ある日、夢を見た。絶望と希望が入り混じった、不思議な夢を――












  
( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです

Side Story〜her past〜






これは…昔の記憶かしら?昔の私が見える。だけどここにいる私の手はその私には
決して届かない。自分の記憶を夢という形を借りて第三者の視点で見てるのかしら。
たまにそういう経験ってあるじゃない?昔の出来事を夢に見ることが――


ξ゚听)ξ「はー…部活どうしようかしら…」

これは…多分まだ中学入ったばかりの頃の私かな?色んな部活を回って、バスケも
その中の一つだったんだっけ…。友達がバスケに興味あったから確かそれにほとんど
無理矢理付き合わされて…





『きゃー!この子めちゃかわいー!』
『名前なんて言うの?』
『ツンちゃんって言うんだー!ねぇねぇ、バスケに興味はあるの?』

ξ゚听)ξ「あ、まだ色々見て回ってるところなんです」

『そうなんだー…あ、百聞は一見にしかず。一回シュート打ってみる?』
『微妙に言葉おかしくない?www』
『う…うるさいわね!』

ξ;゚听)ξ「シュート…?」

あぁ、この頃はバスケなんて全然知らなかったからシュートの打ち方も
知らなかったんだっけ…。

『わかんないのは当たり前だよ。とりあえず好きな風に投げちゃえwww
 あのわっかに入るよう狙ってみて』

ξ゚听)ξ「わっかを狙って…?えいやっ!!」

うわぁー…この頃の私ってシュートもまともに打てなかったんだっけwww
でも確かこのシュートは…

――パシュッ

ξ゚听)ξ「……?入ったのかな…?」



『すごいすごーい!』
『いきなり決めちゃったよー!』
『ツンちゃん!あなた才能あるわ!バスケやるべきよ!』

……もう。こんなのマグレだったに決まってるじゃないの。今だからカミングアウト
しちゃうけどさ。けどもしこのシュートが入ってなかったら…私って
何してたんだろ…まぁいっか。とりあえずこんな感じのよくわからない流れで
バスケ部に入ったんだわ。

――ダム…ガツッ…ガツッ…

ξ--)ξ「うーん…」

あ、そうそう。初めてのシュートがマグレだってことを気付かれたくなくてその日のうちに
バスケの本買って、ボールも買って、VIP公園で秘密特訓してたんだっけ。
バスケセンスのある自分を演じたくて。いかにも中学生!って感じだわ…。
本に書いてある通りやっても全然入らない。っていうかぶんしょうじゃわかんないよ…。
もっとこう、感覚的なものを書いて欲しいわ。中学生には結構な負担になるのよ、こういう本の値段は。
イライラして自己流のフォームでやってみるとあら、入る。びみょーにストレス溜まったっけ。
それで本に書いてある打ち方に少しだけ自己流を混ぜたら結構入るようになって…
みんなこうやって自分なりに練習してたのかな。



何回もやってると段々コツが
掴めてきて、だいぶ入るようになってくるとシュートが楽しくなってくるのよね。
入るのが楽しくてずっとシュートばかりやってたから、たまに出してもらった練習試合でも
何点かとれるようになったんだわ。シュートを決めたらみんなが誉めてくれる。
嬉しくて。気持ちよくて。
それで少しでも長く試合に出たくてシュート以外のこともいっぱい練習して…



(#^ω^)「くらうお!ウルトラ内藤スマーッシュ!だお!」

――パコォン!

『うわーwwwやられたwww』
(*^ω^)「おっおっwww話にならんおw仕方ないから手塚ゾーン発動するおwww」
『お前マジ卓球部行ってこいwww』
(*^ω^)「おっおっwww一歩も動いてないのにボールが勝手にラケットに戻ってくるおwww」



…幼なじみのブーンが卓球して遊んでる。男子側のコートではたいてい男バスが
卓球したりドッジボールしたり、遊んでばっかりで…全然勝てないチームだったのよね。
でも女バスはこの辺じゃなかなかの強豪。私はそのチームのレギュラー。
鼻が高いってのはこういうことかしら。



『絶対勝とうね、ツン!』

ξ゚听)ξ「もちろん!みんな、勝って県大会よ!」


これは…中学最後の市総体…かな?
あ、そういえば私キャプテンやってたっけ。順調に勝ち進んで、市の決勝まで来て、
勝って県大会行きたくて…。ここで悪夢が起こったんだっけ…

『ツン!シュート!打てるよ!!』

ξ゚听)ξ「オッケー任しといて!」

あ…相手が後ろから…私は気付いてない…よけて…!危ない!私!よけて……!!






