( ^ω^)の涙のようです5
( ^ω^)「ただいま」
こんな沈んだ気持ちで玄関の戸を開けるのは久しぶりだった。
J( ‘-`)し「おかえり」
いつも通り母が出迎えてくれた。
J( ‘-`)し「ご飯出来てるわよ。食べるでしょ?」
( ^ω^)「いらないお」
J( ‘-`)し「どうしたの? 具合いでも悪いの? あら、あんた服が随分汚れてるじゃない」
( ^ω^)「うん……気分がよくないから、部屋で寝ているお」
J( ‘-`)し「そう……」
心配そうに見つめる母の視線をよそに、ブーンは自室に入る。
『帰ろうと思えば帰って来られるのに、そうしないって事は』
ブーンは先ほど頭に浮かんだ考えを反芻する。
『つまり、僕の元には帰って来たくないって事だ』
そこに思考が行き着き、ブーンは愕然とした。
どうしてかはわからないが、ショボンは僕と一緒にいたくなかった。だから出ていった。
なぜ? 今までうまくやっていたじゃないか。喧嘩もせず、どこに行くにも一緒で仲良く
やっていたじゃないか。
ここを出ていってどうするんだ? あんなマンガ猫、行く宛てがあるわけない。
という事は、それを踏まえた上でも僕と離れたかったのか。
馬鹿言うな。何度も言うが、ショボンと僕はちゃんと関係が良好だった。僕に愛想が尽きた
ような素振りなんて、少しも見えなかった。
しかし、それは表面上の態度かもしれない。僕が自分の知らないうちにショボンを傷付けて
いた可能性もある。いや、大いにある、と言うべきだろう。なにせショボンがいなければ他人と
付き合うことが出来なかったボンクラなのだ。自分の預かり知らぬところでショボンの反感を
買っていたとしても不思議ではない。
ブーンは思考の渦にはまっていた。
自分の中で“ショボンがいなくなるはずがない”という考えと“自分なら愛想を尽かされても仕方ない”と
いう考えを交互に繰り返していた。
しかしどちらにせよ、確かなことが一つある。
――ショボンは、もうここにはいない――
それはまごうことなき真実だった。
今日1日捜し回ったのだ。ショボンがいると思しきところはもう全て見て回ったように思える。
つまりもうショボンは戻ってこない。
このガランとしてしまった部屋でこれからの日々を過ごさなくてはならない。
それはブーンにとってとても辛いことだった。
自分を励ましてくれ、元気づけ、友人が出来るよう世話を焼いてくれた。
ショボン自身もよき友人であり、保護者であり、弟のようだった。
その全てを失った。
もう、ショボンは、いない。
ブーンの眦に塩気を帯びた水が滲む。
( ;ω;)「あーー、あーー!」
ブーンは泣いた。ベッドに伏せ、まるで子供の様に慟哭した。
階下に母がいるだとか、声が大きいだとか、そんな事に気を回す余裕などない。
ショボンを失ってしまった。
無二の存在をなくした。
これからどうすればいい?
悲しい時、寂しい時、困った時、誰を頼ればいい?
楽しい時、笑顔の時、誰と喜びをわかちあえばいい?
落涙し続けるブーンの目は殴られたかのように腫れあがり、次いでその視界が狭まった。
すっかり日が落ちた冬の住宅街に、ブーンの嗚咽がいつまでも響いていた。
気が付けば、あたりは暗闇に包まれていた。
真夜中だってこんなに暗くない。もはや上も下もわからぬ程の闇。
暗いというよりは、黒い、と言ったほうがしっくりくると思えるほどの闇の中に、ブーンは
何をするでもなくつっ立っていた。
なぜ自分はこんなところにいるんだ?
