−−−−五日目・その1




( ゚∀゚)「お、内藤。今日は早いな」

( ^ω^)「これからドクシン国に行くんだお、昨日何もしなかった分頑張るんだお!」

( ゚∀゚)「おう、でもせっかくだし朝飯は食ってけよ」

( ^ω^)「よろしくお願いするお」

まだ弱音は吐かない、出来る限り元気に積極的に振舞った。
辛い事があったらいつでも頼れる人達ができた、それが嬉しかった。

情報員の3人は自分にとってとても助かる存在だ。

ごはんを食べているとツンが来た。

ξ゚听)ξ「あら、アンタ今日は起きてたの?」

(;^ω^)「……いつも寝坊しているわけじゃないお」

ξ゚听)ξ「あっそ。ジョルジュ、私とおじーちゃんの分もごはん追加!」

(;゚∀゚)「オマエ達はいい身分だな……把握した」



  
(;^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「……あ、荒巻さんはどうしたんだお?」

ξ゚听)ξ「後から来る」

(;^ω^)「……そうかお」

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「……」

会話がまったく続かない。
昨日の事もあってすごく気まずいふいんき(ryが流れた。



  
(;^ω^)「……ツン、昨日はゴメンだったお」

一日あって頭が冷えた事もあり、自分から謝る事にした。
まだ言い合いには納得していないが。

ξ゚听)ξ「別にいいわよ。それよりもアンタ、今日はどうするの?」

( ^ω^)「今日はドクシン国に行く事にしたお」

ξ゚听)ξ「あっそ」

(;^ω^)「……」

自分がどれだけ頑張って話しても、相手してくれないという事が分かった。
多分あちらも昨日のことをまだ根に持っているのだろう。

( ^ω^)「ハフッ、ハムハムッ、ハフッ!」

ξ゚听)ξ「キメェwww」



  
ごはんが終わるとジョルジュさんにお礼を言って小屋を出た。
何となく道は覚えているのでドクシンまでは一人で行く事にした。


そして小一時間、見慣れた集落に来た。

(*ノωノ)「アプー」

(;^ω^)「おうっ!!」

<ヽ`∀´>「こらこらアプー、どこに……内藤さん!」

( ^ω^)「お久しぶりですお」

<ヽ`∀´>「いえいえ、わざわざ来ていただけるとは……どうぞどうぞニダ」

そう言ってニダーさんは自分を小屋に招き入れてくれた。

<ヽ`∀´>「そういえば内藤さん、この前の戦いについては聞かれたニダか?」

( ^ω^)「はい、ドクシン側の勝利だったようで」

<ヽ`∀´>「おかげさまで……ありがとうございますニダ」

お礼を言われるのはすごく変な気分だった。
別に自分は何もしていないというのに。



  
<ヽ`∀´>「最近……ようやく子供たちにおもちゃが出来まして……」

ニダーさんの向いたほうを見ると、数人の子供たちがおもちゃの取り合いをしていた。
そのさまはすごく平和だった。
思わず笑みが浮かんでしまう。

<ヽ`∀´>「やっぱり……誰かの命を自分が繋げられる、誰かのためにでも存在できる……
   我々はそれだけで素直に嬉しいニダ」

( ^ω^)

誰かのために存在している……自分とは少し対照的な気がした。
自分はどちらかの国を生きさせるためにこの場に存在しているというのに。
どちらかを消すために存在しているというのに。
しばらくの内に、随分と否定的になったものだ。

<ヽ`∀´>「……内藤さん」

( ^ω^)「どうしたお?」

<ヽ`∀´>「実は……今度の戦いは自分も出なければならないニダ……」

(;^ω^)「mjd!? じゃあ子供たちはどうなるお!?」

<ヽ`∀´>「分かりませんニダ」

人材不足……それでも頑張って来たんだこの国は。
そもそもこの国は戦う意味があるのだろうか?
もしかして……バーボン国の戦いにただ巻き込まれているだけではないのか?



