('A`)「そうだな……そろそろ行こうか」

(; ^ω^)「うん……」

ξ゚听)ξ「そうね」

ブーンの家を出た三人は、すっかり暗くなった通学路を歩き、学校へと向かった。
これから起こる事への不安と緊張か、三人の口数は自然と少なくなった。

(; ^ω^)「……」

('A`)「……」

ξ゚听)ξ「……」

そして言葉をほとんど発する事なく、三人は学校に辿り着いた。
門の前に立つと、微かに門が開いており、人が一人通れる隙間が開いていた。

('A`)「……こっから、入れってよ」

そう言ってドクオが隙間を通って、学校へと入る。
それに続いてツンも隙間を通った。
最後にブーンが、隙間に体を通していく。

(; ゚ω゚)「はっ!!」

(;'A`)「どうした!?」

(; ^ω^)「詰まったお……」

('A`)「……ツン、行くぞ」

ξ;゚听)ξ「う、うん……」

(; ^ω^)「ま、待っておー!」

なんとかブーンを隙間から引っ張り出し、三人は校舎へと足を踏み入れた。
誰もいない校舎を歩くと、三人の足音だけが廊下に響き渡った。

カツーン……カツーン……

('A`)「誰も……いねぇな」

(; ^ω^)「う、うん……」

ξ;゚听)ξ「そうね……」

二人に比べて、ドクオは平然としているように思えた。
だが違う。

(;'A`)「(ふおおおお!出て来んなよ急によおおおお!!
     角から出てくんなよ!曲がるからな!!よし!よぉおし!
     次、あれか!二階か!?行きたくねええええ!!)」

('A`)「二階、上がるぞ」

(; ^ω^)「了解だお」

三人で慎重に、二階へと上がっていく。
踊り場を抜けて長い廊下へと出ると、暗い廊下の先に誰かが立っているのがわかった。

(;'A`)「お前ら動くな!」

(; ^ω^)ξ;゚听)ξ「!」

ドクオが身構え、廊下の先を見据える。

(;'A`)「誰だッ!!」

廊下に立つ誰かは、答えない。

(;'A`)「クソ……慎重に近づくぞ……」

ドクオは廊下に立つ誰かを、見る事の出来る距離にまで近づこうと
ジリジリと摺り足で距離を縮めていく。

徐々に、極わずかにではあるが、相手との距離が縮んでいき、
服装や体格が露わになっていく。

(;'A`)「(小さいな……それに制服だ……)」

もう少しで顔が見える、そんな時。

「来てくれて、ありがとう……」

(;'A`)「!!」

(; ゚ω゚)「こ、この声……」

「本当に、三人で来てくれたんだ……」

(;'A`)「何でお前が……」





(´・_ゝ・`)「戦う前に……僕の話を聞いてほしいな……」





(; ゚ω゚)「デミタス……」

(;'A`)「戦う、だと……」

ξ゚听)ξ「敵、ね」

ξ゚听)ξσДσ)ズズズ……

(´・_ゝ・`)「ツンさん、待って」

ξ゚听)ξσДσ)「戦うって言ったのは、アンタでしょ?」

(´・_ゝ・`)「僕はまず、話を聴いて欲しくて……」

ξ゚听)ξσДσ)「スリップノットォォォー!!」

ツンがデミタスの元へと駆け寄り、スリップノットの糸が素早くデミタスの元へと放たれる。

(´・_ゝ・`)0△0)ズズズ……

(;'A`)「!?」

デミタスの背後に現れたスタンドは、片手に板のような物を持っていた。
そしてスタンドが、もう片方の手で板のような物に手をやる。

ギュィィィィィンッ!!

ξ;゚听)ξσДσ)「!?」

その瞬間、轟音が鳴り響き、スリップノットの伸ばした糸は無残に斬り裂かれ、力無く地面へと落ちた。
その状況を目の当たりにし、硬直するツンの目の前には、既にデミタスが駆け寄り、距離を詰めていた。

ξ;゚听)ξ「あっ!!」

ギュィィィィィイッ!!

