川 ; -;)「ああ……めくるめく可愛い可愛い×30ツンとの思い出……冥土の土産に聞くがいい!」
(;^ω^)「いや、ね、だから落ち着いて話を……」
川*゚ -゚)「あれはツンが五歳の、ぴっちぴちの幼女のころだった……」
ξ゚听)ξが引っ越してきたようです2
〜回想シーン〜
ξ゚听)ξ「おねーたま! おねーたま!」
川 ゚ -゚)「なんだい、ツン?」
ξ゚听)ξ「こわいからおちっこについてきてください」
川 ゚ -゚)「あらあら、それは大変だ。このコップの中にしなさい」
ξ゚听)ξ「いいんでちゅか?」
川 ゚ -゚)b「モーマンタイ。ただし、父上母上には言うなよ?」
〜回想シーン終わり〜
川 ゚ -゚)「いやー、あれはうまかった」
(;゚ω゚)「飲んだのかよ!」
川 ; -;)「とにかく! 私の可愛い可愛い×100ツンの操を奪ったお前には、死んでもらう!」
(;^ω^)「話せば分かるwwwwww話せば分かるwwwwww」
川 ; -;)「最期に言い残すことはないか!? 無いな!」
(;^ω^)「あるおwwwwwつーかみんな僕の話聞けよwwwwwwww」
そのとき、救いの神が現れた。
ξ;゚听)ξ「お、おねぇちゃん! なんでここに!」
川 ゚ -゚)「つ、ツン……」
(;^ω^)「ツンさんたすけちくりーwwwwwwwww」
ツンさんはバスタオル一枚だった。
川 ゚ -゚)「……いい!」
そう言って彼女は滝のような鼻血を垂らした。
川 ゚ -゚)「というわけで、姉のクーです。よろしくな」
(;^ω^)「えっと、隣の部屋の内藤ですお」
ξ;゚听)ξ「で、おねーちゃん、何しに来たの? つーかどこいたの?」
川 ゚ -゚)「上」
ξ;゚听)ξ「上って……いつから?」
川 ゚ -゚)「お前が引っ越してきた日」
(;^ω^)「嘘!? なぜに!?」
川 ゚ -゚)「私の可愛い可愛い×∞ツンがいつ暴漢に襲われるやもしれんだろ」
(;^ω^)「暴漢はあなたじゃ……」
ξ;凵G)ξ「おねーちゃん……そこまであたしのこと……」
川 ゚ -゚)「愛しているんだ」
ξ;凵G)ξ「おねーちゃん大好き!」
( ^ω^)「クーさん、鼻血がナイアガラですよ」
(;^ω^)「あのー、クーさん?」
川 ゚ -゚)「なんだ腐れポンチ」
その後ツンさんが着替えに行ったので、僕はクーさんに声をひそめて聞いてみた。
(;^ω^)「……クーさん、ずっとツンさんのこと見張ってたんですよね」
川 ゚ -゚)「当たり前だ。ビデオにもとってある。いるか? 五巻セットで五十万だ」
(;^ω^)「は……え、遠慮しますお。ところで、それなら僕とツンさんのこと……」
川#゚ -゚)「ガッデム! あの日はVIPでスレ立てててな! 見逃したんだ! 畜生!」
( ;ω;)「そこは見ててくれおー!」
やがて寝巻を着たツンさんが帰ってきて、妙な三者面談が始まった。
川 ゚ -゚)「で、ツン。こいつを殺していいか?」
(;^ω^)「僕の周りはみんな単刀直入だお」
ξ;゚听)ξ「ダメよ! こいつは私の召使なの!」
川;゚ -゚)「め、召使だと!?」
〜クーの回想〜
ξ゚听)ξ「あたち、おねーたまのおよめたんになるー!」
川 ^ -^)「そうかそうか。じゃあツンのものは私のもの。ツンも私のものだな。
ところでトイレは大丈夫か?」
ξ゚听)ξ「うん! もうひとりでいけるよ! えらい??」
川 ゚ -゚)「ああ……偉いよ……」
〜回想終わり〜
川 ゚ -゚)「よーし、わかった」
( ^ω^)ξ゚听)ξ「なにが?」
川 ゚ -゚)「つまり、この内藤はツンの召使であり、私の召使でもあるのだ」
