(´・ω・`)先生は苦労気味のようです  [ログ]  [続きへ]  戻る



(´・ω・`)「ブーン君」

( ^ω^)「はいですお」

(´・ω・`)「ドクオ君」

('A`)「はい」

(´・ω・`)「クーさん」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(´・ω・`)「……」



(´・ω・`)「男子はこの教室で着替えてください。女子は更衣室で」

「はーい」


川 ゚ -゚) ぬぎっ

( ^ω^)「ちょwwwwwせんせ、せんせせんせー!」

('A`)「……っ!」

(;´・ω・`)「クーさん。女子は更衣室って言ったでしょ!」

川 ゚ -゚)「いいえ」

('A`)ハァハァ ウッ



(´・ω・`)「はぁー」

('、`*川「ショボン先生、どうぞ」

(´・ω・`)「あ、ぺニサス先生。ありがとうございます」

('、`*川「ため息なんかついて、どうしたんですか。ショボン先生らしくない」

(´・ω・`)「いやね……うちの学校って、ほんと聞き分けのいい子ばっかり
      だったんだなぁって思って」

('、`*川「え? だったら、いいじゃないですか。心配事なんかなくて」

(´・ω・`)「いや、そうじゃないんだ。
      今まで反抗してくる子がいなかったからこそ、対処の方法がわからんのだよ」



('、`*川「問題児発生ですか? ヤンキー? それともスケバン?」

(;´・ω・`)「いやいや、小学校でそんな子はいませんよ。
       そうじゃなくて、何だろう。天邪鬼な子、といいますか」

('、`*川「ほほう、天邪鬼」

(´・ω・`)「ええ。僕の指示と全く逆の事をするんですよ。
       反抗的な態度だったらまだ叱れるんですが、どうも何を考えているのか
       わからない子でして」

('、`*川「もしかして、クーちゃんですか?」

(´・ω・`)「うん。そういえば、ぺニサス先生は、クーの担任をしていた事があるよね」




('、`*川「ええ。でも、そんなに捻くれた子じゃなかったですよ。
     むしろ、素直でよくお手伝いもしてくれる良い子でしたねー」

(´・ω・`)「そうなの? 僕の印象と全く逆なんだけど……。
      隙があれば、すぐいたずらしてくるし。この前も、黒板消しでスーツを汚されましてね。
      さすがにその時は叱ったのですが、どうもケロっとしているというか、むしろ嬉しそうでした」

( ・∀・)「マゾなんですかね」

(;´・ω・`)「わっ! も、モララー教頭」

('、`*川「いきなり現れて何言ってるんですか、もう。小学生にマゾもサドもないでしょう」

( ・∀・)「どうでしょうかね? 人間は生まれながらにして、自我が存在する。
      ならば大人だろうと子供だろうと、考え方は違えど同じような物は奥底にあるんじゃないでしょうか」



(;´・ω・`)「は、はぁ」

( ・∀・)「おっと失礼。ついつい喋りすぎてしまった。
      学生時代、哲学を専攻していたものでね。ハハハ」

('、`*川「私はもっと単純な理由だと思いますよ」

(´・ω・`)「単純?」

('、`*川「つまり、好きなんですよ。クーちゃんはショボン先生のことが」

(;´・ω・`)「ええ? それはないでしょう。五年生ですよ?
       それに僕は三十代だし、ほら、小学生ってじゃにいずとかアイドル系が
       好みでしょう?」

('、`*川「いやいや、大人の魅力に惹かれたのかもしれませんよ。
     女の子って、高学年になると急にませ始めますからねー」

(´・ω・`)「ないですって、絶対。僕だって自分がもてない事くらいは自負してますし」

( ・∀・)「ハハハ、世の中に絶対なんて言葉はないのだよ。ショボン先生」



( ゚∋゚)「クーがショボン先生にほれているなど、絶対にあり得ない!」

(;´・ω・`)「わっ! クックル先生、いきなり大声を出さないで下さいよ」

( ゚∋゚)「失礼! 自分、体育会系ですから、地声が大きいもんでね!
     で、さっきから話を聞いていたのですが、ショボン先生! あなた、社会科の先生ですよね!」

