額に汗が滲む
鼓動が早くなる
僕が人生において、これ程緊張した事があっただろうか?

騎士のテストを受けた時も、犯罪者を確保する時も、こんなには緊張しなかった
何故なら自分の実力に絶対の自信を持っていたから
だけど今は違う どうなるか全く予想が付かない
この僕がこれ程の恐怖を味わうなんて思っても見なかった


(゚、゚;トソン ・・・・・・

(、 ;トソン (と・・ 友達だから・・っ! あ、あ、あ、遊びに来ても・・
      ふ、不自然では無いはずだ・・ッ! いや、寧ろ自然・・ッ!)

(、 ;トソン ・・・・ッ!
ドキドキ


駄目だ
インターホンが押せない…


  第十話:厄姫さんと銀色破壊神さん





(゚、゚;トソン ・・一旦落ち着こう

やはり何事も焦ってしまっては上手くいかない
慎重に行動を起こさねば
例え、それがインターホンを押すという単純動作でも
僕にとっては重大な行動なんだ

(゚、゚;トソン よし、深呼吸をしよう それが終わったら押すぞ・・


僕は大きく空気を吸って、吐く
二回目は尚大きく吸い、そして吐く

( 、 トソン スーッ・・ ハーッ・・

(゚、゚トソン ・・よし、行くぞッ!


こうして僕は、深呼吸により落ち着いた心持ちでインターホンに手を…



[5分後]

:(、 ;トソン: ハァーッ・・ハァーッ・・ハァーッ・・ ス・・スーハースーハースハースハー
ドキドキドキ
ガタガタガタ


吸って、吐く
吸って、吐く
吸って、吐く
吸って、吐く吸って、吐く
吸って、吐く吸って、吐く吸って、吐く
吸って、吐く吸って、吐く吸って、吐く吸って、はk

(、 ;トソン グェホッ!! ゲホァッ!! ガハッ・・!!


咽せた



(゚、゚;トソン むぅ 落ち着けない・・

僕とした事が 過ぎたるは及ばざるが如しだ
恐怖のあまり5分間も変な呼吸をしてしまった

(゚、゚トソン (落ち着くには・・)

そうだ 昔、母さんに聞いた事がある
自分の手のひらに「手」という字を三回書き、それを飲み込む動作をすれば良いとか

(゚、゚;トソン よし、これが終わったら今度こそ押そう・・

手、手、手、  飲む

(゚、゚トソン ゴックン

(゚、゚トソン ・・よしっ!

こうして、僕はインターホンに手を…



[5分後]

:(、 ;トソン: ハァーッ・・ハァーッ・・ハァッ・・ ゴ、ゴクッ ゴクゴクッ・・
ドキドキドキ
ブルブルブル

人、人、人
飲む
人、人、人
飲む
人、人、人
飲む
人、人、人
飲む
人、人、人飲む人、人、人飲む
人人人飲む人人人飲む人人人飲む人人人飲m

(、 ;トソン ゴッァガフッ!ゲホ、ゲホッ!

咽せた



(゚、゚;トソン ぐぬぅ・・ 押せない・・

駄目だ、心臓の鼓動が静まらない
普通に襲撃に来た時はこんな事無かったのに
「友達」を意識しただけで何故こんなにも違うというのか
なんという概念だ、友達ッ!

(゚、゚;トソン (いや、冷静になれ僕
      多分、今ものすごいアホっぽいぞ・・)

昼間に人の家の前でうろうろするのは職業的に不味い
そろそろ不審者として見られる可能性もある

( ´д`)(´д` ) ヒソヒソ

(゚、゚;トソン (ぐっ・・ やはり目立っているな・・)

(゚、゚トソン ・・よし ならば決断は一つ




(゚、゚トソン 一旦帰ろう

一つだけ言っておきたい
これは戦略的撤退であり、逃げた訳では無い───



(゚、゚トソン ───という訳でやって来ました

(-@∀@) ようこそ変人の世界へ

(゚、゚トソン ・・・・・・

人の話を聞いて「変人」とはどういう事だ
失礼にも程があるのではないか


(゚、゚トソン ヒマラヤ山脈の様に失礼ですね神父さん

(-@∀@) いや、すまない
       君の印象がマリアナ海溝ほどに落ちてしまったもので

(゚、゚;トソン 緊張ぐらいするでしょう! 僕だって人間です!
      あんな一大イベント、気軽にこなせるものですかッ!

