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昔々、あるところに若い夫婦が住んでいました。






( ^ω^)「それじゃ、そろそろ行くおwwwwww」

ξ^ー^)ξ「えぇ、今日も頑張りましょw」




いつものように毎朝同じ時間に起き、朝ご飯も一緒に食べ、以前に2人で一生懸命頑張って作った畑で仕事をする………。

貧しいながらも幸せで平凡な暮らしをしていました。



一見、幸せそうな、どこにでもいる夫婦のようですが、2人には1つだけ大きな悩みがありました。





(´・ω・`)「やぁ、ブーンにツンじゃないか。おはよう」

( ^ω^)「おっwwwショボンwwwwwおはようだおwwwwしぃちゃんも、おはようだおwwwww」

(*゚ー゚)「ブーンさん、ツンさん、おはようございますw」

ξ^ー^)ξ「おはよう、しぃちゃんwww今日はお父さんのお仕事のお手伝い?」

(*゚ー゚)「うん、畑のお手伝いするのww」



しぃはお父さんの手を繋ぎながら、天使のような笑顔で元気よく返事をしました。





( ^ω^)「しぃちゃんは偉いおwwwwおじさん、関心しちゃうおwwwww」

(´・ω・`)「もう10歳だからね。そろそろ手伝わせてもいいかなって。それじゃ、僕たちは行くよ」

(*゚ー゚)「ブーンさん、ツンさん、バイバイwww」

 ^ω^)^ー^)ξ「バイバイwww」



同じ村にすむショボンは、ブーンとツンの幼馴染で、早くに結婚をし、子供もできました。

ブーンとツン、それにショボンとしぃは、それぞれの畑へと向かいました。





( ´ω`)「………」

ξ゚听)ξ「………ブーン?」

( ´ω`)「………おっ?」

ξ゚听)ξ「………やっぱり気にしてるの?」

( ^ω^)「おっおっwwwwwそんなことないおwwwww」

ξ;;)ξ「ごめんなさい………きっと………私のせいなんだよね………」

(;^ω^)「ツンのせいなんかじゃないお!!!ブーンはツンと2人でいるだけで幸せだお!!!」











 ( ^ω^)ブーンと猫と神様 








ブーンはツンを慰めながら、2人で一生懸命作った畑へと向かいました。

季節はもう秋。

畑に続く山道の木々は紅色に染まり、それはもう、この世のものとは思えないほど美しい光景で………。

紅色に染まった木々から零れる木漏れ日は、2人の行く道を照らしていました。



ξ;;)ξ「ごめんなさい………ごめんなさい………」

( ^ω^)「ツンは気にしすぎだお………ほら、ツンの可愛い顔が涙で台無しだおwwww」



しばらく山道を歩くと、2人の畑が見えてきました。





( ^ω^)「ツン、泣き止んだかお?wwwwそれじゃ、今日も頑張るおwwwwww」

ξぅー^)ξ「うん、頑張ろwww」



今日の朝は少しだけ悲しい気分になりましたが、いつものように2人は畑仕事に取り掛かりました。

今年の冬は暖かく過ごせそうだ………。

今年はいつもよりも豊作のようで、2人の作業もいつも以上にはかどりました。



一生懸命に仕事をすればするほど、時間が経つのを早く感じるもので、2人が気が付いた頃には、お日様は真っ赤に染まりながら山の裏側に隠れようとしていました。






家に着く頃には、お月様が辺りを照らしていて、すっかり夜になっていました。



( ^ω^)「うぃーwwwww今日も頑張ったおwwwww疲れたおwwwww」

ξ^ー^)ξ「お腹空いたでしょ?wwwすぐに晩ご飯の準備をするからねwww」

( ^ω^)「うはwwwktkrwwwっうぇwwwwその間に最後の仕事するおwwwwww」



ブーンはいつものように畑仕事で使った道具の手入れを、ツンは近くの川で今日の晩ご飯で使う野菜を洗いに行きました。





