−−−−六日目・その1




  「おーい、起きろー」

また朝か、また朝が始まってしまったのか。
起きたくない、ずっと寝ていたい。
もう起こさないでくれ。


ふぅ、毎朝恒例の否定的な考えを忘れずに行って、ため息をつきながら体を起こした。

( ^ω^)「おはようだお」

( ゚∀゚)「おう、おはよう。ショボンさんが来てるぜ?」

( ^ω^)「……ん?」

今なんと言った?
誰が来ていると?

(´・ω・`)「やぁ、朝早くに突然すまない。
   謝って許してもらおうとは思っていない」

(;^ω^)「ときめかねええええええ!!」

(´・ω・`)「いやぁ、あまり尋ねるのが遅いとどこかに行った後になるかもしれないからね。
   良ければ一緒に朝食をとりたいと思うんだが」

( ゚∀゚)「オレはかまわねーぜ?」



  
自分の意見などあってないようなものか、起きてすぐに朝食を皆で食べた。
その場には当たり前のように新巻さんとツンもいたが。

/ ,' 3「ショボンさんから来るとは珍しいのぅ」

(´・ω・`)「うん、ジエンまで一緒させてもらって悪いね」

(・∀・)「ありがとうございます!」

( ゚∀゚)「いいって、人数多いほうがいいだろう?」

(;^ω^)(……なんだか全然落ち着かないお)

落ち着かないのはツンも同じか、朝から不機嫌そうにしていた。
他の国の者同士が集まるなんて……ショボンさんは一体何を考えて今日ここに?

(´・ω・`)「主様はこの世界に慣れましたか?」

( ^ω^)「ぼちぼちだお」

(´・ω・`)「そうですか、今日はせっかくなので主様に確認したい事があって来ました」

( ^ω^)「確認したい事?」

(´・ω・`)「おや、このお味噌汁はおいしいね。ダシは何を?」

良く分からない人だ、マイペースに話を進めていく。
ショボンさんばかりが話をしている、おそらく少なからずみんな出方を伺っているのだろう、空気が重い。



  
(´・ω・`)「主様は国の進化が強制でないことを知っていますか?」

(;^ω^)「……はっ!?」

突然とんでもない事を切り出された気がする。
国の進化が強制でない?
止める事が出来るのか?

(´・ω・`)「おや、知らないのかい? どうして誰も教えてあげないんだい?」

ξ゚听)ξ「別に……知っていたところでどうせ進化を止める国なんて無いでしょ?」

(´・ω・`)「ふーん、そうなんだ」

(;^ω^)「ちょ、待つお! どういう事だお?」

ξ゚听)ξ「ま、ついでに説明しとくとね、国の進化は強制じゃないのよ。
   例えば武器は進化して欲しいけど、化学はそこまで進化して欲しくないと思っていればそのようになるって事。
   せっかくの進化をわざわざ止める事に意味なんて無いけどね」

(´・ω・`)「進化を止める事に意味は無い……か。
   とりあえずそういうことなんだ、悪いけど僕もあらゆる進化を望んでいる」

(;^ω^)「分かったお……」

確かに聞いてもあまり意味がない気がした。
結局両方の国はあらゆる進化を望んでいるのだろうから。



  
(´・ω・`)「それじゃあ国の完全否定についても知らないんじゃないかな?」

(;^ω^)「?」

(´・ω・`)「そうなのか、どうして教えていないんだい?」

ξ゚听)ξ「別に、知っても知らないくてもいい情報でしょ?
   アンタたちどっちかの国が教えてたかもしれないし、わざわざ私たちは率先して教えたりなんかしないわよ」

(´・ω・`)「ふーん、まぁいいや。
   それでね、国の完全否定っていうのは"心の主"がある国を完全否定すると、その国を消す事が出来るんだ」

(;^ω^)「……は?」

一気に話が飛んだ。自分の心で国が消える?
どれだけ"心の主"の力は恐ろしいんだ、新世界の神に匹敵する。

(´・ω・`)「どうなるかは分からない、ただ完全に否定する事でその国は消えるんだ。
   ああ、普段ある程度否定したりすることについてはまったく意味が無いから安心して欲しい」