(´・_ゝ・`)「ただ僕は……」

デミタスのスタンドが持っていた物は

(;'A`)「チェーンソーだッ!!」

ドクオがそう叫んだ時には、既にチェーンソーがツンの胴体を通り抜けていた。

ξ )ξ「ッ……」

ギュイィィィィィイイッ!!

チェーンソーが通り過ぎた部分を境に、ツンの体が上半身と下半身に別れ、地面に落ちる。

ボトッ……ボト……

Σ0△0)「F*ck U Beeeeetch!!」

(´・_ゝ・`)0△0)「まず、話がしたいだけなんだ……」

(;゚A゚)「ツ、ツン……」

(; ゚ω゚)「え……」

デミタスの足元に、無残に転がるツンの体達。

(;'A`)「こ、こいつ……!ツンを……!!」

( ゚ω゚)「デ、デミタス……ツン、ツンを……ツン……ツン……デミタス、デミ……」

ブーンの体が小刻みに震える。
その震えが次第に大きくなり、ブーンの体の中で膨らむ怒りが
ブーンも抑えきれないまでに膨らみ、自身の許容量を大きく越えつつあった。

(;'A`)「待て!こいつはヤバい!行くな!!」

(´・_ゝ・`)「生きてるよ?……ツンさん」

(;'A`)「!?今、なんつった……?」

(´・_ゝ・`)「ツンさんは、生きてる」

( ゚ω゚)「生き……てる……?」

(´・_ゝ・`)「そうでしょ?ツンさん」

ξ )ξ「……」

(; ゚ω゚)「ツ、ツン……?」

ξ )ξ「……」

(; ゚ω゚)「……」






ξ )ξ「なんで……生きてるのよ、アタシ……」






(; ゚ω゚)「ツン!!」

(´・_ゝ・`)「そういうスタンドだからだよ、ツンさん」

(;'A`)「そういや血が一滴も出てねぇ……どういう事だ、デミタス……」

(´・_ゝ・`)「その前に、僕の話を聞いてほしい……」

(;'A`)「ふざけんなッ!!」

(´・_ゝ・`)「ツンさんは、生きてるよ。でも”今は”生きてるってだけ。
      話を聞いてくれるなら、ツンさんは僕が元に戻すよ」

(;'A`)「戻せるのか!?」

(´・_ゝ・`)「うん。でも、話を聞いてくれないっていうなら、ツンさんは戻せない」

(; ゚ω゚)「聞く!聞くからツンを戻してお!!」

(´・_ゝ・`)「うん、約束する。話が終わったらね」

(;'A`)「……」

(´・_ゝ・`)「ツンさん、ちょっとの間、我慢しててね」

ξ;゚听)ξ「……」

ツンは完全に委縮していた。
デミタスの謎の能力で生かされてはいるが、体を真っ二つに切断されているのだ。
目の前に自分の足が見えた。そして自分の力では、立つことすら出来ない。
自分とそれほど背丈の変わらないデミタスが、はるか高くにいるように思えた。

(´・_ゝ・`)「一週間前くらいかな……僕、君達と戦えって言われたんだ……」

(;'A`)「!?だ、誰にだ?」

(´・_ゝ・`)「それは言えないよ……でも、僕は断ったよ。ブーンもドクオも友達だもん」

(; ゚ω゚)「……」

(´・_ゝ・`)「でもさ……断っちゃ、ダメだったんだ……」

悲しそうに俯きながら、デミタスはゆっくりと語りだした――――。

―――――――――――――。

五日くらい前だったよ。
学校の後、僕は本屋さんでアルバイトして、その帰りに夜道を一人歩きながら考えてたんだ。

(´・_ゝ・`)「ドクオとブーンと、ツンさん……三人と戦えなんて……」

つい先日、僕は”ある人物”に突然そう言われた。
その人と、まともに会話したのは初めてで、最初は何を言っているのか、よくわからなかった。
でも、その人は知ってたんだ……僕が、ある日突然、普通じゃなくなったって。

(´・_ゝ・`)「スタンド、か……」

その人は、それがスタンドだと教えてくれた。
そして、ブーンとドクオとツンさん、三人がスタンドを持ってるって事も。
少し嬉しかった。僕だけじゃなかったんだ、って安心できた。
明日、ブーンとドクオに相談してみようかな。
あの二人ならきっと、僕の事を温かく迎えてくれる……そんな気がするから。

