ξ ゚听)ξは女友達が欲しいようです  [ログ]  [次へ]  [コメントへ]  戻る


昼休み、教室で昼食を食べながら、ツンはとびっきりのネタ話を披露していた。

( ;ω;)「マジかおwwwwwwwwww信じらんねーおwwwwwwwwww」

(;A;)「ひゃっはーwwwwwwwwwあひぃwwwwwwwwwwwwwwww」

(´;ω;`)「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃwwwwwwwwwwwwwww」

ξ;凵G)ξ「マジwwwwwwうけるでしょwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

彼女は人形のように整った顔を、ぐしゃぐしゃにして笑った。
鼻水が出ている気もしたが、拭くのは後回しにする。
オチのテンポが死んでしまうからだ。



ξ;凵G)ξ「でねwwwwwその黒人が言ったのよwwwwwwwwww」

( ;ω;)「なんてwwwwwwwwwwwwwww」

ξ ゚ p゚)ξ「『クーン』」

(((((( ;ω;))))))「ぶははははははwwwwwwwwwwwwwww」

(;A;)「ラスカルかてめぇはwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

(´;ω;`)「くぱぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

ξ;凵G)ξ「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

決まった。ストライク。バッターアウト。
盗み聞きしていたのであろう、机に突っ伏して寝ていたはずのクラスメイトまで吹き出す、出来のいいトークだった。



( ^ω^)「あー、面白かったおwwwツンはほんと最高だお!」

ξ*゚ー゚)ξ「ふふんっ! それほどでもないけどね!」

(´・ω・`)「いやいや、マジでバカw 女にしとくのがもったいないぐらいだよwww」

ξ*゚听)ξ「なによー、失礼しちゃうわね! それに性別は関係無くない?」

('A`)「女といえば……」

ドクオが眉間に皺を寄せて黙り込んだ。
ツンの顔をまじまじと見て、それから教室内を見渡し、視線を戻す。

('A`)「お前ってさ」




('A`)「女友達いなくね?」




ξ;゚д゚)ξ「!!!!!??」



耳を疑った。
倒れそうになった。
悪い夢に違いないと思いたかったが、五感がそれを否定した。

理由はわからない。
認めたくはない。
知られたくもなかったが、ドクオの言ったことは正解だ。

ツンには同性の友達がいなかった。
いつも野郎達の中にいた。
居心地が悪いわけではなかったが、女としてこれでいいのかと不安になる。


いや、はっきり認めるべきだろう。
ツンは同性の友人がいないのが、コンプレックスだった。
欲しくて欲しくて堪らなかったが、誰も仲良くしてくれなかった。







   ξ ゚听)ξは女友達が欲しいようです







(´・ω・`)「いくらいつも僕らといるからって、その発想は飛躍しすぎじゃない?」

('A`)「いやいや、わからんぞ。こいつ結構男ノリだしさ」

( ^ω^)「うーん、確かにツンが女子といるとこ見たことないお。
      でもだからって決め付けるのは……」

会話なんて聞こえちゃいなかった。
背中に汗をかき、足が震えた。
ツンは渾身の力で拳を握り、なんでもないような顔をする。

('A`)「まあ、ちょっと気になっただけだから、別にこの話し掘り下げようなんて気は――」

ξ ゚−゚)ξ「は? あんたらなに言っちゃっての?
       てか、普通にいるし。友達ぐらい普通いるし」

('A`)「おお、そうかそうか。まあ、そりゃそうだよな」

ξ ゚−゚)ξ「私、超いるし。友達いるし。マジ予定山だし。寝る暇ないし」

('A`)「ああ、分かったよ」

ξ ゚−゚)ξ「ガチでいるし。マジいるし。アドレス帳とかプリクラ帳とかパンク寸前で困るだし」

(;'A`)「あ、ああ……」



ξ ゚−゚)ξ「ヤバいし。スゲーいるし。がっつりいるし。大量だし。もっさりだし。毎日祭りだし」

(;'A`)

