( ^ω^)猛暑のようです
1 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:24:25.53 ID:sKbjcbV00
一人称にすれば良かったと、切実に思う。
まぁ練習のためも含んでるんだけど・・・・・・訳分からなくなってきた。
やっぱ三人称はバトル物とかで使うべきですね・・・・・・。

【まとめ】

カハ| ゚ -゚)ク←かぁいい。花束さん。
http://bouquet.u-abel.net/index.html

米欄はコワイ。蛇屋さん。
http://hebiya.blog40.fc2.com/blog-entry-6506.html#more

マターリ・・・・・いきたかったけど、少し早めに投下します。

2 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:25:35.46 ID:sKbjcbV00
【第14話:孤独】

( ^ω^)「おいすーモララー!」

( ・∀・)「あ、おはよう、ブーン」

朝の教室は、授業が始まる前の楽しみにと、多くの生徒が話に花を咲かせていた。
内藤も適当に鞄を置いて整え、周囲の者と同じように口を滑らす。

( ^ω^)「んで、昨日はどうだったんだお?」

( ・∀・)「昨日って・・・・・・デートの事?」

( ^ω^)「そりゃもう当然のように。
     メールで聞こうかと思ったんだけど、何か申し訳なくて・・・・・・」

曰く、モララーの興奮を冷ましてしまうのではないかと思ったらしい。
無駄なお節介だと思いつつ、モララーは内藤の顔を改めて眺めてみた。

純粋で、真っ白で、穢れの無い子供のようだと思った。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:25:47.92 ID:u8c+yC/W0
うわあああああああ猛暑まできたあああああああ

4 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:26:14.87 ID:sKbjcbV00
( ^ω^)「・・・・・・な、なんだお、あんまり見るなお」

( ・∀・)「いや、ブーンの顔を見ると元気が出ると思ってね」

( ^ω^)「馬鹿にしてるのかお?」

( ・∀・)「そうじゃなくって、唯、単にそう思っただけなんだよ」

内藤の頭に疑問は浮かべど、モララーはそれを解消させてくれそうにはなかった。
言葉を自分の心の中に押し込んで、もう一度先ほどと同じ問いを投げかけた。


( ・∀・)「デート、デートか・・・・・・失敗だったんじゃないかな」

(;^ω^)「え、マジかお?」

( ・∀・)「うん、デートに選んだ場所は大不評。
      おまけに雨が降ってきたりで、正直、散々な一日にさせちゃったかも」

( ^ω^)「うーん、でもそれなりに楽しんでくれてたりはしなかったのかお?」

ペニサスは確かに、そう言ってはくれた。
しかし、それが同情の言葉だったのかもしれないと思ったので、無理に否定はしなかった。

5 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:27:27.24 ID:sKbjcbV00
( ・∀・)「それにさ・・・・・・ペニサスちゃん、好きな人いるんだって」

(;^ω^)「うえぇ!?」

( ・∀・)「相談までされちゃってさ、拷問かと思ったよ。
      好きな人が、好きな人の事を語るとか・・・・・笑い話にもならないよね」


( ^ω^)「いやいや、別に付き合ってる訳でもないんだお?」

( ・∀・)「うん、片思いだって言ってた」

( ^ω^)「それなら、熱烈なアプローチをかけて惚れさせてやればいいお!」

内藤はどん、と胸を叩いて勇気を出せと渇を入れた。
モララーが応えようとしたところで、今度は首を傾げて呟くのだ。


( ^ω^)「アイツに熱烈なアプローチとか・・・・・・まるで意味が無い気がするお」

( ・∀・)「何で?」

( ^ω^)「気持ちよりも、物品にこだわる気がするんだお。
      『私に交際を申し込むなら、まずは食べ放題に連れて行け』・・・・・とか」

そんな悪意に満ち溢れたイメージにも関わらず、同意の言葉を唱えた。


6 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:28:52.93 ID:sKbjcbV00
( ・∀・)「まぁ、いいんだ、付き合いたいとかそういう訳じゃなかったからさ。
      僕はペニサスちゃんが幸せならそれでもいいかなーって」

