( ^ω^)「ん、どうしたお。」
('A`)「なんでもねぇよ。」
(*゚ー゚)「あの、こんにちは……」
( ^ω^)「おっ、こんにちわだお。」
軽く挨拶を交わし、ガレージの中へ進むブーン。
何も考えていないような顔が、ドクオの目には無表情でひょうきんなピエロに見えた。
( ^ω^)「こちらは誰だお?」
('A`)「俺と同じクラスのしぃさん。で、こっちがブーン。」
(*゚ー゚)「よろしく。」
( ^ω^)「おっ、よろしくだお。それよりもドクオさっき勝手に飛ばしてたお。
学校から見てたけど滅茶苦茶びっくりしたお。なに考えてんだお。」
少し鈍く思い口調でドクオを咎める。
( ^ω^) の最高速度は215キロのようです 第二話 夕暮れ万歳
( ^ω^)「こちらは誰だお?」
('A`)「俺と同じクラスのしぃさん。で、こっちがブーン。」
(*゚ー゚)「よろしく。」
( ^ω^)「おっ、よろしくだお。それよりもドクオさっき勝手に飛ばしてたお。
学校から見てたけど滅茶苦茶びっくりしたお。なに考えてんだお。」
少し、鈍く重い口調でドクオを咎める。
('A`)「まあいいじゃねぇか。お前がこなかったから退屈だったんだよ。」
( ^ω^)「もぉ〜、ドックンたら寂しがり屋なんだからぁ。」
妙なしなをつくり、腰をくねらせた。
もともと怒っていたわけではなく、ただ心配だっただけなのだろう。
(*゚ー゚)「そろそろ、服も乾いたし私行くね。」
しぃは、宣言するかのようにそう言い、干してある服のもとへと向かった。
軽く手で触り濡れ具合を確かめてから、ドクオとブーンから見て飛行艇の裏へとまわった。
今度は、覗かないで、とは言わなかった。
フロートの間からしぃの足が見える。
すとんと作業着が落ち、それを飛行艇に無造作にかけた。
( ^ω^)「ふひひひひひ。」
卑猥な笑いと声を押し殺しているブーンが、静かに、そして滑らかに飛行艇に近寄る。
それを見たドクオはブーンを羽交い絞めにして、わざと大げさに叫んだ。
('A`)「おい、しぃ。ブーンが覗こうとしてるぞ!早く着替えろ!」
(;^ω^)「ちょ、ドクさん。」
ブーンがドクオを振り返ると、意地の悪い笑みを浮かべたドクオの顔が目に入った。
(*゚ー゚)「そんなに見たいなら来てもいいよ〜」
(*^ω^)「そうですかお。じゃ遠慮なく。ほれドクオ、我のやんごとなき体に触れるでない。」
(*゚ー゚)「あなたー、早くきて〜ん。」
少し躊躇してドクオはブーンから手を離す。
どうしたものか迷っていると、ブーンは足音を隠さずに近づいていった。
機首の方から回り込もうとしていたブーン。
距離を置いているドクオからは、逆方向からしぃが出てくるのが見えた。
(*^ω^)「ふひひひひひ、こーんにーちわー。」
( ^ω^)「おっ?」
顔だけのぞかせるように、ブーンが体を傾ける。だがそこには何もいなかった。
ブーンの後ろにしぃが忍び寄る。
(*゚ー゚)「わッ!!」
しぃは大声と共に、自らの膝でブーンの膝裏を勢いよく押し出した。
驚き、支える場所を失ってがくんと膝を床につくブーン。
( .ω゜)「ひぎっ!」
(*゚ー゚)「あはははは、ばーかばーか。じゃあねドクオ君。また明日。」
('A`)「お、おう。」
それだけ言ってしぃは足早にガレージを後にした。
残されたのは、正座のまま足を立てているブーンと、それを見ているドクオ。
ドクオは、しぃがさっきのこと怒ってたのかなと想像するも、答えは見つからなかった。
(;^ω^)「なんなんだおあの女?」
('A`)「いや、お前が悪い。それと俺も帰るわ、今日はもう疲れた。日も沈みかけてるしいいだろ。」
( ^ω^)「いいお。僕はちょっと人と会うからここにいるお。」
('A`)「わかった。じゃあの。」
( ^ω^)ノ「バイブー。」
ドクオがガレージから出て行き、扉を閉めた。
それから、20秒もしないうちに、ほとんど入れ違えでブーンの客が入ってきた。
ξ゚听)ξ「こ〜んに〜ちは〜」
