とんでもメアド交換を終えて教室に帰ると、何故かブーンがボロボロになっていた。

どうやら授業をさぼったのは俺だけでなく、なんとクラス全員がサボったというのだから大事件。

わかんないです先生の100年に1度の大噴火といわれる逆鱗に触れ、

その後の授業は急遽お説教のためのロングホームルームに変更された。

( ><)「以後、こんなことが起こらないようにしてください!!」

6時間目のチャイムが鳴り、やっと正座から開放された生徒達は

次々に足の痺れを訴えながら教室から出て行った。



  

(;^ω^)「や、やっと終わったお・・・」

(;*゚ー゚)「さすが元軍人のわかんないです先生・・・ギリギリの精神攻撃を仕掛けられたわ」

('A`)「あぁ・・・特にゲシュタルト崩壊の罰はやばかった・・・途中で目玉焼きが何かわからなくなったぜ」

( ^ω^)「ま、とりあえずドクオ、メアド交換おめでとーだおw」

(*゚ー゚)「お馬鹿!」

しぃの下突きがブーンのわき腹に突き刺さる。

( ^ω^)「ひでぶぅ!!」

('A`)「はいはい、どうせお前ら覗きに来てたんだろ。てか普通クラス全員でくるかね?」

(*゚ー゚)「ま、首謀者がいたね・・・反乱で滅んだけど」

(;^ω^)「さーて、靴をはいて帰りましょう♪」



  

下駄箱で上履きを靴に履き替えていると

川 ゚ -゚)「ドクオ」

('A`)「おぉ、クー」

川 ゚ -゚)「いや、お前を待っていたんだ。一緒に帰らないか?」

('A`)「ぶふぅ!!」

突然の奇襲。

この前のメアドの件といい、クーは奇襲が得意なのか。

だが、これはこれで嬉しい奇襲だ。



  

('A`)「あ、ああ。いいよ」

川 ゚ -゚)「そうか。よかった。・・・迷惑じゃないか?」

('A`)「ん、とんでもね。むしろクーと一緒に帰れて嬉しい」

川///)「なっ・・・」

クーの頬が赤くなる。

なんだ、待ち伏せなんて積極的な事してこんな一言で赤くなっちゃうのか・・・

なんか、愛おしいな。

( ;^ω^)「あの、僕たち・・・」
(*;゚ー゚)「ちょっと用事を思い出したので先に帰るね・・・」

('A`)「ん、そっか。じゃなー! また明日!」



  

( ;^ω^)「しぃちゃん・・・あの二人完全に世界が違ったお・・・」

(*;゚ー゚)「これはもう駄目かもしれないね・・・」

(  ^ω^)「でもま、クーとドクオは案外お似合いだし、これでよかったおw」

(*゚ー゚)「だねwなんか羨ましいなぁ。私も早く恋人欲しいな」

(  ^ω^)「・・・」

(  ^ω^)「ねぇしいちゃ(ry」

(*゚ー゚)「黙れピザ」

( ;^ω^)(あれ? 今のフラグじゃなかったお?)

(*゚ー゚)「あ〜誰かいい人いないかな〜」


(理科準備室)

( ゚д゚ ) 「しぃちゃん・・・ハァハァ・・・萌えす・・・!」


(*;゚ー゚)「なんか今、すっごい寒気した」



  



桜の咲く帰路をクーと二人で歩く

川 ゚ -゚)「それでな、店員のプギャーって人が結構仕事のコツとか教えてくれるんだ」

('A`)「・・・そのプギャーって人は男?」

川 ゚ -゚)「ああ、年上で頼りがいのある人だ」

('A`)「ふぅーーーーーん」

俺の歩くペースが速くなる。

スタスタと足に力を入れながら早歩き。

川 ゚ -゚)「ちょっとドクオ、なんだ嫉妬でもしてるのか?」

('A`)「別に〜」

クーは俺の前に回りこみ、俺の目を見つめる。

川 ゚ -゚)「でも、私にとってドクオのほうがずっと頼りがいがあるぞ!」

クーはいたずらっ子のように微笑み、そう言った。

・・・こいつ、図ったな。



  

('A`)「うりゃっ!」

川 ゚ -゚)「うわっ! よせドク…ぷぷ・・・あはははっ!!く、くすぐったい!」

('A`)「うるさいっ! この前のお返しだ!」

川 ゚ -゚)「こらっ! ちょ、やめ・・・ドクオー!!!」

クーが手を振り上げ俺の頭を叩いてくる。

('A`)「痛ぇ痛ぇ!! 反撃とは卑怯だぞ!!」

川 ゚ -゚)「問答無用っ!!」


風が吹く道をクーとはしゃぎながら帰る。

なんだか小学生に戻った気分だ。

だけど、悪くない。俺の今の状態を幸せっていうのだろうか?



