ヒートはビデオガールのようです

LOVE#FINAL  恋愛








8月31日。夏休み最終日。

残った課題もなんのその。残暑の厳しさなんのその。


渡辺さん。君の微笑み一つで僕は・・・!!






从'ー'从「・・どうしたの?内藤くん。なんだかカタイよ?」

( ^ω^)「ご、ごめんだおww」




憧れの渡辺さんと街を歩く。

・・なんて素敵なことなんだろう。



__


从'ー'从「”ブーンがリプレイするようです”面白かったね♪」



( ;ω;)「ま、まだ涙が止まらないおーー!!」
 
从'ー'从「内藤くん、涙もろいんだねww」

( ;ω;)「む!! "アルファベットを武器に戦うようです"!?」

从'ー'从「今、世界で興行収入一位の戦争モノだねっ。早くも海賊版フィルムが一日何本も出回ってるらしいわよ」

( ;ω;)「こ、これも観に行くお!!」

从;'ー'从「だ、駄目だよう」

( ^ω^)「・・はっ!! すまんおww」



__


从'ー'从「ねーねー、あのブームくん人形ほしいなぁ・・」



( ^ω^)「・・・あ、また失敗したお」


( ^ω^)「積み重なる100円玉!!」

( ^ω^)「かすりもしないクレーン!!」




   ( ^ω^)「世紀末の始まりだ!!!!」



___


( ^ω^)「これなんか似合うと思うおww」

从'ー'从「あーこの色とかいいよね! 内藤くん、何気にセンスある・・ww」

( ^ω^)(ヒートからこういう知識も学んだお!!)


从'ー'从「あれも、これも、あ! こっちのもいいよね!」

( ^ω^)「そ、そんなに買うのかお?」


从'ー'从「う・・うん。駄目かな?」

( ^ω^)「いや大丈夫だお!荷物持つお!!」





( ^ω^)(お・・重たすぎる・・ ww)

( ^ω^)(ま、よくあることだお)



そして僕らは当初の予定を全て消化し、公園で一休みすることにした。




从'ー'从「・・内藤君って思った通りの人だったなぁ」

(;^ω^)「ど、どんな・・?」



从'ー'从「優しくて、暖かい感じかなぁ・・」

(;^ω^)「そ、そおかお・・ww」



从'ー'从「・・・」

( ^ω^)「・・・」



さあどうする? さすがに昼間からイチャついたカップルはいないが・・

この沈黙は、完全に「その」雰囲気だ。

・・ここはガシッとやるしかないのか?

・・・・しかし緊張する。

・・昨日の前置きがあっただけに。

・・・・ヒートとの。








从'ー'从「内藤君・・?」

またもや先手を取ったのは渡辺さんだった。
そして僕もまた彼女の話を黙って聞くしか術がなくなる。



从'ー'从「私ね、元彼と別れたあと、好きな人がいたの・・・」


( ^ω^)「・・・・へ?」



从'ー'从「・・・・でもね」


(;^ω^)(「いたんです」だお!過去形だお!何を動揺してるんだ僕ww 今日だって現にデートしてるじゃないか・・)


(;^ω^)「で、でもなに?」



从'ー'从「私って、傷つくのが怖くて、いつも告白できないし、気がある素振りもできなくてね・・」


(;^ω^)(ぼっ、僕と同じだお)

(;^ω^)(・・でも渡辺さんは美人だから、ほっといても男が寄り付くって寸法だお)



从'ー'从「たまに目が合うと嬉しかったなぁ・・」

从'ー'从「あと、わざわざバイト先に会いに来てくれたりして・・」



   ( ^ω^)



从'ー'从「だからどうせ、告白できないんなら、このまま遠くから思ってればいいって・・」



   (;^ω^)



从'ー'从「これ以上、好きにならないようにしてたの。ほんと、いくじなしだよね」



   (; ω )



从'ー'从「でも、それで正解だったみたい」






    その人には、好きな人がいたんだもん。





(  ω )「・・・」


(  ω )「・・え?」



从'ー'从「本人は気づいてないみたいだけどね・・」



そう言うと渡辺さんは立ち上がり、改まったように僕に語りかける。



从'ー'从「・・今日は本当にありがとう」




从;ー;从「思い出として、大事にとっておきます・・」



















  ・・・・ヒートちゃん



              ・・・大事にしてあげてね?