(´・ω・`)「そうですけど……」

('、`*川(話繋がってねー)

( ゚∋゚)「いいですか!? 女子にもてると言えば、何と言っても体育の先生でしょう!
     ほとばしる筋肉! 大人の男の渋い魅力! まさに女の子の憧れですよ! ええ!」

( ・∀・)「つまり、クックル先生は何がおっしゃりたいのですか?」

( ゚∋゚)「その体育教師である私がモテてないのに、ショボン先生が先を越す事は絶対にありえないということです!」

('、`*川「な、何ですか。そのめちゃくちゃな理論は」




( ゚∋゚)「めちゃくちゃではない! データに基づいた立派な事実です!」

('、`*川「というか、その理屈、ショボン先生に失礼だと思うんですけど。
     出来れば心の中にしまっておいてもらえませんかね。一生」

(;゚∋゚)「な、ななな! それはどういう意味ですかなぺニサス先生!」

('、`*川「暑苦しい上にうざいという事です」

(;゚∋゚)「あ、あんたそれでも教職者か! 私の理論を頭ごなしに否定するなど、断じて……」

(;´・ω・`)「ま、まあまあ。僕のことはもういいですから。
       それより、クーちゃんの事なんですけど」

(´・ω・`)「何かのサインである事は、間違いないと思うんです。
      僕、今度の日曜日に家庭訪問してみます」

('、`*川「ですね。何か原因があるとすれば、家か学校のどちらかですし、
     私も見かけたら声かけて探ってみますね」

(;゚∋゚)「なぬ! 家庭訪問なら私がっ! 私が是非!」

( ・∀・)「クックル君は正直でいいねえ。でも、くれぐれもワイドショーにのるような
      問題は起こさないでくれよ。起こすなら他の学校に移動してから頼む。
      三区のラウンジ中とかさ。あそこの校長、毎回毎回偉そうに……」






( ^ω^)「きりーつ、礼」
('A`)「っしたー」

「帰ろうぜー」「ゲームやりてー」

(´・ω・`)「クー、ちょっといいかな」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(;´・ω・`)「そこは、はい。でしょ?」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(´・ω・`)「まったくもう。じゃあ、聞き方をかえるよ。
      今日、クーの家に行かなくていいかい?」

川 ゚ -゚)「……」
ダッ

(;´・ω・`)「あ、ちょっと!」

( ^ω^)「ドクオ。先生がクーに振られたお」

('A`)「禁断の恋……ウッ」



次の日

(´・ω・`)「ブーン」

( ^ω^)「はーい」

(´・ω・`)「ドクオ」

('A`)しこしこ 「うっ!」

(´・ω・`)「クー」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(;´・ω・`)「はぁ……そんな捻くれた事を続けるなら、
       本当に欠席にしちゃうよ?」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(´・ω・`)「……はぁ」




(´・ω・`)「……それで、何とか話を聞こうと努力はしてみたんですけど、
      いつも逃げられちゃうんですよね」

('、`*川「うーん。クラスでの様子はどうですか?」

(´・ω・`)「友達とは普通に話してるみたいですよ。
      僕との会話の時だけ、ひねくれるんですよ」

ガラガラー

( ゚∋゚)「ショボン先生、嫌がられてるんじゃないんですか? はっはっは!
     女子は味方につけないと駄目ですよ。私みたいにね! はっはっは!」

(;´・ω・`)「は、はぁ。恐れ入ります」
('、`*川(動く椅子で移動するような男がもてるとは思わないけどねー)