記憶を辿ってみるが思い出せない。そもそもこんな場所は知らない。知らない場所に
来れるはずもない。
不思議と恐怖心はなかった。ただ違和感だけが胸中に現れる。そしてブーンは何かに
呼ばれたかのように淡々と歩きだした。
なぜ? と問われても困る。強いて言うならば、そうしなければならない気がした、という
のが一番しっくりくる表現だろう。
歩きだして少し経つと、光が皆無の闇の中で何かが見えた。
それは小さく、輪郭はぼんやりとしていて、まるで幽鬼か何かのようだった。
徐々に近づいてみると、今ははっきりとわかる。ブーンはそれをよく知っていた。
いや、ブーンしか知らない、と言うほうが正確か。
それはブーンが眼前まで迫ると、おもむろに開口した。
(´・ω・`)「やぁ」
ショボンだった。
いなくなったはずのショボン、いくら探しても見つからなかったショボンがこんな意味不明の
場所にいる。
(;^ω^)「ショボン……こんな所で何してるんだお? 僕は捜し回ったんだお? 勝手にいなく
なって、ひどいお! 何でいなくなっちゃったんだお!」
ブーンは自然と語気が荒くなる。
(´・ω・`)「……ブーン、僕はね。……お別れを言いに来たんだ」
(;^ω^)「お別れ?」
驚きすぎて返事がオウム返しになる。
(´・ω・`)「そう、お別れ」
ショボンはまるでそれが当然だとでも言うように、淡々と言葉を継いだ。
(;^ω^)「そんな……何でだお。ひどいお。自分勝手すぎるお。いきなりいなくなって、いきなり現れて、
それで、お別れなんて……ひどいお」
うまく言葉が出てきてくれない。
(´・ω・`)「本当は、何も言わないで別れようと思ったんだ。だけど……。……そうか、君はまた泣いて
いたんだなぁ」
ショボンは困った様に両眉の端を垂れさせた。
(´・ω・`)「僕は君の涙だ」
ショボンは言葉を継ぐ。
(´・ω・`)「最初に言ったろ? 君が本当に悲しいとき、僕が生まれるって。そしてこうも言ったはずだ。
『君が本当に泣き止むまで、僕はいなくならない』って。つまり、僕がいなくなったっていうのはそういう
事なんだ。君は泣き止んだんだ。もう涙は流さなくていいんだよ」
(;^ω^)「そんな!」
思わず抗議の声をあげる。しかし段々とその声は弱々しくなる。
(;^ω^)「そんなのって、ないお。……僕にはまだショボンが必要だし、これからもずっと一緒にいられると
思ってたお。ショボンは僕の涙だお? 僕が泣いていればそばにいてくれるんだお? さっきだってショボンが
いないから、泣いちゃったんだお。最初に会ったときみたいに」
(´・ω・`)「そうみたいだね」
苦笑しながら肯定するショボンに、ブーンは気持ちが明るくなる。
( ^ω^)「じゃあ!」
(´・ω・`)「でも今はあの時と違う」
ショボンはキッパリとブーンの言葉を制す。
(´・ω・`)「確かに君はあの時泣いていて、僕の助けが必要だった。でも今は違う。今は、ジョルジュ達が
いるだろう? 助けてくれる友達がいるだろう?」
(;^ω^)「でも……」
(´・ω・`)「それにクラスメイトともうまくやれてる。ブーン、君はもう一人でも平気なんだよ。……いや、違うな。
君はもう一人じゃないんだよ、ブーン。だから僕の助けは必要ないのさ」
(;^ω^)「それは……」
なんとか喉から声を絞りだす。何か言わないと、このままショボンが消えてしまう気がして。
(;^ω^)「それは違うお、ショボン。僕はまだまだ弱いままだお。これからもショボンに助けていってほしいんだお。
それに、ショボンは僕のことを友達って呼んでくれたお? 友達なら、ずっとそばにいて欲しいお」
ショボンはその小さな手で頭を掻いた。
(´・ω・`)「……君は困ったやつだなぁ、ブーン。君はこれからも、大人になってからも僕の助けが必要なのかい?
