ドクオは三角座りで座り込みながら、自分の落ちた腕を胸に抱き、うずくまっていた。
ξ;゚听)ξ「……」
(; ゚ω゚)「もう無理なのかお……」
(; A )「……」
(; ^ω^)「さ、三人で一斉に行けば……」
ξ;゚听)ξ「もし運よく相打ちでも、全員バラバラになるわ……」
(; ゚ω゚)「……」
(;゚A゚)「勝てないんだ……」
(; ゚ω゚)「ドクオ……」
(;゚A゚)「正攻法じゃ、勝てない……」
(; ^ω^)ξ;゚听)ξ「え?」
(;゚A゚)「決めたぞ……決めた……」
(; ^ω^)「ドクオ……?」
(;゚A゚)「デミタスを倒す」
ξ;゚听)ξ「ど、どうやって……」
(;゚A゚)「まずは三階だ……時間が無い……」
ξ;゚听)ξ「え?」
(;'A`)「時間が無い!三階に急げ!」
そう言ってドクオは立ち上がり、三階に向かうために廊下へと出た。
(; ゚ω゚)「ちょ、待つお!ドクオ!」
ブーンの言葉を無視し、ドクオが三階へ向かう階段へと進んでいく。
ドクオの真意は掴めず仕舞いだが、ブーンとツンの二人も、ドクオに続いた。
三階に到着すると、ドクオは廊下を少しの間、眺めていた。
(;'A`)「……」
(; ^ω^)「せ、説明してくれお。ドクオ……」
(;'A`)「よし、ブーンよく聞けよ」
その頃デミタスは、一階で三人を探していた。
(#;´・_ゝ・`)「居ない……まさか、学校から出たんじゃ……」
その時。
ドゴォォンッ!!
(#;´・_ゝ・`)「!?」
デミタスのはるか頭上で、物凄い轟音が鳴り響いた。
(#;´・_ゝ・`)「上!?」
デミタスは音を辿るようにして、二階へと向かった。
('A`)-Ψ-)「こうやって、廊下を部分的に透明にすれば……どうだ?」
( ^ω^)「凄いお!廊下に穴が開いてるようにしか見えないお」
(;'A`)「呑気に関心してる場合じゃねぇぞ。もうすぐアイツは、ここまで上がってくる」
(; ^ω^)「……」
(;'A`)「この策は、お前に懸かってる……わかってるな?」
(; ^ω^)「わかってるお」
(;'A`)「もし、俺やツンに何かがあっても、お前は耐え続けろ」
(; ^ω^)「……」
(;'A`)「勝機の瞬間までだ」
('A`)「ブーン……俺を信じてくれるな?」
( ^ω^)「……」
('A`)「……」
( ^ω^)「ドクオ……」
('A`)「?」
( ^ω^)「その質問は答えなきゃ、伝わらないかお?」
( A )「…………フヒヒ」
('∀`)「言うじゃねぇかww」
( ^ω^)「おっおっおっw ブーンは信じてるお。ドクオも、ツンも。」
ξ゚听)ξ「えぇ、信じてて……ブーン」
('A`)-Ψ-)「ふぅ……じゃあ、頼んだぜ。親友」
トンッ
( ^ω:::;.. .
その頃、デミタスは三人を探して、二階の廊下を歩いていた。
(#;´・_ゝ・`)「切るしかない……切るしか……」
ブツブツと呟きながら、デミタスは歩いた。
(#;´・_ゝ・`)「バラバラにするんだ……切り裂いて……」
デミタスの中で、何かが変わろうとしていた。
本来の目的から逸脱し、三人を倒す事が目的になりつつあった。
非日常にも思える命を賭した戦闘は、容易に人間を狂わせる。
(#;´・_ゝ・`)「ブーンは強そうだから……最初にバラバラにしなきゃ……」
呟きながら歩いているうちに、デミタスは三階の階段へと差しかかろうとしていた。
(#;´・_ゝ・`)「ツンさんも、ドクオも……バラバラにする……」
コツ……
(#;´・_ゝ・`)「!?」
小さな物音一つに、過敏に反応してしまう。
(#;´・_ゝ・`)0△0)「……ッ」
デミタスは慎重に辺りを警戒するが、人のいる気配は無い。
(#´・_ゝ・`)「……」
しばらく立ち止まり警戒しながらも、再び歩き出し、三階への階段を登っていく。
そのまま警戒を怠る事無く、ゆっくりと上を目指した。
静かな学校に、階段を上る足音だがけ響く。
