ξ゚听)ξ「あれ?さっきの猫………ついてきてるわ………」

( ^ω^)「あの猫はきっとツンデレなんだおwwwwww」

ミ,,゚Д゚彡「………」



家に着くと、お父さんとお母さんは家の中に入っていきました。

ギコは神様の4つの条件が気になって、中に入ることは出来ませんでした。

暗かった家に暖かな明かりが灯り、お母さんはすぐに川へ野菜を洗いに行きました。





お母さん1人で夜道は危険だ………。

玄関から出てきたお母さんを、ギコは少し離れて後を追いました。



ξ゚听)ξ「あら?さっきの………着いてきちゃったんだ」

ミ,,゚Д゚彡「………」

ξ^ー^)ξ「フフフ………お腹空いてるんでしょwww後でご飯あげるからねwww」



月明かりが照らす夜道を、ギコとお母さんが歩きます。

ギコとお母さんの間に少しだけ距離はありましたが、それはまるで、ギコが生きていたときのような光景でした。






川に着くと、お母さんはいつものように野菜を洗い始めました。

ギコはお母さんに寄り添いたい気持ちを一生懸命抑え、少し離れたところでちょこんと座りました。



ξ^ー^)ξ「フフフ………すぐに終わるから待っててねwww」

ミ,,゚Д゚彡「………」



そのときでした。





「ウウウウゥゥゥゥゥ………ワン!!!!ワン!!!!!111!!!」

「ヴヴヴヴヴヴ………」



ギコがいる反対側の、お母さんから少し離れた暗闇の中から、獰猛そうな野犬数匹が現れました。

今にもお母さんを襲いかかるかのように、涎を垂らしながら威嚇していました。



ξ;゚听)ξ「ちょ………ちょっと………」

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!!!!!!!111!!」



お母さんを守らなきゃ………!!!

ギコはそれ以外のことは考えず、自分よりも何倍も大きい野犬に全速力で立ち向かっていきました。





ミ,,-Д-彡「………」

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」

( ^ω^)「おっおっおっwwww起きたみたいだおwwwww」

ξ;;)ξ「よかった………よかったぁ………」



目を覚ますと、お父さんとお母さんの顔がギコを覗き込んでいました。

懐かしい天井の色、家の暖かい明かり、生きていたときに布団として使っていた座布団………。

どうやら家の中にいるようです。





ミ,,゚Д゚彡「………」



お母さんは………!?

