lw´‐ _‐ノv畳の上に座っているだけのようです 一畳目「うどんきちがい」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「ふむふむ」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「わかったぞ」
lw´‐ _‐ノv「これは」
lw´‐ _‐ノv「いい畳だ……」
(; ・∀・)「……」
lw´‐ _‐ノv「合成繊維じゃなくて、本物のイグサだし」
( ・∀・)「あの……」
lw´‐ _‐ノv「もしも合成繊維だったら」
( ・∀・)「すいません」
( ・∀・)「気が付いたら、ここにいたんですけど」
lw´‐ _‐ノv「人の話しは……」
( ・∀・)「はい」
lw´‐ _‐ノv「最後まで聞いてほしいな」
(; ・∀・)「えっ」
(; ・∀・)「すいません……」
lw´‐ _‐ノv「で」
( ・∀・)「えっ?」
lw´‐ _‐ノv「それで何だって?」
(; ・∀・)(イグサが何とかは最後まで話さないんだ……)
( ・∀・)「いや、あの、会社で働いていたんですが」
( ・∀・)「……気付いたら、この部屋に」
lw´‐ _‐ノv「ふーん」
( ・∀・)「畳張りの床に」
( ・∀・)「四方、窓の無い真っ白な壁……」
lw´‐ _‐ノv「うん」
(; ・∀・)「……何なんですか、ここ?」
lw´‐ _‐ノv「ここは、悩みを抱えた者が呼び寄せられる座敷」
( ・∀・)「えーと……、いわゆる不思議空間ですか」
lw´‐ _‐ノv「うん、一種の夢や幻だと思っていいよ」
( ・∀・)「はぁ……」
( ・∀・)「じゃあ僕の悩みも解決してくれるんですね」
lw´‐ _‐ノv「悩んでいるのは」
( ・∀・)「はい」
lw´‐ _‐ノv「私の方なんだ……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(; ・∀・)(えぇ……)
lw´‐ _‐ノv「うん……」
( ・∀・)「僕もそれなりに悩んでるですけど」
lw´‐ _‐ノv「頑張って、応援してる超応援してる」
(; ・∀・)「……」
( ・∀・)「不思議な力とか」
( ・∀・)「上手いセリフとかで解決してくれないんですか?」
lw´‐ _‐ノv「いや、私も一介の一抹の露な普通の人間なんで」
( ・∀・)「どんな一般人アピールですか……」
lw´‐ _‐ノv「それより上質の畳だと思わない、これ」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「あの……、うどんって食べたことありますよね」
lw´‐ _‐ノv「ないよ」
( ・∀・)「ええ、そうです。誰もが食べて……」
(; ・∀・)「って、僕の耳はおかしくなったか!?」
lw;´‐ _‐ノv「う、うん……」
(; ・∀・)「不審者を見るような目つきはやめてください……」
( ・∀・)「うどん、本当に食べたこと無いんですか!?」
lw´‐ _‐ノv「うん」
(; ・∀・)「じゃあ、年越しのときなんかは何食べてるんですか!?」
lw´‐ _‐ノv「いや……」
lw´‐ _‐ノv「そばだろ」
( ・∀・)「そ、ば……?」
(# ・∀・)「……クッ!」
lw;´‐ _‐ノv「えっ、何……?」
(# ・∀・)「忌々しき……忌々しき、そば!」
(# ・∀・)「ああ、この世にそばさえ無かったら!」
lw´‐ _‐ノv「そばに恨み抱えてる人、初めてみたよ」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「取り乱してすいません」
( ・∀・)「実は僕……」
( ・∀・)「主にうどんを製造している会社で働いてるんです」
lw´‐ _‐ノv「なるほど」
( ・∀・)「部署は乾麺なんですけど」
lw´‐ _‐ノv(……こいつ、悩み相談始める気か)
( ・∀・)「そばに比べて、うどんの乾麺って最近は人気も知名度もありませんよね」
( ・∀・)「ちょっと前までは乾麺が主流だったのに……」
lw´‐ _‐ノv「そ、そうなんだ……」
( ・∀・)「冷蔵のうどん、それにそばに押しやられてしまって……」
( ・∀・)「どうしたら現状を変えられるか、毎日そればかり考えているんです」
lw´‐ _‐ノv「乾麺のうどん? 買ったことないな」
( ;∀;)「何てことだっ! ああ、嘆かわしい……」
( ;∀;)「そもそも、うどんを食べたことのない民族がいるなんて!」
lw;´‐ _‐ノv「民族単位ならいるだろ、もっと世界のこと知っとけよ……」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「またまたー」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「スイカが主食の民族もいるんだよ……」
