('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 戻る
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1300286882/
- 1 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/16(水) 23:48:02 ID:cTbRlghg0
- 避難所の皆様、初めまして。このスレッドは元々vipに投下していたのですが、設定ミスや誤変換を修正するために
こちらで改正版を投下させていただくことに決めました。
各まとめ様には大変ご迷惑をお掛けする事になりましたがよろしくお願いします。
また今回の東日本大震災で被災された全ての方々に、心から御見舞い申し上げます。
今回、改訂ということでまとめ様に影響があるため、早めに投下させてもらいますが
2話までの投下が終わりましたら、次話の投下はしばらく自粛させていただきます。
----俺の財布から飛び立った番いの鶴が少しでも皆様のお役に立ちますように----
- 2 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:01:18 ID:spErNWocO
-
人間(にんげん)ヒト科サピエンス種サピエンス亜種――学術名:Homo sapiens
特筆すべき身体的特徴を持たず、純粋な自然界では淘汰されるべき存在。
体長は、性差によって僅かな差異があるが 凡そ160cm。
馬や豹のように強靭な脚を持つわけでもなく 全速力で駆けたところで時速30km程度。
敵を噛み砕く顎や、切り裂く爪、刺し貫く牙も持たない。
空を飛ぶことも出来ず、海に潜ることも出来ない。
そんな抹消たる存在が
そんな生態系の台座を担うべき存在が
如何にピラミッドの頂点に君臨する“彼ら”に抗うのか。
いや、その“彼ら”を淘汰し得る存在となるのかを―――皆はご存じだろうか。
- 3 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:02:06 ID:spErNWocO
-
如何に我らが鉄を打ち どれ程迄に鍛え上げようとも
彼等にとってそれを折ることは 絶望的な迄に容易い
―――伝説の鍛冶職人 竜人キバリオン―――
- 4 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:02:42 ID:spErNWocO
-
渓流。山に生い茂る木々を縫うように、非常に透明度の高い湧水が流れている。
比較的標高の高いこの場所では、まだ湧水となっているが、この水が下っていくにつれて集まりだし小川となり、川となり、海へと流れていく。
そんな山間部の、比較的なだらかな部分を最低限削り取った道とも言えぬ道に一台の車が走っていた。
その車を引いているのは、『ガーグァ』と呼ばれる鳥竜種である。
ガーグァは、この地方で独自の生態系を築いてきた
鳥竜種の中でも特に大人しいモンスターである。
そんな大人しい性格から、人間の生活にも大いに重宝され
秋には収穫物を運ぶ台車を引く動力として使われたり、クエストに向かうアイルー達の移動の足となったりと
特に人と関係を持つモンスターでもある。
- 5 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:03:39 ID:spErNWocO
-
時折ガーグァは逃げだそうと特徴的な冠羽を震わせるのだが、その度にドクオはガーグァを宥め
車は、ゆっくりと目的地である『ユクモ村』を目指していた。
ガーグァを器用に扱うその男。
覇気のない目、幸薄そうな人相。
('A`)「……今日の晩までには着きそうだな」
身体のラインにフィットするように作られたインナー。
厚手ながらも柔軟性を失わず、保温性には優れないが運動性に優れた物で作られている。
それはこの地方で取れない素材で作られており、それから分かるように彼は元々この地方の出身ではない。
- 6 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:04:45 ID:spErNWocO
-
('A`)「ドンドルマから、えらい遠くまで来ちまったな」
時折聞こえる獣の鳴き声も、聞き慣れないモノばかりである。
だからそれは事故である。
彼がこの地方に詳しく無かった事。
聞いた事のない鳴き声に、警戒心を抱かなかった事。
彼のいる今この場所こそがユクモ村ギルドが管理する『渓流エリア』である事を知らなかった事。
そういう不幸が重なった結果が
この地方での“彼ら”との初めての出会いとなったのだ。
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
- 7 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:05:42 ID:spErNWocO
-
何かがおかしい、ドクオは車を引くガーグァの異変を的確に感じ取っていた。
小刻みに揺らされるガーグァの特徴的な冠羽。
今までコイツが怯えているのは、ドクオに対してだった。
しかし、この怯え方は何かが違う。
自分ではない何かに怯えている。
“何か”が自分達に迫っている。 ドクオはそう確信した。
それでも彼は慌てない。
(-A-)「………」
一度目を瞑り、心を落ち着け周囲の気配を探る。
ザワザワ、と草村から異質な音が聞こえるのに気付く。
('A`)「……なにかがいるな」
段々と近づいてくるその気配に、ドクオは警戒のレベルを一つ上げる。
周囲に人の気配は無く、十中八九これは人以外の物だ。
- 8 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:09:42 ID:spErNWocO
-
('A`)「……それにしては」
小さい、気配は感じるのだが大きくないのだ。
野うさぎ程度の大きさしかないかもしれない。
('A`)「まぁいいか。丁度腹も減ってたし」
そう呟くと、ドクオは余計な思考を全て端に蹴り飛ばし背後に差していた二対の刀を構えた。
ザワザワ……ザワザワ……と草の揺れが近付いてくる。
やはり大きくない。
ファンゴ程の大きさもない。
しかし早い。凄まじいスピードだ。
一瞬頭の端に『迅龍』の姿が過るが、考えすぎだと頭を振る。
- 9 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:10:19 ID:spErNWocO
-
影が飛び掛かってきたのは、その瞬間だった。
視界の隅にソレを捉えると、反射的に構えていた双剣を平に返す。
ゴン、とほどよい感触が双剣を通して掌に伝わってきた。
突っ込んで来た何かがぶつかったのだと分かった。
『いったぁいニャアァァァアアア!!!』
('A`)「………」
頭を押さえながら目に涙を一杯溜めているアイルーがそこにいた。
(*;∀;)「痛いニャー、痛いニャー!!」
('A`)「なんだ、メラルーか」
痛いという割りには、耳をヒクヒクと揺らしている。
(*ノ∀;)「メラルーじゃにゃいニャ!アイルーだニャ!」
アイルーかメラルーか、限りなく微妙な毛色の存在を見てドクオは構えていた双剣を隠すように横に置いていたカバンの中にしまう。
- 10 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:12:36 ID:spErNWocO
- ('A`)「そうか。それは済まなかったな。 ところでそんなに急いでどうした?」
アイルーやメラルーは、食物連鎖の外に存在する珍しいモンスターだ。
肉食獣に縄張りを荒らされたり、居住を追いやられる事はあっても
捕食されたりする事は無いのだ。
そんなアイルーが慌てている理由に純粋に興味を持った。
『チリン』
('A`)「ん、お前野良アイルーじゃないのか」
アイルーの首元に付いている鈴に気付く。
これは、このアイルーが誰かに飼われているという証だ。
ひょい、とアイルーの首を掴んで出来るだけ優しく持ち上げる。
(*゚∀゚)「おー、オレっちはギルド所属のアイルーだニャ!」
ほー、っとドクオは思わず感嘆の声をあげた。
ギルド所属と聞くと真っ先にギルドナイトが思い浮かぶが、ギルドナイトに誰もがなれるわけでもない。
それはアイルーでも同じだ。
何かしらの実績を重ねた上で、ギルドから依頼される特別なクエストをこなす。
その結果を踏まえ、適正と判断されて初めてギルドに飼われる事なる。
- 11 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:13:59 ID:spErNWocO
-
('A`)「そうか、それでギルド所属のアイルー様がどうかしたのか?」
(;*゚∀゚)「そうだったニャ!あんた様は商人かなんかかニャ!? ここはユクモギルド直轄の狩猟区域『渓流』だニャ!!凶暴なモンスターだって一杯いるニャ!! そんな中を、どっかの間抜けが荷台を引いてるって聞いたから飛んで来たんだニャ!!」
('A`)「ほー、ここはもうユクモ村に近いんだな」
なるほど、とドクオは納得したように手を打った。
(;*゚∀゚)「にゃにを悠長に構えてるニャ!!大型モンスターの発見情報はにゃかったけど、この時期は青熊獣“アオアシラ”が繁殖期に入っているんだニャ!!! 面倒な事ににゃる前にここから離れるニャ!」
('A`)「せいゆうじゅう?なんだそりゃ」
ドクオは聞き慣れぬ言葉に、首を傾げた。
それもそのはずだ。
ドクオが今まで暮していたドンドルマ近辺ではアオアシラなんてモンスターは居なかったのだから。
(*゚―゚)「……あんた様、アオアシラを知らないのかにゃ?」
('A`)「残念ながら聞き覚えがないな。俺は元々この辺りの出身じゃないんだ。だからここがギルド直轄地の狩場だとも知らなかったし、この地方独特のモンスターにも詳しくない」
(*゚∀゚)「……なるほどにゃ。事情は大体把握したにゃ。しかし、もしあんた様が商人だったとしても、この地方の事を知らないただの一般人だったとしても
あんた様は……」
- 12 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:14:39 ID:spErNWocO
-
『命を粗末にする大馬鹿野郎だニャ』
- 13 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:16:10 ID:spErNWocO
-
なるほど、とドクオは頷いた。 確かにギルド所属のアイルーだけある。
元々アイルーは知能の高い生き物だ。 いや、知性においては人間と同等と言って良い。
ある文献によれば、アイルーは人間と同等以上の知性を持っており
進化の過程もヒトと似通っている事から、ヒトの亜種だと主張する学者もいると聞いた。
確かにこのアイルーは、ヒトと同等の知性と感性、そして経験を持ち合わせているようだ。
('A`)(……伊達にギルドのオトモをしている訳ではない、か)
(*゚∀゚)「まぁ、反省は何時でも出来るニャ!とりあえずはまず、このエリアから出来るだけ離れるニャ!!」
('A`)「……分かった。従おう」
かくして、一人の人間と一匹のオトモの脱出ミッションが始まる。
AM10:00 MISSION Start
- 14 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:16:54 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「ところで、あんた様は旅の人かにゃ?」
('A`)「そうだな。ユクモ村を目指していた。」
(*゚∀゚)「おぉ!湯治目的かにゃ!?ユクモの湯は確かに危険を犯してまで浸かる価値のある物だニャ!!」
ユクモ村という言葉を出した途端に目を輝かせるアイルー。
そんな様子に若干気圧されながらドクオは答える。
('A`)「そうだな、是非一度浴びてみたいもんだ」
(*゚∀゚)「ニャハハー、きっとクセになるニャ!! そういえば、結局あんた様はどこから来たのかにゃ?」
('A`)「ん、俺か?俺は……そうだな。ドンドルマ、で通じるか?」
(;*゚∀゚)「ニャ!?それはまた長旅だったニャ! よく生きてここまでこれたものだニャ!」
ドンドルマとユクモには、計り知れない距離がある。これは形容ではなく、本当に分かっていないのだ。
お互いの存在は本や伝書で知っていたものの、気軽に交流を深められるような距離ではない、というのが第一の理由である。
乗り物と言えば、この辺りではガーグァしかない。
人間の何倍ものスピードで走り、人間の何十倍もの体力を有するガーグァ。
しかし、そのガーグァでさえ単独でドンドルマとユクモの距離を移動できるか、と聞かれれば答えは間違いなく『NO』であろう。
- 15 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:20:52 ID:spErNWocO
-
単純に距離だけの問題では無いのだ。
行く手には様々なモンスターが生息している。
牙獣種や鳥竜種、万が一運が悪ければあの恐ろしい、この星の生態系の頂点に君臨する『飛竜種』に遭遇する可能性すら孕んでいる。
そんな過酷な旅をドクオはただ一人でしていたと言うのだ。
そしてもうゴールの目前まで迫っているのだ。
その事実はギルド所属のアイルーを驚かせた。
(*゚∀゚)「幸薄そうな顔をしているクセに、運の良い奴だニャ……」
('A`)「いや、いろいろ運の悪い事はあったぞ。 例えば、寝床に使っていた場所が轟竜の住みかだった事があった。
それに気付いて全力で洞窟まで避難したら、そこがフルフルの縄張りでな………」
(;*゚∀゚)「考えうる最悪の状況だニャー」
轟竜、又の名をティガレックス。
飛竜種に分類され性格は凶暴そのもの。純粋な攻撃性だけならば飛竜の中でもトップクラスだろう。
鋭い爪と牙を持ち、“人間程度”なら撫でるかの如く斬り殺す最凶の飛竜。
- 16 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:22:13 ID:spErNWocO
-
('A`)「まぁ、それでも俺は生きてる。それで良い」
その時の瞳を、件のオトモアイルーは忘れられないと言う。
濁ったような目をしていた彼が、その一時だけ見せた輝き。
それこそが本質。
理性という名の仮面に隠された彼の本質なのだと、オトモは思った。
- 17 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:23:16 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「それならこんなところで死んでられないニャ。オレっちが絶対にユクモの村にまで案内してみせるニャ」
('A`)「あぁ、よろしく頼むよ」
二人の、いや一人と一匹な手が重なる。
主人である狩人の為に、身を粉にして働くオトモだが、その関係は常に対等ではない。
ハンターはオトモの事をオトモとしか見ない。
それは常識であり、オトモに感情移入して冷静で無くなってはいけない、という先達からの教訓でもある。
しかし、ドクオはハンターには見えない。
だからこそオトモは、差し出された手を握る事に躊躇いは無かった。
初めての握手。
初めての対等。
不思議と自分の心が高揚していくのを感じていた。
- 18 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:23:42 ID:spErNWocO
-
その様子を草葉の影から見つめる青い影に
二人が気付く事は、終ぞ無かった。
- 19 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:25:37 ID:spErNWocO
- 以上1―1です。続けて1―2を投下します。
- 20 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:26:42 ID:spErNWocO
-
一番重要なのは武器を鍛える事ではない。 真に必要なのは心を鍛える事。
それは狩人だけでなく、人間の終着点であり原点でもあるのだ。 鍛冶職人も例外ではない。
―――伝説の鍛冶職人 竜人キバリオン―――
- 21 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:28:52 ID:spErNWocO
-
AM11:30
複雑に入り組んだ渓流を、オトモは的確な道運びでドクオを案内した。
出来るだけ目立たず、出来るだけ短距離で。 ギルドからの依頼を受け幾年もこの渓流を歩き続けたオトモにとって、それは簡単な事だった。
現在目下の問題となっている青熊獣【アオアシラ】は、繁殖期に入っている。
繁殖期というのは、どのモンスターも凶暴になる傾向がある。
その理由に挙げられるに、まず一つ目は巣、及び卵の死守である。
野生のモンスター達は、日々生存競争の中で生きている。 しかし、こと繁殖期においては一日とて身が休まる日がないのだ。
卵の破壊、子孫の死亡は即種の存亡に関わってくる問題なのだから。
- 22 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:29:59 ID:spErNWocO
-
アオアシラは、二足歩行する生き物であるが
知識は持たない。
だが本能が、それを覚えているのだ。
飛竜等、圧倒的存在がいるこの世界で未だに淘汰されずに生き残ってきたモンスター達には
子孫を残す事こそが、生きる理由と言っても過言ではない。
そしてもう一つの理由として挙げられるのが、食料の確保だ。
子供達の分まで、食料を揃えるのは幾ら青熊獣【アオアシラ】と言えども容易い事ではない。
だからこそ、別の種と縄張りを争ってでも彼らは、食べ物を採りに行く。
その事を、このアイルーは誰よりも熟知していた。
だからこそ出来る限りハチの巣が出来やすいエリアを避けているのだ。
(*゚∀゚)「順調だニャ。やっとギルド規定の範囲内に入ったニャ。 ほれ、地図だニャ!」
('A`)「今は、この最北エリアか。この調子だと夜には支部のキャンプに入れそうだな」
(*゚∀゚)「ニャ!しかしここからがちと難解だニャ!アオアシラの巣がありそうなエリアがこの近くに二つあるニャ。 特に地図中央に示されたこのエリア。 ここが一番厄介だニャ」
('A`)「……なるほど。巣、か」
- 23 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:31:00 ID:spErNWocO
-
オトモが示す地図。そのど真ん中にある“5”と割り振られたエリア。
ここがアオアシラの巣。
(*゚∀゚)「ここからは慎重に行くニャ。少しでも逸れて進めば大変な事になるニャ」
('A`)「あいよ、分かった」
草影に身を隠し、ゆっくりと進む。
本来狩人の移動は、このようにコソコソしたものではない。
彼らは常に準備が出来ている。
どこから飛竜が現われようとも、迎え撃つ心構えがあるのだ。
それが一流。
しかし、戦闘経験の無い人間ならば話は違う。
草食獣ならば、避けて通れば襲われる事はまずない。 しかし、それ以外の――例を挙げるならばランポス等
小型のモンスターの一撃でも、生命の危機に陥るのだ。
それ程までに非力、それ程までに脆弱。
いかな知恵を付けた人間とて、残酷すぎるほどに矮小な存在なのだ。
- 24 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:32:31 ID:spErNWocO
-
それに先に気が付いたのは、ドクオだった。
('A`)「なぁ、アレが見えるか?」
(*゚∀゚)「なんにゃ?何にも見えないニャ」
('A`)「何匹かいるな。恐らく形からして小型の鳥竜種だろう。 まだこちらには気付いてないな、日光浴でもしてるのか?」
(;*゚∀゚)「ニャ!?それはきっとジャギィだニャ!!何匹いるニャ!?」
('A`)「もう少し近づいてみないと正確さに欠けるが恐らく6匹だな。形状の違う、若干大きな奴も混じってる」
(*゚∀゚)「それはジャギノスだニャ。その群れを統率している大型はいないかにゃ?」
('A`)「居ないな。小物ばかりだ」
群れのボスであるドスジャギィは居ない、という事実にまずオトモは安堵した。
そして考える。どうすればいい、この旅人をユクモ村に安全に届ける為には。
今は戦える。昔の、ご主人について甘えていた頃の自分ではない。
やるしかない。
了解だニャ、と呟いてオトモは背中に据え付けた秘密のポーチから一振りの剣斧と一対の防具を取り出した。
- 25 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:33:18 ID:spErNWocO
-
('A`)「その秘密のポーチは、相変わらず出鱈目だな」
(*゚∀゚)「アイルー達の秘密が詰まってるニャ」
('A`)「それにその剣斧……ただの旗に見せ掛けた物ではないんだろ? その兜や胴具だって、一目で分かる」
(*゚∀゚)「昔オトモをしていたご主人から賜わった物ニャ。 オレっちの唯一の戟であり、唯一の盾だニャ」
ドンドルマ地方では見た事のない形状のオトモ装備だ。
しかしこれほど迄に無骨に、それでいて洗練されたオトモ装備をドクオは見たことが無かった。
(*゚∀゚)「あんた様は、ここで待ってるニャ。 オレっちがジャギィの群れを撹乱させるから、その間にこのエリアを抜けるニャ。 道は真っ直ぐニャ。絶対に間違えないでニャ」
ドクオは『お前だけで大丈夫か?』 と聞こうとした。これは、ドクオがオトモの能力を疑っているから出た言葉ではない。
しかし、小型とはいえ鳥竜種の群れ。
そこに一匹で突っ込むなど、無謀の極みだと感じてしまう。
しかし、件のオトモの目を見て漠然と感じてしまった。
この言葉を吐くのは野暮だ、と。
だからこそ彼は飲み込んだ。
- 26 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:33:52 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「大丈夫ニャ。トカゲ如きにやられるようなオレっちではないニャ。 あんた様はあんた様の事だけを考えていれば良いのニャ」
('A`)「……そうか。済まないな」
(*゚∀゚)「これも仕事のうちだニャ」
それだけ言うと、オトモは凄まじいスピードで飛び出していく。
ドクオは、それを見送りまた草影に隠れて機を待った。
- 27 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:36:12 ID:spErNWocO
-
ジャギィ達は休んでいた。なにせアオアシラが、繁殖期に入ってから自分達の住みかは荒れ放題。食料であるはずの草食獣は、アオアシラを恐がってなかなか姿を見せなくなっていた。
しかし、今日は良い獲物が手に入った。
少しばかりの余裕も出来たし、草食獣を探さなくても住む。
身体を丸め、陽の光を浴びる。
久しぶりの休息だった。
そんな彼らの心に“油断”が無い訳がなかった。
まずソレの接近に気が付いたのは、一匹のジャギノスだった。
さざめく草に混じって、何かが近づいてくる。
そう思った途端に、身体は宙に浮いていた。
何が起きたのかを確認する前に、そのジャギノスは喉元に突き立てられた旗によって絶命する。
そこにいたのは一匹のアイルー。
突如現れた乱入者に、周りにいたジャギィ達は嘶き声をあげる。
『なんだお前は』と。
しかしオトモは止まらない。ジャギィ達の間を縫う様にして撹乱する。
敏捷性に優れた小型鳥竜種といえども、自分達の視界を瞬きの間に過ぎていくオトモを捉えるのは至難の技だった。
- 28 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:37:28 ID:spErNWocO
- スピードというのは、狩りにおいて重要なファクターとなる。
そして、このジャギィ達はそれをいつも自分達が掌握してきた。
飛竜と相対した時だって、奴らの様に鋭い爪も、ブレスを吐く器官も備わっては居なかったが
スピードにおいては、負ける事はなかった。
しかしそれが今回では致命的。
彼らは知らなかったのだ。自分達よりも一回り身体が小さく、何倍も素早く動く存在を。
彼らはこの戦いにおいて弱者だった。
そして、生存競争の中で“弱者”というのは余りに罪深い事なのだ。
- 29 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:38:10 ID:spErNWocO
-
最初は6匹いたジャギィの群れも気が付けば2匹のジャギノスを残すばかりとなった。
オトモは静かに間合いを取る。
峯山竜の貴重な端材を使い作られた、この【旗本】ネコ合戦旗は絶大な威力を誇る。
一度掲げれば、竜ですら屈服するという逸話がある程に。
しかし、ジャギノス達は退かない。
この場で彼等を動かしているのは本能なのだ。
『アイルーなどという、自分より下等な生物に負けてはならない』という。
だからジャギノスは吠えた。
飛竜種の叫びと比べれば、まるで大した事のない雄叫びだが、それには重さがあった。
だからこそ、オトモも応えたのだ。
(*゚∀゚)「この兜は忠義の証!! 命を賭して主人を護る、その証!!! 」
己が仕える主人の為に、命を賭して奮闘する“忠義の証”。
不動の心と忠義の元、敵を払う“オトモの誇り”。
- 30 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:39:50 ID:spErNWocO
-
ジャギノスが鋭く尾を振ってきた。
地面を回転してこれを回避するオトモ。
これは長年見てきた色々な狩人から培った動きである。
即座にもう一方のジャギノスがオトモの右半身に鋭く爪を差し向けてきた。
オトモは、それを持っていた旗でいなす。
大きな音が鳴った。
ジャギノスが尻尾を、再び鋭く見舞ったのと同時だった。
オトモはそれでも焦らない。
隙だらけになっている左半身に目がけての尻尾攻撃を、地面に潜ることで回避した。
地面から顔を出すと、二匹のジャギノスは顔を合わせていた。
『勝てない、このままでは勝てない』
そう悟ったのだ。
- 31 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:40:42 ID:spErNWocO
-
バックステップで、一度距離を取ったジャギノス。
様子を伺いながら、油断なく剣斧を構えるオトモ。
ハァハァ、と乱れる息を整える。
元々、アイルーは戦う事に特化した種族ではないのだ。
また長期戦になる時は、度々地面に潜り休息を取る。
つまり体力の面では圧倒的に不利なのだ。
いくら身体を鍛えても、全力で振るえなければ意味が無い。
オトモはしまった、と思った。
気付かれてしまったか、自分の弱点に。
ジャギノスは動かない、不気味にこちらを観察し機を待っていた。
- 32 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:42:11 ID:spErNWocO
-
(;*゚∀゚)(……こうなったらやるしなにゃいニャ。長期戦に持ち込まれればこちらが不利ニャ!)
だからこそ猪突猛進にオトモは突っ込んだ。
何かがある事など、百も承知。 それでも活路がそこにしかないのならば往かねばならぬ。
(#*゚∀゚)「ニャアアアァァァアアアアア!!!!!!!!!!」
身体を出来る限り捻り、遠心力を加えて繰り出したこの凪ぎ払い。
耐えられるものならば耐えてみろ、と。
(#*゚∀゚)「捉えたニャ!!!!」
手応えがあった。目の前のジャギノスの首元に、合戦旗が突き刺さった。
流石にプロのハンターのように、首を捻斬る事は出来ないが
確かにジャギノスを捉えた。
(;*゚∀゚)「ニャッ!?」
しかしジャギノスは嗤っていた。
首に剣を突き立てられ、絶命寸前の身体で嗤っていた。
『“オレ達”の勝ちだ』と。
- 33 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:43:29 ID:spErNWocO
-
頭で認識するより前に、身体が反応していた。
もう一匹のジャギノスの鋭すぎる一撃が自分に迫っている事を。
これは躱せない。
頼みの綱の合戦旗も、ジャギノスの太い首に刺さったまま簡単には抜けそうにない。
もう終わりか、そうオトモは思った。
『残念、最後に勝つのは俺達だ』
(;*゚∀゚)「ニャッ!?」
- 34 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:47:22 ID:spErNWocO
-
それはなんて事のない、ただの体当たりだった。
しかし、オトモに向けて勝利を確信した一撃を繰り出そうとしているジャギノスにとって
それは痛恨の一撃と言える。
それだけでジャギノスの身体はよろけさせられた。
不意討ち中の不意討ちだった。
オトモが素早く突き刺さっていた合戦旗を引き抜いてジャギノスに突き立てた。
- 35 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:48:52 ID:spErNWocO
-
('A`)「ふぅー、危ない所だったな」
(#*゚∀゚)「危ないのはどっちだニャ!一般人が装備も無しにジャギノスに突っ込むだなんて正気の沙汰とは思えないニャ!!! それにオレっちは装備もしてるし一発殴られた所でどうにもならなかったニャ!!!!」
結果的にオトモは大変ご立腹だった。
確かに、この男に助けられはしたがやはり生身の人間がモンスターに突っ込むなんで頭がおかしい。
それに絶妙なタイミングで、ジャギノスの死角となる角度から。
一歩間違えれば死に繋がる危険な行動だったが
結果を見れば最良の判断だった。
それはオトモ自身も解っている。
だが、何故か釈然としない。
心がムズムズするのを感じていた。
('A`)「まぁいいさ。とりあえず俺達は無事だったんだから。 もうすぐこのエリアも出られる。説教はその時にでも聞くよ」
そう事もなげに言うドクオに対し、やはりオトモは心中穏やかではなかった。
- 36 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:50:05 ID:spErNWocO
- 自分の力だけで勝ちたかった。
いや、あの一撃を食らっていたとしても勝てたと思う。
(*゚∀゚)「にゃー、まぁ良いニャ。ユクモ村についたら温泉に入りながら説教だニャ」
場の空気が弛緩した。 一応オトモも納得したらしい。
余りに早すぎる緩み、二人は気付いていない。
ずっと二人を見つめていた青い影に。
それが今、自分達に迫っている事に。
大型モンスターの存在に気付くのは簡単だ。
彼らには隠そうとしても隠せない、圧倒的な威圧感があるのだから。
しかし、彼らにとって気配を気取られる事は、さして大きな問題ではない。
悟られたところで、そんな物は踏み潰せば良い。
それだけの力が、彼らにはあるのだから。
だから今、一人と一匹は気が付いた。
自分達に向けて飛び掛かってくる青い影。
青熊獣【アオアシラ】の存在に。
- 37 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:50:40 ID:spErNWocO
-
嘶き声が、渓流に響き渡る。
アオアシラが、ただ吠えたのだ。
低く野太い声だった。
(;*゚∀゚)「さっ、さいあくだニャ……」
呆然としているオトモを抱き抱え、迅速に行動を取ったのはドクオだった。
腰に提げていたポーチから先日採集していたハチミツのビンを蓋を上げて、あらぬ方向に放った。
アオアシラが、そのハチミツに気を取られた間にドクオはオトモを抱え走った。
- 38 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:51:23 ID:spErNWocO
-
半時間ほど走った所で、先程の
エリアを抜けると、小さな掘っ建て小屋があり、そこで一息付いた。
('A`)「なるほどね、あれがアオアシラか」
(*゚∀゚)「弱ったニャ。もう少しでベースキャンブに着くのに」
('A`)「ベースキャンブまで走ったらどうだ?」
(*゚∀゚)「それは無理だニャ。アオアシラが走れば時速60km。人間のおまえ様ではどうしても追い付かれてしまうのニャ。 それにオレっちだってスピードには自信があるけど、体力はからっきしなのニャ」
アオアシラとの邂逅を避ける事は絶望的だった。
何故ならアオアシラは知ってしまったからだ。
あの人間はハチミツを持っていると。
まだ隠し持っているかもしれない。
だから奴は追い掛けてくるのだ。
(*゚∀゚)「……やっぱりオレっちが奴を引き付けるしかないのニャ」
提案したのはオトモだった。
- 39 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:52:14 ID:spErNWocO
-
('A`)「俺は別に良いが、勝算はあるのか?」
(*゚∀゚)「にゃに、別に勝たなくても良いニャー。足止めをして、そこから逃げられれば良いのニャ」
('A`)「なるほど。俺はその間に逃げればいいって事か」
(*゚∀゚)「ニャ!出来るだけ時間を稼ぐニャ」
('A`)「……分かった。でも無理はしないで良い」
(*゚―゚)「……当たり前だニャ」
('A`)「………」
アオアシラとは、牙獣種に分類される別名【青熊獣】。鋭い爪と強靭な手足を持ち四足でも二足でも歩くことが出来る。
また前足に付いている椀甲は堅く、鋭い。
この前足がアオアシラにとっての武器であり、ハンターにとっての脅威でもある。
村人達にとって、アオアシラは馴染み深いモンスターでもあり、時々人里に現われては好物であるハチミツを取りにくる。
村人達がハチミツを採集する際には、音爆弾などを使いアオアシラと遭遇しないようにしている。
体長は大きい物では5m近く 昔、腹を空かせたアオアシラがある村に紛れ込み子供、妊婦を含む6人を食い殺すという悲惨な事件があった。
- 40 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:52:52 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「……ニャ。昔はご主人について飛竜を狩りに行ってたのにニャ」
今では、アオアシラですら脅威に感じる。
オトモは溜め息を一つ吐いた。
(*゚∀゚)「足を引っ張るのは……ごめんだニャ」
目の前には大きな、自分の三倍以上の大きさがある、ヤツがいた。
(*゚∀゚)「とりあえず、ゆっくり温泉に浸かるためにもこんなところではやられないニャ」
手始めにブーメランを投げつける。
10m先にいたアオアシラに、それは弧を描いて命中するが、ただそれだけだった。
(;*゚∀゚)「ニャー、やっぱり打撃でやり合うしかないニャ」
そうと決まれば走り回る。自分の特性を存分に生かして。
戦いに勝つ為には二つのやり方がある。
一つは、今行っている様に自分の強みを全面に押し出して勝つ方法。
もう一つは、相手の良さを徹底的に潰して競り勝つ方法。
前者は短期戦向き、後者は長期戦向き。
自分は体力的にも前者を選ばざろうを得ない。
- 41 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:55:38 ID:spErNWocO
-
自分のすぐ横を、アオアシラの腕甲が掠める。
やはりジャギノスとは違う。
慣れているのだ、自分より素早い物との戦闘に。
しかしスピードで勝っているのは純然たる事実。
そしてもう一つ。
自分がヤツより勝っている点がある。
それこそが切り札。
オトモ特有の隠し玉だ。
勝負はアオアシラが疲れるまで。
自分が動けなくなるのが先か、アオアシラが動けなくなるのが先か。
それが自分の作戦の成否の分かれ目だった。
- 42 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:56:03 ID:spErNWocO
-
ドクオは自分の荷物を抱えぽつぽつと歩いていた。
('A`)「………」
やはり気になるのは、あのオトモ。
ギルド所属とはいえ、あそこまで人間に尽くす事が出来る気概。
それが不思議だった。
それにあの身のこなし。
確かに素早い。“あの程度”のモンスターから逃げる事は容易いだろう。
しかし、あの別れ際の表情。とてつもなく不安気なあの表情を思い出してしまうと。
('A`)「はぁ……めんどくせ」
ドクオは鞄にしまっていた一対の剣を取り出した。
そして、そうこれは比喩ではなく、疾風のスピードで元来た道を駆け戻って行った。
- 43 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:56:42 ID:spErNWocO
-
(;*ー∀ー)「ぜぇ……ぜぇ……」
(;*゚∀゚)(息を吐くのが苦しい、息を吸うのはもっと苦しいニャ。
でも諦めるわけにはいかにゃいニャ。苦しいのは自分だけじゃないはずニャ。
奴だって苦しいんだニャ)
自分を叱咤し続ける。
気持ちが折れたら終わりだ。それが最悪だと、このオトモは本能で悟っていた。
(*゚∀゚)「!!」
オトモが目を見開いた。
アオアシラの口から汚らしく垂れ下がった舌。
そこから溢れ出る涎。
千載一遇のチャンスだった。
(#*゚∀゚)「ニャアアアァァァアアアアア!!!!!!!!!!」
渾身の一撃を咆哮の元に繰り出す。
ここで決める、ここで決めなきゃもう打つ手はなかった。
一瞬だけ、アオアシラが怯んだ。本当に一瞬だったが、オトモにとっては充分だった。
それがある場所へと急ぐ。
- 44 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:57:25 ID:spErNWocO
-
アオアシラは、突然戦意を失い背を向け逃げ出したオトモに驚いた様子だったがすぐに本能のまま追撃を開始した。
それこそが切り札の発動条件。
ジリ貧の状況を打開し得る、アオアシラに優るオトモの能力。
悲鳴が上がる。オトモの物ではなく、間違いなくアオアシラの物だった。
―――シビレ罠
数百匹の雷光虫を使って作られた、モンスター用の拘束具。
設置に時間が掛かるため、待ち伏せにしか使えないが、効果は絶大だった。
(;*゚∀゚)「ニャー、やったのかニャ?」
アオアシラは、全身が痺れ痙攣して動かない。
(*゚∀゚)「ニャ!やったのニャー!!!!」
これこそがオトモ特有のスキル。
知能の高いアイルーのみが使える武器。
オトモは心底安堵していた。自分でも誰かを護る事が出来るという事に、心の底から喜びを爆発させた。
- 45 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:58:07 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「ん、今にゃにか聞こえなかったかにゃ?」
例えるなら小タル爆弾が破ぜたような音だ。
(;*゚∀゚)「にゃにゃにゃ、にゃんで!?」
ダメージの蓄積が少なすぎたのか、それでもこれは早すぎる。
自分の予想では、疲れたアオアシラがシビレ罠から抜け出すのには30秒以上かかると見ていた。
その間に自分は地面に潜り身を潜めるつもりだったのに。
目の前には怒りに満ちた青熊獣の前足が迫っていた。
重すぎる一撃、これを食らえばアイルーのような小型種は上半身を原形留めず、グチャグチャにされてしまうであろう。
最後にオトモの頭を過ったのは思い出。
優しかった主人との思い出。
(*;∀;)「やだ、ツーはまだ……たすけて……」
- 46 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:59:05 ID:spErNWocO
-
炎が。恐ろしい一撃から、ツーの身を包み込む、堅牢な火が上がった。
何時まで経っても、衝撃が来ず恐る恐るツーは目を開けた。
('A`)「よぉ、危ないところだったな」
そこには、先程まで一緒に居た旅人が居た。
ツーを護るように、アオアシラとツーの間に割って入り、アオアシラの一撃を左手一本で防いでいた。
(*ノ∀;)「どっ、どうして戻ってきたのにゃ?」
('A`)「……ん」
ドクオは、バツが悪そうに頬を掻く。どうやら特に理由は考えてなかったらしい。
('A`)「お前の名前を聞き忘れてたのを思い出してな。折角助けてもらった恩人に失礼な事をしたと思って」
(*ノ∀;)「にゃ……」
('A`)「俺はドクオって言うんだ。ドンドルマでハンターをしていた。
お前の名は?忠義者のオトモさん」
(*゚∀゚)「!!」
- 47 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 00:59:59 ID:spErNWocO
- ドクオは、抑えていたアオアシラの前腕を少しずつ力を加える事で横に逸らしていった。
そしてドクオの力点とアオアシラの作用点が入れ替わる瞬間に
(;*゚∀゚)「!!」
ツーは目を見張った。
あのアオアシラに、純粋な力勝負を挑み、押し返した驚くべき事実に。 しかしそれだけではない。 押す側、押し返す側が互いに入れ替わる瞬間に、ドクオはアオアシラの尖爪を一枚剥いだのだ。
これには堪らずアオアシラも悲鳴を上げる。
爪を剥がれた位ならば大丈夫、また生え変わる。
何枚剥がれたところで、何日かすれば新しい物が生えてくるのだから。
しかし、それだけでは無かった。
アオアシラは、自分の肌と爪の間に焼けるような痛みを感じたのだ。
あの小さな刀だ、とアオアシラは気付いた。
あのまばゆい程に輝く、金と銀の剣。
そしてあの人間は脅威。自分を脅かす存在。
さっきのアイルーなどとは次元が違う何かがある。
一度離れよう、距離を取って機を待つ。
なに、たかだか人間一人。自分のこの牙で、爪で、一撫ででもしれやれば呆気なく倒れるはずだ。
- 48 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:00:59 ID:spErNWocO
-
しかし、その発想が間違い。墓穴。野性に生きる怪物が絶対にしてはいけない思考。
('A`)「………」
一方ドクオは、ここに来ても冷静だった。 アオアシラが三歩下がるのを見て、自分も一歩下がった。
(*゚∀゚)「……あんた様、ハンターだったんだニャー」
('A`)「まぁな。でも今は旅人だ。ドンドルマのギルドは抜けたからな」
それ以上ツーは何も尋ねなかった。ハンターがギルドを抜けるにはそれ相応の覚悟と血が必要だと知っていたからだ。
('A`)「……すまなかったな」
(;*゚∀゚)「ニャッ!? にゃにを謝る事があるのニャッ!?」
ドクオは言いづらそうに頬を掻く。
('A`)「……お前の心意気を無駄にしてしまった。 お前の職務の全うを邪魔した。済まないと思っている」
(*゚∀゚)「………」
- 49 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:01:44 ID:spErNWocO
-
ツーは驚いていた。
オトモとは、主人の為に生き、主人の為に死ぬもの。 これは残酷な事ではなく、オトモにとってそれが唯一無二の幸せなのだ。
だからこそ、ハンターはオトモに謝らない。
しかし、このハンターはツーに謝ったのだ。
('A`)「その代わり、コイツは任せろ」
そう言うと、ドクオはツーの頭を一撫でして地面に降ろした。
('A`)「……この青熊に教えてやるよ。どっちが“狩られる”側かをな」
少し離れた場所から、様子を窺っていたアオアシラが、大きく体を広げる。
腕を左右に目一杯延ばし、鋭く尖った牙を剥き出しにする。
アオアシラの精一杯の威嚇だった。
- 50 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:02:27 ID:spErNWocO
-
(;*゚∀゚)「まっ、待つのニャッ!!あんた様は防具も着ないで平気なのかニャッ!?」
('A`)「へーきだよ。 当たらなければ、どうという事はないからな。 それに“もう覚えた”からな」
ドクオは軽くステップを踏む。前のめりに一歩、大きな歩幅でアオアシラに近付いた。
アオアシラも威嚇の体勢から、そのまま両腕を振り下ろす。
ドクオの武器は双剣。決して大きな武器ではない。
しかし双剣は、その圧倒的な手数と、小ささ故の軽さを生かした身のこなしが特長の武器。
だからこそドクオは前に進む。
斜めに跳んで軽くそれを回避。透かさず自分の得物の距離まで詰め寄る。
しかし、アオアシラも負けてはいない。
その巨体からは想像出来ぬ反応を見せ、返す左腕でドクオを狙う。
そして接触。
鍔迫り合いとなる両者。
火花が散る一人と一匹の接触点。
(*゚∀゚)(……さっきの攻防と全く同じだニャ)
- 51 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:03:20 ID:spErNWocO
-
そして、ぶつかった者同士の実力が変わらないのなら。
Gyaaaaaaaaaaaaa!!!!!!
また悲鳴が上がる。
('A`)「二つ目だ」
そう言って、ドクオは空中に弾け飛んだアオアシラの尖爪を掴みツーの方に投げる。
(;*゚∀゚)(……さっきのアレは狙ってやってたとでも言うのかニャ!?)
驚くべき事だ。普通狩人は獲物から素材を剥ぎ取る時、必ずとどめを刺してから行う。
それには、貴重な素材に傷を付けてはいけないという理由もあるのだが
それ以上に、生きているモンスターから剥ぎ取るというのは至難の技なのだ。
それが正常だ。
しかし、ドクオは
('A`)「はい、四つ目」
それを平然と行っている。 普段のあの覇気の無い目で、淡々と。
- 52 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:04:08 ID:spErNWocO
-
五つ目の爪が剥がれた所で、アオアシラは気付いた。
このままでは自分は、人間如きに倒される、という事実に。
だから変化を付けた。
奴は油断しているはずだ。そこを突く。
六度目の衝突、アオアシラの右腕は難なくドクオに抑えられる。
ここからが勝負。
今度は返す腕でヤツを狙うのではなく、そのまま掴みにいった。
('A`)「!?」
(;*゚∀゚)「あぶにゃいニャッ!!!!!」
取った、これは逃げられない。
アオアシラの口角が釣り上がった。
よくも人間如きが、ここまで自分を痛め付けてくれた、と。
―――しかし、これで終わりだ
- 53 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:04:45 ID:spErNWocO
-
アオアシラは大きく口を開けドクオに迫る。
アオアシラの咬噛力を以てすれば、人間の身体など容易く裂ける。
オトモは目を瞑った。
自分の恩人がアオアシラに噛み殺される所なんて、見たく無かった。
「なんだ、牙もくれるのか?」
- 54 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:05:23 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「!!」
突っ伏し、余りの激痛に手足をばたつかせるアオアシラ。
('A`)「こっちは初めてだったな」
そういって顔色を全く変えずに、ドクオは何かをまた投げてきた。
それはアオアシラの尖牙だった。
('A`)「………」
(*゚∀゚)「……すごいのニャ」
あの細身の腕で、アオアシラの一撃を受け止め 剰えその爪と牙を剥ぎ取る実力。
この男は一体何者なんだろう。
一方アオアシラにそんな余裕は無かった。
繰り出した渾身の一撃は、全て軽く往なされ 爪を五枚、牙を一本持っていかれた。
勝てない。自分では、この人間に勝てない。
負ける。それは等しく“死”なのだ。
- 55 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:05:55 ID:spErNWocO
-
途端にアオアシラの本能が命令した。
逃げろ、と。
もう満身創痍のアオアシラにとって、あの人間から逃げるのは困難だ。
しかし、なによりも優先されるのが本能。
アオアシラは遂に逃げ出した。
人間如きに。アオアシラは後ろから迫ってくるであろう恐怖に、度々振り返りながら、全力で逃げ出した。
恐怖は、いつまでもやって来なかった。
- 56 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:07:05 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「もうすぐユクモ村だニャッ!!急ぐんだニャッ!!」
('A`)「どうした?いきなり元気になって」
(*゚∀゚)「あんた様がハンターと分かった以上、怖がる必要はないニャ。それにアオアシラが逃げて行ったから、もうこの渓流に脅威はいないニャ」
そうか、と少し笑ってドクオは頬を掻いた。
それにしても
(*ー∀ー)ノホホン
('A`)「なんでお前は、俺の頭の上に乗ってるんだ?」
(*ー∀ー)ノ「疲れたのニャ」
('A`) 「……まぁ良いけど」
ドクオの頭に『我ここに居場所を見たり』と、居座るツー。
('A`)「お」
暫く歩くと、灯りが見えた。
- 57 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:07:50 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「着いたのニャ、あれがユクモ村だニャ」
('A`)「へー、あれが」
今のユクモ村は祭りの真っ最中。
雷光虫と草食獣の骨で作られた提灯が並べられ、光の道が出来ている。
(*゚∀゚)「あんた様、村に着いたらどうするのかニャ?」
('A`)「まずここのギルドマスターに挨拶だな。 そこからは暫くユクモに世話になるつもりだから、宿も探さないと」
ツーに尋ねられて応えたものの、ツーは不服そうな目をドクオに向けた。
('A`)「……どうした?」
(*゚―゚)「……湯浴みニャ」
あぁ、とドクオは得心いった。
('A`)「俺の事は良い、村に入ればギルドの場所くらい探せるさ。酔っ払った屈強な男が集まってる所を探せば良いだけだ。
お前は先に湯浴みに行けば良いさ」
返ってきたのは、鋭い爪だった。
- 58 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:08:25 ID:spErNWocO
-
(;メA`)「いってえぇぇええ!!!」
(#*゚∀゚)「ふん、自業自得だニャ。 オレっちがギルドマスターの所に案内してやるから、その後、一緒に入りに行くニャ」
('A`)「ん、ああ。別にそれで構わない」
(*゚∀゚)「にゃははー♪」
その後は、賑やかな祭り囃子に誘われてツーと一緒にこの祭を見物するのも悪く無い。
ドクオはそう思った。
To be Continue……
- 59 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 01:10:16 ID:spErNWocO
- 1―2投下終了です。これで一話は完結となります。時間をおいて、二話も投下していきます。
今回の投下で修正した部分は、最後に纏めて記載します。
- 60 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 02:46:03 ID:xjYqX1Xc0
- ※注意※
・元ネタ有り
・武器や防具、モンスターについて多々独自解釈があります
・登場人物を無理やりAAに置き換えていることが多々あります
まとめ様一覧
フェレット速報 http://xn--hckwcp3c2c5ce5k.com/
かぎまとめ http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-2141.html
即席ブーン http://eksr.blog115.fc2.com/blog-category-20.html
最初に記載するつもりだったのを忘れていました
- 61 :今までの登場人物:2011/03/17(木) 02:52:18 ID:xjYqX1Xc0
- ●(‘A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:???】
使用武器:???(双剣)
防具:???シリーズ
現在地:ユクモ村
●(*゚∀゚) ツー
獣人族
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇現在地:ユクモ村
- 62 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 02:53:05 ID:xjYqX1Xc0
- 伝説というのは、その地域の特色を推し量る上で、このうえない物差しとなる。
その地域に根付いた文化、信仰によって形成された伝説。
例えば、ドンドルマにはこの様な伝説がある。
曰く、海を渡る山。
曰く、全てを呑む山。
最古龍と呼ばれる竜の記述。これは、実に的確に最古龍を表した言葉である。
古龍観測所に残されていた記録は、これだけだった。この事実から、如何に最古龍が謎に包まれているのかが、推察出来るだろう。
そして、この地【ユクモ】にもこのような伝説が存在する。
- 63 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 02:53:28 ID:xjYqX1Xc0
- 狩人達よ、喜ぼう
この出会いに歓喜しよう
稲光が辺りを照らし
例えその身が焼け落ちようとも
偉大な瞬間に立ち会えた
それが最上の喜びである
―――とある狩人の手記 作者不明―――
- 64 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 02:53:53 ID:xjYqX1Xc0
- 賑やかな祭り囃子に、誰もが心躍らせる。辺りを見渡すと、アイルーやメラルーのお面を被った子供達がはしゃぎ回っている。
(‘A`)「どこでも、子供達は変わらないな」
ドンドルマにも祭りはあった。
【狩人ノ宴】と言われるその祭りをドクオは思い出していた。
子供達は、ここぞとばかりに走り回り
大人達は、それを暖かい目で見守っている。
急に、鼻を刺激するような独特な匂いを感じ取った。 それは、温泉地であるユクモ特有の硫黄臭だった。
- 65 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 02:55:06 ID:xjYqX1Xc0
- (*゚∀゚)
- 66 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 02:55:44 ID:xjYqX1Xc0
- (*゚∀゚)「あんた様、あっちにユクモ自慢の温泉群があるニャー」
ツーは、短い尻尾を振って興奮した様子でドクオに話しかける。
(‘A`)「温泉はギルドマスターに挨拶してからだぞ。もう少し我慢してくれ」
(*゚∀゚)「……ニャー、わかってるニャ。ユクモギルドはすぐそこだニャ!」
駆け出すツーにドクオは溜め息を吐く。
(‘A`)「……まったく」
ユクモ村のギルドは、変わった佇まいをしていた。 傍から見れば、銭湯にしか見えない。
ドンドルマのギルドと比べると、大きさだけでもかなりの違いがある。
(*゚∀゚)「ニャー!帰ったニャー!!」
元気一杯のツーの挨拶に祭りの進行で、てんてこ舞いしていたハンターやオトモ達が、手を止めて『おかえりニャー』や『遅かったのね』等と挨拶を返した。
- 67 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 02:56:04 ID:xjYqX1Xc0
- (‘A`)「………」
ドクオは、想像以上に騒がしいギルドに目も向けず
ギルドの端の、とある場所に向かって歩いた。
その周辺には大量の酒ビンが転がっており、足の踏み場もない。
そしてその中心で寝転がる一人の竜人族。
(‘A`)「もし……」
/ ,’ 3「うぃー、なんじゃいなー」
(‘A`)「ユクモのギルドマスターとお見受けしましたが、相違ありませんか?」
竜人族とは、人間より遥かに高い知識と寿命を持ち、アイルー達とはまた違った進化をした獣人族である。
ふぅむ、と竜人族の老人は顎髭を撫でながら男を観察する。
覇気のない目、細い手足、一見すれば、誰もこの男を狩人だとは思わないであろう。
しかし、竜人の目は誤魔化せない。
最低限まで絞られた身体。必要な箇所にしか付けられていない筋肉。
なるほど、と呟いた。
- 68 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 03:01:05 ID:xjYqX1Xc0
- / ,’ 3「うぃー、よう来たのぉ、ドンドルマの英雄様よぉー」
(‘A`)「………」
気が付けば、あれだけ騒がしかったギルドは静まり返っていた。
見たことの無い風貌の男。一目でこの辺りの人間ではないと分かる。
そんな男が、自分達の主であるマスターと話している。
自然と二人の会話に、耳を傾けていた。
- 69 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 03:02:15 ID:xjYqX1Xc0
- (‘A`)「……失礼ですが、俺は英雄などではありません」
/ ,’ 3「ふぉほほ、そう謙遜召させるなー。ドンドルマのマスターとは義兄弟での。 チミの噂は耳にタコが出来るほど聞かされておるからのぉー」
(‘A`)「……あのクソじじいか」
ドクオは、眉間を押さえて呻く。しかし、その顔に嫌悪感はない。
『さて』、その一言で周囲を含む空気が一変した。
/ ,’ 3「ドンドルマの英雄様が、こんなちっぽけなギルドになんの様かいな」
これが竜人の威圧感。
何百、何千という悠久の時を生きる竜人にしか醸し出せぬ空気。
しかし、それをドクオは軽く受け流す。
(‘A`)「まぁ、少し野暮用がありましてね。 しかし旅の途中で用意していた路銭も底をついて、今では明日の陽を見るのもままならぬ状況」
/ ,’ 3「うぃー、そうそう回りくどい言い方をしなさんな。言えば良いじゃないか。『狩人』として雇ってほしい、となぁー」
やはり竜人の知能は、ヒトの及ぶところでは無かった。
何もかも見通されている事に驚きを感じながらも、ドクオは平静を装って返す。
(‘A`)「奇遇ですね。ちょうど俺もそう言おうと思っていたんです」
- 70 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 03:03:13 ID:xjYqX1Xc0
- ふぉほほ、と奇妙な笑い声をあげる竜人は
/ ,’ 3「良いじゃろう。実力は折り紙付き、断る理由もなかろう。 優先的に上位の依頼を回す、それでも良いかの?」
と言った。
(‘A`)「是非もない」
/ ,’ 3「ふぉほほ、ユクモ村へようこそ。英雄様」
それをお互いの了承と受け取り、ドクオは背を向けようとした。
空気が緩んだ、その瞬間だった。
(‘A`)「!!」
背中に当てられた瓢箪。これ以上緊縛する事の無いと思われた雰囲気が、まだ上昇した。
- 71 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 03:04:00 ID:xjYqX1Xc0
- 「ふぉほほ。そうそう、一つ聞き忘れておったわ」
「先程、数匹のジャギィとジャギノス。そして繁殖期に入ったアオアシラが、狩人らしき人物と交戦していたという連絡がギルドに入った。 なんというかのぉ、ギルド直轄地でギルドに所属していないハンターがモンスターを狩れば、それは“密猟”なんじゃよ」
(‘A`)「………」
ドクオは答えない。
それはドクオも重々承知していた、古来から続く狩人のしきたりだからだ。
見れば、今まで静観を決めていたギルドナイト達が各々の武器を構え、ドクオに向けて突き出していた。
(‘A`)「……なるほど」
/ ,’ 3「余り手荒な事はしたくなかったんじゃがのぉー。しかし、その密猟を行ったのがお主だったら……」
/ ,’ 3「儂はのぉ、英雄様。チミを拘束せねばならんのじゃ」
- 72 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 03:04:33 ID:xjYqX1Xc0
- これを見ていたギルドのオトモ、ツーは堪らず飛び出した。
(;*゚∀゚)「じじい!!どうしてこんな真似をするのニャー!?」
/ ,’ 3「ツー、これは護らねばならぬしきたりなんじゃ。これには如何に優れた者であろうと、如何に権力を持った者であろうとも逆らってはならぬ」
ギルドには、唯一絶対の掟がある。
『ギルドの依頼外で狩猟をしてはならない』
これは単独で、無謀な狩りを行おうとする馬鹿者を守る為の物でもあり
また同時に、ハンターによる乱獲からモンスターを守る為の物でもある。
(‘A`)「……良い、ツー。下がっていてくれ」
(;*゚∀゚)「ニャッ!?でも……」
大丈夫だから、とドクオは安心させるようにツーの頭を撫でた。
(‘A`)「マスター」
/ ,’ 3「………」
(‘A`)「その目撃者が見た男は、間違いなく俺だ。それに対して言い訳するつもりは無い」
静寂の中、ドクオの声が淡々と紡がれる。
- 73 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 03:32:16 ID:spErNWocO
- PCから書いたらドクオがおかしな事になったので、二話からやり直します。
- 74 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 11:47:35 ID:nbploQhA0
- 無事だったんだな
よかった
- 75 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 17:13:14 ID:XDHeQ51o0
- 地の分がすごくいい
- 76 :再開します:2011/03/17(木) 17:59:43 ID:spErNWocO
- 【ハンター】
●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:???】
所属猟団:無所属
使用武器:???(双剣)
防具:???