中にいる人を確かめるかのように、語尾を延ばしてガレージ内を見渡す。
( ^ω^)「ツン、こっちだお。」
ξ゚听)ξ「ああ居たのね、間違えたかと思ったじゃない。」
( ^ω^)「わざわざ着替えてこなくてもいいのに。」
そう言いつつも、制服姿でないツンの姿に、わずかだけ気持ちが傾いた。
幼い頃はよく見ていたけれども、最近はあまりツンのそういった姿を見たことがなかった。
ブーンは珍しいものを見るのと同じ感覚かなと考える。
ξ゚听)ξ「ふん、別にいいじゃない。そんなことより早く乗せてよ。もうすぐ暗くなっちゃうわよ。」
( ^ω^)「いいお。じゃ、悪いけど準備するからちょっと待っててお。」
ガレージのシャッターを開けて、川への道をつくる。
ドクオがやったのと同じく飛行艇を川に浮かべ、ツンに座るよう促す。
( ^ω^)「じゃあ、前に乗ってお。」
ξ゚听)ξ「ようやく、果たしてくれるのね。」
( ^ω^)「そうだお。約束したお、ツンを飛行艇に乗せるって。僕は約束は忘れないし破らないお。」
ξ゚听)ξ「そ、じゃあたしも守らなきゃね。」
何がと聞こうとしたブーンを背に、ツンがフロートの上に乗った。飛行艇の重心がずれる。
ツンはそれに気付き慌てて、前席へと体を入れた。慌てている姿を見ながら、ブーンも少し誇らしげな気持ちになった。
( ^ω^)「ツン、出発するお。」
ξ゚听)ξ「りょーかい。」
エンジンの回転速度を上げて、推進力を作り出す。機体は、ゆるゆると前へ進んでいった。
ξ゚听)ξ「ねぇ、いつ飛ぶの?」
( ^ω^)「もうちょっと先で加速するお。この辺は飛行禁止区域なんだお。」
ξ゚听)ξ「そうなんだ。そのときになったら教えてね。」
( ^ω^)「おっおっ、了解だお。」
太陽の、地面に近い所が沈みかかった空を見た。思えば遠くへ来たもんだと感じる。
いつだったか、小さい頃ツンに約束をしたことがあった。ツンは覚えているだろうか。
飛行禁止区域を出てからスロットルを押し上げて加速する。
エンジン音が徐々にやる気を出していくかのように、だんだんと滑らかな高音になっていった。
フロートの終端から水しぶきを上げて、機体が浮かんだ。
通りすがりの船や、川岸の船乗り場から笑いながら手を振る人もいた。
それに応えるようにブーンとツンは、狭いコックピット内から手を出して左右に振った。
川に沿ってゆっくりとカーブを繰り返しながら、海上へと出る。
振り返ると、独立して、個々のものとして建っていたものが、空からは一つのものに見えた。
ブーンがそう思っていると、それを見透かしたかのごとく、ツンの声が聞こえた。
ξ゚听)ξ「なんか一杯の建物があって、一つの町って感じね。実際そうなんだろうけど。」
( ^ω^)「そうだおね。」
ξ゚听)ξ「今日は無理かな。あれ。」
( ^ω^)「あれ?」
ξ゚听)ξ「覚えてない?雲海を見せてくれるって約束。小さい頃したじゃない。」
( ^ω^)「そうだったかお?」
なんとなく、そんな約束をした気もした。夢を見た後はっきりと思い出せない、靄の中に包み込まれている感覚。
何かのきっかけさえあれば、一気に記憶の底から浮上する類の思い出。
だから、いくら頭の中を探してもどうしても思い出すことはできなかった。
ξ♯゚听)ξ「まさか忘れたって言うの?さっき自分で言ったじゃない。」
急に声が低くなったツン。大事なことだったのかなと考えるけど、ブーンは思い出せない。
けれども今日は雲海は見れない。空を見ればすぐにわかることだ。だから悪びれもせずに言った。
( ^ω^)「ツンを乗せてあげるって約束は覚えてるお。他はよく覚えてないお。
でも、まあいいじゃないかお。今日は雲がかかってないから無理だお。」
ξ♯゚听)ξ「……」
ツンは無邪気に話すブーンに、圧力を伴なった無言の空気で返した。
しかし、そんなことは露知らずブーンは飛行艇の操縦を楽しげにしている。
東の空はまだ青い。