ツンがいつもの川でいつものように野菜を洗っていると、どこからともなく動物の鳴き声がしました。

「ゴラァ………ゴ………ゴラァ………」

ξ;゚听)ξ「ちょっと………何よ………この聞いたことないような鳴き声………まさか………UMA!?」



ツンは辺りを見渡すと、近くに子猫が倒れているのを見つけました。

毛は短く、雪のように白い子猫でした。

何やらその子猫は弱っているようです。



(;-Д-)「ゴラァ………」

ξ゚听)ξ「何よ!ただの猫じゃない!まったく、驚かせt………って、この子、様子が変ね………」





(;-Д-)「ゴ、ゴラァ………」

ξ;゚听)ξ「よしよし、どうしたの………って、この子、ケガしてる………!!」



その子猫の左後ろ足には砂に汚れた大きな傷があり、月明かりが子猫の血を不気味に照らしていました。



ξ;゚听)ξ「大変………!!」



ツンは野菜を洗うのも忘れ、その子猫を抱きかかえ、家へと走りました。





薄暗い夜道、ツンは何度もこけそうになりながらも、その子猫を抱きしめ、なんとか家へと辿り着きました。



(;^ω^)「おっおっwwツンおかえr………って、どうしたんだお!!??」

ξ;゚听)ξ「そこの川でこの子猫がケガをして動けずにいたの!!だから………!!」

(;^ω^)「おっおっwwwとりあえず、僕は薬草の準備をするから、ツンはその子猫を見てるお!!」

ξ;゚听)ξ「うん!!」



ブーンは家の裏山へ薬草を取りに行き、ツンは子猫のために有り合わせの布でお布団を作ってあげました。

ツンの服と手には子猫の血がべっとりと付いており、その傷がとても深いものだったことを物語っていました。





しばらくすると、ブーンが裏山から薬草を取ってきて、それをすり潰して子猫の傷に塗ってあげました。

悲痛な鳴き声が、狭い部屋に響き渡りましたが、傷を治すためには仕方のないことでした。

薬草を塗ると、傷からは血が止まり、子猫も楽になってきたようでした。



その後、三日三晩、ブーンとツンは付きっきりで子猫の看病をしました。

そして2週間後………。





( ^ω^)「それじゃ、そろそろ行くおwwwwww」

ξ^ー^)ξ「えぇ、今日も頑張りましょw」

(,,゚Д゚)「ゴラァ!!」



子猫は元気を取り戻し、元気に歩けるようになりました。






ケガが治ってから、子猫はブーンとツンにとてもなつきました。


いつものように毎朝同じ時間に起き、朝ご飯も一緒に食べ、畑へ向かう2人へ付いて行く………。

その日から2人と1匹はいつも一緒でした。

ギコは他の猫と少しだけ鳴き声が違いますが、2人にとても可愛がられました。

それはもう、まるで自分たちの息子のように………。

ギコも2人のことをお父さんとお母さんだと思うようになりました。





ギコはその可愛さからか、村で人気者になりました。



(*゚ー゚)「ギコちゃん可愛いねwwwねぇねぇ、ナデナデしてもいい?」

( ^ω^)「おっおっwwwwおkおkwwwwwww」

(*゚ー゚)「ギコちゃん可愛いwwwwww」

(,,*゚Д゚)「ゴ、ゴラァ!!」

(´・ω・`)「それにしても、可愛い子猫だね。うらやましいよ」

( ^ω^)「おっおっおっwwww自慢の息子だおwwwwwね、ツンwwww」

ξ^ー^)ξ「えぇwwwフフフwww」

(,,゚Д゚)「ゴラァ!!」





お父さんとお母さんをを支配していた子供がいないという寂しさは、まるでギコが全部食べてしまったみたいに、消えてなくなりました。

そのおかげで、お父さんとお母さんの間には常に笑顔が絶えませんでした。



ギコはブーンのお腹の上が大好きでした。

