川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです

49川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:36:51 ID:.5AlPMVI0

私には十も年の離れた妹がいる。

彼女は何をやらせても要領が悪いが、その代わりとても人当たりがいい。
おまけに、無愛想な私にも、非常によく懐いてくれている。
私は彼女のことを目に入れても痛くないほどに可愛く思っていた。

o川*゚ー゚)o「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」

さて、件の妹が慌ただしく私に駆け寄ってきた。
こういう時の彼女は大抵、何か困りごとを抱えている。

川 ゚ -゚)「どうした、キュート?」

今度はどんな相談をされるのだろうか。
宿題にどうしても解けない問題が混ざっていたのか、はたまた体育で上手く動けなかったか。

o川*゚ー゚)o「好きな人にあげるプレゼントってどんなものがいいかな?」

彼女の発した質問は、いつもとは少々ベクトルが異なっていた。

川 ゚ -゚)「……」

世の父親方が娘を嫁に出す時の気持ちが、ほんの少し理解できたような気がした。

50川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:37:38 ID:.5AlPMVI0

いやいや、早とちりは良くない。
キュートに男ができたと断じるには、まだ早い。

川 ゚ -゚)「好きな人って、あれか? 父さんや母さんにプレゼントでもやるのか?」

o川*゚ー゚)o「ううん! 違うよ!」

川 ゚ -゚)「となると……、ヒートかシュールか?」

多少悔しくはあるが、次女や三女に負けるのであれば、
よその男にキュートをとられるよりはまだ納得がいく。
しかし、藁をもすがる気持ちで発した私の問いかけに対し、妹は首を横に振った。

o川*゚ー゚)o「ううん、違うよ」

川 ゚ -゚)「……ああ、あれだ」

川 ゚ -゚)「好きな人にはな―――」

52川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:38:48 ID:.5AlPMVI0

――――

それから数日後。12月24日の昼。
私はしんと静まり返ったリビングで、だらしなく机に突っ伏しながら、一人ため息をついていた。

川 ゚ -゚)「今頃キュートは、どこぞの男と……」

愛しい四女のキュートは朝から外出してしまっている。
生意気な次女三女も、友人と遊びに出ており、
両親までもが年甲斐もなく、どこへやらへと夫婦二人で出かけていった。

川 ゚ -゚)「……」

窓の外では、さっきから雪が舞っていた。
外とは隔絶された空間から、一人外を見ていると、いっそう孤独な気持ちが高まってくる。

と、その時。
玄関の方から、鍵穴を回す音がした。

53川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:40:03 ID:.5AlPMVI0

誰が帰ってきたのだろうか。
様子を見に行くとそこには、ふわふわのコートを雪まみれにしたキュートが、不器用な手つきで靴を脱いでいた。
靴を脱ぐのに当てられていない方の手には、近所のスーパーの袋がぶら下がっている。

o川*゚ー゚)o「寒かったぁー……」

川 ゚ -゚)「おかえり、キュート」

私がそう声をかけたところで、彼女は初めてこちらの存在に気がついたようだった。
急いだ様子で靴を脱ぎ捨てると、ただいまも言わず、スーパーの袋を私の方へと差し出してくる。

o川*^ー^)o「じゃーん! クーお姉ちゃんにプレゼント!!」

川 ゚ -゚)「私にプレゼント?」

o川*゚ー゚)o「うん!」

そこで、はたと気付く。
そういえば、幼少時から別イベントの影響で忘れられがちであり、
いつしか私自身も、あまり意識しなくなってはいたけれど。

o川*゚ー゚)o「大好きなクーお姉ちゃんにあげる!」

今日はクリスマスイブであると同時に、私の誕生日でもあった。

54川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:41:12 ID:.5AlPMVI0

ああ、ああ。
つまりはキュートに男ができたというのは、全て私の勘違いだったのだ。

川 ゚ -゚)「キュート。お前ってやつは……」

私は彼女の華奢な身体を力いっぱい抱きしめた。
外を歩いてきたからだろう、彼女の身体は、平時よりずっと冷たかった。

o川*^ー^)o「クーお姉ちゃんあったかい」

川 ゚ -゚)「今から暖かいココアを淹れてやるからな」

o川*゚ー゚)o「うん!」

こうして私の勘違いは、一つの美談として幕を閉じた……、かに思われたのだが。

川 ゚ -゚)「……」

そういえば数日前、私はキュートの相談に何と答えたのだったか。
何かとんでもないことを言ってしまったような気がする。
確かそう、プレゼントを受ける男が、
あわよくばキュートのことを嫌ってはくれないものかと、そう考えて。

56川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:42:12 ID:.5AlPMVI0

『……ああ、あれだ』

『好きな人にはな―――』

『青汁をプレゼントするといい』

『あおじる?』

『そうだ。健康に良い青汁をプレゼントされれば、どんな奴だって大喜びなんだぞ』

『そうなんだー!』

57川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:43:04 ID:.5AlPMVI0

果たして悪い予感は的中し。

o川*゚ー゚)o「たくさん召し上がれ!」

スーパーの袋の中身は、大量の青汁のパックだった。
お小遣いだってそう多くないだろうに、私のためにこんなことを……。
などと万感の思いに浸りつつも、どこか憂鬱な気持ちになる私がいる。

o川*゚ー゚)o「今、お水に溶かしてあげるね!」

o川*゚ー゚)o「あっ、それともお湯の方がいいかな?」

ホットの青汁など、味を想像したくもない。

川 ゚ -゚)「いや、水でいいよ」

o川*゚ー゚)o「はーい!」

58川 ゚ -゚)12/24の贈り物のようです:2011/12/22(木) 00:45:20 ID:.5AlPMVI0

キュートが水で青汁の粉を溶かしたコップを、口に当てる。

o川*^ー^)o「お味はどうですか?」

ココアの湯気の立ちのぼるマグカップ片手に、キュートが首を傾げた。

川 ゚ -゚)「……」

口内に広がる青臭さに辟易しながらも。
冷蔵庫に貼り付けられたカレンダーの12/24の欄に、
下手くそな字で記された、“大切な日”という書き込みを見てしまうと。

川 ゚ -゚)「とっても幸せな気持ちだよ」

o川*^ー^)o「よかったぁ!」

やはり私の心は、どうしようもなく幸せに満たされてしまうのだった。

おわり


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Filed under: -2011年避難所短編 — 青空ヒート 20:53  Comments (0)
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