(*゚ー゚)「おいしーwやっぱりスワーティーワンのバニラは最高w」



('A`)「・・・」



俺はレモンアイスを食べながら、ふと思う。



なんで俺はしぃと公園でアイスを食ってるんだろう?



・・・これって、他の奴から見たらデートってやつだよな。



('A`)(いかん、 何を俺は考えているんだ!)



頭を振り、妙な妄想を吹っ切る。



こいつは俺を騙し手に取った悪女だぞ!?



(*゚ー゚)「ねぇ」



('A`)「ふぇ? な、何?」



・・・いきなり話しかけられたから、口がうまく回らなかったじゃないか。



(*゚ー゚)「ドクオって彼女いる?」



('A`)「ぶふぅ!!」








  



あまりの唐突な質問に噴いてしまった。



いくらなんでも、その質問がこのタイミングで出るとは・・・



(*゚ー゚)「ねぇ、いるの?」



('A`)「い、いや、今はいねえけど・・・」



今は、というより彼女いない歴=年齢だが。



・・・そんなことはどうでもいい。



それよりも、しぃは何故彼女の有無なんて聞くんだろう?



しぃの顔をチラリと見る。



(*゚ー゚)「あ・・・あのさ」



もじもじと、顔を赤らめて何か言いたそうにしている。



彼女の視線が、俺の目から離れうつむいている。



('A`)(これは、まさか・・・!?)








  



アイスを持った手に力が入る。



生涯で初めての、こ、こ、こ・・・



('A`)「ちょ、ちょいきなりそんな――」



(*゚ー゚)「今日一日だけ、私の彼氏になって!」



彼氏になって・・・彼氏になって・・・



頭の中にその言葉が響き渡る。



やっべ・・・告白じゃん。どうしよう、え、なんて答えれば・・・ん?



('A`)「一日、だけぇ!?」








  



(*゚ー゚)「うん、お願い! なってくれたら今度は私が何かおごるからさ!」



(;'A`)「な、なんじゃそりゃあ!!」



意図がつかめない。



一日だけ彼氏ってなんだそりゃ?



生まれて初めての告白が「一日だけ彼氏になって」ってなんですか?



('A`)「おま、ふざけてんのか!? 俺は帰るぞ!」



(*゚ー゚)「ちょ、ちょっと待ってよ!」



しぃが俺の袖を引っ張る。



俺は無視して足を進めようとするが、引っ張られてるせいで前に進めない。








  



(;'A`)「だー、離せよ! 俺はそんな遊びに付き合ってる暇はないんだよ!」



(*゚ー゚)「お願い〜! ちょっと色々事情があって、今日は彼氏がいなきゃ駄目なの」



(;'A`)「知るかよ! お前おちょくってんなら・・・」



俺はしぃの方を振り返ると、言葉が喉につまった。



しぃは俺の袖を掴みながら、静かに涙を流していた。



(*゚ー゚)「う・・・私、ひっく・・・このままじゃ・・・」



('A`)「お、おい。なんだよ、どうしたんだよ」



(*゚ー゚)「こんなこと・・・ドクオにしか・・・ドクオにしか頼めないんだもん」



しぃは涙目で俺に訴えてくる。



その表情に、ドクン、と心臓が鳴る。



・・・くそ、涙は反則だろ。








  



('A`)「わかったよ。わかったから泣くのやめてくれ」



(*゚ー゚)「・・・え?」



('A`)「どんな事情か知らんけど、一日だけ彼氏になるよ」



そう言うと、しぃの顔がぱぁっと明るくなる。



あー、もう、その顔を見るだけで何故かこっちの心も軽くなる。



(*゚ー゚)「ほんと!? ありがとードクオ!」



('A`)「あー・・・もうどうにでもしてください」



(*゚ー゚)「うんうん、かっこいいよドクオ! このお礼は絶対返すからw」



(;'A`)「てか、お前泣き止むのはやっ!」



しぃはすでに涙など流していない。



むしろさっきまで泣いていたとは思えないほど清々しい笑顔。








  



(*゚ー゚)「ドクオ、涙は女の子の武器なんだよ。ふふw」



しぃは俺の肩を叩き、ニヤリと口だけで笑う。



・・・それって、もしかして――



('A`)「だ、 騙されたぁぁぁ!!」



(*゚ー゚)「あははw気にしない気にしないw」



信じられん。まさか自分が「嘘泣き」なんて古典的な手に引っかかるとは!