しかしデミタスは確かに聞いた。
声を押し殺し話す、ドクオの声を。
(;'A`)「(ツン!急げ!)」
(#´・_ゝ・`)「!!」
その声を聞いた瞬間、デミタスは一気に階段を駆け上がり、廊下に出た。
(#;´・_ゝ・`)「!?」
ξ;゚听)ξ「!」
デミタスは思わず固まってしまった。
なぜならツンが、”穴の開いた廊下の上”を歩いていたのだ。
(;'A`)「くっ!」
(#´・_ゝ・`)「……なるほど」
デミタスは焦る二人、そして穴の開いた廊下を交互に見て、瞬時に理解した。
(#´・_ゝ・`)「ニルヴァーナの能力で、”穴が開いているように見せてる”。そうでしょ?」
(;'A`)「ッ……」
(#´・_ゝ・`)「僕がびっくりすると思ったんだ?それで足止め出来るって?」
ξ;゚听)ξ「……」
(#´・_ゝ・`)「でも渡ってる途中を、僕に見られたら意味がないよね」
ξ;゚听)ξ「ッ……」
(#´・_ゝ・`)「ツメが甘いよ、ドクオ」
(;'A`)「クソ……失敗だ……ツン、逃げろ。俺が食い止める」
穴を挟んで対峙する三人。
ドクオとツンではデミタスのパワーには対抗する事は出来ない。
ξ;゚听)ξ「……」
(#´・_ゝ・`)「ドクオをバラバラにしたら、すぐにツンさんだよ」
(;'A`)「や、やってみろ……!」
ドクオが穴を挟んで、一歩踏み込んだ。
(#´・_ゝ・`)「逃げるの、止めたんだ?」
(;'A`)「誰がそんな事言った?」
(#´・_ゝ・`)「え?」
(;'A`)「じゃあな!」
ドクオは踵を返して、デミタスから逃げた。
(#;´・_ゝ・`)「卑怯者!!」
デミタスがドクオを追いかけ、穴の上を走る。
(#;´・_ゝ・`)「(やっぱり廊下がある!ドクオが透明にしただけの廊下だ!)」
(#;´・_ゝ・`)0△0)「斬り裂けぇ!ボーリング・フォー・スープッ!!」
ギュィィィィイイイッ!!
(;゚A゚)「ぐああああっ!!」
ボーリング・フォー・スープのチェーンソーが、ドクオの背中を大きく裂いた。
なんとか両断はされなかったものの、背中がパックリと開いている。
(;゚A゚)「ツ、ツン!今だ……ッ!!」
ξ;゚听)ξσДσ)「スリップノット、縫合解除ッ!!」
(#;´・_ゝ・`)「ッ!?」
ツンがそう叫んだ瞬間、透明の廊下を走っていたはずのデミタスの足元が崩れた。
(;'A`)「その廊下は、ただの透明にした廊下じゃねぇ……」
(#;´・_ゝ・`)「なっ……!」
('A`)「ブーンが廊下をぶち抜き、ツンが破片を繋ぎ止め、俺がそれを透明にして隠した!」
デミタスが踏み込んだ透明の廊下は、”ただの透明の廊下”では無かった。
ビートルズで破壊した廊下を、スリップノットで縫合した”破壊された廊下”だったのだ。
そしてその継ぎ目を隠すために、ドクオはニルヴァーナで、”破壊された廊下”を透明にした。
そして、わざとツンを目撃させ、”ただの透明の廊下”だとデミタスに思い込ませた。
ドクオの策は見事に成功した。
(#;´・_ゝ・`)「うわああああ!!」
二階へと落ちていくデミタスに、ドクオが叫ぶ。
(;'A`)「逃げると思ったか?だから逃げないッ!落ちろ、デミタス!!」
しかしそれはデミタスの耳には、ほとんど届いてはいなかった。
瓦礫が崩れ落ちる騒音のせいでもあったが、
それ以上に、予想だにしなかった出来事によるパニック。
デミタスは混乱していた。
三階から二階。
そのわずかな距離ではあったが、焦りと混乱からか
走馬灯のように、徐々に一瞬が長くなっていく。
そんな中、落ちゆくデミタスは確かに見た。
(#;´・_ゝ・`)「あ……あ……」
::;.. ....
デミタスを倒すには、正面からでは無理だ。
完全なる不意を突き、一撃で仕留める必要がある。
( ゚..:::;.. ....
彼は透明になりながら、二階で待ち続けていた。
友の言葉を信じ、デミタスが三階から落ちてくるのを待ち続けた。
( ゚ω゚:;.:...
