( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第一話【VIP高校】






【ラウンジ中学、全国大会2連覇!】

今月18日に行われた、全国中学バスケットボール大会決勝。
数々の試練を乗り越えてきた2つのチームが同日にぶつかった。

一つは、今大会初出場の、ひろゆき中学。
大会初出場にして決勝まで勝ち残った、新鋭チームだ。

もう一つは、昨年優勝のラウンジ。
キャプテンのドクオ君を中心とした、名門中学である。

結果として、79-85で、ラウンジが二連覇を果たした。
歓喜に震えるラウンジ中学メンバー。
そして、悔し涙を流す、ひろゆき中学キャプテン、モララー君。

モララー君とドクオ君は、二人ともひろゆき高校への推薦が決まっている。
二人の協力するプレーが目に浮かぶようで、今から楽しみである。









──四月。

真新しい制服に身を包まれた生徒が、一生懸命に自転車を扱いでいた。
まだよく道が分かっていないようで、
きょろきょろしながら誰かについていくように進んでいた。

('A`) 「……あっち」

何故こんなにも分厚い制服を着なければいけないのだろう。
暑い上に、動きにくい。
自分にとって、この制服を着るメリットはないように感じられた。

前を走る自転車を追いかけながら、目的地へと向かっていた。
今日から始まる、高校生活。
この土地にも越してきたばかりで、あまり詳しくは無い。

('A`) 「ここか」

校門をくぐり抜ける生徒を見て、呟いた。

('A`) 「県立VIP高校……」


前の生徒に続くようにして、校門をくぐった。
体育教師らしき人物が、声を張り上げてあいさつをしている。
少し前の自分を思い出すようで、ちょっとだけ嫌気が指した。

自転車を止め、教室へと上がっていく。
教室の場所は、この前の入学式で確認していた。

『ガラガラッ』

相当古い、木造校舎だ。
地面を歩くたびに、ギシギシという軋みがなっている。

自分の席に鞄を置き、一息ついた。
教室の中は、意外とにぎわっている。
いくつかの集団が出来ていて、その集団で何やら話しているようだ。




('A`) (あー。地元の奴だろーな)

このVIP高校は、学力も部活動も平均的な公立高校。
地元の人間の半分近くが、この学校の門を叩くという。

自分の席に座り、黙って前を向く。
別にこういう雰囲気には慣れていた。
いや、むしろ、心地よいくらいだ。


教室に大分人が集まってきたが、俺の位置は変わらない。
俺のように一人きりの奴も何人かいる。
恐らく、この教室に同じ中学の奴がいない連中だろう。

そして、俺の後ろの生徒も、その一人だった。


( ^ω^)「……」じーっ




( ^ω^)じーっ


('A`) 「……」



( ^ω^)じーっ



('A`) 「……」



( ^ω^)じーっ



(;'A`)(何で俺の方ばっか見てんだよ……)


( ^ω^)「……お」

(;'A`) (……お?)

必死に目をあわさないように、前を向いておく。
しかし、何かぼやきのようなものが、後ろからしきりに聞こえていた。

( ^ω^)「……あの」

まだ、後ろを振り向かない。

( ^ω^)「あの」

今度は、俺の肩を叩いてきた。
これはもう、後ろを向くしか無いだろう。

('A`) 「……何?」

( ^ω^)「ドクオ君かお?」

('A`) 「……うん」



(*^ω^)「おっ!!あの、あのドクオ君かお!?」

(;'A`) 「……ま、まぁ。ドクオです」

急に席を立ち上がり、俺の前にてけてけとやってくる。
近寄るな、と心の中でぼやくと共に、少しだけ違和感を感じた。

(;'A`) (でかい……な)