現在地:ユクモ村
【オトモ】
●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇現在地:ユクモ村
- 77 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:01:16 ID:spErNWocO
-
伝説というのは、その地域の特色を推し量る上で、このうえない物差しとなる。
その地域に根付いた文化、信仰によって形成された伝説。
例えば、ドンドルマにはこの様な伝説がある。
曰く、海を渡る山。
曰く、全てを呑む山。
最古龍と呼ばれる竜の記述。この記述は、実に的確に最古龍を表した言葉である。
古龍観測所に残されていた記録は、これだけだった。この事実から、如何に最古龍が謎に包まれているのかが、推察出来るだろう。
そして、この地【ユクモ】にもこのような伝説が存在する。
- 78 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:02:07 ID:spErNWocO
-
狩人達よ、喜ぼう
この出会いに歓喜しよう
稲光が辺りを照らし
例えその身が焼け落ちようとも
偉大な瞬間に立ち会えた
それこそが最上の喜びである
―――とある狩人の手記 作者不明―――
- 79 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:04:08 ID:spErNWocO
-
賑やかな祭り囃子に、誰もが心躍らせる。辺りを見渡すと、アイルーやメラルーのお面を被った子供達がはしゃぎ回っている。
('A`)「どこでも、子供達は変わらないな」
ドンドルマにも祭りはあった。
【狩人ノ宴】と言われるその祭りをドクオは思い出していた。
子供達は、ここぞとばかりに走り回り
大人達は、それを暖かい目で見守っている。
急に、鼻を刺激するような独特な匂いを感じ取った。 それは、温泉地であるユクモ特有の硫黄臭だった。
- 80 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:04:51 ID:spErNWocO
- (*゚∀゚)「あんた様、あっちにユクモ自慢の温泉群があるニャー」
ツーは、短い尻尾を振って興奮した様子でドクオに話しかける。
('A`)「温泉はギルドマスターに挨拶してからだぞ。もう少し我慢してくれ」
(*゚∀゚)「……ニャー、わかってるニャ。ユクモギルドはすぐそこだニャ!」
駆け出すツーにドクオは溜め息を吐く。
('A`)「……まったく」
ユクモ村のギルドは、変わった佇まいをしていた。 傍から見れば、銭湯にしか見えない。
ドンドルマのギルドと比べると、大きさだけでもかなりの違いがある。
(*゚∀゚)「ニャー!帰ったニャー!!」
元気一杯のツーの挨拶に祭りの進行で、てんてこ舞いしていたハンターやオトモ達が、手を止めて『おかえりニャー』や『遅かったのね』等と挨拶を返した。
- 81 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:05:20 ID:spErNWocO
- ('A`)「………」
ドクオは、想像以上に騒がしいギルドに目も向けず
ギルドの端の、とある場所に向かって歩いた。
その周辺には大量の酒ビンが転がっており、足の踏み場もない。
そしてその中心で寝転がる一人の竜人族。
('A`)「もし……」
/ ,' 3「うぃー、なんじゃいなー」
('A`)「ユクモのギルドマスターとお見受けしましたが、相違ありませんか?」
竜人族とは、人間より遥かに高い知識と寿命を持ち、アイルー達とはまた違った進化をした獣人族である。
ふぅむ、と竜人族の老人は顎髭を撫でながら男を観察する。
覇気のない目、細い手足、一見すれば、誰もこの男を狩人だとは思わないであろう。
しかし、竜人の目は誤魔化せない。
最低限まで絞られた身体。必要な箇所にしか付けられていない筋肉。
なるほど、と呟いた。
- 82 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:05:57 ID:spErNWocO
- / ,' 3「うぃー、よう来たのぉ、ドンドルマの英雄様よぉー」
('A`)「………」
気が付けば、あれだけ騒がしかったギルドは静まり返っていた。
見たことの無い風貌の男。一目でこの辺りの人間ではないと分かる。
そんな男が、自分達の主であるマスターと話している。
自然と二人の会話に、耳を傾けていた。
- 83 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:07:15 ID:spErNWocO
- ('A`)「……失礼ですが、俺は英雄などではありません」
/ ,' 3「ふぉほほ、そう謙遜召させるなー。ドンドルマのマスターとは義兄弟での。 チミの噂は耳にタコが出来るほど聞かされておるからのぉー」
('A`)「……あのクソじじいか」
ドクオは、眉間を押さえて呻く。しかし、その顔に嫌悪感はない。
『さて』、その一言で周囲を含む空気が一変した。
/ ,' 3「ドンドルマの英雄様が、こんなちっぽけなギルドになんの様かいな」
これが竜人の威圧感。
何百、何千という悠久の時を生きる竜人にしか醸し出せぬ空気。
しかし、それをドクオは軽く受け流す。
('A`)「まぁ、少し野暮用がありましてね。 しかし旅の途中で用意していた路銭も底をついて、今では明日の陽を見るのもままならぬ状況」
/ ,' 3「うぃー、そうそう回りくどい言い方をしなさんな。言えば良いじゃないか。『狩人』として雇ってほしい、となぁー」
やはり竜人の知能は、ヒトの及ぶところでは無かった。
全て、何もかも見通されている事に驚きを感じながらも、ドクオは平静を装って返す。
('A`)「奇遇ですね。ちょうど俺もそう言おうと思っていたんです」
- 84 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:07:56 ID:spErNWocO
- ふぉほほ、と奇妙な笑い声をあげる竜人は
/ ,' 3「良いじゃろう。実力は折り紙付き、断る理由もなかろう。 優先的に上位の依頼を回す、それでも良いかの?」
と言った。
('A`)「是非もない」
/ ,' 3「ふぉほほ、ユクモ村へようこそ。英雄様」
それをお互いの了承と受け取り、ドクオは背を向けようとした。
空気が緩んだ、その瞬間だった。
('A`)「!!」
背中に当てられた瓢箪。これ以上緊縛する事の無いと思われた雰囲気が、まだ上昇した。
- 85 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:08:32 ID:spErNWocO
- 「ふぉほほ。そうそう、一つ聞き忘れておったわ」
「先程、数匹のジャギィとジャギノス。そして繁殖期に入ったアオアシラが、狩人らしき人物と交戦していたという連絡がギルドに入った。 なんというかのぉ、ギルド直轄地でギルドに所属していないハンターがモンスターを狩れば、それは“密猟”なんじゃよ」
('A`)「………」
ドクオは答えない。
それはドクオも重々承知していた、古来から続く狩人のしきたりだからだ。
見れば、今まで静観を決めていたギルドナイト達が各々の武器を構え、ドクオに向けて突き出していた。
('A`)「……なるほど」
/ ,' 3「余り手荒な事はしたくなかったんじゃがのぉー。しかし、その密猟を行ったのがお主だったら……」
/ ,' 3「儂はのぉ、英雄様。チミを拘束せねばならんのじゃ」
- 86 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:09:15 ID:spErNWocO
- これを見ていたギルドのオトモ、ツーは堪らず飛び出した。
(;*゚∀゚)「じじい!!どうしてこんな真似をするのニャー!?」
/ ,' 3「ツー、これは護らねばならぬしきたりなんじゃ。これには如何に優れた者であろうと、如何に権力を持った者であろうとも逆らってはならぬ」
ギルドには、唯一絶対の掟がある。
『ギルドの依頼外で狩猟をしてはならない』
これは単独で、無謀な狩りを行おうとする馬鹿者を守る為の物でもあり
また同時に、ハンターによる乱獲からモンスターを守る為の物でもある。
('A`)「……良い、ツー。下がっていてくれ」
(;*゚∀゚)「ニャッ!?でも……」
大丈夫だから、とドクオは安心させるようにツーの頭を撫でた。
('A`)「マスター」
/ ,' 3「………」
('A`)「その目撃者が見た男は、間違いなく俺だ。それに対して言い訳するつもりは無い」
静寂の中、ドクオの声が淡々と紡がれる。
- 87 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:09:55 ID:spErNWocO
- ('A`)「しかし、ジャギィ達を討伐したのはこのオトモだ。俺じゃない」
/ ,' 3「……ほぉ。間違いないのか、ツー」
(*゚∀゚)「そうだニャー!オレっちが狩ったのニャー!!!」
('A`)「それに、アオアシラだったか?あれと戦ったのは確かに俺だが、討伐してはいない。
撃退しただけだ」
『嘘だッ!!!繁殖期に入ったアオアシラを討伐しないで退けるなんて!!』
大剣を構えていた青年が、叫んだ。
ギルドマスターはそれを目だけで制す。
しかし、この青年が言うのも最もだった。繁殖期に入ったモンスターは退く事をしない。したがらない。 もしそのままハンターに後を付けられ、巣にまで来られてしまえば、種の全滅すらあり得るからだ。
/ ,' 3「ツー、本当かのぉ?」
(*゚∀゚)「……確かに討伐してないニャー。ドクオと暫く戦ってから、足を引きずりながら北に逃げて行ったニャー」
ふぉほほ、とまたギルドマスターは笑った。
/ ,' 3「相分かった!戟を収めよ、子供達よ!!」
その言葉に、ツーは溜め息を吐いた。
- 88 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:10:47 ID:spErNWocO
- / ,' 3「……済まなかったのぉ、チミ。儂の勘違いだったようだのぉ」
('A`)「いや、こちらこそ申し訳ない。これは一番最初に俺から伝えるべき事でした」
大剣や太刀を向けられても、この男は全く顔色を変えなかった。
/ ,' 3(……やはり、この小僧。思った以上に図太い)
('A`)「じゃあ今度こそ失礼させて頂く。ツーとユクモの湯に浸かる約束もあるので」
何が嬉しかったのか、ドクオには分からなかったが。マスターは、それを聞くと盛大に笑いだした。
/ ,' 3「ふぉほほ、ツーとか?それはそれは、なんと喜ばしい事かな」
('A`)「……?」
ひとしきり笑った後、一度咳払いをして場を取り直した。
/ ,' 3「失礼したのぉー、少し嬉しかったのでのぉー」
('A`)「……はぁ」
/ ,' 3「チミは気にする必要の無いことじゃ。一人に案内をさせるから、チミは先に温泉で待ってるといいぞい。 ツー、ちゃんと報告していきなさい。ドクオくんとの湯浴みはそれからじゃ」
ニャー、と膨れっ面をするツー。
- 89 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:12:05 ID:spErNWocO
- (*゚∀゚)「ニャー、仕方ないニャー。ドクオ、先に行ってて欲しいニャー。後で追いかけるニャッ!」
分かった、とだけ呟いてドクオはギルドを退出しようとする。
/ ,' 3「そうじゃ、チミ。もう一つ言い忘れておったわい」
その言葉にドクオは再び足を止める。
/ ,' 3「儂の名は、スカルチノフ。スカルチノフ=アラマキじゃ。ユクモの地を司る、ギルドマスター」
ドクオは、身体を返して真っ直ぐギルドマスター、スカルチノフを見た。
/ ,' 3「良い狩りを……」
('A`)「有り難く」
ドクオが歩く度に道が出来る。扉の手前にさしかかった時、今度はドクオがスカルチノフに言った、
('A`)「そうそう、ただの威嚇にしても弾は込めておいた方が良いと思いますよ。
大人しく引き下がる奴ばかりでは無いですからね」
/ ,' 3「………」
今度こそ、ドクオは背を向けギルドを出た。
- 90 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:13:29 ID:spErNWocO
- 『良いのですか?あの人を狩人として雇って』
/ ,' 3「ふぉほほ、良いに決まっとるじゃろうがぁ。チミには分からんだろうがなぁー」
『確かに。私には、あの男が優れた狩人に見えないです』
/ ,' 3「そういう次元にいる人間じゃないのじゃー。チミも覚えておくと良いのぉー」
『はい、マスター』
あの青年は、自分の瓢箪に弾が込められていないのを一瞬で見抜いた。
いや、恐らくあれは嗅ぎ取ったのだろう。
ボウガンを構えれば、微かに漂うはずの火薬の匂い。その有無を一瞬で見抜き
そして、その判断に絶対の自信を持っていた。
/ ,' 3「……“G級”は伊達ではない、という事かの」
- 91 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:14:22 ID:spErNWocO
- / ,' 3「彼には、とりあえずこの地方に住む竜を当てごうてやれ」
そうじゃ、と思い出したようにスカルチノフは従者である狩人に尋ねた。
/ ,' 3「それと、あの娘の様子はどうかのぉ?」
『はっ、あの娘というのはツー様の事ですか? それとも監視にやったデレの方ですか?』
ふぉほほ、とまた愉快そうに笑って言う。
/ ,' 3「デレの方じゃー、あの娘はあの娘で難儀な性格をしとるからのぉー。 彼がどのように対応するのか楽しみじゃてー」
『……私には考えの及ぶ範疇ではありません』
アラマキは、そういって顔を顰める従者を見て人懐っこそうな笑顔を見せる。
/ ,' 3「狩りは、単純な物ではない。強者=勝者にはならんのじゃ。
如何に聡明な狩人であろうと、一人で出来る事には限界がある。 さぁ、どう立ち回る、英雄様よぉ」
それだけ言うと、また笑って手にしていた盃を一気に傾けた。
- 92 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:15:27 ID:spErNWocO
-
ドクオは困惑していた。
確かに、アラマキは案内を付けると言った。
しかし、自分の三歩後ろからついてくる影。
ζ(゚ー゚*ζ「………」
あれはもう案内ではなく尾行、もしくはそれに準ずる何か、ではないだろうか。
しかし、特に何も言う様子がないのでドクオも何も言わない。
温泉の場所は、ツーに教えてもらっていたので、特に迷う事もない。
道順を覚えるのも、狩猟生活で培われる技能の一つだ。
何も喋らない案内人は黙って自分の後ろを付いてくる。
('A`)(いつまで付いてくるんだろうか)
不意に頭に衝撃が走る。
(*゚∀゚)「どっくおー!!!!!」
発生源はオトモアイルー、ツーだった。
そしてさも当然のように、ドクオの頭に乗っかる。 ツーのゆったりとリラックスした顔を見るに、お気に入りの場所になったのだろう。
(*ー∀ー)ノホホーン
- 93 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:16:22 ID:spErNWocO
-
しかし、この行動に周辺にいた村人が驚きの声をあげる。
『おい!あのツー様が人に懐いているぞ!』
『なんと!?しかし、見たことの無い顔じゃな』
周囲の喧騒に、驚くドクオ。
この様子のどこが珍しいのだろうか、と首を傾げる。しかし、当のツーは
(*ー∀ー)「気にしなくていい良いニャー」と、周囲の反応もどこ吹く風と、ドクオの髪を弄って遊んでいる。
ユクモの温泉には不思議な力がある。 これは、ドンドルマ地方特有の『ネコ飯』と似ている部分がある。 狩人にもたらす、不思議な効能。
入った後は身体が軽く感じ、いつもより長く、そして早く、狩場を走る事が出来る。
この温泉の湯こそが、ユクモにギルドが作られた由縁であり、始まりと言える。
- 94 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:17:20 ID:spErNWocO
-
次の日、一夜を銭湯に併設されていた宿場で過ごしたドクオは、ギルドに向かった。
朝一番で、依頼したいクエストがあるとの連絡を受けたのだ。
('A`)「昨日、ギルドに所属願いを出していたドクオなんだが」
ミセ*゚ー゚)リ「はい、連絡を貰っていますよ。ギルドカードをお渡しするので少々お待ち下さいねっ!」
クセっ気のある髪をした、ハキハキとした女性が応対してくれた。
ミセ;*゚ー゚)リ「あれ?なんで?どうして……」
しかし、何かトラブルがあったようだ。
ギルドカードに何かしらの不具合があったのだろうか。
ミセ;*゚ー゚)リ「すいません!手違いで、ドクオさんのHRが6になっているんですよ!」
HRというのは、ギルドに所属するハンターの力量を表す、一つの物差しだ。
1〜6までの段階があり、小型モンスターや採集などのクエストを扱うHR1、HR2。
大量の小型モンスター、中型モンスターを相手にするHR3。
中型モンスター、時には飛竜種の狩猟の依頼を受けるHR4。
一般的にHRを一つ上げるには三年程掛かる、と言われている。 それに加え、ある程度の数のクエストをこなした実績。そしてギルドから依頼される緊急クエストを成功させて初めて昇級出来るのである。
- 95 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:18:03 ID:spErNWocO
- それがHR6になっているのだ。
初めてギルドカードを作った新米ハンターがHR6という事は有り得ない。
普通は。
('A`)「……竜人ってのは皆こうなのか」
思い浮べるのは二人の竜人。
('A`)「……良い、多分それであっていると思う。ありがとう」
ミセ;*゚ー゚)リ「えっ、あっ、本当ですか!?
じゃあ、これを……」
そのままギルドからの依頼が、貼られている掲示板に向かう。
ハチミツの採集や、特産キノコの納品など、多種多様な依頼が貼られている。
('A`)「お、こいつか」
HR2以上〜、と書かれた依頼票を引きちぎる。 そこには
『腕利きの狩人を募集。【毒怪竜】ギギネブラの狩猟』
と書かれていた。
('A`)「……なるほど。もうこれはマスターからの嫌がらせとしか思えないな」
いきなりの飛竜種。それも一度も目にしたことが無い名前だ。 ギギネブラ、狩人大全で調べないとな、とドクオは次の行動の指針を立てる。
- 96 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:18:44 ID:spErNWocO
-
『おい、テメェ!!その依頼はオレ達が先に受けたもんだぞ!ゴルァ』
('A`)「ん?」
(,,゚Д゚)「……テメェは、昨日うちのじじいとやりあってた野郎だな」
依頼被りか、とドクオは溜め息を吐く。 人の手によって依頼の受注が行われるギルドでは、依頼被りは珍しい事ではない。
しかし、難しいのはそれの解決。
狩人とは誇り高くあらねばならない。
村民を護る盾として、常に高みを目指す生き物だ。
だから退けなくなる。
お互いが譲らず、限りなく殺し合いに近い喧嘩になる事も多々あるのだ。
(,,゚Д゚)「勝負だゴルァ!!」
だから、その為にギルドは一つのルールを設けた。
【腕相撲】
腕相撲とは、ただ単純に腕力を競うだけの物にあらず。
筋力、関節の力、そしてお互いの駆け引きを競う物である。
('A`)「……良いだろう」
- 97 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:19:27 ID:spErNWocO
- まだ祭りの興奮醒めやらぬのか、ギルドを出て広場に行くと沢山の人が集まっていた。
ユクモの祭りというのは、何日も通して行われる。その間は昼も夜も関係ない。真っ昼間から酒を飲み、踊りだすような人もいる。
祭りの祭壇の前に置かれた、一脚の机。
(,,゚Д゚)「公衆の面前で、恥を晒す覚悟は出来ているのか?」
捲られた袖から見える男の腕は、いかにも狩人らしい屈強な物だ。
('A`)「ほぉ、なかなか良い鍛え方をしているな。 服の上からでも良く分かる」
周囲が騒めきだした。
『なんだ!なんだ!!腕相撲かっ!?』
『新米ハンターと【荒鷲団】のギコ様がやり合うらしいぞ!』
('A`)「……ふぅ」
(,,゚Д゚)「何してるんだ、さっさと腕を出せ。それとも何か? テメェ、怖じけづいたのか?」
いや、と小さくドクオは笑った。
('A`)「お前、大剣使いだな」
(,,゚Д゚)「!!」
- 98 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:20:15 ID:spErNWocO
- 大剣、人間の身の丈以上の大きさを持つ剣。
大剣で特筆されるのは、剣特有の切れ味ではなく、その重さ。
如何な狩人であろうとも、身体全体を使い力を込めねば振り回せない。
大剣は『断ち斬る』ではなく『捻斬る』。大剣の、その重さ故の威力。
ただ、常人がそれを振り回そうと思えば、逆に大剣に振り回される事になる。
いや、振り回す事すら出来ない。持ち上げる事も叶わないだろう。
それ程までに、『重い』のだ。
故に、均等に鍛え上げられたその腕の筋肉こそが【大剣使いである証】。
('A`)「さて、じゃあ始めようか」
ドクオの腕を見て、周りから失笑が漏れる。 対面に座るあの男、そいつの腕と比較すれば差は一目瞭然だった。
『あんな牛蒡のような腕で、ギコ様に勝てるものか』
『やっちまえー!ギコ様!!!』
(,,゚Д゚)「……」
無言で構える男。目はギラ付いていて、隆々とした筋肉は何時でも全力を発揮出来るように、筋が浮く程に力が込められている。
- 99 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:21:40 ID:spErNWocO
-
('A`)「ふぅ、周りも喧しいしさっさと終わらせよう。ほら、手首を出しな」
(,,゚Д゚)「!!!」
それはハンデだった。
(,,゚Д゚)「……ふざけやがって」
ドクオは手首を取ろうとしたのだが、男は迷わずドクオの手を払い掌を握ってきた。
('A`)「はぁ……。まぁ良い、じゃあ始めようか。 せめてお前から仕掛けて来い」
ドクオは周囲に聞こえぬ様に、呟く。
(,,゚Д゚)「テメェ……オレに気を遣ってるつもりか?」
もう言葉はいらなかった。お互いの顔が接触する程に近くで睨み合う。
(,,゚Д゚)「ぐぉ……!」
('A`)「……!」
ギコは力押しで、ドクオの腕を倒そうとする。 倒す、というよりも腕をへし折ろうとしている。
それをドクオは器用に肘の位置を変える事で受け流す。
- 100 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:23:06 ID:spErNWocO
- (,,゚Д゚)「……テメェ、力を入れなきゃ勝てねぇぞ!」
('A`)「いや、どれ程の筋力があるのか興味があってな」
男の顔は真っ赤だった。一方ドクオの表情に変化は無い。
『嘘だろ!?腕相撲で負け無しのギコ様が押し切れてないぞ!』
('A`)「……なる程な。道理で腕っぷしに自信がある訳だ」
(#,,゚Д゚)「おう!オレの誇りだぞゴルァ!!」
('A`)「そうか、言うだけの事はあるな」
ギコの腕がミシミシと音を立てる。骨と骨を繋ぐ関節が軋む音。
('A`)「……俺も腕相撲に一家言あってな。お前ほど大したものじゃないが。 俺は『全戦勝敗つかず』なんだ」
(#,,゚Д゚)「!! 野郎、狙って引き分けにするつもりか!!」
ギコは、もう一度腕に全身の力を込める。 もう出し惜しみはしない。ドクオが勝敗を付けたがらないのなら、自分はただの一回に全力を込めれば良い。
(#,,゚Д゚)「グオォォォオオ!!!!」
(;'A`)「!?」
ドクオは、ここにきて初めて表情を引きつらせる。
やはり、今までのは全力ではなかった。
アオアシラと対面しても、一切表情を変えなかった男が、焦ったのだ。
- 101 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:23:42 ID:spErNWocO
-
('A`)「……!!」
一瞬、ドクオの身体が赤く光った。
(;,,゚Д゚)「……!?」
男の頭の中に大量に浮かぶ疑問符。
この赤く鈍い発光。
まさか、この男、全く本気を出していなかったのか。 自分の全身全霊を練り込んだ力に、ようやく本気を出す気になったというのか。
なんという規格外だ。
それで一気に気が抜けた。腕に力が入らなくなった。 ドクオも、それに気が付いたのか腕から少しずつ力を抜いていく。
('A`)「ふぅ」
(,, Д )「ハァ……ハァ……」
二人の腕は、どちらに傾く事もなく机の中心の定位置から少しも動いていなかった。
- 102 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:24:37 ID:spErNWocO
-
(;,,゚Д゚)「お前、まさか『うおぉぉおお!!!!!!!!』ん、なんだ?」
男の言葉に割り込んで歓声が上がった。
『なんて奴だ!アイツ、あのギコ様に引き分けやがったぞぉ!!!』
(,,゚Д゚)「……ったく、なんだってんだ。こいつら」
('A`)「ギルドがある村は大抵こんなもんだ。お祭り好きで、騒がしい、気持ちの良い人ばかりだ」
(,,゚Д゚)「……」
もう一度落ち着いて、ドクオの事を観察する。
見慣れぬ風貌、一目で、ユクモの出身でないと分かる。
活力のない目、こんな細い身体で自分を圧倒したというのか。
('A`)「……ドクオだ、これから宜しく頼む」
(,,゚Д゚)「ギコだ。ユクモギルド所属の猟団【荒鷲団】の首領を務めている。 お前は、この辺りの出身ではないのか?」
('A`)「あぁ、元々ドンドルマという地でハンターをしていたが 故あって昨日からこのユクモギルドに身を置かせて頂く事となった」
(,,゚Д゚)「そうか。ドンドルマから。 道理で見知った格好ではない訳だ」
気持ち良い男、だとドクオは思った。
- 103 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:25:36 ID:spErNWocO
- 先程のやりとり。自分にも礼を逸した所があった。
(,,゚Д゚)「このギルドの所属となったのなら、また共に狩りに出る事もあるだろう。 よろしく頼む」
手を差し出された。腕相撲の時とは違い、力よりも歓迎の暖かみを感じさせる。
('A`)「あぁ、良い狩りをしよう」
握手を交わした。
歓声が再び巻き起こる。
その歓声に掻き消されて、その後の二人のやりとりは誰にも聞き取れなかっただろう。
『さっきのはオレの負けだったぞゴルァ』
『……いや、俺も勝っちゃいないさ。あれは引き分けだったさ』
『……すまねぇ』
そして、周囲の人混みに紛れて見ていた二人。いや、一人と一匹がいた。
- 104 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:26:13 ID:spErNWocO
-
(;*゚∀゚)「相変わらずの無茶苦茶っぷりだニャー」
ζ(゚、゚*ζ「……凄い、あのギコさんと互角に渡り合うなんて」
(*゚∀゚)「ニャ、それで感想はどうだったかニャ?デレ」
デレと呼ばれた少女は、唇に手を当て少し間を取った。
ζ(゚、゚*ζ「……確かにあれなら足手まといになる事もないでしょうね」
そして、また別の所では
(;^ω^)「ちょっ、あの人、本当にギコさんと引き分けちゃったお!」
ξ゚听)ξ「全く、アイツ油断しすぎなのよ。最初から全力を出せば分からなかったと思うわ。 あんな細腕、私でもなんとかなったわ」
少し小太りで、柔和な表情をした青年と巻き毛で勝気そうな釣り目をした少女がいた。
(;^ω^)「マジかお?あのドクオって人に本気で勝てると思ってるのかお?」
ξ゚ー゚)ξ「ふんっ、勝てるに決まってるじゃない!! ……私の代わりにブーンが」
( ^ω^)「完全に他人任せじゃねーか」
- 105 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:46:49 ID:spErNWocO
- 2―1はこれで終わりです。続いて2―2を投下します。これを投下してひとまずの区切りとさせてもらいます。
- 106 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:47:25 ID:spErNWocO
-
【間幕】
『マスター、彼は予定通り【毒怪竜】の討伐依頼を受注したようです』
/ ,' 3「ふぉほほ、それは何よりじゃ」
『しかしマスターも、お人が悪い。あれはギコが先に受注していたはずです。わざわざ揉めるように仕向けたとしか……』
老荘の男は、静かに片目を瞑った。
まるで、悪戯した子供が内緒にして欲しい、と合図するかの様に。
『……はぁ、やはりマスターの思惑でしたか』
/ ,' 3「はて?なんの事かのぉー」
『しかし、ギコと引き分けた事で、彼も村人や他の狩人達からある程度認められたようです』
ふぉほほ、それは重畳とアラマキは言う。
『では、私も依頼を受けたクエストがあるので失礼します』
そう言って従者は、静かに退出していった。
/ ,' 3「……引き分け、のぉ」
- 107 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:47:58 ID:spErNWocO
- ハンターにとって“G”という称号は特別な意味を持つものである。 類い稀な才能と血の滲むような努力。それを以てして辿り着けない領域。
それが“G”を持つ意味である。
―――伝説の英雄 ロマネスク=フェイト―――
- 108 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:48:38 ID:spErNWocO
-
【毒怪竜】ギギネブラ
凍土に生息する飛竜種。目が退化しており、視覚ではなく温度で敵を追跡する。 形状はドンドルマ地方のフルフルの似通っているが、フルフルより少し扁平になっている。
骨格はティがレックスのように四足歩行。飛竜としては珍しく繁殖期が存在しない。
ギギネブラの生殖器官については、未だにはっきりとした事は分かっていない。。
頭部、腹部、尾に毒線を持っており腹の中にその毒を溜めておく袋を持っている。 その毒は、非常に強く、大型のモンスターでも一時間も待たずに意識混濁に陥る。
また怒りだすと変色し、肉質を変える。
凍土。何人の侵入を許さない極寒の土地。起伏に富んだ地面に、複雑に入り組んだ氷壁。
また、凍土にしか存在出来ない種も多く ユクモギルドが管理する【渓流】【孤島】【水没林】等の比較的気候の安定した場所と比較すると
特殊な生態系を保っている。
- 109 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:49:33 ID:spErNWocO
- AM7:30 Quest Start
(*゚∀゚)「ドクオー!ドクオー!ホットドリンクは飲んだかニャ??」
('A`)「あぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん!解毒薬はお持ちですか?」
('A`)「……あぁ」
凍土を歩く三つの影。 黒い忍装束のような防具を着た男と、オレンジ色のカボチャのようなファンシーな装備を身に付けた女性。
二人ともその上から、ケルビの皮で作られたギルド公認のコートを着ていた。
その二人の後ろから、一匹のオトモが付いていく。
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんの装備って、もしかしてナルガグルガの装備ですか?」
('A`)「あぁ、そうだが」
ζ(゚、゚*ζ「すごーい。やっぱりドクオさんって腕の良いハンターなんですね。 迅竜の装備なんて、並のハンターが身に付けられる物じゃないですよ」
【迅竜】ナルガクルガの貴重な素材を大量に使ったドクオの装備。
手鋼、腕鋼、胴当てなどの金属部は、身体を守るのに必要な最低限の部位にしか使用されていない。 迅竜という飛竜の特性を極限までに高める為に、削られた装甲。
そこから生み出される、疾風迅雷のスピードこそが、この防具の強みだ。
- 110 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:50:36 ID:spErNWocO
-
ζ(゚ー゚*ζ「でも、私の知っているナルガクルガの防具とは、少し違いますね。ドンドルマでは、そのような形状が一般的なんですか?」
('A`)「いや、俺のが少し違うだけだ」
正確に言うと、ドクオが身につけているのはナルガX。ナルガクルガの中でも“特異種”と呼ばれた存在。“疾風迅雷”の素材を用いて作られたG級とう称号を持った狩人にしか身に付けられない逸品である。
ζ(゚ー゚*ζ「へー」
しかし、デレは気が付かない。それは何もおかしい事ではない。
ユクモ地方には、未だ“G級”に分類されるモンスターが確認されていないからだ。
(*゚∀゚)「見えたニャ!あの洞窟だニャ!!」
オトモであるツーが、指指した先には洞窟があった。
('A`)「洞窟、か。また厄介な所にいるんだな。ギギネブラって奴は」
洞窟を住みかにするモンスターは少なくない。 しかし、如何に経験豊富な狩人であろうと、それは常に危険を孕む場所であるのだ。
- 111 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:51:08 ID:spErNWocO
-
まず問題となるのが視覚。洞窟の中では昼でも夜でも関係ない。
ただ暗闇があるだけなのだ。だから狩人は洞窟で狩りをしたがらない。
それはモンスター達にとっても同じである。しかし、それでも奴らは同じ土俵に立たない。
人間より遥かに優れた触覚と、聴力を持ってすれば、暗闇で動く人間など、手に取るように分かるのだ。
('A`)「ツー、準備をしといとくれ。俺達も出来る限り入り口付近に誘き寄せて戦うが、万が一という事態もあるからな」
(*゚∀゚)「ニャ!お任せニャ!!」
ドクオは、ツーに何かを頼むとツーは地面に潜り二人から離れていった。
('A`)「さて、俺達はこれからキャンプを張るぞ。出来るだけ高い場所で、歩いて辿り着けない場所が良いんだが……その辺りは君の方が詳しいだろ。 俺は、少しギギネブラという奴を見てこようと思う」
ζ(゚ー゚*ζ「了解でーす、テントの設営は任せてください! それと、これ私のギルドカードです。色々と書いてあるので目を通しておいて下さい」
('A`)「分かった。では三時間後にここでな」
ζ(゚ー゚*ζ「はい!」
- 112 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:51:38 ID:spErNWocO
- 【間幕】
『姫さま、困ります!ギルドに内緒で凍土に赴いただけでも私の首が飛ぶ程の蛮行だというのに……』
o川*゚ー゚)o「別に付いてきて欲しいとは言ってませんわ」
凍土の一番奥、秘境と呼ばれる場所に二つの人影があった。
二人の関係は主従。 勝手に飛び出していった自分の主を追い掛けた従者。
その時は、こんな事になるとは思いもしなかった。
確かに彼女は、束縛されていた。何をするにも、そこに彼女自身の意志は介在しない。
だからこの行動は理解できる。だが納得出来ない。
モンスターが数多く存在する凍土に、狩人の護衛も付けずに、全く戦闘に対して素人の女二人で行くなんて。
この御方の従者になってから、何度腹を括った事か。しかし、それでも付いていこうと思える何かが彼女にはあるのだ。
o川*゚ー゚)o「ごめんね、まさか本当にここまで付いてきてくれるとは思わなかったの」
『……まったく、お転婆な姫様です。もうすぐ食料も尽きます。そろそろ引き返しますからね』
o川*゚ー゚)o「……うん」
- 113 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:52:48 ID:spErNWocO
-
洞窟の中を進んでいくと、何かを引きずるような音が聞こえた。
('A`)「……近いな」
飛竜種独特の気配を感じる。空気が一気に重たくなっていた。
視界が効かない洞窟の中で氷壁を左手で伝い、右手にもった木の棒で地盤を確かめながら奥へと進んでいく。
('A`)「!!」
ドクオは音源から60mのところで足を止めた。
それは絶妙なポジションだった。 実際それより数メートル進めば、この先にいた敵は鋭く侵入者の気配を感じ取り、襲い掛かって来ただろう。
ドクオは背後に納めていた銀の剣を抜き、手にしていた木の棒に軽く擦りつけた。
それだけで燃え上がる木。
これは、以前フルフルと戦った時に試した方法だった。
視覚が衰えた飛竜種は、総じて『温度』と『動き』に敏感だった。
最初から火を付けて歩けば、敏感な飛竜に気付かれる恐れがある。
だからこそ、ぎりぎりのポジションで火を付ける必要があった。
火を点けた瞬間に【毒怪竜】ギギネブラが、こちらを見た。 しかしドクオは焦らず、松明を動かす事なくじっとギギネブラを観察する。
- 114 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:53:16 ID:spErNWocO
-
('A`)(……なんてこった、フルフルの親戚か?)
それ程までに酷似していた。
骨格を感じさせない、軟体の身体。 退化して目。そして何より形。
出来れば鳴き声も聞いてみたいが、流石にそこまで欲張るのも良くない。
ドクオは、静かに松明を地面に置き靴で何度か踏んだ。
それだけで、炎は簡単に消えてしまう。
('A`)「……また来るぜ」
- 115 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:53:44 ID:spErNWocO
-
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん。ギギネブラはどうでしたか?」
デレがキャンプを設営した場所は、ドクオの出した条件に当て嵌まる、氷壁に出来た割れ目を抜けた先にある小さなスペースだった。
確かにここなら大型モンスターは入って来れない。
狩人の基本に則った、場所だ。
('A`)「動きは見れなかったが体付きを見れば大体想像は付いた」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですか。狩りは明日になりそうですか?」
狩人の狩猟は、幾日に渡って行われる。ターゲットの行動を見極め、機を待ち、準備をする。
だからこそキャンプの設営というのは、狩人に取って一番基本のスキルであり、一番重要なスキルである。
('A`)「ツーの仕事の出来によるな。アイツが準備出来ているのなら、明日にでも仕掛けてみよう」
ζ(゚ー゚*ζ「……分かりました。私もこの子の準備をしておきますね」
デレが手にしていた『弓』を撫でながら言う。
- 116 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:54:20 ID:spErNWocO
-
('A`)「それは……見たことない形状の弓だな。どのモンスターの素材を用いた弓なんだ?」
ζ(゚、゚*ζ「……これですかー?」
デレの雰囲気が変わったのをドクオは見逃さなかった。
ζ(゚、゚*ζ「これはフロギィリボルバーと言います。フロギィというのはジャギィによく似た鳥竜種で、毒を撒き散らすモンスターです」
('A`)「……ほぉ」
『そして、私の大好きなお祖母ちゃんを殺したモンスターでもあります』
凍土に風が吹いた。
もう身体は寒風に慣れたと思っていたが、何故か身体は少し震えた。
('A`)「ハンターを志したのは私怨か?」
ドクオの問いに、デレは首を振る。
ζ(゚、゚*ζ「いいえ、お祖母ちゃんが死んだのは私がハンターになった後ですから」
('A`)「少し話してくれないか。君が良ければで良いんだが」
ζ(゚ー゚*ζ「……良いですよ。どこにでもある、つまらない話ですけどね」
- 117 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:55:02 ID:spErNWocO
-
ユクモの源泉に程近い、村の外れ。そこに私の家はあります。
父はユクモ村で鍛冶職人をしていて、母は村一番の食堂を営んでいました。
両親は、初めての子供という事もあり私の事を大変可愛がってくれて 私は、お姫さまの様に育ちました。
そして私が三歳の時、妹が出来ました。いつも泣いてばっかりの困った子で、よく隣の家に住んでいた同い年の男の子に泣かされていました。
そんな妹を、甘やかしたがりな両親は放っておく訳もなく
次第に両親の愛情は、私から妹に移っていきました。 いえ、私に一心に注がれていた愛情が、妹と私に平等に分け与えられるようになったのです。
私は嫉妬しました。
私の様に愛される妹に、我慢が出来ませんでした。
お祖母ちゃんの家に1人で通いだしたのは、その頃からでした。
お祖母ちゃんは、優しかった。本当に優しかったんです。
私が行く日には、必ず大好きなオッタマケーキを作ってくれていて
朝から晩まで、いつも私と一緒に居てくれました。
練る前には、私を膝に抱き子守唄を歌ってくれて 私は、その唄を聞きながらお祖母ちゃんの膝の上で眠るのが大好きでした。
私がハンターになった事を報告しに行った時の、不安と喜びが入り交じったお祖母ちゃんの瞳を、私は今でもそれを忘れる事が出来ません。
- 118 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:55:52 ID:spErNWocO
- ('A`)「………」
ζ(゚ー゚*ζ「……あれは数十年に一度のアプトノス大移動の年でした。 その日、お祖母ちゃんは、孤島まで特産キノコを採りに行ったそうです」
勿論ギルドが侵入を制限しているエリアには入らずですよ、とデレは付け加えた。
ζ(゚、゚*ζ「だから事故だったんです。仕方なかったんです。アプトノスを追っていたフロギィの群れにお祖母ちゃんが出会ってしまったのも」
('A`)「………」
ζ(゚、゚*ζ「お祖母ちゃんが死んだ、という話を聞かされた私は、お祖母ちゃんの亡骸を見に行くより先に孤島に向かいました。
フロギィの毒に犯され、緑色に変色してしまったお祖母ちゃんを見るのも
啄まれてグチャグチャになった、優しいお祖母ちゃんの顔を見るのも なにより―――」
『お祖母ちゃんを殺したフロギィが、生きているという事実が許せなかった』
- 119 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:56:27 ID:spErNWocO
- ('A`)「……なるほどな」
ζ(゚、゚*ζ「これは、そのフロギィとドスフロギィの素材を使った弓なんですよ。 この弓が折れるまで、私の復讐は終わらないのです」
だから私は死ねない。今は、まだ死ねないのだ。
モンスターと生死を賭けて戦う狩人達にとって、因縁というのは常に付き纏う。
仲間や、愛する人を失った者も少なくない。 そして大なり小なり、そういった者は、その想いをモンスターにぶつける。
('A`)「……そうか」
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん、何も言わないんですか?」
('A`)「俺は、そういうハンターを見てきたからな。その心境を乗り越えた者もいれば、そこで腐っちまった奴もいる」
- 120 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:56:56 ID:spErNWocO
-
デレはドクオの言葉に耳を傾けた。 ドクオは、あの狩人の聖地、ドンドルマのハンターだ。
だからこそ、その言葉には重みがある。そして確かな暖かさがあるのだ。
('A`)「お前が、この先どっちに転ぶのかは俺には分からないがな」
俺には、一つ心に決めた事があるんだ。
('A`)「『全ての事には意味がある』 お前が生まれた事には意味があり、狩人になった事にも意味がある。
そしてそれはお前の祖母にも言える事なんだ」
それだけ言うと、ドクオは恥ずかしそうに頬を掻いて横になった。
('A`)「何も保証する物はないが、まだまだお前には時間がある。悩む時間も、戦う時間も。それだけは俺が保証してやる」
背を向けて、寝袋に包まるドクオ。
その姿を見たデレは、同じように横になった。
- 121 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:57:31 ID:spErNWocO
-
(*゚∀゚)「大体二百くらいは集まったニャー!」
次の日、ツーが成果を報告する。
('A`)「一日でそれだけ集めたか。流石だな」
(*゚∀゚)「ニャー、もっと褒めて良いニャ!頭撫でても良いニャ!!」
('A`)「準備は出来たな。デレ、そっちも良いか?」
自らの得物を確認しながら、後ろで調合を行っていたデレに声を掛ける。
ζ(゚ー゚*ζ「はい、私も大丈夫です」
息を大きく吐いて、昂ぶる心を落ち着けた。
飛竜と相対する時は、いつもこうだ。いつまでも慣れない。
慣れてはいけないのだと、狩人の血が教えてくれている。
('A`)「……行くぞ」
- 122 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:58:13 ID:spErNWocO
-
事前の確認を済ませていたため、道順は完璧だった。それに加えて今回は最初から松明を持っている。
急ぎ足で昨日通った道を、駆ける。
('A`)「!!」
ζ(゚ー゚*;ζ「!!」
ドクオとデレの視界の端に捉えた灰色の影。 【毒怪竜】ギギネブラがそこにいた。
洞窟に入ってから結構な距離を走った。陽の光が入る場所で戦うのは厳しい、とドクオは一瞬で判断した。
('A`)「デレ、俺はこのまま突っ込んでいく。 お前はここからサポートを頼む。ツーは戦闘に参加するな。この松明を持って出来る限り走り回るんだ」
ζ(゚ー゚*;ζ「でっ、でもっ!それじゃドクオさんが孤立しちゃいます!!」
余りにドクオ頼みの作戦に、デレは抗議する。
- 123 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 18:58:53 ID:spErNWocO
-
('A`)「俺とお前の武器を勘案した結果の作戦だ。それにツーの持っている松明。あれは俺達の命を繋ぐ綱だ。お前は俺とツーのサポートを同時に行わなければならない」
ζ(゚ー゚*;ζ「でもっ」
(*゚∀゚)「よすのニャー、デレ。それが最適なのニャー」
ζ(゚ー゚*ζ「ツー様……」
ドクオは、デレを安心させるように微笑んだ。
―――大丈夫だ、と
それに
('A`)「……その弓、飾りじゃないんだろ?」
ζ(゚、゚*ζ「………!」
背に携えた双剣を引き抜き、爆発的な加速と共に、ドクオは駆け出す。先程までの駆け足とは比べ物にならないスピード。
遅れてツーも駆け出した。命の綱を口にくわえて。
- 124 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:00:00 ID:spErNWocO
- ギギネブラも、勿論その動きを察知している。
飛竜は、まず吠える。その圧倒的存在感を示す為に。そして、その叫びは人間の許容範囲を大幅に越えている。
人間は、飛竜の声だけで動けなくなるのだ。
狩人と飛竜の戦い、最初に主導権を握るのは飛竜である。これは絶対的な自然の摂理だ。
だが飛竜が狩人の姿を確認し、脊椎から『叫べ』と命令するのに0.5秒。実行するのに2秒。計2.5秒。
それは、飛竜が先に吠えることが出来るという前提の上に成り立っている。
だから
その間に、一撃を加えられれば―――
Gyaaaaaaaaaaaaa
('A`)「よぉ、昨日ぶりだな」
単純な一撃、振り上げて振り下ろす、という単純な動作。
しかし、その一撃は余りにも重い。
口から出かけた、叫びは痛みと共に消えた。
- 125 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:02:27 ID:spErNWocO
- ζ(゚ー゚*;ζ「……早い!! なに、今の……」
ツーも少し遅れてドクオに追い付いた。
(*゚∀゚)「まったく、少しくらいこっちのペースに合わせてくれても良いのにニャー」
ギギネブラも不意の一撃から立ち直り、透かさず自分の感覚を最大限に研ぎ澄まして乱入者の数を確認する。
熱源は二つ。
そう判断したギギネブラは、自分の首を振った。ただそれだけ。
広範囲に及ぶ尻尾の凪ぎ払い。感触はなかった。
('A`)(やはりな。この攻撃は予測済みだ)
ドクオが、昨日確認していたのはギギネブラの身体の構造だ。
余りにフルフルと似通ったその身体から、伸縮性のある首や尾を生かした攻撃は予測の範疇だった。
まず、ドクオは尻尾を狙った。
理由は二つ。まず一つ目は「尻尾は飛竜の死角になる」から。
太刀や大剣、斬撃を繰り出す武器を持つ狩人はまず尻尾を狙う。
しかし、これは視覚の退化したギギネブラには通用しない。
そして二つ目の理由は『一番堅そう』だから。
ギギネブラの最硬の肉質を確認するためだ。
- 126 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:03:15 ID:spErNWocO
-
『キーン』と甲高い音が響く。
('A`)(やはり弾かれるか……)
一度バックステップをして、距離を取る。奇襲が通用するのはここまでだ、と悟ったからだ。
ギギネブラには、目も無ければ耳もない。しかし、確かに嗤った。
『飛竜である我々に人間風情が生意気だ』と。
ドクオは、周囲を確認する。ギギネブラの注意がドクオに向いている今、ツーの危険度はそこまで高くないだろう。
後ろにいるデレは見えないが、機を伺っているに違いない。
もう一度凪ぎ払われた首を、ドクオは身体を回転させて躱した。
瞬間、紫の靄が飛んできた。これが聞いていたギギネブラの猛毒か。
ドクオは落ち着いて、前方に回避行動をする事で、また躱した。
- 127 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:04:26 ID:spErNWocO
-
ζ(゚、゚*;ζ「……凄い、これが伝説に聞くGの実力」
ドクオは止まらない。常に位置を代えて立ち回っていた。
ギギネブラの前方にいたと思えば後方にいる。 左方にいると思えば右方にいた。
そんな蝿の様に動き回るドクオに対して、ギギネブラは全身を使って潰しにいく。
頭を、首を、尾を、毒を使って全力を持って潰しにいく。
飛竜と狩人との戦いは、長い。古来から続く狩る、狩られるの関係。
ギギネブラを構成する遺伝子の一つ一つが、命令するのだ。
『狩人は全力で潰せ』と。
('A`)「のろま、そんな遅い攻撃で俺を捉えられると思うな」
その攻撃を全て躱す狩人に、ギギネブラは苛立つ。
『何故当たらない』『お前より何倍もの大きさを持つ、私の攻撃が』
- 128 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:05:41 ID:spErNWocO
-
だから、ギギネブラは突っ込んだ。その身体を生かし、突っ込んだ。
それこそが、飛竜、牙獣、全ての種、共通の広範囲攻撃だ。
初めて見る行動パターンを、ドクオは注意深く観察する。
('A`)(脇下は……無理だな)
そう判断すると、ドクオは双剣を納刀し、大人しく走った。
飛竜の突進は、その巨体故に絶大な威力を誇るが その重量故に途中で方向を変える事が出来ない。
ギギネブラの思惑は、ドクオの前に又空振りで終わる。
('A`)「さて、そろそろ良いか。もう覚えた」
この一言が合図。狩人から飛竜に対する宣戦布告。
まず、ドクオは一番厄介なギギネブラの声帯を潰そうと決める。
重要なのはタイミング。
- 129 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:07:38 ID:spErNWocO
- ドクオはギギネブラの左後方に立つ。あえて攻撃はしない。ここに立った時、必ずギギネブラは尾を振り回して攻撃してくるからだ。
そして、それは狙い通りやってきた。 それに加えてもう一つ。ギギネブラは首、または尻尾を凪ぎ払う時、必ず左右両方に二回振るうのだ。
そこがポイント。
左から右に切り替わるタイミング。そこで、ドクオは金の剣を突き出した。
遠心力の付いていない左右の切り返しのタイミング。そこを狙う。
('A`)「その堅い皮膚、裏側まで堅いのかな?」
そしてその思惑は見事に的中する。
金色の剣で、尾を抑えられたギギネブラは歯噛みする。
ギギネブラの裏側が均等に柔らかいと気が付いたドクオは、そのまま腹裏に潜り込む。
尾から頭へ。するするとギギネブラの巨大な体躯を伝うように。
目指すはただ一点。全ての飛竜が持つ生体武器。喉だ。
激痛。
ギギネブラ自身、視認する事は出来ないが自分の喉に何かが突き刺されたというのは直ぐに分かった。
これで、咆哮は潰された。
- 130 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:08:42 ID:spErNWocO
- (;*゚∀゚)「なんというめちゃくちゃな戦い方だニャー。たった一撃で、あの厄介な咆哮を潰しちゃったニャー」
すぐさま、ステップを踏み前進するドクオ。狙いは脚部。
先程までの戦闘で、一番の安地がそこにあると見抜いたのだ。
凄まじい勢いで振り回される金銀の双剣。
着実にダメージを蓄積させていく。
('A`)「腹も柔らかいんだな」
切り払い、切り返し、突き、袈裟切り、様々な振りを組み合わせて繰り出されるドクオの斬撃。
傍から見れば、ただただ踊っているように見える。
これに息を呑んだのは、後ろで戦闘を見ていたデレだった。
ζ(゚、゚*;ζ「なんなの……あの動き。普通じゃないよ」
ギギネブラは、余りの痛みに堪らず飛び上がる。
飛ぶ、という能力がもたらす優位性は計り知れない。飛べる、というのは自分のタイミングで戦闘を仕掛ける事が出来るという事だ。 そして、自分のタイミングで戦闘を切り上げる事が出来る。
制空権は、飛竜にある。
ギギネブラは、その事実に安堵した。
―――しかし
- 131 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:09:38 ID:spErNWocO
-
('A`)「デレ、今だっ!!」
次の瞬間降り注いだ雨。それは、痛みを伴ってギギネブラに降り注いだ。
ζ(゚ー゚*ζ「空は任せて下さいっ!」
なんという事だ、もう1つ自分に脅威が迫っていたのか。
ギギネブラは、突き刺さった矢を身体を捻る事によって抜き出した。
そしてそのまま
('A`)「危ないぞっ!」
ζ(゚ー゚*;ζ「くっ……」
緊急回避で、辛うじて躱したデレ。
急に目の前に現れた飛竜。デレは息を呑む。何度か飛竜を狩りに行ったことはある。しかし、いきなり目の前に現れるというのは初めての経験だった。
思考がまとまらない。離れるか、反撃するか、迷ってしまった。
一瞬の間。自分の前を死神が通り過ぎたような気がした。
ギギネブラの毒線が怪しく光る。放出されるギギネブラの毒ガスに目の前が暗くなる。
- 132 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:10:13 ID:spErNWocO
-
(#*゚∀゚)「ニャアアアァァアアア!!!!!」
ζ(゚、゚*;ζ「!!」
身体が動いた。ツーに頭を小突かれて、反射的に動いたのだ。
ζ(゚ー゚*;ζ「ハァ……ハァ……。ありがとうございます、ツー様」
(*゚∀゚)「ニャー」
油断していた。ドクオの圧倒的な力量を見て、完全に気を抜いていた。
深呼吸して息を整える。追撃してこようとしたギギネブラは、ドクオによって抑えられていた。
出来る、やれる、私は勝てる、負けない、負けちゃいけない。
ζ(゚、゚*ζ「………」
毒ビンから用意していた毒矢を一気に十本取り出す。矢を地面に叩きつけ、もう一度息を吸う。全開まで吸ったところで、それを体内に留めた。
矢をつがえて、放つ。この間0.5秒。それを繰り返す。
的確に弱点の腹裏にそれを射る。
- 133 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:10:47 ID:spErNWocO
- ('A`)(……へー)
自分の脇を通して飛んでいく矢を見て、ドクオは唸った。
誤射を恐れぬ度胸と、正確性、そしてその連射速度。目を見張るものがある。
十本を射ち切ったところで、ギギネブラに変化が現れる。
('A`)「色が変わった」
そして変化は肉質にも現れる。 今まで平然と斬れていた頭が、堅くなった。
ドクオは、また距離を取る。色だけでなく肉質も変わるとなれば、もう一度様子をみた方が無難だろう。
それに呼応するように、ギギネブラも氷壁に張りついた。
('A`)(……なにかヤバいのが来るな)
ギギネブラは、氷壁に張りついたまま毒ガスを吐いてきた。
一度ではなく、三度。
('A`)「避けろ!」
だが、数は増えようと速度は速くない。 二人と一匹は難なくそれを躱す。
しかし、ギギネブラの狙いはそこに非ず。
(;*゚∀゚)「ニャー!?」
狙いは一番反応の小さいツー。奇しくも、飛竜の本能が、ドクオ達の一番のウィークポイントを突く形となった。
- 134 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:11:09 ID:spErNWocO
-
直後、明かりが消えた。
命の綱が掻き消えたのだ。
- 135 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:11:38 ID:spErNWocO
- 【間幕】
o川*゚ー゚)o「あれは……モンスター」
『なっ、なんですって!?姫様、お下がりください。危険です!』
o川*゚ー゚)o「いえ、どうやら狩人様と戦っているようです」
『……本当ですね』
辺りが一瞬暗くなった。どうしたのかは分からなかったか、それがハンターにとって良い事ではないとは、分かった。
『……姫様、どうするおつもりですか?』
姫様、と呼ばれた少女は首を振る。
o川*゚ー゚)o「……私はただ、歌うだけです」
- 136 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:12:36 ID:spErNWocO
-
松明が消えた。真っ暗になった洞窟の中で、デレの心に不安が過る。 闇に紛れ姿を消したギギネブラ。
非常に不味い状況だった。ギギネブラの本質は、暗闇でこそ発揮される。
ギギネブラも相当弱っている様だが、退くしかない。悔しいが、仕方がない。
('A`)「ツー、“あれ”の出番だぞ!」
(*゚∀゚)「ニャー!」
ツーは、自分の秘密のポーチをひっくり返し、中に入っているそれを排出する。
瞬間、洞窟は柔らかな光に包まれた。
ζ(゚、゚*ζ「これは……雷光虫」
ドクオがツーに準備させていたのは、これだった。
温かく発光する雷光虫の灯りで、ギギネブラの姿は丸見えとなる。
('A`)「そろそろ終わらせるぞ、デレ!」
ζ(゚ー゚*ζ「はいっ!」
- 137 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:13:18 ID:spErNWocO
-
ドクオが切り込む、腹部を重点的に万遍なく斬る。ドクオは先程までの戦闘では弱点である腹部を狙う事は極力しなかった。
弱点を的確に狙うデレの邪魔になってはいけないと思ったからだ。
だが、デレの力量を知った今、その遠慮は不要だった。 ただひたすらに斬り結ぶ。
後ろから飛来する矢は、ドクオの身体の隙間を縫ってギギネブラに突き刺さる。
そして、今まで戦闘に参加せず歯痒い想いをしていたツーも全力で剣斧を振るう事が出来るようになったのだ。
ドクオの背中を後ろから見ていたデレは、自分の胸の高鳴りを聞いた。
自分の実力以上の力が出せる。
あの背中に追い付きたい、そう思った。
不意に、お祖母ちゃんが歌ってくれた子守唄が聞こえてきた。
『生命は生まれ、生命は尽きる』
『生命は芽生え、生命は枯れる』
懐かしい歌。お祖母ちゃんが歌ってくれた【英雄の詩】。
- 138 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:13:55 ID:spErNWocO
- 『陽は昇り、陽は沈む』
『潮は満ち、潮は引く』
ζ(゚、゚*ζ「生きるという事が、死ぬという事 死ぬという事が、生きるという事」
弓を上に構え、そして放つ。数十本の矢を同時に空中に射出し、その全てが大きな放物線を描き吸い込まれる。
『曲射』 抜群の空間把握能力と、充分な筋力を持つ弓使いにしか扱えぬ技。
ζ(゚、゚*ζ「死の意味を知り、生の意味を知る」
『喰うモノ、喰われるモノ』
『火と水、空と大地』
(*゚∀゚)「世界の広がりは、己の意志の中に 全てに意味があり、全てに意味はない」
- 139 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:14:36 ID:spErNWocO
-
再びドクオを包む赤い発光。ドクオの目が輝きだす。これが双剣使いの本質。己の命を消費し繰り出す必殺の技。
('A`)「世界は巡り、世界に還る」
それは舞。乱れ舞う、一陣の風。
―――鬼人乱舞
- 140 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:14:56 ID:spErNWocO
-
【間幕】
o川*ーーー)o『―――全てに宿る、大いなる意志へ』
一人の少女が歌っていた。雷光虫の光が優しく照らす銀盤のステージで、少女はただ歌っていた。
- 141 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:15:41 ID:spErNWocO
-
('A`)「ふう、剥ぎ取りっつーのは、どのモンスターでも面倒だな」
(*゚∀゚)「ニャー、オレっちも少し持って帰るニャー!」
狩り終えたギギネブラからある程度自分に必要な分の素材を剥ぎ取る。
残りの素材は、ギルドに連絡して荷台にて持ちかえる手筈だ。
('A`)「ほら、君の分だ」
ドクオの手に握られていたのは、プロの解体屋も真っ青な程丁寧に剥ぎ取られたギギネブラの皮と毒袋だった。
('A`)「これで新しい弓を作るのも良い。そのまま売って金にするのも良いだろう。 これは、君の報酬だ。受け取ってくれ」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、私……」
('A`)「大丈夫、保証するよ。君は腕利きの弓使いだ。誇りを持っていい。 だから強い心を持て。君が今、ここにいる事には“意味”があるんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「……はい」
洞窟には、未だに暖かな光りを放つ雷光虫がフワフワと浮かんでいた。
- 142 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:17:37 ID:spErNWocO
-
('A`)「!!」
ピリピリと頬を刺激する風が横切った。
('A`)「……今のは」
それを見上げると、東の方に大きな積乱雲見える。
('A`)「嵐が来るな……」
先ほどまで、たゆたゆと浮かんでいた雷光虫は消えていた。
今の風に、巻き込まれたのだと分かった。
- 143 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:18:27 ID:spErNWocO
-
『アイツが……アイツが現れたんでさぁ!!!』
/ ,' 3「なんじゃい、騒がしいのぉ」
『奴が……【雷狼竜】の野郎が現れやした!!!!』
/ ,' 3「!!」
Quest:2 毒怪竜を追え
Quest Clear
To be Continue……
- 144 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 19:31:41 ID:spErNWocO
- これで、('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです(修正版)の投下を終わります。
今回修正した点を、説明させていただくと
・『カーグァ』を『ガーグァ』に修正
・『ジャギノス』の性別を修正
・『腕相撲』における描写を修正
・『ギギネブラ』の致命的な設定ミスを修正、またそれに伴う描写の修正
・誤字脱字を出来るだけ修正
以上です。
これからは、一度第三者に先に見せて推敲してから投下する事にします。またこれらの修正点は、すべて投下していたスレ内で指摘していただいた物です。
その指摘があって、スムーズに修正する事が出来ました。この場をお借りして、お礼申し上げます。
また、まとめの皆様には本当にご迷惑をおかけしました。お詫びとお礼申し上げます。
質問などあれば、随時受け付けます。この点に関して非難所は非常に優秀ですね。
では、またお会いする日を楽しみにしています。
- 145 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 20:30:48 ID:XDHeQ51o0
- 乙!
設定がしっかりしてて面白かった
- 146 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 22:08:43 ID:7jJFM3KQO
- 乙
- 147 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 23:03:31 ID:xKsiLeCUO
- VIPで見てたので流し読みのつもりだったけど
結局全文読んでしまった
文章が読んでて疲れない、文章上手い
久しぶりの投下だと言ってあったけど
差し支えなければ前の投下のタイトルは?