(;´・ω・`)「ドクオ……お前なんか地雷踏んだんじゃ……」

ξ ゚−゚)ξ「小学生の入学式で百人越えたし。中学じゃ全校ダチだったし。ダチのためならマジ体張るし」

ξ ゚听)ξ「ヤバいし。マジヤバしだし。山盛りだし。出馬すれば即当選だし」

ξ ゚゚听゚)ξ「ヤバくね? パナくね? お祖父ちゃん越えるし。チョリッスだし」

(;'A`)(;´・ω・`)(;^ω^)「「「……………………」」」

ξ(((((゚゚゚听゚゚)))))ξ「いるいるいるししししししるいるいるいういうIRU? IRUIRUIURIRU……」

まるで大震災に見舞われたかのように震えるツン。
ブーン達三人の背筋が、恐怖で冷えてきた。



ξ(((((゚゚゚听゚゚)))))ξ「いるいるい……る……る、る、る、る……ルービックキューブ。ブブブブ、豚ばら肉」

(;'A`)「やべぇ、バグっちまった」

(;´・ω・`)「ブ、ブーン、きみツンと一番仲いいだろう? な、なんとかしてよ」

内藤の顔はかなり引きつっていたが、意を決して話しかけた。

(;^ω^)「ツン、どうしたんだお? 少し落ち着いて――」

ξ#゚皿゚)ξ「うぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

<;^ω^)「ぎゃああああああああああああああああ!!!?」

(;´・ω・`)「噛んだあああああああ!!!」

(;'A`)「スッポンかお前は……」



ξ(゚皿゚# 彡「ふん!!!!」ギリュッ

冫^ω^)「ああああああああああああああ――……」

(;´・ω・`)「だ、大丈夫かい!? ちょっと血が出てるじゃないか!!?」

(;'A`)「グロ画像ktkr!!!」

ξ#゚д゚)ξ「私にだってねぇ、女友達ぐらい、いくらでもいるわよ!!!!
       見てなさいよ!! すぐに連れて来てやるんだから!!!!!」

ツンはそう言ったかと思えば、走り去っていった。

( ^ω^)「……ツン、一体どうしちゃったんだお?」

(;´・ω・`)「知らないよ。なんかあったんじゃない?」

('A`)「あの日かもな」

( ^ω^)「お弁当も食べかけで……なに考えてんだか」

内藤は呆れたようにため息をつき、昼食を再開した。





(*゚ー゚)「〜♪」

しぃは校内にある自販機に向かっていた。
恋人のギコにジャンケンで負け、ジュースを買いに行かされたのだ。
勝ったことに子供のようにはしゃいでいたギコを思い返すと、ほろりと頬が綻んだ。

(*゚ー゚)(普段はリードしたがるくせに、根はお子ちゃまなんだからw)

ギコは無類の甘党だ。
しかし彼自身はそんな嗜好を恥ずかしいものだと思っているらしく、
自分の前では意地を張り、甘くないやつを頼むと注文を付けてきた。

無理しちゃって、まったく。お見通しなのに。

(*゚ー゚)(……やっぱコーラがいいんだろなぁ。一日一本、必ず飲むし)

間違えて買ってきたとでも弁解しようか。
不満を言いつつ嬉しそうにするだろうギコの顔が想像できて、しぃは再び微笑した。

ξ ゚ー゚)ξ「HEY! HEY! しぃじゃんか、YOYOYOYO!! こんなとこでチェケラッチョー?」

笑いを噛み殺していたら、横合いから声を掛けられた。



(*゚ー゚)「?」

ξ ゚ー゚)ξ

すらりとした痩身で顔立ちが整った、ツインテールの女子がいた。
大きい目は気の強さを主張していたが、美点といっていいだろう。
同姓ながら、すれ違ったら目で追ってしまうぐらい綺麗な子だった。

金色の髪が良く似合う、少しだけわがままだけど育ちがいいお嬢様、といったところだろうか。

(*゚ー゚)「……えっと」

改めてまじまじと見ると、ギコと同じクラスの人のはずだと思い当たる。
確か内藤君たちといつも一緒にいる、

ξ;゚д゚)ξ「 私 を 知 ら な い の ! ? 」

(*;゚−゚)「え、あ……ごめ……」

ξ ゚゚д゚゚)ξ「 私 は 知 っ て る の に 、 貴 女 は 知 ら な い の ! ? 」



名を尋ねようとしたら怒鳴られた。
肩を掴まれて前後に揺らされる。
正直怖かった。

(*;゚−゚)「う、うん。顔はね、知ってるんだけど、名前は」

ξ ゚ー゚)ξ「……ツンよ。ツン。私の名前はツン。
       ツンドラのツン、乳首ツンツンのツン。好きな方で覚えてちょうだい」


(*;゚−゚)「は、はぁ」

ξ ゚听)ξ「じゃあ連れションいこっか」

(*;゚−゚)「……えぇ?」



ξ ゚ー゚)ξ「ああ、ごめん。大だった? したくないけど大丈夫。付き合ってあげるからw」

(*;゚−゚)「い、いやぁ……」

ξ ゚ー゚)ξ「なによー、私としぃの仲っしょwww」

(*;゚−゚)