('、`*川「私はむしろ、クーちゃんは凄くショボン先生に気があるんだと思うな」

(;゚∋゚)「え!?」
(´・ω・`)「え? どうしてですか」

('、`*川「ほら、子供って好きな人に構ってほしくて、ついついイタズラとかしたりしちゃうじゃない?
     クーちゃん、あれで臆病なところがあるから……これは、やっぱり……うふふ」

(;´・ω・`)「そ、そんな。困ります。
       僕はどう対処すればいいんでしょう」



('、`*川「あらら、まんざらでもない?」

(´・ω・`)「からかわないで下さいよ。相手は小学生ですよ?
      それに、僕は教師ですから、たとえ超アイドル級の小学生に迫られたとしても、
      受け入れるわけにはいかないのです」

( ゚∋゚)「ハハハ! さすがショボン先生、教育者の鏡ですなあ!」

( ・∀・)「クックル先生、ちょっといいですかー」

( ゚∋゚)「はい? ナンでしょう」

( ・∀・)「器械体操の時、女子に補助しましたよね?
      その時の件について、ちょっと苦情がきてるんで……」

( ゚∋゚)「ええー?」

バタン。

(´・ω・`)「……大丈夫ですかね」

('、`*川「まあ、教頭がもみ消すでしょ。あの人、裏金はしこたま持ってるからね。
     修学旅行で旅行会社と癒着したり色々と」




(´・ω・`)「それより、まずいなあ。困ったぞこれは」

('、`*川「大人の対応ってやつを見せてくださいよ。ショボン先生。
     参考にさせてもらいますから」

(;´・ω・`)「うわ、酷い。プレッシャーかけてきたよこの人」

('、`*川「あはは。三十代の青春ってステキですね」

(´・ω・`)「楽しんでるでしょ。もう、こっちは真剣に悩んでいるのに」

('、`*川「……ま、本当にそんな理由なら、いいんだけどね」

(´・ω・`)「え?」

('、`*川「何でもないッス。とにかく、根気強く付き合っていきましょうや。
     子供にとって、担任は羅針盤みたいなものなんですからね。
     何があっても、逃げずにきっちり、受け止めてくださいよ。先生」




( ^ω^)「きりーれい」

('A`)「ったー」

(´・ω・`)「略しすぎだろ……まあいいや。黒板係りは黒板消してから帰ってねー」

川 ゚ -゚) ばふばふばふ

(´・ω・`)「ん? ……あっ! こら! クー!
      黒板消しを教室の中で叩いちゃだめだろ!」

( ^ω^)「うわー、けむっ!」
('A`)「黒板消しのテロやー」

川 ゚ -゚) ばふばふばふ

(´・ω・`)「こら! まったく、こいつめ!」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「今日は逃がさないぞ。職員室まできなさい」



(´・ω・`)「さあ、職員室だ。何であんな事をしたのか聞かせてもらおうか」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(´・ω・`)「駄目だ。今日は、いいえなんて許さないぞ。
      ちゃんと答えられるまで、家には帰れないぞ」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(´・ω・`)「……今日で一週間だ。いい加減、教えてくれてもいいだろう?
      それは、何かのおまじないかい?」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(´・ω・`)「どうして、僕の言葉にはいいえでしか答えないんだ?」

川 ゚ -゚)「いいえ」

(#´・ω・`)「む……いい加減にしなさい!」
ドンじゃら!

川 ゚ -゚) びくっ



(#´・ω・`)「先生たち、みんな心配してるんだよ。
       ふざけてるなら、もうそろそろやめなさい」

川 ゚ -゚)「……」
ダッ

(´・ω・`)「あ、こら! まだ話は……」
ピシャン!