いや、それで安心しろと言われても困るんですが……。
つまり自分はどちらかの国の言い分に言いくるめられて、片方を完全に否定してはいけないんだ。
おそらく大丈夫だと思う、思うが……それ以上に"心の主"がまた自分に重くのしかかった。

ξ#゚听)ξ「もういいでしょショボン? ごはん食べてる時にまでそんな重い話持ってこないで頂戴」

(´・ω・`)「謝って許してもらおうとは思っていない、でもこの殺伐とした世の中で(ry」

ξ#゚听)ξ「」



  
それこそ殺伐とした朝食を終えると、皆でのんびりとした。
ツンもあまりショボンさんとはいたくない素振りを見せながらも、一緒にゴロゴロとしていた。

(´・ω・`)「やっぱりこういう木の小屋っていうのもいいものだね」

ξ゚听)ξ「あんた今はお城できたんでしょ? 自慢?」

(´・ω・`)「いや、純粋にそう思っただけだよ」

(・∀・)「いいですねー、お城もこんな感じに変えたいですねー」

(´・ω・`)「あるあ……ねーよwww」

ξ゚听)ξ「アンタたち元気ね」

ツンもいい加減に突っかかり疲れたようだ。
朝の涼しく気持ちのいい気候を存分に堪能する事にする。

(´・ω・`)「クソミソおk?」

(;'ω`)「アナルだけは!! アナルだけは!!」

ξ゚听)ξ「キメェwwww」



  
(・∀・)「……ツンデレさん」

そんな中、ジエンという人がツンに声をかける。
突然のことにショボンさんも僕も無言となった。

ξ゚听)ξ「なーに?」

(・∀・)「ここの国に、ガラの悪い輩っていますか?」

ξ゚听)ξ「……いないわよ。それが?」

(・∀・)「把握した」

そう言うと、腰に下げた木弓をすっと出して入り口の方向へ矢を放った。
あまりの速い動作に口を挟む暇が無い、矢は入り口を抜けると奥に広がる森へ。
あれは……人? そう思うが早いか、矢はその人影に刺さった。

  「つあああぁぁ!!」

ξ#゚听)ξ「何だってのよ!」

(;^ω^)「ちょ、待つお!!」

ツンがそう言いながらすぐにそこへ向かっていく。
そして木陰に隠れる相手向かって拳銃を構えた。

ξ#゚听)ξ「……10数える間に出てきなさい。
   1……2……3……」

数えだすとすぐにも隠れていた者たちは姿を見せた。



  
<;のΩの>「ひぃぃ、俺たちです俺たちです!」

(`皿´;)「撃たないで下さい!」

それは昨日僕を襲った山賊だった。
その二人が姿を見せた途端、僕はいじめっ子に出会ったかのように一歩引いた。
ツンの方は大きなため息を吐いて反応する。

ξ゚听)ξ「……何、またアンタたち?」

(´・ω・`)「おやおや、誰だいこの人達は?」

後からショボンさんも付いてきた。
振り返るとジエンさんは小屋の中から木矢を構えている。
すごい圧迫感だった。

(;^ω^)「……昨日その人達に僕が襲われたんだお」

(´・ω・`)「ほう、見たこと無いけどどこの人達だい?

ξ゚听)ξ「ジョルジュも知らないって。とりあえず二度とここに来るな、次は撃つぞ?」

<;のΩの>「ごめんなさい、ごめんなさい!」

(`皿´;)「今すぐ去りますごめんなさい!」

そう言って二人は去っていった。
昨日の復讐だろうか、そういえば片方は片腕に包帯をしていた。
昨日拳銃で撃たれた場所だろう、その包帯の上からさらに矢が刺さっていたのは少し不憫だった。



  
(´・ω・`)「殺さないのかい?」

ξ゚听)ξ「ええ、これが私たち流でね……」

この二人が話をするとすごく場がピリッとする。
傍にいるだけで自分なんてガクブルだ。

(´・ω・`)「それにしても……」

ここで一拍をおいて、ショボンさんは含ませた。

(´・ω・`)「いい拳銃を持っているね」

ξ゚听)ξ「……お陰さまで」

場は一層深刻な雰囲気になった。
一発触発だ、ショボンさんは相変わらずマイペースだがツンは明らかにショボンさんへの視線を強くしていた。

きっとショボンさんが遠回しにツンに、拳銃を与えたことについて感謝しろとかそういった意味を含んだんだろう。
プライドの高いツンはそれを快く思わなかった、そんな感じだろう。