  

やがて分かれ道にさしかかる。

('A`)「じゃあ、クー。俺はこっちだから」

川 ゚ -゚)「あ…ドクオ!」

('A`)「ん?」

クーはまた頬を赤らめている。

・・・つられて俺もドキドキしてしまう。

川 ゚ -゚)「きょ、今日おいしいパン屋を見つけたんだ。これから一緒に行かないか?」

('A`)「えっと・・・あ」

不意に思い出した。

今日、いやこれからずっと放課後は塾なのだ。

('A`)「ごめん、今日は塾があるんだ・・・」

川 ゚ -゚)「・・・そ、そうか」

申し訳なさでいっぱいになった。

せっかくクーのほうから、誘ってくれているのに

俺だってもっと一緒にいたいのに、それは叶わない夢だった。



  

川 ゚ -゚)「塾じゃしょうがないよなっ! うん、ドクオは頭がいいから・・・」

('A`)「・・・ごめん」

川 ゚ -゚)「私の方こそ・・・すまない。浮かれすぎた」

違う、と言いたかった。

けど何が違うのか言葉にできず、喉まで出かかって言葉を飲み込む。


川 ゚ -゚)「・・・それじゃ、また明日!」

クーは空元気を出して、大きな声で言った。

俺に背中を見せ、歩いていく。

('A`)「く、クー!!」

考える前に言葉が先に出た。



  

('A`)「今日、メールするから! 絶対するから!」

そう、叫ぶとクーの足が止まり、俺の方を向いてその顔に笑みが戻る。

川 ゚ -゚)「・・・ああ! 楽しみに待ってるぞ!」

こうして、俺達は互いの帰路分かれ

名残惜しい気持ちを残しながら家に帰った。



  



( ^^ω)「はい!ここの単語全部暗記してくださいねー! 10分とりまーす!」

は瀬川塾長がそう言った途端に、教室にペンを走らせる音が鳴り響く。

その少人数制の教室で俺は必死にペンを進めていた。

('A`)(10分であの量暗記とは半端じゃないな・・・)

少人数制ながら何人もの東欧生を輩出するエリート塾「は瀬川塾」

四月の始めに入塾テストがあり、塾としては異例の体制をとっている。

本当は入塾テストはもう締め切っているのだが、塾長とト−チャンが高校時代の友人だったこともあり

特例で入塾することができたのだ。



  

( ^^ω)「はいホマホマ。終わりだホマ。次は長文ホマ」

('A`)(む、難しい・・・!)

夕方6時から3時間の授業を終えると、今度は正気とはおもえないほど大量の宿題が出る。

これが「スパルタのは瀬川塾」と言われる由縁である。

俺はクタクタに疲れながら家へと自転車をこいで帰った。



  



('A`)「ただいまー」

(`・ω・´) 「おう、ドクオ」

家に帰ると珍しくトーチャンは上機嫌でご飯を食べていた。

(`・ω・´) 「どうだ、は瀬川の塾は疲れただろう。お前もご飯を食べなさい」

('A`)「う、うん」

俺はトーチャンに言われるがままリビングに入り、夕飯を食べ始める。

(`・ω・´) 「ドクオの入塾テストの結果見ては瀬川が言ってたぞ。期待できるってな」

トーチャンはコップにビールを注ぎ、喉を鳴らして飲む。

(`・ω・´) 「っぷは! ドクオはやれば出来る男だ。なんせ俺の息子だからな!!」

(`・ω・´) 「期待を裏切らないようもっと勉強頑張るんだぞ!」

('A`)「・・・うん!」

嬉しかった。

トーチャンに褒められたこと

信用を取り戻せたことがなにより嬉しかった。



  



俺は部屋に戻り、電気を付ける。

('A`)「そうだ、クーにメールする約束してたんだ」

俺は携帯を取り出し、クーのメールアドレスを選ぶ。


送信者:ドクオ
件名:おっす!

本文:初メール送ってみた。
   クー、届いてるか〜

('A`)「送信っと」

俺は携帯を閉じ、宿題の分量を減らすべく机に向かう・・・。



  



川 ゚ -゚)「まだ塾は終わらないのかな・・・いや、それとも先に風呂に入ってるのか?」

クーは、かれこれ2時間ほど携帯の前でそわそわしていた。

川 ゚ -゚)「どんな内容がくるんだろう・・・く、気になって本も読めん」

その時、効果音と共に携帯が点滅する

川 ゚ -゚)「はっ!」

物凄い勢いで携帯を開き、メールをチェックする。

川 ゚ -゚)「ど、どどドクオからだ。えっと、届いてる・・・よっと」

音読しながらメールを打ち、すぐに返信ボタンを押す。

川 ゚ -゚)「それ!」



  