いいかい? ブーン。誰だって困った時には誰かに傍にいて支えてほしいものなのさ。でも最後はやっぱり自分自身
なんだよ。自分自身に頼っていくしかないのさ」
ショボンはどこまでも真面目な声で、諭すようにブーンに話し掛ける。
(´・ω・`)「今は、今回は僕が役に立てたかもしれない。でも、そうもいかない時だってあるだろう? 大人になって、
社会に出たら、僕が助けてやれない事だってあるだろう? なのに、その時に僕が傍にいるのに助けてあげられないのは、
辛いんだよ、ブーン。友達が困っている傍らで何も出来ないのは、辛いのさ」
わかってくれ、とショボンは願った。
これは去り行く自分からの、友達に送る最後のエールだ、と。
(´・ω・`)「だからブーン。君は僕から離れなきゃいけない。今は一人じゃないけど、一人になってもやっていけるように。
僕に頼ってしまわないように」
どこか苦しそうな表情で、ショボンはブーンに語り掛ける。
(´・ω・`)「もう、涙は止まっただろう?」
何も言わなくなるブーン。その目は虚ろで、何を思っているのか見て取ることは出来ない。
(´・ω・`)「それになぁ」
はにかんだように苦笑するショボン。
(´・ω・`)「涙がいないと困るなんておかしな話だぜ? 涙って悲しい時に出てくるだろう? 悲しみの凝縮さ。
本当なら忌み嫌うべき存在なのに一緒にいたいなんて。おかしな奴だよ、君は」
( ^ω^)「……」
ショボンは自分の足元に視線を落とす。
(´・ω・`)「……だから……」
( ^ω^)「いやだお」
それまでずっと黙っていたブーンが口を開く。
目に溜まった涙が零れ落ちる。
(#;ω;)「いやだ、いやだお!」
(´・ω・`)「ブーン……」
(#;ω;)「いやなんだお! 何でそんな事言うお!? 大人になったらとか、関係ないお!
僕はショボンとずっと友達でいたいお! 一緒にいたいんだ!」
半ば発狂したかのように叫ぶブーン。泣いているせいだろうか、うまく呼吸できずに息が荒い。
そして訪れる沈黙。
お互いに譲れないし、どう言葉を発していいかわからない。
ブーンはショボンを睨み付け、ショボンも穏やかな視線をブーン向ける。
(´・ω・`)「……君に」
沈黙を破ったのはショボン。
(´・ω・`)「君に会うのは、実は3度目なんだよ」
( ^ω^)「えっ」
唐突なショボンの述懐にブーンは驚きを隠せない。
(´・ω・`)「3回目は、今。2回目は、この間だ。ブーン、君が秋に部屋で泣いていたときだよ。でもね、
君は小さかったから覚えてないだろうけど、君が4歳ぐらいの時に僕たちは一回会ってるんだよ」
そう言われブーンは記憶探る。しかし、思い出すことは出来なかった。
(´・ω・`)「やっぱり覚えてないかい? その時もね、ブーン。君は友達が出来ないって
泣いてたんだよ」
そういえば、ショボンは『“また”泣いていたのか』と言っていた。
また――。つまり、ショボンとブーンは以前にも会ったことがあるということだ。そして
ショボンがそこにいたということは、ブーンはその時も涙を流していたという事だ。
(´・ω・`)「君は小さい頃から人とうまく話せなくてね。やっぱり今回と同じように僕が
手助けしてあげたんだよ」
ショボンは「今回みたいに荒っぽくはないけどね」と付け加えた。
――思い出した。
いや、正確には全て思い出したわけではないが。
ブーンは今から10年近く前に、ショボンに導かれ友人をつくった。
確かに疑問には思っていたのだ。口下手な自分がどうやって人と関われていたのか。
この前までは如才なく自力で友人関係を築いていたと思っていたが。
なんのことはない。その時もショボンの力を借りていただけだった。
(´・ω・`)「もう、4度目はよしてくれよ」
ショボンは冗談めかしてそう笑う。
――あぁ。
ブーンは思った。
自分が離れたくないというわがままで、この素晴らしい友人をこれ以上困らせてはいけない。
自分がずっとずっと小さい頃から見守っていてくれたこの友達に、これ以上迷惑をかけちゃいけない。
自分が悲しい時、行き詰まった時に二度も背中を押してくれたショボン。
そんなショボンにどんな顔をしてまだ世話を焼いてくれなんて言えるだろう。
幼い頃から面倒を見てきてくれたのだ。いい加減解放してあげなくちゃ。