いや、それをやってのけるしぃの演技力も恐ろしい・・・。



どうやら、俺はとんでもない小悪魔と契約を交わしてしまった様だ。



待ち構える己の未来を考えれば考えるほど、俺の頭は痛くなっていくのであった。







('A`)「んで、一日彼氏って具体的に何するの?」

俺はふと気になったことを口にする。

彼氏という立場すら経験したこと無いのに、一日限定彼氏なんて想像つかない。

(*゚ー゚)「んーっとね。とりあえずウチに来てほしいんだ」

('A`)「エッ!」

いきなり彼女の家庭訪問とは・・・!?

童貞の俺には嬉し・・・いや、荷が重い。

まさか、「一日彼氏」とはそういう意味を指していたのだろうか。



('A`)「あの、しぃ?」

(*゚ー゚)「何?」

(;'A`)「俺、ゴムのつけ方とか知らないけど・・・」

(*゚ー゚)「・・・」

(;'A`)「・・・」

(*゚ー゚)「変なことしたら金的剥ぎ取って殺すから」

(;'A`)「ふぁ、ふぁい!!」

すごく、冷たい目で言われました。

間違いなくそっちの筋の人です、本当にありがとうございました。

('A`)(そ、そうゆう意味じゃなかったのか・・・)



(*゚ー゚)「そこの交差点、右に曲がって」

('A`)「はいよ」

しぃを後ろに乗せて、自転車を漕ぐ。

二人乗りもだいぶ慣れてきた。

平坦な道をすいすいと走り抜ける。

(*゚ー゚)「あ、ここだよ!」

キッ、とブレーキ音を鳴らし、自転車を止める。

('A`)「で、でっかぁぁぁ!!」

目の前にはテレビでしか見たこと無いような大きな家が建っていた。

駐車場には、名前は判らないが高級車が2台ほど止まっている。



(*゚ー゚)「ドクオー、何してるの? 早くー」

しぃは玄関の門を開けながら言う。

(;'A`)「・・・やべ、緊張してきた」

しぃは金持ちのお嬢様だったのか・・・。

まさか、両親に俺の悪態をついて海に沈められたりしないよな?

(;'A`)「まさかね・・・はは」

俺は不安を胸に抱きながら、自転車を降りてしぃの家へ入っていった。




(*゚ー゚)「適当なとこ座ってていいよ。今、紅茶入れるね」

('A`)「お、おう。悪いね」

俺はリビングのソファーに恐る恐る座る。

すごく柔らかくて気持ちいい・・・。

('A`)(てか、いくらすんだよコレ・・・)