しかし西の空は赤が濃くなっていき、段々と夜に変わろうとしている。
( ^ω^)「ツン、そろそろ帰るお。」
ξ゚听)ξ「ええいいわよ。雲海はまた今度見せてね。」
( ^ω^)「まかしとくお。今度は絶対に見せるお。」
機首を自分達が住む町のほうへと向けて、ゆっくりと高度を落とした。
海へ出たときと同じコースを辿り、また川に沿って飛んでいく。
右手の方角にまだ沈まない太陽が見えた。
ツンは右手で頬杖をつき、すっと目を細めて見ている。
ツンの顔が赤く染まり、赤と黒のほんのわずかだけのグラデーションができた。
頬にはまつ毛が影を落としている。革の頭巾から出ている長い髪が空に流れていた。
それを見たブーンは一回だけ心臓が大きく波打った。
ふいに前にいるのが誰かと思って、自分の中のツンを探ってみる。
そう、いつも自分に悪態をつくツン。気に入らないことがあると怒るツン。
そして尻を蹴っ飛ばすツン。尻餅をついた自分を笑うツン。
でも、陰口を叩かないツン。僕の悪口が出ると反駁するツン。
最近は減ったけどいつも口喧嘩をするツン。小さい頃の約束を律儀に覚えてくれるツン。
だけれど、それらが合わさっても、目の前のツンには今考えた一つも当てはまらない気がした。
ブーンも、首を捻り真っ赤な太陽を見てみる。ツンが何を見ているのかが気になったから。
けれども何を見ているのかわからなかった。目線を追ってもはっきりとわからない。
( ^ω^)「ねぇツン。何を見てるんだお?」
ξ゚听)ξ「ん〜、別に。あっちの方見てただけ。」
( ^ω^)「あっちって太陽の方かお?」
ξ゚听)ξ「そうよ。綺麗じゃない。赤から段々と紫になっていくのが。」
ブーンはもう一度首を捻ってみる。
ツンの言ったとおり赤色の空と青色の空が交わるところは紫色の空だった。
首を元の向きに戻してツンを見る。やっぱりどこか曖昧でもやもやしている視線。
だけれども、ブーンにはそれが紫色の空よりいいものに見えた。
ぼーっとツンの横顔を見ているとプロペラの羽音と、エンジンの連続的な爆発音と、なにかが聞こえた。機体は僅かずつ下降し
ξ;゚听)ξ「ヘビャシ!」
(;^ω^)「ヘグッ!!」
唐突に、機体が水面を水きり石みたいにバウンドした。
その衝撃で体が上下に揺すぶられ、そのせいで目の前のものがぶれて見える。
ξ;゚听)ξ「ブレーキブレーキ!!」
(;^ω^)「おうおうおうおう。」
焦りのため、目一杯エアブレーキをかけるブーン。
水面に接触すると同時にかけてしまったため、衝撃が一層強まる。
ξ;゚听)ξ「ファイ!」
(;^ω^)「シャウ!!」
機体が前のめりになりつつ水上を滑る。正面に川の水面が見え、勢いよくしぶきを上がる。
前後どっちに倒そうかと少し迷ってから、体ごと操縦桿を引いた。
歯切れのいい水を叩く音があたりに響いて、機体は通常より速いままタキシングにはいった。
スロットルを下げ、徐々に速度を落として、行き交う船と同じ程度で進む。
途中船に乗っている男から、二人っきりで空中散歩か、と声をかけられた。
ツンは軽く微笑んでいたが、ブーンは顔を赤らめて苦笑し手を左右に振った。
ガレージの前まで来て、エンジンを切った。ボフンボフンと二回音を立てて停止する。
機体を包み込んでいた振動の幕が消え去り、耳鳴りと共に周囲の音が聞こえた。
どこかで、モペッドについた小さなエンジンの音が鳴っている。
ξ;゚听)ξ「なにやってるのよ!お尻がシェイクされたじゃない。
あたしの真っ白でプリティなお尻が、今はお猿さんのように真っ赤っかよ。」
(;^ω^)「す、すまんお。僕もお尻がシェイクされて真っ二つだお。」
ξ;゚听)ξ「ばっかじゃないの。もとから割れてるでしょ。それにあんたのは割れてなくても割れててもどうでももいいのよ」
(;^ω^)「ヒドスだお。」
ξ゚听)ξ「もお、せっかくあたしもブーンとの……ああ、もういいわ!」
( ^ω^)「おっおっなんだお?そういえばツンとの約束ってなんだったかお?