(´・ω・`)「逃げられた」

ガラリ

('、`*川「失敗したみたいですね、ショボン先生」

(´・ω・`)「ご覧のとおりですよ。何を考えているのか、さっぱり分からない」

('、`*川「そこを頑張って理解するのが、教師ですよ。
     子供にもプライドや意地はありますからね。直接は言えないんです。
     だから、サインをとばす。クーちゃんの天邪鬼も、何か理由があるんだと思いますよ」

(´・ω・`)「理由ねえ」

( ・∀・)「フフフ、その通り。人間の行動の裏には、必ず理由があるものさ」

(;´・ω・`)「教頭。いつからそこに」

( ・∀・)「さっき」


('、`*川「ですよね。やっぱり気になります。ただのイタズラだとは思えないし」

(´・ω・`)「そうですか? 僕は正直、反抗期ってやつだと思い始めてます」

( ・∀・)「盗んだバイクで走り出す〜」

('、`*川「反抗期ねえ。でも、男の子ならともかく、女の子は……ああいう反抗の仕方はしないと思います」

(´・ω・`)「違うんですか?」

('、`*川「女の子なら、むしろ年上の男性との関わりを避けると思います。
     ほら、父親と一緒に洗濯しないで、とか」

( ・∀・)「しぃぃぃぃ! どうしてお父さんの後の風呂はいやなんていうんだぁぁぁ!」

(´・ω・`)「教頭……」
('、`*川「娘さんが、反抗期らしいんですよ。ね? 女の子って、そういうものなんです」



('、`*川「とにかく、一度、家庭訪問をして探りを入れたほうがいいと思います」

(´・ω・`)「うん。わかった。今度、ゲリラでお邪魔してみるよ」

('、`*川「ええ。私も、隠密を何人か使っていじめや勢力争いに変化がないか、調べてみます」

(;´・ω・`)「隠密って……なんですか、そりゃ」

('、`*川「私の手ごまですよ。情報屋にコネがあると、楽ですよ? クラスの制圧」

( ・∀・)「ハハハ。どんな社会でも情報は大切だからねえ。
      学校は戦争だー。次期校長の座は私のものだー」





( ^ω^)「掃除だりぃおwwww」
('A`)しこしこ

(´・ω・`)「二人とも、ちょっといいかい?」

( ^ω^)「何ですか? テスト勉強ならちゃんとしてますおwwww」

(´・ω・`)「いや、違うんだ。実はクーについて色々聞きたいんだけど」

( ^ω^)「クー? はっ、ま、まさか先生あんた!」
('A`)「三十代教師の暴走……うっ!」

(;´・ω・`)「ち、ちげーよ! じゃなくて、ただ何か変わった所がないか聞きたいんだ」

( ^ω^)「変わったところぉ〜?」
('A`)「胸」

(;´・ω・`)「態度だよ、態度。体じゃないっての」





( ^ω^)「なーんだ。つまんね」
('A`)「現実主義っぷりに絶望した」

(´・ω・`)「はぁ。いいから、教えてくれ。何か有益な情報をくれたら
      今度のテスト、少しだけ出るとこ教えてあげるからさ」

( ^ω^)「はい。協力します」
('A`) ピシッ!

(;´・ω・`)「早いなオイ! まあ、いい。
       とにかく、以前のクーと比べて、何か変化した所はないか?」

( ^ω^)「うーん……元々、変わりものだったからよくわからんお」
('A`)「……話した事無い。夢の中で……っと。げふん」

(´・ω・`)「そうか。ドクオ君の言葉は聞かなかったことにするよ」

( ^ω^)「あ、そういえば」

(´・ω・`)「何かあるのかい?」



( ^ω^)「クー、ピアニスト目指してるらしいお」

(´・ω・`)「ピアニスト?」

(´・ω・`)(そういえば、お母さんがピアノ教室の先生だったっけ)

( ^ω^)「だおだお。毎日、めっちゃ練習してるらしいお」

('A`)「そういえば……手にたこできてた」

(´・ω・`)「手にタコ? 気付かなかったな、それは」

('A`)「……フッ。お、おれは、毎日クーさんの体、みてるから」

(´・ω・`)「それも聞かなかった事にするよ。ドクオ君は喋れば喋るほど埃が出てくるね」



( ^ω^)「とにかく、最近はめちゃくちゃ忙しいらしいお。
       なんでも、知り合いの子がプロに認められて、ちやほやされてるらしいお」

('A`)「他所の子への嫉妬……母さん。おれはどうなってもいいの?」

(´・ω・`)(ピアノか。そこにヒントがあるのかどうかはわからないが
      手がかりにはなったな)