( ・∀・)「ははっ、ご冗談がうまいんですね」
lw´‐ _‐ノv「うん……」
( ・∀・)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
( ・∀・)「で、本当に食べたことないんですか、うどん?」
lw´‐ _‐ノv「うん」
( ・∀・)「稲庭、讃岐、水沢の三大うどんをご存知ない!?」
lw´‐ _‐ノv「名前くらいは聞いたことあるよ」
( ・∀・)「あのマイルドな味わい、上品な香りを体験したことがないなんて!」
lw;´‐ _‐ノv「それ、コーヒーの瓶に書いてる文句でしょ? 上品な香りってなんだよ……」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「すいません、僕も本場の水沢うどんは食べたことなくて……」
lw´‐ _‐ノv(この人……)
lw´‐ _‐ノv(うどんキチガイなのかな)
( ・∀・)「はあ……」
( ・∀・)「僕の身にもなってくださいよ」
lw´‐ _‐ノv「うん……」
( ・∀・)「もしあなたが、乾麺のうどんを作る部署の営業担当だったらどうします?」
( ・∀・)「どうしたら、もっとうどんを皆が求めるようになると思います?」
lw´‐ _‐ノv「うーん……、試食とか?」
( ・∀・)「そばだって……」
(# ・∀・)「そばだって、同じこと出来るじゃないですか!」
lw;´‐ _‐ノv「オリジナリティいるの、そこ? どんな対抗意識だよ……」
( ・∀・)「もっと真剣に相談に乗ってくださいよ……」
lw´‐ _‐ノv「親がそば教だから……」
( ・∀・)「……あの」
( ・∀・)「さっきから、適当なこと言って煙に巻こうとしてません?」
( ・∀・)「この世にそば教なんて無いんですよ?」
lw´‐ _‐ノv「そういうことは知ってるのか……」
(; ・∀・)「……」
(; ・∀・)「どうにもつかめない人だ……」
lw´‐ _‐ノv「私は幽霊かよ、……ほら、ほっぺた引き裂かれんばかりに掴んでるぞ」
(; ・∀・)「いや、そういう意味じゃなくて……」
lw´‐ _‐ノv「どういう意味?」
(; ・∀・)「いや、いいです、日本語って難しいですね……」
lw´‐ _‐ノv「日本語と言えば」
( ・∀・)「はい?」
lw´‐ _‐ノv「壁に耳あり障子に目ありって言葉があるでしょ」
( ・∀・)「ことわざ、ですね」
lw´‐ _‐ノv「畳には何があると思う?」
( ・∀・)「また、畳ですか……」
lw´‐ _‐ノv「畳には鼻があるんだよ」
( ・∀・)「鼻……」
lw´‐ _‐ノv「そう。足の裏の匂いをかいでる」
(; ・∀・)「嫌な畳ですね……、畳だけ覗き方おかしいですよ」
lw´‐ _‐ノv「ちゃんと正座してたら大丈夫」
(; ・∀・)「ここの畳は、人の姿勢を気にかけてるんですか……」
lw´‐ _‐ノv「高級な畳たるゆえんです」
( ・∀・)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
( ・∀・)「そうだ! 今一緒にうどん食べましょう!」
lw;´‐ _‐ノv「一体今どんな思考をしたんだよ、一手目で王手かける将棋ソフトのAIかよ……」
( ・∀・)「ありますよね?」
lw´‐ _‐ノv「見ての通り、家具すらないよ」
( ・∀・)「どこに隠しているんですか、うどん」
lw´‐ _‐ノv「うどんは禁制品か何かなのかよ、あっても隠さないだろ……」
( ・∀・)「どうですかね、案外畳の裏なんかに敷き詰めてたり」
lw;´‐ _‐ノv「そんなうどん食べたいのかよ……」
( ・∀・)「あれっ……」
( -∀・)「何だか急に眠く……」
lw´‐ _‐ノv「目が覚めたら」
lw´‐ _‐ノv「元の場所に戻ってるよ」
(; -∀-)「えぇっ……まるで何も解決してな……」
( -∀-)「う……」
( -∀-)「ど、ん……」
( -∀:*:。.:*:・'
( :’*:。.::・'゜
:・’
lw´‐ _‐ノv「行ったか」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「うどん、か……」
lw´‐ _‐ノv「もしも畳が食品だったら」
lw´‐ _‐ノv「クッキーみたいな食感かもしれないな……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……よし」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw;´‐ _‐ノv「う、イグサが口に……」
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