お母さんを見てみると、ケガはしていないようです。

どうやらお母さんは無事みたいです。

ギコは安心しました。

そして、すぐに神様の4つの条件が頭をよぎり、家を出るために起き上がろうとしました。



ミ;゚Д゚彡「………グッッッ!!!???」



少しでも動こうとすると、それを拒むかのように全身に激痛が走りました。

体のいたるところに薬草を染み込ませた包帯が巻かれてあります。





ξ;凵G)ξ「ありがとうね………私なんかのために、本当にありがとうね………」

( ^ω^)「おっおっおっwwwwwお前は偉い猫だおwwwwwたった1匹で野犬をやっつけてしまうなんてwwwwww」

ミ,,゚Д゚彡「………」

( ^ω^)「それにしても酷い傷だおwwwwww治るまで、ここで休んでいくといいおwwwwwww」



全くそのときのことは覚えていませんが、どうやら野犬を全部やっつけたようです。

その代償として全身にたくさんの傷を負ってしまいました。

神様の4つの条件が気になりましたが、冷静に考えてみると、どうやら家に入ることは大丈夫なんだと確信しました。





恩返しのためにお母さんを助けるつもりが、逆に世話になってしまった………。

ギコは、これからもっと恩返しをしなければならないと、強く強く心に決めました。

お母さんが助かったことを知ってホッとしたのか、ギコは急に眠たくなり、目を閉じました。



( ^ω^)「おっおっおっwwwww寝てしまったおwwwww………なんだかギコに似ているおwww」

ξ^ー^)ξ「フフフ………そうねwww」

( ^ω^)「そうだおwwwこの猫をフサギコって呼ぶお!!!wwwww」





それから数週間、フサギコという名前をお父さんから貰ったギコは、家の中で療養しました。

神様の4つの条件が気になり、お父さんとお母さんがギコに触ろうとすると、相変わらず全身の毛を逆立たせて威嚇しました。

それでもお父さんとお母さんはギコを嫌いになんかならず、家に居させてくれました。

ギコは申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちで一杯でした。

ケガが治ると、ギコはお父さんとお母さんと共に行動しました。

畑仕事をするとき、山に薬草を取りに行くとき、お母さんが川に野菜を洗いに行くとき………。

生きていたときよりも少しだけ距離はありましたが、お父さんとお母さんを守るため、ずっとずっと着いていきました。





ギコは何度も何度もお父さんとお母さんに甘えそうになったり、『ゴラァ!!!』と鳴きそうになりました。

だけど、一生懸命に我慢し、お父さんとお母さんへの恩返しをしました。

家にいるネズミを全部捕まえたり、畑仕事に行くときに忘れ物があると教えてあげたり………。

ギコは一生懸命に頑張りました。



しかし、ある日の晩に事件が起こりました。





ギコとお父さん、お母さんが眠りに着いた丑三つ時………1人の男が家に忍び込もうとしました。



(*'A`)「フヒヒヒ………サーセンwwwwww」



男の名前はドクオ。

夜な夜な人の家に忍び込み、お金を盗んで生計を立てている泥棒です。



(*'A`)「ンッフwwwwフヒハッ☆さて………仕事すんべかwwwwフヒヒ………」





ドクオは物音1つ立てずに、家に忍び込みました。

土足のまま、タンスのある部屋へ入っていきました。



('A`)「まずはタンスの中を拝見させて頂きますか………」



ドクオがタンスを開けようとしたとき、ドクオも気付かないようなカタッという小さな音が出てしまいました。



ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」





ギコはすぐに異変に気付き、タンスのある部屋へと走っていきました。



(*'A`)「あらぁ………お財布発見wwwwグフフフ………wwwww」

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!ゴラァァァァァアアアアアア!!!!!1111111!!!!!!」

((:*'A`))「ビクンッ☆フヒハッwwwwwwwサーセンwwwwwwww」

('A`)「って、ただの猫じゃんかよ………驚かせやがって……… ブ チ 殺 す ぞ 」

ミ#゚Д゚彡「ゴラァァァァァアアアアアア!!!!!1111111!!!!!!」



ギコはこの男が泥棒だと確信し、力いっぱい足に噛み付きました。





(;'A`)「イッテェェェェエエエエエエ!!!!111!何すんだ!!!!11!!このファッキン猫!!!!!1111!!!」



ギコは何度もドクオの片方の足で蹴られながらも、一生懸命噛みました。

ギコの口がドクオの血で一杯になったところで、口を離しました。



ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!!」

(#'A`)「この野郎………俺のシルクの肌を傷つけやがって………ブチ殺してやらぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!11!!!」

