川 ゚ -゚)クーは土方のようです  [ログ][前のページ戻るコメントへ


川 ゚ -゚)「心臓発作だったんですね」

( ^ω^)「んだ。おめのとーちゃんもヒロポン好きでなぁ」

川 ゚ -゚)「なるほど。でも、今なら父の気持ちがわかります」

( ^ω^)「そうかそうか」

ピンポーン

「誰だ」

川 ゚ -゚)「ギンさんいますか。ニダーっていう売人から連絡があったはずです」

「入れ」

川 ゚ -゚)「いきましょう」

( ^ω^)「おめさん、ほんっと怖いもんしらずだなぁ。まいったまいった」




……



川 ゚ -゚)「いい質のものが買えましたね」

( ^ω^)「ううむ。しかし、いいっぺか?」

川 ゚ -゚)「何がですか?」

( ^ω^)「おめのとーちゃん・・・いや、やめとくわ」

川 ゚ -゚)「さ、早く打ちましょう。……っ!」


川 ゚ -゚)「あぁ……すごい。これすごいですよ。
     最高です。全神経が研ぎ澄まされていく……」



( ^ω^)「あー、ところで、おっかさんへの仕送りはいいっぺか?」

川 ゚ -゚)「そんなのは後でいいんです。金なんていくらでも作れる。
     ああ……父さん、これが父さんの見た世界なんですね。うっ」

( ^ω^)「ちょ、大丈夫っぺか?」

川 ゚ -゚)「はぁはぁ……もらしちゃいました」

( ^ω^)「あーあ。自分で掃除するっぺよ」

川 ゚ -゚)「すみません。ところでブーンさん」

( ^ω^)「なんだべ」

川 ゚ -゚)「どうして欲情しないんですか?」

( ^ω^)「ホモだから」



バタン!!

( ,,゚Д゚)「おい、やべえぞ警察だ」

川 ゚ -゚)「警察?」

( ^ω^)「なんで警察がこんなとこくるっぺ」

( ,,゚Д゚)「なんでも裏庭でビロードの死体が出たらしい」

( ^ω^)「mjk!!誰だお通報したやつわ!!」

( ,,゚Д゚)「ふざけて工事現場に遊びに来た子供らしいぞ。まずいぜ」

川 ゚ -゚)「ブーンさん、どうしましょう」

( ^ω^)「ついでにガサ入れられたらめんどいべ。やばいべ」



川 ゚ -゚)「逃げましょう」

( ^ω^)「逃げるって……まじかお?」

川 ゚ -゚)「今、捕まったらヒロポンはおじゃんですよ」

( ^ω^)「仕事はどうすっぺ」

川 ゚ -゚)「そんなもん知りません。今なら窓から逃げられます」

( ,,゚Д゚)「おい、どうすんだ! 俺はもう顔知られたから逃げられねーけど」

( ^ω^)「しょーがね。おらたちは逃げるっぺ」

川 ゚ -゚)「行きましょう」



ガサガサ

川 ゚ -゚)「それにしても、こんなことしたのは誰でしょうね」

( ^ω^)「ビロード殺しだっぺか? まあドクオだろうべ」

川 ゚ -゚)「なぜドクオさんが?」

( ^ω^)「ほら、あの時喧嘩してたし。ドクオ、おめさんにほれてたっぺ」

川 ゚ -゚)「気持ち悪い」

( ^ω^)「そういうな。あいつも三十半ばではじめての恋だったっぺ。不器用な男だべ」

川 ゚ -゚)「……それより、どこにいきましょうかね」

( ^ω^)「んだ。勢いで出てきちまったけど、寝るとこないべ」



( ^ω^)「あぁそだ。アイツんちいこ」

川 ゚ -゚)「誰ですか?」

( ^ω^)「ワカッテマスんちだべ。おらの元人夫仲間で、弱みにぎってる」

川 ゚ -゚)「あはは、じゃあそこにお邪魔しましょう」


ピンポーン

( <●><●>)「なんですか。ブーン」

( ^ω^)「いやあ、ちょっと泊めてほしいべ。訳はきいてくれるな」

( <●><●>)「ふざけるな。帰るんです」

川 ゚ -゚)「お願いします」

( ^ω^)「ほら、若い女子も頭さげてるべ。断るならおめさんの実家に手紙おくるぞ」

( <●><●>)「く……故郷を捨ててきた男は、弱みが多いのはわかってます。勝手にすればいいのです」

( ^ω^)「おじゃましますべ」

川 ゚ -゚)「お邪魔します」

      