- 148 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 23:26:42 ID:spErNWocO
- >>147 今まで書いたものは、一応伏せさせてもらいます。深い理由は無いのですが、自分の中では悶えてしまう程の黒歴史なので。
vipのスレでも答えたように、バトル物は初めてで試行錯誤しながら書いています。
戦闘描写は、某作品に影響を受けている部分が多いと思いますね。
簡潔で想像力を掻き立てられるように書ければ良いな、と常々思い書いています。
- 149 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/17(木) 23:41:36 ID:xKsiLeCUO
- >>148
147です、了解です
(でも気が変わったらカミングアウトよろ)
- 150 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/18(金) 12:09:46 ID:x0Oq412c0
- 次スレの予定があればおねがい
- 151 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/18(金) 14:30:35 ID:QBFc2ud.O
- >>150 次回の投下は、このスレッドの冒頭に書きましたが四月に入ってからにしようかな、と思います。
出来れば避難所に投下するのも、もう少し時間を空けたかったのですが、まとめ様に迷惑が掛かると判断し投下しました。
大体一話を書くのに三日なので、多ければ三話くらい書き溜めれれば良いかな、と考えています。
- 152 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/18(金) 21:30:00 ID:x0Oq412c0
- おk
VIPに投下するときにここにアドレス貼り付けてもらえると助かる
- 153 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/19(土) 12:51:10 ID:eLpcSOiUO
- あれ
- 154 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/19(土) 12:53:44 ID:eLpcSOiUO
- >>152 了解しました。vipのスレッドにも避難所のURLを書くようにします。
今vipに書き込みをしたところ、規制食らってました。
もしかしたら代理投稿やPCからの書き込みに替えるかもしれません。
- 155 :>>1:2011/03/25(金) 10:47:08 ID:1KwZP5wYO
- 書き溜めの状況報告です。只今三話を書き終えました。
三話は三部構成となっておりますが、そこまで二話と文量は変わらないのではないかと。
また余り時間が取れなかった為、五話までの書き溜めは厳しいな、と思います。
投下はvipに、4月頭にでも出来れば良いかな。
またモンハンの世界観が分からない人の為に、モンスターの画像を貼っておこう、と思います。
文章で想像出来るようにするのが一番なのですが、かなり厳しいです。
- 156 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/25(金) 12:42:31 ID:ygJg.WRM0
- モンハンやったことないが雰囲気で伝わるから俺はなくてもかまわんがなぁ
- 157 :>>156:2011/03/25(金) 13:34:50 ID:1KwZP5wYO
- そうですね。自分としても余り画像などに頼りたく無いのですが。
やはり元ネタを知らない人は、想像しづらい人もいるのではないかと思ってしまいます。
この件については、今度vipに立てるスレで聞いてみようと思います。それからでも遅くはないかな。
- 158 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 00:09:54 ID:MhpMhpOU0
- 凄くMHPな気がしたので来ました
- 159 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 22:20:05 ID:GjTGHSus0
- 楽しみにしています
- 160 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/28(月) 05:40:01 ID:6WZSMi0sO
- >>1です。四月頭に投下すると言っていた三話ですが。今日、明日中に投下する事になるかもしれせん。
理由として、四月に時間が取れるかどうかが極めて不透明になってしまったからです。
宣言しておいて、日にちを替えるのは恐縮ですが、ご容赦下さい。
- 161 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/28(月) 12:13:24 ID:IWps5hrM0
- 投下してくれるだけでもありがたい
SSは完結せずに放置って流れが多いからね
- 162 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/28(月) 23:43:45 ID:6b.KmIlg0
- http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1301322880/
vipで投下を始めます。
- 163 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 01:37:40 ID:GkD/7Z4s0
- すいません、バイ猿を食らってしまいました。もうすぐ投下も終わりなんですが
もし、今この書き込みを見ている人がいれば>>162のスレッドでその旨を報告していただけないでしょうか、よろしくお願いします。
- 164 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:18:44 ID:GkD/7Z4s0
- ではではのんびり('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 3話(改訂版)の投下を始めたいと思います。
内容はほとんど変わっていませんが、訂正と書き忘れていた3−?を挿入しつつ
テンプレに少し追記を加えていこうと思います。
- 165 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:21:33 ID:GkD/7Z4s0
-
※注意
・元ネタ有り
・モンスターや装備についての独自解釈満載
・登場人物をAAに無理矢理変更している場合があります
まとめ
即席ブーン様 http://eksr.blog115.fc2.com/blog-category-20.html
フェレット速報様 http://xn--hckwcp3c2c5ce5k.com/
かぎまとめ様 http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-2217.html
避難所 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1300286882/
※漏れがある可能性小
- 166 :登場人物:2011/03/29(火) 16:22:17 ID:GkD/7Z4s0
- 【ハンター】
●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6
所属猟団:無所属
使用武器:???(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村へと帰還中
●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:???】
HR:5
所属猟団:荒鷲団
使用武器:???(大剣)
防具:???シリーズ
現在地:???
●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーV(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村へと帰還中
- 167 :オトモ:2011/03/29(火) 16:24:00 ID:GkD/7Z4s0
- ●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村へと帰還中
- 168 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:24:55 ID:GkD/7Z4s0
-
信頼というのは、実に厄介な物である。 目には見えず、人に確かめることも出来ない そしてなにより、それは狩りに絶対に必要な物なのだから。
―――ナイトリーダー 騎士長フォックス―――
- 169 :3−1:2011/03/29(火) 16:26:12 ID:GkD/7Z4s0
-
帰り道、いきなりの雨。ギギネブラの狩猟を終え、一日が経った。ユクモから凍土までは丸二日かかるのだが、ドクオ達はかなりゆったりとしたペースでその道を進んでいた。
というのもオトモであるツーが、大気の震えを感じてなかなか進みたがらないのだ。
そう言うツーに、ドクオは特に何も言わず歩幅を合わせて歩いていた。 デレは、そんなドクオとツーの少し後ろを歩いている。
これは特に位置取りを気にしての事ではなく、ただ単にデレがドクオに遠慮してしまっているからだ。
空には分厚い雲が現れ、昼間だというのに辺りは薄暗い。
といっても、時刻は午後三時。明かりが全く灯っていないこの辺りでは、安全を確保する為に、移動出来るのは精々午後六時まで。
ζ(゚ー゚*ζ(ギルドに着くのは明日になっちゃうなー)
特に急を要する案件もないし、寧ろ私に今課せられた依頼はドクオさんの監視だ。 私だけ先に帰るわけにもいかない。
しかし、帰ったらどうギルドに報告をすれば良いのだろうか。
あの驚くべき動き、経験に裏付けされた的確な判断。 今ならば最初に見た時、頼りないと思ったあの細い身体の意味も分かる。
彼の最大の武器であるスピードを生かす為の、あの身体なのだ。
不必要な部分を極限まで削り取った完成形が、彼なのだ。
このデレの予想は、半分当たっている。ドクオは、自分の武器である瞬発力を生かすのに必要のない筋肉は鍛えず、狩りに必要な部分のみを鍛え上げていた。
- 170 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:27:51 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「―――♪」
ζ(゚、゚*ζ「………」
今も鼻歌を歌いながら、ツー様から借りたブーメランを投げて、見事に兎に命中させている。
ドクオさんと狩りに出て五日。 一度も食料を採集しに行っていない。勝手にドクオさんが、野兎やら猪やらを狩ってしまうのだ。
ギルドから配給されている携帯食料にも、まだ手を付けていない。
ドクオが、「ギルドの携帯食料は保存が効くので、本当に必要な時に食べれば良い」と言うからだ。
('A`)「……そういえば、君」
ζ(゚ー゚*;ζ「はっ、はいっ!」
いきなり、ドクオさんに呼ばれて声が裏返ってしまった。 ドクオさんについて考えていた所で本人に声を掛けられたからだ。
('A`)「ユクモ特有の飛竜は何種くらいいるんだ?この辺りには轟竜や迅竜も生息していると聞いたことがあるが」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですね。ティガレックスやナルガクルガも居ますよ。他にユクモ村特有の飛竜種となるとベリオロスや先日狩ったギギネブラなどですね」
牙獣種や、鳥竜種は地方によってかなり多種多様な種類がいるが、飛竜はあまり多くの種類は存在しない。まず器がちがうからだ。前者は、歩行移動のため余り遠くには行けないが
飛竜は飛行移動するのでかなり広範囲の縄張りを持っている。だからこそ牙獣種などの生存競争はその地方でのみ行われるが、飛竜は文字通りこの世界すべててで行われている。
- 171 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:28:39 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「成る程な。基本的にドンドルマとほとんど変らないわけだ。ここまできて迅竜や轟竜の顔は見たくなかったが、仕方ないな」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、ユクモ独特のモンスターはまだ沢山いますし、それにこの地方独特の行動とかもあるみたいですよ。 私はユクモのモンスターしか見たことがありませんが」
('A`)「……そうか」
それを聞いたドクオさんの顔は、どこか嬉しそうでした。やはり狩人の血が騒ぐのでしょう。見たことの無い土地、見たことの無いモンスター。私はまだその境地に達することが出来ません。
飛竜と戦うのは、やはりいつも怖い。傷つくのも怖いし、死ぬのも絶対に嫌だ。でもやめられない。こんな中途半端な気持ちでこの先やっていけるのだろうか、と不安になることは間々あった。
ζ(゚ー゚*ζ「最近では“疾風緑迅”や“黒虎轟竜”と呼ばれているモンスターもいるそうです。本当かどうかは知りませんが。
ユクモでは亜種と呼ばれる存在なんてほとんど確認していませんでしたから」
('A`)「亜種か」
ζ(゚ー゚*ζ「亜種なんて、本当にいるんでしょうか……」
('A`)「亜種は確かにいる。ドンドルマで幾つか見たことがある。亜種とういよりもアレは別の進化をした何かだな。 肉質も弱点も、何もかもが違う。ただ形が似ているだけだ。
名を挙げようと何人もの狩人が挑んだが、凡そ返り討ちにあっていたよ」
でも、とドクオさんは少し間を置いて言った。
('A`)「俺達狩人は矛だ。ギルドの人達に危害が及ぶとなればそれを放って置くわけにはいかない。狩れと言われれば狩る。
というか、俺達は狩る事しか出来ない」
これが完成された狩人の姿、心持なんだな、と感じた。狩人に志願した以上、少しでも上を目指す。その姿勢はユクモの狩人だけのものではないんだ。
- 172 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:29:08 ID:GkD/7Z4s0
- (*゚∀゚)「それに最後までオトモするのがオレっち達の役目にゃんだニャー」
さっきからずっとピリピリしていたツー様が、多少和らげながら言った。
ツー様はなかなか、いや結構、ううんかなりドクオさんに懐いていた。
(*-∀-)「楽チンだニャー」
('A`)「……」
長年付き従った主人とオトモのように、なんの違和感も無く、暖かな空気も醸し出している。
('A`)「そういえば、君の妹さんはどうしてる?」
ζ(゚ー゚*ζ「デレで良いですよ、ドクオさん。私の妹も狩人をしています。一昨日話した幼馴染の男の子と一緒によく狩りに出かけてます」
('A`)「そうか、妹もデレと同じような気持ちで狩人になったのか?」
いいえ、と私は首を振った。
ζ(゚ー゚*ζ「ツンは私と違って強い子ですから、お祖母ちゃんのため、というよりは皆のためですね」
それもなかなか難儀だな、とドクオさんは答えるというより呟くように言って黙った。
ζ(゚ー゚*ζ「まだまだ新米なので、今は村のためというより幼馴染の男の子と一緒にいるため、という感じですね!」
- 173 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:29:34 ID:GkD/7Z4s0
- 幼馴染、その言葉を聞いてドクオに懐かしい記憶が甦った。
自分にも確かにあった新米の頃。どの道を歩くのもビクビクしていた。モンスターを見れば最初に感じるのは恐怖。
あの時の自分は理由など無くただ“アイツ”に言われるがまま狩人をしていた。
川 ゚ -゚)『おい、ドクオ。どうして私の言ってることが出来ないのだ』
(;'A`)『おいおい……そんな事言われたって……』
川 ゚ -゚)『グイーンと引っ張って、バーってブチ破って、突き刺すんだ』
('A`)『はぁ、その理論を本当に自分のものにしちまってる所がクーの凄いところだよ』
川 ゚ -゚)『なんだと!?私は凄いのか……』
('A`)『あー、凄い凄い。だから俺には弓なんて使えないって。俺は近距離、クーが遠距離から弓で援護。
それが一番相性のいい形だよ』
川 ゚ -゚)『むぅ……しかし』
('A`)「俺はクーだからこそ、馬鹿みたいに突っ込んでいけるんだよ。だから今のままで良い」
川 ゚ -゚)『……なにか巧くのせられた気がするぞ』
- 174 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:29:55 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん?」
('A`)「あぁ、すまない。少し昔を思い出してた」
二人の会話を黙って聞いていたオトモがここぞとばかりに口を挟む。
(*゚∀゚)「ニャー!ドクオの昔の話気ににゃるニャー!」
デレやツーにとって、このユクモが全てなのだ。世界は確かに広けれども、二人はユクモ以外の世界を知らない。
外に興味を示すのも当然だった。目を輝かせる二人。
('A`)「うーん、大してここと変わらないぞ。ただ狩人の絶対数は確実にドンドルマの方が多かったな。
それに加えて、狩人のレベルは凄く高かった。中でもG級の狩人は一線を画していたな。なんというかモンスターより化け物じみた奴らがいた」
(*゚∀゚)「流石は狩人の聖地だニャー」
- 175 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:30:28 ID:GkD/7Z4s0
- ζ(゚ー゚*ζ「G級というのは噂で聞いたことがありますが、先日のドクオさんを見て納得しました」
('A`)「……俺なんか大したものじゃない。ティガレックスの突進を素手で受け止めるような奴もいたからな」
ドクオの呟きに言葉を失う二人。あまりに異常。圧倒的身体能力とヒトの何十倍の体躯を誇る飛竜の、そのなかでも最凶のティガレックスの
突進を素手で受け止めるなんて。
その発想自体が正気の沙汰ではない。
『広い視野と大きな度量を持つこと』
それも狩人にとっては大事なことだと、ドクオはそこで区切って話を終えた。
時刻は夕方になる頃、そろそろ歩くのをやめキャンプを設営しようかという時間になっていた。
- 176 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:31:55 ID:GkD/7Z4s0
- 雷狼竜の存在、それをユクモギルドが確認したのは六百年ほど前のことだ。切っ掛けは突然の雷光虫の消失。
雷光虫は、人の生活に密接に関係する重要な虫だ。夜を照らす街灯だったり、狩人を安全に狩場に案内する道標でもある。
そんな雷光虫が一気に取れなくなった事を深刻に見たユクモ村の村長が、ギルドに調査を依頼したのが始まりだ。
雇われたのは四人の狩人、全員HR3の狩りに慣れた者達であった。
ギルドも調査だけなら簡単に済むだろうと、事態を軽んじていたのだ。
結果、四人が渓流の中で発見された。無事ではなかったが。ヒトは脳や脊髄から発せられる微弱な生体電気の命令を受け行動する。
帰ってきた四人はその生体電気を完全に狂わされていたのである。自分の意思で行動することが出来なくなっていたのだ。
これに驚いたのはギルドだ。今までこんな事は一度も無かった。クエストで死ぬ人間はいたが、このような事態は初めてだった。
すぐに浮き彫りになった新種の存在。
/ ,' 3「今後、このモンスターの撃退が終わるまで、一切の渓流への狩りを禁ずる」
ギルドマスターの判断は的確だった。この後送り出されたHR6、つまりギルドを背負う凄腕の狩人たち四人によって行われた撃退戦で
一人が死亡、もう一人が再起不能となったからだ。
これを新米狩人達が行ったならば、もっと悲惨な結果になっていただろう。
その後、新種の撃退が確認されギルドはこのモンスターを【雷狼竜】と命名した。
曰く、無双の狩人
曰く、雷雲を司る者
曰く、ユクモの守り神
この事があって、ユクモ村は【雷狼竜】を奉る事にした。被害を受けた六人の偉大な狩人を偲び、いつかその領域に届くようにと。
- 177 :3−2:2011/03/29(火) 16:32:44 ID:GkD/7Z4s0
-
ζ(゚ー゚*ζ「そういえば、ユクモにはクルペッコという変わったモンスターがいるんですよ」
('A`)「ほー、そいつもドンドルマにはいなかったな」
最初は妙に遠慮していたが、一度話し出すととまらなかった。ギギネブラと相対しているときに見たドクオさんの背中は、随分と小さく見えた。
だからこそ、話しやすかった。
キャンプの準備をしながらも、デレはドクオに話しかけていた。
Gyaaaaaaaaa
ζ(゚ー゚*ζ「そうそう、ちょうどこんな感じの鳴き声で……!?」
(*゚∀゚)「!! なにかいるニャ!」
('A`)「……ツー、どんな奴か確認してきてくれ。恐らく先ほどの咆哮からして南南西に少し行った所だろう」
いきなり空気が張り詰めた。モンスターの咆哮、それが明らかに戦闘中に出す物だったからだ。
ツー様が地中に潜り、ドクオさんに言われた方向へ静々と向かっていった。
- 178 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:33:40 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「デレ、準備をしておけよ。これは緊急クエストになるかもしれない」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
背負っていた弓を再び取り出す。弦は外しておいた。それを末弭と本弭に結びつけた。数秒とかからない。
弓使いである自分が、一番最初にいつも行う作業である。
だからこそ、そのスピードは一瞬だった。
('A`)「……どんなやつだと思う?」
ζ(゚ー゚*ζ「……凍土からはかなり離れました。一番ここから近い狩場というと渓流ですから、もしかしたらそこからここまで戦いながら移動して来たのかもしれませんね」
渓流、嫌でもあのモンスターの顔が浮かぶ。あの奇妙な踊り、そして厄介な声真似。
先ほど、自分がドクオさんに言おうとしたあのモンスター。
('A`)「ビンの予備は十分か?」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫です!ギギネブラとの戦闘ではほとんど消費しませんでしたから」
というより、ドクオさんに見惚れていてビンを使うのを忘れていた。
地中が盛り上がり、そこからアイルーが飛び出してくる。
('A`)「ツー、どうだった?」
(*゚∀゚)「分かったのニャ!さっきの鳴き声は【彩鳥】クルペッコだニャ!戦ってるのは二人、ブーンとツンだニャ」
- 179 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:34:39 ID:GkD/7Z4s0
- ζ(゚ー゚*;ζ「本当ですか!?」
余りに馴染み深い名前に耳を疑う。ツンがもうクルペッコの狩猟を行っているのか。
(*゚∀゚)「多分採集に来て鉢合わせてしまったんだろうニャー」
ζ(゚、゚*;ζ「早く応援に向かわないと……」
('A`)「落ち着け、デレの顔見知りとはいえいきなり乱入していくのは不味くないのか?」
以前記した通り、狩人とは誇り高い生き物なのだ。例え自身が危機に瀕していようと、他人からの助けを拒むことは
往々にしてよくあった。
考える、ツンの性格を。あのプライドの高い気性。人当たりのきついところを考えると確かに良い顔をしないかもしれない。
ζ(゚、゚*ζ「……でも」
('A`)「とりあえず様子を見る、行くぞ」
考えても、考えても、どちらが正解なのかは分からない。
そして、その正解を導き出すまでの時間は、私達には無かったのだ。
- 180 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:35:05 ID:GkD/7Z4s0
-
どうしてこんな事になったのか。隣の家のお婆ちゃんが風邪を引いて大変だったから『ケルビの角』を採ってこようと思いついたのが始まりだった。
いつものように幼馴染のツンを誘って渓流まで採集に向かった。
狩猟環境不安定とは受注欄に書いてあったが、ケルビは比較的低地に生息しているので問題ないだろうと判断した。
ミセリ姉さんだって大丈夫だと言っていたし、HR1の自分でも採集クエストは単独で受注できるのに。
(;^ω^)(なんでこんな奴と合っちゃうんだお)
目的のエリアに着くと、思いのほかケルビが多くいたため剥ぎ取りに時間がかかってしまった。
ケルビの角は貴重だ、なにより頭数が少ないのでハンマーで軽く殴りつけ気絶させている間に角を折った。
こうする事によって、ケルビを殺さずに角だけを剥ぎ取ることが出来るのだ。
ツンはボクが気絶させたケルビから、角を剥ぎ取ってくれていた。
そうすることにボク達二人は夢中だった。
だから気が付かなかった。背後から近づく【彩鳥】の存在に。
最初はクルペッコも水を飲みに来ていただけだったのだろう。だからこそ、モンスター独特の威圧感を感じ取ることが出来なかった。
そこで気が付いていれば、ボクがツンを止めていれば、クルペッコは悠々と水を飲み去っていたのだろう。
しかし、あそこで通常弾Lv1を撃ったツンを責める事は、ボクには出来なかった。
- 181 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:36:38 ID:GkD/7Z4s0
- 途端に空気が重くなったのを覚えている。クルペッコがこちらに気が付いたのだ。
クルペッコが両翼を広げた。大きい、先ほどまでドスジャギィ程度の大きさかと思っていたのに。
息を呑んだ。それは隣にいたツンも同じだったようだ。
クルペッコが翼先に付いている火打石を叩き合わせる。この時、自分が動けたのは運が良かっただけだ。
ツンを守らなくては、その気持ちが自分を動かしてくれた。
(;^ω^)「逃げるお!!!!」
未だに動かないツンの手を乱暴に握り一気に駆け出す。もうどこに向かって走っているのかも
分からなかった。ただ逃げたい、このモンスターからツンを守りたいという一心だった。
気が付けばギルドが指定する狩場を大きく逸れた場所まで来てしまっていた。
(;^ω^)「ハァハァ……」
ξ;--)ξ「……」
( ^ω^)「ツン、大丈夫かお?」
ξ;--)ξ「ハァ……大丈夫な訳ないでしょ!なんであんなところにクルペッコがいるのよ!」
(;^ω^)「ボクにもわかんないお」
クルペッコはギルドが指定するHR昇級クエストの対象となるモンスターだ。また、そのモンスターの特性ゆえにギルドが厳しく管理しているはずだった。
それが何故ギルドの監視の網を抜けて、あんなベースキャンプに近いところまで降りてきていたのか。
しかし、今はそんなことよりも近づいてくる羽ばたき音をどうにかしなければ。
- 182 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:37:06 ID:GkD/7Z4s0
- ( ^ω^)「もうこうなってしまったら仕方ないお。ボク達で奴を撃退するしかないんだお」
ξ;゚听)ξ「撃退って言ったってどうすれば良いのよ!? 私とアンタはHR1、新米もいいところ!それに私は採集だって思ってたから弾も通常弾Lv1くらいしか持ってないわよ!」
わかってるお、と怒鳴りたいのを辛うじて抑えた。
誰かの責任にするのは簡単だ。しかしそれを他人に押し付けたところで、だれも助けてはくれないのだ。
それならば今出来ることをやるのみ、だ。
( ^ω^)(ツンは、僕が護るお)
舞い降りる一匹の鳥に目を向ける。クルペッコの狩猟を受けられるのはHR2から。まだ狩人になったばかりの自分には大きすぎる敵だ。
でも今、ツンを護れるのは自分だけだ。
そう思うと身体の奥底から力が湧いてきた。
ξ゚听)ξ「……ブーン」
( ^ω^)「……ツンは下がってるお。僕がやるお」
ξ゚听)ξ「でも……」
何か言いたそうなツンに背を向けた。
それは拒絶だった。
- 183 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:38:30 ID:GkD/7Z4s0
-
('A`)「……あれが幼馴染みの男の子か」
ζ(゚ー゚*ζ「えぇ」
なるほどな、と言ってドクオさんは握っていた双剣を背に戻した。
ζ(゚ー゚*;ζ「応援に、向かわないんですか!?」
('A`)「……あぁ。万が一の為に準備はしておくがな」
ζ(゚、゚*ζ「……私は」
手に持っていた弓を、ギュッと握り締めた。折ってしまいそうな力で。
('A`)「心配するな……と言っても無理な話か」
ζ(゚、゚*ζ「すいませんが……」
うーん、と頬を掻いて少し恥ずかしそうにドクオは言った。
('A`)「なんというか凄く不確かな物になるんだがな」
『こんな時の男は絶対に負けない』
ζ(゚ー゚*ζ「………」
('A`)「女性には、多少分かりずらいかもしれないがな」
- 184 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:38:56 ID:GkD/7Z4s0
-
デレは意外に思った。ギギネブラとの戦いで見せたあの的確な判断力と行動力、あれはドクオの元来の性格が冷静沈着な事から出来る物だと思っていたからだ。
でも、照れ臭そうに頬を掻く今のドクオを見ればそんな風には思えなかった。
また、それを踏まえてドクオの本質を見極める力は今のデレには無かった。
('A`)「静かに見守ろう」
ζ(゚ー゚*ζ「……はい」
- 185 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:39:25 ID:GkD/7Z4s0
-
背中に携えていたハンマーを抜き取る。見据える先には【彩鳥】クルペッコ。
黄と紫の羽が入り混じった身体。奇抜に尖った嘴。翼の先に持つ火打ち石。
実際に相対したことは無いが、文章では幾度も読んだ。
お前の事はよく知っているぞ、彩鳥。ブーンは普段の人懐っこそうな目を存分に釣り上げて睨み据える。
―――そして
( `ω´)「うおおぉぉおお!!!」
吠えた。
以前飛竜の咆哮について記述したが、狩人の咆哮はまた違った意味を持つ。
飛竜のそれは、相手を威嚇するだけの叫び。しかし、狩人のそれは違う。
相手を威嚇するだけでなく、自分を鼓舞する咆哮。
勝つ、勝ってみせると自分に言い聞かせる決意の証。
- 186 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:39:53 ID:GkD/7Z4s0
- だからこそ、先手を取ったのはブーンだった。
身体を存分に捻り、その体勢のまま走りだす。
目指すは奇妙な踊りを続ける【彩鳥】クルペッコ。 速さは無い。必要無いのだ。
クルペッコは侮っていた。常日頃飛竜の存在に怯えている自分だが、この程度の小さな存在に脅かされるはずがないと。
(#^ω^)「ふおぉぉぉおお!!!!」
だからブーンの一撃は届いた。
素早く力を溜めてから走りだした勢いのまま繰り出す“カチ上げ”。
それがクルペッコの頭を揺らした。
堪らずクルペッコは、踊るのを一旦止めて翼を広げる。
(;^ω^)「……」
それだけでブーンは一歩退がらざろうを得なかった。 これはブーンが自らの意志で退いた訳ではない。ヒトであれば誰しもが、その大きさに怯んでしまうのだ。
絶対に忘れてはいけない。モンスター達に本能があるように、ヒトにも本能があるのだ。
モンスターもヒトも、等しく動物なのだから。
- 187 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:40:53 ID:GkD/7Z4s0
- (#^ω^)「やってやるお!ツンはボクが護るんだお!!」
それでもブーンは、自分の無様に震える脚を叩き、もう一度駆け出した。
振り絞った小さな勇気を誉めるべきか、無謀な蛮勇を諫めるべきか。
経験不足の新米が、気安く叩ける程、【彩鳥】は優しくないのだ。
例えば、クルペッコが翼を広げたまま一回りするだけで
(;^ω^)「くっ……」
人間の身体など簡単に動けなくなるのだ。
そしてこの行為が蛮勇と言われるのは、今ブーンが攻めの姿勢でいる事にある。 クルペッコの前に曝け出された余りに無防備なブーンの身体。
クルペッコは一歩、たったの一歩でブーンとの距離を詰め、重厚な嘴でブーンを軽く突いた。
(メ^ω^)「グハッ……」
クルペッコにとっては、軽くともブーンにとっては、尋常ではない衝撃。
鋭い痛みがブーンの右肩を襲った。
ξ;゚听)ξ「ブーン!?」
ツンも動揺を隠せない。初めてだったのだ。生命の危機に瀕するモンスターと戦う事が。
- 188 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:41:30 ID:GkD/7Z4s0
- (メ^ω^)「大丈夫だお、擦っただけだお」
ツンは、ブーンを追いかけて狩人になった。狩人になれば村の人も喜んでくれるし、前と変わらずにブーンと一緒に居られる。
そして、いつか二人で一人前の狩人になって村の皆を護る槍となるのだ、と。
そう思っていた。
その夢が今閉ざされようとしている。
目の前でふざけた踊りを舞っている【彩鳥】のせいで。
それを許せる程、この勝ち気な少女は純朴ではなかった。
ふざけるな。高々“鳥風情”に私達の夢を摘ませたりはしない。
少女も覚悟を決めた。
素早く背後に背負ったライトボウガンを取り出す。
- 189 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:41:49 ID:GkD/7Z4s0
- デレから【狙撃手】ガンナーの何たるか、という手解きは数え切れない程受けていた。
ガンナーは自分の武器を大切にする。
【剣士】ストライカーが、武器の整備を怠った所で、切れ味が落ちるだけだが ガンナーが整備を怠れば、照星や銃口がズレてしまい味方の誤射。つまり仲間の命に関わる問題となるからだ。
だからこそ採集クエストであろうとも、武器の手入れは入念にしていた。
問題は弾丸。自分が持っている弾丸は二種類。
通常弾Lv1と、もう一つ。通常弾Lv1は、大量に持っているが如何せん威力が低い。
だからこそ考えなければ。どうすればブーンの事を助けられるのか、を。
ブーンは未だに、二撃目をクルペッコに与えられていない。しかし、少しずつ自分から遠ざかっていた。
ξ゚听)ξ(ブーンが……私だけを逃がそうとしているの?)
多分、いや、きっとそうに違いない。
- 190 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:42:12 ID:GkD/7Z4s0
- ξ゚‐゚)ξ「……あのバカ」
そんな事、絶対にさせない。第一、ブーンは私が『ブーンを囮にしている間に逃げよう』なんて考えると、本当に思っているのだろうか。
いや、これはきっとブーンの“信頼”なんだ。
私ならブーンの意志を汲み取ってくれると信じてくれているのだ。
(メ^ω^)「こんのぉぉおお!!!!」
先ほどからブーンが繰り出す攻撃は、ただの威嚇でしかない。出来るだけ素早く、広範囲にハンマーを振るう。その全ては、クルペッコに躱され、その度に手痛い反撃を食らっていた。
それでもブーンは倒れない。ツンが逃げる時間を稼ぐまでは、倒れる訳にはいかない。
(メ^ω^)(逃げてくれお、ツン)
ξ )ξ「………」
自分だからこそ、ブーンの一番近くにいる私だからこそ、その気持ちは痛いほど伝わってきた。
- 191 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:42:32 ID:GkD/7Z4s0
- ブーンの気持ちを尊重するならば、この行動は間違いなのかもしれない。
これは、ブーンの想いを踏み躙る事なのかもしれない。
それでも私は
「自分を囮にして欲しいだなんて………」
ξ#゚听)ξ「そんな“信頼”は糞食らえなのよ!!!!!!」
クルペッコに向けて、引き金を振り絞った。
精一杯の“信頼”を込めて。
- 192 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:49:25 ID:GkD/7Z4s0
- 狙撃手の才能? そんなもんはねぇさ。 弛まぬ努力と強い気持ちだろ。
まぁ、強いて才能という言葉を使うならば
“良い眼”をもってるか、だろーな。
―――One Shot Killer ジョルジュ=ランドロ―――
- 193 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:49:52 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「!!」
ζ(゚ー゚*;ζ「ツン……」
ブーン達の戦場から400m程離れた小高い丘。何気なくドクオが選んだこの場所は、確かにツン達を見るには適した場所だった。そこで様子を窺っていた二人は、具に戦場の異変を感じ取っていた。
('A`)「退屈しないな、ここも」
ドクオは、ドサッと地べたに座り先程捕まえた兎を捌いていた。
ζ(゚、゚*;ζ「……落ち着いてますね」
一方、デレは気が気ではないようだ。立ったり座ったり、歩いたり止まったり、一目見ただけで落ち着きを失っていると分かる。
('A`)「焦る気持ちは分かる。だが、まぁ。あんな必死な二人を見るとな。なかなか手を出せん。 それに言っただろ。あの男は勝つよ。そういう風になってんだよ」
ζ(゚、゚*ζ「……すいません。私、今意地悪言いましたね」
気にするな、と焚き火を用意しながら本当になんとも思ってない風にドクオは答えた。
('A`)「まぁ、ツーには地中で待機してもらってる。本当に危うい一瞬はツーが助けてくれるだろう。 それから俺達が駆け付ければ良い」
はい、と答えたデレだが手に持っていた弓を背に戻す事はしなかった。
- 194 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:50:13 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「俺達は、あいつらが勝った後に誉めてやるだけだよ」
黙々と夕食の準備を行うドクオ。
川から汲んできた水に塩を入れ、それで先程の兎肉を揉む。こうして兎独特の獣臭さを消すのだ。
この一手間をしてから、少量の塩をまた塗し、それから火にかける。
ζ(゚、゚*ζ「ドクオさん、手際が良いですね」
ん、とドクオはまた頬を掻く。
('A`)「これは、ドンドルマ地方の狩人なら普通の事だよ。ユクモが温泉を基盤に成長したギルドならば、ドンドルマは食を基盤にして成長したギルドだからな」
だから慣れてるんだよ、とドクオは少し照れ臭そうに言った。
もくもくと上がった煙りが、肉の焼ける香ばしい薫りと共に麓へと下っていった。
- 195 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:50:37 ID:GkD/7Z4s0
-
感じた。一発の弾丸が自分の脇をすり抜けて行くのを。
( ^ω^)「……まったく困った幼馴染みだお」
発射地点は、自分の40m程後方。見なくても分かる。ここにいるのは二人だけ。ボクとツンだけだ。
ξ゚听)ξ「……変な気を遣わないで。身体に悪いわ」
来てほしくなんてなかったのに。
そのままボクを囮にして、安全な所まで逃げて欲しかったのに。
( ^ω^)「ボクの気遣いは、毒か何かかお?」
ξ゚听)ξ「ギギネブラ並みの威力だったわ。本当に気持ち悪いったらありゃしない」
(;^ω^)「ちょっ、ツンはギギネブラなんて狩った事ないお?」
あら、そうだったわね。ツンは普段交わしている軽口と全く変わらない雰囲気で答えた。
ξ゚听)ξ「……もう少し、私達が強くなったら狩りに行きましょ」
その一言で十分だった。
あぁ、きっと狩りにいこう。何度でも。ツンと一緒ならきっとボクはいつまででも戦える。
- 196 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:50:57 ID:GkD/7Z4s0
- だから今は
ξ#゚听)ξ『 こ の ク ソ 鳥 を ぶ っ 飛 ば す !!!』(^ω^#)
- 197 :3−3:2011/03/29(火) 16:51:59 ID:GkD/7Z4s0
- ツンの放った弾丸は、見事にクルペッコの眉間に命中した。
しかしただそれだけ。不意打ちではあったが、余りに威力が無さすぎた。
そんな事は百も承知。ツンはブーンから離れ、そしてクルペッコからも離れ、冷静に見つめていた。
ξ゚听)ξ「ブーン。私の事、“信頼”してるわよね?」
( ^ω^)「勿論」
ξ゚ー゚)ξ「……そう」
幾度も、クルペッコの嘴によって啄まれたブーンの身体。動く事もままならないであろう攻撃を受けてなお、ブーンの身体は活力に満ちていた。
先程までの柄を長く持ち、出来るだけ広範囲、高威力を狙った大振りから 柄を短く持ち、素早く振るえるようにした。
リーチは短いが、瞬発力に自信のあるブーンは、この持ち手を生かしたヒット&アウェイの戦い方が持ち味なのだ。
武器をギリギリまで持たず、全力で走り敵に近付いて素早く武器を抜き、一撃を加えて離れる。
謂わば、ハンマーによる抜刀術。
これこそが、ブーンの強みなのだ。
- 198 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:53:01 ID:GkD/7Z4s0
- 着実にクルペッコに傷を負わせていた。 しかし、クルペッコもやられてばかりではいない。
元々ヒトの数倍の身体を持つ、【彩鳥】クルペッコに通常の戦術など通用しない。
なにせ、奴はブーンが全力で走った距離を三歩とかからず詰めてくるのだから。
その勢いのまま繰り出される突き。それがブーンを何より苦しめていた。
一発殴れば、三発突かれる。
問題なのはブーンがクルペッコから遠ざかる時に、背を向けること。無防備な背中を見逃す程、【彩鳥】は甘くない。
しかし、その構図が、ツンによって一気に塗り替えられる。
ξ゚听)ξ「そこよ!ブーン!」
後ろからクルペッコの動きを注意深く観察していたツンが、クルペッコの死角となる場所を探して、そこに通常弾Lv1を撃ち込んでいるのだ。
攻撃に参加せず、ブーンの攻防を見守っているだけのツンにとって、それは容易かった。
そして、弾が打ち込まれた場所にブーンが飛び込む。 こうしてクルペッコのカウンターは封じられた。ブーンは、的確にクルペッコの頭を狙いハンマーを打ち据えていく。
段々と、執拗に蓄積されていく痛みにクルペッコは、怒りを覚えた。
しかし、クルペッコには理解出来ないのだ。今、ツンが行っている事の意味が。だから、何も出来ない。ただ、されるがままの状態が続く。
これは、普通のパートナー同士が出来る芸当ではない。
支援者が、相手の事を本気で護りたいと願い
攻撃者が、支援者の事を本気で信頼していないと出来ないやり方だ。
これが本当の“信頼”。何物にも代え難い、狩猟において絶対に必要な要素なのだ。
- 199 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:53:59 ID:GkD/7Z4s0
- この袋小路を脱出するにはどうすれば良いのか。
彩鳥の選択は正しかった。飛翔、クルペッコは空に舞い、二人との位置取りを替える事を選んだ。
ξ;゚听)ξ「やられたわ!!」
着地地点は、ツンとブーンの中間地点。
(;^ω^)「おっ!」
二人は綺麗に分断されたのだ。
これでは、ツンはブーンに死角を教える事が出来ない。それに、援護をしようとクルペッコに弾を撃ったところで全く意に介さないだろう。
それでこちらを攻撃してくるような事があれば最悪。
二人のコンビネーションは、クルペッコの“飛ぶ”という一つの動作で封殺された。
ブーンは透かさずクルペッコの足元に飛び込んでいく。
先程までのやり方は、使えないがそれでもコイツの意識をツンに向ける訳にはいかないからだ。
(メ#^ω^)「おおぉぉおお!!!!!」
ξ゚听)ξ「……ブーン」
考えるんだ、私。なにか打開策は無いのか。この難局を乗り切る事は出来ないのか。
クルペッコに見つからずに、ブーンの後ろに回り込んでみてはどうだろう。
いや、また飛ばれて同じ事の繰り返しになるだけだ。 様々な選択肢が頭に浮かんでは消える。
- 200 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:54:27 ID:GkD/7Z4s0
- ξ゚听)ξ「!!」
その時、匂いがした。この場所には似合わない、鼻を擽る良い匂いが。
見付けた。小高い丘の上、そこから私を心配そうに見つめている見知った人を。
ξ;゚ー゚)ξ「……全く、我ながら良いお姉ちゃんを持ったもんだわ」
ならばやる事は決まった。限界まで自らのライトボウガンに詰めていた通常弾Lv1を全て取出し、あの弾を込める。
もし採集の際、大型と出くわした時の為に、持ってきていた弾丸。
出来れば、クルペッコの翼に。
それも、クルペッコの痛点が一番集中している翼の根元に当てたい。
ガキ、っという音を立てて装填された一発の弾丸。
外さない、外せない。
この一発は絶対に。
ブーンは、今必死に私に注意が向かないようにクルペッコを攻撃してくれている。
私が何とかしてくれる、という信頼の元に。
- 201 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:54:52 ID:GkD/7Z4s0
-
だから、私はただ狙い撃つのみ。
引き絞られ、放たれた弾丸は、私の目線と寸分違わぬ所へと命中した。
- 202 :【幕間】:2011/03/29(火) 16:55:41 ID:GkD/7Z4s0
-
「デレ、弓を構えろ」
確かにそう言われた。今まで平然と、二人の戦いを静観していたドクオさんが、急に立ち上がった。
ζ(゚ー゚*;ζ「はい!」
('A`)「デレ、弓の有効射程範囲はいくつだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「……100m弱だと思います」
なるほど、とドクオさんは軽く笑った。
('A`)「じゃあ、その常識を打ち破る時だ。あのクルペッコ、狙えるか?」
ζ(゚、゚*;ζ「かなりキツいと思います。撃ち下ろしになりますから、届くとは思いますが、精密射撃となると……。まずここからでは的が絞れません」
くくっ、とドクオさんはまた笑う。
('A`)「大丈夫、的なら今出来た」
ツンとこの距離からでも感じる鼻につく独特な臭い。この臭いに覚えがあった。
ζ(゚ー゚*ζ「……あれは、ペイントですか?」
('A`)「ああ、あれはデレの妹が付けた物だ。クルペッコが飛び上がったタイミングで、あれを狙え」
従来、ペイント玉やペイント弾はマーキング機能として使われる。その独特で強烈な臭いから何キロ先にいるモンスターでも、ある程度把握できるようにする道具だ。
- 203 :【幕間】:2011/03/29(火) 16:56:05 ID:GkD/7Z4s0
- ζ(゚、゚*;ζ「でっ、でもっ!あんなにクルペッコに動かれたら、どうしようもないですよ! せめて動きが止まらないと!それに飛ぶタイミングを計りながらなんて……」
('A`)「動きは、男の方が止めてくれる。飛び上がるタイミングは俺が言うよ」
ζ(゚ー゚*;ζ「そんな……やっぱり無茶ですよ」
('A`)「大丈夫、もう覚えた。タイミングは任せろ。後はあの男次第だな」
- 204 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:56:50 ID:GkD/7Z4s0
- ツンが、クルペッコに向かって遂に撃った。
それもペイント弾だ。疑うな、信じろ。ツンには何か意図があるはずだ。
ここで必要なのは、疑念ではなく信頼。
だからこそ、ボクはコイツと全力で向き合うだけだ。
長い戦いになった。クルペッコに執拗に啄まれた右肩は、もう感覚がない。 ずっとハンマーを振るうのに踏張っていた左足も、痙攣している。
それでも倒れられない理由がある。
クルペッコが翼先に付いている火打ち石を両翼で擦り付けた。今日何度も見た、火打石による打撃。もう身体が覚えていた。
( ^ω^)「……来いお」
ここで必要なのは威力。散々と蓄積してきたダメージを、一気に表に引き出してくれる、全力の一撃。
柄を最大限に長く握り込む。父から譲り受けたこの【デッドリボルバー】で。
ツンを護る為の一撃を。
渾身の一撃を。
クルペッコが跳んだ。速い、15mあった距離が一歩で半分まで近づいた。
落ち着け。動きを読み、予測する。 クルペッコの狙いは自分。ただ、目の前にハンマーを振り下ろせば当たるのだ。問題はタイミングのみ。
身体を千切れるほど、捻って力を溜める。
( ^ω^)「………」
- 205 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:57:22 ID:GkD/7Z4s0
- クルペッコの脚が、地面を強く踏んだ。
来る。
『今だニャッ!!!』
地面から突然聞こえた声。自然と身体は動いていた。捻った身体を解放し、限界までハンマーを振り上げ落とす。
圧倒的な重量を生かした、この一撃。
乾坤一擲の『スタンプ』が、クルペッコの頭を捉えた。
Gyaaaaaaaaa
響き渡るクルペッコの悲鳴。粉々に砕けた忌々しい嘴。
決め損なったか。傷だらけの身体では、やはり本来の全力には届かなかったようだ。
しかし、クルペッコにとってこの一撃は重かった。侮り故の手痛過ぎる代償。
ブーンは直ぐ様追撃をかける。あと一撃で、終わらせられるかもしれないのだ。
しかし、クルペッコはそんなブーンの決死の追撃を嘲笑うかの様に踊りを舞って、空を飛んだ。
飛んでしまったのだ。 何も知らずに。
- 206 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:57:48 ID:GkD/7Z4s0
-
『デレ、今だ』
- 207 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 16:58:14 ID:GkD/7Z4s0
- (;^ω^)「!?」
一陣の風が通り過ぎた。
風はクルペッコの翼。付着していたペイントの跡に突き刺さり、そのまま貫通して逆側の翼をも裂いた。
落下する【彩鳥】クルペッコ。
下で待つのは、余りにも巨大な一撃。
この千載一遇の好機。必ず物にする。
(#`ω´)「うおおぉぉぉおおお!!!!!!!!!!!!」
瞬間、クルペッコの頭が弾けた。
- 208 :【幕間 2】:2011/03/29(火) 16:59:09 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「そろそろだぞ、デレ」
矢をつがえる手が震える。自分の護りたい命が懸かった一矢というのは、ここまで緊張するものなのか。
今までに経験したことが無い程、弓が重かった。
('A`)「落ち着いて的だけを見据えるんだ」
ζ(゚ー゚*;ζ「はい」
('A`)「……そう緊張するな。言っただろ、お前は凄腕の弓使いだよ。自信を持て」
ζ(゚、゚*;ζ「でも、こんな遠距離初めてですよ」
想像してみろ。今、俺達の目の前に存在している物はなんだ。
ζ(゚ー゚*ζ「……分かりません」
('A`)「それはな、空気だよ。目には見えないけど、確かに空気はそこに存在している。
それらを全て貫通させるイメージを持て」
ζ(-ー-*ζ「………」
ドクオさんの言っている事が、なんとなく分かった。だからこそ瞼を閉じた。
イメージを膨らませる為に。
- 209 :【幕間 2】:2011/03/29(火) 17:00:04 ID:GkD/7Z4s0
- 『デレ、今だ』
ζ(゚ー゚*ζ
放った一撃、矢が弦から離れた所で弓を背中に戻した。
命中の有無を確かめる必要はなかった。
遠めで、無様に地面に突き落とされるクルペッコが見えた。
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん、弓を使ったことあるんですね」
('A`)「いや、俺の幼馴染がな。よく俺に無理やり弓の練習をさせてる時に、そんなアドバイスをしてたんだよ」
ζ(゚、゚*ζ「へー、てっきりドクオさんは弓も使えるのかって思っちゃいました」
「まぁ、使えないことは無いんだけどな」と、頬を掻きながらドクオは言った。
ζ(゚ー゚*ζ「今度教えてくださいよー」
('A`)「俺は物を教えるのが上手くないからな。誰か他の人を当たってくれ」
ζ(゚、゚*ζ「……残念です」
『まぁ、俺の先生の教え方が悪かったせいだ。悪く思わないでくれ』
('A`)(でも……あの時、クーが言った事の意味は、デレが証明してくれたけどな)
- 210 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:00:30 ID:GkD/7Z4s0
- (*^ω^)「いやったおおぉぉおお!!!!」
ξ*゚听)ξ「もう、そんなにはしゃがないでよ!みっともないわねっ!」
クルペッコはHR1の狩人が昇級するための試験に使われるモンスターなのだ。試験を受けるためには、ギルドが指定するクエストをこなさなければならない。 それを飛び越してのクルペッコの狩猟、ブーン達が喜ぶのも無理ない話である。
クルペッコが何故狩人の登竜門に選ばれるのか。それには幾つか理由がある。
- 211 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:00:51 ID:GkD/7Z4s0
- まず飛べる事。
HR1の狩人達は、まだ単独で飛竜を狩りに行く事が出来ない。だから、空を自在に舞う敵と戦う経験が少ないのだ。
これから出会うであろう、そういうモンスターに対処出来るかどうか。
二つ目が、弱化攻撃。
クルペッコが吐き出す胃液は発火性が強く、少し火を近付けただけで豪々と燃える。
この胃液まみれになった身体に、クルペッコの火打ち石が直撃しようものならば、剣士用の装備を身に付けている狩人でさえただでは済まない。
しかし、一番の問題はガンナーだ。
この胃液は、常々ガンナーを苦しめる。想像すれば分かるだろう。
ボーガンの引金を引く度に起こる小さな火花。それだけでクルペッコの胃液は燃えだす。
つまりボーガンを操る狩人は、絶対にこの胃液を掛けられてはいけないのだ。
これらの厄介な理由。そして三つ目。これが一番大事な事。
狩りが終わっても、村に帰るまでは絶対に油断してはいけない。
狩人と大型モンスターとの戦闘は凄まじい。
だからこそ周りにいる別の大型モンスターに嗅ぎつけられる恐れがある。
絶対に気を抜いてはいけなかったのだが。
- 212 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:01:10 ID:GkD/7Z4s0
- (*^ω^)「ボク達、昇級出来るんじゃないかお?」
ξ*゚听)ξ「そうね!クルペッコを倒したんだから!!」
だからこそ丘の上から二人を眺めていたデレは、危ういと思った。
普通の狩猟でも、剥ぎ取りは素早くとギルドからは指導されている。
ましてや、今回討伐したのは【彩鳥】クルペッコ。最初に聞こえたあの鳴き声、別の種の声帯を模写し、自らの命を省みず放つ捨て身の技。もしかしたら来るかもしれない。別の敵が。
そして感じたあの独特の威圧感。デレは駆け出した。このままでは、あの子達が危ない。
油断し、弛み切った二人には、ドスジャギィでさえ強大な敵となるだろう。
全力で脚を上げ、出来るだけ前に押し出す。
行ける、先日の戦闘や連日の移動による疲れは全くない。
しかし、そんなデレの全力疾走を軽々抜き去り駆け往く影が一つ。
ドクオだった。
- 213 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:01:46 ID:GkD/7Z4s0
- ただでも気配に敏感なドクオは、クルペッコの特性【声マネ】を知らなくとも、あの独特なプレッシャーを感じた時点で駆け出していたのだ。
猛烈な加速で、グングンと二人に近付いていく。
ツンも自分に近付いてくる影に気が付いたが、自分達と同業だと知っていた事もあり、警戒しない。
そことは別の角度から凄まじい勢いで突っ込んでくる二頭の暴走機関車。
先に気が付いたのはブーン。
音のする方を見れば、余りに重量のある、速度を保った突進が自分達に迫っている。
この時初めて、ブーンは父から譲り受けたデッドリボルバーを歯痒く思った。
どうしてハンマーなんだ、ランスや大剣ならばツンを庇う事が出来たのに、と。 そう思うまでに、二頭の大猪は自分達に差し迫っていたのだ。
ここでブーンが、咄嗟にツンに抱き付き地面に押し倒したのは、勿論少しでもツンを庇うためである。
志高い、ちっぽけな騎士の為にもう一度繰り返そう。
決して邪な気持ちで、女性を押し倒したのではない。
しかし、いつまで経っても覚悟していた衝撃が来なければ、多感な時期の乙女が勘違いを起こしたとして。それもまた無理のない事だ。
結果、ブーンの股間は盛大に蹴り上げられる事となる。
- 214 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:02:08 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「全く、習わなかったのか?モンスターの剥ぎ取りは迅速に、ってな」
(*゚∀゚)「ニャー、口酸っぱく言ってきたと思うのニャー」
【大猪】ドスファンゴを受け止めたのは、ドクオと地中に隠れていたツーだった。
ξ;゚听)ξ「ツー様っ!?」
(;^ω^)「それに、あの時の人もいるおっ!」
驚く二人を横において、あくまでドクオとツーはマイペースだった。
('A`)「ツー、このドスファンゴはギルド的に狩っても良いのか?」
(*゚∀゚)「ニャー。クルペッコが呼び出したモンスターは、例外的に誰が狩っても良い事ににゃってるニャー」
そうか、とドクオは背に納めていたもう一本の刀を取り出す。
('A`)「ツーは、二人を連れて下がれ。妹の方は、怪我してないだろうが男の方は、補助無しじゃ歩くのも辛いだろうからな」
(*゚∀゚)「ニャー」
すかさず、呆然としていた二人の頭を小突き正気を取り戻させると、ブーンの手を引いて走りだした。
- 215 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:02:38 ID:GkD/7Z4s0
- さてっと、ドクオは此処で一呼吸置く。
一瞬出来た間。ドクオは足下に落ちていた手の平大の石を蹴った。
それは見事に、ツーが抑えていた方のドスファンゴに命中する。
これで二頭の注意はドクオに向いた。
('A`)「兎だけで四人分賄えるかと思ったが、幸運だった」
金銀の双剣が、沈みかけた夕陽に照らされ真っ赤に燃え上がる。
動き出したのはドクオが先だった。
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ、ツンったら無茶ばっかりして!!」
ξ゚听)ξ「うるさいわねー、結果的に討伐出来たんだから良いじゃない」
その頃、こちらでは姉妹喧嘩が始まろうとしていた。 ただの姉妹喧嘩と侮るなかれ、この二人は狩人なのだ。殴り合いにでもなろう物なら、酔っ払った大男の喧嘩よりも質が悪い。
- 216 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:03:17 ID:GkD/7Z4s0
- ζ(゚、゚*ζ「あれは運が良かっただけよ、ブーン君もツンに言ってあげて!」
(;^ω^)「おっ」
ξ゚听)ξ「なによ、自分の方が数年早く生まれただけで偉そうにしないで。ブーンもデレに何とか言ってよ!」
(;^ω^)「おっおっ……」
大体デレはっ、とツンの追撃を遮るタイミングでブーンが口を挟んだ。
( ^ω^)「あのー、さっきのひょろい男の人だけに任せて来ちゃって良かったんですかお?」
ζ(゚ー゚*ζ「……良いのよ。きっとあの人は、ドクオさんはそういう次元にいる人じゃないから」
ξ゚听)ξ「あら、デレがそんな言い方するなんて珍しいわね。というより四人専門の貴方が、よく二人で狩りに行ったわね」
ζ(゚ー゚*ζ「仕方なかったのよ。じい様から、あの人を監視して欲しいって言われていたし。それにギコさんとの腕相撲を見て、ある程度のレベルだって事は分かったしね」
ξ゚听)ξ「ふーん、まぁ良いわ。それに確かにデレのあの一撃は本当に大きかったから」
(*゚∀゚)「……」
ツーは、そんな二人には構わずドクオの様子をじっと見ていた。
- 217 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:03:44 ID:GkD/7Z4s0
- ζ(゚ー゚*ζ「それにしても、よく戦闘中に私達に気が付いたわね。流石、鷹の眼ね」
ξ゚听)ξ「……別に、見て気付いたんじゃないわ。匂いがしたのよ」
ζ(゚、゚*ζ「匂い?」
ξ゚听)ξ「肉を焼く匂いよ。それでデレに気が付いたのよ」
ζ(゚、゚*;ζ「……」
この言葉を聞いた時、デレは心の底から震えた。あの時ドクオが何気なく選んだ、あの丘も。あのタイミングで、調理をしだした事も。何もかも計算し尽くされていたのだ。
(*゚∀゚)「三人ともよく見ておくニャー。あれが完成された狩人の一つの形ニャー」
それは戦いではなく、舞いだった。
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
初めてドクオの戦いを見た二人は等しく口を閉ざす。魅入っているのだ。ドクオの舞いに。
左右の手に握られた一対の双剣が、二つの放物線を描きドスファンゴを鋭く斬り裂く。
緩みないスピードで振り続けられる刃は、点ではなく線を描く。
それが一つの結界となり、絶対防御となる。
そしてドクオが紡ぎだす剣となるのだ。
- 218 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:04:04 ID:GkD/7Z4s0
- ( ^ω^)「……凄いお」
ξ゚听)ξ「……綺麗ね」
ここまでは落ち着いて見ていたデレが、一つ気が付いた。
ζ(゚、゚*ζ「……なんだか、ドスファンゴが小さくなってる?」
それに答えたのはツー。
(*゚∀゚)「多分、あれは狩りながら剥ぎ取ってるのニャー」
寒気が走る。そんな事が人間で可能なのだろうか。 三人は同じ事を思っていた。
あの大きすぎる背中に、追い付いてみたい、と。
- 219 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:04:33 ID:GkD/7Z4s0
-
('A`)「ん、どうした?猪の肉は嫌いなのか?」
(;^ω^)「いっ、いえいえ!お気遣いなくですおっ!!」
夕食は四人と一匹になった。
ドスファンゴから剥ぎ取った素材は、食べられる部分以外はツンとブーンに渡した。
元々ドスファンゴで作ろうと思う物など無かった。それに使い道のない自分が持つよりも、前途有望な若い狩人に使って貰った方が有益だろう、と考えたからだ。
(;^ω^)「ドクオさんは狩人になって何年になるんですかお?」
('A`)「ドクオで良い、ブーン。狩人に尊敬は最低限しかいらない。それよりも信頼の方が大切だ。
正式に狩人になったのは十年前だな。16の時だ」
(;^ω^)「十年でHR6ですかお、とんでもないスピードですお」
('A`)「いや、俺は元々ドンドルマ出身だからな。そこでGの称号を受けた事からユクモでは最高ランクを貰ったんだろう」
( ^ω^)「G級……」
父が憧れ、それでも届かなかったその領域。
- 220 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:05:01 ID:GkD/7Z4s0
- ( ^ω^)「G級の狩人は、伝聞でしか聞いたことがないですお。何人くらいいるんですかお?」
('A`)「Gを持つ狩人は四人だ。まぁGを持っていなくとも、俺達より強い変人は居たがな」
“One Shot Killer”“Spear The Gungnir”そして“Elven Arrow”。この三人にドクオを加えた四人がGを頂く事を許された狩人。
( ^ω^)「ドクオにもあるんですかお?そんな称号」
('A`)「“さん”付けをやめたんだから、敬語もやめてしまえ。称号か、俺にもあったがな。もう忘れちまった。自分でそう呼ぶ事なんてなかったしな」
(;^ω^)「でっ、では失礼して敬語をやめさせて頂くお!!」
('A`)「おー、そうしろ。俺も使わないしな」
最初はぎこちなかった男二人の会話も、次第に弾んできた。ブーンは元々友人の多い方ではあったが、ベテランの狩人との会話は、まず尊敬から始まる。
だからこそ気兼ねなく話せる凄腕の狩人という意味では、ドクオが初めての存在だった。
- 221 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:05:32 ID:GkD/7Z4s0
- (*^ω^)「このお肉美味しいおー!!」
('A`)「猪の肉は獣臭いが、しっかり血抜きすればアプトノスの霜降りのような味になる」
(*^ω^)「おっおっ!ドクオは狩りだけじゃなく料理も凄腕だお!!」
そんな事ないよ、とドクオは喜ぶブーンの顔を嬉しそうに見ながら頬を掻いた。 ここまで真っ直ぐ見つめられながら褒められるのは、如何にも照れくさい。
ξ゚听)ξ「あの様子を見てると、さっきまでの姿が嘘みたいね」
ζ(゚ー゚*ζ「そうね、私も最初ドクオさんの姿を見た時は頼りないって思ったもの。今でもギギネブラと戦っていた時の彼は、現実じゃないみたいだわ」
(*゚∀゚)「まー、オレっちも最初、ドクオが狩人だって気付けなかったからニャー」
こちらでは、女子+雌が話している。
ζ(゚ー゚*ζ「ツー様も気付かなかったんですか?」
(*゚∀゚)「ニャー。なんというか身体も細いし、オレっちの事を助けようとするし、運搬に使っていたガーグァを【青熊獣】がいるからって逃がしたりしてたからニャー」
ξ;゚ー゚)ξ「変わった人なんですね」
ドクオが作った料理を四人で食べ終えた。
一狩り終えた後の食事は、やはり美味い。皆、お腹一杯まで食べて動くのも億劫なのか、焚き火を囲んで武器の手入れをしていた。
- 222 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:05:59 ID:GkD/7Z4s0
- ('A`)「そのハンマー、良く手入れがされているな。それに、なにか使い込まれた武器独特の趣を感じる」
( ^ω^)「おっ!これはボクの父ちゃんが旅に出る前に譲ってくれた物なんだお!」
('A`)「ほー、デッドリボルバーか。良い狩人なんだな、ブーンの父は」
( ^ω^)「良いとーちゃんでもあったお。誕生日には必ずリオレウスの牙や爪を贈ってくれたお」
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんの双剣は、凄い綺麗ですけど。鉱石を使った物なんですか?」
('A`)「ん、これはリオレウスとリオレイアの夫婦剣だな」
この言葉に三人は息を呑んだ。金と銀の夫婦剣。それはユクモの狩人、誰もが憧れる武器。
(;^ω^)「討伐したんですかおっ!?あの火竜の希少種を!!」
('A`)「いや、討伐したわけじゃないがな。一度戦った事はある。その時に奴らから剥ぎ取った素材を使って作ったんだ」
( ^ω^)「……信じられないお」
金銀の火竜。それは飛竜の頂点に立つ存在。
飛竜の中で最も高貴で、最も強大な竜なのだ。
そしてブーンの父親が、旅に出る原因となったモンスターでもある。
- 223 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:06:25 ID:GkD/7Z4s0
- ( ^ω^)「ドクオ!!!」
('A`)「ん、どうした?」
( ^ω^)「ボクに狩りを教えて欲しいお!!」
ドクオを見つめる真っ直ぐな瞳。
迷いも無く、そして遠慮の無い実直な言葉。
('A`)「あぁ、別に構わないよ」
(;*゚∀゚)「ニャ?」
(;^ω^)「えらい軽いお」
('A`)「いや、俺がユクモに来た理由に準じているからな」
( ^ω^)「ブーンを鍛える事がですかお?」
('A`)「まぁな」
それ以上、ドクオは深くを話さなかった。 夜も更け、月もすっかり山の向こうに姿を消している。
ただ焚き火の柔らかな灯りと、暖かな温度が、四人を包んでいた。
- 224 :【終幕】:2011/03/29(火) 17:06:56 ID:GkD/7Z4s0
- ユクモギルドの地下。“大老殿”と呼ばれる場所がある。
そこに足を踏み入れる事が許されるのは、ごく一握りの狩人とギルドマスターであるアラマキ。そして、大老衆と呼ばれる五人の者だけだ。
『ギコ、状況を説明してくんろ』
(,,゚Д゚)「はっ!積乱雲を引き連れ現れた【雷狼竜】ジンオウガは、渓流エリアを大きく逸れ、ユクモ山の頂上付近に住み着いたようです」
『にゃるほどー、という事は切迫した状況ではないのかにゃん』
(,,゚Д゚)「確実に、とは言えませんが。ただ、現時点で撃退が必要な状況ではないと思われます」
『ほえばー!じゃが迅速に動かねばなるまい』
『アラマキよぉー、これはあの言い伝えの予兆と考えた方が良さそうじゃのー』
/ ,' 3「ふぉほほ、問題あるまい。この時のために彼の双剣使いを送って貰ったんじゃからのぉー。
それに、残りの“G”もこちらに向こうてくれとるらしいしのぉ」
『しかし、ドンドルマの竜人に貸しを作るのは癪だにゃん』
『ほえばー、今はそんな事を言っとる場合じゃあるまいのぉー』
- 225 :【終幕】:2011/03/29(火) 17:07:17 ID:GkD/7Z4s0
- (,,゚Д゚)「しかし、祭りは……」
/ ,' 3「中止にするしかあるまいのぉー。楽しみにしている子供達には申し訳ないがのぉ。 チミは一度彼の双剣使いと狩りに行って来ると良いのぉ。チミがユクモでは一番“G”に近いからのぉ。その領域を体験してみるのも大事じゃろうてー」
(,,゚Д゚)「はい!!」
ユクモに伝わる伝説。G級の存在。その二つが大きく交わり、絡み合う。
ユクモの存亡を賭した戦いの足音が、一歩、また一歩と近づいていた。
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 三話 END
- 226 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:11:57 ID:GkD/7Z4s0
- これで3話の投下は終わりです。
今回修正した点は
・誤字脱字、消し忘れの修正
・【幕間】が【間幕】になっていたのを修正。これは【幕間】にするか【裏幕】にするかを悩んだ結果のミスです。
指摘下さった方、本当にありがとうございました。
次回の投下は、今月か来月頭です。ただ私用のため4月に入ってしまうと、書き溜めをする時間は減らないんですが、投下する時間が取れなくなってしまうかもです。
出来る限り次話は早く投下したいと思います。
では質問などあれば受け付けております。ご自由にお聞きください。
- 227 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 17:26:05 ID:MpvLSVas0
- 今回も面白かった
ほんとに地の文が面白い
ただ一つだけ言いたいのは・・・
( ⌒ )
l | /
|ヘビィ|
⊂(#゜д゜) だからボーガンじゃなくてボウガンだつってんだろ!!