お父さんが仰向けになって寝転がると、すぐにお父さんのお腹の上に、顔の方を向いて乗っかりました。



( ^ω^)「おっおっおっwwwwギコは甘えん坊さんだおwwwww」

(,,゚Д゚)「ゴラァ!!」



朝にお父さんを起こすとき、夜中に構ってほしいとき、急に寂しくなったとき、お父さんが風邪をひいて寝込んでしまったとき………。

よくお腹の上に乗っかっていました。





時は過ぎ、ギコがお父さんとお母さんの家に来て10年が経とうとしていました。



ぽかぽか陽気の中、一緒に桜の花を見に裏山まで散歩した、春。

暑い日差しの中、畑仕事の合間に木陰でじゃれあった、夏。

紅色に染まった木々の木漏れ日の中、里山を一緒に探検した、秋。

深い雪で村が埋まってしまった中、お父さんのお腹の上で一緒に暖かい春を待った、冬。

どれもギコにとっては、かけがえの無い思い出でした。



しかし、出会いがあれば別れもある………時というものは、とても残酷なもののようです。





( ;ω;)「ギコ!!大丈夫かお!!??しっかりするお!!」

ξ;;)ξ「ギコ!!聞こえる!!??ギコ!!!」

(;-Д-)「ゴ………ゴラァ………」



この数日の間、ギコには食欲も無く、また、以前のように走り回れるような元気も残っていませんでした。

お父さんが知っているどの薬草をギコに飲ませても、お母さんが作ったおいしい料理を食べさせようとしても、元気にはなりませんでした。

老衰………猫は人間の何倍もの速さで歳を取るらしく、ギコは人間でいうお爺ちゃんになっていたのです。

『お爺ちゃんになっても、俺はお父さんとお母さんの子ども』

それはギコにとって誇れるべきことでした。





(;-Д-)「ゴ………ラ………ァ………」

( ;ω;)「ギコ!!死ぬなお!!!!ギコ!!!!!」

ξ;;)ξ「ギコ!!ギコ!!!!」



お父さんとお母さんはギコを優しく、暖かく抱きしめてやりました。



(,,-Д-)「………」



ギコはもう起きることのない、深い眠りにつきました。






(,,゚Д゚)「何だ、ここは………ゴラァ………」



ギコが目を覚ますと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。



(,,゚Д゚)「あぁ………俺は死んだのか………ゴラァ………」

「ギコや………ギコや………」



何やら後ろの方から声が聞こえてきました。





(,,゚Д゚)「誰だゴラァ!!!」

( ´∀`)「こっちへおいでモナー」



後ろを振り向くと、そこには大きな背の高い木があり、その木の下に1人の老人が立っていました。

ギコはその老人の下へ走っていきました。



(,,゚Д゚)「誰だゴラァ!!!何で俺の名前を知ってるんだゴラァ!!!!」

( ´∀`)「まぁまぁ、そんなに怪しまなくてもいいモナー。ワシは神様だモナー」

(,,゚Д゚)「神様ぁ!!??」





白い布の服を身に纏った老人の髪の毛とヒゲは真っ白でとても長く、立派な樫の杖を持っており、いかにも神様のような風貌でした。



(,,゚Д゚)「その神様が一体、俺に何の用があるんだゴラァ!!!!」

( ´∀`)「君にご褒美をあげようと思って呼んだんだモナー」

(,,゚Д゚)「ご褒美ぃ!!??」





( ´∀`)「そうだモナー。ご褒美として願いを1つだけ叶えてあげるモナー」

(,,゚Д゚)「ご褒美ぃ!!??何だって俺にご褒美なんかくれてやるんだゴラァ!!!」

( ´∀`)「ワシは君の一生をずっと見てきたモナー。君は子供のいない夫婦に、まるでその夫婦の子供のように振舞って、寂しさを忘れさせてあげたモナー。ワシはそれを見て、とっても感動したモナー。だからご褒美として1つだけ願いをかなえてあげるモナー」