(*゚ー゚)「あら、お客さん」

( <●><●>)「しぃ。すまんがこいつら寝かせるんです」

(*゚ー゚)「はいはい。わかりました」

川 ゚ -゚)「奥さんですか?」

( <●><●>)「はい……」

( ^ω^)「こいつ、出稼ぎにきたのに、ふるさとの嫁捨ててかけおちしたべ。
       だから、実家に現住所ばれるとまずいってわけ」

川 ゚ -゚)「最低ですね」

( <●><●>)「あなたに私の何がわかるんですか」

( <●><●>)「そりゃ、ふるさとの嫁には悪いのはわかってます。
       でも……」

( <●><●>)「東京は、あまりにもまぶしすぎたんです。もうふるさとには帰れないのはわかってます」



(*゚ー゚)「お茶をどうぞ」

( ^ω^)「ズズ、すまんね奥さん」

川 ゚ -゚)「出稼ぎってことは、ふるさとのお嫁さん、お金に困ってるでしょうね」

( <●><●>)「それもわかってます……ただ、私は……最初は遊びのつもりで。
       でも、だんだん本気で恋してしまって。仕送り用の金に手をつけたのが間違いでした」

( ^ω^)「んでな、社長んとこに嫁から手紙きたんよ。これ。
       お元気ですか。連絡とれなくて困ってます。心配です・・・くう、なけるねえ」

川 ゚ -゚)「返事は出したんですか?」

( <●><●>)「出せるわけないのはわかってます。
       田舎の結婚ってのはね、当人の感情なんか関係ないんです。
       勝手にくっつけてうめやふやせで。だから、初めてなんです恋したのは」



川 ゚ -゚)「でも、私がお嫁さんの立場だったら、はっきりと言ってくれたほうがラクです。
     そりゃ、ショック受けるでしょうけど」

( ^ω^)「人それぞれだべ。世の中、しらねえほうがいいこともある」

( <●><●>)「……いずれ、けじめはつけたいです」

(*゚ー゚)「お茶菓子はいかがですか?」

( ^ω^)「いただくお。ばりばりうめえ」

川 ゚ -゚)「……ブーンさん」

( ^ω^)「なんだお」

川 ゚ -゚)「父さんも恋人いたのかなあ」

( ^ω^)「……うーん。おらが掘らせてけれって頼んだ時は断られたから
       ホモではなさそうだったお」




川 ゚ -゚)「うちも、仕送り途中できれたんです」

( ^ω^)「あー、じゃあそりゃあおめ、ヒロポンだべ」

川 ゚ -゚)「……これが、私達家族よりも、父さんが大切にしていたものなんですね」

( ^ω^)「うーん、まあ気持ちいいっぺからなぁ」

( <●><●>)「家族のつながりなんて、東京に入れば簡単に消し飛びますよ。
       魅力がありますから、ここは」

川 ゚ -゚)「……っ」

川 ゚ -゚)「あぁ。気持ちいい。はぁ、はぁ」

( ^ω^)「人前で打つとは、ほんと好きだおね」



……

(*゚ー゚)「それじゃ、おやすみなさい」

( <●><●>)「今日だけなんです」


( ^ω^)「クー、明日からどうすっぺ」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「おめ、もうふるさと帰れ」

( ^ω^)「とーちゃんのことは、よくわかったべ。
       おめのとーちゃんは、家族よりもヒロポン選んだ。それだけだべ」

川 ゚ -゚)「認めない」

川 ゚ -゚)「もっと別の理由があったんです。きっと」

( ^ω^)「……おめも強情だなあ」



( ^ω^)「あー」

( ^ω^)「今ごろ仕事場はどうなってかなあ」

川 ゚ -゚)「さあ」

( ^ω^)「ドクオ、捕まっちまったかなぁ」

川 ゚ -゚)「知りません」

( ^ω^)「ドクオ、ほんとにおめさんに惚れてたべ」

川 ゚ -゚)「気持ち悪い」

( ^ω^)「あいつ、おめさんの前ではてんぱってたけどなぁ」

( ^ω^)「ほんとはいい奴なんだべ。おめが配属された日、あいつ
       社長にめっちゃ抗議しとっとよ」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「ま、今さら言ってもしゃあないけどお」

