第一話「今にも落ちてきそうな物の下で」




――日本上空 小型飛行機。

( ▼Д▼)「まさか最後の”矢”が日本にあったとはな…」

男は厳重に鍵の掛けられた箱をポンと叩きながら操縦席の男に話しかけた。

( ▼A▼)「だがこれで長かった捜索任務も終わりだ、祖国の酒が恋しいぜ。」

( ▼Д▼)「全くだ。俺さ、この任務が終わったら結婚するって恋人と約束してるんだ。」

( ▼A▼)「ははっ!そりゃめでたいな。酒持って祝いに行くぜ。」

( ▼Д▼)「安酒はご免だぜ。」

( ▼A▼)「馬鹿言え、俺の国の酒は安くて美味いんだ。」

カタカタッ

談笑している二人は箱が微かに動いたことに気付かなかった…。

―――ヴィプ王町 VIP高校。

(‘_L’)「というわけで秀吉は52歳の時に、15歳の茶々を側室として…」

( ^ω^)「うらやま…けしからんお。」

('A`)「今日も元気に変態してるなブーン…」

午後の日本史の授業。
隣の席のドクオが教科書も開かずに机にうな垂れながら話しかけてきた。

( ^ω^)「ドクオは相変わらず葬式帰りみたいだお。」

('A`)「うっせぇ」

( ^ω^)「おっおっおっ、冗談だお。」

(‘_L’)「えーとじゃあ…ドクオ君、豊臣秀吉の辞世のk…」

('A`)「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢…」

(‘_L’)「さすがドクオ君。」

( ;^ω^)「…相変わらずドクオは凄いお。」

('A`)「これくらい普通だっつの。」

ドクオは常に授業には無関心を貫いていたが、成績は常に学年トップクラスを維持しているという
ハイスペック怠惰人間であった。

(‘_L’)「じゃあ次は…ブーン君。これらの事実から豊臣秀吉はどのような人物だったと思いますか?」

( ^ω^)「はいだお!ロリコンだと思いますお!」

(‘_L’)「…」

( ^ω^)「…」

(;‘_L’)「……座ってよろしい。」

一方のブーンは、この通りの変態であったが、持ち前の人徳からか
誰からも好かれるクラスのムードメーカーであった。

( ^ω^)「はいだお!」

('A`)「お前の方がすげーよ…」


――放課後。

( ^ω^)「ドクオー!帰るお!」

('A`)「おーう。」

そういって二人はいつものように帰路に着いた。
ブーンとドクオは家が近所ということもあり
幼稚園からの幼馴染で高校2年になった今でも親友だった。

( ^ω^)「そういえば昨日ゲーム買ったんだお!一緒にやるお!」

('A`)「お、何買ったんだ?」

( ^ω^)「ドリームクラb…」

('A`)「だが断る。」

ドォォンッ!

( ^ω^)「おぉ!?」
(;'A`)「な、なんだぁ!?」

二人の頭の遥か上空で、空気が震えるほどの爆発音が轟いた。
二人は同時に空を見上げた。

( ;^ω^)「ひ、飛行機が燃えてるお!」

(;'A`)「あ、あれは小型の民間機だな…町に落ちたら大変なことになるぞ。」

火と煙をあげながら民間機はヨロヨロと蛇行しながら徐々に高度を落としていった。
しかしその瞬間、民間機が白く光り、再び大きな爆発を起こした。

ドゴォォォン!

( ;^ω^)「うおー!また爆発したおー!」

二度の爆発により既に飛行能力を完全に失った民間機はそのまま垂直に地面へと落ちて行く。

(;'A`)「やばいな…見ろ!落ちてくぞ!」

その時。

ヒュンヒュンッ!
スパッ!!

