('A`)「ここは・・・この構文だから、こうなる・・・」

ブブブブ・・・

携帯が振動し、机を叩く。

('A`)「誰だよ・・・」

俺は集中力を切らされ苛立ちながら携帯を手に取る。


送信者:クー
件名:塾は終わったか?
本文:ショッピングモールでたくさん買い物をしてしまった。
   ドクオと一緒に行けなかったのは残念だ。
   今度、塾が無い時に一緒に行かないか?


クーからのメールは、少しイラッときた。

今の自分にとってこの楽しそうな文面は自慢、いや俺を煽っているように見えた。



  

('A`)「ッ!」

自分の部屋のゴミ箱を蹴っ飛ばす。

そして本棚の参考書を取り、思い切り壁に投げつけた。

('A`)「っおらぁ!!!!」

苛立ちが収まるまで物に当たる。

ぜぇぜぇと息を切らし、再び机に戻りメールを返信する。

('A`)「・・・」

送信が完了したのを確認すると、俺は電源ボタンを押し、携帯の電源を切った。

これで、誰にも邪魔されずに勉強できる。



  



送信者:ドクオ
件名:Re:塾は終わったか?
本文:今、勉強中だから。

川 ゚ -゚)「・・・」

急に興奮が収まっていく。

さっきまでメールが来るのを楽しみに待っていた。

だが、ドクオからのメールを見てやがて冷静になり、後悔の念が押し寄せてくる。

川 ゚ -゚)「なんで私はあんな浮かれたメールを送ってしまったんだ・・・」

冷静に考えればわかることだった。

ドクオだって本当は来たかったに違いない。

だが、私はつい自分のことばかり考えてメールを送ってしまった。



  

川 ゚ -゚)「早く返信しなければ・・・」

返信画面を選び、メールを作成する。


送信者:クー
件名:すまない
本文:勉強中とは知らずにメールを送ってしまった。
   あまり遅くまで起きてると体を壊すぞ?
   それじゃ、また明日!


川 ゚ -゚)「送信・・・ふっ!」

掛け声と共に送信する。

体の緊張がほぐれ、急に疲れを感じた。

川 ゚ -゚)「・・・今日はもう寝よう」

私は部屋の明かりを消すと、ベットに横たわり目を閉じた・・・



  



「・・・お君!」

「ドクオ君!!」

名前を呼ばれている。

誰かが俺の肩を揺らし、俺の名前を呼んでいる。

( ><)「ドクオ君!!起きてください!!」

('A`)「・・・あ」

目を擦りながら、次第に意識が戻ってくる。

ここは、教室・・・。そして今は授業中か。

( ><)「もうちょっとだから頑張って起きててほしいんです!!」

('A`)「あ、すいません・・・」

俺は体を起こし、うつろな目のまま前を向く。

( ><)「それじゃ、授業を続けます!!」



  



(  ^ω^)「ドクオwww今日は居眠りするなんて珍しいおww」

('A`)「ああ・・・昨日夜遅くまで勉強やっててさ・・・ほとんど寝てないんだ」

(*゚ー゚)「大丈夫? なんだかすごい顔色悪いよ?」

しぃは心配そうな顔で俺の顔を見る。

朝、鏡も見ずに来たので自分の顔がどうなっているのかよくわからない。

('A`)「んー、たぶん平気・・・。ちょっと頭痛がするけど」

俺は答えると机に突っ伏して眠る。

なんだか喋る余裕すら無い。

川 ゚ -゚)「・・・」

(  ^ω^)「ん?どうしたおクー、なんか今日は元気無いお?」

川 ゚ -゚)「え、いや・・・そんなことはないぞ」

(*゚ー゚)(・・・? なんかあったのかな?)

(  ^ω^)(もしかして僕に気があるのかお・・・!ああ、三角関係!!)