( ^ω^)「それだけ、覚えといてくれや……」

川 ゚ -゚)「……はい」



……




(´・ω・`)「おーれ、たかいたかい!」

川 ゚ -゚)「きゃはは! もっともっと!」

(´・ω・`)「おらぁ〜田んぼおっこどすぞ〜ひゅーん」

川 ゚ -゚)「きゃー!」

J( 'ー`)し「ご飯よー!」

川 ゚ -゚)「ごはんだー!!」

(´・ω・`)「めしくうべ、めし!!」



(´・ω・`)「クー、がっこ楽しいか!」

川 ゚ -゚)「楽しい!!」

川 ゚ -゚)「もっと勉強したい!」

(´・ω・`)「そーかそーか! んなら、高校、はては大学校までいくべ!!」

J( 'ー`)し「あーた、何いっちょるの。そんな金ありません」

(´・ω・`)「東京さいくべ!!東京さいけば仕事なんてわんさかあるべ!」

川 ゚ -゚)「おとー、東京いくの??」

川 ゚ -゚)「やだやだやだ! おとー行くな!!」

(´・ω・`)「ばっきゃろい!クーが良い子にしてりゃいつでもかえってくらあ!」

川 ゚ -゚)「ほんと! やくそく!!」

(´・ω・`)「ははは! ゆびきりだぁ!」



J( 'ー`)し「な、クー。ほんとに行くべか」

川 ゚ -゚)「父さんが死んだなんて信じられん。
     私は東京に行く」

J( 'ー`)し「でも……一人じゃきけんだべ」

川 ゚ -゚)「シャキンさんとも話しつけた。
     何かあればシャキンさんに頼る」

川 ゚ -゚)「あと、仕事見つけたら……仕送りもおくる。
     カーチャンは安心して待ってて」

……





川 - )(とーちゃん……かーちゃん)

川 - )(嘘だべ。とーちゃんがわたすら裏切ったなんて)

川 - )「う、く……ぐす」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「やっぱ子供だべなぁ」

( ^ω^)「まだ若いっちゅーに。ショボンのばかたれが」

( ^ω^)「あのお人好しが」

( ^ω^)「寝るべ」

( ^ω^)「……明日、仕事場戻るべ」



ちゅんちゅん

川 ゚ -゚)「お世話になりました」

( ^ω^)「なったべや」

(*゚ー゚)「いえいえ、こちらこそ」

( <●><●>)「もう二度とないでください」

( ^ω^)「はっはっは! 嫌われたべ!」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「んでは、行きましょか。クー」

川 ゚ -゚)「そうですね」

( ^ω^)「行くって、仕事場よ?」

川 ゚ -゚)「え?」



川;゚ -゚)「どうしてここに戻ってきちゃったんですか?」

( ^ω^)「まま、社長に挨拶しにいくべ」

(`・ω・´)「あ、お前達……」

( ^ω^)「社長、どうなりました。例のがさいれ」

(`・ω・´)「ドクオは逃げたよ。警察は散り散りだが、あんまりやる気はなさそうだな。
      人夫同士の殺し合いじゃ、このオリンピックで忙しい時に動いてられんのだろうな」

( ^ω^)「そっかぁ〜〜」

( ^ω^)「な。社長はクーにたいして、わるいとおもったから受け入れたべか?」

(`・ω・´)「何がだ?」

( ^ω^)「いや、ほら。社長がひろめたんじゃない。ヒロポン」

川 ゚ -゚)「え……」




( ^ω^)「ここからは独り言だけんど……。
       社長はヒロポンの売人とつながってるんだべなぁ。
       んま、うちらもヒロポン好きだから別に嫌じゃなけんど
       アレはどうなのかね。あの、ショボンの賃金。
       せっかく社長を信じて預けてるのに、ヒロポンに使われちゃかなわんべ」

(`・ω・´)「……いやぁ、それは」

川 ゚ -゚)「ど、どういうことですか?」

( ^ω^)「社長
       ショボンの仕送り分
       使っちゃった」

( ^ω^)「まぁ社長に金あずけるなんざ、ショボンくらいだったべ。
       ショボンはほとんど通しだったしなぁ。
       ……んでも、社長も運がよろしい。ショボンは死んじまったべ。死人に口なしだぁ」

 



