恥の多い人生を送ってきたとは思いません
誇れる人生を送ってきたというわけでもありません
そもそも20年ぐらいしか生きてません
身の回りの環境には満足しています
ただ、ただ、私は他人以上に、
自分自身を異常に嫌悪する人生を送ってきています
今後も変わることは無いでしょう
そんな私が、どうしても放っておけないと思った人形
彼女は捨てられて、どんな思いだったのか
私としては、とてもとても知りたかったのです
もしこの人形が長い年月、孤独を感じ続けていたのなら
こんな私でも、その孤独を満たしてあげることが出来るなら
少しだけ、自分のことが好きになれそうです
【第十六話:厄姫さんと黒色の侵食】
川 ゚ -゚) ・・・・・・
川 ゚ -゚) ここが、夢の中・・ ですかね?
数十分前だったでしょうか
ギコさんの部屋にあった人形のそばで、私は睡眠をとりました
このいつでもどこでも瞬時に眠れるスキルは是非とも見習ってほしいものです
ストレスの多い現代人へ捧げたい技術ですね
川 ゚ -゚) 思っていたより全然普通ですね
本当に夢・・ ですか?
夢の中というものはもっとふわふわしたもの、
たとえるならマシュマロみたいな感じだと思っていたのですが…
現実と何ら変わらず、地に足付いた状態です 少々がっかり
川 ゚ -゚) ・・まぁ、いいとしましょう
ギコさんの話ではデレさんがいるはずなんですが・・
少し歩いてみますか
早くあの御人形と会話してみたいものです
人には話せないことも、人形にだったら話せるかもしれません
共有し合えるものがきっとあるはずです
そういえば小さいころから、夢の中を自由に飛び回りたいと思っていました
もしやその願いがかなうのでは、と思ったのですがそういうわけでもありません
別に飛べもしなければ快適というわけでもなく…
何とも中途半端です
川 ゚ -゚) 風景もなんか面白味がありませんね・・
真っ暗なだけじゃないですか
時折何かがあったとしても沼地みたいなものだったり、草が生えてるだけだったり…
地面はボロボロの石畳 何とも退廃的というか、なんというか
もっとファンタジックなものを期待していたのですが
川 ゚ -゚) 本当に暗くて嫌なところですね・・
空飛ぶ姫様とか、小さい姫様が一杯いたら良かったのに
・・想像しただけで心が踊りますね
それにしても、先程から歩いてるのにデレさんの影も形もありません
本当にいるのでしょうか… 間違いなく普通の夢では無いのですが
川 ゚ -゚) むぅー・・ 困りましたねぇ
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从;゚∀从 ──困ったな、本気で起きねぇ
(;゚Д゚) クーさん・・・・
lw´‐ _‐ノv ・・・・・・
川 -)
クーさんを発見後、急いでハインを呼んだがうんともすんとも
まさかこの人がこんな状況になるとは誰が予想出来たことか
俺ならまだしも、クーさんがこんな厄い状況になるとは思いもよらず
王子のキスで起きるような状況でも無い
从 ゚∀从 ・・とりあえず、ベッドに寝かそう
あと人形はクーから放しといた方がいいな
(;゚Д゚) おう・・
ζ(ー *ζ
lw´‐ _‐ノv ・・・・・・
(,,゚Д゚) シュー様・・
lw´‐ _‐ノv ・・クー、起きないよ
(,,゚Д゚) ・・大丈夫ですよシュー様! ただ寝てるだけですって!
ハインと俺がすぐに起こしますから!
lw´‐ _‐ノv ・・うん
今まで五年近くシュー様を見てきた
だが、これ程落ち込んでる彼女を俺は見たことが無かった
元はと言えば俺の責任だ
(,,゚Д゚) ・・すみません 俺のせいで・・
lw´‐ _‐ノv ・・ギコのせいじゃないよ・・・・
・・やっぱり、これも私の不幸のせいなのかもしれんな
从 ゚∀从 おいおい、ネガティヴになるなシュー
今までお前の影響を受け続けなかったクーだろ?