そしてブーンはもう大丈夫、とショボンが判断したんだ。それを信じるしかないじゃないか。
二度も助けてもらった。それで十分すぎる程だ。
(´・ω・`)「……本当は、今もこうして会うつもりじゃなかったんだ」
そう呟くように言って、ショボンはブーンの頬を指差す。
(´・ω・`)「涙。――本気で悲しんでくれたんだね。わかるよ。僕がこうして君に会ったことが
……会えたことがその根拠だ」
ブーンは決意したかのように涙をぬぐうと、無理に笑った。
( ^ω^)「おっおっお。もし今会えてなかったら明日も捜すつもりだったお。……明後日も、
その先も、ずっと捜す気だった。……ショボン、今までありがとう。もう、引き止めないお。
ショボンが心配しないように、これ以上、引き止めないお」
悲しいはずなのに、不思議と微笑むことが出来た。
(´・ω・`)「うん、ありがとう。僕はいい友達を持った。ブーン、君に会えて良かった」
( ^ω^)「それはこっちのセリフだお」
ブーンの事を考えてくれたショボン。そのショボンとどうしても離れなくてはいけないのなら、
せめて胸を張らなければいけない。
(´・ω・`)「じゃあ僕は行くよ。もう、一人でも平気だね?」
ショボンからの最終確認。その問いに、ブーンはゆっくり、しかし力強く頷く。
(´・ω・`)「うん、その返事が欲しかった。やっぱり今会って正解だったよ」
( ^ω^)「また会えるのかお?」
今度はブーンからの質問。どうしても答えの欲しい、質問。
(´・ω・`)「わからない」
ショボンは首を振る。
(´・ω・`)「会えるかもしれないし、会えないかもしれない」
( ^ω^)「そうかお……」
「でもなぁ」とショボンは言葉を継ぐ。
(´・ω・`)「さっきも言ったけど、本来なら涙なんて御免被りたいのが普通なんだぜ。なにせ君が
本当に悲しい時しか会いに来ないんだ。君はそんなに悲しい思いをしたいのかい?」
ちょっとからかうようなショボンの口調。
(´・ω・`)「涙を流さないのなら、それが一番なんだ」
それに対してブーンは堂々と胸を張る。
( ^ω^)「でも……。僕はそれでも、ショボン。君に会いたいと思うんだお」
(´・ω・`)「僕もだ」
二人は微笑み合って握手を交わす。
ブーンはしっかりショボンの手を握った。
その暖かさに、涙が出そうになる。
(´・ω・`)「さぁ、さよならだ。元気でやれよ」
しかしブーンは手を離さない。いや、離せない。
ぼんやりとしたショボンの輪郭が、さらにその濃度を薄めはじめた。
( ^ω^)「ショボン」
(´・ω・`)「あんまりお母さんに心配かけるなよ。ジョルジュ達と仲良くやるんだぜ? いいね?」
( ^ω^)「ショボン」
(´・ω・`)「それと野球、ちゃんと続けろよ。あれはいいホームランだった、君には才能があるよ」
( ^ω^)「ショボン」
掴んでいるはずなのに、しっかりと握っているはずなのに、ブーンの掌に感じるショボンの感触が希薄に
なっていく。
だけれど――。だけれどブーンにはわかった。ショボンが、泣いている。
今まであまり表情を変えてこなかったショボンが、涙のショボンが、泣いている――。
気配でも、視覚でも捉え辛くなったショボン。それでも、ブーンにはわかったのだ。
(´;ω・`)「まぁ、君が笑っていてくれたら、それでいいよ。……僕のことは、気にするな」
( ;ω;)「ショボン! ショボン!」
もうショボンの姿はほとんど見えない。そこにショボンがいる、とわかっていて初めて確認できる程度だ。
(´;ω;`)「最後に一つだけお願いだ」
もう声すらも消え入りそうだった。
(´;ω 「僕のこと、忘れな――」
( ;ω;)「ショボン!」
最後にそう言い残し、ショボンはいなくなってしまった。
目を凝らしてみてもどこにもいない。掌も何も掴んではいない。
( ;ω;)「ショボン……」
そう呼びかけても誰も応えない。
ただ一つ、さっきまでショボンの手を握っていた掌に、いつまでもぬくもりが残っていた。
気がつくと、ブーンはベッドにうずくまっていた。どうやら昨日泣いたままの体勢で
寝てしまっていたようだった。
窓の外にはすっかり太陽が昇っており、朝を告げる鳥の声がうるさい。
ではさっきのは、ショボンにあったのは、掌のぬくもりは――夢?