川;゚ -゚)「それって……」

(`・ω・´)「知らん! でたらめだ。私は何も知らん」

( ^ω^)「そうべか。まぁおらの世迷いごとだべ。
       人夫に権利なし。証拠がなけりゃ国もうごかん。くわばらくわばら」

(`・ω・´)「帰れ」

( ^ω^)「いくべや、クー」

川 ゚ -゚)「……」



川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「もやもや、すっきりしたべ?」

川 ゚ -゚)「父さんは、ちゃんと送ってたんですね、仕送り」

( ^ω^)「まあなぁ」

( ^ω^)「ついでにいうと、ヒロポンも一回きりだべ。
       ……ま、限界まで疲れてるとき打ったし、年だったし運がわるかったべ」

川 ゚ -゚)「でも! それがもし、故意的だったら!」

( ^ω^)「こいてき?新しい食い物だべか?」

( ^ω^)「冗談よ。まあ、それでも運が悪かったとしかいいようがないべ。
      わしらには何もできん。できんかったし、これからも何もない。
      時の波と、オリンピックの熱狂の前じゃ、人の命なんてすぐのまれちまうもんさ」



川 ゚ -゚)「……父さんは」

( ^ω^)「きっと、おめさんを大学校いかせたかったんだろなぁ」

( ^ω^)「おらも学があれば、こんなとこいなくてすむのになぁ。
       世の中は不平等だべ。わしらは一番下だっぺ」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「すまんな。ほんとのところいうと、おら、おめさんのこと
       餌にしようと思ってた。うまくいけば、金になるかもってな」

( ^ω^)「けどまぁ……。やめた」

川 ゚ -゚)「どうして?」

( ^ω^)「なんでだろな。良心がうずいたってか?
       わしらも、この何年かでずいぶんきたなくなっちまったと」




川 ゚ -゚)「……私、ふるさとに帰ります」

( ^ω^)「そうしろ。おめさんが東京に来るには、まだはええ」

川 ゚ -゚)「ブーンさんは?」

( ^ω^)「いい。いい。おらはスリにでもなって、えらそーにしてるやつらから
       金でもとると」

( ^ω^)「そんなもんさ。おらの価値は」

川 ゚ -゚)「……私、きっと忘れません。東京でのことは」

( ^ω^)「ヒロポンと麻雀は忘れるべよ」

川 ゚ -゚)「はい」

( ^ω^)「ははは……」



私はふるさとに帰ることにした。
交通費は、社長がくれた。
社長は私と目を合わせなかった。

初めてあった時の、親身な、いい人そうな社長の面影はもう見えなかった。


川 ゚ -゚)「そろそろ列車が来る時間だな」

川 ゚ -゚)「ん?」

('A`)「クー……」

川 ゚ -゚)「ドクオ……さん」

('A`)「俺と一緒になってくれ」



川 ゚ -゚)「……すみません、これ、お返しします」

('A`)「二万……」

川 ゚ -゚)「私、ふるさとにかえります」

('A`)「帰らないでくれ!!俺と一緒に、東京で住もう!!」

('A`)「この街はもっと大きくなる!!ビルもいっぱいたってる!!
    仕事だってやまほどあるんだ!!金持ちになれるチャンスはいっぱいあるんだよ!!
    俺といっしょになれ!!幸せになれる!!

    東京にはなんでもあるんだぞ!!!」


川 ゚ -゚)「でも」


川 ゚ -゚)「優しさはありませんでした。ごめんなさい」



('A`)「……そうか」

川 ゚ -゚)「列車がきたので。すみません」

('A`)「俺をなめないほうがいいよ」

川;゚ -゚)「ドクオさん? もしかして、打ってるんですか?」

('A`)「凄いな。全然、落ち着いてるよ俺」

('A`)「どうかな、この刃物。東京にはなんでもあるんだよ」

川;゚ -゚)「……」

('A`)「声出しても無駄だよ」

('A`)「東京には、君を助けるような優しさはない。さっき自分でいったじゃない」







('A`)「俺は幸せを手に入れる為に東京にきた」

('A`)「手に入らないものは、あっちゃいけないんだ」

川;゚ -゚)「……っ」

ダッ!

('A`)「さよなら」

ダダダッ!


ドシュッ……



ガタンゴトン… ガタンゴトン… 



川;゚ -゚)「はぁはぁ……っ!」

( ^ω^)

ガタンゴトン

( ^ω^)

ガタンゴトン

川;゚ -゚)

ガタンゴトン


^ω^)

ω^)



川;゚ -゚)「……」

ぺたん。

「どうかしましたか? 気分がすぐれないんですか?」




≪東京駅構内で刺殺事件。
 東京駅七番ホームで午後三時頃……≫


日本国民が待ちに待った東京オリンピックが

                 間もなく、始まろうとしていた。





終わり









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*クーをかばってブーンがドクオに刺された。
クーはブーンに押されて列車の中に。窓越しに見える刺されたブーン……