( ^ω^)「でも、元気が無いように見えるなら幸せじゃないんだお?
       モララーが何とかしてやるのがいいお」

( ・∀・)「簡単に言うね」

( ^ω^)「人事だからだお」

立場が逆だったら自分は真剣に相談に乗るのに、
と思いつつも、内藤の能天気さは重々承知してることだったので良しとした。


( ・∀・)「・・・・・・はぁ、ブーンには絶対に敵わない気がするよ」

( ^ω^)「別に僕に勝つ必要なんか無いからいいんだお。
       ペニサスをたらしこんだ奴に勝てばいいんだお」

( ・∀・)「たらしこんだって・・・・・何か違う気がするけど」

内藤の顔に、悪意などまるで見られない。
それでもモララーにだけは、悪戯めいた顔に見えていた。


7 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:29:15.09 ID:sKbjcbV00
先生が教室に入るのと、始業のベルが鳴るのは、ほぼ同じタイミングだった。
遅れた生徒達が駆け込むように教室に入ると、ざわめきが大きくなり、話も通り辛くなった。
二人は話を中断し、自分達の席に戻っていく。

その間際、最後に内藤が一言だけモララーに告げた。


( ^ω^)「何があっても、僕はモララー応援派だから安心するお!」

( ・∀・)「・・・・・・本当にブーンは良い人だね」


当然だと言い残し、他の生徒との会話を始めた内藤。
モララーは席に着いた後、一度だけ彼を見直し、また視線を前へと戻した。

良い人、だからこそ困るのだ。
内藤に勝てないからこそ、問題なのだ。

・・・・・・ペニサスの思い人は、他でもない内藤その人なのだから。

表情は崩さないし、変わった仕草を行う訳でもない。
今のモララーが圧迫感に襲われているのを知る者など、誰一人としていなかった。



8 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:30:33.02 ID:sKbjcbV00
        *         *         *

(;・∀・)「え、あ、ブーン・・・・・・?」

('、`*川「意外か、まぁそりゃそうだよなぁ」

モララーの声は雨音で掻き消されてしまうほど、か細かった。
二人の距離は肩が触れてしまうかと言うほどで、でなければ会話にはならなかっただろう。
モララーは高鳴る心臓の音を煩いながらも、それに続く言葉を探していた。


('、`*川「普段は喧嘩ばっかしてるように見えるもんな、誰も気付かないよね。
     というより、私が恋とかそういうのを意識してるってのがまず、無いか」

それも間に合わず、先にペニサスが言葉を紡いでいった。
髪を掻き揚げると、暗がりに僅かな表情を確認する事が出来た。

今までに見たことの無い表情で、それは、艶やかさを感じ取れた。


( ・∀・)「・・・・・・いつから?」

('、`*川「いつだろ・・・・・・いつの間にかなんだよね。
     ずっと昔から一緒だったからな・・・・・もしかしたらずっと前かもしれない」

内藤とペニサスは、小学校の頃からの付き合いだったという。
モララーの知らない過去が二人にはあった。

9 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:31:31.86 ID:sKbjcbV00
('、`*川「アイツの事を見てるとさ、元気になれるんだよな。
     馬鹿で、どん臭くて、鈍くて、それでも明るさだけは人一倍で。
     こっちまで楽しくなってくるっていうかさ」

気恥ずかしいのか、ペニサスの言葉選びは慎重だった。
それにも関わらず、モララーが口を挟むことはなかった。
無粋だと思うところもあったし、何よりも言うべき言葉など見つからなかったのだ。


('、`*川「好きとか良く分かんないけど、アイツ見てると心が温かいっていうかさ。
     本能的で悪いんだけど・・・・・・多分、これが好きって気持ちなのかなって最近思ったんだ」