( ^ω^)「……」

現実のツンとショボもそうだった、互いに頭の回転が速いのでよく言い合っていたっけ。
それで結局はマイペースなショボに言いくるめられて、僕はツンの八つ当たりを喰らっていたんだ。
アナルに鉛筆を突っ込んで反省文を何故か自分が書かされたりもした。
少し懐かしい気分に浸った、不謹慎ではあるが。



  
(´・ω・`)「さて、あんまり長居も悪いからそろそろ帰ろうかジエン」

(・∀・)「はーい」

( ゚∀゚)「お、ショボンさんもジエンももう帰るのか?」

(´・ω・`)「うん、食事おいしかったよ」

(・∀・)「ごちー」

( ゚∀゚)「いやいや、いつでも来てくれればあれ程度ならご馳走するぜ」

( ^ω^)「ショボンさん、帰る前に少し話したいお」

せっかくショボンさんが来てくれたのだから、この際ちゃんと話をしておこう。
そう言うとショボンさんは少し考える素振りを見せた。

(´・ω・`)「うーん……帰りながら、歩きながらでもいいかい?」

(;^ω^)「え、別にいいですお」

(´・ω・`)「それじゃあ主様を借りていくね。ノシ」

(・∀・)「のし」

ξ゚听)ξ「……」

どうして帰りながら話すのかは分からないけど、とりあえずバーボン方面へ一緒に歩く事にした。
ある程度道の開拓も出来上がったお陰で、一人で国の行き来をしても迷う事は無さそうだ。



  
(´・ω・`)「主様、元気ないようだけど大丈夫かい?」

(;^ω^)「はい、ありがとうございますお」

歩きながらいきなりこんなことを聞かれた。
正直バーボン国に自分は今謝らないといけないとも思っている。
おそらく今頃ドクシン国はすごく進化しているだろうから。

こんな事謝れるわけないのだが。

( ^ω^)「……」

(´・ω・`)「それで、聞きたい事って言うのは何だい?」

( ^ω^)「はいですお、実は……その、どうしてバーボン国はドクシン国と戦争するんだお?」

(´・ω・`)「ああ、その事か」

(・∀・)「?」

( ^ω^)「?」

他にどんな質問をされると思っていたのだろう?
とりあえずはこの質問の通りだ、どうしてこの二国が戦うのかを知りたい。



  
(´・ω・`)「和解は何度か試みたよ、ただ無理だったんだよ。
   別に子供たちを遊ばせるのもいい、ただ最低限の教育も無しにどうしようというんだろうねあの国は。
   個人的には助けるための戦いだと思っている」

( ^ω^)「助けるって何をですかお?」

(´・ω・`)「このままだとドクシン国民は病気で簡単に死んでしまったり、
   結局は何事も他人任せの最低な国になってしまうと思う。
   秩序を乱し始める人間だってその内に絶対に出てくる」

( ^ω^)「分かりますお」

(´・ω・`)「だからね、相手が折れないのなら無理矢理にでも……
   押し付けといわれても構わないさ、相手を支配するしかないんだ。
   隣国だ、その被害が今後こちらに及ばないとは限らないしね」

(・∀・)「だから、相手の国民を助けるんです」

(´・ω・`)「一方的な意見は承知だよ、ただそれが我々の考えなんだ。
   いずれ暴徒となった者達が国民を脅かすだろう、そういう事が起こらないとは限らないだろう?
   そうならないためにも最低限の教養は必要なんだよ」



  
( ^ω^)「……でもドクシン国はとてもいい国ですお、国民同士が密接ですし
   何よりアナタ方の出した孤児の世話までしているらしいですお」

(´・ω・`)「うん、そこは素直にすごいと思うし感謝しているよ。
   あれは国王のドクオの信頼がものをいっているよね、普通国があれほど綺麗にまとまるわけは無いから」

まさか相手国を褒めるとは思っていなくて、少し驚いた。
ちゃんと相手のいいところと悪いところを把握して、その上でこの人は相手国を支配しようとしているんだ。
決して横暴なわけではないんだ。

(´・ω・`)「だからね、キミがいるんだ」

(;^ω^)「……僕ですかお!?」

(´・ω・`)「うん。普通に勝負をしたら我々の国はとっくにドクシン国に勝っているよ。
   どうしてそれをしないかというと、……分かるかい?
   その点が唯一和解ともいえる点だ」

