【ぷろろーぐ】






 のしのしと、土を踏む足がありました。

ミ,,゚Д゚彡「さ、行こうぜシュシュ。子供達が俺を待ってるんだ」

 赤い帽子に、赤い服。
 口元と顎に白い髭を生やしたその出で立ちは、どこから見ても、サンタ。
 彼の名前はフサギコ。
 右手に白い大きな袋を持っています。
 中は空っぽ。

lw´‐ _‐ノv「……」

 サンタの視線の先には、少し小さめの一匹のトナカイ。

 首に大きな赤い鈴。
 薄茶色の、先が枝分かれした二つの角に、真っ白な毛のとても綺麗な体。
 そこから伸びる細く長い四本足は、それはそれは美しいものでした。





lw´‐ _‐ノv「……」

 眠そうな目をした、このトナカイ。
 名前はシュー。
 シューをシュシュと呼ぶのは、フサギコだけ。

 フサギコとシューは、いつも一緒です。
 暗い夜空に星が輝き出した頃、シューは空を翔けます。
 星々の光を浴びて輝いて見える白い体は、どの星にも負けないくらい、美しいものでした。

 今日も、そんな風に――

ミ,,゚Д゚彡「どうした? 行こうぜ?」

 空を翔けるつもりだったのですが――

lw´‐ _‐ノv「今、夏だよ」

ミ,,゚Д゚彡

lw´‐ _‐ノv





ミ,,゚Д゚彡「あっほんとだ暑いなにこれ暑い俺なんでこんな厚着してんの」

 フサギコは、とても頭の悪いサンタでした。
 どんくさくて、周囲からは落ちこぼれサンタと、呼ばれています。

lw´‐ _‐ノv「おうち、帰ろう」

 そう言って、二人は並んで歩きます。

 のしのし、のしのし。
 とことこ、とことこ。

 並んで歩いても、決して足跡の平行線は残りません。
 種類が、違うから。

ミ,,゚Д゚彡「暑いね」

lw´‐ _‐ノv「暑いね」

 しかし、心は同じです。
 さてさて、こんな一人と一匹は、どんな人達にプレゼントを届けるのでしょう。

 あんな人?
 こんな人?

 それはまだ、誰にもわからないことでした。

 なぜなら、やはりフサギコは、どうしようもない落ちこぼれサンタだったから――





 ミ,,゚Д゚彡落ちこぼれサンタと少し卑怯な夏の日の奇跡、のようです









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