■( ^ω^)が十回死ぬようです・こっそり番外編 その1
■( ^ω^)と川 ゚ -゚)は友達になったようです




川 ゚ -゚)「ふむ」

クーは何時ものように部屋で本を読み、何時ものように紅茶を飲んだ。
小うるさいあの娘は、今日は部屋の隅に居ない。

川 ゚ -゚)「久しぶりに、ゆっくりできそうだ」

積んでいた本を一気に消化すべく、読書に集中しようとした次の瞬間。

ぷー。

それは普段鳴らないチャイムの音だった。

川 ゚ -゚)「…………」

無視をしていると、二度、三度と音がなり。

ぷー。

川 ゚ -゚)「……誰だ」

インターホンをとると、できるだけ底冷えする声で、クーは言い放った。


『え、えーっと、クーさんはオタクで間違いないですかお?』

川 ゚ -゚)「私はオタクではないが」

『違う違う違うクーさんのお宅で間違いないですかお!?』

……誰だ、コイツ。

川 ゚ -゚)「間違いないが、お前は」

『同じクラスの内藤ですお! プリントを届けに来ましたお!』

記憶にある名前だった。
確か入学式に貰ったクラス表に、その名があったはずだ。


川 ゚ -゚)「……ならポストに」

入れておいてくれたまえ、と言おうと思ったが。

川 ゚ -゚)(また来られても困るしな……)

あいつが家に現れてから、一人の時間は減っている。
これ以降、妨害される事も、面倒だ。
ならば。

川 ゚ -゚)「上がってきてくれたまえ」

最低最悪と言われたこの人間性で、二度と来る気をなくしてやるとしよう。


…………。


( ^ω^)「始めましてだお」

川 ゚ -゚)(うわぁ)

目の前に現れた人間を見て、クーの第一印象はその一言だった。

なんというか、嫌だ。

川 ゚ -゚)(これはとっとと失せてもらうとするか……)

( ^ω^)「これがプリントですお」

カバンから一枚の用紙を取り出し、手渡してくる。

川 ゚ -゚)「ふん、教師に言われて届けに来たのかね」


( ^ω^)「え、はい、そうですお」

それをなるたけ相手の気分を損ねるようにばっ、と奪い去り、クーは続ける。

川 ゚ -゚)「いいな、他人に奉仕をして上機嫌になって、偽善者気取りか」

( ^ω^)「……はい?」

川 ゚ -゚)「君みたいな凡人のくだらない優越感を満たす事に付き合うつもりは無い、二度と来ないでくれたまえ」


そのまま扉を閉めようとする。
ここまで悪態を吐かれたらもう此処に来る気力は無くなるだろう。
ていうか普通の人類ならぷっつんするはずだ。
ありきたりな台詞だが、生で言われると、辛いものだ。

( ^ω^)「お」

川 ゚ -゚)「……ん?」

( ;ω;)「おおおーん! おおおおぉおぉぉおおーん!」

川 ゚ -゚)「キモッ!」

思わず本音が漏れてしまった。
とりあえず、何か泣いていた。


川 ゚ -゚)「ああもう! 泣くな鬱陶しい!」

( ;ω;)「おるろれーん! おらりらるらるろおおお!」

川 ゚ -゚)「もう私はわけわかんねぇよ!」

クーは泣き喚く高校一年生の首根っこを引っつかむと

川 ゚ -゚)「近所迷惑だ馬鹿たれが!」

とりあえず部屋に引っ張り込んだ。

…………。


>>430
サーセン、ミスですorz

( ^ω^)「……広い部屋だお」

川 ゚ -゚)「二秒で泣き止んでるんじゃない君は」

初めて部屋に男を入れてしまった。
と言う後悔はさておき、クーはとりあえず来客用のカップに紅茶を入れるためにキッチンへ向かう。

川 ゚ -゚)「座って待っていろ、その間、口を開くな」

数分でその作業を終えて、戻ってくる。



川 ゚ -゚)「飲め」

ティーカップを目の前の男、内藤の目の前に置いて、自分も対面に座る。

( ^ω^)「お、うまいお……」

川 ゚ -゚)「そうか」

( ^ω^)「こんな美味い紅茶は初めて飲んだお」

川 ゚ -゚)「そ、そうか?」

( ^ω^)「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」

川 ゚ -゚)「いや、それは無い」


内藤が紅茶を飲み終えるまで数分、クーもとりあえず自分の分に手をつける。

川 ゚ -゚)(なんなんだこいつは……、ペースが乱れる……)

相手が言葉の通じる相手ならば、どんな因数分解できてしまうクーだったが、目の前の存在は無理だった。

川 ゚ -゚)(ああ、言語が通じないのかもしれない)

すっげぇ失礼な考え方だった。

( ^ω^)「いや、ごめんお。 いきなり酷い事言われたから混乱したお」

川 ゚ -゚)「混乱っつーかなんつーかお前凄いな」

( ^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「いや、家主に断りも無く自ら率先してお代わりを……」

( ^ω^)「こりゃ失敬」

勝手にポットからカップに中身を注ぎ足すブーンを見てクーは呆れ半分の声を出した。


川 ゚ -゚)「君は変な奴だな」

( ^ω^)「へ」

間抜けな声が出た。

川 ゚ -゚)「そして、面白いな」

( ^ω^)「ほ?」

さらに間抜けな声が出た。

川 ゚ -゚)「ふむ、少々虐めたくなった」

(;^ω^)「ほわーっと!?」

思わず立ち上がるブーンをにやにやと見つめながら、クーは思う。


久しぶりだな、と。

こんな気持ちになったのはいつ以来か。

川 ゚ -゚)(やっぱりいいな、理屈で説明できないものは)

解き甲斐がある――。

彼女にとっては人間ですら、思考回路の解読などお茶の子さいさいだったから。

こういう存在は珍しい。

愉しい。

だから。



彼が何かを伝えるのなら、私がそれを開いてみよう。

それは必ず、彼を理解し、全てを把握する鍵となる。

いつか彼の思想を根こそぎ奪って、私の糧とする為に。

…………。


川 ゚ -゚)「いちいち呼んだと言う事は、何か話があるのだろう。普段なら郵便受けに入れてはい終わり、なのだから」

時折尋ねてくる内藤の声を、クーは聞く。

今日も、面白く、なりそうだ。

川 ゚ -゚)「……で、何の用件かな?」

( ^ω^)「……僕の、命に関してだお」

息を切らす彼を見て、笑う。

川 ゚ ー゚)「それは、なによりだ」

■( ^ω^)と川 ゚ -゚)は友達になったようです・fin



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