僕が断った後も、その人は執拗に僕に迫った。
その事については、あんまり思い出したくない……
でも学校でもバイトでも、その事がずっと気掛かりだった。

(´・_ゝ・`)0△0)ズズズ……

(´・_ゝ・`)「あれだけ断ったら……もう諦めてくれたよね。どう思う?」

Σ0△0)「Hell Yeaaaaaaaaaah!!」

(;´・_ゝ・`)「う、うん……わかったから、ちょっと静かにして……」

いつもこんな感じだ。凄いハイテンション。
他の人のスタンドも、全部こんな感じなのかな。

(´・_ゝ・`)「今日は父さんも母さんも旅行でいないから……ビーグル大丈夫かな」

僕はそれが朝からずっと心配だった。
心配事だらけだ。それでもビーグルを見れば解消される。
僕が小学生の頃、家にやってきたビーグルは、いつでも僕と一緒だった。
僕の大切な友達だし、家族。

(´・_ゝ・`)「帰ったら、すぐにご飯あげないとね」

僕は早足で家に帰った。

(´・_ゝ・`)「ただいまー」

そう言って鍵を開け、靴を脱いだ所で違和感に気付いた。

(´・_ゝ・`)「ビーグル……?」

いつもなら僕を迎えに、ビーグルがリビングから急いで走ってくるはずなのに。

(;´・_ゝ・`)「お腹減って動けないのかな?朝いっぱいあげたはずだけど……」

僕は心配になって家中を探した。
でもリビング、キッチン、トイレ、どこにもいない。

(;´・_ゝ・`)「いない……僕の部屋かな?」

残りの部屋でビーグルが居そうな部屋は、僕の部屋しか思いつかなかった。
だから僕は急いで、自分の部屋に向かったんだ。

(´・_ゝ・`)「ビーグル……?」

そう言いながら、僕は自分の部屋の扉を開けた。

(´・_ゝ・`)「あれ、何これ」

僕の部屋の真ん中に、なぜかペットフードの袋が置かれていた。
でも今はそんな事よりも、ビーグルがいるか、いないかが最優先だった。

(;´・_ゝ・`)「ここにもいない……ビーグル……」

そこで何となく、もう一度ペットフードの袋に目をやると、その袋は封が切られてた。

(´・_ゝ・`)「なんで僕の部屋に、封の開いたペットフードが……」

不気味に思ったけど、僕はペットフードの袋に近づいて、中を覗いてみた。
なぜだろう、なぜか覗いてみたくなったんだ。

(;´・_ゝ・`)「うっ!何これ!」

袋の中には”赤い何か”が詰められてた。
最初はそれが何か、僕には理解できなかった。

(;´・_ゝ・`)「なんで、こんなものが……?」

恐る恐る、もう一度覗き込む。
その時やっと気付いた。”赤い何か”の中に、見覚えのあるものがあった。

(;´・_ゝ・`)「うっ!おえええぇ……ッ!」

僕は腰から崩れ落ちて、自分の部屋の床に嘔吐した。
なぜなら”赤い何か”の中に、その中に……

ビーグルの首輪があったからだ。

(´;_ゝ;`)「!おえぇ……ッ!げほっ!」

胃の中の物を全て吐き出すと、今度は涙が止まらなくなった。
今思えば、”赤い何か”に混じって、見覚えのある黒い毛があった気がする。
でももう見る事は出来ない……そんな勇気、僕には無い。

もしかしたら、ただの”肉”かもしれない。
ビーグルじゃないかもしれない、でも僕にはわかったんだ。
それがビーグルだ、って……僕にはわかった。

家族だったんだ、本当に……だから、わかる。

(´;_ゝ;`)「うっ……ひぐっ……うぅぅ……」

僕は泣きながら立ち上がった。
途端に怖くなったから。
誰かが、ビーグルをこんなにして、僕の部屋まで運んだんだ。

僕は部屋の隅に、もたれかかった。
足に力が入らなくて、自分の勉強机に手をついて体を支えた。

ガサッ

(´;_ゝ;`)「ひっく……うぅ……うぐ……?」

手に何かが当たって、音を立てた。
よく見ると、ゴミ袋だ。二枚のゴミ袋が僕の机の上に置かれていた。
ゴミ袋を手でどけると、そこには机に”赤い何か”で、文字が書かれていた。



