lw´‐ _‐ノv畳の上に座っているだけのようです 五畳目「お父さん」
lw´‐ _‐ノv「だけど、ずっと外の風景も見れないと」
lw´‐ _‐ノv「今が何時なのかとか、時間すらも分かんないな」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「お腹もすかないし」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「最後に食べたのは、お昼ご飯だったっけ?」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……焼き魚」
lw´‐ _‐ノv「ししゃも食べたい……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「はっ、ここは……」
lw´‐ _‐ノv「おっ」
(`・ω・´)「和室……、夢の中だろうか?」
(`・ω・´)「たぶん居眠りでもしているんだろう……、最近疲れていたしな」
lw´‐ _‐ノv「こんばんは」
(`・ω・´)「えっ、ああ、どうも……」
lw´‐ _‐ノv「夕ご飯食べた?」
(`・ω・´)「えっ」
(;`・ω・´)「……今は、昼間じゃなかったかな?」
lw´‐ _‐ノv「お昼なんだ……」
(;`・ω・´)「うん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「じゃあ、たらこパスタだな」
(;`・ω・´)「え?」
lw´‐ _‐ノv「あ、なんでもないよ」
(;`・ω・´)「そうか……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「ところで、君は何をしているんだい?」
lw´‐ _‐ノv「時間を数えてた」
(`・ω・´)「時間?」
lw´‐ _‐ノv「うん」
lw´‐ _‐ノv「目をつむって頭の中で10秒数えて」
lw´‐ _‐ノv「ストップウォッチをぴったりに押す遊びあるでしょ?」
(`・ω・´)「ああ、子供のときにやったなあ」
lw´‐ _‐ノv「あれの24時間版に……」
(;`・ω・´)「挑戦してるの!? 時間恐ろしく有り余ってるな……」
lw´‐ _‐ノv「そうそう」
(`・ω・´)「はは、君の時間を分けてもらいたいぐらいだよ」
lw´‐ _‐ノv「ケーキみたいに切り分けて?」
(;`・ω・´)「いや、うん、例えは何でもいいんだけどね」
lw´‐ _‐ノv「ナイフがあればね」
(`・ω・´)「はは、気持ちだけもらっておくよ」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「じゃあ、時間数えるの次はおじさんの番ね」
(;`・ω・´)「えぇ、僕もやるのかい?」
lw´‐ _‐ノv「まずは10秒、はい目つむって」
(;`-ω-´)「う、うん……」
lw´‐ _‐ノv「よーい、どん!」
(`-ω-´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`-ω-´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`-ω-´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`゜ω゜´)「10秒!!」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「残念、13秒でしたー」
(`・ω・´)「そんなに経っていたか……」
lw´‐ _‐ノv「意外に早いよね、時間」
(`・ω・´)「って、ストップウォッチはどこに?」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「心のストップウォッチ使った……」
(;`・ω・´)「正確さ皆無だな、サーキットレースだったら世界新続出だよ……」
lw´‐ _‐ノv「24時間版やる?」
(`・ω・´)「やめとくよ……」
lw´‐ _‐ノv「そっか……」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「しかし、出来ることなら……」
lw´‐ _‐ノv「うん?」
(`・ω・´)「過去に時間を戻して」
(`・ω・´)「もっと家族のそばにいてやれたらよかったなあ」
lw´‐ _‐ノv「……何かあったの?」
(`・ω・´)「いや、大したことじゃないんだ」
lw´‐ _‐ノv「まあまあ」
lw´‐ _‐ノv「ここで会ったのも何かの縁だし」
(`・ω・´)「そうかい? じゃあちょっと話そうかな」
lw´‐ _‐ノv「うん」
(`・ω・´)「……僕は仕事の都合、単身赴任ばかりでね」
(`・ω・´)「あまり、娘にかまってやれなかったんだ」
lw´‐ _‐ノv「うんうん」
(`・ω・´)「最近ようやく落ち着いて」
(`・ω・´)「家族で一緒に暮らせるようになったんだが……」
lw´‐ _‐ノv「おおー」
(`・ω・´)「けれど、娘と何を話せばいいのか分からなくてね」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「自然に接すればいいんじゃない?」
(`・ω・´)「いやあ、その自然ってのが分からないんだ」
lw´‐ _‐ノv「ふむふむ」
(`・ω・´)「はは、これじゃ父親失格だね、僕は……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「娘はいくつぐらいなの?」
(`・ω・´)「確か、今年17歳になるのかな」
lw´‐ _‐ノv「おおー、高校生かー」
(`・ω・´)「うん、昔は目に入れても痛くなかったんだが」
(`・ω・´)「今は娘が何を考えているのかすら分からないよ」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「年頃の乙女は、大体ししゃものこと考えてるよ」
(;`・ω・´)「魚屋の娘でも考えてないよ、きっと……」
lw´‐ _‐ノv「うーん」
lw´‐ _‐ノv「共通の趣味とか作ったらどう?」
(`・ω・´)「共通の趣味か……」
lw´‐ _‐ノv「そうそう、入浴剤集めとか」
(;`・ω・´)「どう盛り上がったらいいんだい、その趣味で……」
lw´‐ _‐ノv「草津と鳴子トレーディングしようぜ娘よ、みたいな」
(;`・ω・´)「交換しても、結局同じ風呂に投入されるよ……」
lw´‐ _‐ノv「集めたら飾っておくんだよ」
(`・ω・´)「そ、そうか……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「えー、鳴子温泉って湯力弱いしー、お父さーん」
(;`・ω・´)「えっ、何……」
lw´‐ _‐ノv「私、きき湯がいいなー、お父さーん」
(;`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「お父さーん」
(;`・ω・´)「……」
(;`・ω・´)「よ、よし……、きき湯と草津2つでどうだ」
lw´‐ _‐ノv「いいよー、ありがと、お父さーん」
(;`・ω・´)「いや、いいんだよ、ははは……」
lw´‐ _‐ノv「あ、明日バスクリン買わなきゃー」
(;`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……どう?」
(;`・ω・´)「娘とこの会話、ありえないだろ……」
lw´‐ _‐ノv「割と良かったと思うけど……」
(;`・ω・´)「うーん……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「あっ、入浴剤あるあるとか」
(;`・ω・´)「入浴剤集め趣味にする気ないからもういいよ、ありがとう……」
lw´‐ _‐ノv「そうかー」
(`・ω・´)「はあ……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「過去に戻れればなあ……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「今は一緒に暮らしてるんだよね」
(`・ω・´)「そうなんだけどね……」
lw´‐ _‐ノv「じゃあ大丈夫だよ」
(`・ω・´)「ん、何故だい?」
lw´‐ _‐ノv「自然って時間が経たないと、そうならないでしょ?」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「だから、これからは大丈夫だよ」
lw´‐ _‐ノv「一緒の時間が経つもの」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω・´)「そういうもの、かな……」
lw´‐ _‐ノv「そういうものだよ」
(`・ω・´)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(`・ω-´)「今度」
(`-ω-´)「鈴鹿に連れてってみるかな……」
(`-ω-:*:。:*:・'
(`-.:*:・'
*:・'
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「いいお父さんだな、きっと」
lw´‐ _‐ノv「なんとかなるんじゃないかな、うん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「お父さんの気持ちは分からないけど」
lw´‐ _‐ノv「娘の気持ちは分かるし」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「鈴鹿って、何するところなんだろう……」
lw´‐ _‐ノv「……」
終わり
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