(,,゚Д゚)「本当か!!??それは本当なんだなゴラァ!!!」

( ´∀`)「本当だモナー。神様は嘘を付かないモナー」

(,,゚Д゚)「それなら俺を今すぐに生き返らせろ!!!生き返らせてお父さんととお母さんがいるところに連れて行けゴラァ!!!!」



ギコはまだ死にたくはありませんでした。

もっとお父さんとお母さんに甘えたいし、きっと2人も悲しんでいる。

そう思ったギコは神様にそう頼みました。





( ´∀`)「いいモナよー。その願い叶えてあげるモナー。ただし、条件があるモナー」

(,,゚Д゚)「条件………」



神様はギコを生き返らせる代わりに、4つの条件を出しました。




そして最後の4つ目はお父さんとお母さんにギコの生まれ変わりだと気付かれてはいけないこと。



( ´∀`)「どうモナか?この条件、飲むモナか?飲まないモナか?」

(,,゚Д゚)「………」





(,,゚Д゚)「その条件、飲んだゴラァ!!!!!!!」



ギコに迷いは微塵もありませんでした。

自分のことはどうでもいい。

とにかく、お父さんとお母さんが寂しくないように、そばにいてあげなければ………。

ギコは強い決心の下、神様に返事をしました。



( ´∀`)「よし、わかったモナー。それではさっそく、君を生き返させるモナー」

(,,゚Д゚)「ッッッッ!!!!????」



神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。





ミ,,-Д-彡「ゴ………ゴラァ………」

ミ;゚Д゚彡「ゴ、ゴラァ!!!???」



気が付くと、そこはお母さんが10年前に助けてくれた川原でした。

川の音、それに砂利の冷たい感触………どれも10年前と変わっていませんでした。

月明かりが照らす水鏡で自分の姿を見てみると、ギコの体は茶色で長い毛で覆われており、以前の面影はまったくありませんでした。



ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ………」



ギコはとりあえず、お父さんとお母さんが住んでいる家へと向かいました。





月明かりが照らす見慣れた薄暗い道をしばらく走り、10年間一緒に暮らした家に辿り着きました。

優しくて暖かい、そして懐かしい明かりが、暗い夜道を走ったギコの目に入り込んできました。

中からお父さんとお母さんの会話が聞こえてきます………。



( ´ω`)「ギコが死んで………もう半年かお………」

ξぅ−゚)ξ「そうね………早いわね………」

( ;ω;)「うぅ………ギコ………」

ミ,,゚Д゚彡「………」



窓からこっそり中の様子を伺うと、そこには今まで見たことのないお父さんとお母さんの悲しそうな表情がありました。

死んで半年………ギコは知らない間に長い時間が過ぎていたようです。

ここで生きていたときのように元気よく中に入りたいのですが、神様の条件を思い出し、そうもいきません。

このとき、ギコは自分の無力さを恥じました。





今、ここで中に入るのは不自然だろう………。

ギコはそう思い、トボトボと家から離れて行きました。

たまに後ろを振り向いて、優しくて暖かい、そして懐かしい明かりが遠くなっていくのを確認しながら………。

行く当ての無いギコは、月明かりが照らす山道を歩いていきました。

今までお父さんとお母さんに、たくさん可愛がられたことを思い出しながら………。

しばらく歩くと、お父さんとお母さんの畑が見えてきました。





今日はここで寝るか………。

行く当ての無いギコは、お父さんとお母さんが畑仕事の合間によく休憩場所として使っていた、大きな桜の木の根元に寝転がりました。

そういえば………いろんなことがあったな………。

目を閉じると、10年間の思い出が、まぶたの裏に映し出されてきて、知らないうちに大粒の涙が零れてきました。

今日は晴れていて、こんなにも月が明るくて綺麗なのに、そこだけまるで雨が降っているかのように、たくさんの涙が零れ落ちていました。

お父さんとお母さんには感謝しても感謝しきれない………たくさんの恩があるんだと、改めて思いました。





涙で濡れた顔をこすると、すぐ横に何やら石と花が置いてありました。

生きていた頃はこんな物はなかったはず………。

ギコはそれが何なのかを、涙で滲んだ視界で確認しました。

石の大きさはギコと同じくらいで、周りには色とりどりの花々が供えてあり、石には『ギコ』と彫られてありました。

これは………俺の墓………?

ギコは改めて、自分という存在がこの世から消えてしまったということを自覚しました。





俺のためなんかに墓なんか作ってくれた………。

俺のためなんかにたくさんの花を供えてくれた………。

俺のためなんかに悲しんでくれた………。

今度は………俺の番だ!!!