(´・ω・`)「ありがとう、二人とも」

( ^ω^)「いいってことですおー。ちゃんとリターンがあるんですからwwwうめぇwww」
('A`)「スルーされた……鬱ダ死のう」

(´・ω・`)「助かったよ。あ、それでテストに出る場所だけど」

( ^ω^)「メモ帳準備完了!」

(´・ω・`)「教科書の二十ページから二十六ページまで。ちゃんと勉強しとけよ」

( ^ω^)「それ範囲じゃねぇぇぇヵおおおおおおお!!
       ちくしょおおおおおお!!大人なんて嫌いだぁぁぁぁ!!」

ドドドドドっ!

(´・ω・`)「やれやれ」






(゚、゚トソン「それで、音楽教師である私の所に来たというわけですか」

(´・ω・`)「はい。何か知っているんじゃないかと思いまして」

(゚、゚トソン「……クーですか。彼女には、私も困っているのですよ」

(´・ω・`)「え? どういう事ですか?」

(゚、゚トソン「彼女、音楽の授業に参加してくれないんですよ」

(´・ω・`)「……え?」

(゚、゚トソン「歌も歌わない。リコーダーも吹かない。音符の問題も、白紙で出す。
     理由を聞いても答えてくれないし、そろそろ相談しに行こうとしていた頃合だったのですよ」

(´・ω・`)(どういう事だ? クーは、音楽が得意なハズだ。
      ピアノを習っているのなら、音符だって読めるだろう)

(゚、゚トソン「どうします? このままだと、他の生徒も真似して授業が成り立たなく恐れがあります」

(´・ω・`)「……すいません。彼女は僕に任せてくれませんか?
      必ず、理由があるんだと思います。根は、素直でいい子ですから」

(゚、゚トソン「はい。それは私も存じあげています。
     一年前は、授業にも積極的だったんですけどね。正直、心配です」



(´・ω・`)「……と、言う訳で、今から家庭訪問に行ってきます」

('、`*川「うーん。何だかややこしくなりそうですね」

( ゚∋゚)「女性問題がですか!? ショボン先生、抜け駆けは――!」
( ・∀・)「はーい、クックル先生は始末書の続きを書きましょうねー」
( ゚∋゚)「教頭! そんな、ちょっと会話に加わるくらいいいじゃないですかー! 鬼!」
( ・∀・)「やかましい犯罪者予備軍がっ!」


('、`*川「とにかく、最初からがっついちゃ駄目ですよ?
     一回目は様子見です。子供は鋭いですから、悟られないようにしてくださいね」

(´・ω・`)「はい。それでは、行ってきます」





(´・ω・`)「……と、言う訳で、クーの家にホイホイやってきたわけだが。
      でかい家だなー、こりゃ」

(´・ω・`)「っと、無駄に気負うな。楽に行こう」
ピンポーン

「はぁいザマス」

(;´・ω・`)「(ザマス!?)あ、あの。クーさんの担任の、ショボンと申しますが」

「あんらぁ! 先生ザマスかぁ! 今、扉を開けるザマスゥ!」

ウィィィン……

J( 'ー`)し「こんばんわぁザマス! クーの母ザマス!」

(;´・ω・`)「あ、これはどうも。夜分遅くすみません」

J( 'ー`)し「センセ! まだ夕方ザマスよぉ!? ささ、どうぞ上がってくださいまし!」

(;´・ω・`)(これは……想像以上に辛い仕事になりそうだ)





(´・ω・`)(リビング広っ! ソファー柔らかっ!)