しとしとと降る雨の中、大きな木の下。
通行人の姿もなく、女性の声と雨の音は終わりを見せない。
静かだった。無音ではないものの、動きのない静寂の空間だった。


( ・∀・)「最近、元気が無かったのはブーンが関係するの?」

('、`*川「関係するって言えば、するのかな。
     どちらかと言えば、自分自身に対してが大きいんだけどな」

モララーが無言で頷き、ペニサスは続けた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:31:58.69 ID:3d8o5Ec60
ktkrしえん

11 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:32:01.93 ID:sKbjcbV00
('、`*川「最近さ、内藤の事を好きだって言う女の子いたじゃない。
     あの生徒会長のクーっていう子、モララーも当然知ってるよな」

そこでクーの名が出たのを驚きつつも、モララーは応えた。

('、`*川「自分の気持ちを伝えて、相手に正面からぶつかっていって。
     普通はそう簡単に出来たもんじゃない事を、あんなに簡単にやるんだよ?
     ・・・・・・本心を素直に人にぶつけるなんて、怖くて出来ない」

確かに、それは容易い事ではなかった。
相手の反応がどんなものかなど、まるで予想がつかないのだから。

そう分かっていながらも、モララーはその言葉を聞くのが辛かった。
憧れていた女性が弱音を吐き、自分と同じように悩んでいたのは嬉しくもあった。

だけども、同じだからこそ、悲しかったのだ。


('、`*川「それでね、気付いちゃったんだ。
     好きだって言わないのは付き合いたいとか思って無かったからじゃないって。
     ただ単に、拒否されるのが怖いから口に出さなかっただけなんだって」

それも同じだ。怖かった、だから言わないのだ。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:32:28.76 ID:JMAiEv/Y0
24時までに1000いったらスク水着てうpする!!!
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1206876448/


13 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:33:07.58 ID:sKbjcbV00
('、`*川「そしたら、自己嫌悪みたいになって、少し落ち込んでたんだよな。
     上手く隠してるつもりだったんだけど・・・・・・モララーには、ばれたかぁ」

明るい口調で、悲壮感を帯びているのようにも思えて。
モララーは涙ぐみそうになりそうになり、それを堪えるのに必死だった。

('、`*川「今では、元気貰えるはずの内藤の顔を見るのも少し辛いね。
     恋する乙女なんて柄じゃないけど、そんな感じになってるかも。
     ・・・・・・嫉妬とか、自分でも身の毛がよだつ程、気持ち悪いよ」

勝手な幻想を抱いて、強く気高く美しい、自分の理想像のような女性だと思っていた。

しかし現実は違った。
彼女もまた、自分と同じように悩み苦しみ、誰かに支えられて生きていたいと考えていた。

それが、こんなにも非力な自分であってもだ。
うじうじして、男らしく無くて、人に元気を与える事なんて出来ないのに。

・・・・・・それぐらい彼女は誰かに助けを求めている。
それぐらい、苦しんでいるのに、それなのに。


『僕には、何を言えば良いのか分からない』


いや、今のモララーには捧げるべき言葉が見つかろうとも、口に出す事は無いのだろう。

その恋が成就するようにと願うことなんて、出来ない。
利己的だと言われようとも、相手は自分が想っている人に他ならないから。


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:33:33.89 ID:sflDOFb9O
うはw来てた支援

15 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:33:45.88 ID:sKbjcbV00
('、`*川「今日はさ、寄生虫やら雨やらで色々あったけどさ。
     ここに来て良かったと心の底から思えたから、気にするなよ。
     ・・・・・・誰かに悩みを話せるっていうのは、何よりも気が楽になる」