お前のせいじゃーねえよ 誰のせいでもない 誰も悪くは無いさ
lw´‐ _‐ノv ・・うん
从;゚∀从 しかしクーがこんな状況になるとはなぁ
クーあるまじきことだな
(,,゚Д゚) そういえば何でこんな状況になったんだ・・?
人形に無理矢理ってことか?
从 ゚∀从 ・・言われてみればおかしいな
こんなこと出来るなら、昨日のうちに起こってもよかったもんだ
(,,゚Д゚) ・・もしや自分から寝たとか?
なんか妙に人形と遊びたがってたし・・
从;゚∀从 む・・ それなら十分にあり得るな
怖いもの知らずだし、好奇心は旺盛だからな
lw´‐ _‐ノv ・・だけど、起きないのはおかしい
(;゚Д゚) そりゃま、確かに
lw´‐ _‐ノv クー・・
从 ゚∀从 だあああから落ち込むなって なんとかすっから
お前が落ち込んだらどんどん厄が強まっちゃうぜー
lw´‐ _‐ノv でも・・
从 ゚∀从 それにあいつ「大丈夫」って言ってただろ
あいつがそう言ったんなら安心だって
lw´‐ _‐ノv でもあいつ、嘘吐きだ
从 ゚∀从 たとえ嘘でも俺が嘘じゃなくしてやっから 元気出せっつーの
lw´‐ _‐ノv ・・がんばる
励ましてシュー様の頭をわしわしと撫でるハイン
こういう時の奴はやはり頼りになる
シュー様から見たら、そりゃ力強い姉さんみたいなもんだろう
ハインよ、お前が唯一光輝く瞬間だぜ
lw´‐ _‐ノv クー・・
川 -)
川 -) ・・・むう・・?
lw´‐ _‐ノv ゚∀从,,゚Д゚) !!!
初めて反応を示した我らが荊姫
急いで声をかけ始め、体を揺さぶる
だがまだ起きる気配は無い
lw´‐ _‐ノv クー! クー! 起きろ! いい加減目覚ませ!
从;゚∀从 おいクー! 聞こえてんのかお前! おい!!
川 -) ・・ぐっ・・ そ・・・・ そ・・っ
(;゚Д゚) ! なんか喋ろうとしてないか!?
必死になって何かを伝えようとしてるとか・・?
从;゚∀从 な、何だ・・!? 「そ」・・?
lw´‐ _‐ノv ・・!?
(;゚Д゚) ・・・・・・
川 -) ・・そ
川 -) 空飛ぶ・・ 姫様ぁ・・
lw´‐ _‐ノv
从 ゚∀从
(,,゚Д゚)
川 -)
lw´‐ _‐ノv ・・・・・・
从 ゚∀从 ・・・・・・
(,,゚Д゚) ・・・・・・
从 ゚∀从 ・・・・・・
从 ゚∀从 シュー、飛べるの・・?
lw´‐ _‐ノv 飛べねーよ
(,,゚Д゚) ・・・・・・
川 -) ・・・・・・
川 -) ち・・ ち・・
lw´‐ _‐ノv ・・「ち?」
从 ゚∀从 「ち」・・
(,,゚Д゚) 「ち」・・
川 -) 小さい姫様・・ いっぱい・・
从 ゚∀从 ・・大丈夫っぽいな
(,,゚Д゚) 大丈夫だな・・
lw´‐ _‐ノv (どういう顔をすればいいのだろう・・)
川 -) zz.. z..
謎すぎる二つのメッセージ、「空飛ぶ姫様」「小さい姫様いっぱい」
これらが導き出す結論
「なんか大丈夫っぽい」
lw´‐ _‐ノv ま、まぁ・・ よくわからんが大丈夫らしいな・・!