ギコはお父さんとお母さんに恩返しをする決心をし、眠りにつきました。






朝日がまぶた隙間から入り込んで、泥のように眠っていたギコを起こしました。

もうしばらく寝てよう………。

疲れてたギコはそう思い、再びまぶたに隙間ができないよう、固く固く閉じました。

どうやってお父さんとお母さんに恩返しをしようか………そんなことを考えながら再び気持ちのいい夢の世界へ足を踏み入れようとしたとき、何かの気配に気がつきました。



( ^ω^)「おっおっ?何だ?この猫………」

ξ゚听)ξ「見かけない猫ね………」

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」



そこにはギコを囲むようにしてしゃがんでこちらを見ている、懐かしい顔………お父さんとお母さんの顔がありました。





ミ,,゚Д゚彡「………」

ξ゚听)ξ「見かけない猫ね………」

( ^ω^)「おっおっwwwこっちへおでおwwwww」

ミ,,゚Д゚彡「ゴr………ッッッ!!!」



この前までなら、お父さんとお母さんに近づいて甘えるのが、ギコにとって何よりの幸せでした。

いつものようにお父さんに近づいて甘えようとしたとき、神様の4つの条件を思い出しました。



ミ,,゚Д゚彡「………」





ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」

(;^ω^)「ちょwwwwwいきなりなんだお!!??wwww」



お父さんがギコに手を差し伸べられた瞬間、ギコは全身の毛を逆立たせて威嚇しました。

今まで出したことのないような怒った声も、このとき生まれて初めて出しました。



ミ#゚Д゚彡「ウウウウゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」

(;^ω^)「馴れ合いを知らない猫だおwwwwwどっかのコテとは大違いだおwwwwww野生のオーラ炸裂だおwwwww」





お父さんとお母さんのそばに、少しの間だけでもいいからいたい………。

だからギコは一生懸命、お父さんとお母さんに向かって威嚇しました。

本当はこんなことはしたくない………いや、してはいけない………。

そばにいたいのに甘えてはいけない………。

神様の4つの条件が、ギコの綺麗に透き通った心を締め付けました。

ごめんなさい、ごめんなさい………そう思いながらギコは一生懸命鳴きました。





ξ゚听)ξ「この子………お腹が空いてるのかしら………」

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」

ξ゚听)ξ「よしよし………怖がらなくていいからね………」



お母さんはそう言うと、お昼ご飯のために作ったおにぎりを、ギコの前に置きました。



ξ^ー^)ξ「はいww怖がらなくていいからねwwwお食べwwww」

( ^ω^)「よしよしwwwwそれじゃ仕事するおwwwww」

ミ,,゚Д゚彡「………」





お父さんとお母さんはギコのすぐ横に荷物を置き、2人の畑へと向かいました。

目の前にはお母さんが作ったおにぎり………。

ギコは昨日から何も食べていないせいか、何も考えずに食らいつきました。

喉が詰まりそうになりましたが、空っぽのお腹にお母さんのおにぎりを詰め込みました。

途中、神様の条件を思い出しましたが、何も起こらないようなので、食べ物を貰うことは大丈夫なのだと確信しました

おにぎりを半分くらい食べ終えた頃、ギコは目頭が熱くなっているということに気が付きました。





お母さんが握ってくれたおにぎり………。

横に置かれたお父さんとお母さんの荷物からする懐かしい匂い………。

そして、お父さんとお母さんが働く様子………。

何も変わっていませんでした。

ただ変わっているのは自分の立場だけ………。

ギコはお父さんとお母さんのそばに再び戻ってこれたことに感謝しながら、残り半分のおにぎりを食べました。

残り半分のおにぎりは、なんだかギコにはしょっぱく感じてしまったようです。





お日様が1日のうち1番高くに昇る頃、お父さんとお母さんはいつものように大きな桜の木の根元で休憩を始めました。

ギコは心とは思っていることと反対のこと………お父さんとお母さんから離れたところに、ちょこんと座りました。



( ^ω^)「うはーwwww休憩するおーwwwwww」

ξ^ー^)ξ「さ、お弁当にしましょうwwww」



お父さんとお母さんはいつものようにお昼ご飯を食べ始めました。

少し離れたところからお父さんとお母さんの様子を伺って………そばに行きたいんだけど、行けなくて………。



ミ,,゚Д゚彡「………」



ギコは黙ってお父さんとお母さんを見ていることしかできませんでした。





ξ゚听)ξ「あら………さっきの猫、まだいるわ」

( ^ω^)「おっおっおっwwwww本当だおwwwwwそんなとこにいないで、こっちにおいでおwwwwww」

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」

(:^ω^)「ちょwwwwやっぱりかおwwwwwwそれじゃ仕事に戻るおwwwww」



そういうと、お父さんとお母さんは畑仕事に戻っていきました。

ギコの心の中は、寂しい気持ちと申し訳ない気持ちで、薄暗い悲しい色に染まっていました。





ギコは畑から少し離れたところで、お父さんとお母さんの畑仕事を見守っていました。

これからどうしようか………。

どうやって恩返ししようか………。

そんなことばかり考えながらお父さんとお母さんを見守っていると、いつのまにやら、お日様は真っ赤に染まりながら山の裏側に隠れようとしていました。

お父さんとお母さんも家へ帰る準備を終え、ギコの墓の前に座り込んで、目を閉じ、手を合わせました。



( ^ω^)「ギコや………今日も父ちゃんと母ちゃんはケガもなく、無事に仕事を終えることができたお………」

ξ゚听)ξ「今日はもう帰るけど………また………また明日も来るからね………」

( ぅω^)「グス………それじゃ帰るお………」

ミ,,゚Д゚彡「………」





ギコは、自分が死んだせいでお父さんとお母さんが悲しんでいる、と思いました。

お父さんとお母さんの悲しみを無くすには、神様の4つの条件を破らないように、以前のギコを忘れさせるように振舞えばいい。

ギコに大きな目標ができました。

目標のできたギコは、気付かれないように、お父さんとお母さんの後を追うことにしました。

夕焼け色の少しだけ薄暗い家路は、ギコにはとても懐かしく感じさせるものでした。

でも、以前のようにお父さんとお母さんに甘えながら家に帰ってはいけないので、なんだか心細い気がしました。




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