(;^ω^)「ちょwwwwなにその理論wwwwwww」
川 ゚ -゚)「ならば私もこいつを生かしておいて損はない。
ところでお前ら、なんで一緒に勉強してんの?」
ξ゚听)ξ「実はかくかくしかじかで」
川 ゚ -゚)「なるほど。つまり、そいつを消せばお前らが一緒に勉強する理由もなくなると」
ξ;゚听)ξ「えっ? ま、まあそうね……」
クーさんは立ち上がると、なぜか風呂場に行って戻ってきた。
川 ゚ -゚)「じゃあ、ちょっくら行ってくる。内藤、とりあえず今日は帰れ」
(;^ω^)「は、はあ……でもどこに?」
川 ゚ -゚)「明日になれば分かる」
そう言って、クーさんは天井裏から外に出た。
(´・ω・`)「あーすっきりした」
深夜の学校。視聴覚教室から出てきたのはショボン先生。
彼の趣味は、夜の学校で大音量で女子高生もののAVを見ることだった。
(´・ω・`)「さーて、テストまだだけど成績表作るか。
とりあえず、イケメンは20点。不細工は60点。女の子はみーんな120点」
(´^ω^`)「そして内藤は0点! ゲラゲラゲゲラゲラ! たまんねーなこりゃ!」
一仕事終えた彼は、トイレに向かった。
もちろん、女子トイレである。
(´^ω^`)「ひひひwwwwww女子便所を汚してやるぜwwwwww」
そして、彼が床に小便をまき散らし始めた、その時だった。
女子トイレに、必殺仕事人のテーマが流れ始めた。
(´゚ω゚`)「何事だ!」
(゚A゚)「なんだなんだ!」
ショボンが慌ててきょろきょろしていると、
女子便所の奥から男が一人現れた。
(´・ω・`)「君はドクオ君! ドクオ君じゃないか!」
('A`)「あ、こんばんはショボン先生。こんな時間に何してたんですか?」
(´・ω・`)「ちょっと女子便所を凌辱していたんだ。君は?」
('A`)「ダッチワイフとトイレプレイしてました。この子です。しゃべるんですよ」
从'ー'从<あれれ〜、いっちゃうよ〜
(´^ω^`)「あはは! すごいなぁ! 君は相変わらずだね!」
从'ー'从 <あれれ〜、いっちゃうよ〜
(´^ω^`)「あはは! 本当にすごいなあ、こいつ!」
从'ー/'从<あれれ〜、いっちゃうよ〜
('A`)「でしょ!? オリエントはホントすごいですよ!」
从'ー/ -゚'从<あれれ〜、逝っちゃうよ〜
(´^ω^`)「僕も一つ買おうかな。なにかお勧めはあるかい?」
从'/゚ -゚)つ'从<あれれー、おまえたち逝っちゃうよー
('A`)「それなら内藤君が持っていたダッチがすごい……」
川 ゚ -゚) つ'从「お前たち、逝け」
(´゚ω゚`)(゚A゚)「ぎゃああああああああああああああああああああああ!」
二人を見たものは、誰もいない。
翌日。
(;^ω^)「ツンさん、昨日、クーさんいつ頃帰ってきた?」
ξ;゚听)ξ「分かんない。朝起きたらPCの前でテラワロスwwwwwとか言ってたけど」
そして今、クーさんは天井裏で寝息をたてている。
(;^ω^)「何事も無ければいいけど……」
ξ゚听)ξ「まあ、今までの経験から言ったら、何事もあるわね」
(;^ω^)「あ、やっぱり?」
ξ゚听)ξ「うん」
担任が好きそうな、憂鬱な朝だった。
しかし、学校についても予想に反してこれといった騒ぎはなく、
やがてチャイムが鳴り、ホームルームが始まった。
(´・ω・`)「ういーっす。今日も爽やかな朝だな。お前を蝋人形にしてやろうか!」
担任も相変わらずの調子だった。
しかしである。
(´・ω・`)「ところで、この爽やかな朝に質問するぞー。いいかー。よーく聞けよー」
(´゚ω゚`)「先生、昨夜、学校で不審者の警備をしていたらポン刀持った女に追いかけられました!