ξ゚听)ξ「きゃぁっ!?」

――ぐきっ…ゴツッ

空中でバランス崩して…変な風に着地しちゃって足首ひねっちゃって…今までにも
何回かネンザはしたことあって、その時と同じような感覚だったから
たいしたことないと思ってたのよね…。
ネンザだけじゃなくて膝も思いっきりコートで打って…痛みがないっていうか…

……感覚が…ないっていうか…

『ごめんなさい……!!ごめんなさい……!!』

これも覚えてる…ファウルした子が泣きながらすごく謝ってて…。
たいしたことない、っていって立ち上がろうとしたら…

ξ゚听)ξ「っっ……!!?」

……そうだ。立とうとしたら急に痛みが走って立ってられなくなって…

『ツン!どうしたの!?大丈夫!?』
『ツン!ツン!ねぇ、返事してよぉ!ツン!』

身動きのとれない私は担架で医務室へ運ばれて…ファウルした子は
泣き崩れちゃってたっけ…。
応急処置をして病院に運ばれて……ここで絶望したんだ…。




『足首はね、こう…足の裏が外側に向いちゃう形で足首の内側の靱帯を
 傷めちゃってるね。外反性のネンザは重い障害が残りやすいんだ…』

『でね、問題なのは膝の方。膝を変な方向にひねって靱帯を傷めてるだけじゃなくて
 膝のお皿が割れちゃってる。これは手術した方が賢明だよ』

『手術が終わっても走ったりジャンプしたり…足に負担の掛かる動きは禁止だよ。
 いいね?え、バスケ?バカ言っちゃいけないよ。どれだけ足に負担の掛かる
 スポーツかわかってるのかい?』

そう…バスケはおろか、スポーツすらろくにできない体になっちゃったんだよね…
そりゃあ片足で2ヶ所も靱帯痛めてたら…仕方ないかもしれないけど…


ξ )ξ「そんな…やだ…やだよ……!」

『君はまだまだ若い。だからきっと他に熱中できるものを見つけられるよ。私たちも
 全力で手助け…』

ξ;;)ξ「いやあぁぁぁぁぁぁ!!」

……もう嫌…なんでこの夢は覚めてくれないのよ…




ξ゚听)ξ「…ブーン?何してるの?こんな時間に…ってぎゃああああ!!!何その顔!?」
( ^ω^)「…?どうかしたお?」
ξ゚听)ξ「鏡!鏡貸すから見てみなさいよ!!」
( ^ω^)「なんだお?僕には合わせ鏡の呪いは通用しな…アッー!」
ξ゚听)ξ「…」
(;^ω^)「鏡の中で化け物が微笑みかけてきたお…」
ξ゚听)ξ「あんたの顔よそれは。…で、何しに来たの?」


これは…夏休みの合宿…?
なんかでっかい物音がしてめちゃくちゃ焦ってたらブーンが落書きだらけの顔で
びくびくしながら立ってたんだっけ……あれはカオスだったわ。




( ^ω^)「僕にはツンがどれだけ辛い思いをしているかはわからないお。でも、だからこそ
    いい加減な態度で練習することはツンに失礼だと思うんだお」
ξ )ξ「ブーン…」
( ^ω^)「VIP高のバスケ部は本当にいいチームだお。練習は本当に厳しいけど、僕はツンの分まで
     頑張ってみせるお。だから最後まで見ていて欲しいお」
ξ゚听)ξ「さい…ご…?」
(*^ω^)「もちろんインターハイで優勝するまでだお。最高の試合を特等席で見せてあげるお!
     約束するお!!」
ξ゚听)ξ「な…何言ってるのよ。インターハイなんて無理に決ま…」
(*^ω^)「無理じゃないお!!このチームなら…絶対にやれるお!だから信じて欲しいお!!」
ξ )ξ「ブーン……あり…g」
(;゚ω゚)「しまったお!うんこしなくちゃもれるお!」
ξ゚听)ξ「……」 
( ^ω^)「それじゃあツン、また明日だお!ばいぶー!!」


そうよ…最初は信じられなかったわ。確かにそれなりにいいメンバーが揃っては
いたけど何かが足りない、って思った。この夜も…わからなかった。でもなぜか
『ブーンが言うんだから大丈夫』みたいなことを考えてたのかも。それがなんでなのかは
わからないままだったけど…今ならわかるかも。




ブーンだわ。ブーンが…全てを一つにした。ブーンのおかげで…全てが繋がった。
今ならそんな風に思えるの。まぁこんなこと恥ずかしくて他人には言えないけどね。


――タタタタタタ…

「はうっ!!先っぽがこんにちわしたお!本格的ピンチだおーーー!!」


……台無しだわ…ぶち壊しじゃないの…。やっぱり前言撤回するわ…


[壁]・ω・`)「…………」


…あれ…?何か今一瞬ショボン先生がいたような…?……気のせいよね、きっと。


あ…なんか瞼に光が当たってるのがわかる…。そろそろ夢も終わりかな…?
なんか今日はいつもより気持ちよく起きられる気がするわ…。
今日も一日頑張ろう。マネージャーとしてだけど…大好きなバスケットで
……インターハイ制覇をするために。

Side Story〜her past〜 完


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