縦も横も、だ。
恐らく縦は180は超えている。
横に関しても、相当いっているだろう。

(*^ω^)「な、なんで?なんでドクオ君がいるんだお!?」

(;'A`) 「え、いや。受かったし……」

(*^ω^)「ひろゆき高校の推薦はどうしたんだお!?」

ふぅ、と心の中で一息つく。
そうか、こいつも、「こっち」の人間だったのか。


('A`) 「まぁ、色々あって……」

(*^ω^)「じゃ、じゃ、この学校に入学するのかお?」

('A`) 「そりゃ……まぁ」

(*^ω^)「だおおお!!ってことは、僕はこれから、ドクオ君とバスケが出来るのかお!?」

ここで更に、一息ついた。
やはりこいつは、地元の人間じゃないんだろう。

('A`) 「……そりゃ、無理な話だろ」

(;^ω^)「おおっ?」

('A`) 「……この高校、男子バスケ部がないんだぜ?」




男の動きが、一瞬にして止まった。
やはり知らなかったのだろう。

(;^ω^)「男子バスケ部が……」

('A`) 「ないの。だから、バスケは出来ない」

それだけ言って、俺はこいつから目をそらす。
こういうタイプは苦手だ。
ズカズカと、人の気も知らずに話し掛けて来る奴は。


(;^ω^)「なんでないんだお!?」

(;'A`) 「知るかっ!」





「おーい、席につけー」

そこでようやく、教師が入ってきた。
それを指差すと、でか男もしぶしぶ下がっていく。

「それじゃ、出席とるぞー……」

次々と名前を呼んでいく教師。

「ドクオー。」

('A`) 「はい」

そして、後ろの席。

「ないとうー。内藤ホライゾンー」

( ^ω^)「だおっ!」


内藤……か。


その日の学校は、別段大した事はなかった。
学校説明。次の日の用意。
そんな程度だろう。

問題は、それが終わった、放課後にやってきた。


(*^ω^)「ドクオ君ー!やっと学校終わったおー!」

('A`) 「……そーだな」

( ^ω^)「ところで、お願いがあるんだおー」

('A`) 「……嫌だ」

(*^ω^)「先生に、バスケ部の設立お願いしに行くお!」

('A`) 「嫌だ」


(;^ω^)「なんでだお!?」

('A`) 「……もうバスケ辞めるために、ここに入ったんだよ」

何を言っている、というかのような目で、俺を見つめる内藤ホライゾン。
その目を見ると、思いっきりぶん殴りたくなる。
俺が、一番嫌いな目だ。

(;^ω^)「なんでだお?もったいないお」

('A`) 「俺のことだろ。ほっとけよ」

鞄を持ち、帰ろうとする俺を、あいつが呼び止めた。

(;^ω^)「バスケやらないドクオ君なんて、ドクオ君じゃないお!!」

そこで、何かが完全に切れた。




('A`) 「……テメーに何がわかんだよ」

( ^ω^)「お・・・…」

(#'A`) 「今日会ったばかりの奴に、あれこれ言われたくねぇよ!!」

(;^ω^)「……」

嫌だった。
俺がバスケをやるにしたがって、人々は俺をバスケとしてしか見なくなった。
それが、何より嫌だった。

だから、高校の推薦は蹴った。