幸い、先生は勇者ロトの子孫だったので奴を撃退しましたが、さて、この話が信じられない人!」
僕とツンさん以外の全員が手を挙げた。
(´^ω^`)「よーし! 先生、お前らが大好きだ! 大学ロクなところに行けると思うなよ!」
そのあと、ニコニコ顔の担任は僕とツンさんを見た。
(´^ω^`)「ツンデレ君! この前はごめんな! ちゃんと君は点数100点増しにするかなら!」
ξ゚听)ξ「あ、そりゃどーも」
(´^ω^`)「それと内藤! この前はごめんな! お前もテストの点数、額面通りにつけるからな!」
( ^ω^)「あ、プラマイ0ってことですね。わかります」
とりあえず、僕の100点のハンディは消えた。
めでたしめでたし。
なわけはない。
川 ゚ -゚)「うはwwwテラワロスwwwwwこの>>1変態すぐるwww
あ、お帰り。お風呂にする? 食事にする? それともV・I・P?」
(;^ω^)「最後がよく分かりませんお」
川 ゚ -゚)「おお! 召使……君は召使くんじゃないか! めし作れ。腹減った」
(;^ω^)「あ、はいですお」
とりあえず僕は食事を作る。
そのあと、食卓を囲んでクーさんに質問をした。
(;^ω^)「あの、クーさん?」
川 ゚ -゚)「なんだ召使? 日常会話で2ちゃん語はやめろってか? やかましいわ!」
ξ;゚听)ξ「おねーちゃん。おかげで内藤のテストは大丈夫そうなんだけど、昨日、なにしたの?」
川 ゚ -゚)「ああ、男を二人追いかけまわした。それだけだよ」
ξ;゚听)ξ「本当にそれだけ?」
川 ゚ -゚)「うん。それだけ。ただ、それだけ」
ξ゚听)ξ「ふーん。本当みたいね。ならいいわ。ありがとう」
(;^ω^)(あと一人って誰だろう……)
その後しばらく、ツンさんの部屋で勉強した。
そしてツンさんがお風呂に入ったところで、僕はクーさんに呼び出された。
川 ゚ -゚)「さて、召使くん。君には本当のことを話そう」
夜の月に照らされたクーさんの横顔は、比較的まともな女性のそれだった。
川 ゚ -゚)「昨夜、私はショボンとか言う変態と、もう一人と戦った」
(;^ω^)「そのもう一人って誰ですかお?」
川 ゚ -゚)「しかしあと一歩というところで、殺し損ねた」
(;^ω^)「ねえ、もう一人って誰なんですかお!?」
川 ゚ -゚)「そう、あの時私は、神(スレ)の予感を感じ取ったのだ。
それにな、あの八の字眉毛の男、なかなかに手ごわくてな」
そしてクーさんは笑った。僕の質問には一言も答えずに。
川 ゚ー゚)「しかし、ツンと君が救われたようだから、まあ、結果オーライだな」
月明かりの下、クーさんは酒瓶をとり出した。
あらかじめ用意してあったらしいコップを取り出し、一方を僕によこす。
川 ゚ -゚)「飲め。よく熟成されたものだ」
(;^ω^)「いや、お酒はちょっと……」
川 ゚ー゚)「まあ、いいから飲め」
( ^ω^)「わかりました。だから日本刀は仕舞ってください」
僕はコップに口をつけた。酒ではなかった。独特の風味のある、しかしコクのある液体だった。
川 ゚ -゚)「どうだ? うまいだろう? もう一杯いくか?」
( ^ω^)「お、いただきますお。それにしても美味しいですお。
でも、これってなんなんですかお?」
川 ゚ー゚)「ツンの入った風呂の残り湯だ」
( ゚ω゚)<ぶーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
川#゚ -゚)「何をするんだ貴様! もったいない!