(*゚ー゚)「はい、どうぞ」

しぃが紅茶を運んできた。

すごくいい香りが漂っていて、高級品だということがすぐにわかった。



('A`)「うーん、スンバラシイ・・・」

香りを鼻で吸い込むと、爽やかな香りが体をめぐる。

一口飲むと、それはもう体の中に風が吹き通ったかのように爽やかな味だ

('A`)「・・・でさ、結局俺は何のためによばれたわけ?」

(*゚ー゚)「ん、あぁそっか。まだ話してなかったよね」

しぃは紅茶を一口飲み、ティーカップを置いて話し始めた。

(*゚ー゚)「うちってさ・・・見ての通り、お金持ちじゃん?」

('A`)「自分で言うなよ・・・まぁ見てわかるけどさ」

(*゚ー゚)「自慢してるわけじゃなくて、こうお金持ちだと跡取りとか色々面倒なのよ」

(;'A`)「跡取りって・・・お前んち、会社経営してんのかよ」

社長令嬢なんてドラマでしか見たことなかった。

確か、木曜ドラマだと財産を巡って血みどろの殺人事件が・・・というパターンだが。



('A`)「ま、まて。俺は殺人事件には関与できないぞ!!」

(*゚ー゚)「な、何言ってんの!! 勝手に変な想像しないでよ、もう」

('A`)「なんだ違うのか・・・」

少し、ドキドキしたのは内緒だ。

もちろん犯罪願望なんてこれっぽっちも無いけど。

(*゚ー゚)「それで、さ。この年からお見合いの勧めとか結構されるんだ」

('A`)「お、お見合いって・・・ずいぶん古典的だな」

(*゚ー゚)「そりゃウチは一人っ子だから、社長の息子さんとかと結婚しろって勧められてさぁ・・・」

('A`)「え、マジ? そういうのってドラマだけだと思ってた」

木曜ドラマでは社長令嬢の結婚相手はお得意さんの会社社長の息子だったり

有名な若手政治家だったりするものだ。・・・まぁ、大抵犯人役だけど。

(*゚ー゚)「ウチも例外じゃなくてさ、親があまりにしつこいもんだからつい・・・」





(`・ω・´) 「これでどうだ!! マツビシ物産の息子だ。いい男だぞ!」

(*゚ー゚)「もー、だから私はお見合いで結婚相手決める気はないってば!」

(`・ω・´) 「まったく・・・そんなこと言って彼氏の一人も連れてきたことないじゃないか!」

(*゚ー゚)「か、彼氏くらいいるもんっ!」

(`・ω・´) 「ほう・・・? 初耳だな。ならば今度つれて来て見なさい。ふさわしい男かチェックする」

(*゚ー゚)「え、えっと〜・・・」

(`・ω・´) 「ほら、やっぱりデマカセなのだろう? わかったらお見合いに・・・」

(*゚ー゚)「つ、連れて来るもん! 明日、うちに呼んでパパに紹介するから!」





(;'A`)「・・・待った、その流れでいくとさ、すごく嫌な予感するんだけど」

もしや、と思いしぃの目を見る。

僅かな沈黙の後・・・彼女の口が開く。

(*゚ー゚)「ごめん! なんとかパパにお見合いを諦めさせて!」

('A`)「な、なんだってー!?」

頭の中が混乱する。何故に俺?

俺が彼女いない歴=年齢だと言う事を知っているのか!?

('A`)「む、無理だろ!! だって俺は普通の庶民だぜ?」

(*゚ー゚)「庶民でもいいから! ほら、愛とかなんとかいってごまかしてよ!」

(;'A`)「いや無理無理!! てかばれたら俺消される!」

俺としぃが言い争っていると、部屋にインターホンの音が鳴り響く。

その音で、二人の体が一気に固まる。


sien


(*゚ー゚)「パパが帰ってきた・・・!!」

瞬間、俺は必死に窓からの逃走を試みる。

が、鍵が複雑で開かない。さすが金持ち、防犯も一流か・・・。

(*゚ー゚)(ちょっと、逃げないでよ・・・!!)

('A`)(うっせー! 俺はまだ死にたくないぞ!)

小声で話しながら静かな格闘を繰り広げていると、玄関から鍵の開く音。

(*゚ー゚)('A`)「やばっ!」

俺としぃは凄いスピードでソファーに戻り、隣同士に座ってティーカップを手に取る。

そして、各々のポジションについた3秒後、リビングのドアが開かれた。



(`・ω・´) 「あー、失礼するよ」

スーツを着たピシッとした男性がリビングに入ってくる。

いかにもキャリア組、といった感じだ。

(*゚ー゚)「お帰りなさい、パパ。ドクオ君、こちら私のお父様です」

('A`)「どうも初めまして。しぃさんとお付き合いさせて頂いております。ドクオです」

・・・う、敬語ってこれで合ってるのだろうか。

こんなことなら国語の勉強、もっとしっかりやっとけばよかった。

(`・ω・´) 「・・・ふむ」

お父様は、なにやらジロジロと俺のことを見ながら、時折怖い目で見てくる。


(;'A`)(やべ、冷や汗出てるのばれてないかな?)

顔はにこやかにしているが、心の中は緊急警報の嵐が出ている。

まさに命がけの舞台役者だ。

(`・ω・´) 「よろしい、ドクオ君・・・といったかな? 少しお話をしようか」

(;'A`)「は、はい」

もう逃げることは出来ない。

俺は助け舟を求め、しぃを横目で見る。

(*゚ー゚)(アドリブで 頑張って)

俺は初めて人の心を読んだ。・・・やるっきゃない、か。

やがてお父様は俺の向かいのソファーに豪快に座る。

・・・すごい威圧感感じるんですけど。


(`・ω・´) 「で、君はいつからしぃと付き合っているのかね?」

('A`)「1ヶ月前からお付き合いしています」

(`・ω・´) 「一ヶ月だとぉ!?」

ドォン! とテーブルを拳で叩き大声を上げる。

まずい、地雷踏んじまったか!?