ブブブブ・・・

('A`)「早っ!」

宿題を開き、問題文を3文字まで読んだ瞬間にメールが返ってきた。

携帯を開き、メールを確認する。

送信者:クー
件名:届いてるぞ
本文:


('A`)「その発想はなかったわ」



  

川 ゚ -゚)「しまった・・・件名なんてものがあったなんて・・・」

クーは送ったメールをやり直せないかと色々いじっていると、再びメールが届いた。

川 ゚ -゚)「む、か、返ってきてしまった」


送信者:ドクオ
件名:ワロタ

本文:斬新なメールだな(笑)
   クーって意外と面白い発想の持ち主なんだな
   また新しい一面を発見したぜ

川 ゚ -゚)「よ、よかった! 結果オーライ、というやつだな!」

クーはふぅ、と手で額をぬぐいメールを続けた。

川 ゚ -゚)「よし、これからは私らしく件名に本文を入れるやり方を主としよう!」

(ドクオ宅)

('A`)「ま、また件名だけ・・・。これは何かのメッセージなのか?」

そんな夜のメールのやり取りは夜の12時まで続き

結局その日は俺のペンが進むことは無かった


  



( ^ω^)「弁当、弁当、うっれしいなー」

('A`)「高校生にもなってその歌はねーよww」

昼飯の時間、俺とブーンは机を合わせ弁当を広げる。

(*゚ー゚)「おぉ、ブーンのお弁当おいしそうだね!」

( ^ω^)「だお? カーチャン手作りの弁当だお!」

川 ゚ -゚)「ふむ、母親は偉大だな」

俺達は4人で飯を食うようになっていた。

まぁこの時期になれば大体クラスもそれぞれのグループに分かれる訳で

うちのクラスは誰一人余ることなく、それぞれの居場所を見つけていた。



  

('A`)「ん、しぃのりんごうまそうだな」

(*゚ー゚)「あ、これ? おじいちゃん家から送られてきたんだ。ドクオ君も食べる?」

('A`)「おお、いいのか? サンキュー」

その時、何か思いついたのかしぃはニヤリと笑い

自分のフォークでりんごをとり、俺の口の方へ持ってくる。

('A`)「ちょwwwな、何?」

(*゚ー゚)「はい、あーんして〜」

川 ゚ -゚)「・・・!?」

( ;^ω^)「!?」

色々と嫌な視線が突き刺さる。

だが、しぃは微笑みながらその行為を続ける。



  

(*゚ー゚)「ほら、早く口開けて。あーんって」

('A`)「あ、あーん」

つい魅力的な提案にのってしまう。男とは愚かな生物だ。

川 ゚ -゚)「ふんっ!」

('A`)「ぶふぅ!?」

俺の口におにぎりが丸々一個突っ込まれる。

口の中が米で一杯になり、とてもあごが痛い。

川 ゚ -゚)「どうだ、嬉しいだろ? ドクオ、ん?」

目が笑ってない。

明らかにその目は怒りに満ち溢れている。

('A`)「い、いふぁふー、ふぉはいはっへ・・・(い、いやクー、誤解だって)」

川 ゚ -゚)「何が誤解だ? 私はただドクオに食料を恵んでやっただけだ」

(*゚ー゚)「く、くくく・・・」

( ;^ω^)(しぃちゃん確信犯かお・・・テラコワスww)



  



( ゚д゚ )「それじゃあ今日の授業はここまで」

チャイムが鳴り、6時間目を終えた教室はざわざわと騒がしくなる。

( ゚д゚ )「何度も言うが、先生は独身だからな?困ったことがあればいつでもきなさい女子生徒諸君」

ミルナ先生のお馴染みの台詞を、いつものようにスルーし帰る仕度をする。

(  ^ω^)「今日みんなでショッピングモールでもいかないかお?」

(*゚ー゚)「うん、いいね。そろそろ服とか買いたいし」

川 ゚ -゚)「そうだな。私に異論はない」

(  ^ω^)「おkwwドクオも大丈夫かお?」

('A`)「おお、俺は構わな・・・って、思い出した!」

俺はバックから急いで塾の教材を取り出す。

当然のように、真っ白。



  

('A`)「宿題・・・終わってねぇアヴァー」

( ;^ω^)「ちょwww宿題ってなんかあったかお?ずっと寝てたからわかんねww」

川 ゚ -゚)「いや、学校では宿題は出てないぞ。塾の宿題か?」

(;'A`)「ああ・・・こいつはちとやばい。すまん、今日はパスるわ!!」

俺はこの膨大な宿題を終わらすべく急いで家に向かった。



('A`)「くっそ、わけわかんねー」

つい口に出してしまう。

は瀬川塾のレベルは高く、一問に時間がかかるため

とてもやっつけで出来るレベルではなかった。

('A`)「だめだ、もう時間になっちまう。・・・仕方ないか」

半分ほど終えた所で時間の限界がきてしまった。

俺は自転車に乗り、は瀬川塾へと向かった。



  



