夕方アパートに帰ると、通路が通行止めになっていた。
段ボールが積まれていて、通路をふさいでいた。


(;^ω^)「なんだお、これ?」


僕の部屋はその向こう側、段ボールの積まれた玄関の隣にあった。
どうしよう。これは跨いでもいいものか。


ξ゚听)ξ「あ、ごめん。すぐに片付けるから」


悩んでいると、段ボールの向こうから女の子が現れた。
身長150センチあるかどうかの、小さな女の子だった。





( ^ω^)「お、いえいえ。引っ越してきたのかお?」

ξ゚听)ξ「ええ。そうよ」


短く残して、女の子は段ボールを持って部屋の中に入っていった。

こんな時期に妙だな、とか、手伝った方がいいかな、とか思ったが、
女の子の、しかも見ず知らずの子の部屋に入るのは気が引け、
なにより部活で疲れていたので、僕は段ボールをまたいで自分の部屋へ帰った。

その夜は、隣の騒がしさにあまり眠れなかった。




翌朝、寝不足で目をしぱしぱさせながら部屋を出た。
段ボールはもう無かった。

朝練が終わり、片づけをすませばホームルームギリギリの時間だった。

慌てて教室に戻り、席に着く。チャイムが鳴る。
それからしばらくして、担任が入ってくる。


(´・ω・`)「よーし、爽やかな朝だな。お前ら全員死ね。今日は転校生を紹介する」

(´゚ω゚`)「入って来いや!」


そう言って担任はのけぞった。
教室の扉が開いた。


ξ゚听)ξ「ツンデレです。よろしく」


僕は驚いた。あの子、高校生だったんだ。







  ξ゚听)ξが引っ越してきたようです1





ホームルーム後、ツンデレさんはみんなに囲まれていた。
僕もその輪に加わろうと思ったのだが、あまりの眠さに後回しにした。

それから午前中を夢うつつに過ごし、昼時になってようやく目が覚めた。

ツンデレさんの周りには誰もいなかった。
妙だなと思ったが、とりあえず話しかけることにした。


( ^ω^)「おいすー。君、ええと、ツンデレさん、だったおね?」

ξ゚听)ξ「そうよ。人の名前くらい覚えなさいよ、バーカ」

(;^ω^)「お、おお……」


合点がいった。こりゃ誰も集まらんわ。




(;^ω^)「あーと、ツンデレさん、僕のこと覚えてるかお?」

ξ゚听)ξ「当たり前じゃない。あんたとは違うのよ。隣の部屋の内藤でしょ」

(;^ω^)「お? どうして名前まで知ってんだお?」

ξ゚听)ξ「表札見れば一発じゃない。バカじゃないの?」

(;^ω^)「お、おお……」


歯に衣着せぬとはまさにこのことか。
それから友達に呼ばれたことをいいことに、僕は彼女の傍を離れた。




五時限目。
午前中たっぷり寝ていたおかげか、すっかり眼は覚めていた。


(´゚ω゚`)「さわやかな昼だな! お前ら全員死ね! つーか死なす!
    今日はフェルマーの最終定理について話してやるからな!」


十分後。僕以外の全員が寝ていた。


(;^ω^)(そりゃ当り前だお……)