   た た か え  



その時、僕は全てを理解した。
その文字が、何を使って書かれた物か……。
そして犯人が誰かという事……。

そして僕は、恐怖で震えあがった。
なぜ、ゴミ袋が”二枚”置かれていたのかという事に。

急いで僕はカバンを漁って携帯を取り出し、両親に電話を掛けた。

(´;_ゝ;`)「お願い……お願い……」

電話を取った母親はとても驚いていた。
僕が泣きながら電話を掛けて来たんだ、無理も無い。

……でも両親は無事だった。

そして、僕に選択肢が無い事も理解した。
僕が戦わなければ、ペットフードの袋の様に、ここにあるゴミ袋が二つ、膨らむ事になる。
犯人は僕にそう言っているんだ――。


――――――――――――――――――。

(´;_ゝ;`)「だから僕は……戦わなくちゃいけないんだ……」

(;'A`)(; ゚ω゚)「……」

ξ;゚听)ξ「……」

三人は思わず絶句した。
デミタスの話に恐怖したからというのもある。
それ以上に、誰かが他人の人生を大きく狂わせてまで
三人を狙っているという事実に、絶句した。

(´;_ゝ;`)「話を、聞いてくれて……」

(´・_ゝ;`)「ありがとう……」

(´・_ゝ・`)「約束だから、ツンさんは元に戻すよ」

Σ0△0)「……」

デミタスのスタンドは、無言でツンのバラバラになった上半身と
下半身を、それぞれ両腕で持ち上げた。

ξ;゚听)ξ「ッ……」

そして、スタンドは広げた両腕に持ったツンの体達を
一気に自分の胸の前でぶつけた。

ガッ!!

Σ0△0)「Holly shit!!」

瞬間、閃光が走る。
そしてその次の瞬間には、ツンが何事も無かったかのように”一つの体”で立っていた。

ξ;゚听)ξ「……」

(´・_ゝ・`)「じゃあ、戦おう」

ξ;゚听)ξ「ッ!」

ツンは急いでデミタスから離れた。
もう、次は無い。

(´・_ゝ・`)0△0)「行くよ?」

(; ゚ω゚)「ツン!早くこっちに来るお!」

ξ;゚听)ξ「はぁ!はぁ!」

恐怖から逃げるように、必死でブーンの元へと走るツン。
これほどまでに、ツンが弱さを曝け出した事があっただろうか。

(´・_ゝ・`)「僕のスタンドの名前は、ボーリング・フォー・スープ」

(;'A`)(; ^ω^)「……」

(´・_ゝ・`)0△0)「能力は……”斬った物を、自由に切り分けられる能力”」

そう言いながら、デミタスは三人の元へと駆けた。

(;'A`)「ッ!?」

(; ^ω^)`0ω0´)「ビートルズゥ!」

ブーンはドクオとツンを庇うようにして、デミタスと対峙した。

(´・_ゝ・`)0△0)「ビートルズ、ラッシュが得意な近距離パワー型スタンド」

(;'A`)「!」

( ^ω^)`0ω0´)「だおだおだおだおだおだおだおだおだおだおだおーッ!!」

Σ0△0)「Know your Rooooooole!!」

ビートルズのラッシュに反応して、ボーリング・フォー・スープは
チェーンソーの腹の部分を使い、ラッシュを受け止める。

バキィン!ガキッ!