ξ ゚听)ξ「あ、それとも連れゲロ? 連れ生理?」

(*;゚−゚)

ξ ゚听)ξ「連れオナ? 連れスカトロ? まさか連れ出産――」

(*;゚ー゚)「ごめん!!! 用事あるの忘れてた!! また今度ね!!!」

何故か強烈に殺される、という身の危険を感じたしぃは駆け出した。
ギコの元へ辿り着いた時には全身に汗が、顔は涙でぐっしょりと濡れていた。





从 ゚∀从

从 -∀从 ハフー

从 ゚∀从「暇だなぁ」

ハインは校舎裏をぶらぶらと歩いていた。

授業の開始までまだかなり時間はある。
本当は図書室にでも行って、エルマーの冒険を読みたかったが、それも叶わない。
以前、受付の子が自分が来たのを見て、失神寸前といった感じで青ざめてしまったからだ。

些か古風で、しかも誤解なのだが、スケバンといったレッテルが彼女を困らせていた。

原因は荒っぽい言動と派手な髪の色、それに護身用にと両親から持たされた特殊警棒にある。

从 ゚∀从(やっぱ髪染めるか、言葉遣いなおそっかなぁ)

从 ゚∀从(でもパパとママはとっても似合ってるって言ってるしなぁ。どーすっかなぁ)

瞬間、辺りを悲鳴が切り裂いた。男の金切り声である。
殺人鬼でも暴れてるのだろうか。
聞こえた方向へ顔を向けた。



  _
(; ∀ )「いだ……いだだだだだ……!!」

ξ#゚听)ξ「もっと! しゃっきと! 歩きなさいよね!!!」

(;・∀・)「すんません、すんません、すんません、すんません!!
      お願いっす!! 勘弁してくださいっす!! 長岡死んじゃうっすよ!!!」

从;゚∀从

女子が、ヤンキーと評判の長岡を引き摺っているのが見えた。
長岡とよく一緒にいる相棒のモララーは、半泣きで謝罪しながら後に続いている。
一体なにが起きているのだろう?

ξ ゚ー゚)ξ「あら、ハイン。探したわよw」

从;゚∀从「あえ……俺に用なの?」

ξ ゚ー゚)ξ「そうそうw 実はね、私、あなたとお友達になりたいの」

脈絡がない。話が見えない。超おっかない。
何故か幼い頃の、暖かい庇護に包まれていた記憶が蘇り、親孝行したくなる。

膝が笑っていた。



ξ ゚听)ξ「それでね、お近づきの印に……ほら、出しなさいよ!!!!」
  _
(  ∀ )「あ、あああ――……」

(;・∀・)「だからなんすか!! なに出せば長岡離してくれんすか!!?」

ξ#゚听)ξ「あんたら不良でしょ? ヤクに決まってるじゃない!!
       クサでもバツでもなんでもいいから、早く寄越しなさいよ!!!」

ξ ゚ー゚)ξ「ちょっと待っててね、ハインw すぐに用意させるからw」

この人はなにを言っているのだろう。
とても同じ言語を使っているとは思えなかった。



(;・∀・)「そ、そんなの、持ってないっすよ」

ξ ゚゚д゚゚)ξ「 嘘 を つ く な ! ! ! ! 」

長岡へ暴力が一気呵成に付与された。
ちょうどトラックに撥ねられるとこんな感じになるはずだ。

ξ ゚゚д゚゚)ξ「DQN!! 風情が!! 私を!! 騙そうと!! するだなんて!!!!!」

从 ;д从(はわ……はわわ……)

(;・∀・)「ちょwwwwwwwww タ、タバコ!! タバコじゃダメっすか!!?」

ξ ゚゚д゚゚)ξ

(;・∀・)「箱ごとあげますんで、どうかこれで!!!」

ξ ゚゚听゚)ξ「ちっ!」

女子はモララーから赤いパッケージの箱を受け取ると、こちらに歩み寄ってきた。
目は煌々と輝き、薄ら笑いを浮かべている。



ハインは咄嗟に警棒を構えた。
しかし迫り来る重圧から手に持った物がシャー芯としか思えなかった。
ああ、これが捕食者の迫力か。弱肉強食とはこれほど恐ろしいものなのか。
ハインは生を諦めた。