  



6時間目が終わり、帰る仕度を始める

帰り道でブーン達と話しながら帰ったが、話す気力もなく

感情の無い相槌くらいしかうてなかった。


家に帰ると、すぐに宿題に取り掛かる。

('A`)「ここはこう・・・これ、は違う」

カリカリとペンを進める。

時計を見ると、5時。

このペースでいけば余裕で間に合う。

('A`)「よし、終わり!!」

宿題を鞄に入れ、は瀬川塾に向かう。

頭がぼーっとしているが、自分に甘えは許さない。

少しでも気を抜くと、台無しになりそうな気がした。



  



( ^^ω)「ここはこう解くホマ、それからこっちはぁ」

は瀬川塾長の授業はわかりやすい。

だが説明や問題を解くペースが速いので少しでも遅れると

置いてきぼりをくらってしまう。

俺は必死に前の黒板を追いかけ、すごい速さでペンを進める。

('A`)「やべ、間違えた」

消しゴムで間違った部分を消す。

この短い時間すら惜しい、俺は焦って消しゴムを強く引く。



  

('A`)「あっ!」

強く引いたあまり、プリントが破れてしまう。

( ^^ω)「ここは〜ホマ、そしてこっちは〜」

その間には瀬川塾長の授業がさらに進む。

( ^^ω)「だからこれはこうなるホマ、そして〜」

急に耳鳴りがした。


俺の耳に入ってくるのは他の奴らのペンの音


追いかける、進む。追いかける、進む。


追いつかない、進む。追いつけない、進む・・・





    俺のペンは、静かに止まった。



  



('A`)「ただいま・・・」

(`・ω・´)「おお、おかえりドクオ」

また、トーチャンは上機嫌に俺を出迎える。

やめてくれ、そんなことしないでくれ。

(`・ω・´)「今日も疲れただろう。今日の料理はトーチャンが作ったんだ、ほら」

不細工な形のコロッケが食卓にならんでいる。

(`・ω・´)「まぁ、見てくれは悪いが味はうまいぞ! さあ食べよう」

('A`)「うん、ありがとう・・・」

コロッケを食べる。

たしかに味は意外とおいしい。

('A`)「うまい・・・」

(`・ω・´)「だろう? お前も頑張ってるようだし、俺も頑張ってみたんだ」



  

頑張ってなんかないよ。

今日も自分に、また失望したんだ。

その言葉を必死に抑え、コロッケを口に運ぶ。

味が、わからなくなっていく。

('A`)「ごちそうさま」

(`・ω・´)「おう、それじゃ頑張れよ!!」

最後のトーチャンが突き刺さる。

俺は振り向かないようにして部屋に戻り、ベットに倒れこむ。



  

('A`)(また、自分を甘やかしてしまった・・・)

授業に追いつけなかったんじゃない。

必死でやれば追いつけたんじゃないか?

お前は妥協したんだ。逃げたんだ。臆病者

――臆病者!!

('A`)「ぐっ!!」

気分が悪くなり、トイレに駆け込むと食べたものを戻した。

息が荒くなり、恐ろしく頭が痛くなる。

('A`)「はは・・・」

何故か笑みがこぼれた。

そして、声を殺して泣いた。

なんで泣いているのか、考える余裕すら俺にはもう残っていなかった。



  



(  ^ω^)「ど、ドクオ・・・ほんとに大丈夫かお?」

ブーンが俺の顔を心配そうに見つめる。

('A`)「大丈夫だって・・・」

(*゚ー゚)「ドクオ君、顔色すごく悪いよ? 昨日何時に寝たの?」

('A`)「えっと、5時・・・かな。2時間は寝たよ」

( ;^ω^)「ちょwww昨日は4時就寝だったお? 体壊れるちゃうお!」

('A`)「もう壊れきってるから大丈夫だよ・・・へへ」

(*;゚ー゚)( ;^ω^)「・・・」



  

俺はそう答えると再びペンを握る。

最近は学校の休み時間も惜しい。

これを放課後までに終わらせて、次は・・・

川 ゚ -゚)「ドクオ! もうやめろ!」

突然、クーが俺のペンを取り上げる。

俺はゆっくりとクーの顔を見る。

クーの目は俺をまっすぐ見ている。

('A`)「俺のペン返せよ、これやっとかないと塾の授業が・・・」

川 ゚ -゚)「お前は最近おかしい!」

クーは強い口調で言う。

その声に憎しみを抱いてしまう。

・・・これ以上面倒なことをしないでくれ。



  