(; ^ω^)「なっ……!」

ビートルズのラッシュは、完全に止められてしまった。
チェーンソーをパワーで押し切ろうとするが、ビクともしない。

Σ0△0)「Smack down!!」

ボーリング・フォー・スープが叫びながら、チェーンソーを強引に振り回すと、
ラッシュを仕掛けたブーンが、逆にドクオ達の元へと吹き飛ばされてしまった。

(; ゚ω゚)「ふおおお!?」

(;'A`)「(ビートルズが力負けしてる!?)」

(´・_ゝ・`)0△0)「……やっぱり強いみたいだ、僕のスタンド。良かったね、ボーリング・フォー・スープ」

Σ0△0)「YEAH!!」

(; ゚ω゚)`0ω0´)「ハァ……ハァ……」

(´・_ゝ・`)0△0)「次はドクオ?」

(;'A`)「ブ、ブーン……ツン……逃げるぞ……」

(; ^ω^)「わ、わかったお……」

ξ;゚听)ξ「……」

(;'A`)「(ビートルズとスリップノットが、正面きって倒された……こいつ、強すぎる……)」

三人は一斉に、元来た廊下を走りだした。

(´・_ゝ・`)「逃げると思ったんだ僕……だから……」

(;'A`)「?」




(´・_ゝ・`)「もう、その廊下は”切ってる”よ」

ガコォォンッ!!

(;゚A゚)(; ゚ω゚)ξ;゚听)ξ「――ッ!?」

突然、ブーン達の足元の廊下が”落ちた”。
そして当然のごとく、地面を無くしたブーン達も一階へと落ちていく。

(;゚A゚)(; ゚ω゚)ξ;゚听)ξ「うわああああああ!!」

ドォォオン!!

コンクリート同士がぶつかり、破壊される音が校舎に響く。

(´・_ゝ・`)「……」

綺麗な円形に刳り抜かれた二階の廊下から、デミタスが一階の様子を伺ったが、
砂埃が舞い上がり、とても三人を確認する事は出来なかった。

(´・_ゝ・`)「んぅー……あんまり良い作戦じゃなかったね……見えないし」

Σ0△0)「Damn!!」

(´・_ゝ・`)「階段で下りよう」

デミタスが階段へと向かっている頃、一階では三人が砂煙の中、事態の把握に急いでいた。

(; ゚ω゚)「ふぉぉ……痛たたた……げほっ……」

ξ;゚听)ξ「うっ……はぁ……はぁ……」

(;'A`)「(ど、どうなってる!?何が起こった!?)」

綺麗に刳り抜かれた廊下は、そのまま一階の廊下に落ち、砕け散った。
三人はコンクリートに、体を打ちつけはしたが、
足から落ちた為か、体へのダメージは思ったより少なく済んでいた。

(;'A`)「(廊下が落ちた……”もう切ってる”だと……)」

ドクオは砂煙の中で考えた。
デミタスの能力について。

そして、この戦いの勝算を。

(;'A`)「(切り分ける能力……一度チェーンソーで切り分けた物は
    自分の好きなタイミングで切り分け、直す事が出来るって事か……)」

(;'A`)「(煙が晴れてきた……二人は!?)」

晴れかかった砂煙の中で、ドクオはブーンとツンを探した。
二人はすぐ近くにいたが、ドクオの近くに座り込んだまま動かない。

(;'A`)「(デミタスは……階段で降りてくるつもりか……)」

残された時間は短い。
それまでに何か、勝利への手掛かりを掴まなくてはならない。

(;'A`)「(クッソ!クッソォ!考えろ!考えろ!)」

カツーン……カツーン……

階段を降りてくる足音が、静かな校舎に響く。

(; ゚ω゚)「……」

ξ;゚听)ξ「……」

(;'A`)「ブーン……ツン……」

二人は足音を聞くや否や、金縛りにでもあったかのように硬直してしまった。
一度植えつけられた恐怖は、簡単に払拭する事は出来ない。

(;'A`)-Ψ-)ズズズ……

ドクオはそれを理解していた。

その頃デミタスは、ゆっくりと階段を降りていた。
精神的優位に立っているからでは無い。
むしろ精神は自壊しつつあった。

(;´・_ゝ・`)「戦わなきゃいけない……戦わなきゃ……」

足を一歩踏み出すための気力を、口から吐き出し歩いた。
大切な誰かを守るために、大切な誰かを犠牲にするという矛盾。
その十字架は余りに重く、デミタスの足取りを重くした。

