カーテンから日差しが差し込んでくる。

徐々に目が覚めていき、体をゆっくりと起こしアクビをした。

('A`)「ふぁ〜眠・・・」

朝起きる時間というものは習慣になると目覚ましなどなくても起きれるものだ。

まだ意識が半分眠ったまま、階段を降りながら一階のリビングへと向かう。

・・・煙い。黒い煙がモクモクとこちらまで漂ってくる。

('A`)「・・・って火事!?」

俺は急いで階段を三段抜かしで飛び降り、キッチンを確認する。



  

ミ,,゚Д゚彡「うぇっうぇ! なんだこのトースター! 爆発しやがった!」

('A`)「ちょっと、何やってんのトーチャン!!」

咳をしながらトーチャンがキッチンから逃げるように出てきた。

そこはまるでちょっとした小火現場のような状態である。

('A`)「トーチャン・・・一体何をしようとしてたの?」

ミ,,゚Д゚彡「いや、オーブンの使い方わかんねぇからフライパンでパンを焼いたんだが・・・」

(;'A`)「・・・」

ミ,,゚Д゚彡「ちぃーっと火力が強すぎたみたいだぜ。ガッハッハ!!」

(;'A`)「だーから料理は俺が作るっていってるのに・・・もう、いいから座ってて」

俺は窓を開け、空気を入れ替えつつ料理(?)の後片付けをする。



  

(;'A`)「もう今日は時間ないし、インスタントのスープでいい?」

ミ,,゚Д゚彡「おう! 食えりゃなんでもいいぜ!」

適当に朝食を取り、学生服に着替える。

('A`)「っと、いかんいかん」

俺は仏壇の前で手を合わせ、線香を一本添える。

('A`)「・・・よし、行ってきます」

カーチャンに挨拶をし、外に出と眩しいほどの陽射しが俺の眠気を吹き飛ばす。

('A`)「今日も暑くなりそうだな・・・」

見上げると雲ひとつ無い快晴。

今日から新学期、まだまだ夏の陽気は続きそうな気配だった。



  


('A`)「無事到着っと」

ほぼ1ヶ月ぶりに教室へ入る。

そこには、日焼けした同級生達が夏休みの話で盛り上がっていた。

( ^ω^)「おードクオww久しぶりだお!」

('A`)「お前、夏休み中に何度も短期バイト一緒にやったじゃねぇか・・・」

( ^ω^)「そうだったかお? うーん、そんな気もするおww」

子供の頃から一緒にいるが、ブーンは相変わらず天然なのかワザとやっているのかわからん。

・・・まぁ、たぶん天然だろう。計算してやっているならある意味天才だ。



  

('A`)「まぁいいや。それよりブーン、お前数学の宿題やった?」

(;^ω^)「え、ドクオやってないのかお?」

('A`)「ああ、数学だけはどうしても苦手でさ。ブーンのやつ見せてくれないか?」

俺は鞄から数学の宿題を取り出す。

数学が苦手な俺は、最初の3日こそは思考を張り巡らせ問題と格闘したが

やがてそれは諦めへと変わり、当日に仕上げるという作戦になったのだ。

(;^ω^)「ドクオ・・・」

('A`)「ん、なんだよ」

(;^ω^)「あのね・・・」

ブーンが鞄から数学の宿題を取り出す。

妙に小奇麗で、開いた形式すら見当たらない。

・・・嫌な予感が頭を過ぎる。



  

(;'A`)「もしかして、やってない?」

(;^ω^)「・・・」

ブーンは静かに、首を縦に振った。

(;'A`)「ど、ど、どうすんだよ! これじゃ間に合わねーよ!」

(;^ω^)「おっおww僕はてっきりドクオは全部やってくると思ってたんだお!」

(;'A`)「お、俺が数学苦手なの知ってんだろ!! そこは空気嫁よ!」

(;^ω^)「僕なんて数学どころか全教科苦手だお!」

激しい言い争いが続く。

やがて息切れし、論争が止んだ。

('A`)「や、やめよう。無駄な争いをしている場合じゃない」

( ^ω^)「そ、そうだお・・・誰か、弾持ってこーい!! アテーム!!」



  

数学の宿題は帰りのホームルームで集めるはずだ。

その前に始業式があるとして、制限時間は30分。

('A`)「そ、そうだ。真面目怪物モナーは!?」

( ^ω^)「そうだお、彼ならきっとやってるはずだお!!」

俺達は同時にモナーの席を見る。

だが、机に鞄がかけられていない。

('A`)「だ、だめだ。あいつ来てねえ・・・」

( ^ω^)「いざというときに役に立たない奴だお!」

('A`)「くそ・・・他にやってそうな奴は・・・」

教室を見回す。

だが、いまいち頭の芳しくない連中しか来ていない。



  

頭の悪い奴のを写すと間違いだらけで逆に墓穴だ。

正解は重なっても不自然じゃないが、不正解が丸々一緒だと写したことがばれてしまう。

('A`)「・・・ん?」

ふと、教室に入ってきた女子生徒に視線が行く。

(*゚ー゚)「ふぅ」

あれは、確かクラス委員長の・・・しぃ、だっけか?