一緒に空を飛ぶことと、雲海を見せることと、あと何かあったかお?」
ξ;゚听)ξ「な、なんでもないわよ。気にしなくていいのよ。」
( ^ω^)「?」
ξ゚听)ξ「ほら、早くしまいなさいよ。もうすぐ暗くなるわよ。」
ツンに促されガレージ側のフロートに足を降ろすブーン。
それに続いてツンも、同じフロートに乗っかった。フロート部がいつもより多めに沈む。
ブーンが川岸に飛ぼうと機体から手を離ししゃがみこんだ。
跳ぼうとして脚に力を入れたとき、それを阻止するためツンが口を開く。
ξ゚听)ξ「ちょっとまった。」
( ^ω^)「なんだお?」
ξ;゚听)ξ「ブーンが約束果たしてくれたから、あ、あたしもブーンとの約束果たすわよ。
いい、約束したからだからね。あたしがしたいって訳じゃないのよ。」
走っていたモペッドのエンジン音が途絶えた。
川の流れによる浮き沈みのため、ブーンの手は機体を掴んだ。
( ^ω^)「約束ってなんだお?教えてくれお。」
ξ;゚听)ξ「教えてあげるから目を瞑りなさいよ。いい開けちゃ駄目よ。」
(;^ω^)「わかったお。でも、川に落とすとかは無しにしてくれお。」
ブーンが目を瞑り、バランスを取る基準がないため、機体を掴む手に力を入れた。
風が熱されたエンジンから熱量を奪って、生ぬるい温かさになり二人の間を通り過ぎる。
ブーンの唇にこそばゆい何かが触れた。すぐにツンの髪だと気付き、近くに居るんだとわかった。
もう一度、風がふき、唇にあたる髪が多くなった。真正面にツンがいる所為か顔に風があたらない。
( -ω-)「なにするんだお?」
ξ;゚听)ξ「黙ってなさい。」
さらにもう一度、風がふき、焦げた匂いの中に、甘い香りがした。
唇に髪が触れなくなった。
(;-ω-)「ツン、近いお……」
ξ;゚听)ξ「いいから黙ってて。」
風は、ブーンの体にほとんどあたらなかった。そのかわりツンの体温と思わしきものが感じられる。
今はもう、甘い香りしかしない。
( ゚д゚ )「うぉーい。お前らなにやってんだ」
( -ω-)「お?」
聞き覚えのある声がし、ブーンはその発生源を見ようと目を開こうとした。
うっすら開けたまぶたの間から、ツンの顔が大きく入っている。何事かと思う隙もなく
ξ;゚听)ξ「そりゃ、せっい!」
(;^ω^)「ぬお!」
ツンがブーンの肩を鷲掴みにして、多分少し冷たいぐらいであろう川へと倒れこむ。
四方に水しぶきを飛ばし、二人の体はそれと逆に沈んでいった。
とにかく明かりのあるほうへと考え、ぼやけて見える水の中で必死に水面を探す。
手を振り、足を振り、水面から飛び出していった。ツンに文句を言うため、大きく息を吸い込み周りを見渡す。
(;^ω^)「なにすんだお?!」
ξ;゚听)ξ「うっさいわね、いきなり声をかけられたから足が滑ったのよ。」
(;^ω^)「それにしてはわざとっぽいような気もするお。」
ξ;゚听)ξ「なによ、あたしも落ちてんのよ。わざとなわけないじゃない。」
(;^ω^)「確かに……」
ツンの言う通り、わざとと言い切るには無理があると考えた。
しかし、それでは一体何のためだったのだろうか。
そう思ったとき先ほどの声の主が二人に呼びかけた。
( ゚д゚ )「なにやってんだ、お前ら?まあいい。ブーンよく聞け。
今度の日曜日お前追試だから学校にくるんだぞ。」
(;^ω^)「そ、そんな。今度の日曜は駄目ですお。」
( ゚д゚ )「馬鹿もん。自業自得だろうが。赤点ばっかり取りやがって。
もし来なかったら留年確定だからちゃんとくるんだぞ。」
用件だけを伝え、近くに止めてあったモペッドに乗って、去っていった。
二人はお互いの顔を口を開いたまま見合い、ブーンは小さく、どうしようと呟いた。
( ^ω^) の最高速度は215キロのようです 2話終わり
ドックン番外編