  
しばらくすると、ドクオさんが来た。

('A`)「おー、内藤さんもいるのか」

<ヽ`∀´>「ドクオさん、いらっしゃいニダ」

( ^ω^)「お邪魔していますお」

('A`)「いやいや、ゆっくりしていってください」

ドクオさんはそう言うと、当然のように自分の場所を作って座る。
本当に親密な国だと思った。
国民と王様の距離がすごく近いのだ。

('A`)「今日はどうされたんですか?」

( ^ω^)「子供たちの様子を見に来ただけですお。特に理由は無いですお」

(*'A`)「そうですか、ゆっくりと子供と遊んで行ってあげて下さい」

本当に子供を大切にしているなと思った。
その言葉を出した途端にドクオさんはすごく嬉しそうにした。
ニダーさんも隣で同じように嬉しそうにしている。



  
( ^ω^)「それで……今聞いたんですが、ニダーさんが兵として戦われると……」

('A`)「……はい。もともとこの国は兵となる人も少ないので……
   ただ大丈夫です、代わりの者をここに置きますので」

そういう事を聞きたいのではない、本当に考えの中心が子供たちな人だ。

( ^ω^)「ドクシン国は、どうして戦いをするんだお?」

('A`)「……我々に聞かないでください。
   バーボン国に聞いて下さい」

( ^ω^)「……」

こう言っている以上、本当にバーボン国に聞いてみないと分からないのだろうと思った。
これだけでドクシン国が被害者だと決め付けてはいけない、
自分はしっかりと情報を集めて、考えないと。



  
--バーボン国


(´・ω・`)「よし、それじゃあ攻めようか」

(・∀・)「はい、次こそ相手を殲滅しちゃうぞー」

(´・ω・`)「期待しているよ、そのためにわざわざすぐに攻撃をかけるんだから。
   相手はきっとしばらくこちらが警戒すると思っているだろうからね、
   逆に準備不足のところを大きく叩くよ?」

(・∀・)「やられた借りは返しましょう」

(´・ω・`)「数人兵を追加させるよ、希望者も数人見つかった。
   あと、今回ばかりは情けをかける必要はない」

(;・∀・)「!! ショボンさんでも……」

(´・ω・`)「ただ今回だけだ、わかったなジエン。
   相手がその気ならこちらもその気だというところを見せておかないとね」

(;・∀・)「は……はい、今度こそは絶対に勝利を我が国に……!!」



  
---ドクシン国


('A`)「それでよ、やっぱりヨガは自分のアナルを見るためとかそんな軽い気持ちで始めちゃいけねーんだよな」

( ^ω^)「なるほど、勉強になりますお」

('A`)「穴から出てきたとうもろこしを食べた時はそりゃもう……」

(;^ω^)「ちょwwwwおまwwwww」

ドクオさんとすっかりアナルトークに花を咲かせていた。
中々分かる人だ、正に真のアナリストだ。
そんな中、突然ドアから一人の男が入ってくる。

(;=゚ω゚)ノ「ドクオさん、まずいですバーボン国が攻めて来ました!」

(;'A`)「何ィ!? バカな、前回完全勝利を決めたというのに……!」

そしてチラッとこちらを見た。
言いたいことは分かる、それで僕の心がバーボンに動いたんじゃないのかと聞きたかったのだろう。
それでバーボン国が一気に発展したんじゃないかと思ったのだろう。

結局それを聞かれる事は無かったが。

('A`)「とりあえず戦いの場所はどこだ!」

ドクオさんはそうやって話を聞くと、指示を出してニダーさんも連れてその場を後にした。
自分に子供たちのおもりを任せて……。



  
( ^ω^)「……」

確か今回戦っている所はギシアン地方だと言ったか、子供たちにその場所を聞いた。
そしていい子にしているんだよと言うと、自分もその場所に向かった。
アプーも嫌々としていたが、強く言い聞かせたらしぶしぶ手を離してくれた。

(#^ω^)「絶対に……止めるお……!」

自分なら止めれる気がした。
自分は"心の主"だ、その重さも誰よりも良く知っている。
だから……自分が行けばきっと止めれるはずだ。

正直怖い、それでも自分の"心の主"という肩書きを信じた。
恥ずかしい話だが自分にはそれくらいしか武器が無い。
それを利用するしかない、その自分には重過ぎる肩書きしか……。

ギシアンまではそれなりに距離がある、少しでも早く……


⊂二二二(#^ω^)二⊃ブーン



  
--バーボン国、ドクシン国境界・ギシアン


ギシアンは緑の多い地方だ、今その地方から火の手が上がっていた。
煙は視界を遮る、ドクシン側はその煙に苦戦していた。

( ;゚д゚ )「チィ、狙いが定まっても、火縄銃が発射する時には煙で隠れちまう……!」

遠くから射撃を続けるミンナだが、思うように弾は相手に当たらない。
緑が生い茂るここではただでさえ視界が悪いと言うのに……
自分がバーボン国を足止めして、時間を稼がなくてはならないと言うのに……。


そんな中を一人のバーボン国の兵が、ひたひたと歩いてきた。
もう、全てを否定しきっているその姿。

(`_ゝ´)「バーボンの者だな!?」

その前にドクシン国の男が立った。そして剣を抜く。

(;`_ゝ´)「この視界の悪さでは剣の方が有利だという考えだが……オマエは丸腰か?
   何を考えている?」

文化の発展? 火縄銃? 何のことです? 
仮にバーボン国も同様に発展して火縄銃を手に入れていたとしても火縄銃を発射させる時間も与えない。
約3秒、丸腰の相手にそこまで時間を費やす必要も無い。