ξ‐凵])ξzzZ


昨夜の疲れもあったのだろう、当然ツンデレさんも寝ていた。




(´・ω・`)「よーし、今日はこの辺で勘弁してやる。全員落第しろ。
じゃあ、今日進める予定だった部分は宿題な」


鬼畜が鬼畜に笑い、授業は終わった。
六時限目は移動教室。クラスメイトが連れだって出ていく。


ξ‐凵])ξzzZ


しかしツンデレさんはまだ寝ていた。
起こそうとしたが、彼女はかたくなに起きようとはしない。

しょうがないから、移動先の地図を書いて、教室をあとにした。




六時限目。彼女はギリギリで移動先に滑り込んだ。
席に着く前、彼女は僕を睨みつけ、けれどそれだけだった。

やがて授業も終わり、掃除、ホームルームを終え、部活も終えた。
日が沈む頃にアパートに戻ると、廊下にはごみ袋を大量に抱えたツンデレさんがいた。


ξ゚听)ξ「燃えるゴミ、いま出していいの?」

(;^ω^)「お、明日の朝出した方がいいお。大家さんに怒られるお」

ξ゚听)ξ「ちぇ。めんどくさいわね」


そういってごみ袋と一緒に部屋に戻り、しかしすぐに彼女は出てきた。


ξ゚听)ξ「コンビニ、どこにあんの?」

(;^ω^)「あの角を左に曲がってまっすぐ歩けばセビョンイレビョンがあるお」

ξ゚听)ξ「そう」


それだけだった。愛想のかけらもない子だなと思った。




部屋に戻り、シャワーを浴びていたら、突然チャイムが鳴った。
宗教か新聞屋だろうと思い放っておいたが、さすがに十五回連続でならされると頭にきた。

僕は腰にタオルを巻いて、玄関を開けた。


(#^ω^)「神は死んだお! 新聞は毎日をネットで見てますお!」

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「お……」


ツンデレさんだった。驚いて腰が引けた。
そして、腰のタオルは、はらりと落ちた。


ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「……えっと」

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「ま、まつたけ、食べる?」




ξ;゚听)ξ「ぎょんみょえええええええええええええええええん!!!」

(;゚ω゚)「うあああああああああああああああああああ」

ξ;゚听)ξ「し、死ね! 切腹しろこの変態いいいいいいいいいいいいい!」

(;^ω^)「ちょwwwwこれは誤解だお! ってあべ!」


慌てて手を掴もうとした僕に、ツンデレさんは何かを投げつけた。
そしてそのまま逃げていった。


(;^ω^)「どうしよう……これじゃ僕は変態だお……」


床にへたり込んで頭を抱えた。
その時、床に転がった何かが目に入った。

それは、僕に投げつけられぐちゃぐちゃになったコンビニ弁当の残骸だった。




翌朝、ツンデレさんに謝ろうと思ったが、まだ日が昇っていなかったのであきらめた。
そのまま朝練に参加して、ホームルーム後に謝ることにした。


(´・ω・`)「よう! 今日も爽やかな朝だな! 日本の未来は明るいってか? 全員死ね!」

(´゚ω゚`)「というわけで、今日は新作ゲームの発売日だから俺の授業は自習! 以上!」


それだけを残し担任は帰っていった。
僕はおずおずとツンデレさんに近づく。



ξ;゚听)ξ「!?」



僕を認めたツンデレさんは立ち上がり、全速力で駆けだした。




(;^ω^)「ちょwwwwww ツンデレさんwwwwwwwww」

ξ;゚听)ξ「おんぎゃああああああああああ! 違う! 違うのおおおおおおおおお!」


走るツンデレさん。なかなかに足が速い。
しかし僕だって、足には自信がある。まつたけには自信がない。

廊下を全速力で走る僕たち。ツンデレさんの悲鳴がドップラー効果とともに流れ去る。