(-@∀@) す、すげぇ・・ この小娘、インターホン押すのを一大イベントだとぬかしやがった・・
       人生をなんだと思ってやがるんだ・・

(゚、゚トソン 神父さん、口調が非紳士的です

(-@∀@) いや、すまない 少しクールダウンしよう・・



(゚、゚トソン ・・神父さんにとっては至極どうでもいい悩みに聞こえると思いますがね
      僕にとっては重大な悩みなんですよ

(-@∀@) 何が君をそんなに恐怖させているんだよ・・
       この間、偶然ギコ君達と会った時は普通だったそうじゃないか

(゚、゚トソン いえ、だって自分から遊ぶ為だけに家を訪ねるって・・ なんというか、言いしれぬ不安が・・
      神父さんだって感じる事あるんじゃないですか?

(-@∀@) いや、無い 絶対に無い

(゚、゚トソン 強い人なんですね・・

(-@∀@) いや、だから強くねーっつーの お前がおかしいんだっつーの ズレてんだっつーの

(゚、゚トソン だから口調が・・

(-@∀@) すまない・・ とりあえずちょっと待っていてくれ
       自分自身を見直しつつ待っていてくれ

そう言い残し協会内へと入る神父さん
今日の神父さんは少し投げやりだ
人がこうして本気で悩んでいるというのに、失礼極まりない



[3分後]

(-@∀@) ただいまっする トソン君! これな〜んだッ!

(゚、゚トソン ん?

協会内から妙にハイテンションで戻ってきた神父さん
その手には握られている物が

(゚、゚トソン ・・・・・・

(゚、゚トソン 何ですか、その"木の棒"は?

(-@∀@) ふっふっふ まぁ見ていなさい
       今日は君に私のもう一つの顔を見せてあげましょう
       変人を超えた超人たる私を、ね

不適な笑いを浮かばせながら、地面にかがむ神父さん
この人が笑うと、どうもいやらしく見えて仕方がない
きっと変人たる人間性が染みだしてきt


(゚、゚;トソン ・・え!?



驚いた
木の棒で地面に何かガリガリと描いてるだけかと思った
だけど、そこに広がる模様、光は…


(゚、゚トソン ・・魔法陣!?


間違いない
ハインリッヒの家で何度も見た魔法陣が地面に広がっている
ただ少し鈍い色合いというか、鮮やかさは無い

( ・∀・)っ-@-@  君の知っている"魔女"ほど上手くは無いけどね
            ・・そもそもあの血筋に敵う魔術師なんて居ませんがね

(゚、゚;トソン ・・・・・

初めて見る神父さんの目は、何か悟ってる様な、見透かしてる様な…
どこか惹かれるものがある、そんな目
この人は一体何者で、どうして魔法が使えて、何故今こうしてここにいるのか
様々な疑問が沸いてきたが、多分教えてはくれないのだろう

本当に何者だろう、この人は



( ・∀・) ・・・・・

真剣な表情で地面にどんどん魔法陣を書き続ける神父さん
いや、「神父」という表現は正しいのだろうか
とにかく、その真面目な顔からはいつもと違う雰囲気を漂わせている

( ・∀・) ・・フッフフンフーン♪ マジカルー♪ ミラクルー♪ マホウー ショウジョー♪ ワッフゥッ☆

前言撤回しよう
いつもの彼でした



( ・∀・) ・・さ、出来ましたよ 早速乗ってみなさい
       途端に、君の陳腐な悩みを宇宙の果てへとぶっ飛ばしてあげましょう
       あんまり得意じゃないから失敗するかもしれないけど・・

(゚、゚;トソン の、乗る・・? こ、コレにですか?

( ・∀・) さぁ、消えない内に───



[同時刻:ハイン邸]

从 ∀从 ・・・・・・
 ジュージュー

从 ∀从 ・・!
 ササッ

从 ∀从 

:从 ∀从: で・・

从*゚∀从 出来たあああああああああああああああああッ!!




lw´‐ _‐ノv 

lw´‐ _‐ノv ・・子供とか?