(`・ω・´) 「丁度、男女付き合いが一番楽しい時期だな」

お父様は、不気味に含み笑いをしながら俺の顔を見る。

(*゚ー゚)(たぶん、大丈夫)

しぃとアイコンタクトを交わす。

・・・セーフ、か? だが、間をおかずに次の質問がとんでくる。


(`・ω・´) 「君のご両親は、どんな職業をしているのかな?」

('A`)「あ、父はごく普通の商社に勤めてます」

まぁ、ここは嘘をついても仕方ないだろう。

正直に答える。

(`・ω・´) 「ふむ、なるほどね・・・」

まるでライオンと対峙しているような威圧感だ。

額に汗が浮かんでくる。喉が渇き、心拍数も上がってきた。

(`・ω・´) 「最後に、君は私の娘を本当に好きで付き合ってるのかね?」

('A`)「は・・・」

ここはyesと言っておくべきだ。

なのに、急に緊張が走り顔が赤くなる。

何やってんだ俺、早く答えなきゃ・・・


ふとしぃの方を見ると、しぃも何故か少し顔を赤くしている。

(*゚ー゚)(・・・)

アイコンタクトにも応じる様子は無い。それなら・・・仕方ない。

('A`)「ぼ、僕はしぃさんのことを本気で愛してます。本気で付き合ってるんです」

少し噛んだ。けど、言った。

歯が浮きそうな自分の台詞に恥ずかしくなる。

(`・ω・´) 「そうか、わかった!」

ポン、と手で膝を叩きお父様は立ち上がる。

(`・ω・´) 「しぃ、どうやら君とドクオ君は真剣に付き合っているようだね」

(*゚ー゚)「パパ! それじゃ、認めてくれるの?」

(`・ω・´) 「ふ、まぁ多少幼さは残るが、感じのよい青年じゃないか」

ぱぁっとしぃの顔が明るくなる。

俺はそっとしぃに向かって親指を立てる。



どうやら、なんとか無事終わり・・・

(`・ω・´)「そうだ、動物園のチケットが2枚あるんだ。君達二人でデートにでも行ってきなさい」

(*゚ー゚)「・・・え?」

('A`)「へ・・・」

お父様はポケットからチケットを取り出すと、俺に手渡す。

(`・ω・´)「今週の日曜日なんかいいんじゃないか? ふふ、まぁ楽しんで来なさい」

そう言うとお父様は不適に笑いながらリビングを出て行った。

やがて足音が遠くなり、聞こえなくなった。

(*゚ー゚)「ま、まずいよドクオ!」

('A`)「え、何が!?」

(*゚ー゚)「パパのことだから・・・絶対このままじゃ終わらないよ」



(;'A`)「え? あれで終わりじゃないのかよ!」

俺はてっきり公認されたものだと思ってた。

たしかに、あっさりはし過ぎとは思ったけど・・・

(*゚ー゚)「絶対、動物園に監視しに来るよ。・・・ああ、もう」

(;'A`)「それって、行かなきゃマズイってこと?」

(*;゚ー゚)「私達が付き合ってるっていう嘘がばれたら・・・」

(;'A`)「・・・」

想像しただけで、背筋に寒気が走った。

すでに俺達は、檻の中に閉じ込められていたのだ。

(*゚ー゚)「ごめん、一日彼氏って約束だったけど・・・日曜日まで延期していい?」

('A`)「あ、ああ。それが賢明だろ・・・」

俺達の嘘は、明後日の日曜日までもつれこむ。

俺は、溢れる不安にため息を吐くことしかできなかった・・・。




('A`)「それじゃ、俺は帰るわ」

(*゚ー゚)「うん、ほんとごめんね・・・。変なこと巻き込んじゃって」

しぃが珍しく悲しそうな顔をして落ち込む。

俺は、それを見てなんだか無性に調子が狂った。

('A`)「あーっもう、そんな落ち込むなよ。俺は気にしてないし、大丈夫だからさ」

俺はそっとしぃの頭を撫でる。

(*゚ー゚)「あ・・・」

(;'A`)(あれ・・・?)