(`_ゝ´)「死んでもらうッ!」

男は斬りかかった。



  
( ;ω;)「うぅ〜煙が目にしみるし、全然周りが見えないお……」

ようやく到着したと思ったら木々や煙で視界が全然晴れない。
しかも銃の音が幾度もこだまして、そのたびにビクビクしている。

パンッ

また音がした。
どうやら周期的に3秒程度に一度、この音がするようだ。

さておき早くバーボンの人を見つけて止めるように言わないと。
相手が自分の事を知らなかったらどうしよう……そう考えると足が震えた。
ダメだダメだ、自分しかこの戦いを止められる人はいないのだ。

パンッ

また音がした、しかし周期があると分かるとこの音に対してもある程度驚かなくなった。

パンッ

(( ゚ω゚))「ッ!!」

突然その周期を乱す音が一際大きく聞こえた。
明らかに目の前からした発砲音、それに恐怖した。
足が完全に動かなくなった、物音を立てたら殺されるような錯覚に落ちた。



  
   ドサッ

(`_ゝ´)

人が一人、血を出して前で倒れた。
死んで……いるのだろうか?

   パンッ

さらに発砲の音、同時に倒れていた人が一度跳ねた。
声は出ていない、明らかに死んでいる。

   パンッ

男の体はみるみる血に染まった。
自分はこういったグロテスクなものは苦手だ、精神的なブラクラで何度と吐いた事もある。
だがこの時は不思議と吐き気などしなかった。
自分もそうなってしまうんだとどこかで考えていた、仲間意識のようなふざけた物が出来上がっていた。
赤い血が美しいとも思えてしまった。

そして死んだ男の前からやってくる人影。

自分はずっと俯いて死体を見ていた。
下を向いて戦う意志がない事を知らせればもしかして……そんな甘い考えだったのか?
ただ相手と目を合わせれば殺されてしまうような気がした。

死体からは血が流れ出るばかりだった……
きっと自分もこうなってしまうのだろう、それを本能で察した。



  
体はずっと、異常なほど震えていた。

言葉なんて今正常に話せないだろう、それほどすごい震えだった。


そこでの数秒は長かった。

走馬灯とはこれなのか、仲の良かった親友達が頭を舞った。

ドク、ショボ、ツン、しぃ……いつでも一緒だったみんな。

自分に優しくしてくれたみんな。

そしてカーチャン、親孝行できなくてごめんね。

最後にもう一度会いたかった。

頭の中のみんなは自分と一緒に笑ってくれていた。


そんな中、現実に引き戻す声があった。



  「主……様?」



  
聞き覚えのある声、思わず向かう相手の顔を見た。
一体誰だ、誰がこれほど残酷なことを……

(;*゚ー゚)「主様……ですよね……?」

(;^ω^)「おっ……おお……」

言いたい事、聞きたい事はいくらであった。
でも声が出なかった。

どこかで自分は殺されないのではないのか、そう思った。
少しでも安心できたはずだ、はずだが……相手の姿を見てしまったら震えが止まるはずがなかった。
震えはむしろ大きくなっていく。

(;^ω^)「しい……」

相手の名前をようやく言えた。
その自分に、相手は優しく笑ってくれた。

(*゚ー゚)「はい、しいです」

その笑顔はなんなのか?
どうしてそんな笑顔が今この場で作れるのか?

( ;ω;)「しい……さん……」



  
(*゚ー゚)「主様、ごめんなさい」

そう言って自分の横を通り過ぎようとするしいさん、
慌ててそれを遮ろうとすると、自分に銃が向けられた。

そう、拳銃が。
引き金を引けば自分は死ぬ、その恐怖は半端なものでない。

反射的に両腕を上げて、そのままの体勢でへなへなと座り込んだ。

( ;ω;)「ころ、さあぃで……ほしいぉ……」

うまく口が動かない、そして……口から出てきた言葉はなんとも恥ずかしい命乞いだった。

この戦いを止めるつもりじゃないのか?
ここで彼女を止めれるのは自分しかいないんだ。


でも……結局自分の命が惜しいのだ。


( ;ω;)「ころさ……あいで……」


鼻水も出たし涙も出た、なんとも情けない姿だった。



  
(*゚ー゚)「大丈夫です、邪魔さえしなければ……」

しいさんはそう言って銃を自分から離した。
それでも心臓はまだ鳴りを止めない、これほど心臓の音は大きいものだったか?
体全体が心音にあわせてビクッビクッと震えてしまう。