親父や母さんの反対も断って、祖父の家に転がり込んだ。
そして、祖父の家の近くの、この「バスケ部がない」VIP高校に入学した。

('A`) 「……くそ……」

吐き捨てるかのように、内藤に背中を向けた。
これで、あいつももう、絡んでこないだろうと。


だが、そいつは俺の腕を掴んできた。


( ^ω^)「……勝負だお」

('A`) 「……あ?」

(#^ω^)「僕とバスケで勝負だお!!」

どう考えたら、その考えに辿り着くのか、俺には理解できない。
だが、目の前の人物は、どうやらその考えに辿り着いたらしい。

( ^ω^)「怖いのかお!?負けるのが怖いのかお!?」

うざい。
これほどまでにウザイ奴を見たことが、俺はない。

('A`) 「……」

( ^ω^)「逃げるかお?逃げるかお?プギャーwwww」




('A`) 「……へっ」

小さく笑う。
それは相手にも聞こえたらしく、少し腕を掴む力が和らいだ。

('A`) 「……どんだけ自信家かしらねーけどよ……」

( ^ω^)「……」

('A`) 「お前のそのアホな考え、ぶち壊してやるよ」

奴の手が、完全に俺から離れた。


( ^ω^)「今から、体育館いくお」

('A`) 「空いてるのか?」

( ^ω^)「無理矢理にでも」

そういって、内藤は歩き始めた。
俺も黙って、奴の後ろを歩く。

教室の中で遊んでいる奴の声が強く耳に響く。
随分と聞きなれていなかった、楽しそうな声。


・・・・・・・・
・・・・・
・・・



(;^ω^)「道に迷ったお……」


(;'A`) 「は?お前体育館の場所知らずに歩いたのか?」

(;^ω^)「動物的勘が……」

最悪なバカだ、と思った。
これ以上のバカはいないだろうとも、同時に考えた。

(;^ω^)「やばいお……どうするお……」

辺りを見回すものの、体育館らしきものは全く見当たらない。
更には、自分達の教室の場所さえも分からなくなっていた。

(;^ω^)「体育館……体育館……」

彷徨うように呟く内藤。
その背後に、ひとつの影。



ξ゚听)ξ 「体育館、探してるの?」



金髪のツインテールの女の子だった。
この学校の校則はどうなっているんだ、と正直問いかけたくなる。
だが、それだけの美しさは十分にある。

(;^ω^)「そ、そうなんですお」

ξ゚听)ξ 「体育館ならあっち側。私も今からいくとこだけど、着いてくる?」

金髪の少女は、返事も聞かずに歩き出した。
少々気の強い女の子のようだ。

('A`) 「……女バスさん?」

ξ゚听)ξ 「そうよ」

('A`) 「一年生、だよね?」

上靴の色が、一年生の青をさしている。
一年生といえば、この前入学式を終えたばかりだ。
もう、入部しているのかという疑問が生まれた。


ξ゚听)ξ 「ああ、春休みの内から練習に参加してたから」

俺の心を読んでのか知らないが、彼女の返事は俺の疑問を解消させた。
推薦で呼ばれた人間は、ほとんどが春休みの内から部活に顔を出す。
恐らく、この少女もバスケの推薦入学なのだろう。