( ;^ω^)「痛ッ!」

(;'A`)「うぐっ!飛行機の破片だ…早く建物の下に行くぞ!」

( ;^ω^)「わかったお!」

二人はそれぞれ傷口を抑えながら急いで近くの民家の軒下に非難した。

(;'A`)「フゥ…フゥ…大丈夫か?」

( ;^ω^)「な、なんとか大丈夫だお…いてて…」

ブーンの左手には小さな切り傷が出来ていた。

(;'A`)「あーあ…俺のズボンが…でも、この程度で済んでラッキーだったな俺ら…」

ドクオのズボンは破れ、太ももに浅い切り傷が出来ていた。

( ;^ω^)「あの飛行機はどうなったんだお…?」

(;'A`)「十中八九、墜落しただろうな。二度目の爆発の時にはもう落ちてた。」

( ^ω^)「じゃあ見に行くお!どうなったか気になるお。」

('A`)「落ちていった方角からすれば多分こっちだな…」

町も突然の爆発音と民間機の墜落で騒然としていた。
歩いていくにつれ、人が増えていく。

( ^ω^)「人がどんどん増えてきたお、皆と同じほうへ進めばあるはずだお。」

('A`)「そうだな。」

二人はそのまま人の流れに任せながら進んでいくと、しばらくして流れが止まった。

( ;^ω^)「ちょ、ここって…」

(;'A`)「あぁ…俺らの学校だ…」

人々が足を止め、好奇の視線を送る先には先程まで授業を受けていたVIP高校があった。
しかし既に学校は野次馬に取り囲まれ、外から校内を伺い知ることは出来ない。
ブーンとドクオは人混みを掻き分けながら、なんとか校門を潜った。
中に入った二人の目に飛び込んできたのは黒々とした煙の立ち上がっている校庭であった。

(;'A`)「良かった…校庭に落ちたのか…あれ?ブーン?」

ブーンに話しかけたつもりで横を向くとブーンはいなかった。

( ^ω^)「なんだお?」

すると後ろから不意に声をかけられる。

(;'A`)「うおぅ!いんのかよ!」

( ^ω^)「他の子から話を聞いてたんだお、
     部活中の子が何人か怪我したみたいだけど皆軽傷だそうだお。」

('A`)「おぉ、そっか。それは何よりだな。」

暫くして警察が到着し、墜落した民間機の周りには立ち入り禁止のテープが張られ、
校庭は当分の間、使用禁止となった。

('A`)「…うっし、じゃあもう帰るか?」

( ^ω^)「警察の人も来た事だし…そうするお。」

野次馬は依然として学校を取り囲んでいて、
二人は来た時のように野次馬をかき分けながら学校を後にした。
しかしその野次馬の中に一人、電話をしているサングラスをかけた男をドクオは目撃した。

('A`)「ん…」

( ▼_▼)「はい…警察が…そうです。”矢”は飛行機もろとも…はい…はい…。」

('A`)「?」

( ^ω^)「ドクオー!早く帰ってドリクラやるおー!」

('A`)「やんねーっつの!」

そして二人は再び帰路についた。
しかしなぜか先ほどの男の言葉が、ドクオの耳にずっと残った。

( ^ω^)「じゃあまた明日だお、ドクオ。」

('A`)「おーう…あ、ブーン。俺の貸したCDいい加減返せよな」

( ;^ω^)「おっ…(忘れてたお)明日学校に持っていくおー」

('A`)「ういー了解。」

軽い挨拶を交わした後、ドクオは自宅へと帰っていった。
それに向けてブーンは軽く手を振り、見送った。

( ^ω^)「…お?」

ふと先程民間機で怪我をした手に痛みが無い事に気づく。
ついさっきまで左手にあったはずの傷がどこにも見当たらなかった。

( ;^ω^)「あれ?もう治っちゃったのかお?」

( ^ω^)「いや!これはブーンの治癒能力の高さの表れだお!お肉ばっかり食べててよかったお!」

ブーンは大して気にするでもなく家に帰った。

――その日の晩。

( ^ω^)「ふぅ…お腹いっぱいだお。」

夕飯を食べて自室に戻ったブーンはベッドに飛び込んだ。

( ^ω^)「今日はいろいろあったから疲れたお………」

ベッドで仰向けになりながらそう呟くと自然とまぶたが重くなり、ブーンはそのまま眠ってしまった。

………。

……。

…。

ブーンは夢を見ていた。
暗闇の中で一人佇むブーン、不思議とそれに孤独感は無かった。
ブーンが辺りを見渡すと、少し先で何かが動いた。

( ^ω^)「ん?あれは…」

ξ゚听)ξ「きゃー!」

( ^ω^)「ツン!?どうしたんだお!」

暗闇の中から現れたツンという女の子はブーンが密かに思いを寄せている同級生だった。

( ∀ )「ぐへへへ…良い女だぜぇ…」

男の顔はボヤけていてよく見えない。
男はツンの肩を強引に抱いて引き寄せる。

ξ;゚听)ξ「触らないで…やめて…!」

(#^ω^)「ツンに何するおー!」

ブーンは考えるより先にツンの元へと駆けていた。
足の速さには自信があったが、夢の中では更に早く駆けることができた。

(#^ω^)「ツンから離れろおー!」

ブーンは加速した体ごとぶつかるようにして男を殴った。

 #)∀ )「ぐへぇ!」

ドッゴォォォォン!