あまり話したことは無いが、頭の良さは学年トップクラスと何度か耳にしたことがある。

('A`)「おい、しぃさんならやってあるんじゃね?」

( ^ω^)「え、しぃさんかお? ・・・うーん、彼女ならやってはありそうだお」

優等生の見本ともいえる彼女なら、恐らく完璧な模範解答を作り上げているだろう。

この問題数からして、今が間に合うかどうかの瀬戸際だ。

・・・よし、決めるしかねえ。



  

('A`)「ブーン、しぃさんにみせてもらうぞ」

(;^ω^)「ちょwwwさすがに優等生のしぃさんに宿題写しを頼むのは無謀だおww」

('A`)「大丈夫だ、俺に策がある。・・・お前はちょっと待ってな」

俺はしぃさんの席へさりげなく、なるべく自然に向かう。

そして、優しい口調で話しかける。

('A`)「や、久しぶり」

(*゚ー゚)「あ、ドクオ君久しぶり〜」

('A`)「夏休み、どうだった? 俺、すげぇ日焼けしちゃったよ(笑)」

(*゚ー゚)「ほんとだwすごい黒いね〜。私は外で絵を描いたりしてたよ」

('A`)「そうなんだーw美術部だもんね。あ、そういえば宿題はやった?」

さりげなく、かつ無駄な話題はカット。

いきなり本題に入るのではなく、布石を置いてから入る。

これは兵法では常識、となんかの本に書いてあった気がする。



  

(*゚ー゚)「なんとか一昨日に終わらせたよ。ドクオ君は出来た?」

('A`)「もちろん、完璧だよ。ただ、少し確認がしたくてね・・・」

(*゚ー゚)「確認?」

ふふ、餌に食いついた。

やはり優等生。素直というか、人を疑うことをしらぬというか。

('A`)「そう、数学は色んな解き方があるからね。しぃさんの解き方を参考までに見せてくれないか?」

爽やかな笑顔を忘れずに、声はハッキリキッパリ胸張って。

これぞ、嘘を見抜かれずに相手を信じ込ませるコツだ。

(*゚ー゚)「うん、いいよ」

('A`)「ふふ、ありがとう。ちょっと借りるね」

そう言うと、俺はしぃさんの完璧な宿題を手に取り自分の席に戻る。

完璧だ。自分が怖いぜまったく・・・。

まさに悪、いい感じのちょい悪である。



  

('A`)「ミッションコンプリーツ・・・!」

俺はブーンに向かってこっそり親指を立てる。

( ^ω^)「ドクオsugeeee!! いとも簡単にしぃさんから宿題ゲットだおww」

('A`)「だが、まだ終わりではないのだ・・・! ブーン、俺の後ろに立って話しかける振りをしてくれ」

( ^ω^)「おっおっ?」

('A`)「なるほど・・・とか、こういう解き方かー、とボソボソ言ってくれればいい。頼む!」

( ^ω^)「なるほど・・・おk! 把握したお!」

舞台は揃った。後は、どれだけ時間を短縮できるか。

俺は指を軽く鳴らし、ペンを握った。

('A`)「ハァッ!」

( ^ω^)「は、速い・・・じゃなくて、なるほど! そんな解き方が!」

俺のペンが神速で解答を写していく。



  

宿題写して16年、ドクオの能力は超人の域に達していた。

(;^ω^)「0歳からやってたのかお・・・?」

('A`)「こら、心情に突っ込むんじゃない・・・ハァッ!」

見る見る内に解答が埋まっていき、そしてチャイムと同時に宿題を閉じる。

見事、解答欄は全て埋まった。

( ^ω^)「み、見事・・・!!」

('A`)「うし、終了。後はこいつを・・・」

俺は宿題を手に取り、しぃさんの方へ向かう。

('A`)「これ、ありがとう。すごい参考になったよ」

(*゚ー゚)「そう? よかったねw どういたしまして」

('A`)「それじゃ、bye-bye」

爽やかに挨拶をし、自分の席に戻る。



  