(#゚ω゚)「誰じゃいコラァァァァアァァアアアアアアアアアア!!!!!!!11!!!」





騒ぎに気付いたお父さんが、タンスのある部屋へと勢いよく入ってきました。



(;'A`)「ヤッベ!!気付かれた!!!ドロンします☆フヒハハハハハハハwwwwwwwwww」

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!!」



お父さんに見つかったドクオは一目散に家を飛び出し、夜の闇へと消えていきました。

お父さんは部屋の様子と、ドクオ、それにギコの逆立った毛を見て、一体何が起きたのか把握しました。





( ^ω^)「フサギコ………お前、泥棒が来たのを教えてくれたのかお?wwwww」

ミ,,゚Д゚彡「………」

( ^ω^)「そうかおそうかおwwwwwwお前は賢い猫だおwwwwwwww」



ギコはとても嬉しく思いました。

お父さんとお母さんの役に立ってもらえた………。

ギコはこれからもずっとずっと、お父さんとお母さんに恩返しをしていこうと心に決めました。




時は過ぎ、ギコがお父さんとお母さんの家に戻ってきて3年が経とうとしていました。



ぽかぽか陽気の中、少し離れて歩いたけど、桜の花を見に裏山まで散歩した、春。

暑い日差しの中、お父さんとお母さんの畑仕事の手伝いをした、夏。

紅色に染まった木々の木漏れ日の中、お父さんとお母さんのために栗やキノコを採ってきた、秋。

深い雪で村が埋まってしまった中、お父さんとお母さんのために暖を取るための木の枝を運んできた、冬。

ギコはいつも一生懸命に頑張りました。



そんな、もうすぐ夏になろうとしている、梅雨の雨の日のことでした。





( ´ω`)「………ゴホッゴホッ………」

ξ゚−゚)ξ「ブーン………大丈夫………?」

( ´ω`)「………大丈夫………だお………ゴホッゴホッ………」

ミ,,゚Д゚彡「………」



お父さんは病気で倒れてしまいました。





あんなに元気だったお父さんが、ここ数日の間に起き上がることもできないくらいに病気で衰弱してしまいました。

ギコが裏山からいろんな薬草を持ってきて、お母さんが煎じてお父さんに飲ませても、治りませんでした。

お医者さんに見せても、どうすることもできないと言われました。

お医者さんが言うには、現代の医学では治すことができず、持って残り数日の命だということでした。



ミ,,゚Д゚彡「………」



お父さんに何もすることができないギコは、自分の非力さに情けなくなってきました。

部屋は雨が瓦に叩きつけられる音と、ギコとお母さんの悲しみで支配してました。





ある日の晩、ギコはお父さんが寝静まったことを確認し、お父さんの顔を覗き込みました。

お父さんは以前のような、ふっくらとした顔ではなく、骨と皮だけの、可哀想な姿になっていました。

寝息も以前のような、気持ちよさそうな夢心地のものではなく、とても苦しそうな地獄で息をしているようなものでした。

ギコは変わり果てたお父さんの姿を見て、目頭が熱くなっているのがわかりました。

初めてギコを拾ってくれたこと、野良猫なのにちゃんとお世話をしてくれたこと、生まれ変わってからも優しくしてくれたこと………。

思い出と感謝の気持ちはギコの心から溢れるくらいあるのに、助けることができない………。

ギコは自分の非力さに情けなく、悔しくなってしまいました。





そのとき、目頭に溜まったギコの涙がお父さんの額に零れました。

どうやら、お父さんはギコが枕もとにいることに気付いたようです。



( ´ω`)「ゴホッゴホッ………フサギコかお………?」

ミ,,ぅД;彡「………」

( ´ω`)「ごめんだお………ゴホッ………咳がうるさくて寝れないのかお………ごめんだお………」

ミ,,;Д;彡「………」

( ´ω`)「フサギコや………お願いがあるんだお………」

ミ,,ぅД;彡「………」

( ´ω`)「もう………ゴホッ………僕は長くないから………僕の代わりに………ツ、ツンを………守ってほしいお………」





お父さんの震える声がギコの心に突き刺さりました。

お父さんへの最期の恩返しは、お父さんの代わりにお母さんを守ること………?

ギコはお父さんへの恩返しを、そんな形で終わらせたくはありませんでした。

お父さんが天国へ逝ってしまう前に、何かできないんだろうか。

ギコは小さい頭の中で一生懸命考えましたが、答えを導き出すことはできませんでした。



ギコは、お父さんが再び眠りにつくのを見届けて、寝ることにしました。





ギコはお父さんにしてあげる、最期の恩返しのことを考えながら、夢の世界へと入っていきました。



ミ,,゚Д゚彡「………ん?何だ、ここは………ゴラァ………」

ミ,,゚Д゚彡「………あぁ、夢か………ゴラァ………」



気が付くと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。

でも、それはいつか見たことのある、素晴らしい光景でした。



ミ,,゚Д゚彡「ここは………来たことがあるぞ!!!………ゴラァ!!!!!!」

「ギコや………ギコや………」



何やら後ろの方から声が聞こえてきました。





ミ,,゚Д゚彡「誰だゴラァ!!!」

( ´∀`)「こっちへおいでモナー」

ミ;゚Д゚彡「お、お前は………!」



後ろを振り向くと、そこには大きな背の高い木があり、その木の下に1人の老人が立っていました。

白い布の服、真っ白でとても長い髭と髪、立派な樫の杖、それに特徴的な喋り方………あのときの神様のようです。

ギコはその神様の下へ走っていきました。



( ´∀`)「久しぶりモナねー、ギコ。いや、今はフサギコと呼ぶべきモナか?」

ミ,,゚Д゚彡「何の用だゴラァ!!!俺はちゃんと約束を守っているぞゴラァ!!!!」

( ´∀`)「まぁまぁ、今日はそんなことで君を呼び出したんじゃないモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「何だと!!!???」