これはツンが五歳のころから継ぎ足して継ぎ足し続けた秘伝の一品なんだぞ!」
(;^ω^)「あんたなにしてはるんですかwwwwwwww」
川#゚ -゚)「もういい! お前の顔写メVIPの出会い厨百貨に晒してやる! 覚悟しとけ!」
(;^ω^)「意味がよく分かりませんお……」
クーさんは魚肉ハンバーグのようにぷりぷりと怒りながらツンさんの部屋へと消えていった。
僕はいい加減眠かったので、自分の部屋に入った。しかし。
(;^ω^)「……」
僕の部屋には大量のゴキブリが発生していた。
たぶん、間違いなく、あの人が放ったものだろう。
僕は泣きながらバルサンを焚いた。
ようやくテストも終わり、いつもの毎日が戻ってきた。
最近僕は、朝練の途中でツンさんに電話を入れることにしている。
これで、ツンさんを毎日起こすという約束が果たせる。
( ^ω^)「ツンさん、朝だお」
ξ゚听)ξ『うえぇーい……おあよー……』
ξ;゚听)ξ『ぎゃあああああああああああああああああああああああ』
(;^ω^)「ど、どうしたんだお!?」
ξ;゚听)ξ『おねーちゃん! なにやってんのよ!』
川 ゚ -゚)『なにっておまえ、添い寝だよ。姉が妹に添い寝するくらい普通だろ?』
ξ;゚听)ξ『全裸は普通じゃないわよ! ぎゃー! どこさわってんのよ!』
(;^ω^)「……またかお」
しかし果たして、僕が起こす必要があるのだろうかと迷う。
溜息をついてケータイを切った。
真後ろにドクオさんがいた。
('A`)「内藤君、最近毎日どこに電話してるの?」
(;^ω^)「お……ただの友達ですお。朝に弱いんですお、そいつ」
('A`)「ふーん、ただの友達ねぇ……黄色い声が聞こえたけど?」
(;^ω^)「……」
いろいろあったけれど、毎朝、毎夕部活に顔を出してくれるドクオさんを、
僕はやっぱり尊敬していた。だから隠し事なんて気が引けた。
(;^ω^)「実は隣の部屋に姉妹が引っ越してきたんですお。
その人たちと仲良くなって、まあいろいろあって、電話で起こしてやってるんですお」
そしてドクオさんは腕を組んで考えこむと、とても優しい顔をしてイッた。
('∀`)「内藤くん、ダメだよ、エロゲをつけっぱなしにしちゃ」
(;^ω^)「は? どういう意味です?」
('∀`)「いいんだいいんだ。みなまで言うな」
ドクオさんがうんうんと頷く。
('∀`)「俺も初心者のころはエロゲをつけっぱなしにして、
家の電話にエロゲのボイスが流れるようにしてたもんさ」
( ^ω^)「なんでそんな無駄にテクッてるんですか?」
('A`)「だけどな、内藤くん。現実を見るんだ。
エロゲは所詮はエロゲ。それは僕たちの妄想のなかにしか存在しない女の子たちなんだ」
(;^ω^)「ドクオさんこそ現実を見てください」
('∀`)「見てるさ、俺は。毎日な」
そう言ってドクオさんは、トラックで汗を流す部員たちを眺めた。
そしてバイトがあるからと言って、学校を去った。
その背中は、僕が目指すべきそれだった。
放課後、もう日も短くなり、あたりは真っ暗だった。
それでもツンさんは、校門の前で僕を待っていてくれた。
木枯らしの吹く夜の街を、僕らは連れだって歩く。
ξ゚听)ξ「それにしても珍しいな」
( ^ω^)「なにがだお?」
ξ゚听)ξ「おねーちゃんがよ」
ツンさんは寒いのか、スカートからのぞくひざ下をもじもじさせながら話す。
ξ゚ー゚)ξ「おねーちゃんが私と仲がいい男子に何もしないのって、珍しいの。
いや、珍しいってレベルじゃないわ。初めてのことね」
(;^ω^)「いや、ゴキブリ放たれましたけど?」
ξ゚听)ξ「そんなの、なにもされてないのと一緒よ」
ツンさんはくすくすと笑いながら話す。
ξ゚ー゚)ξ「小学校のころ、私に好きだって言った男の子は翌日体育倉庫です巻きになった」
(;^ω^)「小学生をキュウリ扱いかお……」
ξ゚ー゚)ξ 「中学校のころ、ラブレターをくれた子がいた。
その子はラブレターを全校掲示板に張り出されて登校拒否になった」
(;^ω^)「自殺しなかっただけマシだお……」
ξ゚ー゚)ξ 「ここに引っ越してくる前に私に告白してきた三人の男子の行方はいまだ分からない」
(;^ω^)「それって普通に大事件だお……」
そしてツンさんは、素敵な笑みでこう言った。
ξ゚ー゚)ξ「でも、あんたにはなにもしてない。なんでだろ?」
( ^ω^)「うん。東京湾にチンされててもおかしくないのにね」
やがて僕たちのアパートが見えてきた。
ツンさんの部屋には明かりがともっている。
きっとクーさんがネットでもしているのだろう。
ξ゚听)ξ「ねえ、内藤。ひとつ聞きたい事があるの」
( ^ω^)「ん? なんだお?」
部屋の灯を見ながら、ツンさんが立ち止まり、言った。
ξ゚听)ξ「なんであんた、走らないの?」
夜。町の明かりに照らされたツンさんの顔は笑っていなかった。
まっすぐに僕を見つめていた。僕もまっすぐに見つめ返す。ツンさんは続ける。
ξ゚听)ξ「聞いた話だけど、うちの高校の陸上部、かなり強いんでしょ?