カツーン……カツーン……

(´・_ゝ・`)「ドクオ……」

(;'A`)「よぉ、デミタス」

(´・_ゝ・`)「残りの二人は……?」

デミタスが一階に降り、その視界に映ったのは、瓦礫の上に佇むドクオ一人だった。
一緒にいるはずの、ブーンとツンが見当たらない。

('A`)「残念だったな、二人は先に逃がしたよ」

(´・_ゝ・`)「……」

('A`)「?」

(´・_ゝ・`)「嘘でしょ、ドクオ」

(;'A`)「あ?」

(´・_ゝ・`)「ニルヴァーナ。触れた物を透明にする能力。
      二人は透明になって、ここにまだ”居る”んでしょ?」

(;'A`)「!」

デミタスの指摘通り、ブーンとツンは居る。
しかし、それでドクオは一つ確信した。

(;'A`)「……やっぱりか」

(´・_ゝ・`)「やっぱり?」

(;'A`)「お前はツンの能力も知っていたな……
    知らなきゃ、いきなり糸を切り落とすなんて真似出来るわけがない……」

(´・_ゝ・`)「それがどうかしたの?」

('A`)「(俺達三人の能力を、全て知っている人間は限られてる……
    アニジャ先輩に、オトジャ。ワカッテマス。それに……モララーだけだ。
    そしてモララーは、誰かからの命令で、俺達を狙っていると言っていた)」

(;'A`)「(恐怖で従わせる……デミタスとモララーの境遇は、完全に同じだ。
     恐らく裏で糸を引いているのは、同一人物……)」

(´・_ゝ・`)「ドクオ、それがどうかしたの?」

(;'A`)「別に……」

(´・_ゝ・`)0△0)「じゃあもういいよね……戦おう、ドクオ」

(;'A`)「ッ!」

ドクオはデミタスのスタンドを見ると、すぐに後ろへと退いた。

(´・_ゝ・`)「逃げないで戦ってよ、ドクオ……」

(;'A`)「あーもう……クッソ……マンドクセェんだよ……」

(´・_ゝ・`)「ドクオ?」

(;'A`)「死にたい……」

(´・_ゝ・`)「?」

(;'A`)「死にたいくらいに鬱だ……どうしてくれる……」

(´・_ゝ・`)「……ごめんね、でも仕方ないんだ……」

('A`)「だが、あれだ……えーっと、なんだ……」

(´・_ゝ・`)「?」

(;'A`)「安心だ。そう、安心しろ……抜群に死にたいけどよ、今死ぬつもりは無い……」

(´・_ゝ・`)「……」

('A`)「そして、もう死にたくなる程の鬱だが、だからと言って逃げる気も無い……」

(´・_ゝ・`)「じゃあ、戦ってくれるんだね……?」

ここで逃げて、全てが終わるなら逃亡を選択するだろう。
しかし、逃げても終わる事は決して無い。




戦うしか、無いのだ。




(;'A`)「やってやる!デミタスッ!!」

(´・_ゝ・`)「!」

('A`)-Ψ-)「無駄ァ!」

ニルヴァーナの拳が狙った先にあったのは、備え付けの消火器。

ガツンッ!ブシュゥゥゥーーーッ!!

(;´・_ゝ・`)「うっ!」

破壊された消化器からは大量の消火剤が噴出し、瞬く間に辺り一面は白い煙に包まれた。

(;'A`)「ブーン!ツン!来い!」

(;´・_ゝ・`)「うぅ、げほっ!けほっ……結局逃げるんだね……」

消火剤が目に染みて、デミタスは辺りを見る事はおろか、満足に動く事が出来なかった。
徐々に煙が消えていき、デミタスがドクオ達の居た所を見てみると、そこには既に誰も居なかった。