( ´∀`)「君を生き返えらせてから、今日までずっと君の事を見ていたモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「だから何なんだゴラァ!!!!」

( ´∀`)「まぁまぁ、落ち着くモナよ。ちょっと条件を破りそうな危ない感じのときもあったけど、君はワシが出した条件をちゃんと守って、あの2人のために恩返しをしている姿を見て、ワシはまた感動したモナー」

ミ,,゚Д゚彡「………」

( ´∀`)「だから、今回も君にご褒美をあげるモナー」

ミ,,゚Д゚彡「………ッッッ!!!???」





( ´∀`)「君のお父さん、君がこの夢から覚めて5時間後に死ぬモナー」

ミ,,゚Д゚彡「な、なんだって!!!???」

( ´∀`)「だから君のお父さんを助ける方法を教えてあげるモナー」

ミ,,゚Д゚彡「ほ、本当か!!!???」

( ´∀`)「本当だモナよ。神様は何だってできるモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「だったら、さっさと教えろゴラァ!!!!!!1111!!」





( ´∀`)「そう慌てるモナよ。なーに、簡単なことモナー」

ミ,,゚Д゚彡「………」

( ´∀`)「君のお父さんのお腹の上で『ゴラァ!!』って鳴いて、自分がギコの生まれ変わりだってことを気付かせれば、1発で治るモナー。次の日から現場復帰可能だモナー」

ミ,,゚Д゚彡「わかったぞゴラァ!!!!!わかったから、さっさと夢から覚ましやがれゴラァ!!!!!!!111111!!」

( ´∀`)「まぁまぁ、最後まで話を聞くモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「………」

( ´∀`)「ワシが出した条件は君が死ぬまで有効だってことを忘れてはいけないモナよ?」

ミ,,゚Д゚彡「そ、それじゃ………俺は………」





( ´∀`)「そうモナー。君のお父さんが元気になる替わりに、君が死ぬモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「………」



神様が言った一言は、ギコの小さな体に重く圧し掛かりました。

次こそ本当に死んでしまう………。

もうこれ以上、お父さんとお母さんのそばにいることはできない………。

だけど、答えはもう決まっていました。





( ´∀`)「どうモナか?やるモナか?やらないモナか?」

ミ,,゚Д゚彡「わかった!!!!やってやる!!!!だから、さっさと夢から覚ましやがれゴラァ!!!!!!!!111!」

( ´∀`)「よし、わかったモナー。それでは起こすモナよー」

ミ;゚Д゚彡「ッッッッ!!!!????」



神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。





ミ,,-Д-彡「………」

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」



ギコは目を覚ますとすぐに、お父さんたちが寝ている部屋へと走っていきました。

今日は梅雨の時期には珍しく、窓の外は青空に染まっていたのですが、ギコはそんなのには目もくれず、急いで走りました。

一刻も早くお父さんを苦しみから解き放ってあげたい………。

ギコの頭の中は、その1文によって支配されていました。





部屋につくと、お父さんは苦しそうな寝息を立てながら眠っていました。

お母さんのお布団は片付けられていました。

どうやら朝ご飯の支度をしているようです。

ギコは、その小さな口にお父さんのお布団を咥え、上半身が出るくらいまで捲り上げました。

そしてギコはお父さんのお腹の上に乗り、力いっぱい鳴きました。



ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」





( ´ω`)「ん………お………フサギコ………?」

ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」



どうやらお父さんは起きたようです。

これで自分をギコの生まれ変わりだと気付いてくれれば………。

ギコは休まず鳴き続けました。




ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」





ギコの目からは大粒の涙がお父さんのお腹の上に零れ落ちていました。

これでお父さんとお母さんとは最期なんだ………。

ギコは泣かずにはいられませんでした。



ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」

( ´ω`)「ギコ………?」





ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」

( ´ω`)「そうかお………お前は………ギコだったのかお………」

ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」

( ´ω`)「ギコや………ゴホッ………今まで気付かなくて、ごめんだったお………」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと!!!!ギコなの!!!???」



お母さんもギコの鳴き声に気付いたようで、台所から走ってきたようです。





これで最期………お母さんに気付かれてもいいだろう………。

昨日までギコの頭の中を支配していた無力感は充実感へと変わっていました。

これでお父さんは助かる………本当に恩返しができたんだ………。



ミ,,;Д;彡「ゴラァァァァァアア!!!!!!!!!!!!!!!!1111!!!!!!!!!