/ ノ∪
し―-J |l| |
バシーン!!ガシャーン
)|_|。∵゚・(
⌒)。 ・(。・。∵
- 228 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 18:11:40 ID:tSNcFrPcO
- >>227
なんだか切実過ぎて笑えたwww
- 229 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 18:54:19 ID:5p.xWhnM0
- VIPのほうで読ませてもらってたけど面白かったよ
緊迫感が心地良い
>>227
ワロタww
- 230 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 18:59:10 ID:MpvLSVas0
- 一ヘビィ使いとして見過ごせなかった
- 231 :>>1:2011/03/29(火) 19:15:01 ID:GkD/7Z4s0
- あっ……すいません。本当に基本的なところをorz
次回からは、きちんとボウガンと表記させてもらいます。
AAをうまく使える人は本当にうらやましいです。それだけで表現の幅がぐっと広がりますからね。
- 232 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 19:58:04 ID:dC2EO84g0
- あくまでブーン系は「小説」であって、AAにはAA長編って場がある
小説はいかに状況とか文章で表現出来るかが大事だし、AAに頼った表現はあんまりよくないと思うな
顔文字は別だけどね
ブーン系のアイデンティティだし
- 233 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/29(火) 20:27:50 ID:RLA3pZXw0
- >>227
ワロタwwwwwww
- 234 :>>1:2011/03/30(水) 05:11:12 ID:pdUdAHpYO
- すいません。何度も読み直し、考えた結果、四話を大幅修正する事に決めました。
つきましては、予告していた日時より少し投下が遅れるかもしれません。
ここで、報告させて頂きます。
- 235 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/03(日) 15:33:41 ID:v7oVJLDU0
- 待ってるよー
わかりずらいじゃなくてわかりづらいじゃね
- 236 :>>1:2011/04/04(月) 17:03:04 ID:ls0C5qmUO
- >>235 修正ありがとうございます
分かり辛い(わかりづらい)ですね。
書き溜めの報告ですが、今で半分程です。今回は説明が多いので、なかなか書きづらく遅れてしまっています。
もうしばらくお待ちください。
- 237 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/04(月) 20:20:54 ID:bP5kb2Jw0
- 待ってる!
今1話から読み終わった。 で、ちょっと気になったんだけど
>18
>その様子を草葉の影から見つめる青い影に〜
草葉の陰=あの世、墓場
「物陰」か「木立の陰」が妥当じゃね
イメージ的には分かるし、ほんといまさらなんだけど。
- 238 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/12(火) 02:32:01 ID:zybw4XZk0
- マダカナー
- 239 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/12(火) 23:16:45 ID:QZa/OSUsO
- モンハンやりたくなってくる
続き楽しみ
- 240 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/13(水) 17:45:27 ID:D5VqkL5o0
- これみてモンハンまたやり始めたわ
続きくるまで見直してこよう
- 241 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/15(金) 21:42:41 ID:LkGsKjPoO
- 続きをはやくー
- 242 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/21(木) 12:54:20 ID:Dz1qCrbs0
- まさかのエター?
- 243 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/24(日) 02:44:03 ID:HlaDIGyQ0
- 上のほうで時間かかるって言ってたし気長に待とうぜ
- 244 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/25(月) 07:34:34 ID:YranU0gUO
- 報告が遅れて申し訳ありません。
vipのスレでは、先立って伝えていたのですが
4月は私用で忙しく、投下できませんでした。
先週で一区切りついたので、今週には四話を投下するつもりです。
>>237 その通りですね。Google先生で調べて恥ずかしくなりました。 修正は効きませんが、以後気をつけます。
指摘ありがとうございました。
- 245 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/25(月) 10:11:28 ID:1MrQkfE60
- よし!凄く楽しみにしてる!
- 246 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/28(木) 13:18:11 ID:KCIXNTDEO
- 面白い
モンハンやったことないけど読みやすいな
そんでツー格好いい
- 247 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/29(金) 00:20:50 ID:LWLsVNaA0
- し゛ん゛じ゛て゛る゛
- 248 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/29(金) 18:46:08 ID:3BgSOAz60
- 今週……来るんだよな?
オトモが勇敢なギコとこざかしいモララーな俺も待ってる
- 249 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/29(金) 19:50:01 ID:WT.Uu1wg0
- オトモが風圧・バインド無効のヒートと支援特化のクール爆弾特化のシュールな俺も待ってる
- 250 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/30(土) 12:34:26 ID:4ctJ2TFgO
- >>248
∧ ∧ ヘイヘーイ!
( ・∀・)つ,☆ペンペン
と_,、⌒) )
(_ ノノ
こざかしいモララー
- 251 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/30(土) 15:28:32 ID:L2F8/AzY0
- うぜぇwwwww
- 252 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/30(土) 20:45:47 ID:L7IDZmjw0
- >>250
AAで表したらそうなるわwww
- 253 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/01(日) 02:20:16 ID:LCmF37Uc0
- 結局来なかったか……
- 254 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/01(日) 02:34:00 ID:dWWtXiEoO
- >>253
今日の23時頃を予定してます
- 255 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/01(日) 12:09:01 ID:scn7IPhgO
- じゃあ今から正座して待ってる
- 256 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/01(日) 14:08:20 ID:XPvWIApYO
- 23時か…夜勤だお…
- 257 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/01(日) 14:41:59 ID:OV9NhKPc0
- 予定あったけど早めに終わらすかな
すげぇ楽しみだ
- 258 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/01(日) 22:14:32 ID:dWWtXiEoO
- 未だに帰宅出来ません。
帰宅が午前2時を回れば、投下は明日の月曜に延期させて貰います。
申し訳ありません。
- 259 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/02(月) 00:33:25 ID:crQkEtp2O
- 無理はしないでくれよ
読む方としては楽しみがちょっと長引くだけだから
- 260 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/02(月) 00:50:47 ID:AK.8rsmwO
- 最終的に完結が一番早い方向で頼む
- 261 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/02(月) 08:57:43 ID:Z20SpZJM0
- 回っちゃったか……
- 262 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/02(月) 13:14:55 ID:AK.8rsmwO
- 足が痺れてきた
- 263 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/02(月) 15:53:13 ID:QvnWuHn60
- >>262
つ 正座イス
- 264 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/02(月) 15:54:37 ID:MC2YZIeU0
- 完結さえしてくれれば1週間だろうが1ヶ月だろうが1年だろうが待つ
作者生存してるのがわかってる某アルファはいい加減に完結させて欲しいが・・・
- 265 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/02(月) 22:29:01 ID:NFTjbR0M0
- いつまでも待つんだけど、投下予告とかは確実な時だけな方がいいと思う
もしも出来なかったら読者と作者両方疲れるからね
- 266 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/03(火) 13:19:15 ID:7ENhBOfwO
- 連休だし忙しいのかな?毎日お疲れ様です。無理せず時間が取れた時にでもまったり投下してくれ。現行で一番好きだから楽しみに待ってるよー。
- 267 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/03(火) 23:53:48 ID:bLcYVpX6O
- 今日も駄目…だったのか…?
- 268 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/04(水) 00:11:04 ID:TfcVk.VU0
- 書いた人は本人だったのだろうか・・・
- 269 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/04(水) 00:18:10 ID:MqTBTr5M0
- 今からvipに投下してきます、予定が随分遅れて本当に申し訳ないです。
- 270 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/04(水) 00:23:59 ID:MqTBTr5M0
- vipに総合が無かったので避難所に代理をお願いしてきました。
スレがたてば、こちらにもurlを貼らせて貰います。
>>268 自分です、本当に遅れてすいませんでした
>>265 仰るとおりです、無責任な投下予告は金輪際しません
- 271 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/04(水) 00:28:20 ID:MqTBTr5M0
- 代理していただきました
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1304436260/
- 272 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/04(水) 22:16:22 ID:9S3nNn7A0
- 昨日の最後に今日の9時から再開ってあったけど、どこかでやってる?
- 273 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/04(水) 23:57:15 ID:32uTzxw20
- 心配になるし作者としても心苦しいだろうし投下予告はやめといた方がいいんじゃ・・・
続き待ってるよ
- 275 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 21:25:07 ID:AdggEHa60
- なんかあったんかね?
結局こなかったし
- 276 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 02:24:17 ID:0kBvtg3c0
- 流石に待つのも限界なんで今日は寝る
明日は来てくれると良いな
- 277 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 19:43:31 ID:jDSSuDj.0
- 投下予告が確実でないならできればこっちでやってほしいな
VIPでやるとリアルタイム遭遇でないと落ちるし、まとめはすぐに反映されない
- 278 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/07(土) 11:55:35 ID:8qoLfehgO
- 今日こそ来てくれると信じてる 作者さん…頑張ってください…
- 279 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/10(火) 17:20:00 ID:dLu9SWxgO
- 作者失踪疑惑
- 280 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/10(火) 21:17:28 ID:WA.yZdWY0
- ネットできなくなったんかな?
来るっていってから一週間か?
- 281 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/14(土) 01:01:52 ID:.T7qQ9f.O
- こりゃ…もう来ないんじゃないか…?
- 282 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/14(土) 04:50:15 ID:Wy85mEP6O
- 待ってるぞー!
心配(´・ω・`)
- 283 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/15(日) 15:48:39 ID:dZpPQ9Xo0
- まだか
- 284 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/15(日) 18:13:59 ID:sGscPiKQO
- せめて報告しろよ…みんな心配してるんだからさ…
- 285 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/18(水) 23:23:30 ID:ooSy1ddkO
- この作者には失望した 投下予告なんか二度とすんなks
- 286 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/19(木) 02:05:54 ID:gjObZgnMO
- 最近の若いモンは忍耐力が無いから駄目だな
黙ってじっくり待つ事も出来んとは…
- 287 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/22(日) 00:42:45 ID:y3.nfptw0
- まだか
- 288 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/23(月) 15:09:24 ID:DzPXpUNc0
- 作者死亡説が現実味おびてきたな
- 289 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/24(火) 20:21:41 ID:GPIovVUg0
- こなくなったタイミングがなぁ…
- 290 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/25(水) 22:57:06 ID:SWIkxsXoO
- ギコとパーティ組んだ話の途中で消えちゃったよね(つд`)
あらしに負けちゃったのかな…。
- 291 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/26(木) 17:34:46 ID:Cc.CURhU0
- あらしなんていた?
リアルタイムで見てたけど居なかったと思うんだが・・・
単純にネット環境ない所にいると予想
- 292 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 07:00:36 ID:otJPDn9MO
- 報告が遅れて本当に申し訳ありません。
>>1です。
PCが熱暴走の為、ポックリと逝ってしまい投下が遅れてしまっています。
携帯でこちらに報告しなければ、とも思っていたのですが『二度も予告して投下しなかった』という罪悪感に耐えられず、ズルズルと先延ばしにしていました。
しかし、消えてしまった4話をもう一度書き直してみると、どうしても投下したいという思いが湧いてきて、恥を忍んで戻って参りました。
先の失敗もありますので、具体的には言いませんが
近日中に投下させて頂きます。
失礼しました。
- 293 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 07:10:05 ID:ChNfnIPo0
- >>292
おお!続き期待してたんだ!
wktkしながら待ってる!
- 294 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 08:49:37 ID:HnFuCxrw0
- 待ってるよ
- 295 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 09:03:56 ID:r3waCsxQ0
- 凄く期待してる
- 296 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 09:41:46 ID:1HjLHyyMO
- 予告スルーされたって俺は気にせず待つぞ
行方不明よりよっぽどマシだ
- 297 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 20:29:24 ID:Qzfrzyzo0
- よかったよかった
- 298 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 22:47:54 ID:xwgFpXpwO
- ktkr!!!(・∀・)
- 299 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/31(火) 23:26:18 ID:S8mvA1ZU0
- やたあああああああああああああ
- 300 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/01(水) 11:55:32 ID:c.kCPNtI0
- くぃたあああああああ
待ってる
- 301 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/01(水) 21:29:21 ID:mfU.49L60
- よかっったああああ!!
このSS見てMHP3始めたんだ
まだアシラ狩るのもびくびくだけど面白いよ!
>>1ありがとう
- 302 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 12:20:16 ID:OeLLN6Qs0
- ζ(゚ー゚*ζ
- 303 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 12:48:41 ID:OeLLN6Qs0
- スレが……立てれない……だとorz
- 304 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:24:57 ID:OeLLN6Qs0
- ※注意
・元ネタ有り
・モンスターや装備についての独自解釈満載
・登場人物をAAに無理矢理変更している場合があります
まとめ
即席ブーン様 http://eksr.blog115.fc2.com/blog-category-20.html
フェレット速報様 http://xn--hckwcp3c2c5ce5k.com/
かぎまとめ様 http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-2217.html
避難所 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1300286882/
※漏れがある可能性小
- 305 :ハンター:2011/06/02(木) 13:25:51 ID:OeLLN6Qs0
- ●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6
所属猟団:無所属
使用武器:コウリュウノツガイ(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村
●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:???】
HR:5
所属猟団:荒鷲団
使用武器:???(大剣)
防具:???シリーズ
現在地:???
●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーV(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村
- 306 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:26:25 ID:OeLLN6Qs0
- ●( ^ω^) ブーン=ホライゾン
人間
19歳 【称号:無し】
HR:1
所属猟団:無所属
使用武器:デッドリボルバー(鎚)
防具:アロイシリーズ
現在地:ユクモ村
●ξ゚听)ξ ツン=ツンデレート
人間
19歳 【称号:無し】
HR:1
所属猟団:無所属
使用武器:ジャギットファイア
防具:ジャギィシリーズ
現在地:ユクモ村
- 307 :オトモ:2011/06/02(木) 13:28:05 ID:OeLLN6Qs0
- ●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村
- 308 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:28:36 ID:OeLLN6Qs0
-
大老殿を“伏魔殿”とはよく言った物だね。 私は職業柄、何度も出入りしているが
あそこに居るのは、“朽ちた生者”と“生ける死者”だけだよ。
―――ナイトリーダー 騎士長 フォックス―――
- 309 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:29:27 ID:OeLLN6Qs0
- この世界には3つの勢力が存在する。今回の話を始めるに当たって、これについて触れさせて欲しい。
まず一つ、ギルドマスターを中心としたユクモに住まう村人を守護する存在。
【狩人派】
二つ目、ユクモの村人に信仰されている“唄”。その担い手【歌姫】を中心とした存在。
【聖歌派】
そして三つ目、その歌姫を護るためだけに組織された存在。
【騎士派】
こう並べてみると、【聖歌派】と【騎士派】は同一勢力の様に思えるかもしれないが、それは誤解だ。
それを説明するには、まず【狩人派】と【騎士派】の不和について話をしなければならないだろう。
- 310 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:30:18 ID:OeLLN6Qs0
- 狩人は槍であり、騎士は盾。それはどうやっても交わることの出来ない相反する存在。
故に【狩人派】と【騎士派】は仲が悪い。仕える者がそれぞれ違うのだから当然と言えば当然だ。
これらの勢力に共通して言えるのは、結局村人の支えによって形を保っていられるという事だ。
狩人達は、村人達に衣食住を提供してもらう代わりに身の安全を保証している。
聖歌派は、村人達に信仰してもらう代わりに、唄という心の安らぎを提供している。
騎士派は、歌姫に身分を保証してもらう代わりに、歌姫の守護を司っている。
歌姫は、村人に支えられているのだから【騎士派】は村人に支えられているのと同義だ。しかし ここにワンクッションを挟む事により、その意味合いは限りなく不明瞭になってしまっている。
ここで最初の疑問に戻る。
「自分達が村人を守っているのだ」と自負する【狩人派】。「身分の低い狩人」を笑う【騎士派】。 傭兵と貴族の様な物である。
【聖歌派】は、そんな二つの勢力の緩衝材として存在しているのだ。
これらの三勢力が、歪にバランスを取って存在するユクモの地。
そこに突如乱入して来た新たな勢力。いや、勢力というには小さすぎる存在かもしれない。しかし、個人と片付けられるほど容易い存在でもない。
ドンドルマの狩人は、この混沌を如何様な光を以て照らすのか。
- 311 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:30:58 ID:OeLLN6Qs0
-
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
- 312 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:31:19 ID:lWuIEO9gO
- よーし支援だ
- 313 :4−1:2011/06/02(木) 13:31:47 ID:OeLLN6Qs0
- 狩りを終えて十数日。ドクオの元にギギネブラの素材が届いた。
幾つかの部位に仕分けされて送られたそれは、勿論全て狩人の手に入るわけではない。
ある程度はギルドが受け取り、それが収入源となる。 ギルドの運営も金無しでは行えないのだ。考えてもみてほしい。管理エリアに生存する全てのモンスターの頭数を管理し、バランス調整を人の手だけで行うのだから、それなりの金が必要となるのは必然だ。
ギルドから受け取った素材の全てを、ドクオはギルドが管理するアイテムボックスに預けた。ドンドルマからわざわざ運んできた幾つかの武器。新しい武器が必要だとは思えなかったから。
ドクオがユクモに着て数ヶ月の時が経った。顔見知りとなった人もかなり増えていた。
- 314 :4−1:2011/06/02(木) 13:33:55 ID:OeLLN6Qs0
- ミセ*゚ー゚)リ「お疲れ様でした!ドクオさん!」
('A`)「お疲れ様」
ギルドの受付嬢、ミセリ。
ζ(゚ー゚*ζ「あっ、ドクオさん。また狩りの予定があったら仰ってくださいね! 私もご一緒しますから!」
('A`)「あいよー」
弓使い、デレ=ツンデレート。
ξ゚听)ξ「あら、ドクオ。ちょっと顔貸しなさい。私に料理を教えるの。拒否権は無いわ」
(;'A`)「えっ、いや……なんか馴れ馴れしいな」
ライトボウガンを使う、デレの妹。ツン=ツンデレート。
- 315 :4−1:2011/06/02(木) 13:34:40 ID:OeLLN6Qs0
- そして、何よりもドクオの傍に居たのが
(*^ω^)<ドクオー!!
('A`)「ん」
ゴツン
( ^ω(メ)<イタイオ…… うるせー、豚野郎ニャー>(゚∀゚*)
やはりオトモアイルー、ツーであった。朝起きればドクオに会いに行き、朝食を一緒に頂いて、それから四六時中ドクオの後ろを付いて歩く。夕方には一緒に湯浴みをし、晩御飯を一緒に食べてドクオが眠ると帰っていく。
もう誰がどう見ても、主人とオトモだった。
そしてもう一人。ドクオと劇的に距離を詰めた者がいる。
( ^ω^)「ツー様、流石にボクでも顔面モロは痛いお」
('A`)「ブーン、もう来たのか」
(*^ω^)「おっ!今日もよろしく頼むおっ!」
ハンマー使い、ブーン=ホライゾンである。
- 316 :4−1:2011/06/02(木) 13:35:41 ID:OeLLN6Qs0
- ブーンは、狩りから帰ってずっとドクオの元に通い、指導を受けていた。
ドクオ自身、ハンマーを使った事はないが、凄腕のハンマー使いは幾人も見てきた。
以前、デレに教えを乞われて断った事もあったが、それは剣士とガンナーの違いによるところが原因だ。
剣士としての立ち回りなら、ドクオとしても教えることが出来るが、ガンナーとなると難しかった。
『太刀や双剣は自分の手足として考えられる事が多い』
『だが、ハンマーや大剣は違う』
『それは自分の身体の一部ではなく、確かに自分とは別に存在する物だ』
『だから、それを自分の中に受け入れるには何年もの鍛練が必要になる』
('A`)「意識するのは、自分の得物が通る道筋だ。柄の部分が通る道、槌が通る道、その全てを覚えろ」
言われながら、ブーンはひたすらにハンマーを振るった。何百、何千、何万回と。
そうしてブーンの手のマメが十数回潰れた時、一つの変化が起こった。
- 317 :4−1:2011/06/02(木) 13:37:15 ID:OeLLN6Qs0
- (;^ω^)「おっ?」
デッドリボルバーの重みが消えたのだ。
確かに持っているのだが、全く腕に負担を感じない。
('A`)「……ブーン、気を抜くな。その分、振りが早くなりすぎている。 感覚が無くなった今だからこそ、力を入れて握れ」
( ^ω^)「分かったお」
ブーンには十分素養があった。それはドクオも先のクルペッコとの戦いで気付いていた。 しかし、余りにも足りなかった経験。それが才能の開花を邪魔していた。
それともう一つ。引っ掛かる事があるのだ。
しかしこれをどうブーンに伝えたものか、それを悩んでいた。
突如飛来した鉄の塊。ドクオはヒョイっと、身を屈めてそれを躱した。
('A`)「……ブーン、ここまでにしておこう」
(;^ω^)「おっ?まだまだ余裕だお!なんだか全然ハンマーが重く感じないんだおっ!」
まだまだやり足りない、と不満気なブーン。
(*-∀-)=3「はー、そりゃそうだニャー。お前、今何も持ってないニャー」
( ^ω^)「……はい?」
気付けばブーンの手からハンマーがすっぽ抜けていた。
- 318 :4−1:2011/06/02(木) 13:38:33 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「……人がいなくて良かったな」
( ^ω^)「お……?」
(;^ω^)「おおぉぉおお!!!! 二人とも怪我はないかお!?」
重さにして軽く100kgを越える鉄塊が、すっ飛んでいったのだ。巻き込まれれば骨の一本や二本では済まない。
('A`)「大丈夫だ、心配するな」
(*-∀-)「あんなヒョロ玉、目を瞑ってても避けられるニャー」
周りに人が居なかったのが幸いだった。
いつもなら、この広場は子供達の活気溢れた声で満たされているのだが 最近少しばかり様子が違っている。
ユクモの祭りが中止になったのだ。
ユクモの祭りが、天候等により延期される事は今までにもあったが、中止、言葉を替えれば無期限延期となったのは初めてだ。
この異常事態には、村人だけでなく、狩人も驚く。ユクモの祭りは偉大な先人達を偲ぶ、大切な祭りだ。それが中止になる程の事態、気にしてしまうのも当然の事だった。
しかし、その声もギルドマスターの「秘密じゃーい」の一言で無かった事にされている。
思うところは多々あれど、アラマキが一言言っただけで、その話題を蒸し返そうとする者は居ない。
それ程にギルドマスターというのは隔絶された存在であり、人々から信頼されているのだ。
- 319 :4−1:2011/06/02(木) 13:39:25 ID:OeLLN6Qs0
- (;^ω^)「ドクオはどう思うかお?今回のユクモ祭りの中止」
滴る汗を拭いながらブーンは、ドクオに心に秘めていた疑問を尋ねた。
('A`)「今までで初めてらしいな。ミセリさんから聞いたよ。 うーん、ユクモの祭りについては、知らない所が多いから正確な答えは出せないが、やはりモンスターが関係してるだろうな。1週間程前なら、あの積乱雲の為に天候が不安定という理由も考えられたがな」
ユクモの村に迫ったあの積乱雲は、ユクモを逸れ、背後に聳えるユクモ山の頂に停滞していた。
(‘_L’)「面白い話をしてらっしゃいますね」
('A`)「ん……」
(*^ω^)「おっ!フィレンクトさんっ!久しぶりだお!!」
二人に話し掛けた男。黒髪で高身長。しかし線は細く、狩人のような隆々とした筋肉もない。
男の背後にどっさりと置かれた大量の荷物を見るに、行商人か何か。
(‘_L’)「ドクオさん、ですね。初めまして、私はこの町で行商人をしております、フィレンクトと申します。以後お見知りおきを」
スッ、と差し出された手。ドクオは少し躊躇しつつもそれを握り返した。
('A`)「……ドクオだ。こちらこそ宜しく頼む」
- 320 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 13:45:21 ID:PzvKDpbk0
- きたか?!きたのか?1
- 321 :4−1:2011/06/02(木) 13:46:21 ID:OeLLN6Qs0
- (‘_L’)「ふふっ、どうして自分の名前を知っているのか、という顔をしていますね。 貴方の名前は随分有名ですよ。なにせ、この村唯一のHR6の狩人。それも、HR1から5を全て飛び越しのHR6ですからね」
それは初耳だった。 確かに自分はHR6だと伝えられたが、唯一とは聞いていない。先日、腕相撲を行ったギコと名乗るあの男も、狩人として極上の雰囲気を醸し出していた。
('A`)「……アイツもHR6じゃないのか」
(‘_L’)「だから私達行商人の間では貴方はかなり有名なんですよ」
('A`)「なるほどな」
( ^ω^)「フィレンクトさんは、今日この村に着いたんですかお?」
(‘_L’)「そうですよ、ブーン君。その後の狩りはどうですか?」
ブーンとフィレンクトは、知り合いのようだ。ブーンが「フィレンクトさん」と呼ぶ言葉に確かな暖かみが含まれている。
(*^ω^)「おっ!聞いてくださいおっ!!ツンと二人でクルペッコを討伐したんですおっ!! それが認められてHR2になりましたおっ!!!」
(‘_L’)「おぉ! そうですか!これで一歩御父上に近付きましたね」
ブーンは、この間のクルペッコ討伐が評価されHR2に昇級していた。
先の戦闘を思い出すと、確かに危なっかしい所は多々あった。普通ならば昇級も見送られるはずだった。
大きかったのは、ギルド直属の狩人。ギルドナイトであるデレの口添えと、ツーの口利きだ。
('A`)「それで、何か用かな?」
(‘_L’)「えぇ、一つドクオさんに依頼したい事がございまして」
やはりクエストの依頼か、とドクオはやっと納得した。行商人と狩人は持ちつ持たれつの関係。狩人が行商人の行く道の安全を確保し、行商人が狩人に必要な道具を提供する。
- 322 :4−1:2011/06/02(木) 13:49:04 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「良いだろう、その依頼受けよう」
(;‘_L’)「そんな二つ返事で良いんですか? まだ内容も報酬も話していませんが」
('A`)「構わないよ。元々この村で狩人をやるのなら行商人との関係は良好でなきゃならないしな。
それに“理由”は貴方の後ろにいるソレだろ?」
ドクオが指差した先には、一人の少女が眠っていた。
すやすやと安らかな寝息を立てて
ユクモの樫木を薄く裂いて織られた籠のなかで。
*( ーー)*zzz
(‘_L’)「……お見通しでしたか」
('A`)「そりゃな。ただでも行商人の行く道は険しく危険だ。それを子連れで行くなんてな。 狩人の護衛も居たほうが良い、って所だろ」
(;^ω^)「おっ、フィレンクトさん。仕入れを延期には出来ないんですかおっ!?」
子連れで、凶悪なモンスターが潜む道を荷車を引いて進むなんて、堪らずブーンは口を挟んだ。
(‘_L’)「……残念ながらそれは出来ません。あの不気味な雲と、ユクモの祭りが中止になった事を訝しがって他の行商人達は仕入れに行こうとしません。
今、私が道の安全を皆に示さなければ、この村の流通は立ち行かなくなってしまいます」
( ^ω^)「そんな……せめて誰かに預けるとか……」
ふふ、とフィレンクトは自嘲し答えた。
(‘_L’)「元々私達行商人は根なし草。頼るツテもなければ、信頼出来る人も居ません。 それにこの子は、私の手で育てると決めているのですよ」
- 323 :4−1:2011/06/02(木) 13:50:32 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「騙し騙される行商人独特の考え方だな」
( ^ω^)「……そんな」
(‘_L’)「そうかもしれませんね。でも私は、この考えを曲げるつもりはありません」
如何に安く仕入れ、如何に高く売り込むか。それが行商人の腕の見せ所である。 その過程で嘘が交じる事など日常茶飯事。
勿論、感謝される仕事なのだ。
東で塩が足りないと聞けば、西で塩を買い売りに行く。その道が険しくとも、関係ない。
狩人に誇りがあるように、行商人にも誇りがあるのだ。
何時如何なる時でも、需要があればそこに向かう。どんな危険が伴おうとも、自分を呼ぶ声があれば、それだけでそこに向かう価値がある。
(‘_L’)「………」
この男も、その一人。誇り高き商売人だ。
('A`)「安心しろ。俺が貴方達の旅の無事を保証する」
それならば
背に差していた金銀の双剣を引き抜き、刃を下に向け両の手で重ね握った。
誇り高い男にはそれ相応の対応をせねばならない。
今までにも、こういう男を見たことがあった。
自分の利だけでなく、公共の利益の為に死ねる男。
- 324 :4−1:2011/06/02(木) 13:51:21 ID:OeLLN6Qs0
- 巨大な壁に突き当たった時、皆はどうする? よく観察してみる?登れないか試してみる?
僕?僕は、とりあえず全力でぶん殴るよ
大き過ぎる壁も、意外と薄っぺらい物さ
―――Spear The Gungnir ショボン=ライコネン―――
- 325 :4−1:2011/06/02(木) 13:53:31 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「依頼の受注を届けに来た」
ミセ*゚ー゚)リ「あっ、ドクオさん!先日は、美味しいご飯の差し入れをありがとうございました! 今日はギルドのクエストの受注ですか?」
('A`)「いや、個人からの依頼だ。依頼主は行商人のフィレンクト。北にあるサルシドという村までの護衛だ」
ミセリは、ドクオの言葉をすらすらとクエスト報告書に書き込んでいく。
ミセ*゚ー゚)リ「あっ、ドクオさん。ご一緒する狩人さんは居ますか?」
('A`)「いや。ブーンにはまだ早いだろうし、ギルドナイトのデレを、ギルドの依頼以外に連れていく事も出来ないだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「分かりました。一人……っと」
ちょっと待ってくれ、とそこで一声掛かった。
- 326 :4−1:2011/06/02(木) 13:54:52 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「オレも参加するぞ」
ミセ;*゚ー゚)リ「えっ、ギコさんも参加するんですか?でも、ただの行商人の護衛ですよ?」
(,,゚Д゚)「良いんだ、じじいからも許可は貰ってる。オレも行くぞ!! ドクオも構わないか?」
('A`)「俺は構わないが、良いのか?」
HR5のギコとHR6のドクオが、このユクモから離れるとなると万が一の事態が起こった時の防備に不安が残る。
(,,゚Д゚)「へっ、大丈夫だ。ユクモの狩人はそんな柔じゃない。俺が居なくとも十分村人を守るだけの力がある」
('A`)「そうか。それなら俺個人としては問題無い。後は依頼主の了承を貰うだけだ」
(,,゚Д゚)「おう!!フィレンクトだったな!早速行ってくるぞゴルァ!!!」
そう言うと、ギコは背中に担いだ自分の身の丈以上の大剣の重さも感じさせぬ身のこなしで、風のように去っていった。
('A`)「全く、せっかちな奴だなー」
ミセ*゚ー゚)リ「でも、あの不気味な積乱雲。それにユクモの祭りの中止。それを考えれば、現有戦力の中でも最高の力を持つ二人を出すのも納得できる事かと」
ミセリの一言に、ドクオの眉が少し動いた。
('A`)「……ほぉ」
ミセ;*゚ー゚)リ「あっ!いや、そういう考え方も有るだろうな、と思いまして……」
ミセリが言う、最もな意見を聞きドクオは一つ、息を吐いた。
面白そうに。
- 327 :4−2:2011/06/02(木) 13:58:08 ID:OeLLN6Qs0
- *(‘‘)*「くろかみ♪ なーがい髪をのばしてー♪ ほーそい手足はもやしのよう♪ 背にはふたつの刀がひとつー♪ リオの名を持つ金と銀ー♪」
少女の澄んだ歌声が響く。見上げると青空も澄み切り、ぷかぷかと浮かぶ雲はゆったりと西から東へと流れている。
砂利道をガタガタと揺られながら、ガーグァが引く荷車に四人の人影があった。 三人の男と一人の少女。
*(‘‘)*「こーわい顔のライオンさん♪ 金のたてがみなびかせてー♪ 背には大きな剣がひとつー♪ ギラギラ瞳を光らせてー 狩人さんはせっかちさん♪」
少女の歌に、ドクオはククッと笑った。
(,,゚Д゚)「……俺の事か、こわい顔って」
('A`)「子供は正直で良いなー」
テメェ、ゴルァと掴み掛かるギコを軽くあしらうドクオ。 そんな二人に挟まれた少女は、いつもとは違う日常に顔を輝かせている。
*(‘‘)*「みんなで旅するのは楽しいねー」
('A`)「そうだなー、ヘリカル。なっ、ギコ」
(;,,゚Д゚)「おっ、おう!!楽しいぞゴルァ!!」
『こら、ヘリカル。あまり狩人さん達を困らしてはいけないよ』
ガーグァを操っていたフィレンクトから声がかかり、少女は一旦歌うのをやめる。
*(‘‘)*「はーい、お父さん」
子供が作り出す、特有の柔らかな空気。誰しもが持っており、誰しもが大人となる過程で失う物。
それをドクオは確かに暖かいと感じた。
そしてギコも。
- 328 :4−2:2011/06/02(木) 13:58:59 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「……良いな、子供は」
(,,゚Д゚)「そうだな」
ギコが少女の頭を撫でると、少女はくすぐったそうに、気持ち良さそうに、目を瞑った。
('A`)「そういえば、俺とお前は同い年なんだってな」
(,,゚Д゚)「おう、そうらしいな。その年で“G”とは恐れ入るぞ」
('A`)「いや、ギコは猟長として色々な事に時間を割いてきたからだろう。俺はただひたすらに狩りをするだけの生き方をしてきたからな」
【猟団】というのは、同じ主義思想を持つ者同士が集まって作られる組織。ドンドルマにあった有名な猟団を挙げるならば【空王の終】などがある。
これは、空の王者と呼ばれるとある飛竜を専門的に狩る猟団である。
(,,゚Д゚)「俺の猟団は、ただ自身の向上を目指す者が集まっているだけだ。 条件もHRによる制限も無い。まぁ、ただの酒飲み友達の様なもんだ」
実直な男、それがドクオのギコに対する最初の印象。そしてそれは間違っていなかった。
それに加えて、謙虚さ。
上に立つ者の自覚を持ちながらも、個人としての尊敬を忘れない姿勢。
こうして落ち着いて、彼と話す事は少なかったドクオだったが
やはり、その印象は間違っていなかったのだと再認識する。
- 329 :4−2:2011/06/02(木) 14:00:33 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「ユクモにはHR6の狩人は居ないと聞いていたんだが」
ここで、ドクオはユクモに来て不思議に思っていた事を尋ねる。
(,,゚Д゚)「……それには、色んな原因があるんだ。 ドンドルマではどうやってG級になる?」
('A`)「……これと言って試験のような物は無いな。俺の場合、Gの名を持つ飛竜を狩っていたら、自然とそう言われるようになった」
そうか、とギコは腕を組む。
(,,゚Д゚)「ユクモに所属する狩人の数は多くない。だからこそ、俺たちはちゃんと示されたルールによって昇級してきた。先日、ベーンさんの倅がクルペッコを討伐してHR2に上がったのも、クルペッコがギルドの指定する昇級モンスターだったからだ」
(,,゚Д゚)「そういう風にして、HR1〜5までの試験には指定されたモンスターを倒す、という決まりがあった。 しかし問題はHR6だ。狩人の数が少ないユクモではHR6を持つ狩人は元々二人しか居なかった」
('A`)「一人は、ブーンの親父さんかな?」
その通りだ、とギコは驚いた様子で目を見開いた。
(,,゚Д゚)「1人はブーンの親父さんであるベーンさん。そしてもう一人は、この村の英雄であるロマネスクさんだ」
('A`)「ふむ」
ここでドクオがブーンの父親がHR6だと言い当てられたのは、いくつかの理由がある。
ギコの『ベーンさん』と呼ぶ言葉に確かな尊敬の念を感じたこと。ブーンの持っていたデッドリボルバーが醸していた雰囲気。そして毎年誕生日にはリオレウスの素材を貰ったといっていたブーン。
特に三つ目。そう易々とリオレウスを狩ることの出来る者は多く居ない。やはりHR6に準ずる何者か、だとドクオは内心星を付けていた。
(,,゚Д゚)「その二人に認められる事がHR6になる為の条件だった」
なるほど、ここまででドクオがユクモの現状を理解するには十分。
HR6が自分以外に存在しない理由は、そういう事だったのか。
- 330 :4−2:2011/06/02(木) 14:10:47 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「その二人が居なくなっちまったからだよ。ユクモにHR6が生まれなくなったのは」
そして、ドクオはここでもう一つ合点のいった事がある。
いきなり現れた俺を、HR6にしたギルドマスターの意図。
そして急に狩りに同行すると買って出たギコ。
つまりは、ドクオに見極めろと言うのだ。
Gを戴く者として。
ギコがHR6に相応しいか、否かを。
全く、けったいな押し付け方をするものだ、とドクオは内心溜め息を吐いた。
('A`)「概ねの事情は分かったよ」
(,,゚Д゚)「……すまねぇな。ユクモに来たばかりのお前さんにこんな事を押し付けて。
しかしロマネスクさんが死に、ベーンさんが旅立った今、ユクモに新しい風をもたらす事が出来るのは、お前さんだけだと、うちのじじいも判断したんだ」
('A`)「べつにGだからといって、この村に何か貢献をしたわけでもない。そんな俺がこんな大事なことを決めていいモンなのかね」
ははは、とギコは笑った。
(,,゚Д゚)「よそ者にそんな事を頼まなきゃならないくらい事態は切迫してるのさ」
優しくヘリカルの頭を撫でながら自嘲気味に呟く。
- 331 :4−2:2011/06/02(木) 14:12:20 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「切迫……ねぇ。 そういえばもう一つ気になっていたことがあるんだ」
(,,゚Д゚)「おう! なんだ!」
('A`)「ツーの事なんだが、何故村の人たちはツー様と呼ぶんだ?」
これも気になっていた事の一つであった。 確かにアオアシラとの戦闘で見せた人を護る気概。ギギネブラ戦で見せた仕事の速さ、尊敬を受けるだけのものはあると思う。
しかしそれでも“様”は言いすぎだと、思っていた。
(,,゚Д゚)「なんだ、ツー様から聞いてないのか?」
('A`)「なにも聞いてないな」
ふぅむ、と腕を組み少し考えるギコ。
(,,゚Д゚)「ツー様はな、亡くなったロマネスクさんのオトモだったんだよ」
('A`)「ほう」
村を救った英雄、ロマネスク。
その命と引き換えに。
(,,゚Д゚)「あれは俺が十二の頃だ。ユクモの四方を囲むように三頭のディアブロスが住処を作った。元々ディアブロスは肉食ではないが、その獰猛な性格と攻撃性故に第一種危険モンスターとして扱われていたが
それが三頭同時に現れたんだ。 ギルドも気が付かなかった訳じゃないんだろう。それはそうさ。調査に向かった狩人達、その全てから連絡が途絶えれば嫌でも気づくだろうからな」
その時の俺は、絵に書いたようなクソガキでな。なにかお祭りのように感じたよ。いつもは毅然と振舞っている大人達が、慌てふためいているのを見て、どこかしらの非日常性を感じてたんだ。
でも、ユクモの近くにあった幾つかの集落が壊滅したと聞いて、そんなお祭り気分もぶっ飛んだよ。
親しくしてもらっていた者もその中には居た。
そんな人たちの、原形を留めない位にグチャグチャにされた死体を見れば、どんなクソガキだって事態の深刻さに気が付いた。
もうユクモは終わりだ、なんていう自暴自棄な終末論者と。狩人ならば何とか出来るという無責任な希望的観測をする者しか居なかった。
でも、あの人だけは違っていた。
- 332 :4−2:2011/06/02(木) 14:12:55 ID:OeLLN6Qs0
- こんな絶望的な状況の中で、ただ前だけを見ていた。
多分、ロマネスクさん自身も分かっていたんだと思う。誰よりも。
この討伐で自分が命を落とすことを。
そして、ロマネスクさんは討伐に向かった。
('A`)「それで死んだのか」
(,, Д )「……あぁ、死んださ。 でも犬死じゃねぇ!!! あの人は三頭のディアブロスを全て狩り、死んだ!!! 村を救って死んだんだ!!!!