川 ゚ -゚) 姫様、低俗過ぎます

lw´‐ _‐ノv すまない



現在正午
ハインの歓声が響き渡る屋敷内
何かが出来たらしい

从*゚∀从 みんな見ろ! 「卵焼きっぽいの」が出来た!


卵焼きっぽいのが出来たらしい


lw´‐ _‐ノv 何かの証拠隠滅でもしてるのかと思いきや、料理してたのか・・

(,,゚Д゚) 俺はてっきり害虫退治かと・・ そっちの方が似合ってるぜ

从*゚∀从 うるせーばーか! 料理してたんだよばーか!

(;゚Д゚) うわっ! お、怒ってねぇ! 普通じゃないぞコイツ!

从*゚∀从 うっひひひひひひひひひひひひひひひひふぅーっ
       ぬ・・ ぬっふふふふふふ・・

気持ち悪ッ
みんな、美徳を忘れては人間はお終いだぞ



从*゚∀从 とりあえず見ろ! 見ろ! ほら見ろッ!
       崩れてねぇ! 崩れてねぇぞ! ほら見ろって!

lw´‐ _‐ノv む、本当だ 形は卵焼きだ

こいつが昔作った卵焼きは消し炭だったというのに
"とりあえず"、形は卵焼きである

从*゚∀从 どう? どうどう? 俺だって出来るんだぜ料理!
       さぁ食え! とっとと食え! 味わうのだッ!

(,,゚Д゚) えー・・ 絶対に「味は酷い」ってオチだろ・・ 嫌だっつの

从*゚∀从 大丈夫だから! 味見してないけど絶対に大丈夫だから!
       さぁ食え! 食ってみろ! ひゃっほう食えッ!

川 ゚ -゚) では、私が一口・・
 パクッ

lw´‐ _‐ノv从 ゚∀从(,,゚Д゚)   !!



川 ゚ -゚) モグモーグ

川 ゚ -゚) モグ・・

川 ゚ -゚) 

川 ゚ -゚) 「卵焼き」、ですね

从*゚∀从 だろォ───ッ!? やっぱこれ卵焼きだろォ───ッ!?

卵焼きっぽい黄色の物体は、本当に卵焼きだったらしい
多分コイツにとっては錬金術ぐらいに等しい行為なのだろう

(;゚Д゚) おぉ、本当だ・・ 普通の卵焼きだ・・ 馬鹿な・・っ
モグモグ

从*゚∀从 ひゃッはァ───ッ!! 一眼! 一眼レフ持ってこいッ!
       撮るッ! 写真におさめるッ! ひぃやっふぅッ!

川 ゚ -゚) しょうがないですね では特別に、私の姫様専用カメラを貸してあげm・・
     ・・はっ、しまった うっかり喋っ・・

lw´‐ _‐ノv え

そういえば最近、身の回りでパシャパシャ聞こえていた気がしたんだが
気のせいじゃなかったのか… 盗撮されてた…



卵焼きをギコから奪い返したハインが、テーブルの中心へそれを置く
クーから借りた一眼レフを構え、嬉々とした表情でカメラを向ける
私はクーの頬を引っ張り続ける

lw´‐ _‐ノvっ クー、過去のネガはどこだ 吐け、吐くのだ 引っ張り続けるぞコノヤロウ
グイグイ

川;゚ -゚< わ、わかりませんっ なんの事だか私には・・ 痛いです姫様
グイグイ

lw´‐ _‐ノvっ ギコ、こいつが怯んでいる隙にネガと写真を探し出せ 命令だッ

(,,゚Д゚) アイアイサーッ

川;゚ -゚> あぁっ・・ 駄目です・・ それだけは・・
 グイーン

从*゚∀从 おいあんまり動くんじゃねえ! 埃が飛ぶ!
       卵焼きに付いたらどうする気だッ! 良い写真が撮れねえ!