川 ゚ -゚)「お前は自分の体より勉強が大切なのか!? 体が壊れたら元も子もないだろう!?」

('A`)「わかったふうな口聞くんじゃねえよ!」

俺は立ち上がり、クーを睨み付ける。

だが、クーも引かない。その目は俺をしっかりと捉えて離さない。

( ;^ω^)「ちょwww二人とも落ち着くお・・・」

ブーンのなだめる声が聞こえるが、俺の苛立ちはもう納まらない。

ただよらぬ空気にクラスが静かになり、全員の視線が俺とクーに向かう。

川 ゚ -゚)「ああ、お前のことなんてわからないさ! メールは返ってこない! 学校でも上の空! 何もわかりはしない!」

クーはより大きな声で言った。

思考より感情が先走る。



  

('A`)「うるさい! 俺はお前らと・・・お前らと・・・!!」

言葉が・・・詰まる。

気づいたら、俺は目に涙を浮かべている。

視界がぼやけて前がよく見えない。

(  ^ω^)「ドクオ・・・」

(*゚ー゚)「ドクオ・・・君」

クラスを静粛が包む。

俺の嗚咽がクラスに鳴り響く。

川 ゚ -゚)「ドクオ・・・お前が背負ってるものは何かわからない」

川 ゚ -゚)「だけど、一人で抱え込まないで私たちにも背負わせてくれ」

川 ゚ -゚)「私たちは・・・友達だろう?」

('A`)「!!」



  

その瞬間、俺が背負っていた色んな思いが頭に浮かんでくる。

――トーチャンの期待、自分の甘さ、誰のため? 誰のせい?

俺は、何でこんなに苦しいのだろう?

さっきまで存在していた憎しみが消え、何故か心が温かくなる。

縛られた鎖が外れる。



('A`)「く、クー・・・」

川 ゚ -゚)「私はっ・・・お前が辛い顔をしてるのを見たくないっ・・・!」

クーは俺を静かに抱きしめる。

俺の頭を撫で、しっかりと両手で俺を包み込む。

また、涙があふれる。



  

(  ^ω^)「そうだお! 苦しいことは僕達にも背負わせてお!!」

(*゚ー゚)「ドクオ君・・・私たちに出来ることならなんでもするよ?」

ブーンとしぃも・・・どうしてこんなに

('A`)「おまえら・・・うっ・・・ひぐ・・・」

俺の顔はもう涙でぐしゃぐしゃだった。

どうしてこいつらは、こんなにお人よしなんだ。

俺なんかのために・・・

('A`)「ありが、と・・・」

川 ゚ -゚)「ドクオ!?」

俺の体から力が抜ける。

・・・なんだかすごく眠い。

俺は静かに目を閉じる。



  

(  ^ω^)「ドクオ!!ちょ、しっかりするお!!!」

(*゚ー゚)「ドクオ君!!誰か、先生よんできて!!」

川 ゚ -゚)「ドクオ、ドクオ!!」

みんなの、俺のことを呼ぶ声が聞こえる。

もう、体が動くことを拒否している。

クラスが大騒ぎになり、騒ぎを聞きつけたわかんないです先生とミルナ先生が

教室に入ってきたところで俺の意識は途絶えた・・・



  



眩しい光が差し込んでくる。

目を開けると白い天井が見えた。

・・・ここは、どこだろう。

俺は上半身を起こすと、同時に頭に鋭い痛みが走る。

('A`)「痛っ!!」

今の痛さで、記憶が戻ってくる。

そうだ、俺はクラスで倒れて・・・。

(`・ω・´)「ドクオ!!」

J( 'ー`)し「ドクチャン!!」

('A`)「トーチャン・・・カーチャン・・・」

トーチャンとカーチャンが泣きはらした顔で俺の名をよんだ。



  