だから絶対犬死じゃねぇんだ!!!!!!」
響き渡るギコの怒声。余りの声量に、辺りの葉っぱがざわついた。
('A`)「そうだな、確かにロマネスクという人は死は犬死ではなかったようだ」
(,,゚Д゚)「……お前に何がわかるんだゴルァ」
('A`)「わかるさ、俺にも。お前はその死を踏み越えて、今狩人をしてるんだ」
(,,゚Д゚)「……」
('A`)「その人が、お前を強くしてくれたんだ。だから、その人の死は無駄じゃないさ」
- 333 :4−2:2011/06/02(木) 14:14:17 ID:OeLLN6Qs0
- 沈黙。しかし息苦しく緊張感を持ったそれではなく、優しくその空間が一枚の絵になったような、やわらかな空気。
(,,゚Д゚)「……そうか」
('A`)「あぁ。そうだとも」
- 334 :4−2:2011/06/02(木) 14:17:25 ID:OeLLN6Qs0
- 次の日、生憎の雨。しかし雨雲は厚くなく足も速かった。
四人は、といってもヘリカルはすやすやと眠っているので三人だが、荷車を押して再び道を進んでいる。
ヘリカルが喋らなくなってしまって、とんと三人の間の会話の声は途絶えた。
('A`)「……」
そんな中ここで一つ、ドクオが気になっていたことを質問する。
('A`)「……失礼だがご主人。ヘリカルと貴方は親子なのか?親子にしては歳が離れすぎていると思うのだが」
(,,゚Д゚)「……ドクオ、あまり詮索するもんじゃねーぞ」
(‘_L’)「ふふっ、気になりますか?」
確かにドクオの言う通りだった。籠ですやすやと寝息を立てている少女は四、五歳。
フィレンクトの歳は四十過ぎ位か。
確かにこの子の年の親だとすれば、少し歳が高い。
('A`)「気になる、というかな。こうやって寝食を共にし、一時とはいえ、命を共に賭けているんだ。 だからこそ、秘密を作りたくない。勿論、俺に質問があるならば誠心誠意答えさせて貰う」
フィレンクトは『なるほど』っと、口元に拵えた髭を撫でながら笑った。
(‘_L’)「お察しの通り、私はこの子の本当の親ではありません。この子は拾い子ですよ。親をモンスターに食われた可哀想な子です」
('A`)「……いや、可哀想という理由だけではないはずだ。商人は余計な荷物を背負わない。人であれ物であれ、な。それが手の掛かる子供となれば尚更だ。 ご主人は、この子に一体どんな負い目がある?」
ゆらゆらと揺らめき始めた炎。雨は、やはりにわか雨だったのか、しとしとと降ってすぐ止んだ。しかし、頬を打つ様な風が出てきた。
(‘_L’)「はぁ、全てお見通しですか。流石聞きしに及ぶGですね。 つまらない、ありきたりな話ですが、お話しましょう。 ……あれは三年前です。私を贔屓にしてくれていた村があったのですがね。そこが7m以上の体躯を持つアオアシラに襲撃されるという事件がありました」
(,,゚Д゚)「三年前といやぁ、アプトノスの大移動があった年だぞ!」
アプトノスの大移動、耳にした事がある言葉。デレの祖母が亡くなる切っ掛けとなった事件。
- 335 :4−2:2011/06/02(木) 14:18:46 ID:OeLLN6Qs0
- (‘_L’)「あの年の狩場は荒れに荒れていました。ギコさんならばご存知だとは思いますが」
(,,゚Д゚)「……確かに、あの年は何から何までおかしくなってたぞ! アプトノスの所為で地形まで変わっちまった所もあったし、異様に飛竜の数が減っちまってたぞ!」
アプトノスは、この世界で組み上げられた生態系のピラミッドの中で最下層に所属する草食種だ。
しかし、その固体数は他を圧倒する。
元来の大人しい性質故に、取り上げられる事は少ないが 一つ、特筆される事柄がある。
それは、群れを形成する事である。
ここで一つ、皆も疑問に思っているであろう事を説明しておく。
ジャギィやフロギィ達も、確かに群れを形成する。しかし、アプトノスの群れとジャギィの群れでは、全く異なる意味を持つ。
ジャギィは、お互いの都合の為に群れを成す。
狩りを効率よく行うためであったり、集団で暮らす事により天敵である飛竜種や牙獣種に対抗する為であったり。
謂わば、共同体。
同じ共通の目的を持つ集団なだけで、仲間ではないのだ。
しかし、アプトノスは違う。
助け合い、時に幼体を護るために飛竜にでも向かっていく。
謂わば、家族である。
- 336 :4−2:2011/06/02(木) 14:21:47 ID:OeLLN6Qs0
- その群れが、何十万頭という固まりが何百キロの距離を移動すれば、木々は薙ぎ倒され、生い茂っていた草は踏み潰される。
(‘_L’)「火事場泥棒、とは言いませんが。あの時、私は出来る限りのハチミツを集めていたんです。いつもハチミツが密集していた場所を根城にしていた小型の鳥竜種や青熊獣が、アプトノスの大移動によって住みかを替えざろうを得なかった。 それを利用して、私は出来る限りのハチミツを集めました」
('A`)「……」
(,,゚Д゚)「……」
それが引き金。食料であるハチミツを失ったアオアシラがどうなるのか。それを予想できなかった商売人フィレンクトの失態。
(‘_L’)「飢えたアオアシラは、山から一番近い村を襲いました。そこで犠牲になった六人。私が殺した六人と言っても良いでしょう。 その被害者の娘ですよ。ヘリカルは」
('A`)「……なるほど」
(‘_L’)「自分の仕事が村を、人の生活を支えているという自覚がありました。 人の命に関わる仕事だという事も。けれど、こんな形で人の命を奪うなんて行商を始めて二十五年、想像すらしていませんでした」
『だから私が、この子を護るのは義務なんですよ』
大きな、本当に大きな手がヘリカルの桜色した頬を撫でる。
- 337 :4−3:2011/06/02(木) 14:23:29 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「お前さんはどう思う」
夜も更け、月も山の向こうに姿を消した。
護衛の任を預かる二人は、同時に寝る事をしない。
今は、ドクオが警戒をしている。
寝袋に入りながら、ギコは問い掛けた。
('A`)「フィレンクトさんの事か?」
正直なところ、ドクオもフィレンクトの事は計りかねていた。 先程のエピソードを聞くかぎり、利益至上主義のようにも感じる。 だがヘリカルを見つめる、あの瞳を見てしまえばそれが間違ってるようにも思えた。
(,,゚Д゚)「……あぁ。こう言っちゃなんだがフィレンクトさんは一概に悪いとは言えない。 俺達狩人にだって予見する事が出来たはずだ。俺が有志を募って狩場周辺の警護をする事だって出来たんだぞゴルァ!!」
確かにギコの言う事は正論だ。
しかし、〜〜たら、〜〜ればの机上の空論に過ぎない。
何処までも真っ直ぐに、折れる事を知らない、この狩人は、それでも許せなかったのだろう。
しかし、だからこそドクオはこれを否定した。
('A`)「……ギコの言いたい事は分かる。だが割り切らなければならない時は、割り切る。 俺達の力は、確かに村人から見れば絶大なのかもしれない。だが、それでも人間だ。出来る事には限りがあるし、いくら命を削った所で、それではたかがしれている」
(#,,゚Д゚)「分かってるぞっ!!そんなの分かってるに決まってんだろーがゴルァ!!!!」
いつの間にかギコは、寝袋を這い出し外に出てきていた。
(,,-Д-)「それでも俺は諦めたくないんだぞゴルァ……」
挺身の英雄、ロマネスクに憧れ狩人になったギコに育まれた清廉な心意気。
- 338 :4−2:2011/06/02(木) 14:24:14 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「いつかのその心が、お前を殺すとしてもか?」
(,,゚Д゚)「あぁ。もしそうなったとしても、俺は笑顔で死ねる。 その理想を抱いたまま逝けるなら、俺は笑って死ぬ」
ドクオは素直に悲しい、と思った。だが同時に美しいとも。
一人の命を救うために死ぬのなら、長く生きもっと多くの命を救った方がパフォーマンスは良い。 確かに数字の上ではそうだ。
しかしそれが正解か、と聞かれれば。
('A`)「なら、強くなるしかないな。どんな敵と戦っても負けないように強くなるしかない。 その志を決して忘れるな。それがお前を強くしてくれる」
(,,゚Д゚)「おう!! ドクオ!俺は強くなるぞゴルァ!!!」
あぁ、お前はきっと強くなるよ。ドクオは、そう呟いて荷車の中に戻って行った。
- 339 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 14:24:55 ID:OeLLN6Qs0
- >>337 3−2です 間違えました
- 340 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 14:25:41 ID:OeLLN6Qs0
- ぶっはw 4−2です
- 341 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 14:47:26 ID:4DunLLb60
- 勃起不全のおっさんがハメ撮り公開してるw
http://bit.ly/j0p0KJ
- 342 :4−3:2011/06/02(木) 15:03:30 ID:OeLLN6Qs0
- 次の日、四人は再び日が完全に顔を出す前に動き出した。
早朝にも関わらず、ヘリカルもテキパキと積み荷を数える手伝いをしている。
*(‘‘)*「おとーさんはえらいんだ♪お日さまよりも早起きで♪お月さまより夜更かしさん♪」
昨日の雨のおかげか、いくらか気温は下がっていた。しかし、妙に空気が絡みつく。湿度が高いためか、ヘリカルを除く大人三人の口数は少ない。
いや、気候以上にもう一つ理由があった。
('A`)「……騒がしいな」
草食獣達の声が、昨日とは比べものにならない位多いのだ。
(,,゚Д゚)「あぁ、準備はしておいた方が良さそうだ」
ギコもこれを的確に感じ取っていた。背に担いでいた【大剣】ジークムントを手に取り、剣先を足で固定し万遍なく研ぎ始める。
草食獣の移動は、一部例外を除き、天敵が現れた時にのみ行われる。
天敵、つまり飛竜だ。
('A`)「フィレンクトさん、積み荷の内容を聞いていいか?」
(‘_L’)「良いですが、様々ですよ。一番多いのは、ユクモの祭りが中止になり余ってしまった“光虫”でしょうか。他にも、アオキノコや、不死虫等もあれば、素材玉等もあります。 しかし、今回の一番の目的は出荷ではなく入荷です。ギルドから大量の“カクサンデメキン”を依頼されたのです」
カクサンデメキン、という言葉にドクオの眉が釣り上がった。
- 343 :4−3:2011/06/02(木) 15:06:21 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「それは……穏やかじゃないな」
カクサンデメキンとは、絶命時に爆散する極めて取り扱いの難しい魚である。 その性質故に生きたまま運ぶ事が絶対条件であり、もし大量のカクサンデメキンを運んでいる途中に一匹でも死んでしまえば、見るも無残なカクサンデメキンの連鎖爆発が起こる。
その使い道は一つ。
('A`)「大樽爆弾Gか……」
(‘_L’)「えぇ、恐らくは。しかし余りに大量の発注だったため、私としても戸惑っています。ギルドは戦争でも始める気なのでしょうかね」
フィレンクトは冗談のように言ったが、これをドクオは否定しなかった。
- 344 :4−3:2011/06/02(木) 15:20:51 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「!!」
不意に地響きが聞こえた。方向は北東。嫌でも気が付く。なにせ木々が薙ぎ倒されながら此方に向かって来ているのだから。
ドス、ドスという継続的な足音。距離にして一キロ。真っ先に悲鳴を上げたのはヘリカルだ。
速い、いや大きいのだ。その一歩の幅が大きいからこそ速い。
足音の大きさ、向かってくる早さからして15mいや、20m級だ。
紛れもなく飛竜、それも成体の。
('A`)「皆荷台に捕まれ!弾き飛ばされるぞ!!」
目の前に差し迫った巨大な竜。フィレンクトとヘリカルは息を呑む。 ドクオは茫然自失して動けなくなったヘリカルを素早く、そして強く抱え込んだ。
次いで衝撃。
数百キロはあるガーグァが、葉っぱのように荷台の更に後方に飛ばされてきた。 荷台はへこみ、半分以上の荷物が地面に散乱してしまった。
厳重な鉄の箱に入れられた物以外は全てひしゃげてしまっている。
('A`)「ギコ、無事か!?」
(,,゚Д゚)「あっ、あぁ。俺は問題ねぇ。ヘリカルは?」
ヘリカルは、突然の飛竜の出現と地面に投げ出された衝撃を受け気絶してしまっていた。
しかし、ぱっと見て外傷は無い。
- 345 :4−3:2011/06/02(木) 15:22:19 ID:OeLLN6Qs0
- 『うぅ……ぐぅ……』
問題はもう一人、ガーグァを操っていたフィレンクト。苦しそうな呻き声をあげ、半壊した荷台の前部に挟まれている。
すぐさま狩人二人は己の得物を構え、荷台の前に踊り出た。
(,,゚Д゚)「コイツは……最悪だぞ」
('A`)「……」
二人の前に立ちはだかったのは、飛竜。それも飛竜の中の火竜。
曰く 【天空の覇者】
曰く 【飛竜の王】
曰く 【炎からの使い】
【火竜】リオレウス
深紅を纏う、その身体。
何物をも寄せ付けぬ、その翼。
犯し悶えさせる、その毒爪。
威風堂堂、翼を広げるその姿は正に天空の覇者。 どんな生物であろうとも、その姿を見れば、身を潜め通り過ぎるのを待つという。
吟遊詩人に唄われたその生物が、今にも四人に飛びかからんと迫った。
- 346 :4−4:2011/06/02(木) 15:30:05 ID:OeLLN6Qs0
- 狩人達と長きに渡って戦ってきた飛竜。その中でも火竜、そして雌火竜との戦いの歴史は長い。
狩人が、一番理解している飛竜と言っても良い。
だが言い換えれば
狩人の事を一番理解している飛竜、とも言える。
―――【空王の終】 猟長ペニサス=ランクルス―――
- 347 :4−4:2011/06/02(木) 15:32:24 ID:OeLLN6Qs0
- この威圧感。この迫力。正真正銘、飛竜のそれ。
チリチリと焼け付くようなプレッシャー、目の前の竜が息を吐き出す度に身体を焦がすような熱を感じる。
('A`)「……」
引き抜いた双剣は油断無く正眼に構えた。
この状況、【火竜】リオレウスが一吹きするだけで一変する。それ程までに、この飛竜は強大。
かなり不味い状況だ。手負いのフィレンクトに、ヘリカル。荷物が多すぎる。
('A`)「……ギコ、フィレンクトさんの状態はどうだ?」
ヘリカルに怪我は無い。だがガーグァを運転席で操っていたフィレンクトは、直撃しないまでも、その衝撃を身体に受けてしまったはずだ。
(,,゚Д゚)「……足をやられてるぞ! 折れてはいないが走れそうにはねぇ!!」
(メ‘_L’)「……お二人とも、私を置いていって下さい」
見ればフィレンクトの太股から踝にかけて、全体が赤く腫れている。今は、まだ大した怪我には見えないが半日も経てばドス黒く変色するだろう。
目から、耳から、次々と入ってくる情報を迅速に組み上げ消化していく。
('A`)「一旦退くぞ」
選択したのは、逃げだ。この場合は仕方がない。何かを護りながら戦うというやり方は、狩人の領分ではないのだから。
- 348 :4−4:2011/06/02(木) 15:33:38 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「そうした方が良さそうだな」
('A`)「ヘリカルを頼む。俺はフィレンクトさんを連れていく。 まずは、二人の安全を確保したい」
(メ‘_L’)「無理です!私は走れません!!」
(,,゚Д゚)「もう少し行ったところに、小さな洞窟がある。そこまで走るぞ!」
二人は徹底的にフィレンクトの意見を無視する。 確かに彼の言う事は正しい。手負いの者を庇いながら逃げ切れる程、リオレウスは易くない。
だが、その尺度に狩人を当てはめるのは間違いだ。
ギコの抱える大剣、それだけで100キロ以上の重量がある。 それを背負いながら50mを6秒足らずで走る狩人に、子供一人は大した障害ではない。
(,,゚Д゚)「少し我慢してくれよ、ヘリカル」
胸当てを少し緩め、そこにヘリカルを納める。
('A`)「走れ!!」
(;‘_L’)「ぐぅ……」
斯くして狩人と飛竜の鬼ごっこが始まった。
ここでリオレウスという飛竜について、もう少し詳しく述べておこう。
まずここで知っていてもらいたいのは、飛竜という種の事だ。 何故、彼らが飛竜たり得るのか。
それは読んで字の如く、飛べるからである。
- 349 :4−4:2011/06/02(木) 15:34:27 ID:OeLLN6Qs0
- 飛竜にもいくつかの種類が存在するが、その全てが飛行可能だ。
その手段は、翼であったり、跳躍であったりと様々だが。 彼等は空を支配する。
空を飛ぶ事のメリットは、もうクルペッコとの戦闘の時に示しておいたので、詳しくは割愛するが
最大の利点は【自分のタイミングで戦闘を切り上げられる】という事にある。
これにより、飛竜は一撃離脱、電光石火の術を学んだ。
リオレウスは、その最上だ。彼らは空を自由に飛び回り、獲物の一瞬の隙を見逃さずに仕留める。
まさに空の王。上空に滞空し、放たれる尖爪の一撃は生きとし生ける物を死へと誘う。
普通の飛竜にこんな事は出来ない。
これは、飛ぶ事により特化したリオの名を冠する二種の飛竜のみに許された必殺の技である。
そして、もう一つのメリット。
それは純粋な速さだ。
- 350 :4−4:2011/06/02(木) 15:36:13 ID:OeLLN6Qs0
- (;'A`)「………チッ」
(;,,゚Д゚)「やべぇ、もう来やがったぞゴルァ!」
その速さに抗う術を持たぬ人間は、ただただ祈るのみ。
【どうか自分を狙うな】と。
仲間が食われようて構わない。
だから来るな。
自分に尖爪。
醜いと思うかもしれない。だがこれは真実。圧倒的な飛竜の体躯を目の当たりにして、自己犠牲の精神を働かせる者など存在しない。
('A`)「散開ッ!!」
(,,゚Д゚)「おうよ!」
しかし、これらの前提は全て力無き獲物に当てはめられる事。
狩人とは獲物に非ず。狩人とは“狩る者”。
バラバラに走りだした二人は、それぞれ木立の陰に入りリオレウスの視界から消える事に成功する。
('A`)「……」
(メ‘_L’)「……私の事は、置いていってくれても良かったのですよ」
フィレンクトは、先程から思い詰めたようにうなだれていた。
確かに客観的に見てフィレンクトは荷物以外の何物でもない。それはフィレンクト自身が一番適切に理解している。
例え狩人であろうとも、いや狩人だからこそ人一人という荷物は重い。
('A`)「それでも俺達は、やらねばならない」
- 351 :4−4:2011/06/02(木) 15:37:10 ID:OeLLN6Qs0
- (メ‘_L’)「……」
('A`)「例え、この道が困難であろうと、険しくあろうと、俺達は往く」
それが狩人。人間を守り、飛竜を貫く槍なのだ。
('A`)「フィレンクトさん。脚は痛むか?」
(‘_L’)「……生まれてこの方、こんなに痛いのは初めてです」
('A`)「少し無理をする。傷が広がるかもしれない。痛ければ声を出しても構わん。ただ、俺の首から絶対に手を離すな」
(;‘_L’)「何故そこまでするのです!? 私は……私を置いていけば、皆さんが助かる可能性は、かなり上昇するはずです!」
フィレンクトには理解が出来ない。そんな簡単な事を、何故この狩人は分かってくれない。
天秤に賭けるまでもない。私の命と、三人の無事。同じ質量の物が一つと三つ。言うまでもなく、後者が優先されるべきだ。
('A`)「命に質量なんて存在しない」
(‘_L’)「!!」
思考が口から漏れてしまっていた。
('A`)「今と同じ言葉、ヘリカルにも言えるか?」
(;‘_L’)「………」
それに、と区切ってドクオさんはこちらを真っ直ぐ見据えて言い切った。
- 352 :4−4:2011/06/02(木) 15:39:30 ID:OeLLN6Qs0
-
('A`)「“G”の狩場に敗北は無い」
- 353 :4−4:2011/06/02(木) 15:46:42 ID:OeLLN6Qs0
- 言うやいなや狩人は飛び出した。速度は最速、先程までのスピードはローギア。発進ギアだったとでも言うようなスピード。
前方から向う風の音が轟々と耳を擘く。フィレンクトは、あまりの圧力に思わず手を離しそうになる。
目も開けられない。
猛進、そして蛇行。
リオレウスもこれには目を回した。
それでも、純粋なスピードではリオレウスがやや勝っている。 少しずつ獲物に近づき鋭く爪で薙ぐが、その瞬間に奇妙に動くのだ。
右に左に、リオレウスが目を向けた方とは必ず逆に、獲物は逃げていた。
それを見ていたギコも動き出す。目指す洞窟は、もうすぐそこだ。
ドクオに気を取られている今、辿り着く事は容易い。 ギコは一気に駆けた。今ばかりは、胸に抱いたヘリカルを気に掛ける余裕はない。
彼が命を賭したのだ。自分にも救わねばならない命がある。
(,,゚Д゚)「なんて速さだぞ、ゴルァ……」
あの速さ、そして動き。まさに疾風迅雷。
疾く風、まさに雷の迅。
ドクオは、みるみる内に目的地だった洞窟を通り越していった。
これは陽動、より安全にヘリカルを逃がすためにドクオが敢行した捨て身。
(,,゚Д゚)「あんにゃろう……それはオレの仕事だぞゴルァ!!」
洞窟に飛び込む。すぐさまヘリカルを出来るだけ奥の入り組んだ場所に寝かせて外に飛びだした。
- 354 :4−4:2011/06/02(木) 15:47:53 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)(……ギコは洞窟に入れたか)
ドクオは一気に脚を停止した。
一瞬の間。そして吹き抜けた轟風。
リオレウスは、いきなり視界から消えた獲物に困惑する。
だがリオレウスは飛竜。そんな誤魔化しが通じるのは一瞬だけ。
すぐさまリオレウスは、後ろに反転する。
('A`)「……流石は空の王。これくらいでは撒かれてくれないか」
もうすぐ手が届く、リオレウスも必死だった。
あの素早く動く鼠を捕えるのは至難の業。
リオレウスの本能は、それを正しく理解していた。
だが逃げられれば追う、というのもまた本能。
リオレウスは笑っていた。今はこの鬼ごっこが楽しいのだ。
しかし、楽しい時間はこれで終わりだ。
リオレウスは、体内のある器官に指令を送る。
リオレウスの翼に付随する、もう一つの武器。
リオレウスを火竜たらしめる、その武器。
ドクオも、的確にその動作をキャッチする。
- 355 :4−4:2011/06/02(木) 15:49:01 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「チッ……あともう少しだっていうのに」
背後からジリジリと伝わる異常な熱量が、それを文字通り肌で感じさせる。
火球ブレス。リオが吐き出すその息は、生きとし生ける物の命を刈り取る死神の鎌。
('A`)「!! ギコ!!構えろ!!!!」
(,,゚Д゚)「任せろゴルァ!!!」
確かに捉えた背中、文句なく命中。
あの忌々しい鼠が、王たる自分の息吹きを食らって生きられるはずがない。
しかし、それを阻む者がいた。
(,,゚Д゚)「ゴルァアアア!!!!!」
ギコの構えた大剣は、王のブレスを全て受け止め雲散させた。
ドクオは、間一髪で洞窟の中に滑り込んでいた。
('A`)「ギコもとりあえず中に入れ。対策を練るぞ」
(,,゚Д゚)「おう!!」
リオレウスは、何度か前脚で洞窟に逃げ込んだ鼠を引き摺り出そうとするが、入口が小さすぎて上手く入らない。
数十分、それをずっと繰り返すが やはり届かないと悟ると、翼を広げ上空へと去っていった。
- 356 :4−4:2011/06/02(木) 15:50:14 ID:OeLLN6Qs0
- 一方、洞窟の中ではフィレンクトの手当てが行われている。
軽く見ただけで、打ち身、打撲、裂傷を負っている。 幸いにもリオレウスの爪で裂かれた訳ではなく、破壊された荷車の廃材で脚を切っていただけだった。
('A`)「動脈は切れていない。静脈ならば薬草を磨り潰して塗り込み、綺麗な布で圧迫すれば問題ない」
(‘_L’)「……すいません、お手数をかけます」
('A`)「気にするな」
(,,゚Д゚)「………」
テキパキと進められるドクオの応急処置を見ながら、ギコはどこか腑に落ちなかった。
昨夜ギコと話していたドクオなら、三人の無事の為にフィレンクトを置いてくるかもしれない、と内心思っていた。
そして先程見た、あのスピード。
あの人外の速度は、人を担ぎながら出来る物ではない。
あれは、フィレンクトを担ぎながら行っていたのだろうか。
まさか。しかし、それしか考えられない。
それにギコの疑問は、“速さ”だけではなかった。あの動き。 リオレウスの行動を、さも後ろに眼が付いているかの如く全て見切っていた。
(,,゚Д゚)「……ドクオ、さっきのアレはどうやったんだ?」
('A`)「ん、アレとはさっきの走り方の事か?」
(,,゚Д゚)「おう、リオレウスの動きを全て躱したあの走り方だぞ」
('A`)「それ程難しい事じゃない。 ある程度の速さで走れれば誰にでも出来る事さ」
(,,゚Д゚)「……馬鹿言っちゃいけねぇぞ。 あんな奇妙な動き、見た事がねぇ」
('A`)「……ふむ。まぁ口で説明するのは難しい。実戦で教えよう。 俺自身、友から教えられたやり方なんでな、上手く説明できるか分からんが」
ドクオは、そう言うと洞窟の外に出た。
- 357 :4−4:2011/06/02(木) 16:00:04 ID:OeLLN6Qs0
- 洞窟の上空をゆっくりと旋回するリオレウスを見やる。
見逃してくれる気はなさそうだ。
('A`)「全く……ままならないな……」
狩人と飛竜の舞曲が始まろうとしている。
- 358 :4−5:2011/06/02(木) 16:02:56 ID:OeLLN6Qs0
- 薄暗い洞窟の中、地べたに寝かされていたフィレンクトを交えて話し合いが行われていた。
('A`)「まず、今の状況を整理しよう」
(,,゚Д゚)「リオレウスは、この洞窟の上をずっと旋回してるぞ。 間違いなくオレ達がまだここに潜んでいると確信しているはずだ」
(‘_L’)「そんな……しかし、モンスターがそんな知恵を働かせる事が出来るのでしょうか?」
('A`)「いや、普通は有り得ない。ただ相手は長年の狩人の好敵手、リオレウスなんだ。分かっていてもおかしくはない」
(,,゚Д゚)「オレが思うに、現状採れる策は三つあると思うぞ」
('A`)「……ほぅ、言ってみてくれ」
ギコの策、というより勝利条件の三つ。
まず一つ目、ここから自分達二人で外に行きリオレウスを討伐する事。
討伐出来ないまでも、奴の翼さえなんとか出来ればそれで問題ない。
そして二つ目、助けが来るのを待つ事。
フィレンクトの出血が止まった今、慌てて外に飛びだす理由は無い。
じっくりと、機を待って脱出出来ればするし 厳しいならばギルドからの応援を待つ。
('A`)「二つ目は却下だな。 フィレンクトさんの足は軽傷だが、傷口から細菌が入っていれば深刻だ。 それに、ヘリカルをずっとこの暗い穴蔵に閉じ込めておくのも衛生上良くない」
(,,゚Д゚)「あぁ、分かってるぞ」
- 359 :4−5:2011/06/02(木) 16:03:53 ID:OeLLN6Qs0
- そして三つ目。
('A`)「三つ目は? それが本命なんだろ?」
ギコはドクオの見透かした言葉に、驚き眼を見開くが平静を装い三つ目を明かす。
(,,゚Д゚)「オレが陽動してリオレウスを引き付ける。 その間にドクオが二人を連れて村まで逃げる。幸い当初の目的地までは、そこまで距離は無い」
ドクオは溜息を吐いた。やはりか、と。
ドクオは、数日しか話していないギコの心の奥底。
本質を正しく理解していた。
つまりは“死にたがり”なのだ。
自己犠牲の固まり。自分を全く顧みない。
それでは駄目なのだ。ギコは分かっていない。
ユクモの狩人達にとって、如何にギコが代えがたい存在であるのかを。
自分が居なくなった後のことを、全く考えていないのだ。
しかし、同時に感嘆もしていた。
この状況で、努めて冷静にドクオと同じ三つの策を出した事に。
生憎と、三つ目の策は少しばかりドクオと違っているが。
- 360 :4−5:2011/06/02(木) 16:05:06 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「オレとしては三つ目が良いと思うぞ。ドクオに陽動をやってもらった方が、良いんだろうけどな……。
だがユクモに来て間もないドクオに、こんな危険な役割は任せられない」
だから、オレがやる。
ギコは最後にそう区切った。
飛竜相手に単独の陽動なんて正気の沙汰ではない。
ドクオが行った陽動は、“帰る場所”ありきの行動。 しかし、今回のは逃げ場のないデスマッチ。
三人が無事にリオレウスの縄張りを抜けるまで、引き付ける。自分自身が隠れる事は許されない。
陽動となる者を見失ってしまえば、逃げていた本命の方にリオレウスが食い付くかもしれないからだ。
(,,゚Д゚)「ドクオ、お前はそれで良いか?」
('A`)「……そうだな。恐らく三つ目が一番勝算が高いだろう」
ギコは、ドクオの言葉にどこかホッとしたような息を吐いた。
('A`)「だが、三つ目は採らない」
驚愕、ギコの表情にありありと溢れる驚き。
(#,,゚Д゚)「なんでだゴルァ! 一番被害の少ないのは、間違いなく陽動だぞ!!!」
('A`)「あぁ、お前の言ってる事は正しく理解してるつもりだ。 確かにそれが一番無難だと思う」
(,,゚Д゚)「だったらなんでだゴルァ!!」
('A`)「簡単な事だ、お前は前提が間違っている。“誰かを犠牲”とする考えは捨てろ。そして犠牲になろうとするな」
薄暗い洞窟の中、三歩先にいる物の輪郭ですらはっきりと把握出来ない。
ただ、そんな暗闇の中でドクオの存在感だけが際立った。
フィレンクトは、ただ息を呑む。
- 361 :4−5:2011/06/02(木) 16:08:27 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「俺達全員が生きる、という事を前提に考えれば採る方法は見えるだろ」
(,,゚Д゚)「!? お前、リオレウスを討伐するつもりなのかゴルァ!!」
これにフィレンクトは、さらに衝撃を受けた。
あのリオレウスを討伐する?
思い出しただけで震えが止まらない。
あの巨大な存在を前に、人間の小ささをまざまざと見せ付けられた。
(;‘_L’)「わっ……わたしは……」
自分が外に出て出来る事など、何もない。
きっと戦うのならば、この二人だけだろう。
それでもこの震え、恐怖。
実際に戦う事になるかもしれない二人はどれ程の恐怖を感じているのだろうか。想像すら出来ない。
('A`)「その通りだ」
(,,゚Д゚)「無茶苦茶だぞゴルァ!! 飛竜種の成体を相手に二人で挑むなんて馬鹿げてるぞ!!」
('A`)「やってやれない事はないさ」
洞窟に響く怒声。
自分を犠牲に三人の安全を高めようとするギコ。
あくまで全員で助かろうとするドクオ。
- 362 :4−5:2011/06/02(木) 16:09:03 ID:OeLLN6Qs0
- しかし、フィレンクトはここで言い様の無い違和感を感じる。自分はドクオやギコの本質を理解しているわけではない。
だが漠然と『ドクオはきっと無用な荷物は切り捨てるのだろうな』と考えていたのだ。何故かと理由を尋ねられても答えられない。
ドクオの冷徹そうに見える切れ長の目が、落ち着いた雰囲気がそう思わせたのかもしれない。
だから今の状況は意外である。
この二人の争い、客観的に見れば間違いなくギコの主張に理がある。
一人が死んで三人が確実に助かるのならば、間違いなくその方法を採るべきだ。 しかしドクオは認めない。
('A`)「ギコ、お前は自分が犠牲になれば三人が助かると思ってるんだろ」
(,,゚Д゚)「……少なくともオレら二人が、飛び出して討伐する可能性よりは高いだろうな」
フィレンクトには、二人の口論に割り込む隙を見つけられなかった。
どちらが正しいのかなんて、分からないのだから。
(,,゚Д゚)「別に死にたいわけじゃねぇ。 ただオレとお前が両方ともくたばっちまったらフィレンクトさんとヘリカルを、誰が安全に導くんだ」
(‘_L’)「………」
ギコの言葉に、フィレンクトはハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
そうなんだ。私とヘリカルはこの上ない荷物、重荷。
担げば潰され、この二人の命すら脅かす。
- 363 :4−5:2011/06/02(木) 16:09:33 ID:OeLLN6Qs0
- (‘_L’)「……わたしは 」
この二人のぶつかり合いに、私が口を挟む事は許されない。
('A`)「いいや、ギコ。お前は怖いんだ。自分の知らない所で仲間が傷つくのが」
(,,゚Д゚)「!!」
('A`)「それなら自分が傷つく方法を選ぶ、ってとこだろう。 全く、困ったもんだ」
ドクオのこの意見は、殆んど勘から出たものだ。 昨夜のギコが話した英雄ロマネスクの話。
少なくとも、ギコはロマネスクの事を敬愛している。 それは、別段長く付き合っていなくても分かる。
そこからロマネスクの考えに、ギコが感化されていると予測しての突っ込みだった。
(,,゚Д゚)「……お前に何がわかる。死にに行ったロマネスクさんを見送る事しか出来なかったオレの気持ちが分かるのかゴルァ!?」
ギコは怖がりだ。自分が傷つくのは怖い。だが仲間を護れないのは、もっと怖いのだ。
だからこそギコは、死にたがる。
仲間を護り朽ち果てるのが、唯一その恐怖から逃げる道なのだから。
('A`)「分かるさ。そんな奴は何人も見てきた。ドンドルマの先達は、そうやって俺達に“狩人のなんたるか”を教えてきた。 だから俺は逃げなかった。もう誰も失う事のないようにと、強くなろうと決めた」
(,,゚Д゚)「……」
('A`)「それに陽動は俺も考えていた事だ。だがお前の立てた作戦とは違う。 俺が陽動すれば、生存率はグッと上がっただろう」
ギコは、その言葉に拳を強く握り耐えた。
- 364 :4−5:2011/06/02(木) 16:10:39 ID:OeLLN6Qs0
- オレはまだまだ弱い。ドクオに陽動をして貰えれば成功率は高くなる。
でも、それじゃオレが護れない。
いや、オレも護られてしまってる。
(,, Д )「エゴだって、そう、言いてぇのか?」
('A`)「あぁ。だが決して醜い物じゃない」
(,,゚Д゚)「……」
無言で睨み合う二人、ギコだってわからず屋ではない。ドクオの意見を聞いて、図星を付かれた部分が少なからずあるとも思った。
だが、それでも簡単に変えられぬ。曲げられぬのが“信念”。
しかし、そんな二人を取り成すように小さな声が聞えてきた。
『……お父さん、どこ?』
(‘_L’)「ヘリカル!? ここにいるよ!!」
小さな、小さな声。
狩人達二人が護ろうとしている者から、聞こえた声だった。
*(‘‘)*「おとーさん!!」
洞窟の奥から飛び出してきたヘリカルは、ギュっと強くフィレンクトに飛び付いた。
*( ; ;)*「ヘリカルね、恐かった。起きたら、おとーさんが居なかったから……」
(‘_L’)「……すまないね、ヘリカル。もう大丈夫だよ」
それに応えて、フィレンクトも義娘を強く強く抱き締めた。
- 365 :4−5:2011/06/02(木) 16:11:07 ID:OeLLN6Qs0
- 『……えるのか』
('A`)「なんだ?」
(#,,゚Д゚)「テメェの決断、この小さな命に賭けて誓えんのかゴルァ!?」
洞窟の中、一杯に響き渡るギコの叫び。
壁にぶつかり合い、反響し、その叫びはどこまでもこだました。
しかし、だからこそ。
その後に発せられた言葉は、凪ぎの水面の様に静かで力強かった。
('A`)「誓おう」
この小さな命。村に身命を賭した男の命。全てを護ろう。
('A`)「狩人の名に於いて」
そして、これからのユクモを担う若い狩人の命も。
最後にドクオはギコに聞こえないよう、心の中で付け足した。
- 366 :4−5:2011/06/02(木) 16:12:16 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「勝算はあるんだろうな」
('A`)「無論だ」
狩る、そう決めたなら話は早かった。先程までの対立は無かったかのように。
(,,゚Д゚)「どうやってリオレウスを攻略する。聞かせてくれ」
('A`)「考えはあるんだ。だが、確認したい事が幾つかある。 フィレンクトさん、貴方にも」
(‘_L’)「……えぇ、分かりました」
まずは、地形の確認。周辺にある大樹や泥濘。知りすぎて困るという事はない。 加えて近辺の村への道。
('A`)「なるほど。最初に考えた案でいけそうだ」
(,,゚Д゚)「どうやるつもりだ?」
ギコの疑問に、ドクオはニヤリと笑って答えた。
('A`)「奴から翼を奪い取る」
- 367 :4−5:2011/06/02(木) 16:14:10 ID:OeLLN6Qs0
- *(‘‘)*「おにーちゃん達、戦うの?」
これから起こるであろう生死を賭けた戦い。
ヘリカル自身、幼いながらも今この洞窟に溢れている緊張感を精一杯感じ取っていた。
(,,゚Д゚)「………」
少女の不安を、ギコに汲み取る余裕は無かった。
これから戦う【火竜】リオレウス。それも十二分に成長した成体。
二人という少人数で、成体を相手にするのはユクモ随一のギコであっても初めての経験だった。
('A`)「大丈夫だよ、ヘリカル。すぐに終わらせて帰ってくる」
*(‘‘)*「……ほんと?」
少女の不安気な瞳。
モンスターによって家族を殺された少女。
再び、その危機に直面する。 ヘリカルが感じている不安は筆舌し難い物であるだろう。
('A`)「ヘリカルも、ヘリカルの大切な家族も。俺達が護る。
なぁ、ギコ」
(,,゚Д゚)「!! ……おう。だからそんな顔するんじゃねーぞゴルァ」
ゴツゴツとした手で、ギコはヘリカルの頭を不器用に撫でた。
*( ー ー)*「……うん」
(‘_L’)「すいません、貴方達に全てを押し付けてしまって」
('A`)「気にするな。俺達はそれが仕事だ。 フィレンクトさんにはフィレンクトさんの。
父親としての仕事があるだろう」
(‘_L’)「……はい」
- 368 :4−5:2011/06/02(木) 16:14:44 ID:OeLLN6Qs0
- 背に携えていた双剣、【コウリュウノツガイ】を引き抜く。
('A`)「ギコ、準備は良いか?」
それに呼応して、ギコも自身の大剣【ジークムント】を掲げた。
(,,゚Д゚)「任せろ」
狩りを前に、余計な雑念は不要。
必要なのは明確な覚悟。
生きて帰る。勝利するという決意だけ。
『おにーちゃん!これ持っていって!!』
('A`)「!?」
その時、ドクオの胸に湧いた懐かしい気持ち。
混じり気の無い黒でありながらどこか透き通った髪。
- 369 :4−5:2011/06/02(木) 16:15:10 ID:OeLLN6Qs0
-
川 ゚ -゚)『そんな不安そうな顔をするな、私は帰ってくるよ。お前の元に』
- 370 :4−5:2011/06/02(木) 16:16:37 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「これはヘリカルの物だろ。良いのか?」
川‘‘)「……うん、お父さんに初めて貰ったプレゼントなの。 だから絶対に返しにきて……。ヘリカル、お父さんと待ってるから!」
ドクオは、少女の髪留めを、少女の気持ちを受け取り、自分の無造作に伸びた後髪を束ねた。
('A`)「受け取れ、ギコ。そして自分の手で必ず返せ」
(,,゚Д゚)「おう!!」
ギコは、それを自らの利き手である右手に括り付けた。
('A`)「ヘリカル、帰ったらまたあの歌を聞かせてくれ」
川*' ')「うん!」
光の向こうへと躍り出た。
凄まじい速度で元来た道を引き返していく。
出来るだけ音をたてて、派手に爆進する。
その頃、リオレウスは四人が隠れている洞窟から一キロ以上離れた上空に居た。
一キロ、人間にしてみれば気安い距離ではないが飛竜にすれば、ただの一歩と変わらない。
他の生物と一線を画した嗅覚を持つ飛竜は、鼠が動き出した事を的確に把握していた。
空を一回り、二回りと繰り返し、獲物の位置を確認していく。
小型種は【索敵】と【戦闘】に別れて、群れで狩りをする必要があるが
殊、リオレウスにそれは必要ない。
そしてリオレウスに見つかったが最後、奴は獲物に向かって真っ直ぐ滑空する。余りにも的確で、痛烈な一撃。
- 371 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 16:50:26 ID:4IcAg8z.0
- たまらんのぅ
脳内ストーリーつけてMHP3やり直したくなる
- 372 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 18:42:18 ID:2i7DhXP2O
- 今日はここまで?
- 373 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 18:44:58 ID:OeLLN6Qs0
- いえいえ、再開します
- 374 :4−5:2011/06/02(木) 18:46:22 ID:OeLLN6Qs0
- しかしドクオも、また流石。
耳に入ってきた異常な風切り音。
何か大きな物体が、風に逆らい向ってくる。
その一つの情報でドクオは、リオレウスの接近を察知し素早く木陰に隠れた。
姿を消した鼠に、リオレウスは歯噛みしながらも再び上昇する。
透かさずドクオは、再び木陰から飛び出して走りだした。
ここで隠れていれば確かにリオレウスからはやり過ごせるかもしれないが、それでは意味が無い。
('A`)「付き合ってもらうぞ、空の王。俺とお前、二人ぼっちの鬼ごっこだ」
応えるように【火竜】リオレウスも、また吠えた。
人と飛竜、極めてアンフェアな鬼ごっこの始まりだ。
- 375 :4−5:2011/06/02(木) 18:48:13 ID:OeLLN6Qs0
-
歌いましょう―――目覚めの唄―――
奏でましょう―――生命の旋律―――
きっと誰かを救うから 貴方の紡ぐ その調べ
誰かを 祈る その心
きっと 誰かを 護るから
―――歌姫 キュート=バレンタイン―――
- 376 :4−5:2011/06/02(木) 18:48:57 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「ギコ、もう一度確認しておくがユクモ樹はこの先にあるんだな?」
(,,゚Д゚)「ああ、来た道にそって真っ直ぐ進めばユクモ村で一番大きなユクモ樹があるぞ」
ドクオの確認事項は、それだけだった。
今改めて考えてみれば、余りにも無茶苦茶な作戦。
いや、ギコに課せられた役割はそれ程難しい物ではない。
危険なのは、ドクオだ。
この作戦の成否はドクオの陽動にかかっていると言っても過言ではない。
そう、二人が選んだ作戦は、単純な【待ち伏せ】だった。
如何にも先時代的だと思われるかもしれないが、たかが【待ち伏せ】と侮るなかれ。
ずっと昔から今に至るまで、潰える事なく続けられてきた単純な作戦は、それだけ先人達が有用性を保証しているとも言えるのだから。
そも、モンスターとの戦闘において【待ち伏せ】というのは最もポピュラーな作戦なのだ。
しかし、それは万全の準備を成してこそ言える。
罠を張り巡らせ、幾重にも謀ってこその待ち伏せ。
ただ待機しているだけの今回は、それとは言えない。
だからこそ、全てはドクオにかかっているのだ。
- 377 :4−5:2011/06/02(木) 18:50:13 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「……馬鹿野郎が、なにが“自己犠牲”だ。アイツもオレとかわらねーじゃねーか」
この依頼を終えたら、とりあえず一発殴ろうと、ギコは“ユクモ樹の上で”密かに思った。
一方、そんなギコの思いを知る由もなく。
ドクオは、リオレウスと絶賛鬼ごっこ中。
昨日の続きが出来ると、空の王は嬉々としてドクオを追い掛けていた。
あの時は、間一髪の所で逃がしてしまったが今日はそうはいかない。
リオレウスは、自らの全力を以て鼠を追う。
これが、王の、王足り得る資質なのだ。
今、ドクオを追う飛竜がティガレックスであれば。
きっと、既にドクオを見失ってしまっていただろう。 圧倒的な種としての格差は、必然的に慢心を生み出す。
狩るのは飛竜、獲物は人間。
その構図は、もはや飛竜にとって必然であるのだから。
しかし、永きに渡って狩人と戦ってきた【火竜】リオレウスは、消して油断しない。
常に的確に狩人の動きを見極め、確実に仕留める事の出来る一瞬を冷静に探っている。
だからこそリオレウスは気付く。
“昨日”と“今日”の違いに。
- 378 :4−5:2011/06/02(木) 18:51:12 ID:OeLLN6Qs0
- 昨日は、仕留められそうなタイミングが何度もあった。
しかし、今日はそれが見当たらないのだ。
('A`)「………」
顔色を変える事なく、昨日と同じ絶妙なタイミングで左右へと身体を振り、リオレウスのタイミングを崩すドクオ。
しかし、その速さは昨日の倍以上。
それもそう、昨日は自分よりも大きなフィレンクトを背負いながらの逃走だったのだから。
リオレウスも、昨日と動きが違うという事は理解した。
しかし、飛竜の本能ではその要因を理解するまでには及ばない。
ならば、とリオレウスは炎を練る。
昨日は忌々しい壁に阻まれたが、今回は走りながらだ。
爪は躱せても、この火球ブレスは躱せまい、と。
('A`)「……チッ」
狩人も、気が付き身体を強引にリオレウスに向けた。しかし、それは絶望的に遅い。
時速200キロ、摂氏600度以上の速度と熱で吐き出されるリオレウスの炎息は、抵抗する事自体を許さない必殺の武器。
リオレウスは、勝利を確信する。
- 379 :4−5:2011/06/02(木) 18:51:40 ID:OeLLN6Qs0
- しかし
('A`)「俺に、炎は効かない」
- 380 :4−5:2011/06/02(木) 18:52:57 ID:OeLLN6Qs0
- ドクオは、自らの双剣でそれを逸らした。
いや、軌道を無理矢理に捻曲げたと言うべきか。
例えるならば、脈々と流れる圧倒的な勢いを持つ水流のど真ん中に、鉄筋コンクリートをブチ込んだような。
驚くのも無理はない。
こんな事、普通の人間が出来る事ではないのだ。
いや、誤解を招かぬようにはっきりと言おう。
たとえG級の狩人であったとしても、こんな芸当出来るわけがない。
加えて、この事象はドクオに人並み外れた特殊な技能があって引き起こされた物ですらない。
しかしドクオの両目は確かに時速200キロのブレスを捉え、金銀の双剣は600度以上の火球を逸らした。
それは一重に、ドクオの持つ双剣による所だ。
ドクオの持つ金銀の双剣、【夫婦剣】コウリュウノツガイは、【雌火竜】リオレイアと【火竜】リオレウスの貴重な素材を、ふんだんに使って作られている。
それも、ただの人間では一生に一度遭遇出来るかも分からない希少種の物だ。
リオの魂とも言える“紅玉”を丁寧に時間を掛けて、剣の形に打ち直し、銀火竜と金火竜の鱗で刃と柄を作る。
その上で、刃の部分に火竜の髄を丁寧にコーティングした、ドンドルマの鍛冶職人入魂の二振り。
この双剣だからこそ、リオレウスの炎を受けても焦げ一つ付かなかった。
飛竜であるリオレウスに、人間のような感情があるのかは分からないが
もし、それを持ち得たならば
きっとこの時、リオレウスは驚愕していただろう。
- 381 :4−5:2011/06/02(木) 18:56:05 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「ここまで来れば大丈夫だろう。待たせたな、リオレウス。鬼ごっこはひとまずここで終わりだ」
リオレウスは、堂々と自分を見据える狩人に異様な雰囲気を感じた。
怖気づいたのだ。
両翼を二度、三度靡かせ距離を開けた。
そして驚く事が起きる。
('A`)「!?」
空の王が頭を垂れたのだ。
偉大な物にかしづく様に。
('A`)「コイツ……俺の双剣に反応してるのか?」
ゴクリ、とドクオは息を呑んだ。今まで何年と狩りを続けてきたが、こんなリオレウスを見るのは初めてだった。
偉大な同胞を使い、作られた双剣に対し
王は、頭を下げた。
('A`)「……」
静かな時間が流れる。人間と飛竜、どちらも動く事なく互いに正面から向き合っている。
ユクモの神木に囲まれた、この小さな空間で。
一人と一頭は、ただどちらとも言葉を発する事無く、黙っていた。
- 382 :4−5:2011/06/02(木) 18:57:08 ID:OeLLN6Qs0
- 先にこの沈黙を破ったのはドクオだ。
('A`)「ドクオ・ウェイツー。ドンドルマの狩人にして“G”を戴く者だ。
御相手願おう、空の王」
動き出したのは、飛竜。
ドクオの名乗りに応えるかのように、長く、そして強く吠えた。
('A`)「……チッ」
余りに長い咆哮。普段ならばその衝撃に当てられる事無くスルリと躱すドクオだったが、ここまで長く吠えられると流石に対処の仕様がない。
先手はリオレウスが取った。
('A`)「……面倒だな」
鋭く見舞われるリオレウスの翼爪。 足の爪とは違い毒線は無いが、それでも人間を仕留めるには十分な威力を持っている。
これをドクオは、リオレウスに背を向け必死に跳び退き回避した。
体勢は最悪。
リオレウスに背を向けた状態、それに加えて跳んだ為に身動きが取れない。
新人の狩人が、突然の攻撃に対してやってしまう最悪の避け方だった。
- 383 :4−5:2011/06/02(木) 18:58:52 ID:OeLLN6Qs0
- この方法では、地面から身体を起こす時に一瞬だけ必ず無防備になる。
その一瞬を見逃すほど、飛竜は甘くない。
起き上がりにブレスを見舞われ、跡形も無く蒸発してしまった狩人も少なくない。
その最高の好機。リオレウスも勿論認識している。
すぐさま追撃をかけるために飛び上がらず、そのまま突進する事でドクオを砕こうとする。
('A`)「……厄介な奴だ」
ドクオは地面に着地する一瞬に、片手で地面を押し返し、側転の要領でその隙を消した。
勿論、リオレウスの目論みは空回りに終わる。
加えて、このタイミングで攻守が逆転。
リオレウスの巨体が、単純に突進すれば
その反転の鈍さは、欠伸が零れる程だ。
身体が大きいというのは、大きなメリットであり 大きなデメリットになる。
透かさず、ドクオは自分を捉えられず、そのまま通り過ぎたリオレウスに向けて走りだした。
“双剣”という武器の特性上、一撃でリオレウスを倒す事は出来ない。
だからこそ、このような細かな隙を見逃してはいけないのだ。
生粋の双剣使いであるドクオは、勿論これを理解していたし
だからこそ、正確にリオレウスの脚を不規則な形で切り結んでいた。
- 384 :4−5:2011/06/02(木) 18:59:58 ID:OeLLN6Qs0
- しかしリオレウスは全く意に介さないかのように、その場で尻尾を振り回す。
('A`)「……チッ、これだから図体のでかい奴は」
身体が大きいというのは、痛覚の鈍感さに関係する。
一般的に飛竜種に限らず、どんなモンスターでも痛みにのたうち回るなんて事はない。
蓄積した痛みが、一気に身体の底から溢れだした時に、奴らは初めて“痛み”という物を自覚する。
('A`)「………」
だから今は我慢の時。
出来る限り、リオレウスの脚を集中的に切り結んでいく。
ドクオの戦法は単純。リオレウスと距離を取り、突進を誘う。
それを躱し、奴が振り返る前に脚を狙う。
痛くも痒くもない、とばかりに尻尾を振るリオレウスだが
着実に、その脚に蓄積は溜まっていく。
この構図が、最初から最後まで終始動かなければドクオは確実に勝利するだろう。
しかし、相手にしているのは飛竜。
人間よりも圧倒的に上位。
gaohooooooooooo!!!!!!!
たった一吠え、それだけで一連の攻守は逆転してしまうのだ。
- 385 :4−5:2011/06/02(木) 19:00:55 ID:OeLLN6Qs0
- “音”というのは、つまるところ“振動”だ。
リオレウスの雄叫びは、大気中の空気を振動させ
ドクオの三半規管を、直接刺激する。
聴覚だけでなく、人間の平行感覚を司る三半規管を、揺らされれば
いくら強靭に肉体を鍛えようと無意味。
空の王の怒りは、焼き尽くす炎となって愚者の身を焦がす。
('A`)「不味いな」
咆哮により動けなくなった一瞬。
そこに加えられた、尻尾による回転攻撃。
ドクオは間一髪でそれを避ける。
しかし、次の瞬間。
リオレウスが大きく翼を広げた。
この構えから繰り出される攻撃は、万国共通。
('A`)「!?」
“飛び上がりブレス”
- 386 :4−5:2011/06/02(木) 19:01:26 ID:OeLLN6Qs0
- リオレウスが繰り出す多種多様の技の中で、最も凶悪な攻撃。
吠えて、ブレス。
この単純かつ明快な攻撃によって幾人もの狩人が命を落としてきた。
凄まじい衝撃と共に、ドクオが立っていた場所から5m四方が焼け焦げた。
リオレウスは、満足そうに何百度にもなる灼熱を吐いて、上機嫌に空を舞った。
殺してやった。
あの忌々しい鼠を。
王たる自分に逆らい、逃げ続けたモノを。
- 387 :4−5:2011/06/02(木) 19:04:19 ID:OeLLN6Qs0
- しかし、なんだというのだ。あの鼠は自分の灼炎を受け間違いなく絶命しているはずだ。それなのに緊張感から開放されない。自分の本能が言っている。
まだ終わっていないと。
『王は、路肩の石を蹴っても気が付かない』
『なぁ、空の王。お前は気付いていたか?』
('A`)「まず一つ目だ」
あれは何だ?
あの忌々しい鼠は、何故焼け爛れた様子もなく悠然と立っているのだ。
それに、奴が手に持っているのは何だ。
あれは
('A`)「左右6つの尖爪。お前が地に落ちるまでに何本無事に残っているかな」
ドクオは、再び駆け出した。
- 388 :4−5:2011/06/02(木) 19:05:18 ID:OeLLN6Qs0
- そもそもドクオは、何の考えもなく陽動を買って出た訳ではない。
リオレウスを倒すための、ピースを集める為に行っているのだ。
そして一つ目のピースは、すぐそこだった。
('A`)「ひどいな、これは」
グシャグシャに潰されたフィレンクトの荷台。
そこにある勝利の鍵。
リオレウスから翼をもぎ取る為の鍵が。
ドクオは、素早く荷車の中から“それら”を引っ掴んで再び駆け出す。
もうリオレウスとやり合うつもりはない。この先に待つ巨大なユクモの樹。そこまで付かず離れずの距離で飛竜を誘導する。
目指すは、ギコとの約束の場所。
二人の狩人に“勝利の光”が指す。
- 389 :4−5:2011/06/02(木) 19:06:16 ID:OeLLN6Qs0
- 生い茂る森、無数に林立する木々の中でも、飛びぬけて背の高いユクモ樹の上でギコは座っていた。
打ち合わせでは、ドクオがここまで誘導してくるらしい。そんな飛竜をコントロールするような事が出来るのか、とも思ったが自分は仲間を信じて待つことしか出来ない。
しかし、不安は拭えない。時間稼ぎにしては遅すぎる。自分がこの場所に辿り着くまでの陽動だったはずなのに。ドクオは一体何をしているのか。
(,,゚Д゚)「!! 来たか!!」
薙ぎ倒されていく木々。真っ直ぐこちらに向かってくる。
(,,゚Д゚)「……流石だな。宣言通り、あのリオレウスをコントロールしてやがる」
ゆっくりと心を落ち着ける。三度息を吸い、吐いた。
三年来の相棒である大剣、ジークムントを握り締める。ヘリカルに借り受けたリボンは柄と自分の手を結ぶのに使っている。
そういえば、こうやって人に頼んで狩りをするのは何時ぶりだろう。
思えば、本当の意味で人に頼った事など一度も無かった。
だからこそ手が震える。
他人の努力の成否が自らに重くのしかかる。
- 390 :4−5:2011/06/02(木) 19:07:22 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「……」
そうか。
俺は、こんな重圧を大切な仲間にかけていたのか。
(,,-Д-)「……謝らねぇとな、帰ったら」
見据える先には飛竜、リオレウス。
その一歩先を行くドクオ。
(,,゚Д゚)「大した奴だ」
ここからが狩猟の本領。仲間との力を合わせた戦いだ。
('A`)「ギコオオォォォオオ!!!!!」
空の王から、翼をもぎ取る。
30m以上あるユクモ樹から飛び降りる。
ジークムントを携えて。
これが二つ目のピース。
空の王よりも、高みからの奇襲。
Ghyaaaaaaaaaaaaa!!!!!!