lw´‐ _‐ノv す、すげぇ 「卵焼きは食べるもの」という固定概念を消し去るとは・・



パシャパシャと聞き慣れた音が響く
しかし何だろう どうも昔から聞き慣れている音のような気がしてきた
まさか… いや、まさかな

从*゚∀从 いい角度だぜー 卵焼きだぜー 俺が作ったんだぜー
パシャパシャ

川 ゚ -゚> 被写体はもっと可愛かったり美しかったりするものにするべきですよ
ググイーン  ね、姫様っ    ・・あたたたたたたッ 伸びる伸びるっ

lw´‐ _‐ノv ははは 美しいというのは罪なものだな 私って罪な女
       そして盗撮するお前は犯罪者な女だ

川 ゚ -゚> 何を仰います 成長の記録を作ってただk痛い痛い痛い
グググイン

(,,゚Д゚) シュー様! 机の引き出しの中にネガと写真の束がありましたッ! 何かものっすごい量がッ!
モッサリ

lw´‐ _‐ノv でかしたァッ! 焼き払えィッ! 巨神兵の様に容赦なく焼k・・
       ・・って何だその量・・ おまっ・・ ええええぇぇ・・ い、いつから・・

川;゚ -゚> あ、あうぅ・・・!
ググググ


从*゚∀从 よーし、いい写真は充分撮れた! あとはじっくり味わうぜッ!



(,,゚Д゚) えぇと  ライターは、と・・・

从*゚∀从 よし、そんじゃいっただっきm

ギコが暖炉にネガを突っ込み、火を点けようとした瞬間
ハインが箸で卵焼きを持ち上げ、口に運ぼうとした瞬間




           (、 ;トソン 
            パッ


     从*゚∀从【卵焼き】



lw´‐ _‐ノv !?



テーブルの上、つまりは卵焼きの頭上の空間に、トソン的なものが
いや、トソン的というか、トソンだコレ
言うなればプリンセステンコー的トソンというか、とりあえずトソンだ

---------------------------------------------

( ・∀・) やっべ失敗した



ガッシャァーンッベチャッ

从 ∀从 

(、 ;トソン ゴフッ・・!?


落下した
卵焼きが潰れた
テーブルが壊れた


lw´‐ _‐ノv ・・・・・・

川 ゚ -゚> ・・・・・・
グイグイ

(;゚Д゚) ・・・・・・

(゚、゚;トソン ・・は、はへ!? な、何が・・!?
ガバッ

lw´‐ _‐ノv ・・・・・・

lw´‐ _‐ノv とりあえずこんにちは、トソン

(゚、゚;トソン あ、こんにちは・・

从 ∀从 



とりあえずトソンに状況を整理させてみた所によると…

1.家に入ろうと思った
2.色々あって断念 教会へ
3.神父に飛ばされた
4.何か落ちてた
5.テーブル破壊   ←今ココ


(゚、゚;トソン ってな訳で・・ ご、ごめん テーブルが・・

lw´‐ _‐ノv なんと・・ 神父、魔法使えたのか・・?
       出来ればもっとシリアスな場面でそういう事実を知って驚きたかった・・

川 ゚ -゚> やはりそうでしt・・ いつまで引っ張るのですか姫様
グイグイ

lw´‐ _‐ノv ・・・・・・

(゚、゚;トソン ていうか何やってるんだ君達 妙に統一感の無い空間だが

(;゚Д゚) 俺はネガを燃やそうと・・ ハインは卵焼きを食べようとしてたんだが・・
     つーかお前こそ何で・・

(゚、゚;トソン た、卵焼き?


从 ∀从 ・・・・・・



从 ∀从 ・・あぁ、まぁ、いらっしゃい・・ ゆっくりしてけよ・・
      はは・・ ふ・・ ふふふ・・

ボサボサの頭にテーブルの破片が突き刺さっている
抜く気力すら失っている様だ
某ボクサーみたいに真っ白に燃え尽きている
灰色だけに(笑)

(゚、゚;トソン どうしたハインリッヒ いつものお前じゃないな

lw´‐ _‐ノv かくかくしかじかでな 料理が台無しでガッカリらしい

(゚、゚;トソン あぁ、そうなの・・

从 ∀从 いや、気にすんなよ・・

(゚、゚;トソン あぁ、くそ コイツは嫌いだが果てしない罪悪感が・・

从 ∀从 ははは・・ まぁ、いいさ・・ ふ・・ ふふ・・
       今日は一体何の・・ 用だい・・?