ギコは最期のお別れの意味も込めて、大きな声で鳴いて部屋を走って出ていきました。





ギコは一生懸命は走りました。

雨上がりの空は、ギコの透き通った心のように限りなく青に近い色でした。

毎日、お父さんとお母さん一緒に歩いた山道を抜け畑へ………。

これで来るのが最期となる畑を名残惜しく思いながら、畑の先にある誰も入らない山へと入っていきました。

ギコの亡骸はお父さんとお母さんに見られたくいない………。

ギコはそう思いながら、誰も入ることない山の奥深くへと走りました。





ここまで来れば見つかることもないだろう………。

そう思った瞬間、強烈な眠気に襲われました。

大きな木の根元で無意識的に横になると、まぶたが重たくなってきました。

しっとりとした、少しだけ冷たい土がとても心地よく感じてしまいまい、よけいに眠たくなってきました。

………あぁ………これで最期か………。

ギコはお父さんとお母さんとの思い出を思い出しながら、最期のときを待つことにしました。





ケガをした自分をお母さんが拾ってくれて、お父さんが傷を治してくれたこと………。

お父さんとお母さんと一緒に毎日、畑へ通ったこと………。

お父さんとお母さんと楽しい10年間を過ごしたこと………。

死んでも自分のことを忘れてくれなかったこと………。

畑の近くに立派なお墓を作ってくれたこと………。

生まれ変わってもなお、優しくしてくれた3年間………。

どれもギコにとっては宝物でした。



今までの思い出が映し出されているまぶたの裏のスクリーンが、段々と白く薄くなってきました。

………これで………これで本当に最期か………。

ギコはお父さんとお母さんの、これからの幸せを願いながら、眠りにつきました。





ミ,,゚Д゚彡「………ん?ここは………ゴラァ………」

ミ,,゚Д゚彡「………本当に死んでしまったようだな………ゴラァ………」



気が付くと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。

ギコは本当に死んでしまったことを実感したようです。



「ギコや………ギコや………」



後ろの方から声が聞こえてきました。





ミ,,゚Д゚彡「………」

( ;∀;)「こっちへおいでモナー」

ミ,,゚Д゚彡「………」



大きな背の高い木の下に、白い布の服、真っ白でとても長い髭と髪で、立派な樫の杖を持った特徴的な喋り方の………あの神様が立っていました。

ギコはその神様の下へ歩いていきました。



( ;∀;)「うぅ………感動したモナよ………泣いたのなんて何100年ぶりモナよ………グスッ………」

ミ,,゚Д゚彡「約束は………約束はちゃんと守ってくれたんだろうな?ゴラァ………」

( ;∀;)「うんうん………君のお父さんはちゃんと元気になったモナよ………グスッ………」

ミ,,゚Д゚彡「………」





( ぅ∀`)「今日は何て素晴らしい日なんだモナー。心が晴れ晴れしているモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「………」

( ぅ∀`)「よし、ワシを感動させてくれたお礼として、またご褒美を上げるモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「………」

( ´∀`)「安心するモナよ。今回は何の条件も付けないモナよ。さぁ、何でも叶えてやるモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「俺は………」

( ´∀`)「うんうん」

ミ,,゚Д゚彡「俺は………俺はまた、お父さんとお母さんの子どもになりたいゴラァ!!!!!!」





( ´∀`)「お安い御用だモナよ。それではさっそく、お父さんとお母さんの子どもになるモナよ」

ミ,,゚Д゚彡「ッッッッ!!!!????」



神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。



( ´∀`)「これだけ強くなったんだモナ………きっと、あの2人を守れるような強い子どもになれるモナよ………今度こそ………今度こそ幸せになるモナよ………」



その10ヵ月後………桜が例年以上に咲き誇った春………お父さんとお母さんの間に、それはそれは可愛い子どもが生まれました。







                   おしまい




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