('A`)「ラウンジは──ドリブルをついていないんだ」

最初のジャンプボールから、最後の試合終了の笛まで。
ボールをキャッチした時などの必要最低限以外は、
ラウンジは一度もドリブルをついていないのだ。

('A`)「だから、ラウンジは必要以上にパスを回していたんだ。
    ……いや、パスを回すことしか出来なかったんだ」

(;´・ω・`) 「そんな……」

( ゚ω゚)「……」

('A`)「練習で、パスゲームとしてやる事はあるが……。
    公式戦でこれをやるとは、流石のラウンジも馬鹿としかいいようがないな」

(;´・ω・`) 「はい……でも……まさか……」

('A`)「……これが、全国の覇者のレベルって奴だな……」




('A`)「……んじゃ、俺帰るわ」

(;´・ω・`) 「え?」

('A`)「一試合見たし、もういいや。
    夏休みの宿題でも終わらせてくらぁ」

そう言って、手をひらひらと振る。
気の抜けたショボンと、魂の抜けたブーンとお別れを告げた。

──……・・・
──…
……
・・








  ( ^ω^)ばすけっとからバスケットのようです 第八話 【師匠!】









('A`)「……」

朝よりも太陽の緯度が上がっているころ。
先ほどよりも気温は上がっているというのに、
不思議と暑さは感じなかった。

('A`)(くそが……)

まさか、公式戦でパスゲームをしているとは思わなかった。
明らかな実力差。
圧倒的なラウンジ学園。

('A`)(……俺は──)

俺は、ラウンジを蹴った事を。
いまさらながら──。




('A`)「……」

一旦家に帰ってから、すぐさま自転車に乗った。
考えることが多すぎる。
こういう時は、体を動かすのが一番だと感じたのだ。

自転車をこぎ続けて約30分。
ようやく目的地に着くことが出来た。


('A`)「やっぱ暑いな……」


着いた場所は、小さな公園。
ただ一つ、鉄製のリングだけがある公園。
俺の、昔からの練習場所。




('A`)「やるか……」

ボールを取り出して、ドリブルを着く。
砂ぼこりが舞う中、俺は一人シューティング練習を始めた。


──ガコンッ


('A`)「……」

得意のミドルシュートを外してしまう。
地面が砂のせいなのか。
俺はただ、ひたすらにシュートを打ち続けた。





「お前の実力を教えてやるよ」

「弱者の傷の舐めあいだ」


何も考えていないはずなのに、耳元で声が聞こえる気がする。
それに応じるように、俺のシュートは入らない。
駄目だ。今の俺では、何も出来ない。

('A`)(俺は……)

VIP高校バスケ部のキャプテンだ。
ラウンジ高校の特待を蹴ったことは関係ない。
俺は、今のチームでバスケをすると決めた。

('A`)「何が実力だ!俺は……!」

ジャンプしてシュートを放つ。
リングの淵に当たったそれは、大きく空へと舞い上がった──。



──……
……



('A`)「はぁ……はぁ……」

高く上っていた太陽も、もう既に姿を消し始めている。
昼間の暑さはうそのようになくなり、
汗でぬれた体がやけに冷たく感じた。

('A`)「くそ……」

重たい体を何とか持ち上げる。
シュートを打つ。何度でも。



「お!君はいつかの──」




突然、背後からの声。
振り向くと、そこにはまた久しい顔がいた。

( ´∀`)「君はいつかの師匠じゃないかモナ!
      お久しぶりですモナ!」

('A`)「あー……」

以前、ここで練習していたときに出会った男。
確か名前は……。

('A`)「モナー……だっけ?」

( ´∀`)「そうですモナ!覚えててくれたんですかモナ!?」

バスケット初心者のモナーだ。
俺と同級生だが、色々あって俺の事を師匠と呼んでいる。



('A`)「どうした?またここで練習か?」

( ´∀`)「もちろんモナ!僕は毎日ここで練習しているモナ!」

('A`)「ふーん……家近いんだな」

( ´∀`)「うーん……。近くはないけど、ここしかリングがないから……」

なるほど。
こいつは正に、俺の中学の時と同じって訳だ。

('A`)「んじゃ、さっさと練習しろよ。俺もうバテた」

そう言って、地面に座り込む。
それを見たモナーは微笑んで、ボールを着き始めた。

( ´∀`)「師匠!練習の成果を見てください!」


右手でドリブルを着きながら、二三歩進む。
そして、次の瞬間。

──ヒュッ──

('A`)(お……)

図太い体の割には、軽やかなステップを踏むモナー。
くるりと体を半回転させて、見事にロールを決めた。

( ´∀`)「モナッ!」

かと思えば、今度は両手でボールをがっちりと掴む。
体を元に戻し、シュートの体制になった。

( ´∀`)「フェイクモナッ!」

そのフォームから、一度体を沈めて右足を前に出す。
もしディフェンスがいたら、完全によけ切れている体制だ。

そして、そのままシュートを放ち──


──パシュッ


('A`)「……お前、高校からバスケ始めたんだっけ?」

( ´∀`)「そうモナ」

('A`)「……」

素直に、上手いと思った。
高校から……つまり、約3ヶ月でここまで辿り着いたのだ。
それは、半端では出来ないことである。

('A`)「シュートフォームも綺麗だし……」

( ´∀`)「毎日部活の後、ここで練習しているおかげモナ!」

('A`)「部活の後か……。
    あ、そういえばお前。どこの学校行ってるんだっけ?」




( ´∀`)「ああ、僕は──」






( ´∀`)「ラウンジ学園に行ってるモナ」







第8話 終
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