(;・∀・)「長岡ー!! 生きてるかー!!」
  _
(。∀°)「……オレ、モウ悪サシナイ……真面目ニイキル……」

(;・∀・)「ああ、そうしよう!! それがいい!!!」

きっとそうした方がいいのだろう。
もし生き残れたら、明日から黒髪、三つ編み、ですます口調でひっそり過ごそう。
両親は残念がるかもしれないが、死んでしまうよりずっといいはずだ……。

威圧感に耐え切れなくなったハインは、その場で静かに崩れ落ちた。





渡辺さんは学校に備え付けられた噴水へイワシを投げ入れていた。

从'ー'从「いっぱいお食べ〜」

もうお忘れであろう。あるいは元より知らない人も多いのかもしれない。
昔、ワイドショーを賑わしたあのタマちゃんに、渡辺さんは餌をやっていた。

从'ー'从「かわいいよ〜」

数ヶ月前、川で死にそうになっていたタマちゃんを保護し、ここで飼育していた。
かつての地位から凋落したアイドルへの同情心からではなく、
純粋な愛情を持って献身的に世話をする渡辺さんに、タマちゃんはすっかり懐いていた。



だからだろう。



タマ「ピギィィィィィィィィ!!!!!」

从'ー'从「ん〜?」

タマは動物の第六感で感じた迫り来る危機を、
我が身を顧みず、渡辺さんへの警告として叫ぶ。



ξ ゚゚д゚゚)ξ



凶兆を空気に滲ませる、「敵」が来た、と。



从'ー'从「あれれ〜どちら様〜?」

タマ「ピーーーーーーーーー!!!! (逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!)」

アザラシとは思えぬ跳躍力を見せるタマ。全身をバネにして金髪女へ躍りかかる。
少しでもいい、時間を稼げれば。そんな儚い願いは数瞬で掻き消える。
タマはバレーのスパイクの要領で、噴水に叩き返された。

瞬く間に起きた出来事で、目と頭が追いつかず、渡辺さんは立ち尽くしていた。

从;'ー'从「あれれ〜? なにが起きたの〜?」

ξ ゚゚д゚゚)ξ

从;'ー'从「……ふぇぇぇ?」

すとんと腰が抜けた。
みるみる力が抜けていく。
もう立てるとは思えなかった。



ξ ゚゚д゚゚)ξ

タマ「ピー! ピピー!! (俺が相手だ掛かって来い!! この死にぞこないを先に片付けろ!!)」

女はタマを無視して渡辺さんに接近。
耳元まで顔を寄せ、小さく口を動かした。

ξ ゚゚д゚゚)ξ「……――でしょう?」

从;'ー'从「ふぇ?」

ξ ゚゚д゚゚)ξ「あんたレズでしょう?」

从;'ー'从「ち、ちがうよ〜」

ξ ゚゚д゚゚)ξ「嘘よ!!!! そういう顔してるじゃない!!!!!!!」

从;'ー'从「あ、あの……あのぉ…………」

喋ろうと思ったが、顎がかたかた鳴るので声にならなかった。

从;ー;从「ひ、ひぃぃ……」

涙が止まらなかった。



渡辺さんは宿命的に悟る。私の生殺与奪はこの人が握ってると絶望混じりに思い知る。
今こうして呼吸できるのはこのお方が殺さないでくれるからだ。
死にたくない、死にたくない、死にたくない、お願いです、助けてください。