僕は公園で渡辺さんと別れた。


心をからっぽにしたまま歩く。


・・これって、軽く失恋しちゃったぽい?


いや、誤解なのに・・


誤解なのか!?


ならあのとき






( ^ω^)「なぜ、僕は否定しなかったんだお?」



( ^ω^)「・・・ん?」

( ^ω^)「ここは確か、ビデオ屋があったところ・・」


そこは完璧なまでの空き地になっていた。建物があった痕跡さえない。
・・なぜなんだろう。


( ^ω^)「・・ここに来たの、ちょうど一ヶ月前だったお・・」




( ^ω^)「!!!!!!!!!!!」



『( ^ω^)「・・・・一ヶ月!?なんだおそれ。そんなに見てられるかおww」』




( ^ω^)「きょ、今日は31日・・・・」



(;^ω^)「ヒーーート!!!!!!!!!!」





____




ノハ )「ビデオガールたるもの・・・」



ノハ )「傷つき、落ち込んだ男子諸君を精神的意味でなぐさめ・・」


ノハ )「励まし、次なる恋愛へと飛躍させることを目的とし・・」







ノハ )「恋愛感情は持つべからず・・・か」



ノハ )「ドクオのおっさんに怒られちまうぜ・・・」






ノハ;;)「・・・オレ」




ノハ;;)「ビデオガール失格だなっ・・・・・・」


ノハ;;)「ちぇっ、人間なんて面倒くせーよ・・」


ノハ;;)「なんで涙なんか出るんだよ・・ うっ、うっ・・・」


_____



(;^ω^)「ヒィィィイイトォオオーーーー!!!」




僕は走った。無我夢中で走った。


  ヘアスタイルが崩れる。


     ・・ヒートのアドバイスで切ってもらった髪型だ。
 


   靴や、服が泥で汚れていく。


     ・・ぜんぶ、ヒートと一緒に選んだものだ。


   渡辺さんと歩いたデートのコースを、逆走していく。


     ・・ヒートと毎日歩いた道だ。



・・そうさ、そうだよ。



今の僕は、全部、君がいたから・・・ 





___


家に着き、僕は部屋と急いだ。


ばんっ!


(;^ω^)「ヒートーーー!!!!」





だが、部屋には誰もいない。

物が散らかってるだけの部屋にまた戻ってしまったのか・・。

やっぱり、間に合わなかったのか・・・。



僕は跪き、声を殺して、泣いた。
止められない。止めようとするほど、ヒートとの日々が深くオーバーラップして、それが涙になって流れてしまう。





ノパ听)「オレ、ヒート!よろしくな」

ノパ听)「可愛いから気にいってんだ!これがあるとさ、髪がうっとうしくなくていいんだ」

ノパ听)「もっとビシッとしろ!!」

ノパ听)「よし! ビデオガール・ヒート!! ひと肌脱いでやるよ!!!」

ノパ听)「オレに柔らかいほうの椅子を座らせただろ?気がきいているね」

ノハ )「・・・ちなみにあの後は、抱くなりキスするなり・・ 好きにしな!!」




・・・・・・・・・・・・・



( ;ω;)「バカヤロー・・・」



( ;ω;)「黙って、消えやがって・・・」



( ;ω;)「居候させた礼のひとつでも・・・言ってけお・・・・」




( ;ω;)「こんなに!! こんなに好きなのに・・・・・」







いなくなって



はじめて


気付くなんて・・・・・・・。



後ろのほうに、柔らかい暖かさを感じる。


僕の頭に、何かが被さる。


・・・これは、ヒートに貸してた僕の帽子・・・!!!