それは嬉しい事で、だけども悲しい事で。
信頼されている喜びと、悩みの内容で打ち砕かれる恋心と。

地面は雨で濡れて泥になっている。
狭間で揺れる思いも同じく、濁り、淀んだ色に成り果てていた。


('、`*川「何か、雨が止みそうに無いな。
     ・・・・・・しょうがないし、走って帰るしかないかな」

ペニサスはモララーの返事も待たず、柔軟を始める。
精一杯の強がりがそこにはあって、モララーもそれに気付いていた。

しかし、それでも口を開く事は無かった。
心中での葛藤は続き、真っ直ぐに向いた視線は、俯いたものに変わっている。

二人の視線が交錯する可能性は、零へと向かっていた。

16 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:34:11.71 ID:sKbjcbV00
('、`*川「ほら、モララー行くよ!
     全力で走らないと、置いていくからな!」

ぽん、と肩に置かれた手にモララーは我に返った。
目の前にいる意中の人は、髪の毛をゴムで束ねていた。

それはペニサスが部活動を行う時にする格好である。
モララーが意味に気付き、声をかけようとする時には少し遅かった。


('、`*川「ついてこいよ!!」

言い残し、彼女は走り去っていく。
日々運動に精を出しているペニサスの脚力は相当なものであった。
男と女の差はあれど、運動を苦手とするモララーの足では到底、追いつけるものではない。

雨の中、靴の中までぐっしょりと濡れていて、走るたびにビチャビチャと音が鳴る。
火照った体が雨で冷やされても、高鳴った心臓を押さえつけてくれる訳ではなく、辛い。
モララーは走る。手を伸ばしたら掴める距離にあると信じ、彼女の背中を追いかける。

届かない。遠ざかっていく。

届かない。その手は空を掴むだけ。

届かない。どこまでも自分は無力だ。


届かない、届かない、トドカナイ―――



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:34:33.90 ID:sflDOFb9O
支援

18 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:35:31.94 ID:sKbjcbV00
        *         *         *


(;・∀・)「行かないで!!」

喉が張り裂けんばかりの声を出し、モララーは叫んだ。
その瞳は薄っすらと赤く染まり、心臓はどくどくと脈打っている。

乱れた呼吸を直し、改めて視界を鮮明にすると、信じられない光景が彼を待っていた。


教師「天才は、授業中に寝てても学年1位とれるからな。
   ・・・・・・だがなぁ、そんな大げさに寝言を言われたら俺だって叱らざるを得ないだろう?」

軽く頭を叩かれたモララーは、思わず「いたっ」と漏らした。
ジョーク交じりの先生のお叱りに、ぽつりぽつりと笑い声が湧いていた。


( ・∀・)「あれ・・・・・・?」

教師「どうした」

( ・∀・)「今は、何の時間ですか?」

もう一度、拳が振るわれる。
今度は教室中に笑いの渦が起こった。

モララーそこでようやく今の状況に気付き、赤面した。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:35:57.44 ID:sflDOFb9O
支援

20 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:35:58.82 ID:sKbjcbV00
教師「今なら、顔を洗ってくるのを許可してやるが?」

( ・∀・)「えぇと、トイレに行くのもありですか?」

教師「お前は・・・・・好きにしろ」

礼をして、モララーは教室を後にした。
こういった傍若無人な振る舞いには、何故かヒーロー扱いが待っているものである。
拍手で送り出され、彼もまた腕を挙げてそれに応えていた。


授業中の廊下というのは、静かなものである。
普段は雑談をする者が溜まり、五月蝿く感じる程であるが、今はそんな事は無い。

各教室から授業の音が僅かに聞こえはするが、他には足音が響くだけである。
一人だけ別世界にいるような感覚をモララーは楽しみ、そして少しだけ恐れた。

( ・∀・)「孤独は、絶対的な恐怖だよね」

ペニサスの悩みを言えて良かったという言葉を思い出し、モララーは呟いた。

21 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:36:15.22 ID:sKbjcbV00
手洗い所の鏡で顔を見ると、モララーは自分が酷い顔をしている事に気付いた。
白く美しい肌には跡が残り、自信なさげな表情が映し出されている。

昨日の出来事を夢で思い出したことで、精神的にまいっていたのだ。
そう理解してはいるものの、自分の弱さというものに彼は酷く落胆した。



強く、なりたい。

他人に元気を与えられような。

でも、こんな顔をした人間にそんな事が出来るのか?