そこからは互いに無言だった。
そして、その間にも、自分達は体育館へと到着していた。

ξ゚听)ξ 「……今日はウチ以外、どの部活も休みみたいね」

そう言いながら、体育館の更衣室へと消えていく女子。
体育館の入り口に、ただ取り残された俺と内藤。

( ^ω^)「……ボール、あそこに転がってるお」

それを俺が拾い上げ、くるくると手の上で回し始める。
その行為を行いながら、俺はルールの説明を始める。


('A`) 「1オン1。攻撃側のシュートが入った場合、もう一度攻撃だ。
    そして、お前が一点でも決めた時点で、お前の勝ち」

出来る限り簡潔にルールを説明した。
だが、奴の目はまだ疑問を持っている。

( ^ω^)「ドクオ君は、どうやったら勝ちになるんだお?」

('A`) 「お前が、諦めたら」

当然のように言い放った。
それに対して、不満のようなものを感じている内藤。

('A`) 「さ、とっとと始めようぜ」

俺は制服の上だけを脱ぎ、Tシャツに長ズボンの格好になる。
バスケをするにしては最悪の格好だが、別に問題はないだろう。

俺の隣で内藤も制服を脱ぎ、俺の前に立ちはだかる。
完全に腰が浮いている。
ディフェンスだと気付くのに、少々時間がかかった。



('A`) 「なぁ、もう初めていいのか?」

( ^ω^)「早く来いお!」

こいつの自信は、どこからやってくるのか。
だが、そんな事を考えても仕方がない。
今は、こいつをぶち倒すだけでいいのだから。


右足に力を入れ、思い切り地面を蹴る。
それでいて、決して自分を地面から放さないようにする。
超低空飛行のような形で、俺は内藤の脇をすり抜けた。

パシュッ

内藤の横を通った後は、簡単なシュートを決めるだけだ。
レイアップを軽く決めて、俺は内藤の顔を見る。

(;^ω^)「……あれ……」

ただ、唖然とした顔の男が、そこにいるだけだった。


('A`) 「……お前、中学の時バスケしてたのか?」

(;^ω^)「……」

俺の考えは、図星だった。
こいつは、完全な初心者だ。

('A`) 「……だるいな。帰るか」

俺はボールを内藤に渡し、鞄を拾い上げる。
脱いだ外靴を履こうとした、そのときだった。

( ^ω^)「まだ……まだ僕は諦めてないお!」

ボールを俺につきつける内藤。
本物のバカがいたもんだ、と思う。

だが、俺の勝利条件は相手が諦めること。
相手が諦めていない以上、俺の勝ちにはならない。

('A`) 「……」

靴をもう一度脱ぎ捨て、コートに入った。


内藤が俺の前に立ち、対峙する。
静かな体育館。バッシュの音も、ドリブルの音も聞こえない。
そして


パシュ


軽やかなネットの音だけが、体育館に響き渡った。


(;^ω^)「スリーポイント……?」

('A`) 「ほら、ボール取ってきてくれよ」

内藤が慌ててリングの下のボールを取りに行く。
ぎこちない動作で、俺にパスを出した。

その瞬間に、俺は奴の右脇下にドリブルを着く。
慌てる内藤。
しかし、次の瞬間には、俺の身体は内藤の奥へと進んでいた。



パシュ


レイアップの決まる音。
ボールを拾い上げ、ドリブルを着きながら内藤の前まで歩く。

('A`) 「次行くぞ」

(;^ω^)「くっ……」

ディフェンスのつもりだろうか。
ぎこちなく曲げられた腰に、俺は思わず笑いそうになる。
必死に笑いを堪えて、俺はもう一度、内藤の右をドリブルで抜き去った。

('A`) 「どうした?」

(;^ω^)「まだ……まだまだだおっ!!」




パシュッ

ダムダムッ パシュッ

パシュッ


(;^ω^)「はぁー……はぁー……」

スリーポイントとドライブを使い、俺は既に何本ものシュートを決めていた。
奴が俺のボールをカットすることはおろか、
俺の身体にすら触れることができていない。

('A`) 「ほら、次行くぜ」

(;^ω^)「はぁー……はぁー……」

息切れする奴の身体は、上下に大きく揺れている。
更に、腰が今度は全く曲がっていない。
完全に棒立ちだ。

('A`) (……バッテバテじゃねーか)

そう思いながらも口には出さず、内藤の左をドリブルで抜きさった。
もう一度、体育館にネットの音が響く。


ガチャ

更衣室のドアが開く音。
中から、先ほどの女子が、練習着になって現われた。

ξ゚听)ξ 「あら、あんた達バスケやってんの?」

('A`) 「見ての通り」

ξ゚听)ξ 「てっきり、バレーかと思ってた」

男子バスケがないことを知っての発言だろう。
それもそうか、と一人で納得した。

('A`) 「一人で練習?」

ξ゚听)ξ 「後ちょっとしたら、女子バスケの練習よ」

ふとして時計を見る。
午後1時、既に学校が終わって1時間が経過している。
恐らく、女子バスケ部は昼飯を食べていたのだろう。




ξ゚听)ξ 「あんた達、この学校に男バスないの知ってる?」

('A`) 「知ってる」

ξ゚听)ξ 「……ご勝手に」


そう言って、俺らとは別のリングに向かう女子。
シュート練習を始めるようだった。

('A`) 「さて・・・・・・俺らも続きをやるか」

(;^ω^)「こいお……!」

ふっ、とボールを持ったまま両腕を上にあげる。
ピクリと動く内藤。シュートブロックをするつもりらしい。
だが、俺の動きはそれとは反対で、一瞬にして下に向かってボールをつく。
完全に、右を通り過ぎていった。

パシュ


・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・

数分後、10人程度の女子バスケ部が現われた。
俺らの存在に驚きながらも、別に話し掛けはしてこない。

この体育館には、二つのコートがある。
一つは女子バスが使い、俺らはもう一つの奥のコートで1オン1を続けていた。

ダムッ!