怒って引っぱたかれると思ってたけど、しぃは素直に俺の手を受け入れた。

・・・なん、だよ。可愛い所もあるじゃん。

急に恥ずかしくなって、赤面してしまう。


心地よい時間がゆっくりと流れる。

(*゚ー゚)「・・・ありがと」

('A`)「元気出たか?」

(*゚ー゚)「うん、もう大丈夫」

しぃと目が合い、見つめ合う。

・・・なんか、こういう雰囲気はドキドキする。

今は彼氏の振りをする必要は無い、けど名残惜しさを感じる。

(*゚ー゚)「なんか、ドクオ彼氏っぽいね・・・w」

('A`)「え、ああ。ちょっと役にはまりすぎちゃったかな」

(*゚ー゚)「あ、そうだ。これ、携帯の番号」

しぃは紙きれを取り出すと、俺に渡した。




(*゚ー゚)「一応、今は私の彼氏なんだから番号くらい知らないと不自然でしょ?」

('A`)「ん、サンキュ。じゃあ後で電話するわ」

(*゚ー゚)「うん。それじゃ、おやすみ」

('A`)「おう、それじゃまたな」

俺は自転車に乗り、ペダルを漕ぎ始める。

振り返らずに、帰路を走る。

心臓の鼓動がまだ音を立てている。

ドクン、ドクンと。

('A`)「あ――もう!!」

何か恥ずかしくなり夜空に向かって大声を上げる。

そして、顔は自然に笑う。

嬉しさと恥ずかしさがごっちゃになって溢れてきた。




・・・なんだろう、この気持ち。

嫌じゃない、むしろ俺は喜んでいるのか?

('A`)「あー、もうわけわからん」

不思議な感覚に包まれつつ、俺は家へとペダルを漕いでいった。

ゆっくりと、空の星を見上げながら――ゆっくりと。




(`・ω・´)「ちくしょう・・・ちくしょううう!!!!」

シャキンはドアを少し開け、中腰で外を覗いていた。

(`・ω・´)「ドクオォォ・・・娘とラブラブしやがってぇ・・・!!」

(`・ω・´)「見ていろ・・・日曜日、お前が本物かどうか試してやる」

シャキンは携帯を取り出し、番号を押す。

(`・ω・´)「あー、もしもし? ミルナ君? 君、たしかムエタイやってたよねぇ・・・」

(`・ω・´)「頼みがあるんだよ・・・。ええ、明後日の日曜日・・・お願いします」

  


('A`)「うーん・・・」

俺は、一人部屋で悩んでいた。

目の前には携帯としぃの番号。

('A`)「女の子に電話なんて初めてだし・・・何話せばいいんだ」

やっぱり、今日は楽しかったぜ! とか、電話してみたよ〜みたいなノリか?

電話で無愛想っていうのはマズイし、話題切れも気まずいよな・・・。



  

('A`)「もしもし? あ、俺ドクオ。悪いな、いきなり電話しちゃって・・・」

一人で口に出してみる。

・・・ちょっと女々しいかな?

('A`)「おう、俺だ。電話してやったぜ」

うん、たぶん切られる。

やっぱ悩む前にさっさとかけたほうが・・・うーん、でも・・・

ミ,,゚Д゚彡「なーに一人でブツブツ言ってやがるんだ?」

('A`)「うおっ!!」



  

ミ,,゚Д゚彡「ふっふっふ・・・女か?」

('A`)「な、なんだよ、なんでもいーじゃねーか! あっちいってろよ」

ミ,,゚Д゚彡「ドクオ、女を落とすときは押して押して押しまくるのがコツだ」

('A`)「もー、いいからでてってくれよトーチャン!」

俺は強引にドアを閉め、トーチャンを部屋から追い出す。

トーチャンは最後までニヤニヤしていた。

・・・聞かれてたのか。は、恥ずかしい。

('A`)「これ以上邪魔が入る前にかけよう・・・」

俺は携帯を開き、番号を押す。



  

コール音が一回、二回・・・そして、声が聞こえた。

「もしもし?」

('A`)「も、もしもし? 俺ドクオ! い、いきなりわるかったなぁ!」

「・・・え、ドクオ? あ、かけてくれたんだ〜」

('A`)「う、うん」

声を聞いたとたん、頭の中の予定なんて吹っ飛ぶ。

電話越しでも、しぃの声だとすぐわかった。

「今日は、ありがとね」

('A`)「え?」

「なんか、ドクオに色々迷惑かけちゃって・・・」



  

('A`)「だ、だから心配すんなよ。乗りかかった船だ。俺がなんとかするって」

「・・・ありがと。やっぱドクオに頼んでよかった・・・」

('A`)「そ、そんなたいしたことじゃないってw」

女の子にそういう声で頼られると顔がにやけてしまう。

俺は顔をニヤニヤさせながらガッツポーズを決める。

「ドクオ・・・」

('A`)「ん、何?」

また、しぃの声が小さくなる。

「私のこと、嫌いにならないでくれる?」

('A`)「え?」


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