個人的にはかなりの恐怖を感じるが・・
从 ゚∀从 心配し過ぎて損したな・・
(,,゚Д゚) 安心はしたけどさ・・
流石クーさん
クーさんの「クー」はクレイジーの「クー」だな
なんだかんだでシュー様が元気を取り戻したのは喜ばしい
从 ゚∀从 よし、とにかく持ってきた本読むか・・
とりあえずクーは放っておこう 今のところ大丈夫 おそらく
lw´‐ _‐ノv うむ でも一応早く起こそう
(,,゚Д゚) 速読しろ、速読
从 ゚∀从 そんな技術はなーい
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川 ゚ -゚) サイバイウーマンハイン・・ ハードボイルドギコさん・・
うーん・・ ブリッジしながら歩き回るトソンさん・・
手持無沙汰なので、歩きながら面白い光景を考えること早30分
今のところ「全身眉毛のジョルジュさん」がNo.1です
想像していたらいつか現れるかも 爆笑もんですね
川 ゚ -゚) シュークリーム・・ 全身に生クリームを塗った姫様・・
・・いや、これはいけません・・・・倫理的にいけません・・
川 ゚ -゚) ・・・・・・
川 ゚ -゚) ・・いませんねぇデレさん
歩いても歩いても殺風景
景色は真っ暗、どことなく空気も重い気がします
川 ゚ -゚) むぅ 一旦起きましょうか 無駄足な気がしてきましたよ
川 ゚ -゚) とりあえず起きて、また夜に再挑戦としましょうか
川 ゚ -゚) ・・・・・・
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚) どうやって起きるんでしょうか・・
大変です この状態で起きる方法が分かりません
ギコさんはそのまま起きたらしいですが、やはりデレさんが必要なのでしょうか
川 ゚ -゚) あまり歩かない方がいいかもしれませんね
遭難した時は黙ってそこにいた方がいいらしいですし・・
< あーっ! おーい!!
川 ゚ -゚) !!
左前方の草むらから可愛らしい声
ガサガサと揺れる草から、綺麗な色をした髪の毛が見え隠れしています
やっと会えたみたいですね
ζ(゚ー゚*ζ ・・居たー! くろかみのおねーさん!
ガサガサ
川 ゚ -゚) くろかみのおねーさんですよーデレさん こんにちは
ζ(゚ー゚*ζ うあー、随分探したよー まったくー
川 ゚ -゚) あら、私もですよ まったくー
私の前に駆け寄ってきた小さな御人形
年頃は姫様よりも随分小さい印象を受けます
綺麗な瞳を輝かせ、琥珀色の髪の毛を揺らしながら喋るその姿
本当にこれは人形なのでしょうか 関節も球体なんかではありません
川 ゚ -゚) あなた、完全に人間みたいですねぇ
本当に御人形さんなのか疑っちゃいますよ
ζ(゚ー゚*ζ だって"人形"だよ 人の形みたいに作るからおにんぎょうさーん
川 ゚ -゚) それもそうですね
・・洋服は今着ているものと違うようですが・・
ハインが即興で作った無地の白い洋服ではありません
もともと彼女が着ていた、華やかな装飾がちらほらの小奇麗な服です
ζ(゚ー゚*ζ 全てはイメージなのさー いつも着ていたお洋服が私のイメージっ
君は自分でメイドさんをイメージしているから、ここでもメイドさーん
川 ゚ -゚) ふむ・・ ジャージをイメージするべきでしたか 動きづらい
ζ(゚ー゚*ζ 似合ってるよー
ζ(゚ー゚*ζ それにしても驚いたよ、きみー
君だけ私を怖がらなかったね
川 ゚ -゚) 図太いですからね 怖がるだなんてとんでもない
あなただって、「悪いことをしよう」だなんて思ってるわけではなかったでしょう?
ζ(゚、 ゚*ζ でもきみ、あんなポーズとらすのは駄目じゃないか、もー
人形でも、裸ははずかしい
川 ゚ -゚) ふふ、面白かったですよ
ζ(゚ー゚*ζ どえす
川 ゚ -゚) まぁ、失礼な
会話してみると、これまた面白い 人間と何ら変わりはありません
ふわふわした喋り方ながら、ちゃんとした意思疎通が出来るとは
やはり、この人形は「生きている」といっても過言ではないみたいです
川 ゚ -゚) ・・あ、そういえばこの妙に重苦しい世界は一体なんなのでしょうか?