ξ ゚゚д゚゚)ξ「いいから私をおんぶなさい!!!!」

从;ー;从「わかりました〜!」

根が生えたように微動だにしなかった足が、命ぜられてあっさり動く。
言われるがまま女を背負い、歩けという指示にも従った。

ξ ゚゚ー゚゚)ξ「……背中におっぱいあたってるでしょ?」

从;ー;从「え、えぇ……?」



ξ ゚゚д゚゚)ξ「あててんのよ」



タマが最後の力を振り絞り、渡辺さんのスカートに水をぶっ掛けた。
お陰で気を失った渡辺さんは、恥をかかずにすんだ。
x




(;'A`)「押さないでくださーい! 順番はお守りくださーい!
    あっ、そこ、はみでないようお願いしまーす!」

(;´・ω・`)「こちらにお名前、学年、住所をご記入の上……いえ、印鑑は必要ございません」

(;´ω`)「ほんっっっっとに、申し訳ありませんでしたお!!!!!」

内藤は教室で土下座した。
背後の壁には「ツン対策本部室」と書かれており、長蛇の列ができていた。

(;'A`)「取り合えず謝るかって話だったけどよ、こりゃ切りがなくねーか?」

ドクオはうんざりしたように行列を眺めた。
内藤はそろそろおでこから血が出るかもしれない。



(´・ω・`)「お! そうだ!! いいこと思いついた!!」

ショボンは最前列の連中を誘導し、最後尾に並ばした。
列がぐるぐると回りだした。

('A`)「お前賢いな」

(;´ω`)「助かったお、ショボン。ありがとうだお」

(´・ω・`)「それよりどうするよ? ツンの奴、まだまだ暴れるつもりなんじゃない?」

三人は現状を確認した。

どうやらツンは女子生徒に迫り、片っ端から失神させているらしい。
といっても暴行を加えるわけではなく、精神的なプレッシャーで潰しているようだった。
動機は不明。現在位置も不明である。



(,,;゚Д゚)「た、大変だゴルァ!!!」

( ^ω^)「ギコ、どうしたんだお。しぃちゃんの付き添いで保健室にいたんじゃなかったのかお?」

(,,;゚Д゚)「その保険室に怪我人が殺到してんだゴルァ!!!!」

自分達に言うのだから聞くまでもない。
ツンの仕業なのだろう。

(,,;゚Д゚)「なんと、あの杉浦先輩もやられちまったらしんだゴルァ!!」

(;´・ω・`)「喧嘩自慢の……校内最強のヤンキー杉浦が!!?」

(,,;゚Д゚)「なんでもヒート先輩を守ろうとして、返り討ちにあったみたいだゴルァ!!
     溺死寸前で発見されたんだゴルァ!!!」

(;^ω^)「溺死って……プールで戦ったのかお?」

(,,;゚Д゚)「いや、女子トイレだゴルァ!! 便器に押し込まれてたみてーなんだゴルァ!!!」

('A`)(問題は杉浦先輩が何故女子トイレにいたかってことだけど、黙っておくぜ!! 先輩、あんた男だよ……)



(;^Д^)「た、大変だーーーーー!!! ワカビロコンビが潰された!!!!」

(;^ω^)「剣道部のエース、全国大会ベスト3の二強が墜ちただと!!?」

(;^Д^)「ちんぽっぽちゃんと三人でいたとこを、ツンが襲ったんだってよ!!
     竹刀二本をケツと口に突っ込んで、バーベキューみてぇにされたらしい!!!」

(;´・ω・`)「いったいこの学校で何が起きてんだ……? ちょっとした災害レベルじゃないか」

('A`)「ノリはパニックホラーだな。セクロスと一人になるのはよした方がいい」

ツンはいったどうしたのだろう。
普段からおしとやかという言葉とは無縁だが、いくらなんでも酷すぎる。
これではまるでテロか、校内に猛獣が解き放たれたような……

(;゚ω゚)「!!!!?」



ミセ*゚ー゚)リ ペチャクチャ ペチャクチャ (゚、゚トソン

内藤の目に止まったのは二人の女子、廊下の窓側の壁に寄りかかってお喋りしている仲良し二人。
実にほのぼのとした光景だったのだが、突如として沸いた焦燥と言い知れぬ予感が背筋を焼いた。
進化の果てに置いてきたはずの原始的な危機感が悲鳴を上げているのが、はっきりと聞こえる。

次に狩り殺されるのは、あいつらだ!

(;゚ω゚)「窓を閉めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

内藤が駆け出した瞬間、窓枠の上部から、にゅっと腕が伸びたのが見えた。

(;´・ω・`)「――!?」

(;'A`)「奴だ!!!!!!!」



その腕はミセリの頭を鷲掴みにし、引っ張り上げた。
とんでもない腕力なのだろう、なんの抵抗も無くミセリが浮いた。

(;゚ω゚)「させるかああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

間一髪で間に合った内藤は、ミセリの両足をがっしりと掴んだ。
にも関わらず、ミセリは動く、上げられる。
内藤の踏ん張りも圧倒的な力の前に負け、ずるずると引き摺られていた。

(;´・ω・`)「ブーン、いま行くぞ!! 持ち応えてくれ!!」

(;゚ω゚)「来……る……な……お」

(;´・ω・`)

(;゚ω゚)「上へ……ツンを……」

ショボンはその言葉だけで理解した。
ここでツンが手を離せば容易に逃げられてしまう。だから自分ここで食い止める。

早くツンを捕まえろ!!