( ;ω;)「……なんで……?」

恐怖からか小声でしか疑問の声は出せなかったが、相手には届いたようだ。

(*゚ー゚)「あの人が……あの、あの人……」

しいさんはそして……とうとう悲しそうな顔をした。涙を流した。

(*;ー;)「もうあの人はいないの、もう……!
   別に私は主様が憎い訳じゃない、でも……でも何を憎んでいいのか分からない!
   ごめんなさい、主様も辛いのに……もっと辛くさせてごめんなさい……!」

しいさんは叫んだ。
自分はその言葉がすごく嬉しくて……辛かった。
自分の事を気遣ってくれて……そんな事をされては言い返しづらいじゃないか。
いっその事自分勝手に叫んでくれればいいのに、どうしてこんな時まで人のことを考えられるんだ。



  
( ;ω;)「そんなの勝手だお! 赤ん坊だっているのに、勝手だお!」

残された者の辛さは誰よりも感じたはずなのだから……自分の赤ん坊にまで同じ辛い思いをさせるのか?
ギコさんの分までしっかりと赤ん坊を愛してやれないのか?

(*;ー;)「昨日死にました」

( ;ω;)「……おっ!?」

(*;ー;)「赤ん坊は昨日死にました。
   なんとかなったと思っていたけど……私は未熟児でも障害を患わっていてもいい、
   生きて欲しかったけど……あの子はもう死んでしまったの!!」

自分は何も言えなかった。
自分はそんな偉い人間じゃない、掛けれる言葉なんて上辺だけの言葉しかない。
自分よりもよっぽど辛く……頑張っているしいさんに。

しいさんは涙を拭った。

(* ー )「主様……」

そして、今までに無いほどの綺麗な笑顔を作って言った。

(*^ー^)「さようなら」

それを引き止めることは出来なかった。



  
---バーボン国


川;´ー`)「ぅん……」

川 ゚ -゚)「目が覚めたか、マターリ?」

川;´ー`)「あ、クーちゃん……」

川 ゚ -゚)「驚いたぞ、突然倒れるから……」

川;´ー`)「ごめんなさい……」

マターリはギコや旦那の死を告げられると供に気を失った。
もともと病弱でヒステリックな所がある、目覚めてすぐに自殺しかねないのでモナーに言われてクーが看病していた



川;´ー`)「……。しいちゃんは?」

川 ゚ -゚)「……戦いに行った」

無言の時間が少しあった。
そして突然マターリは泣き出した。

川;ー;)「なんで……なんで死なないといけなかったの!?」



  
クーは何も言わない、それでもマターリは続けた。

川;ー;)「なんなのあの"心の主"って!
  ギコさんが……あの人が戦って負けるわけ無いじゃない!
  勝手よ、私達の命があの人の心変わりで無くなるなんて……そんなの勝手よ!」

わめくマターリをクーは抱いてやった。
それでもマターリは叫び続けた。

川;ー;)「私たちが何をやったの?
   怖いよぉ……私怖いよぉ……"心の主"って……。
   私たちはこの悔しさをどうすればいいの!?」

川 ゚ -゚)「落ち着け、マターリ」

川;ー;)「しいさんの出産の時は同じだと思ったのに……普通の人だったのに……
   もう怖いよ、それで……自分勝手だよ……。
   こんなのって……ないよ……」

クーはマターリが落ち着くまでずっと抱いてやった。

ブーンの心が世界を左右するようです( ^ω^)

  −−−−五日目・その2



火はどこから上がっているのだろうか?
熱気はするも火種自体は見えないほど煙が充満していた。
そんな中で一人、愕然と座り込んでいた。

( ;ω;)「うっ……うっ……」

自分が情けなくて、あまりに無力で……
自分はいじめられていた、学校にも行きたくなかったし、いじめられている時は仲間も見て見ぬ振りだ。
それでも限りある友人を失いたくなくて、心無い大丈夫の言葉に笑顔で答えてきた。

そしてその反面、自分はこれだけ酷い目にあっているのだから
いじめっ子達なんかよりもよっぽど辛い事に耐えれると思っていた。
強盗なんかが来ても虐めている人間なんかよりもよっぽど活躍できるなどと思っていた。
やるときはやれる人間なんだと信じていた。

所詮は言い訳だった。
情けないだけの自分を美化していた、とんだナルシストだ。


もうこれ以上ここにいては危ない、バーボン国を止められなかったのは仕方がない。
自分まで犬死してどうする?
逃げなくては、さっきも相手がしいさんじゃなければきっと殺されていた。
生きている以上、逃げなければ。


とんだナルシストだ。



  
---バーボン国、ドクシン国境界・ギシアン地方・ドクシン側


   パァンッ

音と供に隣の木に穴が開いた。
これは分かる、自分の銃とほぼ同じで火薬を利用して弾丸を飛ばしているのだ。
ただ根本的な違いがあった。

( ;゚д゚ )「誰だ……どこから……」

   パァンッ

次は自分の上を弾が通って行ったか、後ろの木に穴が開いた。
どういう事だ、相手の物は……連射が出来る。
自分のように廃弾を捨て、弾を詰め、導火線から火をつける必要がないと言うのか?