夢の中・・といってもいいのでしょうか?
ζ(゚ー゚*ζ うあー・・ ここかー・・
ζ(゚ー゚*ζ 夢・・ でも間違いじゃないとおもうけど、ちょっぴり違うよー
川 ゚ -゚) おや、それではこの謎の世界は一体?
ζ(゚ー゚*ζ ・・・・・・
ζ(゚ー゚*ζ あのおにいさんの時は、凄いすっきりで、もっとたんじゅんで、明るかったんだ
空気も澄んでて・・ お空も出てたし、太陽もあったし、気持ちいー風がびゅんびゅんー
川 ゚ -゚) では今の状態は正反対ですね 真っ暗ですし、じめじめしてますし・・
何かあっても廃墟みたいな訳のわからないものだったり・・
ランダムで変わるものなのですか?
ζ(゚ー゚*ζ ちがうのさー
川 ゚ -゚) ?
ζ(゚ー゚*ζ ・・・・・・
ζ(゚ー゚*ζ ここは、きみの心そのもの
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从 ゚∀从 ──クーの中にデレの精神が入り込んでいる状態、らしいな
精神体同士の肉体を介さずのやり取りらしい
本を自分の目線にふわふわと浮かしながら語り始めるハイン
面持ちの険しさが尋常ではない
ハインの皮を被った別の誰かのような気がしてきた
もしやルパンかもしれん
lw´‐ _‐ノv なんとなくわかるが、なんとなくわからんな
从 ゚∀从 憑依していると考えていいぜ
・・精神にそのまますっぽり入り込めるっていうのは相当厄介だぞ
会話以外にもいろんなことが出来るからな
(,,゚Д゚) もう起きないのか?
从 ゚∀从 デレが起こそうとしないのなら、このまま起きんだろう
大丈夫だとは思うが・・ 何が起きるか分からん
人形がやりそうなことなんて予想出来んしなぁ
lw´‐ _‐ノv むう・・ ややこしい奴め
lw´‐ _‐ノv ・・そういえばどうして、人形が精神を持っちゃったんだ?
単純に気になるのだが
从 ゚∀从 んー、そうだな
从 ゚∀从 人形ってさ 元来、「神」を具現化しようとして作ってたらしいぜ
目に見えない神を無理矢理実体化しよう、っつー目的でな
例外はあるだろうが、どこの地方でも大体似た用途だったんだとよ
从 ゚∀从 今でこそ玩具やら観賞やらの目的で使われてるけどな
・・他にも呪いとか災厄を逃れるためとか・・
魔術的な目的でも多く使われていたんだ
(,,゚Д゚) デレもそういう目的で作られて、魔術的に精神を宿したっつーことか?
从 ゚∀从 いや、多分そうじゃない もっと単純な理由で作られたんだろう
・・で、ここからは俺の勝手な仮説にすぎないんだけどさ
「具現化」っていうのがミソなんだと思う
lw´‐ _‐ノv 「神を具現化」か?
从 ゚∀从 神じゃなくて、今の時代だと「製作者のイメージ」の具現化だな
作ったやつが思い描く人間像だとか、可愛らしさのイメージだとか・・
創作っていうのは自分の思い描くものを具体化することだ
从 ゚∀从 この人形の製作者が全身全霊集中して、強い思いで具現化しようとしたのなら
何かを表現したり、何か心を満たす計り知れない強烈な思いで作ったんだとしたら、だ
从 ゚∀从 その人間の思念が、独り歩きする「精神自体」を生みだしたんじゃないかな
人の強い思いが二次的に生みだし、肥大したのがデレに宿る「精神」ってわけだ 多分・・
思念っていうのは単純なものじゃ無いからな 何が起きても不思議じゃない
lw´‐ _‐ノv 人間が別物の精神を生み出すって・・ 考えづらいな
从 ゚∀从 多重人格だってそうだろ
プロセスも精神の質も全く違うが、似たようなもんだ
(,,゚Д゚) で、肝心の解決策は?
