('A`)セックスリバーサルのようです川 ゚ -゚)3

98 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/21(金) 23:54:42.41 ID:XCd6z13x0

川 ゚ -゚)「モララーさんって普段何してるんですか?」

カチカチとコントローラーの音を鳴らせながら訊いた。

( ・∀・)「そりゃ、汗水垂らしながら動き回ってるんだよ」

テレビ画面を食い入るように見つめながら、モララーさんが答えた。

川 ゚ -゚)「動き回ってる……?」

( ・∀・)「色々とやらなきゃいけないことがあるんだよ」

詳しく話してくれる様子ではなかったので、俺も追尋することはやめた。

( ・∀・)「そういえば、ドクオには幼馴染みがいるんだよな」

川 ゚ -゚)「ええ、います」

( ・∀・)「今度呼んでくれないか」

川 ゚ -゚)「はぁ……いいですけど」

俺はその翌日にツンを呼んだ。


100 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/21(金) 23:57:20.38 ID:XCd6z13x0

( ・∀・)「幼馴染みとか良いなあ……さてはお前らデキてんだろ」

ξ///)ξ「そそそそそそそんなわけな、ないじゃないですか!」

川;゚ -゚)「……」

ツンの分かりやすすぎる反応には困った、というか遠慮なく「デキてる」なんて言うモララーさんに困った。
実際にはどうなのか分からない。女同士だから、恋人というのは違和感がある。
俺としては、少しの変化を伴って以前と変わらない付き合いをしている、という心持ちだった。

( ・∀・)「それでツンちゃん、今日は君に話を聞こうと思ってね。昔のドクオがどんなだったか」

ξ゚听)ξ「昔ですか……今と変わりませんよ。
       あ、外見は変わりましたけどね」

( ・∀・)「何でもいいんだ、昔話を聞かせてくれないかな」

ξ゚听)ξ「うーん、そうですねぇ……」

ツンは、昔俺に女装させたこと、俺が階段から転げ落ちて死にかけているのを助けたこと、
近所にある櫓に上って巡回中の警官に見つかり怒られたこと、等々懐かしいことを話した。

( ・∀・)「そりゃあ間抜けだなw」

ξ゚听)ξ「まったく、アタシも苦労しましたよ」

川;゚ -゚)「そんなこともう忘れろよ……」


101 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/21(金) 23:59:54.73 ID:XCd6z13x0

( ・∀・)「なあドクオ」

モララーさんが真剣な顔で呼びかけてきた。

川 ゚ -゚)「なんですか」

( ・∀・)「お前は恐くないのか?」

川 ゚ -゚)「何がですか?」

( ・∀・)「別人になることが」

ああ、そういう意味か。性別も名前も変わってしまえば、昔の俺は存在しないことになる。
ある種、これは死の概念に近いような気がした。だから、モララーさんは質問したのかもしれない。

川 ゚ -゚)「恐いってことはないですね、最初は混乱しましたが。女になったって、俺の本質は変わりません。
     だから、女であることを楽しんでやろう、と思っています」

今の俺に迷いは無かった。新しい人生を謳歌してやろうとさえ思っていた。
この選択が間違いかどうかなんて分からないが、いつの日か「良かった」と思える日を来ることを信じている。

ξ*゚听)ξ「そ、そうそう、女は良いわよー」

( ・∀・)「そうか」


102 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:01:44.00 ID:SSwyQr5g0

( ・∀・)「色々と調べ回ったが、お前達が嘘を吐いているとは思えない。
      今日で調査は終わりだ。もう俺が来ることはない」

川 ゚ -゚)「え……それって」

( ・∀・)「改名、性別の変更は認められるってことだ」

ξ*゚听)ξ「やったじゃんドクオ!」

川 ゚ -゚)「ああ……」

モララーさんの居た二週間はあっという間に過ぎた。雑談ばかりしていたと思っていたが、
ちゃんと俺の身辺調査をしていたんだ、とこの時悟った。さらに、後になって分かったことだが、
モララーさんは昼間、俺の友人を尋ね歩いていたらしい。