全国から選手を集めてるって話、聞いたよ。もしかしてあんたも?」
( ^ω^)「そうだお。僕の出身は九州だお。九州からはるばる、陸上のためにここに来たんだお」
ξ゚听)ξ「じゃあ、なんで走るのやめちゃったの?
いつも雑用ばっかりじゃない。レギュラーになること、諦めちゃったの?」
( ^ω^)「……」
僕はなにも言わなかった。こんなとき、言葉は想いを半分も伝えてくれはしない。
その代わり、僕はズボンの裾をめくりあげた。
アキレス腱の上に大きく刻まれた傷跡。言葉より確実に想いを伝えてくれる。
ξ゚听)ξ「そっか。大変だったね」
ツンさんは無表情で言った。悲しい顔はしなかった。
僕は嬉しかった。だって僕は悲しくなんてないのだから。
そして僕は、この子は優しい子なんだと、はっきりと知った。
( ^ω^)「僕はこのおかげで夢を見つけたんだお」
僕はズボンの裾を元に戻した。
ツンさんはひとつ頷いて、耳を傾けてくれた。
( ^ω^)「僕はこの傷のおかげで、ドクオさんの偉大さに気づけたんだお」
ツンさんは爆発した。
ξ;゚听)ξ「はぁ!? ドクオって、あれでしょ!? あれよね!?」
( ^ω^)「そうだお。あれだお。だけどあれは、ドクオさんの仮の姿なんだお」
ξ;゚听)ξ「嘘だっ! あれが仮の姿なら、あいつは一生仮の姿のままよ! 目を覚ましなさい!」
( ^ω^)「そんなことないんだお。
ツンさん、ドクオさんがなんで毎朝、毎夕、部活を見に来るか知ってるかお?」
ξ゚听)ξ「友達がいないからじゃない?」
( ^ω^)「それだけが理由じゃないお。
ドクオさんは全国区の背選手だったんだお」
そして僕はもう一度、ズボンの裾を上げた。そして傷ひとつないひざを指差す。
( ^ω^)「でも、ひざをやったんだお」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「だけどくじけないで、スポーツトレーナーになる決心をしたんだお」
( ^ω^)「僕も選手のころは、ドクオさんのこと踏まれたトカゲみたいな顔だと思ったお」
ξ゚听)ξ「あんたも意外と毒舌ね」
( ^ω^)「でも、アキレス腱を切って絶望していた時、ドクオさんが僕の傍に来てこういったんだお」
('A`)b『そんなことより、あいつら見てようぜ』
( ^ω^)「そのあとだったお。監督からドクオさんの話を聞いたのは。
ドクオさんは、後輩が二度と怪我をしないよう、ずっと見守ってくれてたんだって」
ξ゚听)ξ「でも、あんた怪我したじゃない」
(;^ω^)「うん。その日はドクオさん、たまたまいなかったんだお」
ξ゚听)ξ「ダメじゃない、それ」
( ^ω^)「きっと、大切な用事があったんだお。
それに僕は、怪我したおかげで夢を見つけたんだから、いいんだお」
ξ゚听)ξ「ふーん」
ツンさんは気のない返事で話を打ち切ると、カンカンと音を鳴らしてアパートの階段を上った。
その頂上で振り返って、すました顔でこう言った。
ξ゚ー゚)ξ「あんたってバカね! バカでスケベでお人よし!」
(;^ω^)「だからスケベは誤解だお……」
ξ゚ー゚)ξ「だけど、嫌いじゃないよ」
ニッコリと笑って、もう一度言った。
ξ゚ー゚)ξ「私、あんたのこと嫌いじゃないよ!」
そして、ツンさんは部屋に帰っていった。
( ^ω^)「……」
夜は寒かった。だけど、頬は熱かった。
良く分からない、名前も知らないはじめての気持ちが胸に湧き起こってくる。
( ^ω^)「なんだろう、この気持ちは……」
きっと、今夜は眠れないだろうな。
僕はとまどいと、ほのかな幸せを胸に自分の部屋の戸を開けた。
川 ゚ -゚)「私、あんたのこと嫌いじゃないよ」