从 ゚∀从 そうだな 穏便に話し合いで解決が一番じゃねーかな
デレに悪気が無いんだったら大丈夫だろ
lw´‐ _‐ノv 話し合いって・・ どうやってだ
从 ゚∀从 自分の精神体をクーの中に飛ばせばいい 今の状態なら出来ると思うんだが・・
やったことは無いが、まぁ何とかなる
lw´‐ _‐ノv おお・・ そこはかとなく大冒険の予感がする
(,,゚Д゚) じゃあとっととやろうぜ
善は急げっていうだろ クーさんも心配だし・・
从 ゚∀从 んん・・ まぁ・・ うーん・・
(,,゚Д゚) ?
急に言葉を濁すハイン
歯切れが悪いがどうしたことか
ちゃんと歯を磨けこのやろう
从 ゚∀从 ・・魔法ってさ
(,,゚Д゚) ん?
从 ゚∀从 自分の精神の、特殊な一部を使ってるんだ
その精神を外界に、別の現象として放出する能力
それが出来るのが魔法使い・・ ちょっとだけ精神構造が特殊なんだ
lw´‐ _‐ノv ほう MPみたいなもんだな!
从 ゚∀从 おお! そうそう! 分かりやすくいうとMPだよMP! お前すげぇな!
ただ人間は基本的に肉体と不可分の関係だからな
使いすぎるとHP、いわゆるハインポイントも消費するわけだな!
(,,゚Д゚) へぇ・・ おぞましいポイントがあったもんだな
从 ゚∀从 あとで絶対殴るからなてめぇ
・・とりあえず、魔法っていうのは術者の精神の一部みたいなもんだ
精神にも色々な構造があるらしいが、大雑把にいえばそんなもんだ
(,,゚Д゚) で、それがどうかしたのか?
从 ゚∀从 ・・・・・・
从 ゚∀从 ・・あの、だな
从 ゚∀从 ・・怖いんだ
lw´‐ _‐ノv ? 怖いって・・ デレのことか?
(,,゚Д゚) そりゃまた意外だなおい
从 ゚∀从 ・・・・・・
从 ゚∀从 デレは自分の精神をある程度自由にコントロール出来るが、
魔法使いはどんなに凄かろうが"たかだか精神の一部を使える"だけだ
从 ゚∀从 デレも、一応は「人形」という器に依存している身だが・・
それでも人間に比べりゃ断然自由だ
(,,゚Д゚) ・・・・・・
从 ゚∀从 もしも・・ もしも、だ
デレが強制的にクーを捕らえてるんだとしたら
俺が力づくでデレを追い払わなきゃいけないとしたら・・
从 ゚∀从 考えるだけで、俺は怖い──
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どきり、とした瞬間でした
同時に「なるほど」とも思いました
この暗くて、陰鬱で、退廃的で、荒廃している不愉快な世界
自分では理解しているつもりでしたが、いざこうして見せつけられると…
川 ゚ -゚) ・・私の心、ですか
ζ(゚ー゚*ζ あのおにいさんの時は、凄く単純な世界だったよ
だから、すぐに見つけられたー
ζ(゚ー゚*ζ でも、きみの心はすごく複雑で、へんてこりん
だから探すのに手間取ったのだ
川 ゚ -゚) ・・・・・・
川 ゚ -゚) 嫌な世界ですね・・ 本当に、本当に嫌な心
ζ(゚ー゚*ζ 何でだろうねー 凄い荒んでるよー
川 ゚ -゚) ・・あまり聞かないでください
ζ(゚ー゚*ζ ・・・・・・
変わりたい
自分自身を好きになりたい
それが、私の原動力の全て
言ってしまえば、そんなのは普通のことです
誰しもコンプレックスをバネにして頑張ろうとする
単純で、だれしもが持てる原動力 違うのはその大きさだけ
でも、染められるのでしょうか
いくら頑張って馬鹿なことを言って、馬鹿な行動をして、馬鹿なことを考えても
既に黒く染まりきったものを、別の色で染められるのでしょうか
川 ゚ -゚) ・・・・・・
ζ(゚ー゚*ζ うあー 落ち込まないでー
もっともっと暗くなっちゃうよー
川 ゚ -゚) そうですね すみません・・
ζ(゚ー゚*ζ ・・・・・・
ζ(゚ー゚*ζ 私でよかったらご相談にのりますぜーおじょーさん
川 ゚ -゚) ・・相談?