( ・∀・)「短い間だったが、楽しかったぞ。新しい人生、しっかり生きろよ」

川 ゚ -゚)「はい、ありがとうございます……」

「じゃあな」と言って、モララーさんは俺の部屋を出て行こうとしたので、俺は見送ることにした。
モララーさんはリビングへ行き、俺の両親に報告をした。ついでに晩飯の礼を言っていた。
玄関先で、モララーさんと最後の言葉を交わした。俺は感情を込めて「ありがとうございました」と言った。

面白くて、いい人だった。俺は別れるのが名残惜しかった。

夏休みの終わる直前のことだった。


103 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:06:11.40 ID:SSwyQr5g0

夏休み、俺は友達と海へ行った。生理の日と被らないように日程を調整するのが面倒だった。
水着は当然、女物を新調した。ツンに選んでもらった黒のビキニは、自分でも似合っていると思った。

ジョルジュが俺のおっぱいを凝視してきたので叩き伏せたり、ツンが興奮しながら俺に日焼け止めを塗ったり、
ブーンが足を攣って溺れているのを助けようとしたショボンまで溺れていたり、本当に楽しかった。
俺は、開放感から調子に乗って、渡辺さんに抱きついた。

从;'ー'从「ドクオ君ダメだよ〜」

と、渡辺さんは困惑しつつも、嫌がっている様子もなく笑って言ったので、俺は味をしめて何度も抱きついた。
俺はツンに殺されかけた。

夜は花火をした。真っ暗な砂浜で光を放つ花火は綺麗だった。


ツンと二人で花火大会に行った。浴衣を着た俺は美人だった。
ナンパをしてきた男がいたが、ツンが鬼のような剣幕で罵倒を浴びせかけ、軽くあしらった。
露店でたくさん買い食いをして、ツンに「太るわよ」と注意された。

夜空に咲く花火は綺麗だった。隣に立つ浴衣姿のツンは可愛かった。


ブーンとゴールデンアイで対戦をした。ブーンは俺の強さに舌を巻いていたが、
途中から参戦したツンの強さには脱帽していた。結局、渡辺さんも呼ぶことになり、
なし崩しにお泊まり会となった。桃鉄を99年プレイしようとしたが、途中でやる気をなくした面々は寝てしまった。

俺は渡辺さんと同じ布団に入り、朝、抱きついた状態で目を覚ました。
俺はツンに殺されかけた。


105 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:10:03.21 ID:SSwyQr5g0

他にも、色んな場所へ行って、色んなことをした。
今年の夏は楽しかった。
夏の終わりと共に、「鬱田ドクオ」の人生も終わった。

俺は今までの人生を振り返った。
物心ついた時からツンが隣にいた。幼い頃は、よく外で一緒に走り回った。
小学生の時、顔が気持ち悪いという理由で女子から敬遠されていた。女友達はツンだけだった。

中学生の時、俺はモテなかった。ブーンとは永遠の童貞を誓い合った。
鬱になってサッカー部を辞め、毎日エロゲをプレイしたりもした。
そんな俺を、ツンは引っ張り出した。世話を焼きたがる奴だった。

高校生の時、のんべんだらりと過ごした。相変わらず俺はモテなかったが、女子とは話をすることもあった。
ある日、女の子になった。訳が分からなかった。ツンに襲われ、前後不覚に陥った。
悩み抜いた末、女でいることにした。

思い返せば、男で良かったことなんてほとんどない。
だったら、未来ある女に生まれ変わってやろう。
雲一つ無い、突き抜けるような青い空を見上げながら俺は決意した。


──さようなら、鬱田ドクオ。


俺の、「鬱田ドクオ」としてのお話はこれでおしまい。


109 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:12:29.55 ID:SSwyQr5g0

それから、私がどんな道程を歩んだのかを記す。

夏休みが明けると、裁判所から一通の封筒が届いた。内容は、申立が認められたというものだった。
役所に届け出る必要がなく、約一週間後に手続完了の報せを受けた。
晴れて私はアイデンティティを得たのだった。私は新たな性と名前で、新たな人生を歩み始めた。

高校三年生になると、ツンから服装について教授された。「男物でも似合ってるけど、アンタは女なんだから、
もっと女らしくしなさい」と。だからツンとは服を買いに行った。一人称についても指摘された。
「女が俺なんて不自然でしょう」と。初めは慣れなかったけど、大人ぶっていると考えればそれほど気にならなくなった。