(゚、゚トソン ・・・・・・

(゚、゚;トソン わ、悪かった ごめん、許せ

lw´‐ _‐ノv (流石に謝っちゃうよな)



川 ゚ -゚> ところで・・ 魔法を使ってまで来たのはどうしてでしょうか?
 グググ

lw´‐ _‐ノv うむ どうして上から降ってきたんだ 遊びに来た訳でも無かろうに

(゚、゚;トソン い、いや!そ、そう! べ、べべ別に遊びにき、来た訳ではな、な、無いんだっ!
ギクッ   た、た、ただちょっと用事、そう、用事があってねッ! 用事さッ!

(゚、゚;トソン (し、しまった やっぱり登場の仕方に迫力がありすぎた・・ 何か理由考えないと・・!)

(,,゚Д゚) ? 何を焦ってるんだお前は・・ 熱ちちッ・・ おぉ、燃える燃える・・
シュボッ・・


川;゚ -゚> ネエェェェガアアアアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!
 グニョン  私の五年間がアアアアアァァァァッ!!

lw´;‐ _‐ノv あはは、ざまぁ〜みr・・ 五年ッ!? お前五年間も撮ってたの!?
       う、嘘だろ・・ うわぁ・・ マジかよ・・ やっぱり聞き慣れてたよシャッター音・・
       ・・ていうかお前、絶対に私が殺されそうになった時よりも焦ってるだろ・・

川; - > あううううううぅぅぅ・・っ!!
 グニーン

(゚、゚;トソン (あれ? もしかしてとんでもない時に来ちゃった?)



从 ∀从 

川  -) 

放心状態の抜け殻がもう一つ増えた
夏はまだだぞ
セミより早く抜け殻になってどうする

(;゚Д゚) あ、なんかすんませんクーさん・・

lw´‐ _‐ノv 気にしたら負けだギコ 放っておけ
       ・・で、改めましていらっしゃいトソン 今日はどんな用だい?

(゚、゚;トソン あ、あぁ えぇと、用・・ 用は・・ えぇっと・・

(゚、゚;トソン (えぇと、どうしよう・・ 「遊びに来た」、とはもう言えない雰囲気になっちゃったし・・
      えぇと・・ 何か他に良い理由は・・?)

lw´‐ _‐ノv ・・?

(゚、゚トソン (・・ハッ! そうだ・・ そういえばアレについてなら、時期的にも・・!)
ピコーン!



(゚、゚;トソン そ、そう! 実は「仕事の依頼」に来たんだッ! ハインリッヒは万屋なんだろ?

lw´‐ _‐ノv ほう

(,,゚Д゚) へぇー

仕事の依頼、か
そういえばハインが仕事してる姿はまだちゃんと見たことが無いな
それにあれほど憎んでいたハインに依頼とは、仲直りも近いのでは?
これには少し期待だ



从 ∀从 へぇ、そう・・ また明日いらっしゃーい・・ ふふ・・

(゚、゚;トソン ・・え? あ・・ えっ!?

lw´‐ _‐ノv ・・・・・・

畜生、期待ぶっ壊された
何だよコイツ、卵焼きが何なんだよもう 卵の精霊かお前は



とりあえず客人をそのまま帰すのも何なので、私とギコが接待する事に
まぁ悪い気はしないがな どうでもいい雑談も時には楽しいものだ
トソンは「友達」、だしな

lw´‐ _‐ノv まぁまぁお茶でも飲んでごゆっくりなさいましー

(,,゚Д゚) 仕事の依頼は無理っぽいが、まぁくつろいでけよ どうせ暇だろ?