モララーは鏡に水をかける。
水滴が残り、その場所に映し出されるはずだったものは見えなくなっていた。



【第14話:おしまい】

22 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:36:56.85 ID:sKbjcbV00
モララーの話はやっちまった感が強い。
ケーキうめぇと思いながら、15話いっくよー

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:37:01.64 ID:sflDOFb9O
支援

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:37:50.69 ID:3d8o5Ec60
モララーガンガレ支援

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:38:12.66 ID:sflDOFb9O
支援

26 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:38:40.57 ID:sKbjcbV00
【第15話:強いって何さ】

昼休み、生徒達は仲の良い者同士で固まり、輪を作っていく。
そして集まりから外れている者が、ぽつりぽつりと浮かび上がり哀愁を漂わせていた。
たった一言で、その一人ぼっちの世界を終わらせることが出来る。
しかし恥ずかしさと恐怖と、ほんのちっぽけなプライドがそれを邪魔していた。

それは孤独を感じている者に限った事ではない。
集団の中の一人が、声をかけようと迷っていることも少なからずあるのだ。

彼らもまた、同じような理由でそれを躊躇い、心にわだかまりを抱いてしまう。
互いが互いの存在を望んでいるにも関わらず、交わりあうことは無い。

孤独とは、そうして出来上がったいく。
ほんの少しのすれ違いと、僅かに足りない勇気と。
素直になり切れない、自分自身への嘆きは募るばかりだ。


( ・∀・)(人間、一人では生きていけない、かぁ)

臭いドラマの台詞でそんな言葉があった。今は唯それを痛感する。

どんなに強く見える人間でも脆い部分があると、最近になってようやく知ったのだ。
ペニサスのような人間でも、心に闇を抱えることはあるのだ。

27 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:39:11.87 ID:sKbjcbV00
ペニサスに好意を持った理由は、自分にない強さを持っているからだった。
格好良いと心の底から思い、崇め、いつしかそれは愛という気持ちに変わっていた。

しかし、今その根底は崩れた。

彼女の強さは、弱さの上に塗り固められた強がりが表面上に現れていただけなのだ。
自分と同じ弱さを持っていて、それを上手く隠すことが出来ていただけなのだ。
普通の、どこにでもいる女性の一人に過ぎないのだ。

ならば、この想いは無かったことになってしまうのか?


( ^ω^)「なーに、難しい顔してるんだお?」

(;・∀・)「うわぁ!」

モララーが深い思考から目覚めると、内藤の顔がすぐ傍にあった。
生暖かい息が吹きかかり、勘弁してくれと心の底から思う。

( ^ω^)「ひょっとして、ペニサスがいるからかお?」

( ・∀・)「そういう訳じゃな・・・・・・くもないんだけどね」

潜めた声は、二人以外に通ることはないだろう。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:40:02.13 ID:sflDOFb9O
支援

29 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:40:20.67 ID:sKbjcbV00
('、`*川「男同士で、そんなにくっつくとは・・・・・・気持ち悪い」

( ^ω^)「なら、ペニサスにやってあげようかお?」

('、`*川「お前の眉間に、このフォークをぶっ刺してやろうか?」

ペニサスが右手に掲げたフォークがキラリと光る。
怖い怖いと内藤は後ずさり、モララーは苦笑いを浮かべた。

終業式が近づき、部活動が一時お休みとなっている。
ペニサスはこれでもかと言わんばかりに喜び、満を期して遊びに耽っていた。

しかし、モララーと内藤は知っている。
休暇にも関わらず、自主練習に励んでいる事。
何だかんだ言ってはいるが、ペニサスが部活動を誰よりも愛している事を。


('、`*川「いやぁ、教室は涼しくていいねぇ。
     体育館にも冷房つけば良いのに・・・・・・冷蔵庫くらいにしてさ」

( ・∀・)「多分、運動し辛いと思うんだけど・・・・・」

( ^ω^)「てか、どんだけ贅沢する気だお・・・・・・」

30 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:40:57.06 ID:sKbjcbV00
( ・∀・)「今日も、ブーンは屋上行かないんだね。
      最近、行く回数がもの凄く減った気がするんだけど」