- 391 :4−5:2011/06/02(木) 19:11:12 ID:OeLLN6Qs0
- 地面に縫い付けられたリオレウス。
翼が折られたのだ。
(,,゚Д゚)「ハァハァ……」
('A`)「……ふぅ」
その飛行能力。圧倒的な制空力故に繊細過ぎる作り。その脆さ。
('A`)「良くやったな」
(,,゚Д゚)「あぁ。だが、まだ終わってない」
片翼を折られた空の王。その顔には、憤怒がありありと浮かんでいる。
自分より下等な存在に。
王たる自分の翼が奪われた。
許せない。許してはならない。
('A`)「……油断するなよ、ギコ。こいつは一筋縄ではいかない」
(,,゚Д゚)「……誰に言ってやがる。ユクモの狩人の力を見せてやるぞゴルァ!!」
- 392 :4−6:2011/06/02(木) 19:12:21 ID:OeLLN6Qs0
- 大剣というのは、人間の使ってきた武器の歴史において特異な存在である。
武器に求められる性能は、大きく分けて二つ。
【威力】と【リーチ】だ。
効率良く、多くのモンスターを狩るために、人は【威力】を求めた。
傷つかず、無傷で敵を倒すために、人は【リーチ】を求めた。
石斧や石槍から脈々と受け継がれてきた武器の系譜。
しかし、その二つを両立する事は決して出来なかった。
いや、出来なかった訳ではない。
人は【大剣】という形で、そのテーゼに答えを出したのだ。
しかし、それは人の身体には余りに大きく、普通に扱える物ではなかった。
だからこそ、大剣使いは少ない。
(#,,゚Д゚)「いくぞゴルァ!!」
彼は、数少ない大剣使いの一人。 それも一流の。
全身を使い振り回される大剣は、当たらないと分かっているドクオでさえ、迫力を感じさせる。
真っ直ぐ、リオレウスの眉間に叩き込んだ。
堪らずリオレウスは、後ろへと下がる。
ドクオの双剣では、意に介さなかったリオレウスであっても、何百キロの重量を持つ大剣であれば話は別だ。
- 393 :4−6:2011/06/02(木) 19:13:50 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「――♪」
ドクオは、鼻歌でも歌うかのように余裕の表情でリオレウスの懐に潜り込んでいた。
脚と脚の間。
如何な生物でも死角となる絶対的安地。
リオレウスは、異常さに気付く。
自分が、ここまで良い様にやられた事は無かった。
飛竜として、生態系のトップに君臨していた自分を脅かす存在になど遭った事がなかったのだから。
加えて言えば、野性に生きる物が、そのような生物に出会ってしまった時点で、待ち受ける末路は等しく死、なのだから。
しかし飛竜の本能は極限まで、敵に背を向ける事を許さない。
その闘争心こそが、真の飛竜の武器なのだ。
だからリオレウスも負けない。
ブレスを三方向に分けて、吐き出す。
ドクオは、前転する事でそれを回避。
ギコは、自らの大剣でそれを封じた。
透かさず攻勢に移ろうとする。
リオレウスは、その様子を見て一度飛ぼうと翼を広げるが、風を起こすだけで身体が浮上しない。
- 394 :4−6:2011/06/02(木) 19:14:47 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「地に墜ちたな、空の王」
空高く飛びすぎた物の終焉は、その高さ故に陽の光に焼かれると相場が決まっている。
ドクオは、リオレウスから距離を取った。
見極める為だ。
ギコの素養を。
(,,゚Д゚)「ゴルァァアアアアァァ!!!!」
身体全体を捻り、広範囲、高威力で繰り出される凪ぎ払い。
一分の迷いも無く、その迷いが死に繋がると正しく理解している動き。
やはり最初に推し量った通り、ギコの実力はドンドルマにいた凄腕と比べても、なんら遜色ない。
それに、先程のリオレウスの翼を奪った一撃。
あれは、そんな生易しい物ではない。
まず、問題としてリオレウスが低空飛行している状態でギコの場所を通過しようとしなければならない。
それにはリオレウスの行動をある程度支配する事が絶対だ。
そしてギコは、信じなければならない。
ドクオの事を信じ、歯痒い心を押し殺して我慢する辛さ。
それを知ったギコに、もう不安は無かった。
- 395 :幕間:2011/06/02(木) 19:16:02 ID:OeLLN6Qs0
- 洞窟の一番奥に居ても聞こえてくる飛竜の咆哮。
聞こえてくる度に、ヘリカルと身を寄せ耐えた。
川‘‘)「……おにーちゃん達、帰ってくるよね?」
(‘_L’)「……あぁ、きっと帰ってきてくれるよ」
ドクオさん達と話している時は、言わなかったが 彼らが敗れれば、それは私達親子の死に直結する。
川*‘‘)「うん!帰ってきてくれるって約束したもんねっ!!」
こんな死が目の前の状態だからこそ、分かる。
自分は、この子にずっと引け目を感じて生きていたんだな、と。
ヘリカルの本当の親を殺してしまった自分。
その罪をいつまでも忘れないように、ヘリカルを引き取った。
だからこそ、この子が自分に向ける純粋無垢な笑顔が眩しかった。
川*‘‘)「ヘリカルねっ!また皆でご飯食べたいっ!!」
忙しく動き回る自分は、きっとヘリカルに随分と悲しい思いをさせてきたのだろう。
私の仕事に付いてきたがったのも、そんな気持ちに気付いて欲しかったからだろうか。
- 396 :幕間:2011/06/02(木) 19:16:59 ID:OeLLN6Qs0
- (‘_L’)「……ヘリカル」
名前を呼び、抱き寄せた。
川‘‘)「……なーに? おとーさん」
( ;_L; )「……寂しかったかい?」
寂しくないはずがないだろう。
それでもヘリカルに、そう尋ねてしまったのは、自分のズルさなのだろう。
否定して欲しい、と。
心の奥底で、それを願うズルさだ。
川‘‘)「ヘリカル寂しくなかったよ!」
(‘_L’)「……ヘリカル」
川‘‘)「おとーさん、お仕事の後は、ぜーたい楽しいお話してくれたし! うん、ヘリカル寂しくなかったよ!!」
涙が止め処なく溢れる。
こんな状況になるまで気付かないなんて。
- 397 :幕間:2011/06/02(木) 19:17:41 ID:OeLLN6Qs0
- 私は、ヘリカルを愛していた。
家族として。
愛していたのだ。
( ;_L; )「……愛してるよ、ヘリカル。私の可愛い娘」
先程のズルさを、掻き消すように先に言った。
自分の気持ちを。
川*‘‘)「うん! わたしもおとーさんの事、だーいすきっ!!」
暫くして、戦いも終盤へと移ってきたようだ。
頻繁に聞こえてきたリオレウスの咆哮も、たまにしか聞こえない。
しかし、かなり距離としては近づいていた。
(‘_L’)「………」
この子だけは、なんとしてでも助けたい。
そう祈るばかりだ。
- 398 :幕間:2011/06/02(木) 19:18:22 ID:OeLLN6Qs0
- 川‘‘)「くろかみ♪ なーがい髪をのばしてー♪ ほーそい手足はもやしのよう♪ 背にはふたつの刀がひとつー♪ リオの名を持つ金と銀ー♪」
その時、ヘリカルが歌いだした。楽しそうに。
(‘_L’)「その歌は?」
川*‘‘)「ヘリカルね。 おにーちゃんと約束したの! 帰ってきたらもう一回聞かせてあげるねって!」
えへへー、と笑うヘリカル。 なんの疑いもなく彼らの帰りを信じている。
(‘_L’)「……大丈夫だよ、きっと彼らは帰ってくる。ヘリカルの歌はきっと届くよ」
川*‘‘)「うん!!」
薄暗い洞窟の中、ヘリカルの奏でる拙く、それでも暖かな音色は、その中で反響し重なり合い
外の世界に漏れ出した。
- 399 :4−6:2011/06/02(木) 19:19:41 ID:OeLLN6Qs0
- 狩人たちの戦局は、緩やかに終わりへと近づいていた。しかし決定打に欠ける。
元々はは翼の一撃で怯んだリオレウスに、ギコの一撃を以って終わらせるはずだったのだ。
ドクオの使う双剣は手数が多いが致命傷には至りづらい。 加えて火を司るリオレウスとの相性も最悪だった。
だからこそ、この戦いを終わらせるのはユクモの狩人であるギコだと最初から睨んでいた。
しかしそのギコも後一撃が出ない。
細かな打撃を与えたところで、空の王の心は折れない。
('A`)「ギコ、このままじゃ埒が明かないぞ」
(,,゚Д゚)「わかってるぞゴルァ! だがこうも動かれちゃー、狙えねーぞ」
('A`)「あぁ、分かってる。一度だけチャンスが来る。恐らく、後5合も俺が切れば、奴は一瞬怯むはずだ。チャンスはそこだ」
(,,゚Д゚)「お前、なんでそんな事……あぁ。もういいぞゴルァ!!!!やってやる!!!!!」
('A`)「決めろ、ギコ」
(,,゚Д゚)「任せろ」
この戦況を長引かせる訳にはいかない。二人はあの少女と大切な約束をしたのだから。
- 400 :4−6:2011/06/02(木) 19:20:08 ID:OeLLN6Qs0
- 『くろかみ♪ なーがい髪をのばしてー♪ ほーそい手足はもやしのよう♪ 背にはふたつの刀がひとつー♪ リオの名を持つ金と銀ー♪』
ドクオが斬りかかろうとした時、それは聞こえてきた。
あの暖かな音色。純粋で、なんの悪意にも染まっていない彼女の音。
小さく、密閉された洞窟のなかを反響し、それが拡声器の代わりとなって、確かに二人の元まで届いた。
('A`)「!?」
(,,゚Д゚)「!!」
誰かを願う歌は、誰かを護る力となり
狩人たちに無限の力を与える ヘリカルの想いが歌となり二人の身体に染み込んでいく。
('A`)「……やるぞ」
(,,゚Д゚)「おう」
- 401 :4−6:2011/06/02(木) 19:20:49 ID:OeLLN6Qs0
- ドクオの身体が、紅い風を纏った。
人が人以上の力を出すときに纏う、紅いオーラ。
【鬼人化】というのは、己の心拍数や血圧、全てを高め脳内のリミットを意図的に外して行う生者必滅の技だ。
ドクオの双剣が舞う。圧倒的な速度、圧倒的な手数。一見、球体の様にドクオの回りに金と銀の壁が出来る。
それはドクオの宣言どおり五合目だった。
リオレウスは、堪らないとばかりに身体を捩じらせた。
ギコに与えられた絶好の好機。二人で作り出した最後のチャンス。
限界まで捻り、そこで押し留める。自分のタイミングを計る。ミキミキと、ギコの身体から嫌な音が聞こえてくる。
自分の身体が壊れていくのを省みない、その最大威力の攻撃。
(#,,゚Д゚)「ゴルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」
【抜刀全開溜め斬り】
その一撃は、周辺に聳えるユクモの巨大な木々をも揺らす程の威力。
- 402 :4−6:2011/06/02(木) 19:21:25 ID:OeLLN6Qs0
- ('A`)「……すごいな、これは」
顔の半分が拉げてしまったリオレウス。
(,,゚Д゚)「ハァハァ……」
これこそが大剣の本質。圧倒的威力にして、一撃必滅の技。
- 403 :4−6:2011/06/02(木) 19:22:28 ID:OeLLN6Qs0
-
しかし
- 404 :4−6:2011/06/02(木) 19:23:00 ID:OeLLN6Qs0
- 空の王、リオレウスは倒れなかった。いや、飛竜としての本能が。王としての矜持が、顔の半分を潰され、片翼を折られても倒れることを許さなかったのだ。
もうリオレウスに意識はない。ただ本能のみがリオレウスを動かしていた。
−−−−空へ
もう一度あの青い蒼穹を、自由に飛び回りたい。
('A`)「!?」
(,,゚Д゚)「……おいおい、まじかゴルァ」
リオレウスは飛んだ。折られた翼で。それでも空を飛んだ。
そこが自分の還る場所なのだから。
(,,゚Д゚)「くそがぁ! なんて奴だ!! あんな状態でまだ空に君臨するってのか!?」
余りに神々しいその姿に、ギコは一瞬見惚れるが、それでも自分達がすべきは奴を狩ることだ。
このまま逃げられれば、また一からやり直すことになってしまう。
- 405 :4−6:2011/06/02(木) 19:24:02 ID:OeLLN6Qs0
- 『狩りは、最後まで気を抜いてはいけない。上に立つなら覚えとけ』
一瞬の閃光、余りに眩くギコは我慢できずに目を押さえた。
次いで、地面に衝撃が走る。
三度落ちた空の王。
【対飛竜用 閃光玉】
ドクオが最初に用意した勝利のピース。
フィレンクトの許可を得て、拝借した光虫と素材玉を調合して作った物だ。
地に堕ちたリオレウスに止めを刺そうとドクオが近づく。
('A`)「……!! コイツ、さっきの墜落で……」
リオレウスは既に力尽きていた。
翼を捥がれ、顔を潰されてもなお、王の視線の先には空があった。
蒼い、蒼い空があった。
- 406 :4−6:2011/06/02(木) 19:24:59 ID:OeLLN6Qs0
- リオレウスの討伐終了後、ドクオとギコの二人はヘリカルとフィレンクトを無事シルミド村へと送り届けた。
道中、モンスターの襲撃もなく、フィレンクトの傷口も開く事なく、至って安穏な道程だった。
二人きりの帰り道、ドクオとギコはゆっくりと、話をしながら帰った。
(,,゚Д゚)「しかし凄いとは聞いていたが、あそこまでとは思わなかったぞゴルァ!」
('A`)「リオレウスとの事か? 大したことはしてないぞ。結局、最後にアイツを倒したのはお前だしな」
少年のようにキラキラと目を輝かせながら尋ねるギコに、ドクオは頬を掻きながら答える。
(,,゚Д゚)「おぉ! ドンドルマにはドクオみてぇな狩人がうじゃうじゃ居るんだろ?」
('A`)「……そんなに多くはないよ。まぁ、俺より狩りが上手い奴は、両手に余るほど居たが」
やはり、ギコも自分の知らないドンドルマに興味がある。
幾人もの凄腕狩人を排出してきたドンドルマは、ギコ自身文献でしか読んだことが無いが、ドクオの実力の一端を垣間見た今、どれほどの物なのかは予想出来る。
(,,゚Д゚)「聞いた話じゃ亜種って奴らも、ゴロゴロいるんだろ?」
('A`)「……まぁ、居たな。簡単に狩れるような相手じゃないが。 それに世界地図のど真ん中にあるドンドルマは、モンスターの行き来が激しくてな。見たことのないモンスターが、突然表れる事も珍しくなかった」
(,,゚Д゚)「……うぉ、地獄みたいな所だな」
('A`)「まぁな。 だが、それだけ狩人というのは人の尊敬を集める。 ユクモの様に権力や派閥争いなんかは無かったな」
ドクオの答えに、ギコは目を見開いた。
(,,゚Д゚)「お前……知ってたのか?」
('A`)「いや、ユクモに来る前に教えられていただけだ。 確か【狩人派】と【騎士派】だったか。 俺達には、そういう経験が無いからな」
(,,゚Д゚)「確かに、ユクモ以外の者に話して楽しいような事じゃないな。 馬鹿馬鹿しい事だ、人を助けたいと思いつつも、プライドの為に一つになれない」
忌々しそうに、ギコは足下に転がっていた石を蹴った。
- 407 :4−6:2011/06/02(木) 19:25:49 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「前まで【騎士派】の連中もそこまで大きな事はしなかったんだがな。 ロマネスクさんとベーンさんが居なくなって、随分と幅を利かせるようになってきやがった」
('A`)「………」
(,,゚Д゚)「HR6の狩人が居ないギルドに、村人を護ることなんて出来ないってな。 今は、騎士長であるフォックスさんが抑えているから大事になってないが、これから先、フォックスさんが居なくなってしまう事があれば、ただの喧嘩じゃ済まないよーな事態になりかねねぇ」
('A`)「なるほどねぇ」
ドクオが遥々ドンドルマからユクモに招かれた理由。
厳しくギルドで監視していたクルペッコの突然の出現。
フィレンクトに大量に発注された大樽爆弾G。
様々なピースが、組み合わさって一つの答えを示す。 だが、まだ全てのピースが出揃った訳ではなさそうだ。
('A`)「ギコ」
(,,゚Д゚)「なんだ?」
('A`)「見失うなよ。俺達に出来るのは狩ることだけだ。良くも悪くも、な」
(,,゚Д゚)「……おう」
- 408 :4−6:2011/06/02(木) 19:26:16 ID:OeLLN6Qs0
- ―――それに
('A`)「ロマネスクとベーンという偉大な先人を失った今、ユクモを支えるのは、他の誰でもなくお前だ。それを絶対に忘れるな」
(,,゚Д゚)「……おう」
二人の歩く道は、暖かな夕日に照らされ 赤く、輝いていた。
次世代のユクモの大黒柱と、ドンドルマのG。
二人の出会いが、これからこの小さな世界にどれ程の光を生み出すのか。
まだ、誰もそれを知らない。
- 409 :終幕:2011/06/02(木) 19:27:24 ID:OeLLN6Qs0
- ( ^Д^)「私はフォックス騎士長から全権を預かった代理として来ています。 私の発言は【騎士派】全ての発言であると思ってください」
/ ,' 3「………」
化かし合い、騙し合い、この空間で繰り広げられるのは、狩りとは全く無縁の、もっと薄暗く陰湿な物。
/ ,' 3「それで、【騎士派】のボンボンが何の用かいのぉ?」
( ^Д^)「嘘を吐くのも、回りくどいのも、私は好きではないので率直に言いましょう」
嘘つけぇい、と【ギルドマスター】アラマキは聞こえるように言ったが
当の本人は、気にもしないように咳を一つして続けた。
( ^Д^)「率直に言いましょう。あの積乱雲、アレはなんですか」
/ ,' 3「はて、なんの事じゃあ?」
( ^Д^)「誤魔化さないで頂きたい。あの積乱雲、あれはユクモの守り神の出現以外の何物でもないでしょう」
少し苛ついた様子で、口元に常に厭らしい笑みを浮かべた男は言った。
/ ,' 3「なんじゃ、分かっとるじゃないかー」
( ^Д^)「そんな揚げ足の取り合いをしに、ここまで来た訳ではないんですがね」
/ ,' 3「なら、さっさと要求を言わんか小僧」
ここでスカルチノフの雰囲気が変わる。
確かな怒りを、男に向けてぶつける。
しかし男の方も、全く動じない。竜人の怒気に当てられても、だ。
- 410 :終幕:2011/06/02(木) 19:28:54 ID:OeLLN6Qs0
- ( ^Д^)「要求は一つです。【雷狼竜】ジンオウガは、我々【騎士派】が狩ります」
/ ,' 3「はてぇ、今おかしな言葉が聞こえたのぉ。騎士様の仕事は、確か姫さんを護る事ではなかったかのぉ」
( ^Д^)「………」
/ ,' 3「それが、たかだか一匹のモンスターを狩りたい、などと。一体どういう風の吹き回しじゃろぉなぁー」
騎士派が狩りに出る事は、ない。
騎士は、ただ姫の傍らで彼女を護る事だけが、その役割なのだから。
( ^Д^)「いえ、ロマネスクやベーンが健在だった時代ならばいざ知らず。 今、このギルドにはHR6が、ただの一人もいない。そんな貧弱な狩人の皆さんに、ジンオウガは荷の重い話でしょう」
/ ,' 3「ふぉふぉ、チミたちならあの化け物を狩れるとでも言うのかのぉ。こりゃけっさくじゃ」
( ^Д^)「少なくとも、貴方達よりは可能性があると思いますよ。HR6のいないギルドなんて、ただの野蛮な酒飲みの集まりですからね」
/ ,' 3「ほぉ、しかし今はドンドルマから、かのG級を預かっているんじゃが?」
( ^Д^)「……彼はユクモの狩人ではないでしょう」
/ ,' 3「まぁ、そうじゃの」
( ^Д^)「というわけで、アイツは私達が狩ります。あなた方は手出し無用でお願いします」
これはギルドマスターであるスカルチノフの責任だ。
今まで無理やりにでもHR5の狩人を昇格させてこなかった。だからこそ【騎士派】につけいられる隙を作ってしまった。
- 411 :終幕:2011/06/02(木) 19:29:54 ID:OeLLN6Qs0
- / ,' 3「まぁ、待てよい」
( ^Д^)「まだ何か?」
/ ,' 3「言い忘れておったわい、ちょっと今から息子の昇級を祝って宴があるんじゃ。小僧も参加していかんか?」
ありありと、男の顔に怒りが表れる。 この竜人は、いつも突然訳の分からないことを言う。
正直言って、男はスカルチノフが苦手だった。
敬愛するフォックス騎士団長の命令でなければ、絶対に断っていただろう。
昇級というのは、以前に聞いていたベーンの息子であるブーンとかいった狩人の祝いか。
( ^Д^)「すいませんが、我々も忙しいのでね。それなら今日のところは挨拶だけして帰らせていただきます」
/ ,' 3「ふぉふぉ。そうか、挨拶してくれるか。では、紹介しようかの」
は? という疑問符が男の頭の中に湧いてきた。ただの宴ではないのか。
『おーい、騎士派の方に挨拶しろーい』
『わかったぞゴルァ!!!!』
そして二人の男が入ってくる。
一人はよく見知った顔、均整の取れた筋肉に、すらっと伸びた長身。妬ましいほどに整った顔。
もう一人は独特、陰鬱そうで、ひょろっとした男。
(,,゚Д゚)「久しぶりだな、プギャー」
('A`)「……」
- 412 :終幕:2011/06/02(木) 19:30:43 ID:OeLLN6Qs0
- / ,' 3「紹介しようかのぉ、先の検定で晴れて“G”となったギコ=ストッドウッドじゃ」
プギャーの頭は混乱に陥る。今、竜人はなんと言った。Gだと。
HR6にもなっていなかったギコが伝説に唄われるG級になっただと。
(#^Д^)「なっ、何言ってやがる!!! そんな飛び級、認められるわけがないだろーが!!!!!!」
/ ,' 3「ふぉふぉ、これは正当な昇格じゃよ。本来、HR6の狩人に認められて初めて昇級できるものじゃが、今回はこの男。ドクオにそれを依頼した」
('A`)「あぁ、俺は許可したぞ。ギコには十分な素養もあり、向上心がある。いつまでも既存のHRに縛り付けていては、成長を損ねるからな」
そうか、この男が噂に聞いていたG級。ドクオ=ウェイツーか。
/ ,' 3「ふぉふぉ、それを儂が了承したのじゃ。文句あるまいに」
つくづく憎憎しいジジイだ。
(#^Д^)「だが、HR6になるにはフォックス卿の了承も必要になるはずだ!!!!!」
/ ,' 3「ふぉふぉふぉ、なにを寝ぼけたことを言うておるんじゃ。もう貰ったわい」
(#^Д^)「なに!?」
スカルチノフは、口角を吊り上げ嘲笑うかの如く言った。
/ ,' 3「祝ってくれるんじゃろ? “フォックスから全権を受けた”チミがのぉ」
(;^Д^)「!?」
- 413 :終幕:2011/06/02(木) 19:31:13 ID:OeLLN6Qs0
-
/ ,' 3「竜人を舐めるなよ、小僧」
- 414 :終幕:2011/06/02(木) 19:31:46 ID:OeLLN6Qs0
- (,,゚Д゚)「じじい、本当によかったのか?」
/ ,' 3「ふぉふぉ、問題あるまい。ドンドルマのGからお墨付きまでもらっとるんじゃからのぉー」
ギコ自身、思うところはあった。事情が事情なだけにHR6には早急になりたいと思っていたが、まさか“G”になるとは思ってもみなかったのだ。
/ ,' 3「形式なんぞない、前例がないからのぉ。ドクオ、“誓いの儀”は任せたぞい」
('A`)「あぁ、俺の時も適当だったからな。さてギコ、覚悟は良いな」
(,,゚Д゚)「おう」
- 415 :終幕:2011/06/02(木) 19:32:28 ID:OeLLN6Qs0
- −−−−汝 人を護る盾として その身尽きるまで 命を燃やすと誓うか
『誓うぞゴルァ』
−−−−汝 和を以って 人を愛すると誓うか
『誓うぞゴルァ』
−−−−汝 この誓いも以って 自分を愛すると誓うか
『・・・・・・誓うぞゴルァ』
('A`)「その誓い、確かに聞き届けた。 今日、今より 我ドンドルマの狩人ドクオ=ウェイツーの名に於いてギコ=ストッドウッドをGへと謹んで推薦する」
/ ,' 3「了承したぞい。精進せい“Stubborn”ギコ=ストッドウッド」
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 4話 END
To be Continue……
- 416 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 19:33:02 ID:Aee1eidg0
- 超乙!!
面白かった!
- 417 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 19:34:30 ID:MIlilJGEO
- よかったよ
ありがとう
- 418 :>>1:2011/06/02(木) 19:35:53 ID:OeLLN6Qs0
- 今日の投下はこれで終了となります。
拙い文章ですが楽しんでいただければ幸いです。
質問がありましたら、いつでもこのスレッドにて尋ねてください。
これから少し、この話のこれからの展望と自分の感想について書いていこうと思います。長くはなりませんが読み飛ばしていただいて結構です。
- 419 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 19:38:32 ID:lWuIEO9gO
- 乙!
ドクオの台詞がいちいち格好良くて困る
- 420 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 19:39:27 ID:9fzAAnQUo
- 乙
熱いな
- 421 :>>1:2011/06/02(木) 19:42:41 ID:OeLLN6Qs0
- ではでは、少し自分が感じていることなどについて書いていこうと思います。
まず、この話が何話で終わるかについてです。
自分としては、今までの話自体、導入部に過ぎないという考えを持っています。
というのも、元々この話自体がジンオウガ編までで前編という構成になっているからです。
つまりまだ折り返しにも辿り着いていないわけです。物凄い不安ですが、モチベは皆さんがくれたレス等を見て維持していくつもりです。
もう少しお付き合いください。
- 422 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 19:46:13 ID:Nmhj1hPA0
- どのモンスターまで狩る予定?
龍属性の解釈を自分なりに教えて
- 423 :>>1:2011/06/02(木) 19:47:21 ID:OeLLN6Qs0
- 次にドクオが強すぎる件について。
これは本当に悩んだのです。MHFと2ndGの舞台となるドンドルマ。3rdの舞台となるユクモ村。
この二つに登場するモンスター達には誤魔化し切れない力の差があります。
それを表現するためにも、ドクオには強すぎるほどに強くなってもらいました。
実際問題MHFの武器と防具を持って3rdに乗り込めば、三日で世界の半分を手に入れられるレベルです。
- 424 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 19:59:26 ID:otTMZXLwO
- >>422 どのモンスターまで狩るかは明かさないでおきます。
ただ、ユクモ村には存在するはずのないモンスターが登場する予定はあります。 これは、この話を書き始めた当初から考えていた事でした。
【龍属性武器】についてですが、自分としては『伝説、又は架空の武器』として扱おうと思います。
例えば、虫素材で作れる双剣で双曲剣ロワーガという武器があります。
何故虫素材から龍属性?という疑問に、自分は答える事が出来ません。
だからこそ【存在するか定かではない】という形でぼかそうと思います。
- 425 :>>423続き:2011/06/02(木) 20:03:46 ID:OeLLN6Qs0
- だからこそ、まだまだ未熟なブーンやギコに焦点を当てた話をこれからも書いていこうと考えています。
この話自体、全てドクオ視点で進めていけばなんとも淡白な話になっていたと思います。
色んなPSを持つ人がいてこそ楽しいモンハンですから、その辺りはご了承ください。
- 426 :>>1:2011/06/02(木) 20:09:27 ID:OeLLN6Qs0
- それでは、今日はこの辺りで。ジンオウガ編が終わった時にはもう少し話せることも増えていると思います。
独自解釈満点の、一見「これってモンハン?」と思われるようなお話ですが、お付き合い下されば幸いです。
また空白の期間、大変申し訳なく思ってました。
それでも今日、この話を読んでくれた方々。これからこの話を読んでくれる方々には最大の謝辞を遅らせていただきます。
ありがとうございました。
では、また逢いましょう。予告はしませんが書き溜め状況の報告にはまめに参ります。
- 427 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 20:31:18 ID:CPH7U.EE0
- >>1乙 これはポニーテール云々
リオレウスかわいそす(´・ω・`)
もう狩れなくなっちゃうじゃないか。ただし銀レウスてめーはだめだ
- 428 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 20:33:44 ID:yabCiNhs0
- モンハンやった事ない俺でも楽しんで読める
完結まで読みたいから焦らずマイペースでやってくれい
乙でした!
- 429 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 20:56:39 ID:3Cs5qINQO
- 更新されてるじゃないか!!
今から読んでくる
- 430 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 21:05:09 ID:mXJvOWto0
- 乙ー
これ見てレウスを100以上殺したことに罪悪感が……
だ、だってあいつ紅玉落とさないんだもん
- 431 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/02(木) 23:14:26 ID:pfcet1lk0
- 空の王者(笑)がちゃんと王者してる、カッコいいわ
- 432 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/03(金) 07:34:01 ID:QCsTbP5wO
- Gにはランクあるのかな?
しかし面白い
- 433 :>>1:2011/06/03(金) 08:47:52 ID:jgKc0DLM0
- >>432 Gにランクはありません。
G級>>>>>>越えられない壁>>>>>>HR6という事だけ認識してもらえれば結構です。
ただ強ければG級になれる訳ではない、という話も後々に話の中で記述したいと思います。
メタっぽい話となりますが、ユクモのHR6はドンドルマ(MHF)でいう所のHR200前後だと解釈しています。
MHFにG級はありませんが、恐らくHRで例えるならばHR500オーバーになるかなと思います。
- 434 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/03(金) 13:39:23 ID:AaC2U1TAO
- 乙!
荒巻△
- 435 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/03(金) 18:26:23 ID:Uxb8tlJ60
- やっぱ設定資料集とかもってるのかな?
もってるなら何もってるか教えてほしい
- 436 :>>1:2011/06/03(金) 18:52:14 ID:jgKc0DLM0
- >>435 設定資料等は持っていません、3rdや2ndG、MHFをやってるくらいです。ある程度はゲーム内に書かれているので、それを見て妄想して無理のない程度に抑えて、という感じですね。
- 437 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/03(金) 20:46:37 ID:KhHrhnFM0
- おもしれえwww
この作品のファンになった
- 438 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/05(日) 19:32:19 ID:PMRSK/XY0
- 乙! あいかわらず安心のクオリティ
そして誤字
>336
× 住みかを替えざろうを得なかった
○ 住みかを替えざるを得なかった
誤字というか誤用なのかね、こういうの。
- 439 :>>1:2011/06/06(月) 07:02:30 ID:YQ9ihmcQO
- >>438 訂正ありがとうございます。自分はかなり大雑把な性格をしているので、このように指摘頂けると大変助かります。
今回は友人に推敲してもらっていないので。
【書き溜め】について
・5―2まで書き溜め完了
・五話が何部構成になるかは不明 ただ今回こそ短く終わらせたい しかし短いとモンスターと戦わないという事態になりかねない
一部書き終えれば、その都度投下というのも考えているのですが
全部書き終えてから伏線となる部分を書き加えていく自分のやり方では、それは困難だと理解しました。
全て書き終えるまで、気長にお待ちください。
- 440 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/06(月) 19:06:24 ID:3Lw37Co.0
- 無理に早くする必要はない
俺は質の良い作品を読みたいんだ
- 441 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/06(月) 19:06:57 ID:i3joWvRU0
- お疲れ様です
待った甲斐があった!そう思わせてくれるお話でした。
今後も頑張ってください!
後、一区切りついたら、アイルーや('A`)とのほのぼの番外編なんかも読みたいな
- 442 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/07(火) 17:23:37 ID:2kRKhuCY0
- 地の文は1行詰めてくれれば見やすい
視点が一人称に変わったのが分かりづらいし、
リオレウスの最期のような、行間があるほうが余韻が出る部分の印象も薄くなってる
こだわって一行空けてあるなら、その辺工夫してくれ。
- 443 :>>1:2011/06/07(火) 22:52:55 ID:MZYL72mMO
- >>442 ご指摘ありがとうございます。
四話の改行が、一行と二行に統一されていないのは、潰れてしまったPCのメールを別のPCに移動した際の不具合の為に元々“一行”だったのが“二行”になってしまいました。加えて、新たに書き足した部分は一行という、カオスな状態に。次回から一つのPCからの投下なので問題無いと思います。
一人称と三人称の混在については、自分としても常々苦心している事でもあります。これについては、>>1の努力次第という所で、これからの話で皆様に改善していく所を見てもらえれば、と思う所です。
又、読んで頂いた方は、分かっておられると思いますが、毎回地の文の書き方を変えているので 新しい話を読むたびに印象が変わったりする事もあるかなとも思います。
違和感に感じられる事もあるかと思いますが、何分初めての戦闘モノ故、暖かく見守っていただけると嬉しいです。
また皆さんの感想、本当にありがたく読ませて頂いております。
確実に書き溜めの活力となっていますので、その分次回の投下でお返しできるように頑張りたいと思います。
―――書き溜め状況―――
・5―3途中まで書き終わり 文量的には三話と同じくらいになりそうです
- 444 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/08(水) 07:46:10 ID:QfnFUGS2O
- 俺は文章には不満点は無いが
風呂場でのお色気シーンはまだか?
- 445 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/08(水) 09:00:18 ID:UfMd940U0
- >>443
行と行の間を空けないでほしいってことでしょ
こんな風に
>1と>443だと見やすさがずいぶん違う
視点が変わったところはもっと行を空けるか、文頭を下げればいいかも
- 446 :>>1:2011/06/08(水) 09:06:52 ID:P5YmpJK2O
- >>445 あっ、詰めた方が良いという事でしたか。 それは少し厳しいかもしれないです。とりあえずは意識して書くという報告でいこうと思います。
- 447 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/08(水) 16:21:27 ID:Ykyx29xMO
- 意識せんで気楽にやっていけばいいと思うよ
今のままで十分見易いし
作者に何でもかんでも要求しても、期待に応えようとして必死になって
いつもの作者のペースを崩しかねない
- 448 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/08(水) 20:15:16 ID:W7BGCz4U0
- >>446
こだわりあるなら好きにしてくれていいよ
>>445
解説thx
- 449 :>>1:2011/06/13(月) 17:50:39 ID:LNp1LiXwO
- 書き溜めも大分進みました。後、二、三日もすれば書き終わると思います。
文量は……察してください。結局そこまでスリムにはなりませんでした。
後二、三話で新章に入れると思うので、早くそっちを書きたい気持ちで一杯です。
- 450 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/13(月) 20:48:22 ID:nLsxLPpA0
- これは楽しみ
- 451 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 00:01:30 ID:u/hPurtw0
- パンツ脱いで待ってる
(混浴的な意味で)
- 452 :>>1:2011/06/17(金) 07:19:09 ID:6FPBv.cwO
- 色々と試行錯誤し続けた結果の五話です。従来の表し方で言えば5―2までの投下ですが、思うところがあり、構成を一新しました。
それにより残り予定話数に大きな影響がでますが、話数が変わるだけで、話の内容には変化はありません。
- 453 :ハンター:2011/06/17(金) 07:19:53 ID:6FPBv.cwO
- ●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6
所属猟団:無所属
使用武器:コウリュウノツガイ(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村
●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:Stubborn】
HR:6
所属猟団:荒鷲団
使用武器:ハイジークムント(大剣)
防具:レウスSシリーズ
現在地:ユクモ村
●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーV(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村
- 454 :ハンター:2011/06/17(金) 07:20:19 ID:6FPBv.cwO
- ●( ^ω^) ブーン=ホライゾン
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:デッドリボルバー(鎚)
防具:アロイシリーズ
現在地:ユクモ村
●ξ゚听)ξ ツン=ツンデレート
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:ジャギットファイア
防具:ジャギィシリーズ
現在地:???
- 455 :オトモ:2011/06/17(金) 07:21:01 ID:6FPBv.cwO
- ●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村
- 456 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:22:25 ID:6FPBv.cwO
-
力があれば何でも出来るんだ。
金だって、その辺りの飛竜を捕獲して好事家にでも売れば手に入る。
女だって多少強引に連れ帰っても文句を言わない。
でも結局、一番大事なモノは手に入らない。
そういう風に出来てんだよ、この世界は。
―――One Shot Killer ジョルジュ=ランドロ―――
- 457 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:23:15 ID:6FPBv.cwO
-
見通しの良い平原。草花が咲き誇り、一歩一歩移り行く景色。
吟遊詩人によって唄われた、世界と世界の繋ぎ目。
【スペランツァ平原】
そこに二人の姿があった。
戦いとは無縁の、この世の極楽のような場所に、鎧姿のその二人組は酷く不調和だ。
(;゚∀゚)「ショボン、そろそろ変わってくれよー。もう手がボロボロだぜぃ」
(´・ω・`)「んー、まだ約束の距離まで達してないよ。もうちょっと頑張ってね」
引き締まった小柄な身体付き、荷車を押しながらヘナヘナと憔悴した声を出しているのが、ジョルジュ=ランドロ。
荷車の上で大仰に胡坐を組んで、チビチビと竹筒から酒を飲んでいる大柄の男をショボン=ライコネンという。
- 458 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:23:55 ID:6FPBv.cwO
- (;゚∀゚)「つーか、なんでこんな大荷物なんだよー。 重いったらありゃしねぇ」
(´・ω・`)「その質問、この旅を始めて38回目だよ。 いい加減に学習したら?」
この二人が運んでいる荷物。確かに、二人分の着替えと考えれば大きすぎる。
それでこそ、行商人のような大きさの荷物をガーグァも使わず、たった一人でここまで運んでいるのだ。
(;゚∀゚)「あーっ!! 余りの重労働に俺様の指がああぁぁああああ!!!!!」
(´・ω・`)「君の指がぶっ飛んでるのは、元々だろ」
( ゚∀゚)「……ちぇー。ちょっとくらい、構ってくれたって良いだろうによー」
見ると荷車を押す方の男には左手の薬指と小指が無かった。
傷口の縫い方は複雑。刃物で切り落としたというより、火薬で爆散したようだ。
(;゚∀゚)「こう暑いとよー、馬鹿になっちまうぜ」
(´・ω・`)「それも元々だよ」
テメェ、ショボンという怒鳴り声が響いた。
そして荷車を押していた男は、それを
(´・ω・`)「全く馬鹿力だね」
なんと持ち上げたのだ。荷車だけで百キロ、積み荷も含めれば三百キロ近いそれを。
- 459 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:24:38 ID:6FPBv.cwO
- (#゚∀゚)「自虐に冷静に突っ込まれんのが一番腹立つんだよ!」
この細い腕のどこにそんな力があるのか。人体の不思議である。
(´・ω・`)「……」
( ゚∀゚)「あァ? どうにか言ったらどうなんだよ」
(´・ω・`)「いや、少し驚いたんだよ」
少しどころの話では無い。この小柄な身体で自分の何倍もの大きさを持つ荷車を持ち上げたのだ。地球の物理法則に真っ向から喧嘩を売るような物である。
( ゚∀゚)「ハッ、嘘つけぃ。こんなんで驚くお前かよ」
(´・ω・`)「いや、君が自覚を持った馬鹿だという事にさ」
(#゚∀゚)「テメェ、やっぱぶっ殺す!!!!」
奇天烈奇妙な二人の旅は、まだまだ続く。
それは二つの物語。一足先にユクモに辿り着いた一人の狩人と、それを追い掛ける二人の男の物語。
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
第五話
- 460 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:25:56 ID:6FPBv.cwO
- 秋雷が鳴り響くユクモ。時は夜半。もう村人の殆どは、毎年恒例となっている収穫祭に向けて床に就いている。
人の生活は火と共に有り、火は光を生む。
真っ暗になったユクモ村の中で一軒だけ、酷く異質な建物があった。
少し近づいてみると、その中から聞こえてくるのは飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ。
中を覗いてみると、そこにいるのは全て屈強な体付きの人間だった。
一抱え程もある樽酒を持ち、字の如く浴びる様に飲む。
陽気に歌い、上機嫌に踊る男達。
それを面白そうに、一歩退いて眺めている女性陣。
そんな中、明らかに一ヶ所だけ温度の違うテーブルがあった。
ドクオだ。
('A`)「亭主、アプケロスの炙りとハコビールを頼む」
注文を受けた亭主は、何も言わずにカウンターの奥に消えた。
ドクオは注文した料理が来るまで周囲をグルリと観察したが、何かの祝いの席なのだろうか。豪華絢爛な皿が並べられたテーブルに、数十人の人間が掛けている。
- 461 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:26:35 ID:6FPBv.cwO
-
(*-∀-)「にゃー、今日はギコの昇級祝いだニャー」
('A`)「何時の間に乗ってるんだ」
何時の間にか、頭の上に図々しく座っていたツーが答えた。
('A`)「……どこの世界でも、狩人は祭りが好きだな」
(*゚∀゚)「ただ騒ぎたいだけだニャー」
こうして見ると、普段は村人の槍としてユクモを支える狩人も、ただの飲んだくれだ。
('A`)「ところで、そこの隅で酔い潰れているのは主賓のギコ君ではないのかな?」
(*,,ーДー)「むにゃむにゃ……」
(*ー∀ー)「……なんでうちのギルドには、バカしかいないのかニャー」
雷光虫の提灯に照らされた室内。その部屋の中でも薄暗い隅に、今日の主賓であるギコ=ストッドウッドが転がされていた。
随分飲まされたようで、顔を真っ赤にして涎を垂らしながら、眠っていた。
- 462 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:27:18 ID:6FPBv.cwO
-
( ^ω^)「ギルド待望のHR6だからだお! 皆、嬉しいんだお!」
(*゚∀゚)「おー、うちのバカ筆頭が来たニャー」
( ^ω^)「言葉の暴力って知ってますかお?」
(*ー∀ー)「心の病院にでも行ってこいニャー」
ブーンは、今でもドクオの元に鍛練に来ていた。その関係で、ブーンとツーの関係にも、少し変化があった。
( ^ω^)「ツー様、そう言えば妹様がギコさんのオトモになるらしいですお」
(*゚∀゚)「ニャー、しぃがニャー。あの子はアタシと違って出来が良いから、きっと尽くすニャー」
ドクオに懐いているツーだが、ユクモにいる他の狩人とは比較的距離を置く嫌いがあった。
しかし、ブーンとは最近よく戯れ合っている。
優秀なオトモであるツーにとって、更に優秀であるドクオの傍らは、一匹のアイルーとしてはひどく居心地の良い場所ではあるが、オトモとしては少し物足りない所がある。
その点、まだまだ伸び盛り。悪く言えば経験不足であるブーンは、可愛い弟子のような感覚である。
- 463 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:27:53 ID:6FPBv.cwO
- ('A`)「そういえばブーン、ツンは一緒じゃないのか?」
( ^ω^)「お、今日は一緒じゃないお。最近、夜はどこかに出掛けてるみたいで、飲みに誘っても全然取り合ってくれないんだお」
ブーンは少しつまらなそうに、空けたグラスをクルクルと指でなぞった。
('A`)「こんな夜更けにか? 面倒な事じゃなければ良いんだがな」
( ^ω^)「そんな心配する事じゃないお! ユクモに、ツンデレ姉妹に手を出せる人は居ないお」
そう言われてみると、ツンは、あれだけ美人なのにブーン以外の男性と話しているのを見た事がないな、と気付く。
('A`)「それはツンの近くに、いつもブーンが居るからじゃないのか?」
フルフル、とブーンは首を振る。
( ^ω^)「……ドクオは、ユクモに来て長くないから、あの二人の恐ろしさを知らないんだお」
('A`)「ん、どういう事だ?」
どことなくブーンの表情が暗い。というか、二の腕を擦りながら震えている。
- 464 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:28:25 ID:6FPBv.cwO
-
( ^ω^)「……ユクモはお国柄、裸に抵抗を感じる人が少ないんだお。 そりゃ毎日の様に皆で温泉に入ってるし、衝立て一枚で男女が区切られてるだけの浴場だって一杯あるんだから仕方ないんだおね」
('A`)「ふむ」
( ^ω^)「……一度、それを良い事に、ツンの裸を覗こうと衝立てを蹴り飛ばしたバカが居たんだお。 事故っぽくすれば、誰も今更何も言わないと思ったみたいだお」
('A`)「……それで、どうなった?」
( ^ω^)「……三回瞬きする間に、三十発の拡散弾が飛んで来たお」
(;'A`)「………」
ドクオは絶句した。大型飛竜の討伐によく使われる拡散弾を三十発。
冗談では済まないレベルだ。
( ^ω^)「調合分も合わせて、何の躊躇もなく撃ったんだお。流石にボクも退いたお」
- 465 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:28:59 ID:6FPBv.cwO
- (;'A`)「よく死人が出なかったな、それで。中型モンスターなら即死レベルだぞ」
( ・∀・)「ははは、流石にあの時ばかりは私も死ぬかと思ったがね。あっ、ブーン君。そこのツマミ、食べないなら私が貰おう」
('A`)「ん……」
何時の間にか同じテーブルに腰掛けていた男。ドクオに気取られない隠密。そして身のこなし。
只者ではない。
( ・∀・)「初めまして、ドクオ君。私はモララー、しがない鍛冶屋の倅だ。よろしく頼むよ。ブーン君、はやくツマミを寄越しなさい」
( ^ω^)「……モララーさん。ちょっと外でお話しましょうお」
(;・∀・)「やっ、やめてえぇぇええ!!摘み出すのはやめてえぇぇええ!! ツマミだけにね」
ツーは頭を抱えていた。驚いた風に見えないのは、この男、モララーにとって、このようなやり取りは日常茶飯事という事だろう。
一方、ドクオは背後の双剣に無意識のうちに手を伸ばしていた。
(*゚∀゚)(ドクオ……流石にそれは突っ込みのレベルを越えてるニャー)
- 466 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:29:49 ID:6FPBv.cwO
-
( ・∀・)「いやいや、取り乱してしまったね。失礼した。 一度、ドクオ君と話をしてみたかっただけなんだ」
('A`)「いや、構わないが。モララー、と言ったか?」
ドクオとモララーは、落ち着ける様にテーブルからカウンターへと席を移した。
( ・∀・)「いやはや、人と話す事が少ないのでね。緊張を和ませるためだったんだが、少しやり方を間違えてしまったか。改善せねばな。 そうそう、私の事は気軽に“モララー様”もしくは“モララー閣下”で構わないよ」
('A`)「さらっと言うな。モララーも狩人なんだな。背中のソレ。見た事のない形状の武器だが、剣斧か?」
モララーの背に収められた武器。一見、そこまで大きく見えないが、よく見ると二つ折りになっている。
単純にそれの二倍の大きさと考えれば、かなりの物だ。
( ・∀・)「ご明察だ。これはユクモ発祥の武器、【剣斧】スラッシュアックスと言う。見かけによらず、重量は大剣並みでね。じゃじゃ馬だよ」
ほう、とドクオは興味深気に目を細めた。
今更双剣以外の武器を使う気はないが、やはり狩人として未知の武器という物には興味があった。
- 467 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:31:36 ID:6FPBv.cwO
-
( ・∀・)「ふむ……君は物好きな人間だね。新開発の武器なんて、普通の人間は見向きもしないだろうに」
武器には、それぞれの長所があり短所がある。その特性を知り、理解する事が優れた使い手となる方法だ。
狩人の歴史を身近に見てきた竜人達の間で、しばしば議論される話題がある。
【古今東西、最上の狩人は誰か】
この話題自体、もう既に出尽くした感のある物であるし
その上、ここには書き切れない程の問題と矛盾を孕む議題である。
だが、その矛盾こそが議論をヒートアップさせる。
しかし結論として、毎回導き出される答えとして
【武器の扱い】については、間違いなく“過去”よりも“現在”の狩人の方が優れているという物がある。
過去の狩人達が積み重ねてきた武器との関係、それが脈々と現在まで受け継がれてきた。
ここにいるドクオ、ギコ、ブーン、その全員に確かに流れている血。
それこそが“現在の狩人”が持ち得る“過去の狩人”に勝る点である。
- 468 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:32:06 ID:6FPBv.cwO
- しかし、この未知数の武器。剣斧には、その経験が無い。裏付けが無い。
だからこそ狩人達は、新たな武器を忌遠する。
( ・∀・)「これはね、うちの鍛冶職人達が開発した武器なのだよ。持ってみるかい?」
('A`)「良いのか? じゃあ、少し拝借」
モララーから手にした剣斧を片手で受け取る。
('A`)「……重いな。かなりの重量だ」
( ・∀・)「それでもうちの職人達が苦労して大分軽量化したんだがね。 まぁ、その武器の特性上これ以上の小型化は望めないのだけれど」
二つ折りの状態で、この重さ。これが剣斧となり振るうとなれば、片手では厳しいだろう。
('A`)「ありがとう、なかなか興味深い武器だ。まぁ、玄人向けの武器という感じだな。少なくとも、これを充分に振るえるだけの筋力を付けるには、それなりの努力と歳月が必要のようだ。
それに、この瓶もなかなか面白い。武器特有の属性に加えて、この瓶で更に属性を付与する訳だな」
- 469 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:32:53 ID:6FPBv.cwO
- ( ・∀・)「素晴らしい!G級というのは武器に関しても深い造詣が必要なのかね?」
('A`)「そんな物は必要ない。この複雑過ぎる機構の意味を少し考えれば分かるよ」
ドクオは、ハコビールの入ったグラスを傾けた。麦芽やホップ等を発酵させて作られたそれはキレのある味が特長である。比較的アルコール度数も高くなく、狩人達の間では水代わりとしてよく飲まれる。
('A`)「それで、その武器を俺に見せにわざわざ来た訳ではないんだろ? そろそろ聞かせて貰いたいな。その理由」
( ・∀・)「ふむ……。君は少し自意識過剰な性格をしているらしい。 君に話し掛けたのは純粋な私の興味だよ。
無双と謳われるG級の狩人が、こんな間近にいるんだ。話してみたい、と思うのも無理からぬ事だろ?」
少し間を置いて、モララーは更に付け加えた。
( ・∀・)「でも、そうだね。敢えて今君が問う質問に答えるならば
『あの純朴な狩人を変えた者』に興味が湧いた、と言っておこう」
未だに床で気持ち良さそうに寝息を立てているギコ。その顔をゲシゲシと蹴りつけつつ、モララーは楽しげに答えた。
( ・∀・)「これとは幼馴染みでね。この村の誰よりも彼の事を理解していると自負している。 私も彼の心意気に関しては、思うところがあってね。ただ私自身の力では、どうする事も出来なかったのだよ」
('A`)「ほぉ……」
- 470 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:36:08 ID:6FPBv.cwO
- ( ・∀・)「あの“死にたがり”なギコ君に、いつか一発お見舞いしてやろうと画策していたのだが、いやはや先を越されてしまったよ」
('A`)「別に。俺とコイツは狩りを共にしただけだよ」
―――それだけで心の柵を取り払う、というのは凄い事だと思うのだけれどね
モララーは、楽しげに笑ってグラスに残りを一気に呷った。
- 471 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:36:41 ID:6FPBv.cwO
-
( ^ω^)「おっ、モララーさん。もう帰るんですかお?」
( ・∀・)「うむ、もう用事は済んだよ。 あぁ、そうそう。ブーン君、HR昇格おめでとう。お祝いがまだだったね、ツン嬢にも伝えておいてくれ。
私が彼女の前に現われると拡散弾の雨霰を見舞われる事になるから」
( ^ω^)「そう思うならセクハラはやめて下さいお。宥めるボクの気持ちにもなってください」
( ・∀・)「ははは、それは君にしか出来ない崇高な仕事だろう。まぁ、考えておくよ。では、失礼する」
ユクモ随一の馬鹿であるブーンに馬鹿と言われる男、モララー。
(;^ω^)「はぁ……ヒヤヒヤしたお。あの人、なにを考えてるのかちっとも分からないから不安なんだお」
('A`)「そうか? 俺と話している時は、そうは見えなかったがな」
二人で飲み直そう、とブーンがドクオのカウンターに座った時、それは起きた。
騒めき立つ酒場。
その元凶。
ζ(゚ー゚*ζ「こんばんはー」
デレの登場である。
- 472 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:37:26 ID:6FPBv.cwO
- ここが普段の酒場であれば、皆顔をほっくり笑顔にして彼女を暖かく迎え入れた事だろう。
しかし、ここは普段の酒場ではない。
何人かの新米狩人は、余波を恐れて我先にと店の外に逃げ出した。
ブーンが今の現状を正しく理解するまで、時間は掛からなかった。
( ・∀・)「やぁ!! これは我が麗しのデレ嬢!! ご機嫌如何かな?」
今の危機的状況を理解したブーンの顔には脂汗が滲んでいる。
( ^ω^)「……あれ?あるぇ〜〜?」
(; ゚ω゚)(まっ、まずいお! これはとんでもなく不味い事になったお!! 逃げ道は、あの入り口だけ。そこに行くにも、絶対にあの二人の前を通らなくちゃならないお!!)
いきなり震えだしたブーンに、きょとんとするドクオ。一体何を震えているというのか。
('A`)「ブーン? どうしたんだ、体調が優れないなら送るが?」
(;^ω^)「ちっ、違うんだおっ! ドクオ!今ボク達は限りなく死地にいるんだおっ!!」
- 473 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:38:37 ID:6FPBv.cwO
- ブーンの尋常ならざる様子に一応真剣に話を聞いてみよう、とドクオは居住まいを正した。
('A`)「ふむ。それは一体どういう事だ?」
(;^ω^)「モララーさんとデレさんを合わせると……ひぃっ!!!」
ブーンが話している最中、何かが飛んできた。それは、二人の座るカウンターを軽々貫通し、恐らくこの店で最も堅いであろう鉄鋼石製の床に突き刺さり止まった。
('A`)「……貫通矢?」
( ^ω^)「あぁ、何もかも終わったお……さよならボクの人生」
カウンターの席で不思議そうにキョロキョロする男と、何もかも諦め突っ伏す男。
そしてもう一つ、その二人とは対照的に一触即発の雰囲気を出す二人が居た。
(;・∀・)「あははー、デレ嬢は相変わらず照れ屋だね」
ζ(゚、゚*ζ「………」
モララーとデレである。
デレに至っては、フロギィリボルバーを抜き取り、油断なくモララーに向け構えている。
( ・∀・)「大体だね、デレ嬢。『おっぱいを揉みしだかせて欲しい』という私の願いは、そこまで君の怒りを買う物なのかな?」
何言ってんの?コイツ、という周囲の目を気にする事無く飄々と尋ねるモララー。
デレは無言で矢をつがえた。
- 474 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:39:07 ID:6FPBv.cwO
- (;・∀・)「まっ、待ちたまへよ! 確かに君のおっぱいを揉む、というのは私の下劣な欲望を叶えるだけの願いだがね。さりとて、それは男の性! 口にはしないが、ここにいる男衆は皆君の豊満なおっぱいを揉みたがっているさ!!」
完全に火傷である。周囲にいる男にとっては堪った物ではない。
デレは無言で“貫通矢”から“拡散矢”へと、つがえ直した。
もう、一人の馬鹿の犠牲では済まなくなった。
周囲の者は、なんとかデレの怒りを収めようと、それが出来そうな人物を探すが
(*,,ーДー)「zzz」
( ゚ω゚)「あばばばばば……」
使えない奴しか居なかった。
- 475 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:39:49 ID:6FPBv.cwO
- ドクオも漸く、自分の置かれている状況を理解するが、まぁ流石に殺し合いにはならないだろう、と成り行きに任せる事にする。
なんとか自分を正当化しようと、言い繕うモララーだが全て完全に裏目。寧ろ、本気でこの様な事を思っているなら、世界の為に今すぐ死ぬべきだ。
ζ(゚、゚*ζ「モララーさん、死んで下さい」
一挙に飛来する矢。合計六本。
しかし事前に、わざわざ貫通矢から拡散矢に皆の前でつがえ直す所を見ると、本気で殺そうとは思ってない様子。
この内、二本はモララーに向かって飛んだ。
それをモララーは、たまたま近くにいた完全防備の狩人を盾にして躱す。
( ><)「ひっ!酷いんです!! モララーさん!死ぬかと思いましたよっ!!」
( ・∀・)「おや、ビロード君だったかい。失敬したね」
しかし、矢は残り四本。次の二本は最も人が密集した場所に飛んだ。
―――阿鼻叫喚
酒を飲みにくるのに、防具など付けてくる者は居ない。居るとすれば、それは随分な変わり者だ。
大抵の者は、アンダーシャツとパンツ一枚。勿論、最も威力の低い拡散弓だからといって、刺されば肉を裂かれ、血が出る。
蜘蛛の子を散らすように、無様に逃げ出した。
- 476 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:40:45 ID:6FPBv.cwO
- 『ふざけんなよおぉぉお!!!!!』
『こんな店中で弓を引く奴がいるかぁぁああ!!!!!』
( ・∀・)「ふははは、どうだね。人がゴミの様だ!!」
( ><)「うわぁ!外道なんです!」
一応、ここでも被害は出なかった。酔っている、とは言え流石は狩人。それ以前に、ユクモの酒場で飲むのならば、この事態は最初に頭に入れておく必要のある事なのだ。
さて、行き先不明、片道切符の矢は後二本。
これが飛んだ場所が最悪。
一本は、カウンター席。ドクオとブーンがいる場所だ。ブーンは、もう精神的に壊れてしまっていて役に立たないが、そこはドクオ。 背の双剣を引き抜こうともせずに、迫り来る矢のど真ん中。それを片手一本で楽々掴み取った。
('A`)「………!?」
しかし、デレから放たれた矢の先端を見て己の間違いを改める。
矢じりにベットリと塗られた毒。
(;'A`)(デレの奴……本気で殺す気だったのか)
ζ(゚、゚*ζ「………」
ブーンの言う“ツンデレ姉妹”の恐ろしさを初めて垣間見た。
- 477 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:41:18 ID:6FPBv.cwO
- 最後の一矢。早々に軌道が逸れ、伸びる事なく下降していったそれ。
(*,,ーДー)「……zzz」
向かう先は、偶然にも床に転がされていたギコだった。 これは、不味い。本当に不味い。意識があるなら心配の必要は無いが、ギコは今眠っている。
ドクオも、それに気が付いた。今から走った所で間に合う訳もない。
一瞬で判断したドクオは、アプトノスの炙りが盛られていた大皿を投躑。
ギコに迫る“毒矢”と“皿”。周囲は固唾を飲んで見守っている。
『ご主人様に手を出すのは許しませんにゃ』
- 478 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:42:21 ID:6FPBv.cwO
- 結果的に、毒矢はギコに当たらなかった。小さな鎚が、それを弾き落としたのだ。
(*゚―゚)「………」
ギコを守るように立ち塞がった小さな守護者。
オトモアイルーである。
この酒場に居た誰もが、その姿に見惚れた。主人に降り掛かる火の粉を払うオトモ。出来過ぎている。
(*゚ー゚)「ギコ様に矢を向けるのは……にゃあ!!??」
しかし
(*;―;)「いったあぁぁい!!! 誰ですにゃっ!?こんな大皿を投げたのはっ!?」
最後に飛んできた大皿が彼女の脳天を直撃しなければ、だが。
(*゚∀゚)「にゃははー、相変わらず、しぃはドジだニャー」
涙目で頭を擦るアイルー、しぃ。
その姿を見て爆笑するツー。
('A`)「しぃ……あぁ、ツーの妹か」
(*;―;)「お前様ですかにゃ!? しぃに皿をにゃげつけたのは!?」
アイルーの可愛らしい容姿と、上目遣いの涙目。それは、全くもって迫力を持っておらず、ドクオは寧ろ頭を撫でたくなるような衝動に襲われる。
- 479 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:43:31 ID:6FPBv.cwO
- 少し時間が経って、痛みも引いてきたのであろう。しぃも大分、普段の様子を取り戻してきた。
(*゚ー゚)「ふんっ、大体オトモはご主人様を護ってこそ価値があるっていうに、ツーときたら」
(*゚∀゚)「オレっちは、ドクオを信頼してるのニャー。ひよっこのヘロヘロ矢くらいじゃ、どうって事にゃいのニャー」
普段の様子、というか姉妹喧嘩だ。
(*゚∀゚)「しぃこそ、あんな鼻タレのオトモで良かったニャー。護り甲斐があるってもんだニャー」
(*゚―゚)「……ツーこそ、ろくにオトモの仕事もしてにゃいって聞いてるにゃ。なまくらなツーには、丁度良いご主人だにゃ」
売り言葉に買い言葉。『やんのか?』『おう、かかってこいや』という具合に、子供の喧嘩である。
現在進行形で掴み合いをしているが、ただの戯れにしか見えない。
('A`)「ほら、いい加減にしろよ」
(*゚∀゚)「ニャー」
(*゚―゚)「……にゃ」
ドクオは、ひょいっと二匹の背中を掴み上げた。
('A`)「全く、姉妹は仲良くしろ。ヒトであれオトモであれ、血の繋がりというのは、この世で最も切り離し難い物だぞ」
(*゚∀゚)「ニャー、こんなお姉様を見下す妹はいらないニャー」
(*゚ー゚)「こんな尊敬出来ない姉なんていりませんにゃ」
- 480 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:44:18 ID:6FPBv.cwO
- 放っておくと、すぐにでも二回戦を始めてしまいそうな二匹を見て呆れるドクオ。
('A`)「おいおい。それよりギルドに奉公しているオトモなら、あの二人を止めた方が良いんじゃないか?」
ドクオの視線の先には、未だに睨み合うデレとモララー。
(*゚―゚)「モララーは、良いんですにゃ」
(*゚∀゚)「デレは、頭に血が昇ると見境がにゃいからニャー」
止める気など、さらさら無いようだ。
(*゚∀゚)「普通なら仲間が止めるんだろうけどニャー。モララーの場合はギコがいにゃいと……」
('A`)「ふむ、ギコしか止められないという事か?」
そういう事は、ドクオが居たドンドルマでも往々にしてあった。良い腕をした狩人同士が喧嘩を始めれば、周りの連中は全く仲裁に入らない。入ったところで止められないからだ。
正確には、止められるような力を持つ狩人もいるのだが、そういう輩に限って性格破綻者が多い。つまり、率先して煽るのだ。
(*゚―゚)「それもありますにゃ。でも、それ以上にモララーはご主人様以外に“仲間”と言える人が居ない、という事です」
('A`)「………」
- 481 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:44:57 ID:6FPBv.cwO
-
仲間が居ない、それはどういう事なのか。
『仲間』というのは、狩りをする上で最も重要な要素だ。 信頼出来る、出来ないに関わらず、絶対に必要なモノだ。
何故必要なのか、と聞かれれば答えに窮する。
曖昧だからではない。
理由が多過ぎて書き切れないのだ。
それ程までに重要な仲間。それがギコ以外居ないとは、一体どういう事なのか。
('A`)「それは又どうして?」
(*゚―゚)「………」
(*゚∀゚)「………」
沈黙。閉口。
言いにくい事なのか、とドクオは理解する。
('A`)「……後で、ギコに聞いてみるか。それよりも、まずあの二人だな」
ドクオは、ゆるゆると二人に近づいていった。
- 482 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:45:40 ID:6FPBv.cwO
- ζ(゚、゚*ζ「モララーさん、私言いましたよね。私ならまだしも、ツンには卑猥な事を言わないで下さい、と」
( ・∀・)「うむ。確かに聞いたような気がするね」
相変わらずの剣呑な雰囲気。とはいえ、周囲に殺気を撒き散らしているのはデレだけだ。
モララーは、食えない顔で油断無くデレを捉えているが、手を出すような気は無いようで 弓を向けられているにも関わらず、自分の得物に手を掛けようとはしていない。
ζ(゚、゚*ζ「それを分かっていてツンに……うぅ……」
そこで言い淀んだデレ。
(*・∀・)「おんやぁ? そんな小さい声だと、おじちゃん聞こえないなぁ! もうちょっとおじちゃんに聞こえるように、はっきり言ってくれるかなぁ?」
小動物の様にプルプルと顔を赤らめ震えるデレ。その瞳には、うっすらと涙さえ見える。
ζ(////*ζ「おっ、おっぱいを揉ませて欲しいだなんて!!」
( ・∀・)「うむ! ご馳走様でした!!」
何故か手を合わせるモララー。それに追従するかのように、周りの何人かの男達も手を合わせた。当然、隣に女性が居た場合、等しくぶん殴られているが。
- 483 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:46:19 ID:6FPBv.cwO
- ζ(゚ー゚#ζ「こっ、殺します!貴方だけは、私の手持ちの瓶が尽きるまで殺し続けます」
再び、デレは矢をつがえた。
( ・∀・)「えっ、あれ?デレ嬢? こんな店中で強撃瓶は不味いのではないですか? やめてええぇぇええ!!!!爆発するから!!!!お店の中、大変な事になっちゃうからああぁぁああああ!!!」
ζ(;ー;*ζ「やめないもん!!」
言い方は可愛いが、放たれた矢は凶悪。
ここにきて初めてモララーは、自分の武器、スラッシュアックスに手を伸ばした。
( ・∀・)(ふむ、流石にこれを避けてしまっては何人か死人が出るな。六本か、全部は無理だが中央の四本ならどうにかなるだろう。後の二本は……まぁ、死んだら死んだで面白い)
しかし、ここでモララーの手が止まる。
視界の端を、何かが通り抜けたのだ。今、剣斧を振るえば確実にそれを斬ってしまう。
('A`)「全く、瓶の矢を使うのはやり過ぎだ」
それはGの狩人だった。
自分の持つ剣斧よりも、一回りも二回りも小さい武器を持った狩人だ。
周囲にいた普通の狩人には、ドクオがただ回っただけに見えた事だろう。
いきなりモララーとデレの間に割り込んできて、一回りしただけの呑気な阿呆。そう思っただろう。
- 484 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:47:00 ID:6FPBv.cwO
- ( ・∀・)「!!」
しかし次の瞬間には、デレの放った六本の矢、全てが圧し折られていた。
('A`)「それに、こういう素早い相手には拡散と連射を使い分けた方が良いぞ。 人間相手だと、それだけでフェイントになる」
ζ(゚、゚;ζ「ドクオさん!? いらっしゃったんですか??」
驚くデレ、無意識のうちに構えていた弓を背に隠した。
('A`)「ん、まぁ俺は滅多に外食しないからな。あまり酒場には来ないんだが、今日はブーンに全部食われてしまってな。泣く泣くだよ」
ζ(゚、゚*ζ「はぁ、そうなんですか」
今までずっと張り詰めていた空気が、嘘のように溶けていく。
('A`)「それよりも、喧嘩は狩人の華だが場所を考えろよ。巻き込まれてギコとブーンが死にかけてたぞ」
ζ(゚ー゚;ζ「すっ、すいませんっ!」
('A`)「反省してるなら構わん」
構わないのかよ、という周囲の突っ込みたい気持ちがありありと皆の顔に表れていた。
- 485 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:47:42 ID:6FPBv.cwO
-
( ・∀・)「ふははははー!!! 久々に良い物を見せて貰ったよ!!」
いつの間にか入口の前にまで移動していたモララーだった。
( ・∀・)「デレ嬢も随分と成長しているようで何よりだよ!!!」
咄嗟に胸を隠すデレ。
('A`)「デレ、言いにくいが腕の方だと思うぞ」
ζ(////*ζ「……あぅ」
( ・∀・)「ふむ、愉快愉快。お礼に私の“本当”の肩書きを名乗ろうか、ドクオ君」
『私はユクモの歌姫、キュート=バレンタインに仕える狩人、モララー=ケーニッヒ。 “騎士派”の人間だよ』
- 486 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 07:51:03 ID:6FPBv.cwO
- これにて五話終了です。
今までは気持ち良く終われる所で区切ってきましたが、今回からはムズムズする終わり方にしようと思います。
六話は、今回のようなコメディチックから、また離れますのでご安心を。
質問等あれば受け付けます。気軽に、ここに書き込んでいって下さい。
- 487 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 08:03:02 ID:1rEeQ69o0
- おお 朝っぱらから続きが読めるとは
また続きが楽しみだぜ
乙おつ
- 488 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 08:27:34 ID:dSixju1M0
- 朝っぱらからキター
- 489 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 08:38:50 ID:pHvrWIHkO
- 乙でした
しぃにゃん可愛いよしぃにゃん(*゚―゚)
- 490 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 08:51:49 ID:E3weuno2O
- 乙です
- 491 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 12:06:39 ID:8fFxNy9EO
- おつー
- 492 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/17(金) 14:11:05 ID:96P7gm6o0
- おつ
- 493 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 11:57:28 ID:YNYSbOcEO
- 乙!
これからきな臭くなりそうだな
- 494 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/23(木) 00:39:58 ID:DJi4jbIU0
- おんもしれー
ショボジョルはG級なんかな?
- 495 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/23(木) 17:59:32 ID:xZT/Bz9g0
- >>494
>>220
>>192
>>324
- 496 :>>1:2011/06/23(木) 19:03:04 ID:zeMh/L3.O
- 書き溜めを保存し忘れて涙目の>>1です。
>>494 >>495の方が示してくれた通り、ショボン、ジョルジュはドンドルマのG級です。
One Shot KillerとSpear The Gungnirから使用武器は想像出来ると思います。
次の話を投下して際に、目次を付けようと思います。それに加えて、各話に題名を訂正して付け加えさせてもらいます。
- 497 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/27(月) 01:24:04 ID:LmpQ7ceM0
- この作品みてモンハンの資料集買っちまった・・・資料集見ながら毎日待ってるんで頑張ってください!
