むかしむかしのお話です
あるところに野望に満ちた男がいました。
( ^ω^)「どいつもコイツもブーン様の肥やしにしてやるお」
やがて野望は暴走し、
( ^ω^)「とりあえず黒魔術だお!」
( ^ω^)「ククク…世界を僕の物にしてやるお!」
禁忌にまで手は及びました。
壷に幾つかの材料を入れていきます。
ヤモリのしっぽ、
蜘蛛の足、
満月の涙、
夜を溶かしたスープ、
置き去りにした悲しみの香辛料、
最後に男の生き血を少し、たらします
( ^ω^)「さあ!邪悪な魔女さん!僕に力を貸すお!」
もくもく、もくもく
壷から煙が立ち込めます。
そして立つのは一人の女性。
ξつ-)ξ「なによもう……」
男が呼び出した、魔女。
どんな願いも叶え、代償に、
来世を貰う。
そんな伝説の、魔女。
( ^ω^)「へいへい!魔女さん!願いを叶えてくれお!」
ξ゚听)ξ「……いいけど、わかっているの?」
願いを叶えるということ。
それは呪縛、死して逃れられない地獄への道。
( ^ω^)「わかっているお!」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「それでも僕はどんな奴よりも偉くなりたいんだお!」
そうして、
「わかったわ」
願いは始まりました。
( ^ω^)は最低な王様なようです
(*゚ー゚)「……」
人々の足音に掻き消されそうな少女がいた。
純粋そうな瞳、しかしその実、何も見てはいない。
彼女には何も、ない。
(*゚ー゚)「今日はパン屋さんに行こう」
そこならば残飯を貰えるかもしれない。
もしも駄目なら?
その時はその時だ。
( ^ω^)「クックック…」
男は歓喜していた。
手に入れた。力を。
この世で今、なによりも頼りになる力。
財力を。
ξ゚听)ξ「三つまでなら聞くけど?」
( ^ω^)「どうしようも無いときに他はたのむお」
ξ゚听)ξ「ふうん」
( ^ω^)「お金があればなんだってできるお」
( ^ω^)「王様になるには使用人が必要だお」
金があれば、なんでも出来る。
食べ物が買える。
服が買える。
家が買える。
人が買える。
心だって、買える。
てくてくと町を歩いていく。
何を、買おうか。
(*゚ー゚)「どうかパンを頂けないでしょうか?」
(*゚ー゚)「どうにもお腹が空いて仕様が無いのです」
媚びを売るのは慣れている。
始めは四つの時、数では既に数え切れないくらいに売った。
(*゚ー゚)「お願いします」
それでも、
「家無しは店にはいるんじゃない!」
(*゚ー゚)「お願いします」
うまく行かないときは、
(*;ー;)「お願いします」
どうしようもなく惨めになる。
とぼとぼと帰路に立つ。
(*゚ー゚)「……」
ああ、死んでしまおうか。
それとも既に死んでいるような物か。
そんな少女にとって、
( ^ω^)「さあさあ!誰か僕に命を買われたい物はいないかお!」
目の前で人々に叫ぶ男は、
(*゚ー゚)「……」
救いのようにも見えた。
(*゚ー゚)「すみません」
( ^ω^)「なんだお?」
(*゚ー゚)「買われたらどうなってしまうのでしょう」
( ^ω^)「ふふふ…それはとてもひどいことになるんだお!」
(*゚ー゚)「ひどいこと?」
( ^ω^)「そうだおね、まず掃除や洗濯、食事の用意を全てさせるお!」
(*゚ー゚)「それから?」
( ^ω^)「以上!」
(*;ー;)「やります!嗚呼、神様ありがとう!」
(;^ω^)「え!?」
(*゚ー゚)
( ^ω^)
まずは一人目。
使用人の少女を男は買いました。
( ^ω^)「え…ありがとうって…え…」
(*゚ー゚)「さあ!何を致しましょうか!」
( ^ω^)「ええ……」
( ^ω^)(もっと買われるって嫌がることな気が……)
(*゚ー゚)「さあ!」
( ^ω^)「えっとじゃあとりあえず、」
(*゚ー゚)「はい!」
( ^ω^)「僕の住んでる小屋掃除で……」
「小屋…ですか…?」
「お城が建設に時間がかかるなんて知らなかったんだお……」
「小屋ですね!掃除します!」
「君はなんでそんな元気なんだお……」
まずは一人目。
使用人の少女を男は買いました。
その様子を魔女は見ていました。
遠くからじっと見ていました。
ξ゚听)ξ「それであなたの願いは叶うのかしらね」
ξ゚听)ξ「時間は追ってくるわよ」
ξ゚听)ξ「逃げ切れるかしら」
ξ--)ξ「……まぁ、いいか」
「私には関係ないからね」
次の瞬間、彼女はそこには居ませんでした。
その1 使用人の話
おしまい
お城が建った時まで時間は進みます。
( ^ω^)「クックック…ついに僕も一国一城の主だお……」
(*゚ー゚)(掃除が大変そう)
<ヽ`∀´>(お城で迷いそうニダ…)
( ^ω^)(迷ったらどうしよう……)