( ^^ω)「ホマ?今なんていったホマ?」

('A`)「いや、あの宿題全部やってこれませんでした・・・」

( ^^ω)「ホマホマ、それじゃあ今日は授業受けれないホマ」

は瀬川塾長は残念そうに言う。

('A`)「え、どういうことですか?」

( ^^ω)「ホマホマ、それがこの塾の決まりなんだホマ。今日は帰るホマ」

('A`)「そんな・・・」

俺は塾長から次の分の宿題を貰うと、仕方なく塾から出る。

時間はまだ6時ちょっと過ぎ。

('A`)「今帰ったら宿題やってないのばれちゃうよな・・・」

俺は行くあてもなくブラブラし、近所の公園に入りベンチに座った。



  



('A`)「はぁー・・・」

缶コーヒーを飲みながら大きなため息を吐く。

俺は、甘かった。考えが甘すぎた。

半分もやったからいいだろう、と考えていた。

('A`)「今頃みんなはショッピングモールで買い物してるのかな・・・」

急に寂しさが襲ってくる。

昔は孤独に慣れていた。むしろ一人のが気楽でいいと思っていた。

けれど、今は一人でいる時、はちきれそうなくらい辛い。

・・・みんなに、会いたい。



  



( ^ω^)「いやーwwこの服は似合ってるかお??」

きらきらと不気味に光を反射する服をブーンは試着する。

(*゚ー゚)「うわっ気持ち悪い顔!!」

( ;^ω^)「おまwwwwww」

川 ゚ -゚)「なかなかいいんじゃないか?」

(*゚ー゚)「えー、全然似合わないよー」

( ;^ω^)「賛否両論かおーwww」

三人はショッピングモールで買い物を楽しんでいた。

そして、三人はモール内のミスツァードーナツに入る。

(*゚ー゚)「さて、ドクオ君のいない今のうちに聞きましょうか」

(  ^ω^)「聞きましょうか!」

ブーンとしぃは互いにクーの顔をキラキラとした目で見る。



  

川 ゚ -゚)「な、なんだ二人とも・・・」

(  ^ω^)(*゚ー゚)「ドクオとはぶっちゃけどこまで!?」

二人の声がぴったり合った。

川 ;゚ -゚)「な、何をいきなり言うんだ! 私とドクオはそんな関係じゃ・・・」

(  ^ω^)「ダウトォ!!」

(*゚ー゚)「ばればれだよww」

川///)「な、何を言ってるんだ!! わ、私はそんな・・・」

クーの顔が見る見る赤くなる。

ブーンとしぃはお互いに目を合わせ、ニヤリと笑う。



  

(  ^ω^)「まーほらほら、素直になるおww」

(*゚ー゚)「で、で、どっちから告白したの? やっぱドクオ君から?」

二人がはテーブルから身をのりだし、クーに質問を浴びせる。

川 ゚ -゚)「こ、告白!?」

クーがあからさまに動揺する。

( ;^ω^)「あれ? もしかして・・・」

(*;゚ー゚)「ま、まだなの?」

川///)「・・・」

クーが静かに首を縦に振る


( ;^ω^)(*;゚ー゚)「え、ええええー!!」

ミスツァードーナツ店内に衝撃が走った。



  



('A`)「ただいま・・・」

夜9時半、帰宅。

ちょうど塾が終わって家に到着する時間に合わせた。

(`・ω・´)「おう、ドクオお帰り!」

('A`)「あ、と、トーチャン・・・ただいま」

トーチャンの姿を見て、急にばれているのではないかという考えが過ぎる。

心臓の鼓動が早くなり、体に緊張が走る。

(`・ω・´)「どうだ、は瀬川塾の授業はやり応えがあるだろう」

('A`)「う、うん」

(`・ω・´)「父さんが高校の頃、は瀬川によく勉強を教えてもらってな・・・」

急に、罪悪感が襲ってくる。

トーチャンは、俺が今日塾の授業を受けてないことを知らない。

トーチャンの嬉しそうな声の一言一言が俺の心に突き刺さる。



  

(`・ω・´)「それじゃ、頑張れよドクオ!」

('A`)「・・・うん」

俺はトーチャンの目をみないようにして返事をする。

部屋に入り、急いで塾の教材を取り出す。

('A`)(取り返す・・・絶対この穴は埋める!!)

罪悪感を塗りつぶすように宿題を進める。

何故か、目頭が熱くなり涙が流れてくる。

('A`)(畜生・・・ちくしょー!!!)

俺は自分を責めるように夢中でペンを進めた。




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