そして彼女が女子トイレに駆け込む直前で、僕はその手を掴んだ。


(;^ω^)「ツ、ツンデレさん、話を聞いてくれお!」

ξ;゚听)ξ「ち、違うの!」

(;^ω^)「そう! 違うんだお! あれはすべて誤解なんだお! あれは事故で……」

ξ;゚听)ξ「そうなの! あの弁当はあんたのために買って来たんじゃないんだからね!」

(;^ω^)「は?」

ξ;゚听)ξ「へ?」


どうやら、どこかでなにかが食い違っていたらしい。




('A`)「へー、なるほどねぇ」

(;^ω^)「そうなんですお。まあ、誤解が解けてよかったですお。
      なんか彼女、移動教室の地図を書いておいたことを偉く気にしていて……」

放課後の部活時間。僕は飲み物の準備をしながら、
コーチをしてくれているOBのドクオさんに話をしていた。

ドクオさんはタバコをとり出すと、大きく吸い込んだ。


('A`)「面白そうなエロゲだな」

(;^ω^)「は?」

('A`)「今度俺にも貸してくれ」

(;^ω^)「は?」


ドクオさんは、バイトがあるからと帰っていった。




夕方、アパートに戻ると玄関の前に彼女が座っていた。


ξ‐凵])ξzzZ


いや、寝てた。


(;^ω^)「ツンデレさん」

ξ゚听)ξ「はぇ?」

(;^ω^)「ツンデレさん。こんなところで寝ると風邪引くお」

ξ‐凵])ξzzZ

(;^ω^)「おいおい、マジかお……」


ツンデレさんは再び寝た。
さて、どうしたものか。

この時期の夜は冷える。このままじゃ彼女は風邪を引く。
しかし、彼女の部屋のキーを彼女の制服のポケットをまさぐり探すのはなんとも気が引ける。

しょうがないから、僕は僕の部屋の玄関を開け、
眠りこける彼女の体を部屋の中まで引きずり、床の上に寝かせ、タオルケットをかけることにした。




シャワーを浴びたかったが、昨日のような事態はもうこりごりだったので、
我慢し、持って帰ってきていた部員のスパイクを磨くことにした。

スースーと彼女の寝息が聞こえる。
なんとも集中できない二時間だった。

やがて、ようやくスパイクすべてを磨き終えた頃、彼女が起き上がった。


ξ゚听)ξ「……おはようございます」

(;^ω^)「あ、どうも。ちなみに夜ね」

ξ゚听)ξ「……内藤? ここ、どこ?」

(;^ω^)「ええと、非常に申し上げにくいのですが……」


(^ω^)「僕の部屋です」




ξ゚听)ξ「……」

それからツンさんは、タオルケットを剥ぎ取り、自分の体を見た。
引きずられたせいか、彼女の着衣は非常に乱れていた。

ああ、なんかこの先の展開が読める。


ξ;゚听)ξ「これって……これって……」

(;^ω^)「ツンさん! 落ち着いて話を聞いてくれお!
      君が僕の部屋の前で寝てたから、僕は君を引きずって……」

ξ;゚听)ξ「引きずって……」

(;^ω^)「そして……」


そして彼女は立ち上がり、叫んだ。


ξ;゚听)ξ「お、犯したのね!」




彼女はへなへなと崩れ落ちた。
それからハンカチを取り出し、噛みしめてほろほろと泣きはじめる。


ξ;凵G)ξ「およよよよ……この世に生を受けて16年……
     これと決めた男が現れるまで操を守り続けてきたというのに……」

( ^ω^)「ツンさん、なにもかもが誤解です」

ξ#゚听)ξ「それを……それを……こんな男に!」

( ^ω^)「だからあんた、ちょっと落ち着きなさいって」


しかしツンさんは再び立ち上がると、僕を睨みつけた。
それからふいに優しい、これまでに見たこともない笑顔を作り、言った。




ξ゚ー゚)ξ「内藤。私はね、いつか白馬に乗った王子様が、
    『姫、それがしがあなた様のいいなづけでござる。いざ鎌倉!』
    と言って現れるのをずっと待っていたのよ。操を守り続けて」