次は先程まで居なかった<ヽ`∀´>のお話です。
彼は男に雇われたコックでした。
彼の一日は朝食の準備から始まります。
<ヽ`∀´>「朝ごはんはキムチと、」
<ヽ`∀´>「キムチと」
<ヽ`∀´>「キムチニダ!」
(*゚ー゚)「せめて卵ぐらい焼けるようになりましょうね…」
実は彼、全く料理が出来ません。
雇われるまではコソドロでした。
コックなんて縁のない仕事だったのです。
少女を雇って少しした日の事です。
( ^ω^)「やはり王様にはコックが必要だお!」
(*゚ー゚)「包丁も無いのにですか?」
( ^ω^)
( ^ω^)「必要なんだお!」
男が目指すのは誰よりも上に立つ存在。
自分のイメージを崩すわけにはいきません。
男は町にコックを探しにいきました。
<ヽ`∀´>「……たったこれっぽっちニダ」
手の平に硬貨を乗せて数える男がいました。
何日も何ヶ月もその行為を繰り返しました。
何日も何ヶ月も何年も。
数える硬貨はそんな毎日を変えてはくれません。
<ヽ`∀´>「お腹すいたニダ…」
ふらふらといい匂いのする方へ歩きます。
何か買おう。
買って、それを食べて、考えよう。
こんな毎日はどうやったら変わるのか。
<ヽ`∀´>「……」
そんな時です。
<ヽ゚∀゚<「ニダッ!」
急に後ろから首を捕まれました。
( ・∀・) 「なあなあオッサン」
<ヽ;`∀´>「ああ…」
( ・∀・) 「泥棒は悪いことなんだよ?わかる?」
<ヽ;`∀´>「あ、ああ……」
( ・∀・) 「わかってるよ。わかってないからするんだ、そうだろ?」
首を掴んだのは盗んだお金の持ち主でした。
(#・∀・)「なんでこんなことするんかなあ!」
ばきり、顔に痛みが走りました。
何度も殴られました。
何度も蹴られました。
男、ニダーは謝るばかりです。
(#・∀・)「謝るくらいならなんでやるんかなあ!」
<ヽ ∀ >「ごめんなさい、ごめんなさい」
悪い事なのは知っています。
人に迷惑がかかるのも知っています。
それでも彼にはそれしかなかったのです。
辞められるなら辞めています。
別の道があるならば、そちらへと。
でも、無い。
<ヽ-∀->「……」
他に道があったなら。
そんな事を思いながら道端にニダーは倒れていました。
こんな思いも一回や二回じゃありません。
( ^ω^)「コックはいないかおー」
男はコックを探します。
自分の、自分だけのイメージの王になるために。
人々に聞いて回ります。
( ^ω^)「コックにならないかお?」
しかし男の格好はみずぼらしくは無くても、極々普通。
そんな格好の男の誘いに乗るものは誰もいませんでした。
「コックはいませんかおー」
「どこかにコックはいませんかおー」
そんな声が聞こえます。
仕事の募集は稀にある事です。
だけれどニダーにそんな技術はありません。
<ヽ`∀´>「……」
目を覚ましても、そこでその声を聞くだけでした。
<ヽ`∀´>「……」
いつからそうして居たのでしょう。
小一時間たったころです。
(;^ω^)「全然見つからないお…」
ふらふらと歩く男が見えました。
<ヽ`∀´>(まだやってるニダ……)
(;^ω^)「こんなことならしぃにコックも兼任で……」
(;^ω^)「いやっ!コックが作った物を使用人が運んで王様の場所まで持ってくるのが理想系だお!」
(;^ω^)「この町にコックはいないのかお……」
( ^ω^)
( ^ω^)「……閃いたお」
( ^ω^)「どなたか!どなたか!」
( ^ω^)「コックになりたい人はいませんかお!」
<ヽ;`∀´>「……」
そんな馬鹿な。
遠くで聞いていたニダーは呆れます。
思わず近づいて聞きます。
<ヽ;`∀´>「ちょっといいニダか?」
( ^ω^)「なんだお?」
<ヽ;`∀´>「なんでそんなわけのわからない事を…」
( ^ω^)「わけがわからないなんて事はないお、最終的にコックが手に入ればいいんだお」
( ^ω^)「一刻も早く王様になるんだお!」
<ヽ;`∀´>(そのためコックは必要なのかニダ……)
( ^ω^)「何なら君でもいいお!」
<ヽ;`∀´>「えっ」
(*゚ー゚)「あ、お帰りなさい」
( ^ω^)「しぃ!みてくれお!」
<ヽ;`∀´>「……」
(*゚ー゚)「コックさんですか?」
( ^ω^)「そう!コック(未来の)だお!」
<ヽ;`∀´>(大丈夫…ニダ…?)
不安に満ちた始まりでした。
「得意料理はなんなんですか?」
「……キムチニダ」
「始めて聞く料理だお……」
「きっと凄い料理ですね……」
<ヽ;`∀´>(不安ニダ……)
その2
コックの話 終わり
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