ドス女が待っていた。
川#゚ -゚)「私、あんたのこと大嫌いだよ」
僕の夜明けは遠い。
冬休みがきた。
この町で初めての冬休みだ。
(;^ω^)「ごめんお。今日から一週間部活の遠征なんだお」
川 ゚ -゚)「オフ会で一週間アキバで暴れてくる。ニコ動にうpされるから見てね」
ξ゚听)ξ「……いってらっしゃい」
一人で過ごす初めての冬休みだ。
ひとりでイブを過ごした。
ケーキは買わなかった。
川 ゚ -゚)「寂しくなったらこのURL(http://2ch.net/)を開くんだ」
おねーちゃんが書置きを遺していた。
でもそれだけはしてはいけないような気がした。
ひとりきりの部屋はとても広くて、ひとり言が怖い位に反響した。
寂しさに外に出れば、連れだって歩く人々の群れが、どこか遠い風景のように見えた。
現実感がなかった。
自分がここにいるという事が、とてもあいまいなことに思えた。
流れるようにふらふらと町を漂い、気がつけば学校の前にいた。
学校は人の気配がなかった。
いつもはあるものがそこにないだけで、学校がまったく別のものに見えた。
(´^ω^`) あー! 人生って楽しいな!
__〃`ヽ 〈_
γ´⌒´-−ヾvーヽ⌒ヽ
/⌒ ィ `i´ ); `ヽ
/ ノ^ 、___¥__人 |
! ,,,ノ爻\_ _人 ノr;^ > )
( <_ \ヘ、,, __,+、__rノ/ /
ヽ_ \ )ゝ、__,+、_ア〃 /
ヽ、___ ヽ.=┬─┬〈 ソ、
〈J .〉、|..生 |, |ヽ-´
/"" |..涯 |: |
レ :|:..一 | リ
/ ノ|教師| |
| ,, ソ ヽ )
.,ゝ ) イ ヽ ノ
y `レl 〈´ リ
/ ノ | |
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〉 〈 〉 |
/ ::| (_ヽ \、
(。mnノ `ヽnm
まったく別のものに見えた。
ξ゚听)ξ「先生、ひとりでなにしてるんですか?」
(´・ω・`)「誤爆した」
ξ゚听)ξ「は?」
(´^ω^`)「冗談だよ! 乾布摩擦さ! ツンデレ君もどうだい!?」
ξ゚听)ξ「遠慮しておきます」
部屋に帰ってひとりで寝た。
一週間、ずっと部屋で寝て過ごした。
ひとりで布団に入っていた一週間、ずっと内藤のことを考えていた。
召使の分際で、冬休みに主人をひとりにするなんて、なんと最低な奴だろう、と。
夢の中でも恨み事、トイレでもお風呂でも恨み事。
そして一週間が過ぎて、私はコートの下に日本刀を隠し持って、部屋を出た。
ξ゚听)ξ「あいつを殺そう」
最寄りの駅のホーム。ここに内藤は降り立つはず。
あいつは降りてきたとき、私を見て笑うだろ。
そこを、ずばっとやるのだ。
私を一週間も放っておいた罰だ。ずばっとやってやる。
ξ゚听)ξ「……寒い」
だけど、夜が来ても、何本の列車が止まっても、内藤はやってこなかった。
一方、その頃の僕はというと。
('∀`)「ふひひwwwwwうはうはパラダイスwwwwww」
(;^ω^)「ちょwwwwwドクオさん待ってwwwwwww」
遠征先で解散したのち、ドクオさんに連れられてなにかのお祭りに連れてこられていた。
冬だというのに会場内は蒸し暑く、異様な臭気に満たされていた。
やがてドクオさんとはぐれた僕は、会場の外で座り込む。
(;^ω^)「はやく帰らなきゃ、ツンさん寂しがってるお」
早い夕焼けに空は染まっていた。
冷たい町で、ひとりきりの部屋で、ツンさんはどんな気持ちでいるのだろうか。
そのことを考えると胸が痛んだ。
一刻も早く帰らねばと、こんなところにいていいわけがないと、立ち上がった。