ショボンは人手がいないか見渡した。
原因は恐怖なのだろう、ギコは涙目で震えており、プギャーは狂ったように笑っている。
やはり自分達しかいない。

(´・ω・`)「ドクオ、君はあっちの階段から行ってくれ。挟み撃ちにしよう」

言うが早いかショボンは走り出す。

('A`)「やれやれ、ヘビーな仕事だな……。おや?」

(;、;トソン

ドクオは取り残された女子が泣いているのに気がついた。
先ほどまで和気藹々としていた相手が、突然死の危険に晒されているのだから怖がるのも無理はない。



('A`)「お嬢ちゃん、綺麗な顔が台無しだぜ?」

ドクオは女子にキスをした。
優しく、唇に。

( 、 トソン「……んっ……」

('∀`)「つぎ会う時は笑顔を見せてくれ。その時、大人の女にしてやるよ」







ドクオはこの一件が原因で長い長い裁判を味わうことになるが、それはまた別のお話である。



(;゚ω゚)「んぎぎぎぎぃぃぃぃ――……!!!!」

内藤は引っ張っていた。渾身の力で耐えていた。
靴底は磨り減り、爪先は壁に当たっていたが、歯を食いしばって粘りに粘る。
ミセリの足を掴んだまま、後方へ全体重を傾けている。

自分の腕が抜けてもいい、ミセリが千切れたって構わない。
そんな決意を胸に秘め、ただひたすら全身全霊を費やした。

(#´・ω・`)「そこまでだああああああああ!!!!」

階上でショボンの声が響いたかと思えば、ふっと力が抜けた。
その結果、ミセリの体が引力に従い、落下しそうになる。

(;゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

どうやらミセリは意識がないようだった。だらりと脱力して成すがままになっている。
疲弊しきった内藤の腕には、些か重すぎた。



(;゚ω゚)「上は……どうなってんだお……」

('A`)「ブーン、聞こえるか!?」

(;゚ω゚)「……ドクオ……ツンは……?」

('A`)「壁伝いに逃げられた! あいつは想像以上の化けもんだ!」

(;゚ω゚)「ふんがあああああああああああああああああああああ!!!!!!」

内藤はジャーマンスープレックスの物理学を応用し、ミセリを投げ飛ばす。
ミセリは教室側の壁に激突し、事なきを得た。




流血しているように見えたのは、きっと気のせいだ。



戻って来たショボンとドクオと合流した。
今後どうするべきかを話し合おうとした時、チャイムが鳴った。
地獄絵図と化した昼休みが終わりを告げたのだ。

が、切迫している事態には何の関係もない。

(;^ω^)「一応聞くけど、授業はどうするんだお?」

(;´・ω・`)「流石に野放しには出来ないっしょ。サボってあいつを探そうよ」

('A`)「まっ、しゃーねぇな。手分けして探すか?」

(;^ω^)「一対一じゃ分が悪いお。ぶちのめされるのがオチだお」

(´・ω・`)「なら武器でも用意する?
      剣道部が竹刀持っても勝てないんじゃ、気休めにもならないだろうけど」

('A`)「でも手ぶらよりいいだろ。あ、待て待て。
    確かギコの奴、いつも鞄にロープ入れてたな。あれは使えるんじゃねーか?」



( ^ω^)「なんでまた学校にそんなもんを」

('A`)「あいつ、ドMなんだよ。よくしぃちゃんに縛ってもらうんだと」

(´・ω・`)「よし、取り合えずそいつを借りてこよう。
      その後は野球部の部室からバットを拝借ってところだね」

三人は索敵しながら自分達の教室へ行き、扉を開けた。



ξ ゚゚д゚゚)ξ



(;^ω^)(;´・ω・`)(;'A`)「「「ちゃんと座ってる――――――!!!!!!??」」」

ツンはちょこんと席についていた。




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