月がない上にさらに陰を選んで静かに動く
足音はない
見つかるはずはない
いけるはず・・・
道の向うに、江戸城が見えた
( ^ω^)「セッ!」
=( ^ω^)
三( ^ω^)
三三⊂二二二( ^ω^)二⊃
( ^ω^)「と、飛びますお!」
( ´∀`)「行けブーン!」
∧∧
( ´∀ ⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
( | /
ヽ ( ノ
ノ>ノ
レレ
∧∧
( ´∀ ⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
( | /
ヽ ( ノ
ノ>ノ
レレ
∧∧
( ´д ⌒ヽ
⊂二二二( ゚ ω゚)二⊃
( | /
ヽ ( ノ
ノ>ノ
レレ
/
/
/
ビダァァン /
/
∧∧ /
( ´д ⌒ヽ /
/ ( ゚ ω゚) /
( | \ / /
ヽ ( \二つ
ノ>ノ /
レレ /
( ゚ ω゚)「・・・・・」
( ´∀`)「さすがじゃ」
( ゚ ω゚)「死ぬかと思いましたお・・・」
( ´∀`)「いや、さすがじゃ」
お褒めに預かり・・・
( ^ω^)「いきますお!」
「透明人間でも飼ってるの?」
ブーンの江戸城の印象である
( ^ω^)「・・・めちゃくちゃ見られてるお・・・」
しかしどこにも人影はなし
( ^ω^)「怖・・・」
ブーンには実戦の経験がある
それはこれまで、ブーンの自信の源の一つであった
足がすくまない、という自信が自慢の迅さから迷いを取り除いていた
しかしこの場において、実戦の経験に意味があるのか・・・
( ´∀`)「ゆけ」
背中の重みだけがブーンを突き動かす
見上げるは天守閣
シッ シッ シッ
ブーンの走る足音である
ブーンはせめて、視線を感じない方向へと走っていた
いやな汗が胸を湿らせる
( ^ω^)「どこか・・・入り口は・・・」
見つめあう視線のレーザービームを避けるように走る先に
ブーンは小さな戸を見つけた
おそらくは勝手場、武士以外の居場所
あそこなら・・・
( ^ω^)「入れるかもしれないお!」
シッ シッ シッ
自分に集まる視線を掻い潜るように、ブーンは迅さを増し
目的の戸へと疾走した
( ´∀`)「あそこか?」
( ^ω^)「あそこならおそらくは・・!」
(,,゚Д゚)「ィア!!」
ギコの振り下ろす手からかろうじて逃げられたのは
直前に加速していたからに他ならない
それほど虚を突かれた一撃であった
( ;^ω^)「ひあ!うええ!?人、人いたの?ここ!」
(,,゚Д゚)「いるさ、お前が勝手場を狙うのは当然だからな!」
( ´∀`)「降ろせブーン!」
( ^ω^)「降ろ・・は、ちょ、今はまってくださいお!」
(,,゚Д゚)「ふっ!」
何か飛んだ!
そう思ったときにはブーンは走っている
(,,゚Д゚)「まったくVIPの連中は!ィア!」
逃げた先にはギコの手が振り下ろされる
足元に小さな爆発を起こしたかのように、ブーンは加速する
( ´∀`)「よい!飛び降りる!」
( ^ω^)「危険ですお!」
( ´∀`)「構わぬ!」
モナーは背負われたまま、二人を結び付けている縄をほどく
( ;^ω^)「今は危険でs・・・うわ!」
何かが飛来する感覚を得て、ブーンは急角度で曲がる
モナーが弾かれたように飛び出す
( ´Д`)「いでででで!!擦った!擦った!」
( ^ω^)「若君!とにかく・・・隠れて!」
( ´∀`)「断る!」
モナーはたったかたったかと、勝手口に向かって走った
( ^ω^)「ええ!?」
(,,゚Д゚)「ふっ!」
血の気が引いた
(,,゚Д゚)の飛ばしたモノは、確実にモナーを狙っている
そしてその飛ぶ速度は、ブーンより速い
守れない
( ^ω^)「承知!!」
ブーンは・・・ブーンは若君を守る!