始まりも終わりも綺麗スッキリ。

まさに理想的な幕引きであった。

(;^ω^)「って、僕まだ写してねーおww返しちゃいやんww」

('A`)「ばっか、俺の写せばいいだろ。・・・と、言ってももう遅いか」

気づけば、さっきまでポツポツとしかいなかった生徒が集まり始め、

教室はざわざわと人で溢れていた。

( ・∀・)「うぇーし、出席とって体育館行くぞ。席に着けー」

ガラガラ、と教室の扉を開け、先生が入ってくる。

可愛そうだが、これで完全にブーンが宿題を写すことは出来なくなった。

(;^ω^)「うう・・・これは酷いハメですお」

('A`)「ま、せめてもの償いにこれを貸してやろう」

俺は鞄から一冊の本を取り出し、ブーンに渡す。

(;^ω^)「・・・何だお? これ」

('A`)「数学の教科書。・・・まぁ、頑張って自力で解いてくれ」



  

(;^ω^)「おっおwwこれはひどいww」

そう言うとブーンは席に戻り、必死に問題に取り掛かり始めた。

これはお前のためなんだぜ? ブーン。・・・俺みたいにはなるなよ。

('A`)(ブーン、お前の犠牲は決して無駄にしないぜ・・・!)

俺は色々矛盾しながらも、安心した面持ちで朝のホームルームを迎える。

( ・∀・)「えー、内藤ー。・・・内藤? いないのかー?」

( ^ω^)「い、いますおー」

( ・∀・)「おいおい、今さら宿題をやっているのか。いくらなんでもサボりすぎだろw」

クラスがドッと笑いに包まれる。

が、ブーンは相手をする余裕も無く必死で方程式と格闘していた。

('A`)(ブーン、頑張れ。俺は声援を送ることしかできん・・・くぅ(泣)

(*゚ー゚)(・・・ふぅーん)



  


やがて始業式が終わり、帰りのホームルームが始まる。

(;^ω^)「どう見ても間に合いません。本当に(ry」

('A`)「よく頑張った、感動した!」

ブーンは始業式の最中も宿題を持ち込み、こっそり解いていたのだ。

その努力は敬意に値する。ブーンの名誉ある死に勲章を贈りたい気持ちで一杯だ。

( ・∀・)「んじゃ、宿題集めるぞ。名前順に出しにこーい」

1番の生徒から各自、宿題を教卓に提出する。

( ・∀・)「ふむ、おまえ半分しかやってないじゃないか。まったく・・・」

「ふひひwwサーセンww」

( ・∀・)「えー、次は内藤!」

(;^ω^)「おいすー」



  

( ・∀・)「努力は認めるが、それなら前もってやっておくんだな」

(;^ω^)「ご、ごめんなさいだお」

ブーンの順番が終わり、やがて俺の順番がやってくる。

ブーンには悪いが完璧な内容の宿題だ。

('A`)(なにせ・・・あの優等生のしぃさんの宿題丸写しだからです!)

そう、この宿題は僕にとって特別な存在。

彼もまた、特別な存在だからです。

('A`)「うぃっす、完璧にやってきました」

( ・∀・)「おお、数学の苦手なお前が全てやってくるとは・・・見直したぞ!」

('A`)「まぁ、苦手だからといってやらないのはよくないと思いましてね」

( ・∀・)「うむ。それはいいことだ! みんなもドクオを見習いなさい」

決まった。ふふ、これで2学期も遊んで過ごせるぜ。

数学のテストは赤点ギリギリとれば、問題は無いだろう。



  

(*゚ー゚)「せんせー!」

( ・∀・)「ん、なんだいしぃ君?」

お、我らが恩人しぃさんだ。

彼女がいなかったら今頃、先生の雷が直撃し・・・

(*゚ー゚)「ドクオ君、私の宿題写してましたー!」

そうそう、君のを写したんだから完璧に決まっている。

・・・ん? なんでそれをここで言う必要があるんだ?

おかしい、何か矛盾して・・・

('A`)「――ってちょ!!!」

振り返ると、先生がこちらを凄い剣幕で睨んでいる。

うん、もうものすごい剣幕で。

( ・∀・)「今の話は本当かね・・・? ドクオ」

(;'A`)「い、いやー、その、なんというか、というか・・・」



  

いかん、予想外の展開だ。

何か、何かこの状況をひっくり返さなければ!