( ;^ω^)「おぉ!?」

明らかに人を殴った音とは違う異常な破壊音を聞き、
ブーンは夢の世界から一気に現実へと引き戻された。

( ;^ω^)「ハァハァ……夢?」

ベッドから飛び起きたブーンの頭にパラパラと何かが降ってきた。

( ;^ω^)「ん…なんだお?」

頭に乗った何かを手で取り見てみると小さな木片だった。
恐る恐る天井を見上げてみる。

( ;^ω^)「ぬおおお!天井に穴空いてるおー!」

天井にはサッカーボールほどの大きさの穴が空いていた。

( ;^ω^)「夢で殴ったつもりが現実でも勢い余って体が動いちゃった…のかお?」

夢の中で足を踏み外し、実際の体がガクンと揺れて目を覚ましてしまうことはよくある。
ブーンはそういったものと同じかと思ったが今回は明らかに違っていた。

( ;^ω^)「寝てる状態から天井なんて…届くわけ無いお…」

再びベッドで仰向けになり拳を上に突きあげてみるが、明らかに届く距離ではなかった。
何かが落ちてきたのかとも考えたが穴が空いているのは天井だけで屋根に穴は空いていない。
明らかに部屋の中から空けた穴だった。

( ;^ω^)「どういうことなんだお……お?」

ふと自分の寝ているベッドの横に何かが立っている気配を感じた。
ゆっくりと気配の方に顔を向ける。

(`0ω0´)「…」

そこには青白く光る男が立っていた。

( ;゚ω゚)「おっ…おお…お…おば…おばけ……」

ブーンは後ずさりしながらパクパクと口を開けたが声にはならなかった。

(`0ω0´)「…」

青白く光る男は何も言わずブーンを見ている。

( ;゚ω゚)「…」

暫し続く沈黙。
いくらほど時間が立っただろうか。
ブーンは男が自分には危害を加えないであろうことを、なんとなく心で理解してきていた。

( ;゚ω゚)「…あんた、誰だお?」

(`0ω0´)「…」

( ;゚ω゚)「…」

(`0ω0´)『俺に名前は無い、俺はお前だ。』

男が口を開き静かな口調で言った。
質問したのはブーンであったが、男が喋ったことに少しばかり驚いてしまった。
しかしそれ以上に男が話した内容を理解することは難しかった。

( ;゚ω゚)「…?」

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「あんたがブーン…?」

(`0ω0´)「ああ」

( ;^ω^)「いやちょっと待つお!ブーンはブーンだお!」

(`0ω0´)「俺はお前から生まれた。」

( ;^ω^)「未来から来たロボ的な…?」

思わずブーンは国民的アニメを思い出してしまった、青白いし。

(`0ω0´)「違う、俺はお前の精神だ。」

( ;^ω^)「…」

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「……わかったお。
      ブーンは貴方のことを馬鹿にしたりはしないお、病院にも付き合うお。」

(`0ω0´)「…」

恐らくどこかの病院から抜け出てきたのだろうとブーンは考えた。
手荒に扱えば何をされるかわからない。

(`0ω0´)「信じてないのか?」

( ;^ω^)「いやいや、信じてるお!ブーンと貴方は友達だお!」

(`0ω0´)「……ツンが大好きで2度ラブレターを渡そうとしたことがある。」

( ;^ω^)「!…なんでそのことを……」

ツンが好きな事はおろか、ラブレターに至ってはドクオにすら言っていないことだった。

(`0ω0´)「中2まで母親と風呂に入っていた。」

( ;^ω^)「!!」

これも当然誰にも言えるはずがない、自分だけの秘密。

(`0ω0´)「小学校の頃、トイレの蛇口…」

( ;^ω^)「わー!わかったおー!!信じるおー!」

この青白く光っている男はブーンしか知り得ないことを知っていた。
これにはブーンも頑なに信じないというわけにはいかない事実であったが、
心の中ではまだどこか信じらない、半信半疑の状態だった。

( ;^ω^)「ブーンの精神…と言ったお?」

(`0ω0´)「ああ」

( ;^ω^)「てことは肉体が無いってことだから自由に消えたり出たりできるお?」

(`0ω0´)「無論だ」

そう言うと男は消えた。

( ;^ω^)「ちょ…!本当にで消えちゃったお!?出てくるおー!」

ブーンがそういうと元いた場所に青白く光る男が再び現れた。

( ;^ω^)「…」

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「わかったお…信じるお…」

ここまでされて信じないことは、ブーンにはできなかった。
実際に目で見たことも大きな理由の一つだが
ブーン自身がこの男は敵ではないと本能的に理解していた。

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「あ…天井に穴をあけたのって…?」

(`0ω0´)「殴ったのは俺だが殴りたいと思ったのはお前だ。」

( ;^ω^)「ですおねー…」

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「別にもう疑ってないから何でも喋ってくれていいんだお?」