( ^ω^)「あの場所、今は立ち入り禁止だお」

( ・∀・)「え、何で?」

( ^ω^)「・・・・・ある馬鹿が、ある馬鹿のお弁当をぶん投げたんだお。
     それがある馬鹿の頭に当たって、怒り心頭で弁当を投げ返して。
     んで、屋上から校庭に向かって・・・・・・」


('、`*川「屋上から物を落としたのか!?」

( ^ω^)「当然のように、立ち入り禁止の令が勃発だお。
     自業自得、ざまぁみろって感じだお」

ミルナの独断により、その令は行われていた。
自分は被害者であるとの一点ばりで、頭のたんこぶをさすっていた。

( ・∀・)「ていうか、みんな馬鹿じゃよく分からないんだけど」

( ^ω^)「これ以上に適した表現は無いと思うお」

31 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:41:28.10 ID:sKbjcbV00
( ^ω^)「良いから、弁当を食べるお!  
       あんな阿呆どもの話をしてたら、飯が腐っちゃうお!」

('、`*川「お前に阿呆とか馬鹿とか言われるのは凄くかわいそうなんだが・・・・・・」

( ・∀・)「まぁまぁ、早く食べないと昼休みも終わっちゃうじゃない」

並べられた弁当箱は3つ。
ペニサスの分と、モララーの分と、ペニサスの分だ。


( ・∀・)「・・・・・・あれ?ブーンのお弁当は?」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・」

('、`*川「忘れたのか」

(;^ω^)「「腐る暇も無かったお・・・・・・」

32 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:42:02.19 ID:sKbjcbV00
ペニサスは一つ溜め息をつき、モララーはその意味を理解した。

弁当は3つある。ここで行われるべき行動は唯一つであろう。
モララーは若干芽生えた嫉妬の心を抑えつけ、見守ることにした。

ペニサスの手が弁当に伸びる。内藤は俯いていた。
ペニサスの口が開かれようとしている。それよりも早く、他の声が聞こえた。


川 ゚ -゚)「お困りのようだな、内藤」

モララーは思わず、口に含んだ茶を噴出しそうになった。
掃除用具入れの中から現れたクーは意気揚々とこちらに向かってきた。

(;・∀・)「か、会長、いつからそこに!?」

川 ゚ -゚)「いつから、という訳ではない。
     この学校には、生徒会長のみが知る道がいくつも存在するのだよ」

そんな馬鹿な、と誰もが心の中で呟いた。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:42:07.18 ID:ztKa560pO
支援(はぁと

34 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:42:34.99 ID:sKbjcbV00
( ^ω^)「・・・・・で、僕に何の用だお?」

川 ゚ -゚)「おお、そうだ、これを見るんだ内藤」

勢いよく突き出された右手には、可愛らしい包みが握られていた。


( ^ω^)「お弁当、かお?」

川 ゚ -゚)「うむ、クラスの女子に聞いたところ、このアプローチが良しと言われてな。
     早速と意気込んだところ、都合よく弁当を忘れているとは・・・・・・運命か」

( ^ω^)「呪いに近いような気がするお・・・・・」

内藤とクーの会話は、傍から見れば微笑ましいものだった。
仲の良い男女の、心温まる風景。

だが、ダメなのだ。

今ここにある全ての感情を知ったモララーには、心苦しいものに他ならないのだ。

ペニサスのお弁当に伸びた手が、再び自分の元へと戻るのを見るのは・・・・・・悲しかった。
開きかけた口に飲み込まれた言葉は、彼女の心を傷つけるだけなのだから。

35 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:42:57.49 ID:sKbjcbV00
('、`*川「・・・・・・貰ってやれよ、好都合な事この上ないじゃないか」