若君の・・・望みを・・・叶える!
(,,゚Д゚)「・・っ」
含み針だろうか
なにかの弾のようなものだろうか
いずれにせよ、急激に息を吐き出したのなら
動きが
( ^ω^)「忠烈つかまつる」
止まる
若君!
うん?ブーンか?
4・・・5・・・5匹も・・・
ひき?なにがじゃ?
辛抱されよ!
なにをじゃ?・・いで、いでっ!いでえ!
(,,゚Д゚)が吐き出していたのは見たこともない小さな甲虫であった
それは高速で対象に食い込み、すぐに消化酵素を吐き出す
強力な、強力な消化酵素であった
傷口がどろどろだお!
怖いこと言うなお前・・・
ブーンは甲虫がめり込んだ部分を、周りの肉ごとえぐりとった
勝手場の火種に服をくべる
その赤い光の中、えぐる傷から流れる血は黒く見える
( ;ω;)「若君!若君!助けるお!」
涙を流しながら主君に刃を突き立てるブーンの
背後に人影が
('A`)「派手にやりましたね・・・ギコの死体を見る日がくるとは・・・」
( ;ω;)「!?」
('A`)「大丈夫、ここに見張りが殺到することはありません
他でもっと大きな騒動がおきてますから」
( ;ω;)「若君が・・・!」
('A`)「これ、差し上げます。甲虫の毒を中和できます。傷は治りませんが・・」
ひったくるように薬を受け取り、どろどろの傷に塗ってみる
どろどろの組織が、固まってゆく・・・
( ^ω^)「若君!」
たすかる!たすかる!たすかる!
ブーンはモナーを背負い、勝手口から外に出た
確かに誰もいない ('A`)もいない
それでも死角を選んで、ブーンは外へ駆けてゆく・・・
( ´д`)「直談判しにきたのになあ・・・」
背中でモナーはつぶやいた
十日後、奇妙な客がブーンたちのいる宿へ訪れた
ξ゚听)ξ「・・・邪魔するわよ」
遠慮のない仕草でふすまを開けた女に、ブーンは見覚えがあった
( ^ω^)「・・・なにしにきたんだお」
傍らにはモナーが寝ている
ξ゚听)ξ「誤解をしてたの」
( ^ω^)「何を言うのかわからないけど、意味があるとは思えないお
若様が大怪我した。それが全てだお」
( ´∀`)「ブーン、聞いてやろう」
いつの間に起きていたのか
( ´∀`)「城に忍び込んでおいて怪我の責任をなすりつけるのは
スジが通らぬぞ」
女はぎこちなく座り、手をついて頭を下げた
そして頭をあげ、言い切った
ξ゚听)ξ「VIP藩主 耳無しモナの輔博之は抜け荷をしておりました」
( ´Д`)「・・・!?」
( ^ω^)「え・・・密輸?」
ξ゚听)ξ「左様です」
それがばれて、切腹になったのだという。
( ´д`)「得心ゆかぬ。ならばなぜ罪が明らかにされなんだか」
ξ゚听)ξ「抜け荷はVIP藩のみにとどまりませぬ」
他藩の抜け荷がより深く潜行してしまうことを警戒した幕府は
切腹の理由を明らかにしなかった
( ^ω^)「あの殿様が・・・抜け荷とは・・・」
( ´∀`)「いやブーン、わしはわかる・・・
耕作に使える土地がわが藩には少ない・・
領民を植えさせぬための副産物事業と
同じことであったろう・・・法度であること以外は」
ξ゚听)ξ「幕府は南蛮との貿易により、その思想に侵される藩がでることを
危惧しております。
また、石高減少による収入減も・・・」
( ´∀`)「イスパニヤは・・・それほどなのか?」
ξ゚听)ξ「は」
( ´∀`)「ふむ・・・」