顔をゆっくりと上げる。無理な姿勢で寝ていたため、体がぎしぎしと痛む。ふとベッドに
視線を落とすと、シーツが涙で濡れていた。
( ^ω^)「ショボン」
さっきの出来事は、きっと夢だろう。
でも確かに、ショボンに会って、ちゃんと別れを告げた。
それははっきりとわかる。
なぜ? と聞かれても応える術など持ち合わせていないが、わかるのだ。
ブーンにはわかる。
だって、自分は涙を流していたから。本当に悲しかったから。
だから、ショボンは会いに来てくれた。
心が変に痛む。痛むと言うよりは、からっぽだ。
なのに、変に言い難い充足感があった。
( ^ω^)「忘れるわけないお……」
ブーンは自分の涙で濡れたシーツを見つめ、そう一人ごちた。
ショボンへ――。
ショボン、元気ですか? 僕はそれなりに元気でやっています。
たまに……たまにじゃないけど、冬の朝はショボンで暖をとりたくなったりします。
J( ‘-`)し「ブーン、今日から2年生でしょ? まだ学校行かなくていいの?」
( ^ω^)「今行くとこだお」
J( ‘-`)し「寒いから気をつけてね。お昼はいるの?」
( ^ω^)「多分友達と遊んでくるからいらないお。いってきますお」
僕は今日から2年生です。新しいクラスになるのは楽しみでもあり、不安でもあります。
そんな時に横にショボンがいてくれたら、と思ってしまいます。
(;^ω^)「おわっ、寒いお。もっと着こんで来ればよかったお」
なんだかんだ言って毎日は楽しいけど……。
でも、少し寂しくもあります。
_
( ゚∀゚)「おっす、ブーン」
( ^ω^)「おはようだお、ジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「今日から2年生だな。クラス替え楽しみだなおい」
( ^ω^)「うん。みんな一緒のクラスになれるといいお」
ショボンの言葉どおり、ジョルジュたちとは変わらず仲良くやっています。
母ちゃんにも心配はかけていません。……と、思います。
( ´_>`)「えー、校長の兄者です。君たちは新学期を迎えるにあたってうんたらかんたらちんこがまんこに」
(;^ω^)「校長の話し長いお……。意味よくわかんないし」
( ´_>`)「……はい、では校長の話をこれで終わります。各自、振り当てられたクラスに散って下さい。以上」
退屈な全校朝礼や授業中など、話し相手にショボンが欲しいときもあります。
そう思うとショボンの小ささは、不便でもあり便利でもあったのかな? と思います。
( ^ω^)「ジョルジュ! ドクオ! ビコーズ!」
(‘A`)「へっへっへ。実はみんな同じクラスみたいだぜ」
(∵)「1年間よろしく」
そうそう、なんとジョルジュたち3人と同じクラスになれました。
学校行事も一緒にいれるし、嬉しくて仕方ありません。
l;:;:;:;:l:;:;:;:;:;:;:、;:;l
/;:;___l____:;:;:;:;.ヽ!
. 'y'‐_ _ィ‐ヾ=ミ、_〉
. lfィ。ッ rf。ッ〈:::::ミ|
l! ´7_,! ´ ,.;!:::ミ,!