友が傷つくかもしれない。
それを耐え忍ぶ事が、彼にとって……
( ゚ω゚)
ブーンにとって、どれほど辛い事だったか。
(#;´・_ゝ・`)「うわああああああああ!!」
( ゚ω゚)`0ω0´)「だおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだお
だだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだ
だおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおーッ!!」
落ちゆくデミタスに、ビートルズの容赦の無いラッシュが打ち込まれる。
デミタスは、完全なる不意を突かれた状況、そしてビートルズのラッシュのパワーの前に
ボーリング・フォー・スープを出す事が出来なかった。
生身のデミタスはビートルズのラッシュを受け、数メートルほど吹き飛び、沈黙した。
(;'A`)「や、やった……」
(; ゚ω゚)「二人共!大丈夫かお!?」
(;'A`)「お、降りるぜ……」
暫くして、ドクオツンが二階へと降りてきた。
ドクオはツンの肩を借りながら、なんとか立っている。
(; ゚ω゚)「ドクオ、その背中……」
(;'A`)「今回ばかりは相手の能力に感謝だな……普通なら死んでる……」
ξ;゚听)ξ「ブーン、アイツは?」
(; ^ω^)「向こうだお」
ブーンの指差す方向で、地に伏せているデミタス。
完全に意識は彼方へと吹き飛び、ピクリとも動かない。
(;'A`)「デミタスに感謝しなきゃな……アイツが廊下を切り抜いて、
俺達を落としてなけりゃ、この策は思いつかなかった……」
(#;´-_ゝ-`)「う……うぅ……」
デミタスは意識を失い、自身の精神の中を彷徨っていた。
暗く深い精神の中を、長い間浮かぶようにして漂っている。
何も考えられない。
何も考えたくない。
▼・ェ・▼「わんっ!」
ビーグル……そうだ、ビーグル……
また一緒に、暮らしたい……
散歩に行って、一緒に寝て、ボールで遊んで……
ビーグル……ビーグル……
(#;´・_ゝ・`)「はっ!?」
('A`)「よぉ、目ぇ覚めたか?」
(#;´・_ゝ・`)「ド、ドクオ!!」
ギシィッ!
咄嗟に体を動かそうとしたが、デミタスの体は、
本人の意思とは裏腹に、全く動こうとはしなかった。
(#;´・_ゝ・`)「!?」
ξ゚听)ξ「全身を、縫い付けておいたから」
(#;´・_ゝ・`)「ッ……」
気付けば、デミタスの体は廊下の壁に磔のようにして、縫い合わされていた。
( ^ω^)「デミタス」
(#;´・_ゝ・`)「ブ、ブーン……」
( ^ω^)「まずは、ドクオの腕と背中を元に戻すお」
(#;´・_ゝ・`)「……」
ξ#゚听)ξ「早くしなさい!」
(#;´・_ゝ・`)「ひっ!」
('A`)「いいよ、別に焦らなくても」
(#;´・_ゝ・`)「えっ?」
('A`)「それよりも聞きたい事がある」
(#;´・_ゝ・`)「聞きたい事……?」
('A`)「誰に言われて俺達を狙った?」
(#;´・_ゝ・`)「言えない……」
(; ^ω^)「デミタス……」
(#;´・_ゝ・`)「家族が殺されるかもしれないんだ……言えないよ……」
('A`)「じゃあ、お前はビーグルが殺されたのは、仕方の無い事だって言うんだな?」
(#;´・_ゝ・`)「そんなわけ……!!」
('A`)「ねぇよな」
(#;´・_ゝ・`)「……」
( ^ω^)「……さっきは、いっぱい殴ってごめんだお、デミタス」
(#;´・_ゝ・`)「……」
( ^ω^)「でもそうしなきゃ、こうやって話す事も出来なかったと思うんだお」
(#;´・_ゝ・`)「嫌なんだ……」
( ^ω^)「お?」
(#;´・_ゝ・`)「普通に……高校に通って、ビーグルと遊んで……家族と暮らして……」
('A`)「……」
(#;´・_ゝ・`)「どうして……」
(#;´・_ゝ・`)「どうして、それが許されないのさ!!」
(#;´・_ゝ・`)「君達と戦えば……僕の生活は元通りになるんだ!そのはずだったんだ!!」
ξ#゚听)ξ「……」
(#;´・_ゝ・`)「なのに!無理だ!母さんと父さんだって殺される!!君達のせいだ!」
ξ#゚听)ξ「―ッ!」
(#;´・_ゝ・`)「僕の高校生活は、終わらずに済んだのに!!」
('A`)「……お前さ」