( ^ω^)「イスパニヤがどうしましたかお?」
( ´∀`)「お前に説明してもわかるまいて」
(#^ω^)「(わかるもん!わかるもん!)」
バテレンは上陸の足がかりとして貿易をなすという
そしていつの間にか、植民地化、奴隷化へと落とされる・・・
ξ゚听)ξ「神君以来の悩みの種です」
( ´∀`)「しかし・・・わが藩の特産物は好評だったのだがのう・・・
抜け荷に手を出すほど困窮していたとは・・・」
( ^ω^)「わが藩特産のイベリコ豚の生ハムは鍋によし、肴に良しですお」
ξ゚听)ξ「それ、抜け荷です」
( ^ω^)( ´Д`)「!?」
( ´Д`)「え・・・?イベリコの木になる身を塩漬けにしたものじゃぞ・・?わが藩の・・・」
( ;^ω^)「若君、この女もしやウソを・・・」
ξ゚听)ξ「あれは豚肉です」
濃厚だとは思っていた
味わいも、どの木の実にも似ていなかった・・・
しかし
( ´Д`)「まさか抜け荷だったとは・・・」
( ^ω^)「まったく気づきませんでしたお・・・」
ξ゚ー゚)ξ「・・・ハァ・・・ふふっ」
( ´Д`)「いやしかし」
( ^ω^)「なれどあれは」
ξ゚听)ξ「もう一つ教えてあげます。('A`)のことです」
( ^ω^)「あ、あいつには礼も言わないといけないんだお」
ξ゚听)ξ「言いたければ止めませんが、あれは他藩の忍びです」
( ^ω^)「あー・・・そんな感じはするお」
( ´∀`)「わし、会ったことないんじゃが」
抜け荷の締め付けが厳しくなった昨今、抜け荷による収益を諦めて
海外の種子のみ密輸し、それを栽培する藩が増えてきたと女は説明した
ξ゚听)ξ「('A`)が江戸城に忍び込んだのは、その種子を得るためです
城には応酬した抜け荷が、サンプルとして保管してありますので」
( ^ω^)「じゃあ駿府城のときは・・・」
ξ゚听)ξ「バレンシアの種ですね。そうでしょう」
( ´∀`)「・・・」
( ´∀`)「少々疲れた。女、貴重な話を聞かせてもらった
下がって良いぞ」
ただ、父の死の理由を知りたかった
そして知ったのは、日ノ本の国が置かれている状況と
父の犯罪の事実だった
( ´∀`)「・・ままならぬのう」
( ^ω^)「若君・・・」
( ´∀`)「ときにブーン、(,,゚Д゚)との斬り合いじゃがの・・」
身を盾にするそぶりも見せずに、(,,゚Д゚)に斬りかかったブーン
( ^ω^)「・・・」
( ´∀`)「・・・」
( ^ω^)「お褒めの言葉、かたじけのうござりまするお」
( ´∀`)「なんじゃ、まだ何も言っておらぬぞ」
( ^ω^)「お褒めいただけるものと確信しておりますお」
( ´∀`)「なんじゃつまらぬのう
てっきり『若君を見捨てて敵に斬りかかって申し訳・・』とか
いうと思ったのに」
( ^ω^)「この内藤蔵ノ介武運、若君に忠烈申し上げまするお」
( ´∀`)「つまらぬわ、あほう」
六畳間には埃が浮かび 日差しはゆるく輝いて
( ´∀`)「しかし種泥棒と間違われるとはのう」
二本脇差腰に佩び 傷の若君の傍らを
( ^ω^)「三河に帰りますかお」
てくてく歩くてく歩く
( ´ー`)「・・・」
( ´∀`)「いや、このまま北に行こう」
( ^ω^)「えっ?」
( ^ω^)の忠臣蔵 完
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