白鳥や、孔雀の求婚を模倣しているのだろう。
背景に薔薇を散りばめたくなる程、彼のテンションは最高潮であった。
のだが。
('、`*川「・・・・・・・・・・・・」
ペニサスの反応は冷たいものであった。
モララーの事を養豚場の豚を見るかのように見下し、溜め息を吐く。
しかしながら、彼の普段の姿を知るものなら当たり前の反応ではあった。
- 20 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:20:04.13 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)「・・・・・・・・・・・・」
('、`*川「他に言うことは?」
( ・∀・)「えーっと・・・・・すいません」
('、`*川「よろしい」
自身の愚行に気付き、モララーは頭を掻き毟る。
焦りに悩ませれば、美しいその顔も見事に台無しとなっていた。
(;・∀・)(やってしまった、やってしまった!
自分でも信じられないくらい、自分の事を見失ってしまった!
ペニサスちゃんの目が、氷よりも冷たく感じちゃうよ!
それどころか、周囲の視線でエターナルフォースブリザード状態だよ!
極寒の地で一人、裸同然の状態の僕は一体どうなってしまうのかぁああああ!!)
脳内実況に身を任すモララー。
当然、問題の解消には何の意味もなさない訳であるのだが。
- 21 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:20:40.96 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)「許してちょんまげ!」
('、`*川「良いよ、デートしようよ」
( ・∀・)「・・・・・・え?」
渾身のギャグはスルーされたものの、モララーは耳を疑った。
( ・∀・)「パードゥン?」
('、`*川「だから、デートしようぜって言ってるのよ。
今日は丁度、放課後の部活は休みだから暇してる訳。
・・・・・・あ、出来ればお金はアンタ持ちだと嬉しいかなぁ、なんて」
(*・∀・)「やったああああああああああああああ!!」
話を最後まで聞き遂げることもなく、モララーは歓喜に震える。
ペニサスは奢りの件を了承したのだと、勝手にそう受け取った。
- 22 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:21:13.32 ID:e0bSd0/j0
- ('、`*川「放課後までに何するか考えとけよー。
暇させたら、承知しないかんなー!」
( ・∀・)「もちろん、最高の一日に仕立て上げるよ!」
その言葉を言い終えると、タイミング良く予鈴のベルが鳴った。
ペニサスは何を付け加える訳でもなく、自分の席に戻っていった。
( ・∀・)(デートコースかぁ・・・・・・どうしようかなぁ)
行き当たりばったりで決まった事なので、行く当てなど無かった。
それどころか、デートなど初めてのだったのでモララーは頭を悩ませた。
そして、考えつく。
つい最近、デートの話を聞いた覚えがある事を。
( ・∀・)(会長に話を聞いてみよう!)
誰も、それを止めることが出来ないのが悔やまれる。
- 23 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:21:41.28 ID:e0bSd0/j0
- 外はいまにも雨が降り出しそうだった。
重厚な雲、空を灰色に染め、気分が滅入りそうになる。
それにも関わらず、モララーは放課後の予定に心を寄せ、顔を綻ばせていた。
【第十二話:おしまい】
- 24 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:22:37.78 ID:e0bSd0/j0
- 10秒立たないと、書き込めないのか・・・・・・。
もう一話投下するけど、あれだね。
今、細かすぎて伝わらないモノマネやってるから知らない人はテレビつけたほうがいいよ。
- 25 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:26:04.98 ID:e0bSd0/j0
- 【第13話:元気無いね】
(*゚ー゚)「くるっとまわって一回転、くるっとまわって一回転。
ひっくりかえってワッハッハー!」
しぃは軽やかにその身を動かし、歌と踊りを奏でていく。
スカートがふわりと浮かび、髪の毛も暴れまわっていた。
そこは、一人の少女が作り出す小さな舞台になっていた。
唯一人の観客である内藤は、賛美の言葉を考えながら拍手を送るのだった。
(*゚ー゚)「あー、恥ずかしかった!」
( ^ω^)「その割には、楽しそうだったお」
(*゚ー゚)「わかるー?なんか楽しくなってきちゃってさぁ!」
そう言いながら、しぃは腰を振る。
少しだけ好色な顔をしてしまった内藤は、そんな自分に後ろめたさを感じた。
同時に、二人以外には、誰もいない事に安堵を覚えた。
- 26 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:26:33.82 ID:e0bSd0/j0