('A`)「俺・・・なんでこんなところに・・・」

J( 'ー`)し「あなた、教室で倒れて病院に担ぎ込まれたのよ!」

('A`)「そっか・・・俺、気を失ってたんだ・・・」

病院の壁にかかった時計を見ると、俺はあれから4時間ほど眠っていたらしい。

まだ体はだるく、思うように動かない。

(`・ω・´)「ドクオ・・・すまない・・・!!」

トーチャンは涙を流しながら俺に頭を下げる。



  

('A`)「と、トーチャン・・・?」

(`・ω・´)「私が、お前に負担をかけてしまった・・・! 父親失格だ・・・」

('A`)「トーチャン・・・」

(`・ω・´)「本当にすまないっ・・・!!」

トーチャンは俺に頭を下げて謝る。

なんだか、俺の方まで申し訳なくなってきてしまう。

('A`)「ごめん、俺トーチャンの期待に答えられなかった・・・俺のほうこそゴメン」

(`・ω・´)「いいんだ・・・俺の為にする勉強などしなくていいっ・・・!!」

('A`)「トーチャン・・・ごめん、ごめんよ・・・」

俺は泣きながら、トーチャンとお互いに謝り続けた。

気づいたらカーチャンもまた泣いてた。

3人でたくさん泣いた後、トーチャンがりんごを剥いてくれた。

この時のリンゴの味を、俺は一生忘れない。

俺の人生で、一番おいしいリンゴだった。



  




('A`) 「あー暇杉・・・」

俺は買ってきた本を読み終え、ベットの上に寝転ぶ。

見飽きた天井、他に見えるところといえば窓から見えるこの町の風景くらいか。

・・・一日だけとはいえ、入院というものはここまで退屈なものとは想像できかった。

「早くしなさいよこのピザ!!」

「ちょwwwまだスリッパ履けてないおwww」

「うっさい!」

廊下が妙に騒がしい。

聞き覚えのある声が近づいてくる。



  

('A`) 「なんだぁ・・・?」

すごい勢いでカーテンが開けられ、お馴染みの顔がひょっこりと現れた。

(  ^ω^)「ふふふん、元気かおードクオwwww」

(*゚ー゚)「ちょっと、病院なんだから静かに!!」

(  ^ω^)「痛ぁー!!ちょwwしぃちゃんのが騒いでるおww」

('A`) 「お前ら迷惑杉」

本当にこの二人は相変わらずの調子だ。

そして、二人が騒いでいると、後ろから静かな声が放たれる。

「二人とも、ドクオは病人だと言う事を忘れるなよ」



  

('A`) 「あ・・・」

静かに、その声の主が病室に入ってくる。

そして、いつもと変わらぬ調子で俺の顔を見る。

川 ゚ -゚)「元気そうだな、ドクオ」

('A`) 「クー・・・」

俺は何か言おうと言葉を探す。

だが、何も思い浮かばずクーの瞳を見つめ続ける。

クーもまた、何も言わずに俺の目を見つめ、微笑んだ。



  

(*゚ー゚)「ちょっと、ジュース買ってくるね。ブーン、いこ?」

(  ^ω^)「え、僕は別にあべしっ!!」

(*゚ー゚)「はいはい、じゃあ行こうね」

(  ^ω^)「は、はい・・・」

ブーンはしぃと一緒に病室を出ていき、

二人残された病室で、俺とクーの目線が交差した。



  

「クー・・・」

                 「ドクオ・・・」

「・・・俺、お前に言い忘れてたことがあったんだ」

                 「・・・なんだ?」


「俺は、お前のことが好きだ」
 
               「・・・そうか、奇遇だな」


             「私も、お前のことが好きだ」


俺のペンは動き始める。

誰の為でもない、自分の為に。

色々遠回りをしたけれど、俺のペンはようやく指すべき方向決まったようだ。



  

('A`)ドクオのペンは進まないようですは、


これで、終わりです。
よんでくれてありがとうございました




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