そんな強がりを言っているのを見るのが、心苦しかった。


( ^ω^)「うん、じゃあ素直に貰うとするかお。
       ・・・・・・ちなみに、味の方がどんな感じなんだお?」

川 ゚ -゚)「保障しない。味見は皆無だ」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・」

彼女の二人の掛け合いを見る目が、歪んで見えた。
それはモララーにしか分からないもので、本人にすら気付かないもので。


('、`*川「まぁ食べてみないと分からないだろ?」

川 ゚ -゚)「その通り、それに愛という調味料は全てを凌駕するさ」

( ^ω^)「・・・・・・何か、最近絶好調って感じじゃないかお」


ペニサスの手が強く握られていて、震えていた。

・・・・・・。

耐える事が出来なかったのは、ペニサスではなくモララーだった。

36 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:43:37.12 ID:sKbjcbV00
( ・∀・)「僕はペニサスちゃんが好きだ!!」


('、`*川「・・・・・・へ?」

(; ゚ω゚)「ぶふぉ!!」

川 ゚ -゚)「おお」

夢の最後に放った言葉よりも大きく、あらん限りの声を出して言い放った。
思い切り立ち上がった拍子に、椅子を蹴飛ばしてしまった。
教室中の視線が彼に注がれる。それどころか、外部から野次馬がすら訪れ始めた。
しかし、モララーがそれらを気にする事はなかった。

( ・∀・)「強いとか弱いとか、色々考えてたけど止めた!
      めんどくさい事はいらない、僕はペニサスちゃんが好きなんだから!」

('、`*川「・・・・・ど、どうした急に」

( ・∀・)「わかんない!でも、何か急に叫びたくなった!
      というか、今言わないと僕はずっと駄目になる気がするんだ!
      ここが、僕が漢になるチャンスなんだ!」

沸騰した頭に、余計な考えは浮かばなかった。
本能の赴くまま、というのが正しいだろう。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:43:47.33 ID:3d8o5Ec60
>この学校には、生徒会長のみが知る道がいくつも存在するのだよ
ねぇよwww

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:44:07.61 ID:sflDOFb9O
支援

39 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:44:11.98 ID:sKbjcbV00
( ・∀・)「僕がペニサスちゃんを好きっていうのは変わらないし、それは良いんだ。
      だけど・・・・・・落ち込んでいる所よりも、元気一杯のペニサスちゃんが見たい。
      いつも楽しそうで、カッコイイペニサスちゃんのほうが、僕は好きなんだ」

('、`*川「・・・・・そう、か」

( ・∀・)「あの人の顔を見ると辛くなってしまうなら、
      元気を与えてくれる人がいないっていうなら、
      僕が、その元気を与える人間になれるように頑張るから、だから笑っていてよ!」



川 ゚ -゚)「なんという臭いせりh」

(;^ω^)「今は黙ってるんだお!」

もがもがと口を動かすクーを内藤は必死で抑えつけた。
外野ではこんな馬鹿げた騒動も起きているが、モララーの耳には入らない。

今のモララーの瞳は彼女を見る為だけにある。
今のモララーの耳は彼女の声を聞く為だけにある。
今のモララーは、彼女の為だけにこの場所にいるのだ

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:44:14.31 ID:aoKxJ1sAO
会長wwwww

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:44:44.90 ID:kU8me7R30
うわあいあああああああああああぁうあおおおうああたなやややなたたかささかかなたあ.ggu jgdjqpp

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:44:49.46 ID:YcEiYVWx0
支援

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:44:51.32 ID:ztKa560pO
支援支援

44 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:44:55.89 ID:sKbjcbV00
('、`*川「お前が好きと言っても、私は応えられないぞ」

( ・∀・)「僕はペニサスちゃんが元気なら、それでいいよ」

('、`*川「本当に?」

(;・∀・)「うう・・・・・じゃあ、言い直すよ。
      僕は、ペニサスちゃんが好きって言ってくれるまで諦めない」

自分でも変な話だとは気付いていた。
でも、これが本心なので良しとした。



川 ゚ -゚)「諦めの悪いやつだ・・・・・・」

( ^ω^)(あれ?クーと同じじゃないかお?)