ノパ听)「オレも・・大好きだよ」






後ろを振り向くと、光に・・・あのレンタルビデオ屋の入り口で瞬いていたような光に包まれたヒートがいた。
帽子をはずして、髪を下ろし・・、優しく、今までにないくらい柔らかな表情で・・



あの日、あの時、パッケージで初めて見たときの顔だった。





あいつめ・・・、こんな顔も、持ってたんだな・・・。




いや、本当はいつもこんな感じだったんだろうな。ごめんな。ドジっちゃって・・。



( ;ω;)「ひ・・ぃ・・と・・・」




僕は後ろを振り向いた。
ヒートの顔を見ると、鼻水やら汗やら涙やら、全てが流れてしまいそうだったし、そんな姿を見せたくもなかった・・。



(ω;  )「な、なぁんだ。いたのかお」



ノハ )「こっちむけよ」


(ω;  )「あ あしたは 学校だけどよぉ」


ノハ )「・・・」



(ω;  )「始業式で早く終わるんだお」


ノハ )「おい」


(;ω^ )「また・・映画でも・・・・・」



ヒートは強引に僕の体を振り向かせた。
そして、間髪入れず、唇を重ねて・・・・。





僕の体に覆いかぶさってくるヒートの瞳から、涙が走る。
・・あいつの泣き顔なんて、初めてだなぁ。








僕とヒートは、長い時間、キスをした。
ヒートの体から溢れる光が、どんどん多くなってくる。



・・もう、本当にお別れの時間なんだな。


唇を離し、僕とヒートは、最後の会話を交わす。



ノハ;;)「・・これだけはさ、まだ教えてなかったもんな・・・」




( ;ω;)「へへっ・・使う機会もなさそうだお・・」




ノハ;;)「なんだよ・・。フラれちまったのか?」



( ;ω;)「誰かさんのおかげだお・・・ww」




ノハ;;)「・・ちぇっ。やっぱりオレは、ビデオガール失格だなぁ・・・」



( ;ω;)「なぁに言ってんだお・・」









二人の間に、とても優しい沈黙が流れる。
最後の最後に・・ 僕とヒートは、力一杯に抱き合った。
この暖かさ・・ この匂い・・ 柔らかさ・・ 全て・・ 全て僕は忘れない。
しかし、しっかりと抱きしめているヒートの肉体が、どんどん光に変わっていき、デッキの中のテープへと戻っていく。

・・さよなら。  本当にさよなら。






   ヒート!!!



   また、会うんだお・・


   な?



             うん



    ぜったい!



    ぜったいまた会えるんだお・・・・・・・・。



             うんっ・・・


    ヒート・・・



_____

_______

__________



___あのビデオ屋は二度と僕の目の前に現れなかった。

もう、ヒートには会えないんだろうか?







そして、

気がつくと、7年が経っていた。

僕はすっかり社会人になった。

・・・あれから僕は、色んな恋愛を経験してきた。

でも、やっぱり・・


心のどこかで・・



___


僕はいつでも"あのボウシ"を持っていた。

僕も、ヒートも気に入っていた可愛い帽子。

それに、元々は僕の物なのに、なんだかヒートの形見みたいに扱っていたんだ。

今ではもう、随分汚れてしまって・・・。



( ^ω^)「えーと・・ラウンジ商社はどこだお?」


( ^ω^)「どわっち!!!」





( ^ω^)「あーあ・・ 仕事鞄の中身が全部バラバラになっちまったお・・」




「災難ですねえ」


( ^ω^)「あっ、拾ってくれるんですかお?助かりますおーww」



「急いでるときに限って転ぶなんて・・よくあることですよね。あら、これ・・」




( ^ω^)「・・・・・!」















( ^ω^)




「この帽子、あなたの?」






( ^ω^)「ええ」









 ノパー゚)  『かわいいボウシね』










( ;ω;)「・・・・・ええ」




ノパー゚)                (^ω^ )
















また・・・                 






 会えたね!



-fin-

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