冷や汗がふつふつと湧き出て、頭の中がぐるぐる回る。

俺の脳内で状況、人物、対策が一気に構成されていき、たった一つ。

この場を乗り切れ得るかもしれない手段が頭に浮かぶ。

こうなったら、これしかない!!


('A`)「俺流のサプライズや!!」


( ・∀・)「・・・」

(;'A`)「・・・」

( ・∀・)「・・・」

(;'A`)「・・・俺流に見逃してくれや」

冷たい視線、凍った空気。

その一言で、凝固した冷気が一気に爆発し熱気に変わった。



  

( ・∀・)「この愚か者が――!! 職員室にこぉい!!」

ゲンコツ一発、ボディに二発♪

三時のおやつまでには帰れそうになかった。

「バロスwwwww」
「やーい、怒られてやんのww」
「いい見本になったぜー♪」

俺はクラスの野次を背に受けながら、ふとしぃさんの方を見る。

・・・そこには、こちらに向かって嬉しそうに手を振るしぃさんの姿があった。

(*゚ー゚)「bye、bye♪」




夕方4時。

グラウンドで活動している運動部のかけ声が校舎まで響く。

窓からは赤くなった夕日が顔を覗かせていた。

('A`)「・・・失礼しました」

俺は職員室で3時間半にも及ぶ説教を受け、ようやく開放された。

('A`)「・・・くそ、初日からこんな目にあうなんて!」

あそこでクラス委員長のしぃがばらしていなければ・・・

まさか裏切りとは予想していなかった。

むしろ、最初からわかっていてそのつもりでわざと?

('A`)「くっそー、はめられた!」

まるで釈迦の上の孫悟空だ。



  

俺はイライラしながら廊下を歩いていると、美術室の扉が開き、人影が出てくる。

('A`)「あー!! お、お、お前!!」

(*゚ー゚)「ん? なーんだドクオかぁ」

('A`)「な、な、な・・・」

平然と美術室から出てきたのはしぃだった。

しかも俺に会って動揺するわけでもなく、オマケに呼び捨て・・・!?

(*゚ー゚)「意外と終わるの早かったね。あは、これからズルは駄目だよ」

('A`)「ちょ、ちょっと待てイ」

あまりの変貌振りに声が裏返った。

こ、これがしぃ?

あまり話したことが無いとはいえ、イメージと180度違うぞ!?



  

(*゚ー゚)「ん? 何?」

('A`)「おま・・・あれ、わかっててチクっただろ!」

(*゚ー゚)「うん。え、ていうかあれ本気で騙したつもりだったの?」

('A`)「な・・・」

バカにしたようにしぃは笑う。

腸が煮えくり返るように俺の頭に血が上る。

('A`)「お前、ふざけんなよ・・・!」

(*゚ー゚)「何怒ってるの? 元々悪いのはそっちじゃん。こっちが正論。あんたはチンケな悪者」

('A`)「う、ぐ・・・」

たしかに、そうだ。

すごい腹が立ってるのに反論が思い浮かばない。



  

(*゚ー゚)「ま、これに懲りたら少しは勉強すれば? じゃね〜」

そう言うと、しぃは鼻歌を歌いながら階段を降りていき、

やがてその姿は見えなくなった。

一人、廊下に残され、やり場の無い苛立ちを内に溜め込む。

('A`)「こんな、こんなに腹が立っちゃうなんて・・・くやしい・・・負けた」

ガクッとうなだれる。夕方の学校にむなしくチャイムが鳴り響いた。

俺はとぼとぼと歩き、駐輪場へ向かうのであった。



  


学校の駐輪場へ行き、自転車の鍵を外す。

('A`)「はぁ〜ぁぁぁ・・・」

ため息しか出ない。

新学期から色々ショックがでか過ぎた。

('A`)「・・・そうだ京都に行こう」

独り言を言っても、この時間、突っ込んでくれる人は誰もいなかった。

ふと、誰もいないのをいいことにギャグが言いたくなってきた。

('A`)「あーらびっくり洗浄機♪」

手を上に突き出しながらジャンプしてみる。

・・・聞こえるのはカラスの声、だけ。

('A`)「シッシッ!! シッハ!」

むなしさと寂しさを吹き飛ばすためにシャドーボクシング開始。

グラウンドにいる運動部の連中はまさかこんなことが起こっているなど想像も出来ないだろう。



  

('A`)「おーっと、チャンピオンよけて〜でました! 黄金の右フック!!」

徐々に体が暖まって、気分が乗ってくる。

さっきまでの苛立ちも少し和らいできた。

('A`)「シッシッ!! ふっ!」

(*゚ー゚)「・・・ねぇ、黄金の右フックって何?