| ィrュ,ヽ ' {::7〃 「画像も張らずにクラス替えとな?」
ヽ  ̄ _,..ノソv′
,ハ三 =彡'く
,∠ニ ⊥ ニニム、_
. ,. -‐'7 / / ̄`ヽ
( ^ω^)「あ……、麻呂も一緒なんだ……嬉しいお……」
去年に続き麻呂も一緒です。
嬉しいです。
(;^ω^)「去年1−2だった内藤ホライゾン、通称ブーンですお。よろしくお願いしますお」
クラスメイト「よろしくー」
(;^ω^)「ふぅ、なんとか無難にこなせたお」
_
( ゚∀゚)「なんだよ、つまんねぇ挨拶だったな」
( ^ω^)「あれでいいんだお」
新しいクラスメイトもいい人そうな人たちばかりで、不安もなくなりました。
ジョルジュに挨拶がつまらないといわれましたが、無難が一番だと思います。
_
( ゚∀゚)「あー、やっぱ初日は午前中で終わっていいなぁ」
( ^ω^)「じゃあこのままみんなで遊ぶお」
('A`)「なにして遊ぶんだ?」
_
( ゚∀゚)「うーんそうだなぁ。今の気分はダー……」
( ^ω^)「野球だお」
('A`)「えー?」
( ∵)「ブーンは野球が好きすぎる」
('A`)「おまえ最近打率よすぎるんだもん。当て馬にされるからいやだ」
( ^ω^)「いいから空き地に行くお。ほら、早く」
ショボンが褒めてくれた野球も、ちゃんと続けています。
今ではもう、ドクオのへぼピッチングなんて目じゃありません。
キン。
(;'A`)「わー、ほら打たれた! だから嫌だったんだよ!」
( ^ω^)「おっおっおっ。あの当たりは3ベースかお? ホームランかお?」
l;:;:;:;:l:;:;:;:;:;:;:、;:;l
/;:;___l____:;:;:;:;.ヽ!
. 'y'‐_ _ィ‐ヾ=ミ、_〉
. lfィ。ッ rf。ッ〈:::::ミ|
l! ´7_,! ´ ,.;!:::ミ,!
| ィrュ,ヽ ' {::7〃 「画像も張らずに!」
ヽ  ̄ _,..ノソv′
,ハ三 =彡'く
,∠ニ ⊥ ニニム、_
. ,. -‐'7 / / ̄`ヽ
パシッ。
_
(;゚∀゚)「うお! あの麻呂とか言う奴、きっちり捕りやがった!」
(;^ω^)「数として連れて来ただけなのに……麻呂、恐ろしい子……」
まだ痩せてはいませんが、もうその必要もないくらい長打ばかり打っています。
本格的に部活に入ろうかと考えましたが、まだ、このメンバーで野球がしたいから保留中です。
――ショボン、僕は君のおかげで人生が変わりました。
決して大げさなことを言っているわけではありません。
大人たちはみんな言います。『青春時代が一番楽しかった』と。
僕はまだ子供なのでよくわかりませんが、きっとそういうものなのでしょう。
もしショボンに出会わなければ、そんな大切な青春を泣いて過ごしていたことでしょう。
同時に、明るい未来もなかったんだろうと思います。
今の楽しい生活や、ジョルジュや、ドクオや、ビコーズと仲良く出来ているのも、
全部全部、ショボンのおかげです。
それはつまり、これから起こる人生の幸せの基盤をショボンが作ってくれたということです。
友達だけではありません。
僕は、ショボンから言葉ではとても言い表せない大切なものをもらいました。
それは、勇気だったり、人とつながれる喜びだったり、そのどれもを含んでいて、そのどれとも
ちょっと違う大切なものです。
ショボン、僕はもう泣いていません。
あの時、あのショボンが会いに来てくれた別れの時に、ショボンが僕の涙を奪っていったんでしょう?
僕にはそう思えて仕方ありません。
たまにショボンに会いたくなるけど、それには涙が必要だから。
悲しくないと会えないなんて厄介だと思うけど、それは仕方のないことなのでしょう。
だから、僕はまだショボンに会いません。会えません。
だって、楽しいから。
ショボンのくれた毎日が、悲しみなんて思い出せないぐらい楽しいから。
ショボンといた毎日が素晴らしすぎたから――。
だから、まだショボンに会えません。
でも、もしまたショボンの助けが必要なときがあったら、情けないけど、また会いに来てくださいね。
では――、涙に体調があるかはわからないけど、お体に気をつけて――。
また会える日を楽しみにして。
1番の親友へ。
1番の親友より。
キン。
(;'A`)「くわー! また打ちやがった! なんなんだよコイツはもう!」
( ^ω^)の涙のようです 〜FIN〜
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