( ^ω^)「いや、そんな男どこにもいねーお。第一、誤解なんですってば」

ξ#゚听)ξ「それがこんな男にぃ! こんな男にぃ! きええええええええええ!」


ツンさんは金切り声をあげ、部屋を飛び出していった。
そして、僕が風呂から上がった頃、戻ってきた。


ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「……」


和服姿で、日本刀を携えて。




ξ゚听)ξ「……内藤」

(;゚ω゚)「ツンさん! おおおおお、落ち着いて! で、殿中でござる!」

ξ゚ー゚)ξ「ふふふ。落ち着くのはあなたよ、内藤」


ツンさんは優しい笑みでへたり込んだ僕を見据えると、日本刀を抜き、切っ先を向けた。


ξ゚听)ξ「内藤、もはやあなたには二つの道しか残されていない。
    ひとつは、ここで私に切り捨てられること」

(;゚ω゚)「ちょwwwwだから誤解なんですってば!」

ξ#゚听)ξ「黙れ下郎!」


そして、またほほ笑むと、彼女は言った。


ξ゚ー゚)ξ「そしてもう一つは、ここで腹を切ることよ」




(;゚ω゚)「ちょwwwwwだから誤解ですって!」


僕はまるでゴキブリのように部屋を這いずりまわって逃げた。
その様子がおかしかったのか、ツンさんは高らかに笑い、言った。


ξ゚ー゚)ξ「命が惜しいか、この虫けらめ。
   ならばもう一つの道を与えてやるわ」

(;゚ω゚)「だから誤解wwwwww」

ξ゚ー゚)ξ「そうねぇ。なら、私の召使におなりなさい」

(;゚ω゚)「だから誤解なんだって!」


しかし聞く耳持たず、ツンさんは日本刀を仕舞うと。


ξ゚ー゚)ξ「あしたから毎日私を起こしに来なさい。以上」


そう言って、帰っていった。




(;^ω^)「ということがありまして……どうしたものかと」

('A`)「ふーん。大変だねぇ」


翌朝、朝練に珍しく顔を出したドクオさんに相談した。
ドクオさんはタバコをひとつ吸い込んだ。


('A`)「神がかってるな。そのエロゲ」

(;^ω^)「は?」

('A`)「メーカーはどこ?」

(;^ω^)「は?」

('A`)「今度、絶対に貸してね」


ドクオさんは講義があるからと言って、帰っていった。




ξ#゚听)ξ「ちょっと内藤! なんで今日起こさなかったのよ!」


朝練後、教室に戻れば開口一番、ツンさんにののしられた。


(;^ω^)「いや、だって、僕は毎朝五時起きですお? 
      そんな時間に起こされたらたまらんでしょう?」

ξ゚听)ξ「え? そうなの? なんで?」

( ^ω^)「部活の朝練なんですお」

ξ゚听)ξ「へー。なんの部活やってるの?」

( ^ω^)「陸上ですお。短距離やってましたお」

ξ゚听)ξ「なるほどねー。だから足速かったのね」


僕は気付かなかったが、その時、
クラス中が僕とツンさんに注目していたのだと、のちに友人が話してくれた。

そうこうしているうちに担任が入ってきた。




(´゚ω゚`)「はい! 起立! 気をつけ! 海老ぞり!」


担任はひとりで海老ぞりをした。


(´゚ω゚`)「着席はするなよー? さーて、今日もさわやかな朝だな!
     先生、こんな日は世界中のみんなが不幸になればいいと思うんだ!
     みんなは、どうかな?」


誰も何も答えない。


(´゚ω゚`)「よーし、お前らの将来は真っ暗だぞ! ところでツンデレ」

ξ゚听)ξ「はい、なんでしょう?」

(´゚ω゚`)「友達は、出来たかな? かな?」

ξ゚听)ξ「いえ、ひとりも出来てません」

(´^ω^`)「そうかそうかー! 今度君のテスト、100点増しにしてあげよう」


担任は満面の笑みで言った。




放課後、部活を終え帰宅しようと校門を出ると、彼女がいた。


(;^ω^)「ツンさん、こんな遅くに何やってんだお?」

ξ゚听)ξ「あんた待ってた」

(;^ω^)「な、なんで……」

ξ゚听)ξ「召使は、主人を送って行くもんでしょうが」

( ^ω^)「……わかったお」


夕暮れの街を、制服で連れ立ち、歩く。
これまで陸上だけしかしてこなかった僕にははじめての出来事。

はじめてのことは、いつも焦ってしまい、気持ちが落ち着かない。
なのになぜ、今日はこんなに落ち着いているのだろうと不思議だった。

そんなときだった。




ξ゚听)ξ「私って、どうもダメなのよねー」

( ^ω^)「お? なにがだお?」


ツンさんがうつむき、頭を掻きながら言った。


ξ゚听)ξ「私、性格も顔もきっついじゃない? だから友達ってなかなか出来ないのよね。
   ま、当然と言えば当然よね。だから自分が変わらなきゃいけないんだろうけど、
   まあ、こんな感じだから、わかるでしょ?」