常に好成績を収めていた私は、国立大学へ入学することになった。ツンも同じ大学に入学し、同じ家に住んだ。
私は遊びサークルに入り、女の子と仲良くなった。時たま家にお邪魔して、抱きついたりしても怪しまれない。
女で良かった、と思った事の一つだ。帰りが遅いと、ツンに怒られた。

ツンとは何度も身体を重ねた。まぐわう度に私は、女らしくなっていくようだった。
モテて然るべき容姿をしている私は、何度も男に言い寄られた。当然、私は全員切り伏せた。
いくら女らしくなったからといって、私の中に残る男らしさが消えることはなかった。

「結婚生活というのは、互いの欠点を発見し合う事だ」、なんていう格言があったと思う。
「結婚」を「同棲」に置き換えても同じことで、近くにいるほど相手の嫌なところを見つけてしまうのだろう。
同棲していた私とツンは、お互い些細なことで詰り合ったりして、次第に心が離れていった。

私達は胸の内にしこりを残したまま、大学を卒業することになる。
私は名前を聞けば誰でも知っている大企業に就職した。持ち前の容姿が有利に働いたのかもしれない。
ツンは、さすがに私と同じ就職先を選ぶことはしなかった。こうして、私達は離ればなれになった。

随分と簡素で、あっけない別れだったように思う。


112 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:16:42.39 ID:SSwyQr5g0

社会人になってから、自由な時間は驚くほど少なくなった。
学生の頃とはまるで違い、何も考えずに刹那的な生き方をすることは許されなかった。
時は矢のように過ぎ去り、時間の貴重さを思い偲んだ。

ある日、残業で帰りが遅くなった時のこと。夜の十一時を過ぎていたと思う。
人気のない街路で、私は男に襲われ、強姦にあった。必至に抵抗したが、女の力では男には敵わなかった。
あわや処女を失いかけたところで、その人はヒーローのように、颯爽とやって来た。

目の前の強姦魔が右方向へと吹っ飛び、入れ替わるようにその人が立っていた。
ああ、この人は強姦魔の顔面に跳び蹴りを叩き込んだのだな、と私は冷静に分析した。
「大丈夫ですか」と、彼はそっぽを向きながら私に言った。それが彼との出会いだった。

私と劇的な出会いを果たした彼は、名前の通り真っ直ぐで正直で素直な人だった。
彼は体の線が細く、どこに強姦魔を一撃でノックアウトさせる力があるのか疑問だった。
整った顔立ちで、一見すると女性にも見えてしまう人だった。

だからこそ、彼と結婚するにまで至ったのかもしれない。
初めはお礼として食事に誘ったが、二度目以降は私の希望で彼と接した。
私は彼に惹かれていったし、彼も私を好きになってくれていた。

この頃には、私はいっぱしの女性だった。彼と付き合うことに抵抗はなかった。
やがて恋人としての交際が始まり、子どもが出来たこともあって結婚した。


115 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:21:01.81 ID:SSwyQr5g0

結婚式はカトリックの教会で挙げ、大勢の人が集まった。
「ドクオー!」と叫ぶ馬鹿がいて、「ドクオって誰?」と新郎の衣装を身に纏った彼に訊かれた。
私は微笑みながら「昔の知り合い」、と答えた。

式場にはツンも来ていた。ウエディングドレスを着る私の前に現れた彼女は、
微笑を浮かべながら「おめでとう」と言ってくれた。虚を突かれた思いでしばし唖然としていた私は、
絞り出すような声で「ありがとう」と答えた。ツンとはそれ以来会っていない。
後ろめたさが尾を引いて、今まで親身になって面倒を見てくれた彼女に申し訳なくて。

無事に入籍を済ませた私は、「鬱田」という名字も失った。
これで完全に、昔の自分とは別人になってしまった気がした。
それでも時々「お前って男らしいところあるよな」と夫から言われることがある。

私の中にある男らしさの残滓。
「本質は変わらない」と私の言った、まるで何週間か前のように思い出される過去の言葉。
日を追う毎に女らしくなっていった私だが、私の言葉は正しかった。