もう一度奴を抜きさる。
何度も、何度も抜き去ってはシュートを決める。
相手が変に警戒してきたら、その上からスリーを決める。
それの繰り返しも、既に2時間を過ぎてきた。

(;^ω^)「ぜはっ……はっ……」

('A`) 「……」


('A`) 「諦めろよ」

(;^ω^)「まだ……はっ……だお・・・・・・」

('A`) 「くそ……」

そう言って、内藤をドリブルで抜きさる。
この行為を、今日何度行ってきたことか。

内藤も内藤で、それを棒立ちのまま必死に止めようとする。
そしてついには、足が絡んで、内藤が一人でこけてしまった。

(;^ω^)「おっ……」

のしのしと起き上がる内藤。
俺の顔を睨み、「早くこい」というような目で、催促してきた。

('A`) 「……」




('A`) 「腰を下げろ」

ふと、口から言葉が出た。

(;^ω^)「おっ?」

腰をぎっくりと曲げる内藤。
何とも不器用な男だと思う。

('A`) 「腰を曲げるんじゃない、曲げるのは膝だ。腰を下ろすんだ」

少しやり方がわかったのか、膝を曲げ始めた。
それだけで、全然違う。バスケらしい格好に変わった。

('A`) 「俺が動いたあとに判断するんじゃない。俺の目や足の向きから、予測するんだ」

そして、ボールを構える。
先ほどより、ずっと抜きにくくなった。


だが、所詮は素人。
またもや、俺の身体に触れることすら出来なかった。

('A`) 「お前は背が高いんだから、脇を抜かれるのを注意しろ。
    俺の今までの抜いたパターンを思い出せ」

(;^ω^)「お!」

('A`) 「どうやったら抜かれないか、必死に考えるんだ」

そういって、少しだけ構えを解く。
その間に、内藤は何やら考えているようだった。

そして、結論が出たらしい。

(;^ω^)「これでどうだお!」

今までボールばかりを追いかけていた手が、下を向いた。
俺の今まで抜いたコースをつぶす様に、その手が降りてきた。

('A`) 「……へっ。分かるじゃねーか」




ボールを構える。
内藤が、俺の目と足を見る。
膝もきちんと曲がっている。

内藤の構えが、
ばすけっとから、バスケットに変わっていた。


('A`) 「……行くぜ」

( ^ω^)「……」

息を飲む。
俺も、内藤も。



──ダムッ!

右にドリブルをついた。
今までなら、簡単に抜けていたハズの内藤が、まだ目の前にいる。
俺に、追いついてきたのだ。

( ^ω^)「止めた……」

(*^ω^)「止めたお・・・・・・!止めたんだお!!」

奴の表情が、一瞬にして明るくなる。
本当に嬉しそうに、はしゃぐ子供のよう。


パシュッ


よろこぶ内藤の上から、俺はスリーを決めた。


(;^ω^)「……」

('A`) 「はしゃぐなよ」

(;^ω^)「……」

本来ならば、ここで俺はボールを拾い、もう一度構えを取る。
しかし、何故かその気分にはならなかった。

('A`) 「帰るぞ」

(;^ω^)「おっおっ?勝負はどうしたんだお!?」

ボールを拾い上げ、内藤にパスを投げる。
何とかキャッチした内藤は、俺の顔を見つめた。

('A`) 「明日も体育館使うには、申請しとかないといけねーだろ?
    職員室行って、建部届けもらってこよーぜ」

( ^ω^)「お・・・・・・」

(*^ω^)「お!!!」



単なる気まぐれかもしれない。
俺の一時的な感情かもしれない。

だけど、俺はここでバスケをしようと思った。
よくわかんないけど、説明できないけど。
"あの時"の闘志が、もう一度燃えてきた。

一度は完全に冷めたものだったけど、もう一度、俺の心に灯った。
バスケットへの情熱が、俺に戻ってきた。

そんな気がした──



第一話 終




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