lw´‐ _‐ノv畳の上に座っているだけのようです 四畳目「火傷の料理人」


lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「あるいは」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「さっさと悩んでることを聞いて」

lw´‐ _‐ノv「もとの場所に帰すべきなのかもしれない」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「よし、その辺は試行錯誤していこう」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「おお、こんにちは」



(;#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「こほん!」

lw´‐ _‐ノv「ええと、今日はどうされました?」

(#゚;;-゚)「……」

(;#゚;;-゚)「いや、知りません」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「問診票には風邪と」

(#゚;;-゚)「書いてません」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……」



lw´‐ _‐ノv「のどを見せてもらっていいですか?」

(#゚;;-゚)「私は健康そのものだって」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「何なの、ここ」

lw´‐ _‐ノv「夜はよく眠れてますか?」

(;#゚;;-゚)「はぁ……」

lw´‐ _‐ノv「あっ、ごめん……」

(#゚;;-゚)「……えっ」

lw´‐ _‐ノv「お名前聞いてなかった」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「頭、痛くなってきた……」

lw´‐ _‐ノv「それは、おそらく風邪……」

(#゚;;-゚)「じゃないから、間違いなくこの状況のせいだから!」

lw´‐ _‐ノv「……」



(#゚;;-゚)「帰ります」

lw´‐ _‐ノv「あ、うん、お大事に」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「想定してた流れと違うな……」

(#゚;;-゚)「この部屋……」

lw´‐ _‐ノv「どこで間違った、私」

(;#゚;;-゚)「玄関も窓もないじゃないか……」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「ここ、和室だからね」

(#゚;;-゚)「住居なめてるのかよ、不便きわまりないだろその和室……」



lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「まさか」

lw´‐ _‐ノv「どしたの、畳見つめちゃって」

(#゚;;-゚)「畳の下に出口とか……」

lw´‐ _‐ノv「別にないけど、畳とか好き?」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「思わせぶりな沈黙するから……」

lw´‐ _‐ノv「……」

(;#゚;;-゚)「ほら、また」

lw´‐ _‐ノv「……悩み」

(#゚;;-゚)「また意味深なこと言って」

lw´‐ _‐ノv「いや、悩みを持ってる人がここに現れるの」



(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「……胡散臭いからいい」

lw;´‐ _‐ノv「いいとか悪いの問題じゃないんだけど」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「どしたの、その火傷」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「……中華料理屋で働いてる」

lw´‐ _‐ノv「へえー、シシカバブとか作っちゃうんだ」

(#゚;;-゚)「それ、中華料理屋で頼んでみろよ……」



lw´‐ _‐ノv「あ、回鍋肉とかも」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「鍋はまだ、……振らせてもらえない」

lw´‐ _‐ノv「え? 火傷は?」

(#゚;;-゚)「家に帰ってから練習してる」

lw´‐ _‐ノv「そうなのか、偉いなあ」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「帰りたい」

lw´‐ _‐ノv「うーん、私もそうさせたいんだけど」

(#゚;;-゚)「……悩みを言ったら、解決してくれる?」

lw´‐ _‐ノv「できません」

(#゚;;-゚)「的確なアドバイスとか」

lw´‐ _‐ノv「言えません」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」



(#゚;;-゚)「だけど、ここから出られる?」

lw´‐ _‐ノv「かもしれない、よ」

(#゚;;-゚)「……わかった」

lw´‐ _‐ノv「おお、何でも聞くよ」

(#゚;;-゚)「コンタクトがうまく入れられない」

lw´‐ _‐ノv「……えっ、目に?」

(#゚;;-゚)「目に」

lw´‐ _‐ノv「片方の目で見ながら」

lw´‐ _‐ノv「入れるといいよ」

(#゚;;-゚)「そうか」

(#゚;;-゚)「ありがとう」

lw´‐ _‐ノv「いえいえ」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「ナイス助言、私」



(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……いつ出れる?」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「お姉ちゃんとかいる?」

(#゚;;-゚)「いない」

lw´‐ _‐ノv「……ここが不思議の国だったら」

lw´‐ _‐ノv「アリスはお姉ちゃんに起こしてもらって」

lw´‐ _‐ノv「目が覚めたんだけどね」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「もしも夢だったのなら」

lw´‐ _‐ノv「そう、もしも夢だったら」



(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「……そういう歳でもないんだけれど」

lw´‐ _‐ノv「私も電波時計は持ってないよ」

(#゚;;-゚)「白ウサギの時計はそんなハイテクじゃねえよ……」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「ほんとは、コンタクトのことじゃないんでしょ」

lw´‐ _‐ノv「悩み」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「恋の悩み?」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「仕事のこと?」

(#゚;;-゚)「……違う!」



lw´‐ _‐ノv「うん?」

(#゚;;-゚)「ずっと皿洗いや野菜の皮を剥かされてばっかしで!」

(#゚;;-゚)「いつになったら私を使ってくれるんだとか……」

(#゚;;-゚)「そういうことじゃ悩んでない!」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「そういうことじゃ……」

lw´‐ _‐ノv「……」

(#゚;;-゚)「……なんだよ」

lw´‐ _‐ノv「私は木彫りの熊だから」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「ここには誰もいないよ」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」



(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「……大体、君がいて助かるよなんて言って」

(#゚;;-゚)「そんな仕事、誰でも出来るのに」

lw´‐ _‐ノv「うんうん」

(#゚;;-゚)「みんなすぐに辞めるから、そう言うだけで」

(#゚;;-゚)「一人で何百回も鍋を振ってるのに……」

lw´‐ _‐ノv「おお、そんな仕事辞めちゃえー」

(#゚;;-゚)「……絶対辞めない!」

(#゚;;-゚)「私が偉くなって、調理場を牛耳るまで」

(#゚;;-゚)「何十年でも続けてやる……」

lw´‐ _‐ノv「そうかー」

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「熊じゃなかったの?」

lw´‐ _‐ノv「あっ、そうだった」

(#゚;;ー゚)「……ふふ」



lw´‐ _‐ノv「私のこと、この部屋のこと」

lw´‐ _‐ノv「誰かから噂とかで聞いたことある?」

(#゚;;-゚)「知らない」

lw´‐ _‐ノv「うん……」

lw´‐ _‐ノv「だけど、私はこうやっていろんな人の悩みを聞いてる」

lw´‐ _‐ノv「いつか来る日をただ待って」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「つまり、そういうこと」

(#゚;;-゚)「……よく、分からない」

lw´‐ _‐ノv「うん」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「似てるね、私たち」

(#゚;;-゚)「……そうかな」



(#゚;;-゚)「だけど」

(#゚;;ー゚)「……ありがとう」

lw´‐ _‐ノv「ところでさ」

lw´‐ _‐ノv「悩みを解決してくれる美人がいるって」

(#-;;:。.::・'

(#:*:・'

:・'

lw´‐ _‐ノv「ちょっとくらいは聞いたことない?」

lw;´‐ _‐ノv「あっ、いねえ……」

lw´‐ _‐ノv「……」



lw´‐ _‐ノv「まあいいや」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「いつか、食べに行きたいな」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「あの人の作ったパエリア」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「……じゃなかった、麻婆豆腐」


終わり
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