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「…」

基本的に無駄口は叩かないようだ。

( ;^ω^)「…天井はポスターか何かを貼って誤魔化すとして、えーと…」

ブーンはこの状況をようやく理解できたが、この状況をどうやって進展させ、
収束させるかは全く思いつかなかった。

( ;^ω^)「…」

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「…寝てもいいのかお?」

(`0ω0´)「勿論」

( ^ω^)「貴方は寝ないのかお?」

(`0ω0´)「精神は睡眠を必要とはしない。」

( ;^ω^)「それもそうかお…あ、そうだ名前は?」

(`0ω0´)「好きに呼んでくれて構わない。」

( ^ω^)「ずっと貴方と呼ぶのも何だし…何か名前が欲しいところだお。」

ブーンは何気なく辺りを見回した。
ふと目についたドクオに借りていたCD。
ビートルズ。

( ^ω^)「ビートルズってのはどうかお…?」

カブト虫、豪快で実直そうな名前は、この精神にとってピッタリの名だとブーンは思った。
メダロットだとロクショウよりメタビー派だし、うん。とも思った。

(`0ω0´)「わかった。」

( ^ω^)「じゃあ、おやすみだおビートルズ。これからよろしくだお。」

(`0ω0´)「まぁ、カブト虫のビートルとはスペルが違うけどな」

( ;^ω^)「!…」

こんな非日常的なことが起こったが、ブーンは不思議とぐっすり眠ることができた。

――翌朝。

窓から差し込む朝日を受けてブーンは目を覚ました。

( ^ω^)「んぅ…よく寝たおー…」

上体を起こし、寝ぼけた体を徐々に起こしていく。

( ^ω^)「…」

( ;゚ω゚)「!」

ようやく昨日のことを思い出したブーンは辺りを見渡すが、何もいない。

( ;^ω^)「……ビートルズ?」

あわよくば夢であってくれとそう心に願いながら、何もない空気へと語りかけてみる。

(`0ω0´)「…」

ビートルズは当然のようにブーンの前に現れた。

( ;^ω^)「!……おはようだお。」

(`0ω0´)「おはよう。」

朝の学生は忙しい。
ブーンは時間ギリギリまで寝る性質なので朝は毎日慌ただしかった。

J( 'ー`)し「ブーン、朝ご飯!」

洗面所で顔を洗っていたブーンに母親が朝ご飯が出来たことを知らせた。

( ;^ω^)「はいだおー!」

ブーンは急いでリビングへ向かった、いつものことだが、もうあまり時間は無い。

J( 'ー`)し「今日はカーチャン特製のソソヤ・ムアンバだよ。」

( ^ω^)「朝からコンゴ共和国の郷土料理が食べられるなんて幸せだお!いただきますお!」

ブーンは席に着くや否や、カーチャンの料理を急いでかき込み、ものの数分で平らげてしまった。

( ^ω^)「ごちそうさまでしたお!」

ブーンが席を立ち、制服に着替えるために自室に戻ろうと後ろを振り返ると、
そこにはビートルズが立っていた。

(`0ω0´)「…」

( ;゚ω゚)「ちょ!ビートルズ!こんなところに出てきちゃダメだお!!」

J( 'ー`)し「どうしたのブーン?」

ブーンの大声に気付いた母親が洗い物の手を止めてブーンのほうを見た。

( ;゚ω゚)「!!…こ、これは違うんだお!この人は別に怪しい人じゃないんだお!!」

ブーンはとっさにビートルズの前に立ち腕を広げ、体全体でビートルズを隠そうと努力した。

J( 'ー`)し「…?この人って誰のこと?」

( ;^ω^)「え…?」

J( 'ー`)し「?」

( ;^ω^)「見えてない…のかお?」

(`0ω0´)「普通の人間には俺は見えない。」

( ;^ω^)「そういうことは先に言えお……」

J( 'ー`)し「ブーン、大丈夫?」

母親が心配そうにブーンのことを見つめている。

( ;^ω^)「な、なんでもないお!コンゴジョークだお!」

J( 'ー`)し「あら!カーチャンやられたわーw」

なんとか母親を言いくるめ、ブーンは自室で急いで制服に着替えた。

リンガディンドン♪リンガディンディンドン♪

( ^ω^)「お、携帯が鳴ってるお。はい、もしもしだおー」

『もしもしじゃねーよ、先言っちまうぞブーン。』