('A`)「ちっくしょう。なんだあいつは。せっかくの機会を台無しにしやがって。
ああいったものはその場の雰囲気というものが大事であって、簡単にはできないんだぞ。
それをあいつは、いとも簡単にぶっ壊しやがった。許せん。」
似たような語句を何べんも繰り返し、ぶつぶつと呟きながら歩いていた。
通りすがる人が訝しげな目をおくるが、そんなことには気付かない。
('A`)「くそ。」
('∀`)「でも、あれ……」
('∀`)「うひひひひひ。」
('A`)「それをあいつは……」
思い出しては喜んで、深く思い出すほど腹が立つ。
そんな記憶の階段を昇り降りしていたら、いつのまにか自宅へと着いていた。
('A`)「ただい……はっ!!」
ドアを開けた瞬間に、ドクオのシナプスが急激にネットワークを構築した。
今日ガレージから帰るときに女の子とすれ違ったのを思い出したのだ。
見たことのある顔だと今になって気付く。ドクオのインスピレーションは今マックスだ。
('A`)「もしや。在り得る。あの状況、あの場所、あの二人。
高確率だ」
家のドアを力いっぱい閉め、走り出す。
お前にだけ、そんなことはさせない。絶対邪魔してやる。
それが友達だろブーン。
とにかくさせない、やらせない。絶対にだ。そんな気持ちが拡大した。
とはいえ、悪意のあるものではなく、むしろ悪戯をしに行く気分だった。
それでも、後ろめたさがあったのか、はては予想する罪悪感の所為か
落ちそうになる気分を盛り上げるために、復讐者などと悪役を気取ってみる。
('A`)「俺はトラだ、悪いトラだ。そうだ。幸せを食ってやるんだ。そのために生まれてきた。」
走って息切れしながら、吐く息と共に自家製の呪いの言葉を唱える。
しかし、ガレージについた頃にはすでに二人はおらず、飛行艇もなかった。
('A`)「ふっ、いい度胸じゃねぇか。楽しんできな。絶対に邪魔してやるぜ。」
二人がいないことにドクオは望みを絶たなかった。
いや、むしろ料理のスパイスにきつい香辛料を入れて味を引き立てるかのごとくに感じた。
そして、それはとてつもない美味だと確信した。
しかし、飛行艇が着水するのはここではない。飛行可能な場所に行かなければいけない。
ただ、そうなると範囲が広くなる。とりあえずガレージを出て考えてみる。
ドクオの横を一台のモペッドが通り過ぎた。それに大声で呼びかける。
('A`)「ミルナ先生―。」
( ゚д゚ )「ん、おう、ドクオだっけか?」
モペッドが停止し、搭乗者が自分に言うかのように呟く。
('A`)「先生協力してください。ブーンがまずいんです。このままじゃ奴は暗黒面へと堕ちてしまいます。
是非とも先生の協力が必要なんです。ブーンを探してください、お願いします。」
( ゚д゚ )「なんだ知ってるのか?俺もブーンに言いたいことがあるんだ。どこにいるか知ってるか?」
('A`)「いえ、いまはわかりません。でも、青い飛行艇に乗っています。もうすぐ日が落ちますから
すぐに戻ってきます。」
( ゚д゚ )「そうか、青い飛行艇か。よし、見かけたら近くによってみよう。じゃあなドクオ。」
ミルナは5、6メートル走ってからモペッドを始動させ、角を曲がっていった。
ドクオはとりあえず、飛行禁止区域から出るところに行こうと思い、歩き出した。
目的地に着いて、辺りを見回してから煙草に火をつける。
何本か吸い終わった後、空に黒い点が見え、そしてエンジン音が聞こえた。
吸っていた煙草を川に放り投げ、ランナーズハイの走者よろしく素晴らしい笑顔で飛行艇を追った。
('∀`)「ひーひっひっひー。させねぇ、させねぇぜブーンちゃん。絶対にナー!!」
ドックン番外編 〜おわり〜
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