そしてどこから、この見渡しの悪い地形のどこから狙ってきているんだ。
バーボン国にはギコとシラネーヨだけかと思っていたが、まさかこんなスナイパーがいるとは……。

ためしに警戒の意味でこちらも一発適当な方向に打ち返したが、まったく威嚇にもならなかったようだ。
次打てるまではまで早くて3秒、そんな余裕は無い。

思わずミンナは退却した。



  
---ギシアン地方周辺


( ;ω;)

森の中を無言で歩き続けた。
どの方向へ向かっているのかも分からない、自分の今いる場所がどこの国かも分からない。
ただ戦いの中からは逃げ切れたようだ。

一息ついて、先ほどの死体を思い出して吐いた。
あれが自分のせいだと思うと気持ち悪さに拍車がかかる。

きっと自分はさっきの死体に呪われていて死ぬ時はあんな姿で死ぬのだろう。
そろそろ自己卑下も末期に来たかもしれない、自己卑下がなんだか気持ち良く感じてしまう。

そんな時、川の音が聞こえた。

もしかするとわかんないですさんが紹介してくれた川と同じかもしれない。
まるで助けを呼ぶように音の方向へと向かった。



  
川はおそらく昨日のものと同じだろう、澄んでいてとても綺麗だった。
顔を洗うと気持ちを落ち着ける。

川の音はいい、自然と落ち着くのだから。
ごろんと転がると、上には白い煙がたち上がっていくのが見えた。
不快になり、横向きに転がった。

( ^ω^)「今だけは……」

流れる川を意味も無くずっと見ていた。
それが楽しかった。

( ^ω^)「……今だけは、銃の音も聞こえないんだお……」

これからどうしようか?
中立VIP国に帰るのか?
それも周りに迷惑をかけるだけの気がしてきた。
もうここまで来るとどんどんと否定的な考えばかりになってしまう。

ごろんと逆を向いた、煙はまだ上がっている。

( ^ω^)「誰が消すんだお、あの火……」

そんな事を思いながら現実逃避した。

決意しては折れ、決意しては折れ……もう疲れた。
ゆっくりと目を瞑って眠りに入った、やっぱり眠る時が一番気持ちいい。



  
  「おいっ!!」

寝起き一発目は大きな声だった。
何事かと目を開けると川が広がった、そうだ外で眠りこけていたんだ。
目覚めが不機嫌になったのはこの生活のせいだろう、
起きるとまた"心の主"とやらに囚われて生活しなくてはいけないから。
まだ日は出ている、一体何事かと声のしたほうを向いた。

< のΩの>「おい、オマエはどこのもんだ?」

(`皿´ )「とりあえず有り金置いてけや」

( ^ω^)「……」

(;^ω^)(……これはもしかしてカツアゲ?)

自分には剣が向けられていた。
山賊とかそういう表現のものかもしれない、とりあえずこれは参った。

(;^ω^)「あの……一応僕は"心の主"なんですお……」

(`皿´ )「ああ、アンタが主か。でもどうでも良いんだよ」

< のΩの>「そうそう、オレらがどこの国のもんか分からんだろう?」



  
相手は挑発的な笑みを返してきた。
まったく自分は無力なものだ、"心の主"という肩書きしか武器は無いのだから。
そして本当に恐怖した。
このままだと殺される、死ぬ恐怖は先ほど嫌というほど味わった、もう嫌だ。
相手が何か言う前に早くも命を乞う自分がいた。

( ;ω;)「やや止めて欲しいお、ゴメンだお、だから命だけは……」

(`皿´ )「……」

< のΩの>「……ぷっ」

< のΩの>`皿´ )「はーはっはっは!」

< のΩの>「おいおい主サン、いくらオレらでも命はとらねーって」

(`皿´ )「金出せばいいって言ってるだろ?」

( ;ω;)「うっ……うっ……」

笑うなら笑うがいい、殺されたくないのだから自分は。
先ほどもっと酷い命乞いをしたのだから。
自分の命を守るあまり、一人の命を止める事が出来なかったのだから。



  
( ;ω;)「……」

ここで気付いた、自分はお金なんて持っていないという事に。
どうするだろう、きっと怒るだろうこの人達は。
殴られるならいくらでも殴ってくれていい、バカにするならいくらでも馬鹿にしろ。
ただ……自分はその片手に持つ凶器が怖いのだ。
死を連想させる……それが怖いのだ。