(゚、゚トソン お、おぉ  あ、ありがと

(゚、゚*トソン (・・な、何だかんだで僕の理想の結果に・・! う、うれしい・・ッ!)
ドキドキ


从 ∀从 ふふふ・・

川  -) ふ・・ ふふ・・


(゚、゚;トソン (・・いや、理想では無いなコレは・・)

lw´‐ _‐ノv おい、ちょっとそこの二人を隔離しろ

(,,゚Д゚) アイアイサー



とりあえず二人を居間から追い出し、隣の空き部屋へ
まぁ隣の部屋だったら、壁も薄いからクーが厄を吸い取ってくれるだろう
ふふ 「厄」、か…

lw´‐ _‐ノv ・・最近私のアイデンティティーが「厄」だけなのでは無いかと恐れてるんだが
       無くなったら私は一体何になるのだろうな  出来れば貝とかになりたい

(,,゚Д゚) 何を仰いますか ていうかその年齢でそんな事考える必要は無いんじゃないですかね・・
     シュー様はシュー様ですぜ

(゚、゚トソン 君は充分個性が強いじゃないか そんな事悩む必要無いさ

-------------------------------------------------------------------------

从 ∀从 ・・お前のアイデンティティーって何?

川  -) ・・姫様

从 ∀从 はは・・ 広辞苑やるから読めよ

川  -) ・・・・・・



lw´‐ _‐ノv そういえば神父、魔法使えたんだなぁ・・ 心底意外だ

(゚、゚トソン あぁ、僕も吃驚したよ・・ 何者なんだろうね彼は・・

(,,゚Д゚) え? つーか神父って誰?

lw´‐ _‐ノv あぁ、郊外にいる変態の事でな・・ 実はお前がデートしてた時の道化師で・・

-------------------------------------------------------------------------

川  -) ・・魔法ですって 凄いですねぇ・・ ふぁんたじーですねぇ・・

从 ∀从 へぇ・・ 凄いなぁ・・ ふぁんたじーだなぁ・・

川  -) ・・魔法って、何もかも焼き払えるんですかね・・?

从 ∀从 ・・・・・・

-------------------------------------------------------------------------

lw´‐ _‐ノv ・・何かさっきから負のオーラを感じてしょうがないんだが

(゚、゚;トソン ・・とりあえず今日は帰るよ

(;゚Д゚) すまんな

駄目だ 隣から漏れだしてくるオーラが雑談どころじゃねぇ
何だこのコンビ 何をそんなに絶望してるんだコイツらは



[その日の晩]

从 ∀从 ・・・・・・
ジュァージュァー

从 ∀从 ・・・
ササッベチャッ

从 ∀从 ぎこー、ぎこー、やしょく できたー

(,,゚Д゚) ・・何だその黒い物体

从 ∀从 たまごやきぃー

(,,゚Д゚) ・・多分、それは生ゴミって言うn


从#゚∀从 うるせエエエエエェ食えィッ! 飲み干せッ! 食い干せッ! 全てッ!
  クワッ  四の五の言わず食いやがレエアァアアアアアァッ!!!
       寧ろ死ねえええええええええええええええエェェェェェッ!!!


(; Д ) ッ!? ちょ、いきなrゴブッ!? グ・・グボァッ! ガ、ガフゥッ!?
モゴモゴ

从#゚∀从 ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!
       タアアアアアアアアアマアアアアアアアゴオオオオオオオオオオッッ!!!
       カムバアアアアアアアアアアアアアックウウウウウゥゥゥッ!!!!

(; Д ) ゲ、ゲフッ・・!? ガッ・・! カッ・・! ゲボォ・・ッ!



川  -) ・・・・・・
イジイジ

lw´‐ _‐ノv ・・何してるんだクー 手が真っ黒だぞ

川  -) ・・いえ、燃えカス遊んでただけです・・
イジイジ 楽しいです うふふふ・・ ふふふ・・

lw´;‐ _‐ノv ・・・・・・

lw´‐ _‐ノv ・・まぁ、その、何だ

lw´‐ _‐ノv 私自身は、ちゃんとココにいるからさ
       どこにも逃げないから・・ 今後も一緒だろ?

川  -)

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚) ・・そういう優しさが大好きですよ、私は

lw´‐ _‐ノv よし、分かったら寝ろ

川 ゚ -゚) ・・一緒に寝r

lw´‐ _‐ノv zzz....