J( 'ー`)し「ささ、センセ! 本場イギリスの紅茶ザマス!
      安物で申し訳ないザマスが、どうぞ飲み干してくださいまし!」

(;´・ω・`)「あ、どうもありがとうございます。いただきます」

ごくごく

(;´・ω・`)(まずっ! これ明らかにパチモンだろ!)

J( 'ー`)し「お口に合いましたザマス?」

(;´・ω・`)「と、とても美味しいです(うぇー!)」

J( 'ー`)し「うぉほほほほ! 良かったザマス! それは主人が英国に仕事に行ったときに……
      あ、主人はヴィップ株式会社の幹部なんザマスけどね? 出身大学はもちろんバーバード大学でえ」

三十分後

J( 'ー`)し「という訳なんザマス。うぉほほほほほ!」

(;´・ω・`)(自慢なげぇぇぇぇ!!)




J( 'ー`)し「あ、そういえばこの花瓶は」

(;´・ω・`)「あ、あの。そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか?」

J( 'ー`)し「あら、私ったらつい話が長くなってしまいましたザマス!
      うぉほほほほ! ほほ! うぉえっほ!」

(;´・ω・`)(咳き込んだっ!)

(´・ω・`)「え、えと。クーさんはピアノが得意だそうで……」

J( 'ー`)し きゅぴーん

J( 'ー`)し「もっちろんザマス! センセ、これをご覧下さいまし!」

ザァァァァ!(カーテンが動く音)

(´・ω・`)「わ。凄い。賞状がいくつも」

J( 'ー`)し「これ、全部アノ子がとったんざますよぉ!?
      今年から本格的にコンクールにも出て、いよいよ天才ピアニスト誕生の時ザマス!
      これからテレビにも出演すると思うので、是非インタビューの際はセンセ、
      クーの顔を立ててやってくださいな! ふほほほ! ほほ! ほっほ!」





(´・ω・`)「凄いんですね。まだ小学生なのに、ピアノの才能がもう」

J( 'ー`)し「当ッ然ですわ! クーには知り合いの講師を何人もつけて
      毎日練習させてますもの! 親として、子供の才能を伸ばすのは
      当然のことザマスよぉぉぉ!? うぇほほほ!」

(;´・ω・`)「……そ、それで、クーさんはどこにいらっしゃるんですか?」

J( 'ー`)し「地下の練習室で、講師にレッスンを受けてましてよ?
      よかったら、覗いていくザマスか? うおおおほほほほほ! アノ子専用にと、
      私が貯金の一部を使って建てましたのよー!」