そう言って苦笑した。
そこでいったん同意しかけた僕だが、ふと、思い立つことがあった。

あの時のコンビニ弁当。あれはきっと、僕のために買ってくれたのだろう。
きっと、移動教室の地図か、ごみの日を教えてあげたことか、コンビニの場所を教えてあげたことのお礼だ。


ξ゚ー゚)ξ「ま、そのおかげでテスト100点増しになるからいいけどね」


彼女は少なくとも、悪い人じゃない。




( ^ω^)「いいんじゃないかお」

ξ゚听)ξ「なにが?」

( ^ω^)「性格だお。とりあえず、いまはまだそのままでいいんじゃないかお?」

ξ゚ー゚)ξ「ふーん。それなら、しばらくはこのままでいるわ」


日は完全に沈んでいた。いつもなら、もう部屋についている。
ツンさんと一緒のせいか、歩く速度がいつもより遅くなっているらしい。


( ^ω^)「でも、日本刀はダメだお」

ξ゚ー゚)ξ「ふふふ。バーカ」


ツンさんが僕の背中をぽんとはたいた。




そうやって一週間が過ぎ、テスト期間が始まった。
朝練も中止になり、朝だけはゆっくり出来る日々が始まった。


( ^ω^)「ツンさん、朝だお」

ξ゚听)ξ「んあー……おはよう……」


初めてツンさんを起こしに呼び鈴を鳴らせば、彼女は寝間着で現れた。
髪の毛もぼさぼさ。どうやら低血圧らしい。


(;^ω^)「遅刻するお? 何時まで起きてたんだお?」

ξ゚听)ξ「三時。勉強してた」

( ^ω^)「そりゃ偉いお。ところで朝ごはんは?」

ξ゚听)ξ「コンビニのパンがそこにある」

(;^ω^)「それじゃダメだお。朝は和食に限るお」


僕は部屋に戻り、味噌汁の残りとご飯を持ってきてあげた。




ξ゚听)ξ「味噌汁なんて久しぶりだわー」


ツンさんはご飯に味噌汁をかけて一気にかき込む。
なんと行儀の悪い。


( ^ω^)「和服が似合う割に西洋風の生活なんだおね」

ξ゚听)ξ「味噌汁作ったら爆発するのよ。ご飯炊こうとしたら炊飯器から火は出るし」

(;^ω^)「はー……それ、いつの話だお?」

ξ゚听)ξ「引っ越してきたその夜」


なるほど。あの時の騒音は爆発の音だったらしい。




ツンさんにご飯を食べさせる。まさに召使の仕事を果たして部屋を出た。
今日は雨だった。ギリギリで教室に到着する。


(´^ω^`)「おう! 内藤にツンデレか! なんだ? 仲良く同伴出勤か?」


珍しく時間前に教室にいた担任は、珍しく上機嫌だった。


(´^ω^`)「やあ、みんなおはよう! 今日はじめじめとした気持ち悪い日ですね!
    こんな日は先生、みんなが嫌そうな顔で登校してくるので大好きです!
    一生雨が続けばいいと思います! みんなもそう思うよね?」