川 ゚ -゚) ・・・・・・



──朝だ
起きたらクーもハインも復活していた
クーに関してはもう少し抜け殻で居て欲しかったが仕方がない
流石に私にだって善意はある

lw´‐ _‐ノv 結局は普通に戻ったな

川 ゚ -゚) いつまでもウジウジしてませんよ私は ぷらす思考でいきます

lw´‐ _‐ノv そうか でもお前のカメラは没収だからな 危険極まりない

川 ゚ -゚) (まぁいいです ビデオカメラに関してはまだバレてませんし・・)

从 ゚∀从 俺も大声出したら治ったぜぃ!

lw´‐ _‐ノv ところで、どうして今日はギコが抜け殻なんだ?

(,, Д ) 

从 ゚∀从 しっらなーい

(,, Д ) (ハライタイ・・)



lw´‐ _‐ノv まぁ、とりあえず寝ろ 仕事も今日は休め

川 ゚ -゚) そこのソファーで横になって下さい 毛布を持ってきます

(,, Д ) ハイ・・

从 ゚∀从 (何もそんなに痛がること無いだろー・・)

顔面蒼白のギコをソファーで寝かせる
最近は私の身の回りの人間が不幸状態だ
まぁ、私のせいでは無いハズだ 多分コレは運命だ
私のせいだとしても、厄を吸い取らないクーのせいだ

lw´‐ _‐ノv ・・・・・・

lw´‐ _‐ノv (よく考えたら、クーって面白い体質だなぁ・・)

川 ゚ -゚) ・・そろそろトソンさん来ますかねぇ

从 ゚∀从 あぁ、そうだな 昨日は悪いことしちゃったぜ



そういえばトソンが来るんだったな
トソンが家に来るとき、必ず何かしらぶっ壊してる気がする
どれどれ、今日はちゃんと玄関から来r




           (、 ;トソン 
            パッ


       【ソファー(,, Д ) 】 ウーン・・



lw´‐ _‐ノv ・・・・・・

なるほど
今日の破壊物は、ソファーとギコのようです

---------------------------------------------

( ・∀・) うまくいかんなコレ・・


メギャアァッ!!!

(; Д ) ゚  ゚  げっぶああああああああァァァアアアッ!!??
ベキベキィッ!!

(゚、゚;トソン ・・う、うわっ! びっくりしt・・ ぎ、ギコ君ッ!?

:(; д ): アッバババババッバアバババババババアアババババ・・?
ビクンビクン

凄いぞトソン
ギコからカルシウムで構成されている何かが砕ける音が聞こえたぞ
ソファーにも穴が空いてしまった

(゚、゚;トソン わあああああギコ君ッ!! ご、ごめんッ! だだだだ大丈夫かッ!?

从 ゚∀从 ちょwwwwwwナイスwwwwwトソンナイスwwwwwwwww

川 ゚ -゚) 悠長なこと言ってないで、前回みたいに治してさしあげなさいハイン
      肋骨が肺に突き刺さってるかもしれませんよ

从 ゚∀从 あいあいさー

(゚、゚;トソン あああああああぁぁぁ・・!



(; д ) フゥーッ・・フゥーッ・・ ト、トソンか・・ 吃驚した・・ぜ・・

ハインの魔法で何とか一命を取り留めたギコ
次回 「厄姫様よりギコさんの方が不幸なようです」 連載スタートだ
楽しみにね  嘘だけどね


(゚、゚;トソン よ、良かった 大丈夫っぽいね 一般人に致命傷を負わせる所だった・・

川 ゚ -゚) 本当にアナタは何でも壊しますね・・

从 ゚∀从 いや、大分マシになった方だ
      全盛期は大暴れして部屋中がグッチャグッチャに・・
      俺の中では「破壊神トソン」という通り名が・・

(゚、゚;トソン う、五月蠅いッ! 過去の事だッ!
      と、とりあえずアレだ! えっと、アレ! い、依頼ッ!

从 ゚∀从 あぁ、そうだったな・・ お前が俺に依頼とは珍しい
      まーいーや 早速話進めるぜぃ お茶を用意しろ、ギコッ!