(´・ω・`)「じゃ、じゃあお言葉に甘えて、少し見学させてもらってもよろしいでしょうか」

J( 'ー`)し「ええ、ええ! もちろん!
      ささ、地下はこちらザマスよぉ!」

――……




―ピアノ室。ガラス内―

ξ゚听)ξ「何でそこで間違えるのよ、そこで!
     あんた、世界一になるって言ったでしょ?
     音楽界のエベレストになるって言ったでしょ?」

川 ゚ -゚)「……はい」

ξ゚听)ξ9m「今のあんたは、富士山だ!!」

―ガラス外―

(;´・ω・`)「す、凄いですね、何か」

J( 'ー`)し「ほほほほ! 彼女はツン。世界でも有名な天才講師ザマスよ?
      普段は人にピアノなんておしえないザマスけど、私のコネで……ほほほほ!」

こんこん

J( 'ー`)し「クーちゃん! センセがいらっしゃたわよ!」

川 ゚ -゚)「……!」



(´・ω・`)「や、やあ。悪いね、突然来ちゃって」

川 ゚ -゚)「……あ、あの」

ξ゚听)ξ「クー! 何をしてるの! ピアノの練習を続けるわよ!!」

川 ゚ -゚)「で、でも」

ξ゚听)ξ「いつも言ってるでしょ!? 返事は!」

川 ゚ -゚)「……はい」

ξ゚听)ξ「そうだ!!素直な奴はピアノがうまい!!
     何故なら乾いたスポンジはよく水を吸収するからだ!!さ、続きをやりなさい!!」

タンタターン♪

ξ゚听)ξ「失礼。レッスン中ですので、クーとのお話は後にしてくれませんか」

(;´・ω・`)「(怖っ!)あ、大丈夫です。僕、見てるだけですんで」



川 ゚ -゚)「あっ……」

ξ゚听)ξ「ちっがーう!どうして同じところで間違えるんだ!
     やる気がないならけえれー! 谷にでも山にでも海にでもかえっちまえー!」

川 ゚ -゚)「で、でも、こっちの音色の方が綺麗……」

ξ#゚听)ξ「……ぷちん」

スパァァン!!

(;´・ω・`)「なっ……」

ξ゚听)ξ「生意気な事言ってんじゃねえ!あんたが音色を語るなんて一億光年早いんだよ!
     ちょっとうまくなったからって驕るなこのカチカチ山がっ!」

川;゚ -゚)「……」

ξ゚听)ξ「返事ぃ!」

川 ゚ -゚)「……はい」

ξ゚听)ξ「聞こえん! 気分を害した。今日のレッスンは終いよ!」



どたどた。

川 - )「……」

(;´・ω・`)「あ、あのね、あなた」

ξ゚听)ξ「何か?(ギロリ)」

(´・ω・`)「……い、いいえ」

ξ゚听)ξ「フン!」

J( 'ー`)し「ツンさん! 今日もありがとうございましたぁ!
      これ、今日の分のレッスン代ザマスぅ!」

ξ゚听)ξ「ひーふーみーっと。うむ。まいど」

J( 'ー`)し「そ、それでどうザマス? クーは他の子よりもうまくなってるザマスか!?」



ξ゚听)ξ「才能は申し分ない。音感もリズム感もある。ただ」
ギロリ

川 - )ビク

ξ゚听)ξ「態度がいけませんね。音楽に向き合う真剣さが足りない。
     子供のお遊戯じゃないんですから、お母さんからもシッカリ言い聞かせてください。
     次、何か生意気を言ったら契約は打つきらせていただきますから」

J( 'ー`)し「は、はいザマス! クーちゃっ! あんた、ツンさんにもう二度と生意気言うんじゃないざますよ!
      ツンさんに教えてもらえるって事は、すっごく名誉なことなんザマスからね!」

川 ゚ -゚)「……」

J( 'ー`)し「返事は!?」

川 ゚ -゚)「……ハイ」

(;´・ω・`)(クー……)





J( 'ー`)し「それじゃ、センセ。クーちゃのこと、是非とも! なにとぞ!
      ヨロシクお願い致します!!」

(´・ω・`)「は、はい」

J( 'ー`)し「クーちゃ! バスていまでセンセを送ってあげなさい!返事は!?」

川 ゚ -゚)「はい」

(;´・ω・`)「いえ、そんな。生徒に送ってもらうわけには」

J( 'ー`)し「いえいえいえいえ!クーちゃもお外の風に当たりたいザマスよねぇ!?
      次のレッスンまで少しだけ時間がありますから、センセ、どうぞ遠慮なく!」

川 ゚ -゚) くいっ

(´・ω・`)「はあ。それじゃ、バス停まで……」



とことこ。

(´・ω・`)「いや、それにしても、あんなに凄い練習をしてるなんて
      先生驚いちゃったよ」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「クー、昔からピアノうまかったもんなぁ。
      そういえば、三年生の頃、区のイベントでひいてたもんな。
      先生もいたんだぞ。その頃は、まだクーとは面識があまりなかったけどさ」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「いや、とにかく、うん……驚いた。
      クーは才能があるんだな」

川 ゚ -゚)「ないよ」

(´・ω・`)「うん?」

川 ゚ -゚)「才能なんて、ないよ」



(´・ω・`)「どうして、そんな事を言うんだい?」

川 ゚ -゚)「本当の事だもん。私、知ってるもん」

(´・ω・`)「何を?」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「なあ、クー。教えてはくれないか?
      先生、誰にも言わないって約束するから」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「千円かけるから、信じてくれ」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「五千円かける」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「わかった。一万かけよう」