誰もなにも答えない。




(´^ω^`)「あはは! みんな恥ずかしがり屋さんだな! ところでツンデレ」

ξ゚听)ξ「はい、なんでしょう?」

(´・ω・`)「お前のテスト、100点増し、無しな」

ξ;゚听)ξ「はあ? なんでよ!?」

(´・ω・`) 「それと内藤」

(;^ω^)「は、はいですお!」

(´゚ω゚`)「放課後、生徒指導室に来いや!」


担任はのけぞりながら教室をあとにした。




放課後、生徒指導室にて。


(´・ω・`)「で、なんなの? おまえ、ツンデレと付き合ってんの?」

(;^ω^)「いきなり単刀直入ですね」

(´・ω・`)「あのさぁ、俺はね、お前が大好きだったよ。本当に」

( ^ω^)「なんで過去形?」

(´・ω・`)「なぜ好きだったのかというとね、ほら、おまえがんばってんじゃん、部活」

( ^ω^)「いまさら教師らしいこと言わなくていいですよ」

(´・ω・`)「それになにより不細工じゃん? どう考えても女にモテナイよね」

( ^ω^)「ああ、それが一番の理由なんですね」




(´・ω・`)「ねえ、俺の座右の銘、知ってる? 四月に確か言ったよね?」

( ^ω^)「ええと、『戦争がはじまったら、子供を盾にしてでも生き延びる』でしたっけ?」

(´・ω・`)「ちげーよ。俺、そこまで鬼畜じゃねーよ。
    『他人の不幸のためなら、子供が死のうと構わない』だよ」

( ^ω^)「鬼畜じゃねーか」

(´・ω・`)「まあつまりだな、俺は他人の幸せが大嫌いなの」

( ^ω^)「つまり、あなたには僕が幸せそうに見えるんですね?」

(´・ω・`)「違うのかよ?」




(;^ω^)「えー、なんと言えばいいのか……」

(´^ω^`)「ゆっくりでいいからね?」

( ^ω^)「とりあえず、付き合ってはいません」

(´^ω^`)「ふーん。そんな嘘つくんだー」

(;^ω^)「いや、ホントですお! つーか僕、召使なんですお!」

(´・ω・`)「は? 召使? なにそれ?」

( ^ω^)「先生、日本刀を突き付けられたこと、あります?」

(´・ω・`)「ちんこ突きつけられたことならあるよ」

( ^ω^)「じゃあそれでいいや。そのあと『便所行こうぜ』って言われたらどう思います?」

(´・ω・`)「まじ勘弁。俺、女子高生大好きだから」

( ^ω^)「今の僕は、そんな感じで召使になりました」

(´;ω;`)「そうか……お前も苦労したんだな」




( ^ω^)「先生! 信じてくれるんですおね!?」

(´゚ω゚`)「んなわきゃねーだろ、バーカ! おちんちんびろびろーん!」

(;^ω^)「は?」

(´゚ω゚`)「なーにが召使じゃ! どうせ彼女がSでお前がMのカップルってだけだろ!」

(;^ω^)「せ、先生?」

(´゚ω゚`)「先生って呼ぶな! 汚らわしい!」

( ^ω^)「じゃあお前はなんなんだお」

(´゚ω゚`)「年上に『お前』だとぉ? てめぇの教師は誰だ!?」

( ^ω^)「お前だ、お前」

(´゚ω゚`)「だまらっしゃい! いいか、内藤! お前はどんなにがんばっても数学のテスト0点の刑に処す!」

(;^ω^)「ざけんなてめぇwwwwww」

(´^ω^`)「残念だね、内藤君。君のほかの教科の成績じゃ落第決定! 頑張れ二回目の二年生!」




(;^ω^)「というわけで、マイナス100点のハンディを背負うことに」

ξ゚听)ξ「あの八の字眉毛もむちゃくちゃやるわねぇ」

いつもより早い帰り道、ツンさんに相談した。
僕にとっては死活問題だったけれど、なぜだか彼女は楽しそうだった。

ξ゚ー゚)ξ「ま、こうなりゃ勉強しかないわね。召使の恥は主人の恥。
    あんたが落第しないよう、みっちり特訓してやるわ。覚悟なさい」

(;^ω^)「はぁ……でも、ツン、成績いいのかお?」

ξ#゚听)ξ「はあ? なによ失礼ね!」

(;^ω^)「だって爆発するじゃん……」

ξ#゚听)ξ「爆発させるのよ! 芸術もみそ汁もあんたの脳みそも!」


そんなふうに会話していると。