( ;ω;)「お金は……」

(`皿´ )「ああッ!?」

< のΩの>「もしかして主サン……」

自分の前に剣が刺さった。
剣に写る自分の顔、情けない顔だったがまるで慰霊の様に見えた。



  
( ;ω;)「ひぃぃぃぃ……!!」

< のΩの>「カネ持ってねえとか言うんじゃないだろ――」

   パンッ

<;のΩの>「つがぁぁッ!!」

突如の発砲音、それに倒れる相手。
自分は発砲音に反応して反射的にうずくまった。
止めてくれ止めてくれ、どうしてそうやってすぐに死に直結する音が響くんだ。
まるで生きている気がしない、音がするたび自分が死んだと何度思ったことか。

(`皿´;)「誰だ! 誰が一体……!!」

  「内藤、何情けない格好してんだよ」

( ;ω;)「……!」

この声は……助けを求めるように視線を向けると、そこには期待した人物がいた。

( ゚∀゚)「よう、怪我はねーか?」

( ;ω;)「じょる……じゅ……」

ξ#゚听)ξ「ちょっと、私は無視ですかブーンさん?」

( ;ω;)「ツンも……おっおっ……」



  

この国の主人公が"心の主"として……なんて情けない主人公なんだろう。
なんてつまらないストーリーをこの国は描くんだろう。
助けてもらってばかりで、心が折れてばかりで、命乞いばかりで……
なんて情けない存在なんだろう?


( ;ω;)「あの人達は……」

( ゚∀゚)「腕打ちぬいたらさっさと逃げてったぜ、大丈夫だ殺してない」

ξ゚听)ξ「ブーンももうちょっと格好良く出来ないの!?」

( ゚∀゚)「おーおー、ツンデレは内藤に格好良くして欲しいらしいぜ?」

ξ#゚听)ξ「ち、違うわよ! これが"心の主"じゃ格好つかないでしょ!」

そうだ、自分なんかが"心の主"じゃ格好つかない。
そもそも不相応なんだ、そんなたいそうなことを司る人間になんて、なれやしないんだ自分は……。

( ;ω;)「うっ……」

ξ;゚听)ξ「ちょっと、何か私が虐めたみたいじゃないのよ!
   ほら、元気出しなさい! 鼻かんであげるから……ちーんして」

( ;ω;)「ヂーン」

ξ゚听)ξ「キメェwwww」



  
( ゚∀゚)「しかし、見たこと無い奴等だったな……」

ξ゚听)ξ「ジョルジュも知らないんじゃ、国の判明は期待できなさそうね」

( ^ω^)「……二人とも、ありがとうだお」

( ゚∀゚)「お、元気になったな。よしよし」

( ^ω^)「二人はどうしてこんな所に?」

ξ゚听)ξ「消火活動よ。まったく、こんな役回りばっかり……バカにすんなっての」

( ゚∀゚)「それで行く途中に変な奴等がいて、一緒に内藤がいたってワケ」

運が良かった、あのままならきっと殺されていた。
偶然にもすごく感謝した。

( ^ω^)「その拳銃はどうしたんだお?」

( ゚∀゚)「ん? これか? そんなに気になるか?」

( ^ω^)「いや、別にそんなに気になるわけじゃないけど……」

( ゚∀゚)「別に良いだろ、今はそんな事――」

ξ゚听)ξ「ショボンに貰ったの」

( ゚∀゚)「……!!」

( ^ω^)「ショボンさんかお?」



  
( ゚∀゚)「……まあ実はそうなんだ、バーボンに行った時にな。
   それでここで火を焚く事を知って、慌ててオレらは消火活動ってワケ」

( ^ω^)「バーボン国はそんなに進化していたのかお?」

(;゚∀゚)「……だからあまり言いたくなかったんだよ。
   内藤、あまり自覚ないだろうから言うがな、激しく進歩している」

全然そんな事考えていなかった。
昨日は特に心を動かしたつもりは無かったから……きっと両方の国に変化は無いものだろうと思っていた。
心は動いていたんだ、しかも大きくバーボン国の方に。
きっと今日ドクシン国に行こうと思ったのも、心の深層ではそれに気付いていたからだろう。
今から考えると、しいが拳銃を持っていたのはそういう事だったのだ。