- 498 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/01(金) 00:58:30 ID:tLyhL6tQ0
- 待ちきれずに上げるのも一つのジャスティス
- 499 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/01(金) 03:26:21 ID:/q7MMOpUO
- >>497
資料集…?モンハンはしてないの?
- 500 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/03(日) 20:51:03 ID:I67GlJ1E0
- >>499
モンハンのゲームは前々からやってましたよ
ただこのスレ見て設定集とか欲しくなったんで買い漁りましたw
- 508 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/13(水) 01:35:26 ID:22BaVysg0
- クーはいつ頃でるんだろ
- 509 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/15(金) 00:27:58 ID:A4e2YbZ60
- わたしまーつーわー
いつまでもまーつーわー
- 510 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/18(月) 15:18:33 ID:5Oun4.86O
- >>1頑張って!!
- 511 :>>1:2011/07/21(木) 11:55:24 ID:eq78dZbcO
- 大学試験中です。夏休みに入るまでお待ちください。
- 512 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/21(木) 17:24:28 ID:GQ2B1tp6O
- >>1
応援します!
- 513 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/21(木) 18:15:11 ID:ZZLCH6js0
- 前期試験中か
生存してたならいくらでも待つよー
- 514 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/22(金) 01:07:08 ID:MJJC5IKw0
- まっだかなまっだかなー
- 515 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/28(木) 10:28:27 ID:Z3Pa03TgO
- まだかしら…
- 516 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/29(金) 08:14:58 ID:ob0YFng.0
- 夏休みだから8月入ってからじゃないとこないんじゃね?
- 517 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/01(月) 19:23:16 ID:446WouD20
- そろそろだな
- 518 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/06(土) 19:33:04 ID:/dhZKOus0
- まだかなー
- 519 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/08(月) 19:46:13 ID:ouc6iPSA0
- あ
- 520 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/08(月) 19:46:37 ID:ouc6iPSA0
- あぁ
- 521 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/09(火) 23:35:04 ID:T4X6RVLE0
- まだかな・・・
- 522 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/10(水) 14:33:56 ID:.ooTOpHw0
- ゆっくり待とうぜ
- 523 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/14(日) 17:26:23 ID:bGFQWQ3U0
- まだかなー
- 524 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/14(日) 20:02:53 ID:xQe3kq520
- まってるよー
- 525 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/15(月) 09:19:56 ID:DQsaaFLI0
- のがさん・・・お前だけは・・・
- 526 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/15(月) 13:29:03 ID:QeyKLqFAO
- いい加減にしろよ
- 527 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/15(月) 17:53:52 ID:BBvwcQw60
- 生存報告だけでもあると嬉しい
- 528 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/19(金) 20:00:26 ID:rOMlJ5rI0
- マダー?
- 529 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/19(金) 20:06:48 ID:DEUndKqc0
- まだ慌てるような時間じゃない
- 530 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/19(金) 23:07:20 ID:Y/A.YM2U0
- ずっと楽しみにしてる
- 531 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/20(土) 00:34:05 ID:NHpKLwRA0
- これ一人がずっと書き込んでんのか?
引くわ
- 532 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/20(土) 01:22:14 ID:3EIwV1n60
- まだなのかな、心肺だ
- 533 :yuri:2011/08/21(日) 13:46:20 ID:pVz2.ko60
- 世の中には簡単で儲かる仕事があるもんだ(;・ω・)。 http://tinyurl.k2i.me/eQAZ
- 534 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/21(日) 13:52:30 ID:PQ7ggo1Q0
- ただ単に遊んでるだけだろ
作者はリア充、リア充だからこそこんな面白い作品をかけるんだ!
- 535 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/21(日) 17:48:37 ID:AlwO31vQ0
- いやそれはない
来るなら待つけど生存報告ぐらいないと
まあまだ何ヵ月も経ったわけじゃないが
- 536 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/21(日) 23:23:01 ID:/jsbB4gc0
- 夏休み終わるぞオイ
- 537 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/25(木) 12:36:58 ID:LHFrluk20
- 続きまだか
- 538 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/25(木) 12:44:18 ID:nOzPk1H6O
- 移住しようか悩んでんじゃね?
- 539 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/26(金) 00:59:40 ID:4u2qylnQ0
- 悩んでるにしても一言ないと心配だ・・・
- 540 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/30(火) 00:29:59 ID:kKSQ.yNM0
- 逃亡とか勘弁してくれ
- 541 :saorin:2011/08/30(火) 13:37:29 ID:c03bTLos0
- >>楽に稼げるアルバイトの件。情報載せておきます(*・ω・)!! http://tinyurl.k2i.me/eQAZ
- 542 :kokoro:2011/08/30(火) 16:30:23 ID:c03bTLos0
- 世の中には簡単で儲かる仕事があるもんだ(^ω^)! http://tinyurl.k2i.me/GoeA
- 543 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/08/30(火) 20:59:24 ID:Um0ZA9qco
- PS3版をやってましたとかなら許す
- 544 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/04(日) 17:44:18 ID:t40/gLoo0
- そして夏休みEND
- 545 :>>1:2011/09/05(月) 03:06:50 ID:2PdnVSEgO
- もっ、もうすぐ投下しにくるんじゃないかなっ!
べっ、別にMHFで秘伝書手に入れてヒャッハーしてたとか、そんな事は無いですよ!!
本当にお待たせしてます、近日中に参ります。
- 546 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/05(月) 03:11:00 ID:rtGnkmVk0
- >>545
やぁ、よくきてくれた・・・・
さぁ、君は今から裸でイヤンクックと一緒に踊るんだ
- 547 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/05(月) 07:10:16 ID:9s.owFYUO
- 待ちかねたぜ……
- 548 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/05(月) 08:57:04 ID:gl70Zy7oO
- >>545
べ…別に心配なんてしてなかったんだからねッ!!
投下楽しみに待ってます
- 549 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/05(月) 10:52:00 ID:StOY61E2o
- 許す
つまりはまている
- 550 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/05(月) 12:16:40 ID:WcoUNhDw0
- 本物だよな?
wktk
- 551 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/05(月) 15:20:19 ID:jaSw4gF60
- 【避難所の現状】
・スレの乱立により新スレが立てられない
・荒らしが蔓延しているため、すぐにとげとげした雰囲気になる
・言われのない個人の誹謗中傷が飛び交う
・作品スレにも大判コピペで荒らされるので読みにくい・不快
○移住の利点
・管理人がいる事。少なくとも一日一回は板を巡回してくれるようだ。
だがスレ削除などの「仕事」は、毎時間帯できる訳でもないという事は理解を。
・管理人及び削除人を複数選定する事を思案中。
つまり今回の様に、管理人一人不在でコミュニティ崩壊というリスクを軽減できる。
・常識の範疇での言論規制を行ってくれる。上記の荒らし達もアク禁にできるので
そう何度も荒らされない。荒らされても削除してくれる。
・いわゆる「VIPとは別版」という事ではなく、純然な利用者が快適に過ごせる為の
マナーを儲けている。管理人もVIPPERなので理解はあるかと。
作者様も読者様も、移住の検討いかがでしょうか。
( ^ω^) ブーン系創作板のようです
http://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/
- 552 :>>1:2011/09/05(月) 20:52:13 ID:ZvCQ1bW60
- >>551
わざわざお知らせありがとうございます。
移転に関しては、まだ考えてません。まずはこのスレッドを1000まで埋めてから、移転しようかと思っています。
その際はurl等を貼るなどしてして、できる限り誘導させてもらうつもりです。
- 553 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 18:46:36 ID:pvSDuGQgO
- めちゃくちゃ楽しみにしてる!急かすわけじゃないから無理せず自分のペースで〜
- 554 :>>1:2011/09/06(火) 20:30:26 ID:NcmPDto6O
- 本日22:00に投下しに来ます。
- 555 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 20:36:51 ID:7DYZ3b1E0
- !?
- 556 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 21:18:13 ID:ZHDGn8Xk0
- wktkwktwkwtkwktwkwtkwkwtktwkwtkwktkwtkwtkwktkwktkw
- 557 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 21:47:03 ID:ZqTyLXpM0
- あと15分!
バイトなくてよかったぁぁぁ(´Д` )ぁぁ
- 558 :>>1:2011/09/06(火) 22:01:08 ID:NcmPDto6O
- いやっふううぅぅうう!!!!!!
久々の投下だぜー!!!!!!
- 559 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:07:27 ID:NcmPDto6O
- ――目次――
一話 和光同塵――渓流に潜む青い影――
>>2
二話 五里霧中――凍土に蠢く白き闇――
>>76
三話 才気煥発――誇り高き騎士――
>>165
四話 先見乃明――蒼空を愛した龍の王――
>>304
五話に関しては、この話が完結してから付け足す事とします。
- 560 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:07:30 ID:ZqTyLXpM0
- きたぁぁぁあ
- 561 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:09:02 ID:NcmPDto6O
- ※注意
・元ネタ有り
・モンスターや装備についての独自解釈満載
・登場人物をAAに無理矢理変更している場合があります
- 562 :【ハンター】:2011/09/06(火) 22:09:48 ID:NcmPDto6O
- ●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6
所属猟団:無所属
使用武器:コウリュウノツガイ(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村
●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:Stubborn】
HR:6
所属猟団:荒鷲団
使用武器:ハイジークムント(大剣)
防具:レウスSシリーズ
現在地:ユクモ村
●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーV(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村
- 563 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:10:22 ID:NcmPDto6O
- ●( ^ω^) ブーン=ホライゾン
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:デッドリボルバー(鎚)
防具:アロイシリーズ
現在地:ユクモ村
●ξ゚听)ξ ツン=ツンデレート
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:ジャギットファイア
防具:ジャギィシリーズ
現在地:???
- 564 :【オトモ】:2011/09/06(火) 22:11:08 ID:NcmPDto6O
- ●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村
●(*゚ー゚) しぃ
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:???
兜:???
鎧:???
現在地:ユクモ村
- 565 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:13:01 ID:NcmPDto6O
- ※前回の話は5―1という位置付けとします
- 566 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:14:22 ID:NcmPDto6O
-
ギコの祝賀会からの帰り。ドクオとツーは、灯籠に薄暗く照らされた道を会話もなく歩いていた。
ドクオの脳裏に引っ掛かるモララーの言葉。
【騎士派】それが、ユクモでどのような意味を持つのかをドクオは知らない。ただツーとしぃが語った『モララーには仲間が居ない』という言葉と『騎士派と狩人派の不仲』を併せて考えれば、ある程度は容易に推測出来た。
そんなドクオの気持ちを知ってか知らずか、ツーも普段の様にドクオの頭には座らず、自分の足で彼の後ろを付いていた。
('A`)「なぁ、ツー。騎士派について少し聞きたい事があるんだが」
(*゚∀゚)「ニャー、前にも言ったけど聞いても面白い話じゃにゃいニャー」
ツー自身も、勿論分かっている事だ。ドクオの異常なまでの勘の良さ。そんなドクオに隠し事は出来ない。
だが、それでも笑って話せる様な話題ではなかった。言うなればユクモの最深部、寒々と、尚且つ黒々とした場所。
('A`)「それでも、だ。出会った時には話さなかったが俺自身、ユクモには一応目的があって来た」
そう聞いてツーは少し驚いた。ドクオが嘘をついていた事にではない。ドクオの様な腕利きが何の目的も無いなんて、と内心気付いてはいた。
- 567 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:14:57 ID:NcmPDto6O
-
('A`)「ドンドルマの爺さんに言われてな。その目的に関係してくるかもしれない事だから、聞きたくもなるさ」
(*゚∀゚)「ニャー、そうだったのかニャー」
ドクオが自分の事について話すのは初めてだったからだ。普段、村の子供達やブーン達からせがまれてドンドルマの話をする事はあったが、その時も出来るだけ第三者の立場から話していた。ドクオの生い立ちや、想い出など、この村の中で一番近くに居るツーですら知らないのだ。
(*゚∀゚)「じゃあ、ちょっと適当に座るニャー。立ち話で済むような話題でもないのニャー」
('A`)「あぁ」
二人は、道の端に無造作に置かれていた大樽と小樽にそれぞれ腰掛けた。
- 568 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:15:54 ID:NcmPDto6O
-
(*゚∀゚)「ニャー、どっから話したものかニャー。ドクオは、その辺りについてどこまで知ってるのかニャー?」
('A`)「ユクモに3つの派閥があるのは知っている。その中で【狩人派】と【騎士派】が不仲なのもな。だが、それしか知らない。どういった経緯で、そんな下らない派閥が出来たのか、何故啀み合っているのかも」
にゃにゃ、とドクオの言葉にツーは少し顔を強張らせた。しかし、すぐにその表情を消し去って今度は自嘲するかの様に渇いた笑いを見せる。
(*゚∀゚)「下らない、ニャー。確かに下らないんだろうニャー」
しかし、その一種の変化を見逃す程ドクオは間抜けでは無い。
('A`)「すまん、気に障ったか?」
(*゚∀゚)「ニャー、仕方ないのニャー。一致団結してモンスターと戦い続けてるドンドルマの狩人からすれば、今のユクモは下らないと言われても無理ない状況だニャー」
最重要拠点都市ドンドルマに、この様な派閥争いは存在しない。ドンドルマの抱える事情を加味して言い換えるならば『そんな事を争っている余裕など無い』のだ。
【全ての交差点】ドンドルマ。広大な大陸のちょうど真ん中に位置するドンドルマには、モンスターの襲来が、最早生活の一部となっている。
ユクモを含む八つの地方から等距離にある事が、その原因だ。それぞれの地方にしか存在しない飛竜達が、他方面に勢力を伸ばそうとした時、必ず一番最初に通らなくてはならない場所にある。
だからドンドルマの狩人は強い。場数が圧倒的に違う。それにユクモの狩人達のように自分の狩るモンスターを選り好みなんて出来ない。
そんな生易しい選択肢、与えられるはずがない。
- 569 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:18:21 ID:NcmPDto6O
-
飛竜が現われたなら狩るしかない、これはドンドルマの狩人であればHR1の者であっても皆自覚している事だ。
ユクモの様に『自分はまだ未熟だから誰かが狩ってくれる』などという甘えを持っていない。
自分のその甘えが、大陸全土にどんな混沌をもたらすのかを自覚しているから。
('A`)「事情は、それぞれ違うというのは分かってる。それでも派閥によって干されたりするような状況は看過できない」
(*゚∀゚)「ニャー、それも皆頭では分かってるはずなのニャー」
ツーが、地面になにやら書き始めた。図で説明しようとしている様だ。
普通のモンスターならばこうはいかないが、これもアイルーという高い知性を持つ彼らの特権だろう。
(*゚∀゚)「まずユクモにはこの三つの派閥があるのニャー」
('A`)「うむ」
(*゚∀゚)「そして今、それぞれの派閥を【ギルドマスター】スカルチノフ、【騎士長】フォックス、そして【歌姫】キュート様が治めているのニャー」
('A`)「ふむ、スカルチノフとフォックスについては少しギコから知識を得ている」
- 570 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:19:15 ID:NcmPDto6O
-
(*゚∀゚)「狩人派については説明を省くニャ。肝心なのは【騎士派】と【聖歌派】だニャー。【騎士派】は、元々武力を持たない【聖歌派】を維持する為に設立された物なのニャー」
('A`)「ふむ、聖歌派の私設武装集団のような物か。だが、それなら騎士派と聖歌派は一括りでも良いんじゃないのか?」
ここでツーは深く溜息を吐いた。
(*゚∀゚)「確かにドクオの言う事は最もだニャー。だから最初は二つの派閥は、一つだったんだニャー」
('A`)「それが、何故今になって二つに別れてしまったんだ?」
それにツーは答えられなかった。頭の中で何度も再考し、順序立てて説明しようとしている。
其れ程までに複雑なのだ。
(*゚∀゚)「……始まりは、ある事件だったニャ」
- 571 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:20:18 ID:NcmPDto6O
-
現聖下であるキュート=バレンタインの祖父であるモナー=バレンタインが治めていた頃の事だ。
ユクモを揺るがす大事件が起きた。
モナー=バレンタインの一人息子とその家族。
総勢四人の乗る馬車が、ある飛竜に襲われたのだ。
それも、未だかつて飛竜の現れた事のない閑かな場所で。
普通、どこか危険な場所を通るような場合、狩人が何人か護衛についていたのだが。その日は、別段危険な場所でもなく、護衛も付いていなかった。
遣わされた狩人が発見した時には、馬車はグチャグチャにひしゃげ、車を引いていたガーグァの身体は食い荒らされていた。
息子は飛竜と戦ったらしく、その死体は余りにも損壊していた。
嫁は、二人の娘を抱き締めて居たのだろう。背中に大きな爪痕を付けられて絶命していた。
- 572 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:21:07 ID:NcmPDto6O
-
二人の娘のうち、不幸中の幸いにも、荷馬車の下で気を失っているキュートが発見された。
もう一人は、誰も口にはしなかったが飛竜に連れ去られたのだろう。
食料として。
これにモナーは、大変心を痛めた。大切な一人息子とその家族を失ったのだから、当然だ。
そして、その非難は言うまでもなく狩人に向いた。
護れない盾に価値など無い。
家族を殆んど失った老いぼれが作った、それが騎士派。
その長に誰が就任するのか、という選考は困難を極めたが、ブーンの父でありユクモ最高のHR6のベーン氏の強い推薦によりフォックスが選ばれた。
それが騎士派の興りである。
- 573 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:21:57 ID:NcmPDto6O
-
聖下の為を第一に考える者が集まる派閥。
聖下を崇拝しているからこそ、未だにその事件を根に持ち、狩人派を侮蔑する物は少なくない。
そして狩人達も、聖下の為という大義名分を振りかざし、ろくに働きもせずに地位を得ている騎士派が面白くない。
(*゚∀゚)「……という訳だニャー」
('A`)「………」
ドクオは言葉を失っていた。ツーの話を聞いて、確かに騎士派と狩人派の確執には納得がいった。
だが、これでは何時までも纏まらない。
(*゚∀゚)「でも、最近じゃ騎士派も色んな人がいるのニャー。モララーみたいに、気分で騎士派に入るような奴も現れ始めたのニャ」
('A`)「モララーは、どういう奴なんだ?」
ツーは、少し考えて言った。
(*゚∀゚)「分からんニャ。肩書きとしては、騎士派だけど狩人もしてるのニャ。HR5で、なかなか腕が立つ男だニャ」
('A`)「それは、問題ないのか?」
(*゚∀゚)「じじいは何も言わないから大丈夫ニャ。ただ、向こうでは分からないニャー」
あの飄々と、それでいて隙の無い立ち振舞い。そしてドクオに見せたあの武器。
('A`)「謎、か」
- 574 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:22:59 ID:NcmPDto6O
-
(*゚∀゚)「ま、モララーの事はオレっちよりギコに聞くのが一番だニャー。アイツとモララーは幼馴染みであり、お互いにとって数少ない友人だったはずニャー」
ツーは、これで話は終わりだという様にくるくると身体を捻りながら器用に立ち上がった。
('A`)「幼馴染み、か」
ドクオの視線の先には夜空。満天の星々が輝いていた。
燦々と輝く星は、己の存在を主張するかの様に強く光を放つ。
('A`)「………」
その余りの存在に、ドクオは思わず手を伸ばす。
一際強い光を放つ星達を結ぶように、指をなぞった。
しかし、まだそれは形にならない。
星座とは、一等星や二等星、大小様々な輝きを放つ星が決まった季節、決まった時間に揃う事で、完成されるのだ。
('A`)(……!?)
不意に、星が流れた。流れた様に見えた。
次いで、僅かに鼻を突く様な火薬の匂い。
- 575 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:23:38 ID:NcmPDto6O
-
('A`)「ツー」
(*-∀-)「ニャー、ボウガンだニャー。一体、どこの馬鹿かニャ」
ツーも、気が付いたようだ。夜空に流れた一発の弾丸に。
('A`)「一応様子を見るぞ。ただでも宴会騒ぎで浮ついているんだ。それに、さっきの話を聞いた後だとな」
(*゚∀゚)「ニャ、じゃあちょっくら見てくるニャー。流石にあの一発じゃ分からないのニャー」
直ぐ様、潜ろうとするツー。しかし、ドクオはそれを引き止めた。
('A`)「必要ない、大体の場所は掴めたからな。少しだけ気配を潜めていこう」
平然と言い退けるドクオ。それを聞いたオトモは、深く溜め息を吐く。
(*-∀-)「ニャー、このネコ耳は飾りじゃないつもりだったんだけどニャー。流石にこれは自信を無くすのニャ」
('A`)「?」
- 576 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:27:10 ID:NcmPDto6O
-
音は、賀老の滝付近から聞こえてきた。
賀老の滝というのは、ユクモの命たる温泉、その源泉が流れ集う場所である。
ユクモの集落自体からは、結構な距離があり寧ろユクモ村からよりも【パッソ】という村の方が近いくらいだ。
ドクオとツーは、出来るだけ迅速に、且つ物音を立てずにグイグイと進んでいく。
そして辿り着いた賀老の滝。
('A`)「あれは……」
そろりそろりと近づき目を凝らす。
ドクオの目に飛び込んで来たのは、何とも神秘的な光景だった。
落ちては弾ける水飛沫、幾千幾万に別れて飛び散る命の水を、頭上に厳かに輝く月が照らす。
滝の下、不自然に花が咲き乱れるその場所に一人の少女が立っていた。
少しクセっ気のある金色の髪。
それを見たドクオは、いつでも抜けるようにと構えていた手を、なんでもないように柄から遠ざけた。
ξ゚听)ξ「……誰? ブーン?」
声の主は、ツン。
- 577 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:27:47 ID:NcmPDto6O
-
ドクオは、出来るだけおどけた様に両手を上げて草陰から姿を現した。
('A`)「驚いたな、この距離で気付かれるとは思わなかったよ」
ξ゚听)ξ「はぁ。なんだ、ドクオか」
ツンは、突然の来訪者がドクオである事に少し驚きながら、溜め息を吐いた。
('A`)「気配は出来るだけ消していたつもりだったんだけどな」
ξ゚听)ξ「あぁ、気配だったりなんて新米の私には分からないわよ。ただ“見えた”だけ」
ここでドクオに一つ疑問が湧いてきた。
('A`)「見えた、というのはこの暗闇とこの距離で視認出来たという事か?」
ξ゚听)ξ「ええ、目だけは良いのよ」
なんでもないように言うツンに、思わずドクオは絶句する。
(*゚∀゚)「流石は“鷹の目”だニャー」
地中から音を立てて出てきたツー。
唐突の登場に、可愛い悲鳴をあげて後ずさるツン。
('A`)(……気配を感じられてないというのは本当、か。という事は、さっき俺に気が付いたのも本当に見えたという事か)
ξ;--)ξ「もうっ、驚かさないで下さい! それに、その呼び方も好きではないですからね」
- 578 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:29:29 ID:NcmPDto6O
-
('A`)「そう謙虚になる事もあるまいに。ガンナーにとって目は命だ。それが優れているのは誇って良い事だろう」
ξ゚听)ξ「それが本当に、私の視力だけを揶揄してる物なら、ね。確かに、私の視力は優れているかもしれないけど“鷹の目”というのは視力よりも、どちらかといえば私の“容姿”を揶揄した物なのよ」
はて、この少女の容姿、というのは何処を指しているのだろうか。
緩く内にカールした金色の髪。ツンと高く筋の通った鼻。雪のように透き通った白い肌。大きく、切れ長な目。
百人が見て百人が、綺麗と答える容姿をしている、とドクオは思った。
('A`)「ん……」
切れ長な目、勝ち気そうな目、全てを見通すような鋭い――――
('A`)「なるほξ#゚听)ξ『納得するな』……すまん」
- 579 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:30:32 ID:NcmPDto6O
-
そこで一息ついたのか、ツンは再び自分の作業に戻っていった。
('A`)「そういえば、ツン。こんな夜更けに一体何をしてたんだ?」
ξ゚听)ξ「んー、訓練。まぁ、そんな大層な物じゃないけどね」
ツンは手を止めずに答えた。
('A`)「そうか」
ξ゚听)ξ「最近ブーンが頑張っちゃってるから。私も少しは、ね」
ドクオは、以前デレから聞いた話を思い出した。
ツンは、元々明確な意志を持ってハンターになったわけではない。
ブーンを追いかけ、隣に居続ける為に、この道を選んだ。
('A`)「焦りか?」
一瞬、本当に一瞬だがツンの手が止まった。
ξ--)ξ「はぁ……。本当にドクオって見え透いた事を言うわね。嫌われるわよ」
('A`)「注意するべき所は注意する。先輩として当然の事だ」
ξ゚听)ξ「……まぁ、そうね」
- 580 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:31:04 ID:NcmPDto6O
-
まだ二人が出会って、そんなに長い時間が経った訳では無い。だが、お互いの領域を把握する位の会話は済ませてある。
完全無欠の男、自尊心の強い少女、二人の会話に厭は無い。
ξ゚听)ξ「そりゃね、クルペッコと戦った時だって私は殆んど何もしてないし、訓練だって積極的に行ってるとは言えないわ。それは私自身が一番分かってるしね」
('A`)「……」
強く、自分のライトボウガンを握る少女は、目を伏せる。
ξ゚听)ξ「でも、このままじゃ駄目だって事も同じくらい分かってるつもり。依存は好きじゃない。私は、相乗して行きたいから」
(*゚∀゚)「……惚気られてもニャー」
ドクオの傍で聞いていたツーは、聞いてられないという様に、肩を竦めた。
ξ////)ξ「べっ、別にブーンとずっと一緒に居たいからとか思ってないんだからねっ!!」
顔を真っ赤に染めて、ライオンよろしく、ガルルと低く唸っている少女。
- 581 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:31:37 ID:NcmPDto6O
-
('A`)「理由はどうあれ、自分を磨こうとする事が悪いはずないだろう。ただ、こんな時間に村から外れた場所でする必要もないだろうに」
ξ゚听)ξ「別に初めてじゃないもの。それに、普段だったらそろそろブーンが迎えに来てくれるはずなんだけど」
あぁ、とドクオは納得した。
('A`)「ブーンなら、お前の姉のトラブルに巻き込まれていたぞ」
ξ--)ξ「はー、デレったら。また爆発しちゃったのね」
この言い方からして、デレの爆発は普段から起きる事のようだ。
('A`)「まぁとにかく、ここはもう狩場に近い。大型モンスターは、ギルドが厳重に管理しているとはいえ、先のクルペッコの様な事が起こらないとも限らない。気を付けるに越した事はないぞ」
ξ゚听)ξ「大丈夫、弾丸は持ってきてるから。それに、昔からここはお気に入りの場所でずっと通ってるけどモンスターなんて見た事無いわよ」
それでもだ、ドクオが強く発そうとした言葉は、口を出なかった。
『ァグゥ……アァ……』
花咲き乱れる、この場所に相応しくない声が聞こえたから。
- 582 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:32:10 ID:NcmPDto6O
-
('A`)「ツー!」
(*゚∀゚)「ニャー、あの草影だニャー」
ドクオとツーが素早い身のこなしで、掻き分けていく。
('A`)「!!」
(*゚∀゚)「……これは、ひどいニャー」
そこで見付けたのは人‘だった’物。
死に体と言ってもおかしくない。
鋭い何かでズタズタに引き裂かれた下半身。原型を留めているとは言えない。深く裂けた傷口からは、骨が見え、そこから留めどなく血が溢れ出ている。
吐く、というよりも漏れる様に聞こえてくる呼吸音は、まだ確かに‘コレ’が生きている事を示している。
('A`)「……何か俺達に出来る事は無いか?」
『……を、……じん、りゅう、……むらを、頼む』
それだけ言うと、少し、ほんの少しだけ安心したように彼は目を閉じた。
弛緩した彼の身体から、魂が抜けていくのを感じる。
- 583 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:32:59 ID:NcmPDto6O
-
ドクオの睨んだ先、闇に揺れる木々の切れ目。
ツンは、そこから此方を舐めるように伺う紅い眼を、確かに見た気がした。
5―2 END
- 584 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:35:36 ID:V/aw1vH.0
- とりあえず乙
- 585 :>>1:2011/09/06(火) 22:36:12 ID:NcmPDto6O
- お待たせしてすいません。5―2の投下は終了です。5―3は、仕上げと推敲が済んでいないので、早くとも明後日の投下になるのではないかと思います。
本当に何ヵ月もお待たせして申し訳ありませんでした。
- 586 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:40:00 ID:NcmPDto6O
- 移転に関しては、先のレスで申したように、ここを使い切ってから移動しようと思います。
五話で登場するのは、自分が一番好きな飛竜です。丁寧に描写出来るよう心掛けていきます。
また繰り返しとなりますが質問、疑問、指摘等々ありましたら、このスレに宜しくお願いします。
勿論感想もお待ちしております。
- 587 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/06(火) 22:54:17 ID:V/aw1vH.0
- モンハン=上手に肉を焼くゲームと思ってる俺でも楽しめてるから、読みやすくていいと思うよ
- 588 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/07(水) 01:05:48 ID:mLGZyn0o0
- 相変わらずおもしろい
次回も楽しみにしてるよ
- 589 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/07(水) 01:32:42 ID:6Z7KmRT.0
- 乙
続き楽しみにしてます
- 590 :>>1:2011/09/07(水) 04:57:08 ID:4OZbzcGEO
- 5―3&5―4と書きあがりました。今日推敲してもらって、明後日までに投下出来れば、と思います。
皆さんの下さったレスを読んでみて、モンスターハンターというゲームを知らないという方でも、楽しんでくれている人はいるんだなー、と嬉しく思います。
この話、きちんと収拾つくんだろうかー。と、不安に苛まれていますが
皆さんに甘えさせて貰いながら、マイペースで完結を目指そうと思います。
絶望した!!MH3 HDver.が糞ゲー過ぎて絶望した!!PS3からPSPにデータ移動したら消えるって、なんだよ!その鬼畜バグ!!
- 591 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/07(水) 09:47:18 ID:fmSqFimw0
- 乙
ああ、次はあいつか
- 592 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/07(水) 10:57:41 ID:9jgVf79.o
- 復活したか乙
待ってたのよ
- 593 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/07(水) 11:51:09 ID:Qy05JRPIO
- モンハンやったことないけどこの話読むようになってからモンスターググりまくってる!!
続きまってるよー
- 594 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/07(水) 15:15:58 ID:.AYdI7mE0
-
【避難所の現状】
・スレの乱立により新スレが立てられない
・荒らしが蔓延しているため、すぐにとげとげした雰囲気になる
・言われのない個人の誹謗中傷が飛び交う
・作品スレにも大判コピペで荒らされるので読みにくい・不快
○移住の利点
・管理人がいる事。少なくとも一日一回は板を巡回してくれるようだ。
だがスレ削除などの「仕事」は、毎時間帯できる訳でもないという事は理解を。
・管理人及び削除人を複数選定する事を思案中。
つまり今回の様に、管理人一人不在でコミュニティ崩壊というリスクを軽減できる。
・常識の範疇での言論規制を行ってくれる。上記の荒らし達もアク禁にできるので
そう何度も荒らされない。荒らされても削除してくれる。
・いわゆる「VIPとは別版」という事ではなく、純然な利用者が快適に過ごせる為の
マナーを儲けている。管理人もVIPPERなので理解はあるかと。
作者様も読者様も、移住の検討いかがでしょうか。
( ^ω^) ブーン系創作板のようです
http://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/
- 595 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/09(金) 13:04:26 ID:cQHvpEvQ0
- すいません、急遽私用が入ったので、今日は投下出来ませんorz
- 596 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/09(金) 19:59:21 ID:7HrrEUfY0
- そっか、仕方ないや
私用いってらっしゃい
- 597 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/09(金) 20:19:45 ID:achF00DI0
- 待ってますよ
作者の都合でどうぞ
- 598 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/09(金) 21:23:28 ID:A.115oDEO
- 残念…
落ち着いた時にでも投下まってます
- 599 :>>1:2011/09/10(土) 22:29:09 ID:tZ7fnqaMO
- 23:00頃に投下しにきます
- 600 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 22:50:24 ID:BX9aDKvU0
- 待ってます。
楽しみ
- 601 :>>1:2011/09/10(土) 22:57:56 ID:tZ7fnqaMO
- いやったあぁぁああ!!!!!!たった今、書きおわった出来たてホヤホヤです!!!!!
推敲無しの残念感と併せて、楽しんでください。
なんか、五話すげぇ長くなっちゃったぞwwwww
- 602 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:02:37 ID:Uws/xGbY0
- wkwktktkwkwktktk
- 603 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:02:50 ID:tZ7fnqaMO
-
英雄とは何か。
そんな質問を、最近よく投げ掛けられるようになった。
それに我が輩は答えられずにいる。
英雄などと自分の身の丈にそぐわぬ呼ばれ方をされて、数年。
未だに、その存在に答えは出せない。
だが、今現在、まだまだ未熟者のである我が輩が、それに一つの答えを出すとすれば
『英雄とは 光射す者である』
―――とある英雄の手記より―――
- 604 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:06:19 ID:tZ7fnqaMO
-
この物語を読んでいる諸兄、諸姉は迅竜についてご存知だろうか。
竜盤目 竜脚亜目 前翼脚竜上科 ナルガ科
正式名称:ナルガクルガ
多湿な気候を好み、樹海や渓流等に生息している。独特の進化を遂げた飛竜種であり、非常に好戦的な性格をしている。
【轟竜】ティガレックスと同じ四脚歩行型の骨格を持ち【迅竜】の呼び名の通り、しなやかで俊敏な動きを持ち味とする。
- 605 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:07:21 ID:tZ7fnqaMO
-
他に挙げられる特徴では、体は真っ黒な体毛で覆われ、強靱な前脚と鋭利な牙を持っている。
翼末端部には、爪から変化したブレードを持ち、その切れ味は樹齢五百年を越える大木ですら一撫でで両断する。
また、尾の先端には棘状の鱗が生えており、鱗自体を飛び道具として使用する事もある。
しかし【迅竜】ナルガクルガの最も特筆すべき武器は、此処に非ず。
それは――――
- 606 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:08:15 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……ツー、この場所から一番近いのはユクモ村か?」
(*゚∀゚)「んにゃ、微妙な距離だけどパッソ村だニャー」
この様な凄惨な場面においても、ドクオとツーは全くブレなかった。
目の前にスプラッタな死体が転がっているにも関わらず、一人と一匹の会話は普段と変わらず、焦りであったりだとか、ましてや恐怖なんて物は全く感じられない。
それは、ドクオとツーがこのような場面に慣れている事を表している。
しかし、もう一人の少女は別だ。
ξ )ξ
なんの穢れも知らない、この女の子は、目の前の惨状に声も出せずにいる。
狩人といえど、まだまだHR2の新米。
ヒトの死に慣れているとは言えない。
- 607 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:09:01 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……しっかりしろ、ツン」
ξ゚听)ξ「……えぇ」
それでも、少女の身体から震えは消えない。
('A`)「ツー、ユクモに帰ってこの事を報せてきてくれ。それと、緊急クエストの申請も頼む。この傷口、彼が言い残した事から推測するに、相手は【迅竜】ナルガクルガだ」
少女の身体が一際大きく震えた。
(*゚∀゚)「ニャー、クエストの申請は問題ないニャー。被害が出た時点で、フリークエストとなるニャー。でも、オレっちが行くよりも……」
ツーの視線の先には、ツン。
確かに、このままのツンでは使い物にならないだろう。
- 608 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:10:10 ID:tZ7fnqaMO
-
だがドクオは、その疑問を遮った。
('A`)「ツン」
ξ゚听)ξ「……なによ」
ドクオは、目に力を込めツンに語り掛ける。
('A`)「怖いのは分かる。不安もあるだろう。しかし、これは絶対に越えなければ一歩だ。ここで立ち止まる事は、狩人に許されない」
ξ゚听)ξ「……うん」
('A`)「この先、ずっと明るく照らされた道を歩ける訳はない。暗く、何処に道があるのか、どちらが前なのかすら、分からない中で、それでも歩かなければならない時もあるだろう」
少女は、黙って男の言葉を聞いていた。
生気の無い表情。気怠げな雰囲気。
一流の狩人とは、思えない体付き。
だが、彼の言葉には力があった。
- 609 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:10:45 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「だがお前には“道標”がある。きっと、この先。ツンが進む道はデレが優しく照らしてくれるだろう」
('A`)「お前には“支え”がある。きっと、お前が躓いて転びそうになった時は、ブーンが強く支えてくれるだろう」
―――だから
『最初の一歩は俺がエスコートしよう』
('A`)「お前の一歩を、俺が護ろう」
- 610 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:12:04 ID:tZ7fnqaMO
-
不思議と、震えは止まっていた。
ξ )ξ「……うん」
('A`)「……大丈夫。きっとお前の目は、この暗闇でも光を見つけられるさ」
ふと、おかしな疑問が浮かんできた。
この人にも‘道標’となってくれる人がいたのだろうか。
この人にも‘支え’となってくれた人がいたのだろうか。
こんなにも‘暖かな気持ち’にしてくれる人が、彼にも居たのだろうか。
- 611 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:12:48 ID:tZ7fnqaMO
-
(*゚∀゚)「はぁー、オトモとしては妬けちゃうのニャー」
('A`)「どうした?」
(*-∀-)「ニャー、刺されない様に気を付けるのニャー」
(;'A`)「へっ?」
全ての飛竜を圧倒し、一撃も食らう事なく討伐してしまう完全無欠の狩人であろうとも、乙女心、もといオトモ心には疎いドクオなのである。
- 612 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:13:28 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「状況と役割を確認するぞ」
ξ゚听)ξ「えぇ」
(*゚∀゚)「ニャー」
二人と一匹は、輪を作り、現状を把握する。
('A`)「恐らく今回の討伐対象は【迅竜】ナルガクルガだろう。奴の習性からして、群れでいる事もないだろう。今回はナルガクルガ一頭の討伐となるはずだ」
(*゚∀゚)「ニャー」
基本的に提示していくのは、ドクオだ。それに相槌を打つのがツー。
('A`)「恐らく、被害者の男はパッソ村に住んでいる男だろう。服装からもハンターとは思えないからな。という事は、この男を探してこの森に入っている者がいる可能性も考えられる」
ξ゚听)ξ「それは無いんじゃないかしら。基本的に、行方不明者の捜索も狩人の仕事だし、明日にでも届け出を出すつもりじゃないかしら」
('A`)「いや、最悪の場合を想定しておいた方が良い」
少しでも疑問に思えば質問する。それも大切な事だ。
- 613 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:15:00 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「一番の問題となるのは、件のナルガクルガが‘人間の味’を知ってしまった事だ。奴は、これから人間を見ても‘脅威’ではなく‘食料’として認識するだろう。こうなってしまった飛竜は、一刻も早く討伐しなければならない」
ξ゚听)ξ「だからこそ、行くんでしょ?」
('A`)「あぁ」
少女に、もう不安はない。恐怖は、確かにある。しかし、それは当然の事なのだ。
今から彼女は、自分の何十倍もある飛竜と相対する事になるのだ。
そこに広がるのは、死と隣り合わせの世界。
一瞬の油断が、いや、油断せずとも死ぬ場所へと向かうのだ。
それは当然の感情。
('A`)「よし。ツー、ギルドへの報告は任せた。俺とツンは討伐に向かうが、増援の要請はしなくても良い。ギルドマスターに判断は任せてくれ」
(*゚∀゚)「了解だニャー」
ドクオが、指示を下すと直ぐ様地中に潜っていったツー。
- 614 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:15:55 ID:tZ7fnqaMO
-
ξ--)ξ「……ふぅ」
ツンは、その場で一つ深呼吸した。
('A`)「ツン、覚悟は良いか?」
ξ゚听)ξ「うん。もう大丈夫。行けるわ」
手持ちの弾を、胴部と腰部のポケットに入るだけ詰め込む。
入り切らない分は、腰に巻いたポシェットに収めた。
ドクオも背に納刀していた金銀の双剣を抜き、一度だけ軽く撫でるように打ち付ける。
キン、と乾いた音が響く。
それだけで、ドクオが握っていた番い剣から、火花が散った。
いや、火花なんて生易しい物ではない。
ξ゚听)ξ「………」
ツンには、ドクオの腕に炎が巻き付いている様に見えた。
それも一瞬。
次の瞬間には、何事も無かったかのように双剣はドクオの背に納められている。
- 615 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:16:41 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「行くぞ」
ξ゚听)ξ「うん」
二人は、深い深い闇へと入っていった。
- 616 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:17:22 ID:tZ7fnqaMO
-
様々な草花が生い茂り、適度な湿り気を含んだ気候が木々の成長を促進する。
ここは、樹海。
数多の生命が共存しているこの地で、一人の男と、一匹の化け物の戦いが始まろうてしていた。
- 617 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:18:08 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……疾風迅雷、か」
油断無く双剣を構える覇気の無い男。
それに相対しているのは【深淵の雷】ナルガクルガ。
そして、彼らを高みから眺める者達がいた。
(´・ω・`)「ふぅ、全く。相変わらず悪趣味だね、君たちは」
そう言いながら、持っていた一升瓶をそのまま煽る。背に担いでいるのは【重火槍】グラビモスだ。
“G級”に分類される【鎧竜】と【黒鎧竜】の貴重な素材を使った、重槍。
狩人の中でも、ほんの一握りの傑出した実力の持ち主にしか使う事の許されない最硬のランスである。
('、`*川「そんな堅い事ゆーんじゃないわよ。こんなに良い肴があるのに、飲まない訳にはいかないでしょーがよー」
それに答えたのは、しなやかな肢体をした女性。
こちらは、武器も防具も身に付けてはいない。
他にも屈強な身体付きをした男が数人、輪を作って酒を食らっていた。
- 618 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:19:26 ID:tZ7fnqaMO
-
(´・ω・`)「ジョル、見えるかい?」
( ゚∀゚)「あァ、まだ動いてねーな」
一人、一際高い所に胡坐をかいて酒を飲んでいた男は、目を細める事もしないで下の様子を伺っていた。
男の横に置かれているのはクイックシャフト。
伝説に唄われた【幻獣】キリンの特上素材を使って作られた、美しく洗練されたフォルムを持つヘビィボウガンである。
『ドクオの奴、一人で大丈夫なんかねー』
『あひゃひゃwww アイツが死んでくれりゃ、俺がG級になれるから有り難いけどなぁ!!』
今まさに、眼下では壮絶な殺し合いが始まろうとしているというのに、全く緊張感の無い会話だ。
- 619 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:21:21 ID:tZ7fnqaMO
-
('、`*川「いいねー。おばちゃんもG級の称号はいらないけど、贈られるG級武器は欲しいねー」
ペニサスの言葉に、ショボンとジョルジュは、背筋に冷たい物が走るのを感じながら、下の様子に注視していた。
( ゚∀゚)「動くな」
(´・ω・`)「そうだね」
先に動いたのは、飛竜だった。
‘動いた’というより耐え切れずに‘動かされた’という風だ。
('、`*川「おい、小僧共。賭けようじゃないか」
妙齢の女性は、手に持っていた升をグイっと飲み干し地面に叩きつけた。
('、`*川「……ドクオが勝つか、負けるか」
- 620 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:22:10 ID:tZ7fnqaMO
-
『いいねー!!』
『面白いじゃねーか!!!!』
次々と銭袋を取出し賭けていく男達。
('、`*川「おい、ショボもジョルもやるんだよ。さっさと賭けなー」
ふぅ、と肩を竦めたショボン。
(´・ω・`)「どうする?あんな事、言ってるけど」
( ゚∀゚)「……俺の分も頼む」
なんでもないように差し出された袋。
一際大きな銭袋を二つ持ったショボンが、ペニサスの下に向かう。
('、`*川「……どっちにするのん?」
(´・ω・`)「勿論、ドクオが勝つ方にだよ」
それを聞いて、ペニサスは舌打ちした。
スッ、と差し出された升。そこには、もう限界まで銭が積み上げられていたのだ。
- 621 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:22:41 ID:tZ7fnqaMO
-
(´・ω・`)「ふぅ。全く、君達は本当に素直じゃないね。ペニサスさん、胴元の貴方はどうするんですか?この様子ならドクオの負けに賭けて、もし当てれば一生遊んで暮らせますよ」
ショボンの誘惑を、ペニサスは『ふふん』と一笑に伏した。
('、`*川「あたしは、分の悪い賭けはしない趣味なのよ」
その言葉に、ショボンは満足そうに笑顔を零した。
( ゚∀゚)「じゃア、どれくらい掛かるかにすれば良いじゃねーか」
『しゃーねーな。そうすっか』
『流石にオレらの同僚を三十人食った迅竜だ。半日って所じゃねーか』
『俺は、一日だな』
思い思いに賭け直していく男達。
だが、最短の予想でも半日。最長で三日という者もいる。
- 622 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:23:38 ID:tZ7fnqaMO
-
その流れを変えたのはペニサスだった。
('、`*川「三時間」
差し出された銭袋は、見る者を圧する程の大きさだ。皆の袋を足して届くか、届かないか、という程の。
しかし、どよめきはこれで留まらなかった。
(´・ω・`)「二時間」
凄腕の狩人が充分な準備をして、通常の飛竜と戦った場合、恐らく二時間程度だろう。
しかし、この戦いは遭遇戦。ドクオには何の準備もない。
( ゚∀゚)「一時間半だな」
ましてや、それを下回る一時間半などあり得るはずがないのだ。
('、`*川「相変わらず面白いねー、アンタらは。良いねぇ、燃えてきたわー」
- 623 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:24:47 ID:tZ7fnqaMO
-
『面白い。その賭け、私も参加させて貰えるか?』
川 ゚ -゚)「ドクオが疾風迅雷を、どれくらいで狩れるか、という事で良いんだな」
(´・ω・`)「やぁ、クー。君も来たのかい」
川 ゚ -゚)「ドクオが、久々にクエストを受注したと聞いたのでな。激励するつもりだったんだが、こんな大物と遭遇しているとはな」
クーも、ジョルジュと同じく、下の様子が仔細に見えているようだ。
('、`*川「良いねぇ、久々にドンドルマの誇るG級が勢揃いじゃなーい。賭けなさい、クー。アンタのパートナーが何時間で奴を狩れるか」
ふふっ、とクーは笑った。
- 624 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:25:17 ID:tZ7fnqaMO
-
そして皆と同じように銭袋を取出し、こう言ったのだ。
川 ゚ー゚)「30分だ」
- 625 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:26:48 ID:tZ7fnqaMO
-
草村を掻き分けて進んでいく二人。
気配を消す事はしなかった。
飛竜を相手にする時、待ち伏せの場合を除いて、気配を気にする事は無い。
何故なら飛竜の縄張りに入るというのは、それだけで自分の存在を知られるのと同義だからだ。
人間の感覚と、飛竜の感覚を同じ物差しで比べるのはナンセンスである。
そういう物なのだ。
しかし、それは狩人にも言える。
通常の飛竜は、自分の存在を隠すような事をしない。
その圧倒的な存在、故の気配。
だから狩人にとっても、飛竜の縄張りに入れば直ぐにそれを感じ取る事が出来る。
- 626 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:27:27 ID:tZ7fnqaMO
-
ξ゚听)ξ「ドクオは、ナルガクルガを狩った事があるのよね?」
('A`)「あぁ。ナルガクルガとは何度も戦った事がある。この装備も、ナルガクルガから取れた素材から作った物だしな」
ξ゚听)ξ「あら?それ、ナルガクルガの素材から作ったんだ。それにしては存在感があるというか、ユクモで見た物とは少し違ってるのね」
ツンの言う通り、ドクオの身に付けている装備は、ユクモの狩人が着ている装備と少し違っている。
('A`)「そうだな。これはナルガX。ナルガクルガの中でも“G級”に分類された竜“疾風迅雷”の素材から作った物だからな」
ξ゚听)ξ「G級?モンスターにもG級があるの?」
('A`)「あぁ。十人単位の人間を食らった飛竜、それをドンドルマでは“G級”と呼び、最高位の狩人でなければ狩れないという規制が掛かる」
ξ;゚听)ξ「……十人単位、って。そんなの化け物じゃない」
('A`)「俺が討伐したナルガクルガは、三十人以上の狩人を食った正真正銘の化け物だったよ。狡猾な奴でな。一撃を振るっては隠れての繰り返しで、なかなか骨が折れた」
ドクオは、もう思いだしたくもないというように顔を顰めた。
その様子が、ツンには少し可笑しかった。
- 627 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:28:02 ID:tZ7fnqaMO
-
いつも平然と感情を表に出さないドクオが、ここまで嫌悪感を示すのは珍しかったから。
その様子を見て、緩んでいると思ったのか。
ドクオは言った。
('A`)「……気を引き締めよう、もう近いぞ」
ドクオが見付けたのは真新しい足跡。
大きさはツンの身の丈程もありそうだ。
間違いなく、これは飛竜の足跡である。
('A`)「感じるか、ツン。俺達は、もう奴の縄張りの中だ」
ξ゚听)ξ「……全然よ、言ったでしょ。姿が見えなくちゃ、私には、そんな鋭敏に気配を感じるなんて事できないわ」
確かに、ツンはまだまだHR2。一年目の新米狩人だ。気配や雰囲気と言った、目に見えない物を感じ取る事は出来ない。
決して、能力的にではない。
ただ圧倒的に経験が不足しているのだ。
- 628 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:29:06 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……ツン、一度目を閉じてみろ」
ξ;゚听)ξ「……へ?」
('A`)「十、数える。その間、ずっと目を瞑ってみれば良い」
ξ゚听)ξ「……うん」
目を閉じるツン。僅かに照らしていた月明かりも消え、文字通り、何も見えない無の世界。
一。
不安に駆られるツンだが、心を落ち着ける様に、胸に手を当てる。
二。
徐々に波立っていた心が、静かになっていく。
- 629 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:29:34 ID:tZ7fnqaMO
- 三。
突然視界にノイズの様な物が走った。
四。
不規則に揺れ動きながら、確かにこちらを見つめている紅い眼光。
五。
ツンは、目を開けたくなる衝動を必死で抑えた。
六。
だが、その目は無遠慮に。ふてぶてしく、どんどん自分に近づいてくる。
七。
その距離が後少しまで迫った時、一気にソレは自分に襲い掛かった。
ξ;゚听)ξ「……!!」
十秒、数え切る事なく、ツンは目を開けた。
- 630 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:30:19 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……」
しかし開けた視界には、特に異常もなく、先程までと同じように、ドクオが無機質な目で、こちらを見ているだけだった。
ξ゚听)ξ「……今のは」
しかし、異常は視界に起こった訳ではなかった。
ξ゚听)ξ「……なんだか、凄く息苦しい」
どうして今まで気が付かなかったのだろうか。
ツンが今立っている、この場所は、こんなにも‘死の臭い’に満ち溢れていたというのに。
- 631 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:32:40 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「それが気配だ。分かるか?」
ξ゚听)ξ「……えぇ、出来ればずっと知りたくなかったわ」
寒さを堪える様に、二の腕を擦るツン。
('A`)「その感覚を忘れるな。凄腕の狩人ならば、飛竜に気付かれない距離からでも、今のを感じ取る事が出来る」
ξ゚听)ξ「……はい」
('A`)「気配に敏感な者ならば、ある程度の位置まで特定する事も容易だ」
ツンは、ドクオの言葉を聞きながらも、背に携えていた自身の武器であるライトボウガンを引き抜いた。
('A`)「………」
そして何の躊躇もなく、ジャギットファイアに貫通弾Lv.2を装填する。
ξ゚听)ξ「……ドクオ」
その様子に、ドクオも気が付いた。
少しの笑みを浮かべて、ドクオも呼応するように背の双剣を抜く。
- 632 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:33:13 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……良いだろう、なら開戦だ」
- 633 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:34:18 ID:tZ7fnqaMO
- ツンもニヤリと笑った。
ドクオはゆったりと、出来るだけ自然体で双剣を構える。
('A`)「レディーファーストだ。タイミングは任せる」
初撃は、ツンに任せた。それだけの力がある、とドクオは確信したのだ。
ξ-听)ξ「……」
片目を瞑り、十分に狙いを定めるツン。
心臓の鼓動と、自分のタイミングが合致するのを待つ。
セーフティを外し、撃鉄を起こす。
ξ-听)ξ「………」
ゆっくりと引き絞られていく引き金。
心地良いトリガー・プルを感じながらも、照星は全くブレる事なく、撃ち手の視線と同じ軌道を辿るようにソレは飛び出していった。
一発の弾丸。
開戦の狼煙が上がった。
- 634 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:35:25 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……やるか」
乾いた銃声が聞こえると同時に、ドクオも走りだした。
風の様にスルスルと進む。ツンが狙った方向に。
そして予測していたかの様に前転。
直後、獰猛な唸り声があがった。
間違いなく飛竜の咆哮。
次いで、激しい木々の騒めき。
('A`)「……来る、な」
飛び出して来た黒い影。
『Gyaaaaaaaaaaa!!!!!!』
ドクオの眼前には紅い眼。間違いなく【迅竜】ナルガクルガだった。
- 635 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:36:10 ID:tZ7fnqaMO
-
興奮しているのか、全身の黒毛が逆立ち、上下に身体を揺らしている。
しかし、獲物を見付けた飛竜が透かさず攻撃に移らない。いや、攻撃出来なかったのだ。
('A`)「……」
それは、自分の前に突如現れたこの狩人の所為だ。
草陰から飛び出してみれば、目の前に無機質な目をした狩人。
その目に、光はなく、慢心もなく、恐怖すらない。
一瞬、本当に瞬き程の間だ。
だが、確かに【迅竜】ナルガクルガの思考、そして本能は停止していた。
その一瞬を見逃す程、ドクオは生易しい男ではない。勿論、背後に控えているツンもだ。
('A`)「会いたかったぞ、ナルガクルガ」
- 636 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:37:09 ID:tZ7fnqaMO
-
両手の剣を揃えて頭上に振り上げ、ナルガクルガの顔面を撫で斬る。
そのままドクオは、ステップを踏んで更に距離を詰めた。
ドクオが一歩を踏み出した瞬間、ナルガクルガの眉間に通常弾Lv.2が命中する。
通常弾Lv.2とは、ハリの実を使って作られる、数ある弾丸の中で最も威力のある種類の物だ。
('A`)(ふむ。やはりデレの妹というだけあって、ガンナーとしての心得の基本は出来ているようだな)
- 637 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:37:51 ID:tZ7fnqaMO
-
飛竜の皮膚は、堅い。大抵の飛竜の表面は、強固な鱗で覆われていたり、剛毛を纏っているからだ。
そこに一発の弾丸を撃ち付けたところで、飛竜にとってみれば大したダメージにはならない。
効率良く飛竜にダメージを与える為には【剣士】ストライカーが付けた傷口を広げる様な形で、重ねるように狙うというのが理想だ。
ξ-听)ξ「………」
ツンは、姉であるデレから口酸っぱく言われていたので、その事を知っていたし、実行するのに必要な技量も充分持っていた。
ナルガクルガは、執拗なまでの顔への攻撃に、堪らず後退る。
奇襲は成功だ。
この成功は、ツンの眼があってこそ成し得た。
- 638 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:38:28 ID:tZ7fnqaMO
-
暗闇に潜むナルガクルガの気配を感じ取り、更にその居場所を的確に見抜く事の出来る【鷹の眼】。
ξ-听)ξ「………」
彼女には、突出した才能があるのだ。
しかし、ここからは小細工の通じない戦いとなる。
純粋に力と技量のぶつかり合い。
ナルガクルガは、身体を捻り、姿勢を低くして、力を溜める。
ドクオは、その様子を見てステップを止め、一度立ち止まった。
一瞬、月明かりが不自然に歪む。
振るわれた、鋭尾。
乾いた音を立てて、辺りの草花の上50cmが綺麗に切り取られた。
('A`)「相変わらず、良い切れ味だな」
何も知らない素人ならば、今の攻撃だけで上下一刀両断にされていただろう。
ドクオは、事前に範囲外に逃れていたため傷一つ無い。
- 639 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:39:12 ID:tZ7fnqaMO
-
だが、やはり飛竜の力は圧倒的だ。
【迅竜】ナルガクルガの爪、翼刃、尾、そして牙。そのどれもが人間を一撃で屠るだけの威力を有しているのだから。
('A`)「全く、相変わらずチョロチョロと鬱陶しい奴だ」
しかし恐怖は圧倒的な経験によって打ち消される。
('A`)「脚がお留守だぞ」
ドクオは、後ろ脚をドンドン切り刻んでいく。
ナルガクルガには、後ろ脚を用いた攻撃が無いのだ。
遠慮なく、躊躇もなく、ナルガクルガの後ろ脚には無数の傷が刻まれていく。
- 640 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:40:46 ID:tZ7fnqaMO
-
頭を狙うのはツン。
ツンの邪魔をしないように立ち回りながら、間断無くダメージを与えていくのはドクオ。
確かに二人の攻撃は、着実にナルガクルガに蓄積されているだろう。
だが痛みに鈍い飛竜は、まだ変化が見られない。
('A`)「!?」
もう一度、ナルガクルガは先程と同じように体を捻らせた。
しかし先程と全く違うのは、ドクオの体勢だ。
今、ドクオは完全に攻撃の姿勢を取っている。
先程と同じように、ナルガクルガの凪ぎ払いの範囲外から逃れる事は出来ない。
- 641 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:41:44 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「……」
しかし、ドクオの身体は繋がったままだ。
傷一つ付いていない。
後方で見ていたツンは、今のドクオの挙動を理解出来なかった。
ドクオのした事は単純だ。
ただタイミングを合わせて、身体を伏せただけ。
だが、そんな簡単な事ではない。
少しでも姿勢が高ければ、首が飛ぶのだ。
('A`)「……一度目の攻撃の時、1m程の雑草が50cmを残して切られた。だから伏せれば充分に躱せるんだよ」
ξ;゚听)ξ「……」
絶句、ただ言葉を失う。
- 642 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:42:38 ID:tZ7fnqaMO
- あっ、すいません。書き足しておきたい部分が出来たので少しお待ちください。
- 643 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:46:36 ID:BX9aDKvU0
- 支援
- 644 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:47:22 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「さて、迅竜。お得意の尻尾振りは通じない。どうする?」
驚愕していたのはツンだけではない。【迅竜】ナルガクルガも、驚いていた。
そして、悟ったのだ。
相手の力量を。
爪を振れどスルリと躱され、尻尾を振れど逃げられる。
ナルガクルガの攻撃オプションは、それ程多くないのだ。
だからこそ、ナルガクルガは変化を付けた。
今までにない攻撃を選んだ。
一っ跳びで、二人から距離を取り
―――そして
- 645 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:48:25 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)「ツン!!!」
尻尾に生えた棘を、的確に飛ばしてきたのだ。
ツンへと。
ξ;゚听)ξ「クッ……」
それを前のめりに、突っ伏すように間一髪で避けたツン。
だが以前にも説明したように、それは最悪の避け方。無防備に投げ出された身体は、少しの間、何も出来ない。
ξ;゚听)ξ(はっ、早く……立たないと……)
避けてから立ち上がるまで。この間、凡そ4秒。
ツンとナルガクルガを隔てていた距離、凡そ50m。
飛竜最速、【迅竜】ナルガクルガにとって50mを4秒、それは余りに容易い。
- 646 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:49:39 ID:tZ7fnqaMO
-
ξ;゚听)ξ「!?」
急激に濃くなった‘死の臭い’。
地面から顔を上げたツンの目の前には
ξ;゚听)ξ「……!!」
ナルガクルガの紅い眼光。そして自分に向けて振り上げられた、余りに強靱な前脚。
ツンの視界が真っ白になる。
次いで柔らかな衝撃に吹き飛ばされる。大木が揺れるような、大きな音が耳を突く。
ξ;--)ξ「………」
- 647 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:50:07 ID:tZ7fnqaMO
-
しかし痛みは無かった。
ξ;゚听)ξ「……えっ」
身体に傷は無い。痛みも無い。
ξ;゚听)ξ「……どうして。私は、たった今ナルガクルガの前脚で吹き飛ばされたはずなのに」
答えは、自分の足元に落ちていた。
銀色の短剣。
あの人が、ずっと握り締めていた美しい双剣のうちの一つ。
それが意味するのは――――
- 648 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:50:33 ID:tZ7fnqaMO
-
('A`)『お前の一歩を、俺が護ろう』
- 649 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:51:09 ID:tZ7fnqaMO
-
頭の中で、滝で見たモノとあの人が重なる。
ξ; )ξ「ヴォエ……ウゥ……」
胃からせり上がってくる吐き気。
あの人が、私を庇ったという事なのか。
私みたいな、村の人達に貢献出来ない新米を。
どうして、私なんかを。
私に、そんな価値なんて無かったのに。
- 650 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:51:42 ID:tZ7fnqaMO
-
ξ; )ξ「……違う」
まだ死んだとは決まったわけじゃない。運が良ければ、助かっているかもしれない。
吹っ飛ばされたであろう草村の中から、あのやる気の無い気怠い表情で、颯爽と現れないのは、きっと何らかの怪我で歩けない状態になっているのかもしれないじゃないか。
自分の中に浮かんでくる、〜〜かも、という希望的観測に今は全力で縋り付く。
ξ゚听)ξ「……だから、私がコイツを倒せば」
そうすれば助けられるかもしれない。
あの人を。
途端に、全ての音が少女の中から消えた。
此処にいるのは、私と眼前のコイツだけ。
コイツを倒せるのは、私しか居ないのだ。
あの人を助けられるのは、私しか居ない。
- 651 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:52:17 ID:tZ7fnqaMO
-
ツンは全力で走った。逃げるのではない。
自分の距離に持ち込む為には、やはり離れなければならない。
ナルガクルガは、一人を倒せた事に気を緩めたのか追撃する素振りすら見せない。
40m程離れた所で、一度だけ深呼吸をする。
酸素を全身から取り入れ、そして留める。
姉のデレが、集中する時によく行う癖である。
- 652 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:52:49 ID:tZ7fnqaMO
-
ここから弾を撃ち切るまで、一切息をしない。
装填した弾丸は、通常弾Lv.3。
通常弾Lv.3は炸裂式の弾丸だ。目標に命中すれば、それが弾け、跳弾を繰り返して複数回に渡りダメージを与える。
その分、一発のダメージは通常弾Lv.2よりも低いが、跳弾を利用すれば最大威力の弾丸となる。
勿論、この弾丸は玄人向けだ。
しかし、ツンは迷わずそれを選んだ。
ξ-听)ξ「……やってみせる」
- 653 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:53:23 ID:tZ7fnqaMO
- 心に浮かべるのは、姉から教わった【狙撃手】ガンナーの心得『F・E・L・P・S』だ。
【Fulmetal Heart】
何にも左右されない‘鉄の心’を持て。どんなに危機的状況でも、クールに対処しろ。
【Speedy Finger】
ツンは、冷静に、そして素早く引き金を引き絞った。
ガンナーにとって、機敏に動いてくれる指は財産である。
放たれた弾丸は、真っ直ぐにナルガクルガの眉間の上に命中した。
ドクオが付けた傷口に。
翼に一発、前脚に一発、そして胴体に一発。
三回の跳弾、計四発の弾丸がナルガクルガを襲う。
しかし、それを気にする事もなくツンの指は淀み無く動く。
- 654 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:53:59 ID:tZ7fnqaMO
-
【Eagle Eye】
ナルガクルガの些細な動きも見逃すな。
何処にダメージが蓄積されているのか。敵がどう動くのか。
それを見極めるのは、全て己自身の眼だ。
鷹の様な眼で、何時、どこに、撃ち込めば良いのかを判断しろ。
ξ-听)ξ「………」
無言で弾丸を撃ち続けるツン。
その全てが弱点である頭部に命中している。
驚くべき早業、そして正確性。凡そHR2の新米とは思えない。
- 655 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:54:29 ID:tZ7fnqaMO
-
しかし、相手は【迅竜】ナルガクルガ。そう易い相手ではない。
断続的に自分を傷付ける痛みに耐えて、死力を尽くしてツンに跳躍する。
そしてナルガクルガの十八番、鋭尾振りを見舞う。
しかし‘鉄の心’が揺れる事はない。
ドクオが示してくれた様に、姿勢を低くしてそれを回避する。
――――そして
- 656 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:54:52 ID:tZ7fnqaMO
-
ξ#゚听)ξ「こんのおぉぉおお!!!!!!クソ野郎ォォオオッ!!!!!!!!!」
- 657 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:55:33 ID:tZ7fnqaMO
-
自らのボウガンを、ナルガクルガの頭上に叩きつけた。
【Preparation Carefully】
ガンナーの戦いは、モンスターと遭遇する前から始まっている。
弾丸の調合、ボウガンの整備。
その全てを自らの手で入念に行う。
だからこそ、こんな使い方をしても壊れない。
【迅竜】ナルガクルガも、この攻撃には目を回した。まさか打撃によってダメージを受けるとは思っていなかったのだ。
今まで、ドクオから受けた斬撃による蓄積。ツンから受けた射撃による蓄積。
それら全てが、最後の打撃で遂に溢れだした。
- 658 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:56:08 ID:tZ7fnqaMO
- ξ゚听)ξ「!!」
結果【迅竜】ナルガクルガは、後ろ足を引き摺りながら、必死に逃げだした。
ξ-听)ξ(行ける、かもしれない)
それでもツンは、撃つ事を止めない。
何度も何度も、引き金を絞る。
ここで仕留められなければ、ナルガクルガは跳んでしまう。
あのダメージでは遠くまでは、行けないだろう。
しかし自分の体力的にも、ここで決着を付けるのが賢明だ。
- 659 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:57:01 ID:tZ7fnqaMO
-
――――だが無情にもナルガクルガは跳んでしまった
- 660 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:58:01 ID:tZ7fnqaMO
-
ξ;゚听)ξ「クッ……」
これで又、振り出しに戻った。
ナルガクルガを探す所から始めなければいけない。だが、それよりも今は、あの人の状態を確認するのが先決だ。
ξ゚听)ξ「……ふぅ」
ここで息を付いてしまった。溜めていた息を抜いてしまったのだ。
――――ナルガクルガの最大の脅威とは、その【狡猾さ】にある
ξ;゚听)ξ「……ぁあ」
ナルガクルガは跳んだ、確かに跳んでいた。
しかし去っていなかった。
- 661 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:58:39 ID:tZ7fnqaMO
-
ナルガクルガが跳んで来たのは私の真上。
迅竜の最大威力攻撃【尻尾落とし】だ。
跳躍によって落下スピードを付けたナルガクルガの尻尾。その先からは、鋭利な棘が飛び出している。
ξ; )ξ「………」
最早此処まで。先程助けてくれた人はもう居ないのだから。
迫り来る尻尾はコマ送りの様に、ゆっくりと、そしてはっきりツンに向かっている。
ξ; )ξ(……お姉ちゃん、ゴメン)
走馬灯の様に、様々な想いがツンの胸に去来した。
ξ;;)ξ(……もっと、ブーンと、一緒に居たかったな)
そして、少女は目を閉じた。
- 662 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/10(土) 23:59:21 ID:tZ7fnqaMO
-
―――言っただろ
('A`)「お前の一歩を、俺が護ろう」
悲鳴があがった。ツンの物でも、誰の物でもない。
ナルガクルガが、悲鳴を挙げたのだ。
次いで、何かが音を立てて落ちてきた。
それは、ナルガクルガの尻尾だった。
ξつ;)ξ「……ふぇ?」
目を擦り、いつの間にか溢れだしていた涙を拭う。
そこに‘光’が見えた。
- 663 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:00:09 ID:iEQdeEDkO
-
('A`)「すまない。ちょっと出てくるのが遅れたな」
ξつ;)ξ「………」
ツンには理解出来ない。どうしてドクオが、此処にいるのかを。
('A`)「よく頑張ったな」
ξつ;)ξ「バッ、バカじゃないのっ!!生きてるのなら、もっと早く出てきなさいよっ!!!」
怒鳴る少女に、男は照れ臭そうに頬を掻きながら答える。
('A`)「余りに綺麗だったんで、見惚れてたんだ」
ξ////)ξ「……あぅ」
轟沈した。
- 664 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:00:55 ID:iEQdeEDkO
-
ドクオは、ポンポンとツンの頭を優しく叩き、言った。
('A`)「ツン、よく見ていろ。今から、お前等の目指す事になる頂点、その一端を見せよう」
ツンは静かに頷いた。
尻尾を斬られ、身体中には弾痕が残る。
だがナルガクルガも必死だ。
その眼の闘志に翳りは見えない。
そこに悠々と近付いていく男。
('A`)「よぉ、ナルガクルガ。お前のお陰で良い物が見れた。礼を言う」
言いながら、ドクオは器用に地面に落ちていた銀色の剣を蹴り上げた。
恐怖を感じた。
ナルガクルガに、一番ダメージを与えたのは、ボウガン使いだったが、この剣士には得体の知れない物があると、本能が悟っていたのだ。
('A`)「お礼に、俺も一つお前に教えよう」
クルクルと空中で回転していた剣が、綺麗にドクオの手に納まる。
『格の違い、って奴をさ』
- 665 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:01:21 ID:iEQdeEDkO
-
ドクオの身体が紅く発光する。
ツンは、一目でそれが鬼人化だと分かった。
ξ゚听)ξ(……そういえば、ドクオは一度も鬼人化せずに迅竜と戦ってたわよね。でも、あれは私の知ってる鬼人化とは違う)
余りの発光に、辺りが明るく照らされる。
そんな強い発光を、ツンは見たことが無かった。
- 666 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:01:44 ID:iEQdeEDkO
-
('A`)「鬼人化改【天ノ型】」
- 667 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:02:32 ID:iEQdeEDkO
-
それは、一瞬の出来事。
ツンには、何も見えなかった。
気付けば、背後に双剣を納めたドクオが、普段の表情でこちらに帰ってきていたのだ。
ナルガクルガの尖爪、六本を持って。
- 668 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:03:30 ID:iEQdeEDkO
- そして彼は言う。
('A`)「ツン!【狙撃手】ガンナー最後の心得は?」
手は自然と動いていた。
装填していた通常弾Lv.3を抜き取り、再装填したのは貫通弾Lv.2。
ガンナーの心得『F・E・L・P・S』
最後の一つ。
ξ#゚听)ξ「こんのおぉぉおおお!!!!!!」
【Last Finish】
最後の仕上げは、ド派手にブチ込め!!!!!