117 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:24:21.06 ID:SSwyQr5g0

妊娠を理由に、私は辞職した。共働きという選択は初めから頭になかった。
生まれてくる子どもには愛情を注いでやりたかったからだ。

自分のお腹の中に命が宿っているということを知った時は驚いた。
双子だということを報された時はもっと驚いた。
子どもの名前は「ヒート」と「シュール」にしようと、生まれる前から決めていた。

ヒートには明るく元気な子に育ってくれるように願い、
シュールには個性的で面白い子に育ってくれるように願った。

やがて出産の時を迎え、私の想像を絶する痛みと苦しみの末、二人は生まれてきた。
二人を両腕で抱いた時、私はカーチャンの言葉を思い出した。
子どもを産む幸せというものを、この時実感した。

ああ、そうだ。十年前に言ったカーチャンの言葉。
「ンー」とか「ンー」という、女で良かったと思える事、色々と見つけた。
それは以下のような例がある。

買い物に行った時、男の人に重い物を持ってもらえる──これは些細な事だけど嬉しかったりする。
女の子に抱きついても不審じゃない──学生時代、よくやってツンに怒られた。
水曜日に千円で映画が観られる──なぜ女性だけ特別視するのだろう。

教習所で男の教官から優しくされた──これは憶測に過ぎないけど、私が男だったら怒鳴り散らされてたと思う。
車の運転中、シートベルトを締めていないのを警察に見つかったが、私が落ち込んでいると許してくれた。
これぐらいだろうか、男絡みの事が多い。男性諸賢、甘いぞ。


121 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:27:58.21 ID:SSwyQr5g0

今、私は専業主婦をやっている。
働いていた時と比べると、随分のんびりとしたものだ。
家事に炊事、子育ては大変だけど、私は幸せだ。

女になって良かったと、今は思える。
どうして十年前、突如として私が女になってしまったのかは、今でも分からない。

時々、妄想することがある。
この世界には足りないものがあって、それを補うために私は女になったのではないか、と。
例えばそれは、私の子ども、ヒートとシュールだったり、なんて考えてみた。

そんなわけないか……。でも、私がいなければこの子達が生まれてくることはなかった。
あながち、間違ってなかったりして。

ノハ;凵G)「あああああぁぁぁぁぁぁ!」

lw´‐ _‐ノv「…………」

川 ゚ -゚)「どうしたヒート」

私は、大声で泣き叫ぶヒートをあやそうと歩み寄った。





122 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:29:35.85 ID:SSwyQr5g0




                ('A`)セックスリバーサルのようです川 ゚ -゚)





                                                   完










116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:21:29.97 ID:kf+EaHA00
完全に女性になったな


140 名前: ◆K.UbLhmOUU :2009/08/22(土) 00:41:22.78 ID:SSwyQr5g0
トランクスにナプキンはつけられないだろ という意見は
ボクサーブリーフでナプキンを固定で補完、現実的に可能なのかは分かりません。

  *開け放された窓からは風が吹き込み、カーテンが揺れていた。
俺はカーチャンの目を見た。無言で続きを促した。

J( 'ー`)し「例えばね、ンーとか」

川 ゚ -゚)「え?」

J( 'ー`)し「ンーとか、ンーもそうだよね」

川 ゚ -゚)「…………え?」


は、ラーメンズの路上のギリジンです。


クーは素直さんと結婚しましたが、AAは未定です。
読者の皆様の想像にお任せします。


あんまり話し過ぎるのも良くないと思うのでこの辺で。
皆様ありがとうございました。

サマー三国志関係者の皆様、頑張って下さい。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:31:38.25 ID:CbcD2AS7O
乙!面白かった!

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:31:47.17 ID:OIxtq66P0
激しく乙


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:32:06.31 ID:RXDDYmcdO
おつ。
もうちょっと色んなエピソードを読みたくなった
それだけ良い作品だったと思う

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:33:08.45 ID:rIXGReUP0
乙乙!胸が締め付けられた

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:33:09.20 ID:BD/oQpUk0
お疲れ様でした



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:34:59.62 ID:1uZyFfw6O
乙でした
面白いけど、なんか胸が苦しくなる話だ…
目から汗が出てきた
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:33:31.14 ID:NdxI1GoxO
おつー。楽しかった。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/22(土) 00:33:34.42 ID:xzui95TzO
ラストをぎゅっと纏めたのが逆に良いな
乙です!

戻る