(;^ω^)「話が飛躍しすぎだお!」

(´・ω・`)「つまり"心の主"という存在に判定を下してもらう事に決めたんだよ。
   戦いは行っている、しかしそれは我々にとってもどこまで大きな意味を持っているのかは分からない。
   最終的には主様に気に入られた方が残るんだと思っているからね」

つまりだ、ショボンさんはやろうと思えばいつでもドクシンを手中に収めることは出来たんだ。
どうしてそれをしなかったのかと言うと、相手の言い分にも分かる部分があるから。
だから話し合いで最終的に出た結論が、"心の主"という存在だったのだ。



  
(´・ω・`)「戦いはしないと主様が行動を止めるからね。
   主様を動かすために戦っている部分は少なからずある、当然それが全部ではないけど」

(;^ω^)「……」

(´・ω・`)「たとえこのままこちらが負けたとしてもあちらの文明が発展してくれる事は嬉しいしね。
   今までなら蔓延病一つできっとドクシン国は無くなっていただろう、
   でもこのまま発展していけば大丈夫になるかもしれない」

だめだ、どうしてそんな事を自分言うんだこの王様は。
どこまで本当なんだ、きっと全て本当なんだろうがそれにしてもそんな事を言われてしまっては……
バーボン国を応援するしかないように思えてしまうじゃないか。

(;^ω^)「ショボンさん、どこまで本当ですかお?」

(´・ω・`)「残念ながら全て本当だ、ただこれを主様に話したのは半分期待を込めてなのは白状するよ」

(・∀・)「主様、ドクシン国の国王が国民からすごく慕われているのは知っています。
   我々は係わり合いこそ簡素かもしれませんが、それでもショボンさんを慕う心は負けないつもりですよ。
   自分はこの人だから付いて行くのです、他の誰でもいいわけじゃないです」

(;^ω^)「……」

それは話をしたら分かった。
この人はすごい人だ、とても自分では登りつめる事のできない人間だ。
目の前の利益に眩む様な人じゃない、そして国民を大切にしている事がヒシビシと伝わってきた。



  
(´・ω・`)「さて、聞きたいことはそれだけかい?」

( ^ω^)「はいですお」

(´・ω・`)「それじゃ我々は帰ることにするよ。
   ああ、クーとわかんないですによろしくと言っておいてほしい」

クーはバーボン国の情報員だから当然だが、どうしてわかんないですさんにまで……
そう思ったがそうだ、わかんないですさんはドクシン国の情報員だけどバーボン国出身の人間なんだ。

( ^ω^)「わかったお。今日はわざわざ来てくれてありがとうですお」

(´・ω・`)「こちらこそ、朝早くから失礼したね。それじゃさよなら」

(・∀・)「のし」

( ^ω^)「ノシ」

そして二人と別れると、自分は改めてジョルジュさんのいる小屋へと戻ることにした。
今から思うとせっかくだからバーボン国の発展した様子を見に行った方が良かった気がした。
まぁいいか、正直しいさんやマターリさんに会ったらと思うと足がすくんでしまうから。
本当は会った方がいいのだろうが。ジョルジュさんにもそう言われたのだが。

会えるわけ無いだろう。
相変わらずの腑抜けぶりだ、そうやってまた自己卑下が始まった。



  
---中立VIP国


ξ#゚听)ξ「……あー、すっきりしない!」

( ゚∀゚)「オマエが珍しくやられたって感じだったな」

ξ#゚听)ξ「笑い事じゃないわよ、そもそも一緒にいたアイツは何なの?」

( ゚∀゚)「ジエンか? オレも今日はちょっと驚いた、何の特技も無いヤツだと思っていたからさ」

ジョルジュは怒るツンデレを傍目に悠長に答えた。

ξ゚听)ξ「……ショボンか。アイツ、何かブーンに変な事吹き込んでないといいけど……」

( ゚∀゚)「それよりツンデレ、今日は両方の国ともすごい事なってるぜ?
   多分……戦ったら双方が壊滅的なダメージを受けるだろうな」

ジョルジュは言ったが、ツンデレの耳には何も届いていなかったようだ。
やれやれと肩をすくめた。




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