(#;´・_ゝ・`)「何だよ!」
('A`)「……それ、誰の為に戦ってんだ?」
(#;´・_ゝ・`)「え?」
('A`)「家族の為か?違うな」
(#;´・_ゝ・`)「何を……」
('A`)「ビーグルの弔いの為?違う」
(#;´・_ゝ・`)「……」
('A`)「てめぇが面倒を抱え込みたくないから、ってだけじゃねぇのか?」
(#;´・_ゝ・`)「そ、そんな事……」
('A`)「本当に家族やビーグルのために、戦わなきゃいけないと思っているなら
お前が拳を向ける先は、俺達じゃあ無いはずだ」
(#;´・_ゝ・`)「……」
( ^ω^)「デミタス」
(#;´・_ゝ・`)「ブーン……」
( ^ω^)「ブーンが戦えるのは、自分の大切なものを守りたいと思うからだお」
(#;´・_ゝ・`)「……」
( ^ω^)「自分の為だけに戦って、相手が傷つくのは、自分にとっても凄く辛い事だお……
だから、デミタスも”守るもの”の為に戦うんだお。
そうすれば、誰と戦わなきゃいけないか、きっとわかると思うお」
(#;´・_ゝ・`)「……」
('A`)「言えよデミタス。俺達も一緒に戦ってやるからよ」
(#;´;_ゝ;`)「うぅ……僕は……僕は、ブーンとドクオみたいには、なれない……」
( ^ω^)「デミタス……」
(#;´;_ゝ;`)「怖いんだ……誰にも死んでほしくない……悲しみたくないんだ……」
(#;´;_ゝ;`)「卑怯で、ごめんなさい……でも無理だよ……」
ξ#゚听)ξ「男でしょ!泣くな!」
(#;´;_ゝ;`)「ッ!」
ξ#゚听)ξ「戦ってやるって言ってんでしょ!卑怯なアンタのために戦ってやるって、
そこまで言ってくれる友達がいるのが、わかんないの!?」
('A`)「それにお前、わざわざ三人で来させたのは、
サシでやったら、余裕で勝っちまうと思ったからじゃねぇのか?」
(#;´;_ゝ;`)「……」
('A`)「でも三人相手なら、負けるかもしれない。
自分が死ねば、家族も狙われる意味が無くなる。そう思ったんだろ?」
('A`)「死にたいか?」
(#;´;_ゝ;`)「死にたくない……でも死ななきゃ、この生活は終わらないんだ……」
('A`)「死にたくないから勝ちたくて、でも死にたいから負けたいってか」
(#;´;_ゝ;`)「ごめんなさい……」
( ^ω^)「デミタスは、もう戦わなくてもいいお」
(#;´;_ゝ;`)「え……?」
( ^ω^)「ブーン達が、代わりに戦うお」
(#;´;_ゝ;`)「……」
( ^ω^)「ブーン達が、終わらせるお」
ブーンは、デミタスを見るのが辛かった。
自分に当て嵌める事すら、躊躇する境遇。
しかしそれ故に、デミタスを操っている人間が許せない。
('A`)「ブーン……」
( ^ω^)「だから、誰に言われたか教えて欲しいお」
(#;´;_ゝ;`)「うっ……うぅ……ごめんなさい……卑怯者で……ごめんなさい……」
('A`)「……誰だってそうなんだよ、デミタス。いつ腹を括るか、それだけの違いだ」
(#;´;_ゝ;`)「……言う……言うよ……」
ξ゚听)ξ('A`)「!」
( ^ω^)「ありがとだお、デミタス」
(#;´;_ゝ;`)「でも、僕はもう……戦えない……」
( ^ω^)「わかってるお……デミタスは戦わなくていいお。
ブーンが、デミタスの分まで戦うお」
('A`)「じゃあ、教えてくれ。
お前を脅迫した人物、それは誰だ?」
(#;´;_ゝ;`)「それは―――……」
ξ;゚听)ξ「……え?」
(;゚A゚)「今、何て……」
(; ゚ω゚)「……」
デミタスから発せられた言葉に、三人は戦慄した。
信じられない……なぜ、なぜ……その言葉が頭の中を駆け巡る。
しかし、デミタスは確かに言ったのだ。
「デレさん、です……」
第八話「ハイスクール・ネバー・エンド」終わり。
Σ0△0)ボーリング・フォー・スープ(Bowling for Soup)
能力:チェーンソーで斬った物を、自由に切り分ける能力。
一度斬った物は、デミタスの好きなタイミングで
切り分け、くっつける事が出来る。
アメリカ出身四人組ポップ・パンクバンド。
メンバー全員が、実に個性的で面白い事でも有名。
代表曲「1985」、「High School Never Ends」など
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