電話はドクオからだった。

( ;^ω^)「い、今すぐ出るお!」

急いでカバンを持って階段を駆け下り、いってきますの言葉と共に玄関を開けた。

('A`)「よう、さっさと行くぞ。」

( ^ω^)「ふぅ、おはようだおー」

いつものように下らない話をしながら二人並んで学校へと向かう。

( ^ω^)「というわけで封神演義の喜媚ちゃんがブーンの初恋で…」

('A`)「…」

いつもならここで冷やかにツッコんでくれるはずのドクオのツッコミが今日は無かった。

( ^ω^)「ドクオ、どうしたんだお?」

('A`)「え、いや…ブーンはどうだ?」

( ^ω^)「ブーンかお?ブーンはこの通りだお!」

('A`)「そっか…」

( ^ω^)「あ、いや…この通りってわけでもないお…」

ブーンはビートルズの事を思い出し、心の中でビートルズを呼んでみる。
するとブーンの横にビートルズが現れた。

(`0ω0´)「…」

( ;^ω^)「(心の中で呼んでも出てくるのかお…)」

その時だった。

(;'A`)「お、おま…お前…それ…!」

ドクオは慌てふためきながらビートルズを指差していた。

( ;^ω^)「!ドクオ見えるのかお!?」

(;'A`)「み、見えるに決まってんだろ…お前…お前…そうか…お前もか…」

( ;^ω^)「お前”も”…?」

(;'A`)「ふぅ…あぁ、つまりこういうこった。」

ドクオの言葉と共にドクオの背後には徐々に灰色のモヤのようなものがかかり、
そのモヤは暗い光を放つ人型へと形を変えていった。

( ;゚ω゚)「ぬおおおおおおお!!」

('A`)-Ψ-)「な?」

( ;゚ω゚)「ド、ドクオも…」

('A`)「おう、名前つけたか?俺はニルヴァーナって名前にした。」

( ^ω^)「カッコイイ名前だお…」

('A`)「なんかコイツの雰囲気がもう悟り開いてる感じするだろ?それでニルヴァーナ。」

ドクオのスタンドはブーンのスタンドよりも更に無駄口を叩かない、
というよりも全てに無関心といったように見受けられた。
ドクオの怠惰な性格と知的な側面が更に増長したような印象だなとブーンは思った。

( ^ω^)「なるほどだお…ブーンはビートルズって名付けたお。」

その時ドクオの表情が変わった。

('A`)「ビートルズ…?おいブーン、俺のCD…」

( ;^ω^)「あ…」

朝の忙しさとビートルズに頭がいっぱいでCDのことはすっかり頭から抜け出ていた。

('A`)「まぁいいか。こんなことがあったら忘れても仕方ないさ。」

( ;^ω^)「ごめんだお、明日こそ持ってくるお。」

('A`)「しかしまぁ、こいつらは一体何なんだろうな…」

( ;^ω^)「ブーンにもよくわかんないお…ただ悪いものでは無さそうだお…」

('A`)「あぁ、俺もそう思う。」

( ;^ω^)「カーチャンには見えてなかったみたいだし、守護霊みたいなものなのかもしれないお。」

('A`)「んー…確かにそうかもしれないな…まぁ何にせよ、いろいろ調べてみるしかないな。」

ブーンとドクオが非日常の中で日常を取り戻そうとしている最中、
そんな二人の背後の物陰に隠れているスーツの男が二人。
サングラスをかけた男と釣り目の男はブーンとドクオを物陰から観察していた。

( ▼_▼)「彼らが本当に…?」

<ヽ`∀´>「スタンドはスタンド使いにしか見えない。
      間違いないニダ、スタンドを発現しているニダ。」

(; ▼_▼)「なんということだ…」

<ヽ`∀´>「空輸中の”矢”は謎の爆発によって粉々に破壊され、ヴィプ王町に降り注いだニダ。
      おそらく複数のスタンド使いが生まれているはずニダよ。」

( ▼_▼)「スタンド使いは後々の脅威となる可能性が…」

<ヽ`∀´>「ホルホルホル、そのためにウリがいるニダ。」

男は独特の笑い声をあげた。
その目は自信に充ち溢れている。

<ヽ`∀´>「ウリとウリのスタンド、マン・オン・ザ・ムーンに不可能は無いニダ。」

ニダーの背後には彼らがスタンドと呼ぶ、精神体が浮かび上がっていた。



第一話「今にも落ちてきそうな物の下で」終わり。




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