('A`)「そりゃーあの有名な世界チャンピオンの必殺・・・」

ピトッと体を止める。

何か、何か違和感を感じた。

さっきと空気が変わった。うん、恐らく



  

(*゚ー゚)「・・・ぷ、ぷぷ」

('A`)「い、いつからそこに?」

恐る恐る聞く。

しぃは顔を下に向け、必死で口を押さえている。

(*゚ー゚)「あはははwwあーらびっくり洗浄機ってwww」

(;'A`)「そっから!?」

耐え切れなくなったのか、しぃは笑い転げた。

お腹に手を当てて、爆笑、という言葉の通り笑いまくる。

(*゚ー゚)「し、しかもいきなりボクシングし始めるし・・・ww」

しぃは顔を上げて、ファイティングポーズをとる。

(*゚ー゚)「シッシ! シッハ!」

・・・俺の真似だろうか。

そして再びネジが外れたかのように笑い転げる。



  

(*゚ー゚)「なーに一人でやってんのwwもう最高!」

(;'A`)「う、うううるさい! っていうかいるならせめて声かけろよ!」

(*゚ー゚)「いや、だって面白くて笑いこらえるのに必死で・・・く、くくw」

そしてまた俺の顔を見て噴き出す。

うん、非常に恥ずかしい。穴があったら入りたい。

('A`)「み、見られてたなんて一生の不覚・・・っ!」

(*゚ー゚)「いやー、ごめん面白いよドクオ! 君って人はw」

('A`)「・・・」

しぃは笑いながら肩を叩いてくる。

なんだ、なんか悔しい。すごく負けた気分だ。



  

('A`)「・・・もう、帰っていいですか」

(*゚ー゚)「ん、うーん。・・・この事みんなに話していい?」

(;'A`)「ちょ、それだけは!! それだけは勘弁してくれぇ!」

そんなこと、あのクラスで言ったら変なあだ名をつけられてしまう。

「真面目怪物モナー」「変態乳房王ジョルジュ」

あの仲間に・・・は、はいりたくねぇ。

(;'A`)「お願いします! このとーり! 男ドクオ、頭を下げて頼みます!」

(*゚ー゚)「ん〜、どーしよっかな〜?」

しぃは小悪魔のようにふふ、っと鼻で笑う。

彼女が上、俺が下・・・上下関係は明らかな状況である。



  

(*゚ー゚)「よし、決めた!」

しぃはぽんっと手を叩く。

('A`)「な、なんですか?」

(*゚ー゚)「スワーティーワンアイス奢ってw」

('A`)「・・・へ?」

俺は頭を上げてしぃを見た。

アイス・・・? あれ、俺生きてる・・・?

('A`)「そ、そんなんでいいの?」

(*゚ー゚)「え? もっとすごいほうがいい?」

('A`)「いやいやいやいやっ! ・・・ぜ、ぜひおごらせてください」

俺は手をすりすりと、ゴマをするように擦る。



  

(*゚ー゚)「じゃあ、交渉成立! それじゃ行こっか?」

('A`)「え、今から!?」

(*゚ー゚)「当たり前ジャン。駅前のお店が一番近いよね!」

(;'A`)「う、うん」

(*゚ー゚)「ほら、そうと決まれば早く乗った乗った!」

俺はせかされるように自転車に乗る。

すると後ろに重みが増え、肩に手の感触が走る。

('A`)「な、なんでさりげなく後ろに乗ってんの!?」

(*゚ー゚)「ん? だって自転車で行ったほうが楽じゃん」

(;'A`)「いや、まあそうなんですけど・・・」

予想外の展開に頭がついていかない。

俺の肩に乗っていたしぃの手に力が入り、肩を思いっきり握られる。

(*゚ー゚)「ほら、早く出発! もたもたしない!」



  

(;'A`)「いてぇいてぇ! わかったから力入れんなって!」

ペダルに足を乗せ、ゆっくりと自転車を漕ぐ。

二人分の体重が乗っているせいか、ペダルが重い。

ゆっくり、ゆっくりと自転車が前に進む。

('A`)「お、重・・・」

(*゚ー゚)「ん、なんか言ったぁ?」

('A`)「いで、いででで!! なんでもない、なんでもないから力入れんな!」

俺は妙な客を乗せてフラフラと校門を出て行く。

どうしてこうなったのか、いまだに理解できないままペダルを漕いでいった。





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