- ( ^ω^)「罰ゲームなんて、普通は蔑ろにしちゃうもんだお」
(*゚ー゚)「私が今やっておけば、いつかブーン君にさせることが出来るじゃない」
( ^ω^)「逃げ場を失くさせるつもりかお」
手渡されたタオルで汗を拭きながら、しぃはにやりと不敵な笑みを浮かべた。
内藤もまた、苦笑いを浮かべて、彼女が提案する罰ゲームとはなんだろうと思いを馳せる。
そして、行き過ぎた妄想に体を震わせた。
( ^ω^)「そういえば、僕の友達が面白いことになってるだお」
話を急転換させたのは、そんな恐怖を消し去る為。
しかしながら、元々、話題に出そうと考えていた事でもあった。
(*゚ー゚)「また?ブーン君の友達は色々とありすぎじゃないかな?」
( ^ω^)「・・・・・確かに最近は、よく話してる気がするお」
『いい加減、うんざりしている?』と内藤が尋ねれば、
しぃは軽く息を零し、否定の言葉を連ねていくのだった。
- 27 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:27:00.94 ID:e0bSd0/j0
- (*゚ー゚)「ブーン君の事を聞くのは楽しいもん」
( ^ω^)「でも、僕というより、僕の友達が中心になるんじゃないかお?」
(*゚ー゚)「周囲の人間の事を聞けば、中心の人物の事もおのずと分かるものなの!」
不可解に思いながらも、自分の事を良く知ろうとしている少女に内藤は僅かな照れをみせる。
それを見て、しぃはここぞとばかりに攻め込むのだ。
(*゚ー゚)「それに、世界を広めるのは楽しいんだよ。
自分の知らない事が分かっていくのは凄く楽しいし」
( ^ω^)「なんだか、随分と大げさな表現になってないかお?」
(*゚ー゚)「変な言葉しか言えなくて悪かったね!」
不貞腐れて背を向ける少女の背中が、小刻みに震える。
それが演技だという事も分からずに、内藤は愚かにもうろたえた。
- 28 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:27:18.97 ID:e0bSd0/j0
- (;^ω^)「ご、ごめ・・・・・・」
(*゚ー゚)「冗談だよ、話聞きたいだけだった」
けたけたと笑うしぃに、またかと内藤は肩を落とした。
自らの鈍さのことは重々理解してはいるが、人をからかう癖のあるであろう少女の事を、
流石に勘弁だと思い、そしてまた、どこか憎めないでいる自分に落胆したのだ。
( ^ω^)「小悪魔・・・・・・」
(*゚ー゚)「何か言った?」
( ^ω^)「いや別に・・・・・ただそれも、可愛いなと」
(*゚ー゚)「よく分かんない?」
遠くで犬が鳴いているようだった。
それが公園に駆けてこない事を、目に入った遊具を神に見立てて祈っていた。
- 29 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:27:42.52 ID:e0bSd0/j0
- (*゚ー゚)「・・・・・・でー、何があったの?」
( ^ω^)「おー、僕の幼馴染の事を好きになって人がいて―――」
内藤はモララーの恋路を面白可笑しく、滑るように口から零していった。
自分の事はともかく、人のそういった話をするのは面白いらしい。
多くの人なら分かるであろう感覚だが、内藤もまた同じように楽しんでいた。
(*゚ー゚)「それで!それで!!」
また、少女も同じく。
ここぞとばかりに目を輝かせ、身を乗り出して話を聞こうとしていた。
しかし、彼女の場合は恋愛慕情を聞く事が面白いのであろう。
思春期の女子にはよくあることで、何よりも話題になりやすい事というのが第一なのだから。
- 30 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:27:53.97 ID:e0bSd0/j0
- ( ^ω^)「――という訳で、今もデート中だと思うお」
(*゚ー゚)「ふーん・・・・・いいねぇ、青春だねぇ」
しみじみとしている少女は外見がともなり、実に滑稽に思えた。
また、しぃは唐突に何かを思いつき、あ、と軽く声を漏らした。
(*゚ー゚)「私達のこれはデートになるの?」
放たれた言葉は、内藤の心を貫いた。
これ以上ないまでに取り乱し、声にならない言葉を吐いた。
酷く赤面したその顔は、限界を見せずに更に更にと赤くなっていった。
少女は、そんな様子をみて満足気に、もう一度頷いた。
- 31 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:28:08.44 ID:e0bSd0/j0
- .
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
('、`*川「いやぁモララー、今日という日を楽しみにしていたよ」
( ・∀・)「誘ったの今日じゃんか・・・・・・」
軽く手を挙げて挨拶を交わすと、早速のジャブがモララーに突き刺さる。
のっけから、こうもボケられると、流石のモララーも雲行きを心配するばかりであった。
('、`*川「んで、今日は私をどこに連れ込む魂胆なんだ?」
( ・∀・)「なんか、人聞きの悪い言い方するのは止めてよ!