(゚A゚)「……」


目を丸くしたドクオさんがこっちを見ながら歩いてきた。




(゚A゚)「あれ〜? あれあれ〜? あれれのれ〜?」


ドクオさんがバーロー風にあごに手をやりながらやってくる。
彼はツンさんの前で立ち止まると、じろじろと彼女を舐めまわすように見る。


ξ゚听)ξ「……内藤。誰、こいつ?」

(;^ω^)「えっと、先輩のドクオさんです。いま、大学二年生」

(゚A゚)「ほうほ〜う! ふ〜むふ〜む!」


それからしばらく、あらゆる角度からツンさんを観察したドクオさんは、
僕に気の毒そうな表情をして、言った。


(;'A`)「だ、だめじゃないか内藤く〜ん! ダッチワイフと一緒に歩いちゃ!
   しかしこのダッチワイフ、歩くししゃべるんだねぇ! どこで買っ」


ツンさんの蹴りがさく裂した。




ドクオさんは地面にキスをした。
ツンさんが汚物を見るような目で彼を眺め、言う。


ξ゚听)ξ「内藤、もう一度聞くわ。こいつ、誰?」

( ^ω^)「僕の尊敬してい『た』先輩『だった』、ドクオさん『でした』」

ξ゚听)ξ「よし! それが過去形よ。一つ勉強になったわね。じゃあ、行くわよ」

( ^ω^)「さよなら、僕が大好き『だった』ドクオさん」


僕たちは未来に向かって歩き出した。


(゚A゚)「ブーン君! オリエントなのか!? 通販で買ったのかあああああああああ!?」


からみつく過去の声をふりほどいて。





そんなわけで、部屋が隣同士ということもあり、
僕たちは夜遅くまでどちらかの部屋で一緒に勉強することとなった。

今日はツンさんの部屋で勉強だ。
ツンさんは素行によらず頭はいいらしく、しかし、説明は下手だった。


ξ#゚听)ξ「あーも! だからなんでそうなるのよ!
    ここがズバーッなるから、ギュイーンって感じでガッて解くのよ! わかる?」

(;^ω^)「わかりません。なんの教科かすらも」


どうやらツンさんはかなり自己流で勉強をして来たらしい。
とりあえず、彼女が教師になりたいといったら全力で止めようと思った。




ξ#゚听)ξ「ああもう! らちがあかない! 気分転換にお風呂いってくる!
    のぞいたら明日のご飯はマツタケの土瓶蒸しよ! いいわね!」

(;^ω^)「のぞきませんって。つーかいいかげん誤解って気づいて」


ツンさんが脱衣所に消えた。
僕はようやく一息つき、寝転がって天井を眺めた。


川 ゚ -゚)「あ、どうもこんばんは」


天井に女の顔があった。




(;゚ω゚)「……」


なんだあれは。幽霊か?
いや、ちがう。あれは天井の染みなんだ。
それが偶然女の顔のように見えるだけなんだ。
ほーら、目を凝らしてよーく見るんだ、内藤。


川 ゚ -゚)「一緒にテスト勉強ですか? 仲がおよろしいことで」


ああ、とうとう幻聴まで聞こえてきた。
僕はもうダメだ。最近勉強しすぎで疲れているんだ。
今日はもう寝よう。ツンさんだって事情を話せば分かってくれるさ。
さあ、眼を閉じて、心地よい夢の世界へレッツゴー。


川 ゚ -゚)「あら、寝ちゃうのかい。そんなー。いけずー」


そして、聞き覚えのある音がした。
えーと、いつだったかなー。この音を聞いたのは。
僕は恐る恐る目を開いた。


女が、僕ののど元に日本刀を突き付けていた。




川 ゚ -゚)「君が、内藤君だね?」

(;^ω^)「いいえ。僕の名前はショボンです」

川 ゚ -゚)「嘘をつけ。お前が、私の可愛い可愛い×10ツンの操を奪った内藤だな?
    ツンからメールで聞いている」

( ^ω^)「日本刀使うくせにメールかよ。せめて矢ぶみにしてくれお」

川#゚ -゚)「黙れ下郎! 貴様が私の可愛い可愛い×20ツンの操を……」

(;^ω^)「だからそれ誤解ですってwwwwwww」

川#゚ -゚)「私が……私が奪うつもりだったのに!」

(;^ω^)「ざけんなバーローwwwwwwwww」




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