45 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:45:53.78 ID:sKbjcbV00
('、`*川「お前は・・・・・・全く・・・・・・」

ペニサスは、笑った。
今まで溜めていたものを全て洗い流すかのように。
いつしかそれは嗚咽のようにもなったが、誤魔化すように笑い続けた。


( ・∀・)「だ、大丈夫?」

('、`*川「大丈夫だよ・・・・・・ああ、お前も馬鹿だとは思ってたけどここまでとはな・・・・・・」

『・・・・・・昔の内藤を見ているような気分だよ』

とペニサスは続けた。


モララーはそれの意味を理解し、礼を返した。
そして馬鹿げた事をしたと思い、集まった群衆の収集をどうつけるのか苦悩した。

だが大した問題だとは思わない。
今はそれ以上に、嬉しいという感情で心が満たされていた。

『人を元気付けられる強い人間』に一歩近づけたのだから。


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:46:14.03 ID:sflDOFb9O
支援

47 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:47:17.27 ID:sKbjcbV00
.
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・

放課後、自転車が颯爽と坂道を下る。
二人分の重みは感じさせない。風がびゅうと駆け抜ける。
後ろに座ったペニサスの髪がそれに乱れるも、同時に快さを感じていた。


('、`*川「お前さー、もう少し男らしくしたらどうよ?」

( ・∀・)「例えばどんなー?」

風に邪魔されるので、少し声のボリュームを大きくして答えた。
夕焼けに目が眩み、ハンドル操作に乱れが生じる。


('、`*川「とりあえず、ペニサス『ちゃん』っていうのは止めろよ。
     あと、『僕』じゃなくて、『俺』の方が良いと思うぞ」

( ・∀・)「そっかー!」

周りに人がいない事を確認し、大きく息を吸い込んだ。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:48:07.82 ID:sflDOFb9O
支援

49 名前: ◆9d9cVF02x2 :2008/03/30(日) 20:48:16.47 ID:sKbjcbV00
『俺はペニサスが大好きだー!!』



『恥ずかしい事言うなよ!!』





自転車は駆ける。

二人を乗せて。



【第15話:おしまい】

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:49:18.41 ID:sflDOFb9O
乙ー

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:49:21.00 ID:ztKa560pO
俺はモララーが好きだー!

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:50:09.89 ID:kU8me7R30
じゃあ俺はしぃを頂く

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:50:09.56 ID:1kUERsqmO
支援

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:50:27.90 ID:sKbjcbV00
AAを投下前につけておくのはいいね・・・・・・スムーズだ。
正直、ラストは自転車に二人乗りってのがさせたかっただけだった。反省はしている。

ようやく折り返し(?)
続き書いてきますですよ。

お疲れサマンサー!

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:52:11.95 ID:aoKxJ1sAO


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:52:32.67 ID:ztKa560pO
おつかれサマーソルト!

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:52:59.84 ID:3d8o5Ec60
乙!
まだ折り返しなのか!楽しみにしてんよ

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:54:23.44 ID:u8c+yC/W0
乙!

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 20:57:32.23 ID:7gbELIe40
乙!やっぱいいなぁ好きだよ

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 21:02:12.45 ID:keWP64CwO
おっつー!

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 21:07:21.49 ID:mjP0DfGW0
乙。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 21:21:33.81 ID:sKbjcbV00
あ、花束さん更新お疲れです・・・・・。
本当に感謝していますです。

報告より先に更新されていると、掲示板に書くべきか迷うことありき。
嬉しい悩みです。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 21:37:52.92 ID:6PZL7WKdO
乙!
大好き

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 21:37:54.76 ID:FYISD4RP0


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/30(日) 22:00:06.58 ID:KrnQR+ImO



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