(´・_ゝ・`)「ひどいや、ドクオ……」

(´・_ゝ・`)'A`)「そりゃ悪かったな」

(;´・_ゝ・`)「!?」

('A`)-Ψ-)「ニルヴァーナァァァ!無ー駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

(;´・_ゝ・`)0△0)「ぐっ!逃げたはずじゃ!?うわああ!!」

('A`)-Ψ-)「逃げると思っただろ?だから逃げないッ!無駄無駄無駄ァ!」

背後からの奇襲。
ニルヴァーナのラッシュが、ボーリング・フォー・スープに直撃する。
ボーリング・フォー・スープへのダメージが、デミタスの体にも徐々に顕れ、
デミタスの体は赤く腫れ、顔からは出血が見られた。

しかし。

(;#´・_ゝ・`)「ボ、ボーリング・フォー・スープゥゥッ!!」

Σ0△0)「Woooooo!!Son of a beeeeeeeeeetch!!」

ギュイィィィィイインッ!!

ボーリング・フォー・スープの咆哮と共に、チェーンソーが唸った。
そしてビートルズの時と同じように、ニルヴァーナのラッシュが弾き飛ばされる。

(;'A`)-Ψ-)「!?」

不意を狙ったラッシュで、押し切っていたはずだった。
もしくはビートルズのラッシュでなら、押し切れていたかもしれない。
最後の最後、結果を分けたのは純粋な力だった。

ギュィィィィィイッ!!

……ドンッ!

(;゚A゚)-Ψ-)「うっ!?」

ニルヴァーナの弾かれた右腕が、チェーンソーによって切断され宙を舞った。
そして次の瞬間、ドクオの右腕が地面へと落ちた。

(;#´・_ゝ・`)0△0)「はぁ……はぁ……」

(;゚A゚)「ッッ!?」

血は出ていない。
デミタスの切り分ける能力によって、ドクオの腕は体から切り分けられた。
しかし、腕を切り落とされる精神的ダメージは、あまりに大きい。

      「ドクオォォーーッ!!」

その時、誰もいないはずの場所から、怒号が響いた。

(#;´・_ゝ・`)「!」

( ゚ω::;.. .「デミタスゥゥーッ!!」

(#;´・_ゝ・`)「やっぱり透明になってた……ブーン!」

( ゚ω゚)`0ω0´)「だおだおだおだおだおだおだおーッ!!」

(#;´・_ゝ・`)0△0)「斬り裂けぇーッ!ボーリング・フォー・スープッ!」

ξ;゚听)ξσДσ)「スリップノットォォー!」

ギュルルルルッ!

(; ゚ω゚)「ふおっ!?」

(#;´・_ゝ・`)「!?」

透明化が解除されたスリップノットから放たれた糸は、
デミタスとブーン、”両者の足”を地面へと縫い付けた。

ξ;゚听)ξ「ブーン、逃げるわよ!ドクオを引っ張って逃げてッ!!」

(; ゚ω゚)「えっ!?」

(#;´・_ゝ・`)「スリップノットの縫い付ける能力……くっ!!」

ξ;゚听)ξ「早く!」

その言葉と共に、ブーンの足の糸が解かれる。

(; ^ω^)「わ、わかったお!ドクオ!」

(;゚A゚)「はぁ……はぁ……」

ブーンは、ドクオの残ったほうの腕を引っ張った。

(; ゚ω゚)「あ、もうひとつの腕!」

逃げる前に、ドクオの落ちた右腕を拾い上げ、
そこからはツンと共に、デミタスから少しでも離れようと全力で逃げた。

(#;´・_ゝ・`)「くっ……めんどくさい能力……!」

苛立ちと焦りからか、デミタスは対処に手間取っていた。
その間にも三人は、校舎の見えない暗闇の中へと消えていく。

(#;´・_ゝ・`)「糸を斬って!ボーリング・フォー・スープ!」

Σ0△0)「Shit!」

ギュィィィイインッ!

ボーリング・フォー・スープは、デミタスの足元の地面を抉るようにして、糸を切断した。

(#;´・_ゝ・`)「くそぉ……なんで逃げるの……!」

デミタスは、三人を追って歩き出した。
足取りは重いままだが、先程とは理由が違う。
溢れ出る怒りを抑えようと、地面を踏みしめているのだ。

その頃三人は、デミタスの虚を突こうと、二階へと上がっていた。
そして適当な教室に入り、体を小さくして小動物のように隠れている。

(; A )「勝てない……」


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