(; д ) ふざけんな・・



何とか部屋の雰囲気も落ち着き、早速本題に入る
妙に時間がかかった 長かった

(゚、゚トソン で、まぁ依頼の事だけど・・
      ・・本当に何でも良いんだな?

从 ゚∀从 おう 何でもオーケーだ
      ついでに報酬は俺の苦労量から算出するからな

(゚、゚トソン 分かった・・ じゃ、ひとまずコレを見てくれないか

トソンが懐から、何か手帳の様な物を取り出す
少々黄ばんだ、白い手帳

从 ゚∀从 あん? 何じゃそりゃ

(゚、゚トソン これは騎士である事を証明する手帳だ
      僕らの必需品さ

lw´‐ _‐ノv おぉ、職務質問とかも強行できる出来るアレだな
       格好いいぞ ちょっと見せてくれ

(゚、゚トソン あ、じゃあ君には"僕の手帳"を見せてあげるよ

lw´‐ _‐ノv ん?

そう言うと、トソンは懐からもう一つの白い手帳を取り出す
コレには汚れが無く、本当に真っ白だ



从 ゚∀从 「僕の手帳」?
      ・・っつー事は、その黄ばんだ方は他人のか?

(゚、゚トソン うん で、頼みというのは他でもない
     この手帳の持ち主についての事なんだけどさ

(゚、゚トソン ・・この間、ギコ君とクー君には言ったから覚えてるかもしれないけど、
     基本的に僕らは馬か徒歩か、どちらかを選択してパトロールするんだ
     で、歩いて行動する場合はパートナーと一緒に行動するんだよ

川 ゚ -゚) あぁ、そんな事言ってましたね ではその手帳はそのパートナーのものですか

(゚、゚トソン そうなんだ でも、そのパートナーがどうしようも無い奴でさ・・

lw´‐ _‐ノv 何かしたのか?

(゚、゚トソン 汚職をやってね・・

从 ゚∀从 ・・ほー 汚職、ね


ほう、パートナーの汚職が悩みのタネか
汚職しちゃってOh! shock! なんつってっ

…いや、すまない
忘れてくれ… 頼む…



从 ゚∀从 じゃ、そのパートナーは懲戒免職か?

(゚、゚トソン いや、実はそいつは良い家柄の出でね
      その発言力ある家と僕の説得で、何とか免職は防いだんだ
      汚職を告発したのは僕だけど、「反省させたい」っていうのが目的だったからさ

(,,゚Д゚) よく免れたな・・

(゚、゚トソン 汚職といっても、ワイロを受け取っただけだからね
     ・・いや、充分に許されない行為だし普通は免職だけどさ
     とにかく今は謹慎処分を受けてる最中なんだが・・

(゚、゚トソン ・・こいつ、謹慎中なのにもかかわらず僕の職務中に突っかかってきたりするんだ
     全く反省していないし、また汚職を繰り返す事は確実だろう

从 ゚∀从 つまり?

(゚、゚トソン 「コイツを反省させてくれ」っていう依頼なんだけど・・
      出来るか? 謹慎は明日から解けるんだが・・

从 ゚∀从 なーるほどねっ はいはい おーけーおーけー
      明日からかー まぁ暇だしいいやっ

いかにもトソンらしい依頼だ
学校でいえばコイツは委員長タイプだな
正義感溢れる奴め お前が従者だったら良かったなー ちっくしょー
あ、でもコイツが従者だったら多分遊べないな やっぱりクーで良いや



(゚、゚トソン で、コレがそのパートナーの顔だ
      ・・ギコ君は見たことある顔だと思うよ

(,,゚Д゚) へ? 俺?

黄ばんだ手帳を拡げる
そこには、凛々しい眉を持った人間の顔

  _
( ゚∀゚)


(,,゚Д゚) (・・あれ? コイツ・・)

(゚、゚トソン ・・じゃ、方法に関してはお前に任せる
      明日、僕らは西地区方面のパトロールを…


二人で打ち合わせを始めたハインとトソン
ハインは一人で仕事をこなす気だろう 結構仕事には真面目な奴だからな


だが、私とクーの目はギラッギラに輝いていた
暇を持て余した人間にとって、首を突っこむ行為は何物にも代え難い───


-続ぐぐ-



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