気付いていないのは、自分の意識下だけ。
そして自分の意識の無い所で勝手に発展が始まっていたのだ。
改めてこの力に恐怖した。

(;゚∀゚)「もう国民は皆家に住んでいるし、ショボンのいる所はお城じみている。
   文化もすごく発達していて、様々な開発が始まっている」

(;^ω^)「そんなの勝手だお、自分自身でも気付かないのに発達しているなんて滅茶苦茶だお!!」

( ゚∀゚)「内藤にとっては"心の主"というモノが勝手だろうし、そんな自分を敬う人達も勝手だろう。
   だが同じようにこの世界の人達にとっても"心の主"であるオマエの存在は勝手なんだ」

(;^ω^)「……」



  
( ゚∀゚)「認めるところは認めろ、その上で吹っ切れ。
   どうしようもない事はどうしようもないんだからな、泣いて喚いて済むならそうすれば良いさ。
   ただそれで済まないんだ、そんな暇は無いんだ……分かるな?」

事実を突きつけられた。
吹っ切れるものなら吹っ切りたいとどれほど思ったことか。
だがそうなんだその通りなんだ、泣く事で何一つと解決はしないのだ。
誰かが自分に同情してくれたって何も解決はしないのだ。

また涙が出そうだった、でもそんな暇ないと言われた手前涙なんて流せない。

( ゚∀゚)「ツンデレ、オレは消火活動行って来るから内藤のことは任せた」

ξ゚听)ξ「ちょちょっと勝手に……」

言うとジョルジュは行ってしまう。

ξ゚听)ξ「……。……いつまでここにいる気? とりあえず帰るわよ」

( ^ω^)「……」

そのままツンに手を引っ張られて中立VIP国に帰る事にした。



  
( ^ω^)「ツン、ありがとうだお」

ξ///)ξ「な、突然何よバカじゃないの?」

歩きながらそんな事を言うと、ツンは照れた様子だった。
でもしっかりとお礼を言っておきたかった。
中立国の人は、常に自分の支えになってくれているのだから。

ξ゚听)ξ「……それよりもブーン」

( ^ω^)「何だお」

ξ゚听)ξ「何か私に相談したい事とか、そういうの無いの?
   あれば少しくらい話を聞いたっていいんだから」

( ^ω^)「ツン、本当にありがとうだお」

ξ///)ξ「だからもうお礼はいいって言ってるでしょ!
   それで何かあるの? 無いの?」

( ^ω^)「それじゃあ一つだけいいかお?」

一つだけ……さっきの話を聞いたせいで自分の中に生まれた感情。



  
( ^ω^)「さっきの話を聞いて、正直今僕の気持ちはドクシンに傾こうとしているんだお。
   別にドクシンが正しいとかバーボンが正しくないとかじゃなくて、
   どこかでうまくバランスを取ろうとして……そんな気持ちがあるんだお」

事実そう思っている、そうやってバランスをとっていけば自分は関係なくなる気がして。
実際に戦って勝った方が残る、それがむしろ必然じゃないのか?
そうすれば自分の存在なんてあってないようなものだ、自分はそうしたい気がする。

いや、むしろドクシンの方が少し発展したくらいでいいんじゃないかって。
勝率五分五分の状態で戦って、勝った方が残るんだ。

自分が決めることじゃないならいっそ運に任せるくらいのほうがいい、責任を感じなくて済むから。

( ^ω^)「……そんな事を思うんだお」

ξ゚听)ξ「ふーん」

(;^ω^)「ふーんってちょwwwそんな興味無さそうにwww」

ξ゚听)ξ「だって、何かそういう話はどうでも良く聞こえちゃうのよ。
   だってブーンの心はブーンの心であって、誰かのために無理に動かすものじゃないと思うのよ。
   それが何かへの同情や"心の主"っていうモノに対してなら余計ね」

(;^ω^)「分かるような分からないような……」

ξ゚听)ξ「さっきジョルジュも言ってたけど、別に心が勝手に動いちゃうならそれでいいじゃない、
   それを無理に止める必要も無いと思うわよ。
   いずれにしろその上でいつか、必然的に一つの国が残るんだから」



  
(;^ω^)「うーん……」

ξ゚听)ξ「何か勘違いしていうようだけど、どうせいつかは一つの国だけが残るのよ。
   アンタはその一国を決めれるだけ、逆転の発想ね。
   一つの国を潰すんじゃないの、生き残る一国を決めるの」

( ^ω^)「それは確かにいい考え方だと思うお」

ξ゚听)ξ「そうよ、だから一国が滅ぶのは仕方が無い事、割り切らなくちゃいけないこと。
   そしてだからこそ自分が周りから敬われるの、そこも割り切らなくちゃいけないことよ。
   だからブーンが苦しむの、そこまで割り切れたら100点ね」