ζ(゚ー゚*ζ きみー、悩み事はぶちまけなきゃ駄目だぜー
人形の私でよければ、どーんときなさいぜー
川 ゚ -゚) 相談・・ ・・相談ですか・・
なるほど
「相談」ですか なるほど、「相談」
相談といえばみのもんたですが、ふむ
御人形相手に相談
川 ゚ -゚) ・・・・・・
思えば、私が悩みを相談出来る相手はお爺さんしかいませんでした
ハインとは長い付き合いでしたが、打ち明ける勇気なんてありません
姉妹のように付き合ってきたからこそ、彼女に相談なんて出来っこないのです
そういえばこの間、神父さんには少しだけ打ち明けましたね
今、私の事情を知っている神父さんだけですから
確かにその時、結構すっきりした覚えがあります
何も事情を知っていなくても
この御人形さんなら…
川 ゚ -゚) ・・・・・・
川 ゚ -゚) ・・その・・・・
ζ(゚ー゚*ζ さーさー ぶちまけちゃいなさいぜー
私が受け止めてあげるんだぜー
川 ゚ -゚) あ、あの・・ ですね・・
川 ゚ -゚) う・・
ζ(゚ー゚*ζ ?
川 ゚ -゚) ・・・・・・
川 ゚ -゚) その、詳細には言えないんですが・・ えーっと・・
ζ(゚ー゚*ζ 断片的にでもーいいさー
川 ゚ -゚) ・・あ
ζ(゚ー゚*ζ 「あ」?
川 ゚ -゚) 「愛したい」
ζ(゚ー゚*ζ
川 ゚ -゚)
ζ(゚ー゚*ζ ・・ん?
川 -)
今めっちゃ耳真っ赤になってます
常人なら顔にスラッシュ一杯ついてますよ
あ、やばいです つきそう スラッシュつきそう ああああもう
ζ(゚ー゚;ζ その・・・・ うん・・?
川 ゚ -゚) ち、ち、違うのです あの、ちょっと、いや・・
こ、こ、言葉が足りませんでしたの! ちょ、ちょっと待って下さい・・!
えっと・・ その・・ うあ・・!
大変です 予想以上に恥ずかしいです
神父さん相手にはすらっと言えたのに、そんな顔されたら滅茶苦茶恥ずかしいじゃないですか
顔に浮かび上がりそうになる記号をふっ飛ばす作業に余念がありませんよ
違うのですよ 別にそういう情事に飢えてるようなアバズレでは無いのですよ
ジュリエットになりたいとか、そういうのではないのですからねほんと
うああああああもう違う違う
川 ゚ -゚) え、えっと・・!
わ、私はですね その・・ 自分が大嫌いで・・
ζ(゚ー゚*ζ ・・?
川 ゚ -゚) あの・・ その、簡単に言うと嫌な奴なんです!
自分で自分が嫌いになっちゃうぐらい嫌な奴なのですよ!
ζ(゚ー゚*ζ ・・・・・・
川 ゚ -゚) でも、こんな私でも人を愛したいって思って・・
そうすれば、自分自身を少しでも肯定出来るかな、って・・
だから、その・・ 人を愛したいって・・ あの・・! うぐ・・っ
愛、愛と小さい子に何を言っておるのですか私は
嗚呼、言えば言うほど重みを減らす、不思議な言葉「愛」
嗚呼、歌にしようものならヘリウムガスのような軽さになる「愛」
本当に言うんじゃありませんでした
頭の中のゴミ箱が既に容量オーバーに近づいております
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