場所は一応決まってるから、とりあえず行こうか・・・・・・」
モララーが時間を確認すると、時刻は4時を過ぎていた。
夏の恩恵を考えても、そろそろ日は暮れ始め、夕方と呼べる時間帯になるだろう。
学校の終わりと迎えた後なので、仕方ないと言えばそうである。
しかしながら、やはりどこか焦りは生まれるもので、やや早足になるのは抑えられなかった。
- 32 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:29:13.79 ID:e0bSd0/j0
- ('、`*川「ここで、モララーのデートテクニックが試される訳なんだがな。
・・・・・果たして、どうなることやら」
( ・∀・)「不安になるような事は言わないでよ!
・・・・・えと、もう少しで着くと思うんだけどな・・・・・・」
ある程度の不安もあるものの、モララーは軽い安堵感を持っていた。
頼れる生徒会長からお勧めされたデートスポットに、間違いは無いと確信していたからだ。
( ・∀・)「えーと・・・・・あ、ここだね!」
('、`*川「ここか・・・・・?」
( ・∀・)「うん、ここ!!・・・・・ここ・・・・・?」
('、`*川「・・・・・何故、お前がうろたえている」
そして、即座に考えを改めさせられるのだ。
頼る事は出来ても、こういった出来事については、二度と相談しないと。
『寄生虫館』と禍々しく掲げられた看板。
それに、そんな誓いを立てた。
- 33 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:29:28.43 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)「えと・・・その・・・どうでしょう?」
('、`*川「どうでしょうって・・・・・お前がここに連れてきたんじゃないか。
お勧めの場所なんだろ?」
( ・∀・)「いやぁ、なんていうか、アハハハハ!!」
笑って誤魔化す他なかった。
無論、ペニサスがそれで納得する訳はないと理解して上で、だ。
('、`*川「まぁ、いい。とりあえず入るか」
( ・∀・)「え、マジ?」
('、`*川「折角来たんだし、行かない訳にはいかないだろ。
さーて、どんな物が見れるのかなー!」
モララーは重たい足を引きずり、ペニサスの背中を追いかけた。
館内に入った瞬間、薬品の強い匂いを感じて、後悔の思いは膨らんでいった。
- 34 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:29:41.71 ID:e0bSd0/j0
- .
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
('、`*川「・・・・・・・・」
( ・∀・)「・・・・・・・・」
('、`*川「もう、パスタとか食べられないかもしれない」
(;・∀・)「僕は、麺類全般アウトかな・・・・・・」
行きとは別人に思えるほど、暗い顔の二人が現れた。
格好さえ整えれば、通夜の帰りと言っても何ら疑問を感じないだろう。
('、`*川「ここまで私をへこませるとはね・・・・・。
モララーも成長したじゃないか・・・・・」
( ・∀・)「そんなつもりは毛頭なかったんだけど・・・・・」
('、`*川「だとしたら、あんたのセンスはミジンコ以下・・・・・・」
モララーのクーへの恨みは増すばかりであったが、
言ってしまえば、それは自業自得以外の何物でもなかった。
- 35 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:30:23.23 ID:e0bSd0/j0
- 空の暗がりは増していくばかりで、既に太陽は落ちかけている。
また、日が落ちる事より、分厚い雲の層が光を遮る一番の要因になっていた。
( ・∀・)「・・・・・・あ」
('、`*川「・・・・・・最悪、じゃん」
そして更に悪い事には、一つ、また一つと線が空間に現れていく。
それが数多にも重ねられていき、路上には黒のまだら模様が描かれた。
雨は、二人の体を濡らしていた。
('、`*川「やっぱ降ってきたかー、よしずみが言ってたもんなぁ」
( ・∀・)「天気予報士は皆、よしずみって名前じゃないんだよ」
('、`*川「そうなのか!?やべぇ、また一つ賢くなっちゃったよ・・・・・・」
圧倒的に常識が足りない、とは言えなかった。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:30:34.19 ID:3ziWSgG1O
- これ好き支援
- 37 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:30:37.10 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)「とりあえず、どこかで雨宿りしないと・・・・・・」
('、`*川「寄生虫館には戻りたくないぞ」
( ・∀・)「それには全面的に同意だよ・・・・・・。
あ、あそこの木の下なら濡れなくて済みそうだよ」
モララーが指差した方向には、一本の大きな木が構えている。
都合の良さを感じる程に、この町中で妙な存在感を放っている。
二人はそれに駆け寄り、しばしの時を過ごす事にした。
('、`*川「すぐ止む・・・・・・と良いんだけどね」
( ・∀・)「うーん、雨が少し弱くなったら、どこかで傘買って帰ろうよ」
('、`*川「だな、暗くなってきそうだ」