川 ゚ -゚)「君は召使……召使くんじゃないか!」
忍者の格好をしたクーさんがそこにはいた。
( ^ω^)「あ、クーさん。こんな肥溜のようなところで奇遇ですね。
そんな恰好して誰の命をとりに行くんです?」
川 ゚ -゚)「なにを言っているんだ召使くん。これはコスプレというものだ。」
(;^ω^)「こすぷれ? なんですかお、それ?」
川 ゚ -゚)「非日常の格好に身を包み、自らを解き放つ高尚な趣味のことだ」
( ^ω^)「あなた、普段から似たような恰好してるじゃないですか」
クーさんは小刀を抜くと、僕ののど元に切っ先を当てた。
川 ゚ -゚)「余を愚弄するとその首が飛ぶぞ?」
(;^ω^)「……それ、本物ですよね?」
川 ゚ -゚)「偽物だよ、建前上はな」
その時だった。僕とクーさんのまわりから無数のフラッシュが放たれた。
(;´_/【◎】パシャパシャ「目線ください!」
(;Ф/【◎】パシャパシャ「ZIPでくれでおじゃる!」
(;'A/【◎】パシャパシャ「生足拝ませてください!」
(;´゚/【◎】パシャパシャ「パンツ拝ませてください!」
飛び交う叫び。ひしめくカメラ。どこかでみたことのある人。
川 ゚ -゚)「あらやだ、人気者は辛いな」
そしてクーさんはカメラに向けてさまざまなポーズをとり始めた。
僕はその隙に会場を脱出し、駅へと急いだ。
列車が揺れる。僕の町の名前がアナウンスされたのは、九時を過ぎた頃だった。
早く家に帰らねばと、僕は駅に着く前から下り口の前で立っていた。
ドアが開く。身を切るような風が入り込んでくる。
その風のなかに、かぎ慣れた香りが交っていた。
(;^ω^)「これは……ツンさんの部屋のにおい?」
まさかとは思いつつも、慌ててあたりを見渡した。
ξ゚−゚)ξ「……」
ホームの隅に、ツンさんがいた。
コートを羽織って。
布でくるんだ細長いなにかを肩にかけて。
僕を、じっと睨みつけていた。
ξ゚−゚)ξ「……」
(;^ω^)「……」
僕とツンさんの間をたくさんの人たちが通り過ぎ、やがて列車は出発した。
ひともまばらになり始めた下りのホームで、僕たちは距離を置いてお互いを見る。
ξ#゚−゚)ξ「……」
やがてツンさんがツカツカと早足で歩み寄ってくる。
肩にかけたアレをきちんと持ち直し、一直線に僕の方へ。
( ^ω^)「……」
けれど、不思議と怖くはなかった。
ツンさんの気のすむならそれでいいと、なぜか、そう思えた。
そしてツンさんは僕の眼前で立ち止まり、手にしたアレを、
地面に落とした。
(;^ω^)「お? ツンさん? どうしたんだお?」
ξ゚−゚)ξ「……」
ツンさんは落としたアレを拾うそぶりすら見せず、僕を睨みつけていた。
背が低いから彼女は僕を見上げる形になり、そしてその眼は、潤んでいるように見えた。
(;^ω^)「ツ、ツンさ」
ξ゚−゚)ξ「寂しかった」
それからツンさんは、僕の胸にひたいをつけた。
ξ゚−゚)ξ「寂しかった。もうどこにもいくな」
(;^ω^)「……」
ξ゚−゚)ξ「大みそかは一緒にお蕎麦食べる。お正月は一緒におモチ食べる」
まさに目の前に迫ったツンさんから、例えようのない香りが漂ってきた。
本当は他に言う事があったのだろうけど、どぎまぎしていた僕は、こんなことしか言えなかった。
(;^ω^)「……そ、それは誰が作るんだお?」
ξ゚听)ξ「……あんた」
( ^ω^)「……おっおっお。わかったお」
ξ゚ー゚)ξ「……へへw」
ツンさんはようやく笑ってくれた。今までで見た、一番いい顔だった。
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