(;^ω^)「ちょww話が一気にkskしすぎwwww」

ξ゚听)ξ「ほらもう集落に付いたじゃない」

なんだか集落に着いたから無理矢理終わらされた気になった。
それでもツンはとてもいい意見をくれた。
こんな意見はその場で考えて出来るようなものじゃないと思う、きっと別の時に考えてくれたのだろう僕のことを。
昨日の朝は無責任な事を言ってケンカしたなと思った。

( ^ω^)「ツン」

ξ゚听)ξ「何よ?」

( ^ω^)「ありがとうだお」

ξ///)ξ「だ、だーかーらー……ッ!!」



  
---バーボン国


(・∀・)「ショボンさん、とうとうギコさんたちの敵をとりましたよ!
   勝ちました、大勝です!」

(´・ω・`)「うん、そうか。良くやってくれた、このテキーラはサービスだからまずとって落ち着いて欲しい」

(;・∀・)「なんだかあまり嬉しそうじゃないですね……」

(´・ω・`)「そうだねやっぱり。自分たちの考えを裏切ってまで勝っても嬉しくないや」

(;・∀・)「ギコさんもショボンさんも、拘りすぎだと思うんだけど……」

(´・ω・`)「まあいいよ、それは。それよりも僕は明日"心の主"を訪ねる事にするよ」

(・∀・)「あ、この機会に主様の好意をしっかりと掴んでおくんですね!?」

(´・ω・`)「まぁそれもあるけど……メインは違うよ。
   あまり相手の思うように動くのは僕の性に合わないからね」

(;・∀・)「?」

(´・ω・`)「気にしなくていいよ、とりあえずジエンにも付いて来てもらうからよろしく頼むよ」

(;・∀・)「はぁ……」



  
---中立VIP国


夕食が終わると今日もジョルジュさんに呼ばれた。
この時、昨日の夕食後のジョルジュさんとの会話が思いだされた。
しいさんとちゃんと話するべきだと言われた事……そして今日会ったしいさん……。

そんな自分の心境をジョルジュさんには感ずかれないように気をつけた。

( ゚∀゚)「内藤、もう寝るか?」

( ^ω^)「はいですお、今日も何かと疲れたお……」

( ゚∀゚)「そうか……とりあえずついでに今日の戦いの結果だけ教えとくな」

今日の戦いと言われてまた心臓が大きく一回鳴った。
冷や汗が出ているのが自分でも分かる、しいさん……。
もしかしてジョルジュさんも気付いているんじゃないかなんて深読みまでしてしまう。

( ゚∀゚)「今日はバーボン側の勝利だ。
   バーボン側の被害は1名、対してドクシン側は9名だ」

きっとジョルジュさんが自分にこれを言ってくれるのは、
ちゃんと自分が割り切れているのかという確認の意味もあるのだろう。
案の定自分は一気に頭が真っ白になって、次にドクシン国の心配をしてしまった。
ダメだ、これは絶対に……次の日にドクシンは進化している、しかもかなりの速度で。
バーボン国を越えるくらいにはなるだろう。

少しそれが嬉しい気がしてしまう内は、やはりまだ自分の心が確立されてないなと思った。
そんなに簡単に割り切れるわけ無いだろう、ツンに言わせればまだ20点くらいだろう自分は。


  −−−−五日目・夜




ただでさえドクシン側は人材が不足していたというのに、今回の戦いではすごく沢山の被害を出した。
少なくとも今回自分がドクシン国に気持ちを寄せなければドクシン国は終わるだろう。
そうだ、ここで動く事を無理に止める必要は無い、動くものは動かしておけばいいんだ。
そうジョルジュさんもツンも言ってくれたじゃないか。

だが、それはバーボン国にとってはすごく酷い話ではないかとも思う。
自分達に心が動いたと思ったら、そのせいで相手国が自分たち以上に発展してしまうなんて……。

本当にそういったことを考えずに心を動かしてしまっていいんだろうか?

そして何より……しいさん……

( ;ω;)「ううっ……」

悲しかった、今から考えてもどうしてあの時止めれなかったのだと思う。
しいさんは絶対に僕を殺さない、分かっていたのに。
そんな事くらい分かっていたのに……銃を目の前にしたら自分は動けなくなっていた、命乞いを始めてしまった。

やっぱり夜はダメだ、涙がすぐに出てくるし余計なことばかりが頭を掠める。
早く寝たいのに、こんなことばかり考えていずに、早く夢の世界に自分は入りたいのに……。

( ;ω;)「……しいさん……」

お願いだから早く寝させてくれ、余計なことよ頭に浮かんでこないでくれ。
涙よ止まってくれ。




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