弾丸は、ナルガクルガの左眼を貫き、天へと昇った。
- 669 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:04:01 ID:iEQdeEDkO
-
「ふむ、全力で駆け付けてはみたものの。余計なお世話だったかな」
どこからともなく聞えてきた独り言は、風に流され森の奥へと消えていった。
- 670 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:05:08 ID:iEQdeEDkO
-
帰る道すがら、ツンはドクオに、あの時の事を尋ねた。
ξ゚听)ξ「あの時、ドクオは私の事を庇って、ナルガクルガに吹き飛ばされたと思ったんだけど」
('A`)「ん、あれは単純にお前を押しただけだぞ?」
ξ゚听)ξ「はぁ?じゃあ、なんで片っ方の剣を落としたのよ?」
ドクオは照れ臭そうに頬を掻いた。
('A`)「急いでたから、落としちゃった」
ξ;--)ξ「ちょっと……。急いでいて武器を落とすって、新米でもやらないわよ。本当に、凄いのか、ドジなのか分からないわね」
- 671 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:05:36 ID:iEQdeEDkO
-
ふと、ここでツンはある事に引っ掛かった。
あの時、ドクオとナルガクルガは割りと近い位置にいた。
それで、私をナルガクルガの攻撃が届く前に押したという事は
ξ;゚听)ξ「あっ、あんたっ!それって、ナルガクルガよりアンタな方が……」
('A`)「ん?」
そこまで言って、ツンは言うのを止めた。
聞こうと思ったが、この人なら平然と頷くだろうと、分かってしまったからだ。
ξ゚听)ξ「ドクオ、ありがとね」
('A`)「ん、気にするな。先輩が後輩を指導するのも仕事の内だよ」
―――そういう意味じゃないんだけどな
その言葉も、少女は自分の胸に留めた。
- 672 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:06:47 ID:iEQdeEDkO
-
('A`)「おっ、ツン。お前の“道標”と“支え”が来たぞ、って。見えてるよな、お前なら」
ξ*゚ー゚)ξ「ふんっ、当り前よ。私を誰だと思ってるの」
ずっと先。まだ小さな点だか、確かに見慣れた二人が此方に走ってきてる。
ξ゚ー゚)ξ「ねぇ、ドクオ。でも、貴方が居たからこそ、私は本当の意味で一歩踏み出す事が出来たのよ?」
少し間があって
「……いや、そんな事はないと思うぞ」
少女は、言ってから恥ずかしくなり男の顔を見れなかった。
だが、一つだけ分かる事がある。
それは、きっと今ドクオは頬を掻いているという事だ。
- 673 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:08:18 ID:iEQdeEDkO
-
帰ったドクオを待っていたのは、ギコだった。
(,,゚Д゚)「ドクオ、ギルドマスターがお呼びだ」
ギコが、ギルドマスターと呼んだ時点で、何か切迫した事態が起こったのだと、ドクオは確信した。
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
第五話 END
- 674 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:09:33 ID:iEQdeEDkO
- 終わったああぁあぁああああ!!!!!!
疲れたああぁああああ゛ぁ!!!!
- 675 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:10:11 ID:nQGZIaMo0
- 乙
- 676 :>>1:2011/09/11(日) 00:13:22 ID:iEQdeEDkO
- ではでは、投下が終わったところで、また少しだけ話させてください。
質問、指摘などありましたら何時でもどうぞ。
感想も歓迎です。
それと('A`)ドクオと飛竜と時々オトモは、恐らく後二話程度でお終いです。
- 677 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:17:27 ID:iEQdeEDkO
- この話は、実質三回書いてます。
初めて書いた物は、構成変更の為ボツとなり。
二回目に書いたものは携帯の機種変更の際に店員さんに消されました。
三回同じような話を書くとなった時の絶望たるや……これが投下が遅れた言い訳です。
- 678 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:17:52 ID:nQGZIaMo0
- 天ノ型かっこいいですね
ネタバレならいいですけどクーがどこにいるのかなぁ
- 679 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:20:36 ID:nQGZIaMo0
- 失礼しました。クーはネタバレだ
シリーズは続くんですか?
- 680 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:21:14 ID:iEQdeEDkO
- それに加えて、少し別の話を書いているというのもあります。
後二話(予定)が終われば、また避難所で投下してみようかと思います。
- 681 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:25:24 ID:iEQdeEDkO
- >>679 絶望した!!終わる詐欺で笑いを取ろうとしてたのに、やる前からネタを潰した>>679の質問に絶望した!!
シリーズとしては続きます。前回も書きましたが【雷狼竜】編で前編という構成になっていますので。
- 682 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:30:17 ID:nQGZIaMo0
- 乙乙
続き待ってます。
- 683 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 00:37:02 ID:iEQdeEDkO
- 最後に避難所に関してですが、そんなに急いで移転する事もないか、と思ってます。
当面は前レスで書いたように、このスレを埋めてから移動しようかと思っています。
- 684 :目次:2011/09/11(日) 00:53:07 ID:iEQdeEDkO
-
――目次――
一話 和光同塵――渓流に潜む青い影――
>>2
二話 五里霧中――凍土に蠢く白き闇――
>>76
三話 才気煥発――誇り高き騎士――
>>165
四話 先見乃明――蒼空を愛した龍の王――
>>304
五話 一念発起――暗闇に潜む暗殺者――
>>453 その1
>>566 その2
>>603 その3(五話終了)
以上です。
- 685 :>>1:2011/09/11(日) 00:58:23 ID:iEQdeEDkO
-
●場合によれば推敲後、改訂版を再投下というのも考えてます。
では消えますねー。
ここまで間隔の空く怠惰な>>1を、見限る事なく、この話を読み続けてくれている皆様、本当にありがとうございます。
皆さんがくれる感想は、本当に次話に向けての素晴らしい原動力となってます。
六話の投下で、再び会えるのを楽しみにしてますね。
では、おやすみなさい。
- 686 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 01:20:19 ID:8VJYMR1E0
- 乙
面白かった
次も楽しみだ
- 687 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 03:00:49 ID:CMiUWle.O
- まさか来てたなんて…
乙です!!次回も楽しみにまってるよー
- 688 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 11:53:37 ID:8jiqNMwkO
- 乙です!今回も面白かった!
- 689 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 16:58:09 ID:uygab2QoO
- 来てた!乙!
ツン、新米のくせに格好良すぎるわ
- 690 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/11(日) 23:59:05 ID:PxQpj5lEo
- 乙
なるニャンは苦労したなぁ…
- 691 :>>1:2011/09/12(月) 14:47:32 ID:CM0eGBQgO
- こんにはー、皆様。
先日書き終えた5話ですが、友人から推敲の結果が帰ってきました。
鬼の様な量でした。筆の進みが異常なまでに早かった弊害だと、反省しております。
一つ、自分からの質問なんですが。
途中に挟んだ【疾風迅雷】とドクオの場面、ショボンやジョルジュ、クーが登場した所ですが、過去の回想だと分かって貰えたでしょうか?
推敲してくれた友人が、微妙そうだったので不安になりました。
上で書かせて貰ったように、5話の改訂版を再び投下する事になりそうです。
先の5話を疑問に思った人は、そちらをお待ちください。
また6話7話は、遂にあのパッケージモンスターの登場です。6話で登場するかは分かりませんが。
まだ書いていないので、いつ投下出来るか見当も付きませんが、頑張ります。
お暇な人は、上の質問に答えてもらえると助かります。
- 692 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/12(月) 16:20:27 ID:/66Omn5A0
- 自分はわかったよ。
その後にも過去に倒した的な描写があるし他の人もわかるんじゃないだろうか
- 693 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/12(月) 17:45:54 ID:LGASGjz60
- 私も分かりましたよ
装備の説明もありましたしね
- 694 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/12(月) 18:55:07 ID:TgDzVObMo
- リア友に見せてんの?すごいね
てか推敲頑張ってこの人気かあ
応援だな
- 695 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/13(火) 00:28:21 ID:YKP3BKz.0
- しばらく更新してなかった+移住で、来たのに気づいてない人とか居そう
質問について
過去の話に移る所と今に戻るところに線を引くとか、もう少し工夫あると良いんじゃない?
次が楽しみ
- 696 :kokoro:2011/09/13(火) 00:48:00 ID:VHLy7WoU0
- 「嵐」
- 697 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/15(木) 09:54:16 ID:J3Ew.jEg0
-
――目次――
一話 和光同塵――渓流に潜む青い影――
>>2
二話 五里霧中――凍土に蠢く白き闇――
>>76
三話 才気煥発――誇り高き騎士――
>>165
四話 先見乃明――蒼空を愛した龍の王――
>>304
五話 一念発起――暗闇に潜む暗殺者――
>>453 その1 >>566 その2 >>603 その3(五話終了)
次回の投下、いつになるか見当もつかない。
- 698 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/15(木) 21:44:50 ID:dn.Wm4KE0
- 乙
最後までスレ使ってくれるのはなんか嬉しい
もちろんどっか移ってもいいのよ
それと細かくてすまないが用法の指摘を。
>579
>ξ--)ξ「はぁ……。本当にドクオって見え透いた事を言うわね。嫌われるわよ」
見え透いた=発言の裏にある本音が(聞き手に)透けて見える
ドクオが白々しいお世辞やごまかしを言ってたのなら「見え透いた」であってるが、
「なんでも解ってるのね」というニュアンスでは使えないぞ
この場合、「本当にはっきり言うわね」だけでもいい
- 699 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/09/19(月) 23:28:34 ID:jUno6FykO
- で、何分かかってナルにゃん倒したんです?
- 700 :>>1:2011/09/21(水) 03:26:57 ID:vRsJ96boO
- >>698 たっ、確かに!!自分の場合、会話は思い付くままに書いているのでこういう誤法は儘ありますです。
指摘、ありがとうございます。
>>699 回想シーンのナルガクルガを倒した時間は、以降の話で書こうと思います。
ツンとドクオで倒した時間は、次話で明記する予定ですしおすし。
只今鋭意書き溜め中。次の二話が書き終わったら、少し休憩期間貰って短編三つくらい書くんだ。
一番反応が良かったの連載するんだ。
- 701 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/01(土) 17:47:09 ID:6rqzN76U0
- で、次の投下はいつなんです?
- 702 :>>1:2011/10/02(日) 07:03:56 ID:/Uaf3iBoO
- まだ投下は出来ないです。
遅筆で申し訳ないです。
- 703 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/05(水) 19:53:01 ID:CjPqPT220
- わくわくてかてか
- 704 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/10(月) 10:53:48 ID:rskiiwUM0
- わくわくてかて
- 705 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/10(月) 15:29:15 ID:6n.fXvtEO
- わくてーか
- 706 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/14(金) 01:17:14 ID:t57sW25w0
- まだかな
- 707 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/15(土) 19:26:27 ID:WkvDdY3o0
- チラッ
- 708 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/16(日) 03:40:11 ID:XuVpuJtg0
- ド
- 709 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/16(日) 22:42:05 ID:Aduvd7M.O
- ン
- 710 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/17(月) 17:15:06 ID:F9nuPoh60
- ド
- 711 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/17(月) 19:16:34 ID:MdGnYzRg0
- ル
- 712 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/17(月) 20:36:38 ID:9O6xItJQ0
- 山
- 713 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/18(火) 01:14:48 ID:3UqGcXY20
- 彦
- 714 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/18(火) 23:05:12 ID:ydeT6gYI0
- このスレに何があった
- 715 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/19(水) 18:34:44 ID:ac1SA5d20
- そろそろ無駄にスレ消費するのをやめて欲しいんだがな
- 716 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/20(木) 00:52:26 ID:WDAwlL.c0
- 早いとこスレを使いきらせて創作板に移動して欲しい人たちがいるんだろ
- 717 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/23(日) 21:34:50 ID:fi91pwSQ0
- もうちょいかかるのかな
- 718 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/10/27(木) 20:34:58 ID:iHK7HWeA0
- まってます
- 719 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/06(日) 00:07:27 ID:5cBW5uf.O
- 遅筆じゃすまされねーだろ…
- 720 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/08(火) 15:16:21 ID:HOYk6Nas0
- 期待して待ってる
- 721 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/17(木) 17:32:00 ID:tEHQsAxk0
- あげ
- 722 :青空ホライゾン ◆x/rxoIq2T6:2011/11/20(日) 02:31:26 ID:FC.sHSc20
- http://mo-neru.net/portable/boon/30002/index.html
まとめさせて貰いました。
ご意見ご要望ありましたらお気軽にどうぞ!
つづきお待ちしております!
- 723 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/22(火) 03:19:17 ID:yo7xJML.0
- まだかな・・・
- 724 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/23(水) 16:34:37 ID:wBm9FLMk0
- まだー?チンチン
- 725 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/24(木) 01:16:19 ID:vyasddesO
- もう書かねーだろこいつ
- 726 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/24(木) 01:46:47 ID:5Wqp7zPE0
- つまらんし書かなくていいよ
- 727 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/25(金) 16:24:44 ID:zD0At9kA0
- つまらなくはないよね
面白いと思うよ
- 728 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/26(土) 01:14:44 ID:QVr4o9qsO
- 馬鹿め、放置すれば諦めるとでも思ったか!
- 729 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/26(土) 19:10:46 ID:OwteqLzA0
- 気長に待ってる
- 730 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/11/28(月) 01:55:52 ID:ouHU2xKY0
- いつまでも待ってるよー
- 731 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/01(木) 15:44:43 ID:yrPfSRyA0
- 理由はなんでもいい。無くてもいい。
ただもう書かないならそう言ってくれ。
- 732 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/01(木) 19:34:48 ID:qRVE/7J.0
- 、
- 733 :>>1:2011/12/01(木) 20:12:21 ID:15LdGeQQO
- はい。どうも皆さん。>>1ですよ。ハイ。
なんというかですね。ハイ。やる気がなくなりました。ハイ。
こう言うとお怒りになるお方がいらっしゃるようですが、無くなったものは仕方が無い。
なんとなくお茶を濁す形の放置プレイでしたが、休止宣言を決意しました。
きっかけは>>731さんです。
と、いうわけでこの作品は無期限休止といたします。
- 734 :>>1:2011/12/01(木) 20:14:43 ID:15LdGeQQO
- 無期限なのでいつ再開するかわかりません。むしろ再開しない確率のほうが99%ほど高いです。
なのでもう期待しないでください。
今まで支援してくださった皆様にはとても感謝しています。
本当にありがとうございました。
またいつか書くかもしれませんが、その時ご縁があれば。
ではでは、これにて。
- 735 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/01(木) 21:08:13 ID:yjjUjdyY0
- えええ
- 736 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/01(木) 22:16:42 ID:UWSnrTX20
- あら残念
- 737 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/01(木) 22:18:21 ID:FPHqHReQ0
- まじかー、モンハンやってないけど、楽しめただけに残念
- 738 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/01(木) 23:51:57 ID:rd8agfEk0
- 釣りじゃないのか?vipのころから楽しみなのに
- 739 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/02(金) 00:20:59 ID:H0fUKhs.0
- マジか…でも1%でも復活の可能性あるならいつまでも、待ってる
- 740 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/02(金) 01:17:56 ID:vPLbofkQ0
- こんな書き方するかなー?
偽物だと思いたい
- 741 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/02(金) 03:30:52 ID:F01Wvkxk0
- まあ偽者だとしても本物が来る気配もないし
どっちにしろ終わりだろこのスレも
- 742 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/03(土) 20:49:22 ID:yEYDl67c0
- 残念だわ…
- 743 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/03(土) 21:28:03 ID:ppEgl5gk0
- トライG出るしそのうちやる気出すだろたぶん
- 744 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/04(日) 11:07:04 ID:bNzEXOSM0
- これは流石に釣りでしょ
- 745 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/06(火) 06:57:06 ID:8XeJSRZU0
- きっともうすぐ>>1っぽい奴が現れて颯爽とこの話を終わらせてくれるはず。いや、自分は>>1じゃないですよ!全然違いますよ!なんか結構書き溜めは出来てる気がするよ?きっと次の話でこのスレッドを埋めると思うよ?
だから本当にごめんなさい。
盛大な言い訳は次回の投下で。
- 746 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/06(火) 08:10:39 ID:OThi1Vbo0
- ⁉
- 747 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/06(火) 11:27:16 ID:AQtOkeSM0
- きた!?
- 748 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/06(火) 11:34:26 ID:pPChswzU0
- お前は何回釣られれば気が済むんだ
- 749 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/06(火) 12:24:13 ID:CcRxgSno0
- 何回だって釣られてやるさ
- 750 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/06(火) 22:22:12 ID:OjzWa/6.0
- >>1さんチーッス!!
- 751 :>>1:2011/12/07(水) 17:31:38 ID:37fVlAbo0
- 失礼します、>>1です。前回の投下から期間が空くこと三ヶ月このスレッド内でも仰ってる方が居られましたが確かに遅筆では済まされないレベルだと思っております。
本当に今でもこのスレッドを訪れてくれている方達には、お詫びのしようもありません。
>>745さんが書いているように、書き溜めは割りと出来ています。
ただ、このスレッドを一気に埋める程の文量となるとまだまだです。なので、もう暫く、もう暫くだけお待ちください。文量でいえばリオレウス編の約二倍です。
ジンオウガ討伐を終わらせ、この話に一区切りを付けた上で、五話以降の修正版を新しいスレッドに書いていこうと思います。
具体的な投下が遅れた理由は、次の投下終了後に話すつもりですが、一つだけ。
長らく続きを投下出来なかった間、このスレッド、そしてこのスレッドを見てくれていた人の事を忘れたことはひと時もありません。
手前勝手な釈明ですが、どうか堪忍してください。
では、近いうちにまたお会いしましょう。
>>1でありました。
- 752 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 17:40:07 ID:elf68y/60
- 待ってますよ。
頑張ってください
- 753 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 18:53:20 ID:uoeKdhAAO
- 3ヶ月くらい……待てない!
そんくらい魅力があんたにはあったのさ!
てわけで、早さより質だ。遅くなっても焦らないで、満足いくまでやってくれると嬉しい
- 754 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 19:32:48 ID:54POO/Ag0
- とりあえず次回本編投稿時からで良いからトリつけようぜ
- 755 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 19:34:56 ID:QQtG6Tx20
- トリなんかつけたら幻滅
- 756 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 19:47:31 ID:54POO/Ag0
- >>755
なんでよ、偽物出たりで荒れるよりは良いじゃね?
- 757 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 20:43:48 ID:1i4HreDw0
- それはね、>>755が>>733-734だからよ……
- 758 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 21:27:48 ID:0mv.ar4wO
- 待ってるよ!納得のいく作品でボスケテ
- 759 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/07(水) 22:33:18 ID:yeJc1X9I0
- 三か月待つくらいなんてことないさ、頑張れ
支援と応援なら任せろ
- 760 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/08(木) 08:02:55 ID:fZP8eXe.0
- >>756-757
どうせそのうち創作板にうつるだろうし、偽者も出ないからいいんじゃね?
むしろ偽者を釣って向こうで規制されれば万々歳
- 761 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/08(木) 12:55:32 ID:zmEJ9e5s0
- クリスマス投下でも余裕で張り付く
- 762 :>>1:2011/12/08(木) 13:59:04 ID:ruXbdfJs0
- >>1でありんす。
酉に関してですが、この作品限定で付けようかと思っています。
自分としては『酉を付けない方が良い』という人の意見も分かるつもりです。
『過去作の威光なんて使わずに今の話で全力勝負しろよ』だったりだとか。他にも理由はあると思うんですが。
ただ、なりすましさんが出てしまったという事があったので一応次回投下の時にオトモ限定の酉を付けようと思います。
まぁ、昔の酉を付けたところで『あ、この人』的な展開には絶対になりませんが、一応新酉を。
ただいま絶賛書き溜め中ですがもう心が折れそうです。今まで自分の中では『一話毎の文量がけっこう多いなー』と思っていたのですが
もう今回ばかりは尋常じゃありません。
タイトルコールまでの時点で50レスほど、ジンオウガと戦う頃には250レスまでいってくれると良いのですが。
だから、あと20レス位皆さんの感想であったり、批判であったりで埋めといてくれると助かります。あ、ここオフレコでね?
- 763 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/08(木) 14:17:15 ID:W3CiIeksO
- この作品に威光なんてないから気にせず次回作でも鳥つければいいのに。こういったら失礼だけどさ。
- 764 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/08(木) 14:40:11 ID:HtlrXFsA0
- トリ提案したの俺だけど作品というか、スレごとトリ変えるの当たり前の事だと思っちゃってたわすまん
- 765 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/08(木) 14:55:03 ID:fZP8eXe.0
- >>764
いやそれが当たり前だよ
ブーン系には何故かトリをコテ化させてる作者が多いけど
- 766 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/08(木) 18:06:44 ID:m.2ezFz6O
- 固定酉は作者読みしたいときに便利
文量多いのは読みごたえあるから嬉しいが、投下する作者が大変そうだなー
頑張れ
- 767 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/08(木) 18:47:51 ID:ni4n1d/60
- wktk
- 768 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/09(金) 08:07:52 ID:xJW15uWMO
- タイトルまでに50だと……
これは楽しみすぎて死ねる
- 769 :>>1:2011/12/09(金) 14:45:04 ID:MAlwkcIE0
- これからはこまめに書き溜め報告をしようと決意した>>1です。
只今の書き溜めは約60レス、ここから改行を入れていくのでもう少し増えるとは思いますが。なんとか今週中に書き終わりたいと思っています。
もう少しだけお待ちください。いや、本当にすいません。
あと、青空ホライゾンさんが新たにこの話を纏めてくれていました。
凄く見やすくて感謝感謝です。次の投下のときにテンプレに付け足しておこうと思います。
6話を皆様に読んでもらえるのを楽しみにしています。
- 770 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/09(金) 19:09:38 ID:PRfE0u9EO
- こちらも楽しみだ、頑張ってくれ!
- 771 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/10(土) 21:50:44 ID:ENR.WcwQO
- こまめな報告うれすい!遅くても無問題だから楽しんで書きんさい
- 772 :>>1:2011/12/12(月) 09:15:22 ID:AAkFhMMA0
- おはこんばんちわならー、>>1です。
書き溜め進行具合は120レスほど。今回は少し長いせいか詰め込み方が半端ないです。まだ具体的な日にちは言えませんが、書き溜めは順調です。
- 773 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/12(月) 19:10:54 ID:dO/v0QMw0
- まだかなまだかなー
- 774 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/12(月) 20:35:16 ID:Io9ccVEQ0
- 楽しみに待ってるぜ!
- 775 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/14(水) 23:26:07 ID:Sj/DOsj.O
- いいねいいね
がんばって!
- 776 :>>1:2011/12/16(金) 05:41:24 ID:v2eyfnt60
- 今日か明日に投下出来ればしようと思います。大変お待たせしました。
賛否両論、批判確実の内容になったと自負していますが、もう80%以上書けてしまっているので、このまま進めようと思います。
- 777 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/16(金) 07:56:15 ID:ocPzQCAsO
- まじかああああああ
待ってるううううう
- 778 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/16(金) 12:22:27 ID:IWzc4bYMO
- 正直、wktkが止まらない
- 779 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 01:18:43 ID:5zKcjDqs0
- 俺も止まらない
- 780 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 02:15:08 ID:Z0aiX1o.0
- あんまりすれ消費させちゃって足りなくなったらアカンので俺は投下まで黙ろうと思う
- 781 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 04:45:44 ID:0QcxA2CM0
- んじゃ
- 782 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 04:45:55 ID:0QcxA2CM0
- 俺も
- 783 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 04:46:06 ID:0QcxA2CM0
- 黙るはw
- 784 :>>1:2011/12/17(土) 21:47:38 ID:2gYSOhak0
- 0時頃に来ます。投下は三日に分けて行います。
- 785 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 21:56:44 ID:PdzlQv8E0
- wktk
- 786 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:15:10 ID:z.ceNcOE0
- 全裸寒い早く…!!
- 787 :>>1:2011/12/17(土) 23:42:49 ID:7SYsCAe2O
- ID違いますが>>1でありんす。
全裸待機の方が居られるようなので、少し早いですが投下を始めようと思います。
今回結構冒険した内容というか、読んでくれる方を置いていく可能性大ですが、書き直す事も覚悟しつつ、投下したいと思います。
とりあえずはタイトルコールまで、始まりです。
- 788 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:44:14 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 789 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:44:26 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 790 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:44:28 ID:7SYsCAe2O
- ※注意
・元ネタ有り
・モンスターや装備についての独自解釈満載
・登場人物をAAに無理矢理変更している場合があります
- 791 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:44:36 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 792 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:44:46 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 793 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:44:58 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 794 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:45:08 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 795 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:45:19 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 796 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:45:31 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 797 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:45:41 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 798 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:45:52 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 799 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:46:05 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 800 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:46:16 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 801 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:46:29 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 802 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:46:39 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 803 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:46:51 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 804 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:46:55 ID:7SYsCAe2O
- ――目次――
一話 和光同塵――渓流に潜む青い影――
>>2
二話 五里霧中――凍土に蠢く白き闇――
>>76
三話 才気煥発――誇り高き騎士――
>>165
四話 先見乃明――蒼空を愛した龍の王――
>>304
- 805 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:47:02 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 806 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:47:14 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 807 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:47:29 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 808 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:47:39 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 809 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:47:50 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 810 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:48:02 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 811 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:48:17 ID:qeAbFuDAO
- 支援やめてくれよー
埋まっちゃうよ
- 812 :ハンター:2011/12/17(土) 23:48:51 ID:7SYsCAe2O
- ●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6
所属猟団:無所属
使用武器:コウリュウノツガイ(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村
●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:Stubborn】
HR:6
所属猟団:荒鷲団
使用武器:ハイジークムント(大剣)
防具:レウスSシリーズ
現在地:ユクモ村
●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーV(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村
- 813 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:03 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 814 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:12 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 815 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:18 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 816 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:28 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 817 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:30 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 818 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:38 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 819 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:41 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 820 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:50 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 821 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:49:53 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 822 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:00 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 823 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:05 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 824 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:11 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 825 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:16 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 826 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:21 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 827 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:27 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 828 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:31 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 829 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:37 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 830 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:41 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 831 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:47 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 832 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:52 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 833 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:50:57 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 834 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:02 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 835 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:06 ID:7SYsCAe2O
- ●( ^ω^) ブーン=ホライゾン
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:デッドリボルバー(鎚)
防具:アロイシリーズ
現在地:ユクモ村
●ξ゚听)ξ ツン=ツンデレート
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:ジャギットファイア
防具:ジャギィシリーズ
現在地:???
●( ・∀・) モララー=ケーニッヒ
人間
26歳 【称号:無し】
HR:5
所属猟団:【騎士派】
使用武器:???
防具:???
現在地:???
- 836 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:07 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 837 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:12 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 838 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:19 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 839 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:23 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 840 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:31 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 841 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:34 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 842 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:41 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 843 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:44 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 844 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:52 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 845 :オトモ:2011/12/17(土) 23:51:54 ID:7SYsCAe2O
- ●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村
●(*゚ー゚) しぃ
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:???
兜:???
鎧:???
現在地:ユクモ村
- 846 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:51:54 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 847 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:02 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 848 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:05 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 849 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:15 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 850 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:16 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 851 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:26 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 852 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:27 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 853 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:37 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 854 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:38 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 855 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:47 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 856 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:49 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 857 :6―1:2011/12/17(土) 23:52:49 ID:7SYsCAe2O
-
【名無しの丘】
誰も名を知らない未開の地。
そこに二人の男の影があった。
( ゚∀゚)「………」
(´・ω・`)「………」
1人は小柄な男。しかし身体の線は決して細くなく、服の上からでもはっきりと分かる筋肉は、幾年もの間、鍛え上げられてきた物だと分かる。
もう1人は大柄。山のような男だ。
少し太めの眉に、大きな瞳。前の男と比べると理知的な顔をしている。
大きな荷車を押しながら、今日も今日とて二人は歩く。
- 858 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:52:59 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 859 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:01 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 860 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:10 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 861 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:14 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 862 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:23 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 863 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:24 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 864 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:35 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 865 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:36 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 866 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:45 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 867 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:46 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 868 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:56 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 869 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:53:57 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 870 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:06 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 871 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:07 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 872 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:16 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 873 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:17 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 874 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:19 ID:7SYsCAe2O
- ( ゚∀゚)「……ショボン、腹へったー」
(´・ω・`)「全く、さっき食べたばっかりだろう。君は相変わらず燃費の悪い身体をしてるね」
( ゚∀゚)「はぁー。ドクオが居てくれりゃァ、こんなひもじい思いしなくて済むのによォー」
(´・ω・`)「それには同意するね。ドクオと狩りに行くときは本当に楽をさせてもらったから」
思い浮べるのはかつての仲間。
いつも陰鬱そうな顔をしていて、それなのに飛竜達と戦う時は誰よりも率先して突っ込んでいった男。
誰よりも死に近い道を、悠然と闊歩する姿は、彼と別れてから数年経った今でも、強く二人の心に残っていた。
(´・ω・`)「ドクオ……変われたと思うかい?」
( ゚∀゚)「……さァーな。だがあのままじゃア、アイツは危ういだろ。だからこそ、ババァもドクオをドンドルマから遠ざけたんだろさァ」
二人の知っているドクオは、誰よりも仲間を大切に思い、そしてそれ以上に自分を大切に思う男だ。
どんな飛竜よりも迅く、どんな狩人よりも冷静だった。
“あの出来事”があるまでは。
- 875 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:28 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 876 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:29 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 877 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:40 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 878 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:41 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 879 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:51 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 880 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:54:52 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 881 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:02 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 882 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:03 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 883 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:11 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 884 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:14 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 885 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:22 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 886 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:24 ID:7SYsCAe2O
-
(´・ω・`)「だが、ドクオがドンドルマを旅立ってもう四年と少しになる。人が変わるには充分な期間にも思える」
( ゚∀゚)「ケッ、そんな器用な奴じゃねーよ」
ショボンが述べた希望を、ジョルジュはバッサリと切り捨てた。
だが、それはジョルジュが充分にドクオの本質を理解しているが故の言葉でもある。
(´・ω・`)「ドンドルマは、僕達が居なくなって大丈夫なのかな?」
( ゚∀゚)「ハッ、それこそいらねェ心配だよ。向こうにはペニサス達が残ってんだ。俺達二人が抜けただけで揺らぐヤワな砦じゃねェーだろーがよォー」
ドンドルマが誇るG級は、今全てが外に出ている状態だ。
最高戦力であるG級が、揃って居なくなったとあれば、浮き足立つのも無理からぬ事。
だが、共に街を守り、飛竜と戦ってきた。
その仲間達は、今尚健在だ。
( ゚∀゚)「ペニサスやシャキンさん、でぃ婆が居るんだ。飛竜如きに何かできるわけないだろ」
(´・ω・`)「そうだね。要らない心配だったね、だからこそ僕達二人がユクモに出てこられたんだから」
二人は、少し足を速めた。
- 887 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:24 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 888 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:35 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 889 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:38 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 890 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:51 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 891 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:55:50 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 892 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:01 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 893 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:02 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 894 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:12 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 895 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:13 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 896 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:24 ID:7SYsCAe2O
-
肌を刺すような冷たい風がが吹く。山を越える毎に、寒さは増している。そろそろ雪が降り出す頃か。
( ゚∀゚)「それにしても、この辺りは何もねーなー。ユクモまではまだまだ遠いか」
(´・ω・`)「さぁ。ドクオは、もう着いたのかな」
( ゚∀゚)「途中で野垂れ死んでなきゃ良いんだがなァ」
二人の旅は、まだまだ続く。
終わりの見えない道程だが、先に進んだ友がいる。
だからこそ、二人の歩みが止まる事はない。
(´・ω・`)(ドクオ……あれから四年経った。新しい大切なモノを、君は見付ける事が出来たのかな?)
( ゚∀゚)(クー、お前が今でも居てくれればドクオを救う事も出来たんだろうな)
- 897 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:23 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 898 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:25 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 899 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:36 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 900 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:37 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 901 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:47 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 902 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:48 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 903 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:52 ID:7SYsCAe2O
-
悲しまないでくれ。
これは私にしか出来ない仕事だ。
お前でも、あの二人でも出来ない。
だから、そんな哀しい顔をしないでくれ。
私は、嘗て無い程に喜び震えているんだ。
この道を、誰にも邪魔立てさせはしない。
―――Elven Arrow クー 最期の言葉―――
- 904 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:56:59 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 905 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:00 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 906 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:10 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 907 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:11 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 908 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:21 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 909 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:25 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 910 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:36 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 911 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:36 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 912 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:44 ID:7SYsCAe2O
-
( ^ω^)「凄いおっ!!ツン!!ナルガクルガを討伐するなんてっ!!」
ξ////)ξ「ちょっと!そんなに引っ張らないでよっ!!」
ユクモへの帰り道。案の定、ブーンとデレが息を切らせながら走ってきていた。
('A`)「全く、緊張感の欠片もないな」
ζ(゚ー゚*ζ「―――♪」
ツンとブーン、ドクオとデレ、二列にに並びながら、ゆっくりとユクモに帰る。
狩りを始めた頃は山の向こうに姿を隠していた太陽だったが、今は頭の上で燦々と輝いていた。
('A`)「嬉しそうだな、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい!ツンちゃんが、あんなに嬉しそうだからっ!」
HR2の狩人が、ナルガクルガを討伐。
それはユクモの歴史の中でも異例の事だ。
- 913 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:46 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 914 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:48 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 915 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:59 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 916 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:57:59 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 917 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:58:12 ID:qF9dO/HoO
- 支援
- 918 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:58:13 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 919 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:58:23 ID:7SYsCAe2O
-
('A`)「ツンにとって、良い切っ掛けにもなっただろうな。素養もあったし、彼女の眼は、ガンナーであれば誰もが羨む物だ」
ζ(゚ー゚*ζ「それに負けず嫌いの性格をしてますから。私も、うかうかしてられませんね」
楽しそうに家路を辿る四人。
その雰囲気を一変させる事件が、ユクモで待ち受けているとも知らずに。
- 920 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:58:24 ID:0QcxA2CM0
- 支援
- 921 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:59:00 ID:7SYsCAe2O
-
ユクモに帰ったドクオは、一先ず事の顛末を説明するために、ギルドへと向かった。
ツーからはある程度の説明を受けているはずだが、結果を伝えなければクエストは完了しない。
('A`)「ミセリ、報告に来たんだが」
そこでドクオが見たのは、普段以上にてんてこ舞いしている受付嬢の姿だった。
ミセ;゚Д゚)リ「あっ、ドクオさん……」
(;'A`)「大丈夫か?忙しいなら、また後で出直すぞ?」
汗を滲ませて、忙しなく手元の書類を処理していくミセリ。普段は、落ち着いた様子で狩人達の報告に耳を傾けている彼女だが今日は様子が違う。
ミセ*゚ -゚)リ「いえ、大丈夫です。ツー様から大体の事情は聞いてますから、すぐに済ませます。
それにドクオさん……」
真剣な顔でドクオに目配せするミセリ。
ドクオも雰囲気を察し、顔を寄せた。
('A`)「……何かあったのか?」
ミセ*゚ -゚)リ「私からは詳しく話せませんが、騎士派から独断専行した者が出たようです」
('A`)「独断専行?どういう事だ?」
- 922 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:59:06 ID:0QcxA2CM0
- 「嵐」
- 923 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:59:17 ID:0QcxA2CM0
- 「嵐」
- 924 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:59:34 ID:0QcxA2CM0
- 「嵐」
- 925 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/17(土) 23:59:46 ID:0QcxA2CM0
- 「嵐」
- 926 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:00:08 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 927 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:00:19 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 928 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:00:19 ID:MQ0VQ0joO
-
ミセ*゚ -゚)リ「詳しくは、あの人達から聞いてください。残りの手続きは私がしておきますから」
ミセリが指差した先にいたのはギコ。
そして見覚えのない若い女だった。
(,,゚Д゚)「ご苦労さんだぞゴルァ」
(゚、゚トソン「こんにちは」
('A`)「よぉ、ギコ。それともう一人の君は、初めましてになるのかな。ドクオだ」
以前共に狩りをした時から、また一回り大きくなっているギコ。それは何より、G級に慢る事なく、努力をしているという証拠だ。
背には【焔剣】リオレウス。先のリオレウス討伐で得た素材で作ったのだろう。
('A`)「ミセリの雰囲気から察するに、何か良くない事でも起こったのか?」
(#,,゚Д゚)「その通りだぞゴルァ!!騎士派の連中がギルドへの届け出も無しに、ユクモ山に登りやがったんだ!!」
“ユクモ山”狩場を基準に考えれば渓流エリアに流れる川の源泉付近の事だ。
('A`)「それは確かに由々しき事態だが……ここまで大騒ぎする事なのか?」
(,,゚Д゚)「!! あぁ、そうだな。ドクオは、ユクモに来て日も浅い。この村に残る伝説を知らないな」
- 929 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:00:30 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 930 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:00:41 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 931 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:00:52 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 932 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:02 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 933 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:11 ID:MQ0VQ0joO
-
―――伝説
その言葉にドクオの瞳に真剣みが増した。
伝説の裏には、必ずと言って良い程、その裏には強大な存在が隠れている物なのだ。
ドクオに伝説を教えようとギコが話し始める。
(,,゚Д゚)「この村には……」
(゚、゚トソン「ギコ君、そこから先は私が話します」
だが、それを一緒にいた女が制した。
(,,゚Д゚)「ゴルァ、了解です。確かに先輩の方がこういう話には詳しいでしょうし」
大人しく口を閉じ、ドクオと同じく聞く態勢に入ったギコに彼女は『ありがとう』と微笑んで話を続けた。
(゚、゚トソン「改めて名乗らせて頂きます。私の名前はトソン。トソン=アデアと申します」
('A`)「こちらこそ。先程も名乗ったがドクオだ。ドクオ=ウェイツーという。以後、宜しく頼む」
立ち話もなんですから、とトソンをドクオに座るよう促した。
(゚、゚トソン「さて、先程ギコ君が話そうとした伝説。今からそれを私の口からお話させて頂きます」
- 934 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:12 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 935 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:22 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 936 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:32 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 937 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:44 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 938 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:47 ID:MQ0VQ0joO
-
―
―――
―――――
それはそれは昔の話です。何十年前か、何百年前か、正確な記録は竜人であられるギルドマスター様でもご存知ありません。
ただそれが“昔から在った”という事さえ、ご理解頂ければ何も問題ありません。
ユクモ村が出来るずっと前の話。ここは多くの生物達の楽園でありました。
ユクモの土地を長く育んできた大火山。その恩恵の一つである“温泉”。それがその理由です。
ユクモの湯は傷に良く、病に良い。
野生の中で傷を負った生き物達にとって、ユクモの湯は掛け替えのない物でした。
だからこそ、この地は狩人の村としての基盤を築けたのです。
周囲を火山と凍土に囲まれてなお、気候は温暖。
そんな恵まれたユクモの地には、一つだけ問題がありました。
- 939 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:01:54 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 940 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:02:19 ID:MQ0VQ0joO
-
【何十年に一度現れる大積乱雲】
私やギコ。いえ、この村に住む全ての者達が、幼い頃口酸っぱく教えられてきた事。
『雷が鳴ったら決して外に出てはいけないよ。もしこれを破って外に出たらユクモ神様がお前たちを連れて行ってしまうからね』
(゚、゚トソン「ドクオさん、見えますか?あの山に掛かる不気味な黒い雲が」
『あれが【雷狼竜】ジンオウガなのです』
- 941 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:02:22 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 942 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:02:38 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 943 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:03 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 944 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:04 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 945 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:05 ID:MQ0VQ0joO
-
('A`)「………」
ドクオの視線の先には真っ黒い雲。
(゚、゚トソン「今までユクモギルドは、ジンオウガと二度戦いました。一度目は何も知らない新米狩人達が。結果、四人全員が壊れた状態で見付かりました」
(,,゚Д゚)「………」
(゚、゚トソン「二度目は満を持して、ユクモが誇る凄腕の狩人達が。結果、ジンオウガの撃退には成功しますが、討伐には至らず。更に二人の犠牲者を出すという始末」
('A`)「そして、今日が三度目だったのか」
トソンはドクオの言葉に静かに頷いた。
(゚、゚トソン「ギルドマスターの忠告を無視し、山を登った騎士派の狩人達四人が、今朝渓流エリアで見付かりました。生きていた者は居ません」
ドクオとギコ、二人の視線が交差する。何かを確認するかの様に。
(゚、゚トソン「一度目に四人、二度目に二人、そしてまた四人。計十人の犠牲者を生んだ【雷狼竜】ジンオウガ。件のモンスターは、今日現時点を以て災害指定級モンスター“G”と認定されました」
- 946 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:17 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 947 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:20 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 948 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:31 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 949 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:31 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 950 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:43 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 951 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:44 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 952 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:54 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 953 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:03:55 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 954 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:05 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 955 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:05 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 956 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:11 ID:MQ0VQ0joO
-
ドクオは、ゆったりと自然体のまま立ち上がった。
それに習い、ギコも胸を張り直立する。
(゚、゚トソン「ユクモに在籍するG級狩人は貴方達だけです。追って正式な依頼を承ることとなるでしょう」
トソンは、二人の男の目を見つめた。ユクモの命運を託す事となる二人を。
(,,゚Д゚)「任せて下さい。きっと俺達が狩ってみせます」
('A`)「……狩れというのなら狩るだけだ」
トソンは、ギコを小さい頃からずっと見てきた。幼い頃から、ロマネスクの影響を受け狩人を志し、彼女を見本としてメキメキと力を付けてきた。
独り善がりな部分もあると不安だったが、G級となってからは、それも大分緩和している。
(゚、゚トソン「……ごめんね、ギコ君」
(,,゚Д゚)「うっす」
しかし、そうと分かっていてもトソンの胸から不安は消えない。
彼女の後ろを不安そうに付いてきていた男の子が、今村のために強大な敵と戦おうとしているのだ。
- 957 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:15 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 958 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:16 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 959 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:26 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 960 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:26 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 961 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:39 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 962 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:40 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 963 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:50 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 964 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:04:51 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 965 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:00 ID:MQ0VQ0joO
-
('A`)「……トソン」
(゚、゚;トソン「あっ、はい」
そして、もう一人。
ギコと共にジンオウガと戦う事になるであろう男。
陰鬱そうな瞳に、狩人にしては細すぎる身体。
初見の者には、その男が彼のドンドルマが誇るG級であると分からないだろう。
だからこそ、彼がユクモに来てからの実績を見れば誰もが目を疑う。
何の防具も着けず、遭遇した上位のアオアシラを討伐する事なく撃退し、初めて相対したはずのギギネブラを、寄せ付ける事無く討伐。
また【空の王】リオレウスに対し、非戦闘員を二人抱えながらも、大した傷を負うことなく討伐。しかも単独で囮をこなすという離れ業をもって。
しかし、やはり一番大きいのは凍土の洞窟の中でトソン自身の目で彼の動きを見た事だろう。
【毒怪竜】ギギネブラを翻弄したスピード、随所に見せた狩人としての創意工夫。
無謀に見えた単独での突出も、全ては仲間を護るため。
- 966 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:01 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 967 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:02 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 968 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:12 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 969 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:13 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 970 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:22 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 971 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:23 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 972 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:34 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 973 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:35 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 974 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:45 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 975 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:46 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 976 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:05:59 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 977 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:00 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 978 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:11 ID:MQ0VQ0joO
- 凄腕、それも今まで自分が見た事ない程の。そう認めざるをえない。
そんなドクオが、トソンに向かって言い切った。
('A`)「トソン。きっとお前は勘違いしている。俺達は死にに行く訳じゃない」
(゚、゚トソン「……でも、死にに行くような物です。四人でも勝てない相手に、二人でなんて」
それきりトソンは、顔を伏せてしまった。
('A`)「………」
その様子に、ドクオとて何も感じない訳ではない。
今トソンが感じている不安は“あの時”ドクオが抱いていた物と同じだ。
しかし、だからこそ。それ故にドクオは、背の剣を抜き放ち、俯くトソンを真っ直ぐ見つめて言った。
――――覚えておけ――――
('A`)「Gの狩場に敗北はない」
ハッ、とトソンは反射的に顔を上げた。
太陽は雲の向こうに隠れているはずなのに、ドクオが掲げた剣からは何処からか光が映り込んでいた。
- 979 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:11 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 980 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:12 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 981 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:24 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 982 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:25 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 983 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:35 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 984 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:36 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 985 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:46 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 986 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:47 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 987 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:59 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 988 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:06:59 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 989 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:07:10 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 990 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:07:11 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 991 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:07:25 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 992 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:07:27 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 993 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:07:39 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 994 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:07:42 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
- 995 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:07:49 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 996 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:08:03 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 997 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:08:25 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 998 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:08:38 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 999 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:08:50 ID:jKuGR1SUO
- 「嵐」
- 1000 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/12/18(日) 00:08:51 ID:s9sI9DNc0
- 「嵐」
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