川 ゚ -゚)「……じゃあ、信じる」




とことこ。ぴたり。

川 ゚ -゚)「あの人、本当は嘘ばっかり言ってる」

(´・ω・`)「ツンっていう講師の人かい? 有名なピアニストらしいけど」

川 ゚ -゚)「昔の話。今は、ただの無職。性格が悪いから、はじかれた」

(´・ω・`)「……ふうん」

川 ゚ -゚)「だから、ああやって昔の肩書きを振りかざしてる。
     ろうがい、ってやつ」

(´・ω・`)「難しい言葉をしってるね。いや、こりゃまいったな」

川 ゚ -゚)「お母さんは、騙されてる。コンクールの結果だって、いんちき。
     私、聞いちゃったの。あいつが裏で手をまわしてるって」



(´・ω・`)(なるほどな。ようやく、クーが天邪鬼になった理由が分かった)

(´・ω・`)(お母さんも強烈だったが、思い込みの激しそうな、おまけにブランド品に
      弱そうなタイプだ。騙されても、不思議じゃない。
      と、なると元凶はあのツンとかいう女か)

川 ゚ -゚)「せんせ?」

(´・ω・`)「ああ、聞いてるよ。それで、クーは……どうしたいんだ?」

川 ゚ -゚)「えっ。……あの、今夜は帰りたくないとか、そういうのはダメだとおもう」

(´・ω・`)「君たち小学生は、どこでそんな台詞を覚えるんだ。
      そうじゃなくて、クーは、あのツンって人からピアノをこれからも教わりたい?」



川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「大丈夫。誰にも言わないよ。五万かける」

川 ゚ -゚)「……いや」

(´・ω・`)「ピアノは、もうやりたくない?」

川 ゚ -゚)「ううん……ピアノは、すき。でも、あの人はいや」

(´・ω・`)「そっか」

川 ゚ -゚)「……でも、お母さんは私にきたいしてる。
     本当に、私に才能があるっておもってる。それをうらぎっちゃうのは……くるしい」

(´・ω・`)「……!」

(´・ω・`)(たはー。なんてこったい。
      僕は少々、小学生をなめていたようだ)



(´・ω・`)(さて、どうするかな)

(´・ω・`)(教師として、家庭の問題にどこまで介入すべきか。
      クーのお母さんを説得するか、それともツンに直接引導を渡すか)

(´・ω・`)(どっちも、ややこしい問題になりそうだな。
      ……全く、教師ってのはつくづく立場の弱い職業だよ。
      しかし、このままにしておけば、間違いなくクーは耐え切れなくなる。
      それだけは、避けたい。教師として、生徒は守ってやらないと。
      いや、しかしどうしようか。お父さんはだいぶ権力がありそうだし
      下手に動けば首をとばされるかもしれないな)


川 ゚ -゚)「せんせい」

(´・ω・`)「ん? あ、ああ。すまない。ちょっとぼうっとして……」



川 ゚ -゚)「たすけて」

(´・ω・`)「!!!!!」



(´・ω・`)「……大丈夫。先生は、クーの味方だ」

川 ゚ -゚)「ほんと?」

(´・ω・`)「当たり前だ。たとえ、世界を敵に回そうと、僕はクーの味方でいるよ。
      だから、あんまり一人で抱え込むな。クーはまだ、子供なんだからさ」

川 ゚ -゚)「……うん!」

タタタタ!

(´・ω・`)「それじゃ、風邪を引かないようにな」

川 ゚ -゚)「うん。せんせも、危ない橋は渡らないでね」


(´・ω・`)「まったく、子供は何でもお見通し、か?
      参ったね、こりゃ」

(´・ω・`)「――今夜は帰れそうにないな」



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