木の下は、影もともなり闇の中のようだった。
互いの表情が薄っすらと確認出来る程度で、雨音だけが嫌に響いていた。
- 38 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:30:52.84 ID:e0bSd0/j0
- ( ・∀・)「・・・・・なんか、ゴメンね。
こんなことになるなんて、思わなくって」
('、`*川「別に良いさ、それなりに楽しかった」
( ・∀・)「嘘?」
('、`*川「いや、何も考えずにいられたしな」
地面に当たった雫が飛び散り、足元にまで飛んできた。
モララーはそれを確認すると、ペニサスとの距離を少しだけ縮めた。
僅かに見えた横顔は、どこか憂いを帯びていた。
( ・∀・)「最近さ、何かあったの?」
('、`*川「・・・・・急に変な事を聞くじゃないか」
( ・∀・)「急って言う訳でもなくて、ちょっと前から思ってたんだけどね」
いつしか、二人の視線は平行に並んでいた。
交わる事もなく、ただただ、真っ直ぐに。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:31:03.84 ID:wt9kDCcdO
- 猛暑きたー!!
支援
- 40 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:31:18.17 ID:e0bSd0/j0
- ('、`*川「私は、どこか変だったか?」
( ・∀・)「うん、ちょっとだけ元気が無かった感じ。
ブーンとかは気付いてなかったから、僕にだけそう見えてたのかも知れないけど・・・・・」
('、`*川「そうか、アイツは気付いてなかったか・・・・・・」
( ・∀・)「それでね、今日は元気付けようと思ったんだ。
・・・そうしたかったんだけどね・・・・・・」
いくらペニサスが弁解しようと、失敗は間違いなく事実だった。
モララーは頼りにならない自分に成長を与えるため、この失敗は甘んじて受けようとしていた。
('、`*川「・・・・・しかしまぁ、お前には隠し事は出来ないみたいだな」
( ・∀・)「そりゃあ、いつもペニサスちゃんの事を見てるから・・・・・」
('、`*川「あ、何だって?」
( ・∀・)「いやいや、なんでもないよ!うん!」
- 41 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:31:32.26 ID:e0bSd0/j0
- ('、`*川「元気が無いか・・・・・・」
その言葉自体にも、覇気を感じられなかった。
天真爛漫をそのまま表しているような彼女だったが、今はまるで面影が無い。
( ・∀・)「何かあったならさ、僕に教えてくれないかな。
一人で悩むよりかは、何倍も良いことだと思うよ」
('、`*川「・・・・・・まぁ、お前になら教えてもいいかな」
モララーは心中で喜びを感じた。
自分だけ特別扱いを受けた事に、優越感を得たのだ。
('、`*川「あんまり、こういう事を人に言うのは柄じゃないんだがな。
何だか、自分だけで抱えてるのも疲れるし、何より辛い」
( ・∀・)「そんなに大変な事なの?」
('、`*川「さぁ、人によっては軽いことなんじゃないかな」
少しだけ間を置いて、ペニサスは再び口を開いた。
- 42 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:31:43.12 ID:e0bSd0/j0
- ('、`*川「私、内藤の事好きだったんだよね」
雨は衰えるどころか、激しさを増すばかりだった。
モララーの心をそのまま映し出すかのように。
【第13話:おしまい】
- 43 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:33:04.74 ID:e0bSd0/j0
- 投下時間22分!最短記録誕生!
急かした投下でごめんなさい。今日がモノマネの日だとは思わなくて。
・・・・・・・まぁ、さっさと続き書いてきますです。
それではーノシ
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:34:07.38 ID:vBNBFxA60
- 乙
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:37:02.75 ID:9FcGdJg6O
- きてたー!おつです
元気っこしぃがだいすきです
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:40:10.43 ID:j0NJA5t3O
- 支援する間も無かった乙
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:40:11.36 ID:ToWNA1gwO
- 乙
寄生虫館楽しいよね。色んな意味で
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:44:51.80 ID:YJDQCRyM0
- 来てたのか
乙。
- 49 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/27(木) 21:55:47.88 ID:e0bSd0/j0
- 更新早すぎワロタ、いつもありがとうございます花束さん
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